2012.05.14
甲府戦。幻のフォーメーション
5月13日(日) 2012 J2リーグ戦 第14節
熊本 0 - 0 甲府 (16:04/熊本/4,182人)
試合終了後、ゴール裏に行く甲府の選手達に対して、サポーターから強烈なブーイングが、これでもかと言うくらいに浴びせられました。甲府サポーターの不満の声が、このゲームを物語っている。滅多にこんな言い方はしないんですが、熊本にとって今日は”勝てた試合だった”。甲府に決定機を作らせなかった。そして多くの決定機を作った。1分7敗という一方的に分が悪い対戦成績。染みついた苦手意識。その苦い思いを払しょくする絶好の機会だった。だからこそ余計に。残念です。
長くCBの中心を務めていた吉井を累積警告で欠く。その代わりには本職ともいえる福王。前節は藏川が務めた左WBには片山が復帰して、その藏川は原田とともにボランチに入りました。おやっと思ったのは、敢えてよく古巣対決という起用のしかたで選手を鼓舞する高木監督が、養父をベンチスタートさせたこと。特に前日の熊日が予想した養父のシャドー起用という“奇策”にワクワクしていただけに。ただ、それは後半に準備されていたカードであったことがあとでわかるのですが、またある意味“幻”のフォーメーションに終わってしまうのです。

とても慎重に試合に入ったという緊張感は、観ているわれわれにも伝わってきました。「前半のプランニングとしては、基本的に失点してはいけないということで…」と高木監督。熊本はいつもよりリトリートして、しっかりブロックを作る。終始、バランスを崩さず、サイドもバイタルもガッチリと固める。ポゼッションは与えるが、崩されない。そのまま我慢。じっと我慢。奪ってはシンプルに長いボールで相手DFの裏をつく。これを斉藤や五領が粘ってCKをもぎ取る。
「サイドの選手があまり速くアプローチに行ってしまうと、我々がギャップを作ってしまうことがあったので、意図的に開けない形を選択しました。前の3人の追い方に関しては、人につきすぎて1トップで両サイドを下げられる状況になったので、そこは途中で指示も出したんですが、なかなかうまくいかなかった。そこがうまくいけば、もっとサイドも高い位置に出れたと思いますが、相手のボランチのところに効果的なアプローチがかけられなかった分、後ろを割られることは前半に関しては無かったと思う」(J's goal)と手の内を明かす高木監督。いつになく饒舌に感じるのは、今日のこの采配に手ごたえを感じたからなのでしょう。
15分の右CK。競ってこぼれたところに福王がグラウンダーで撃つものの、DFに当たりポストに跳ね返される。再び撃つがGK。
甲府は序盤こそシステムのミスマッチを生かしてポゼッションを持ったものの、徐々に停滞してくる。目立つパスミス。精度のないクロス。あの甲府が…。
片桐(甲府)が言います。「チームになっていなくて、個人で行っている感じが強い。何が悪いのかはっきりしない状況。決定的なチャンスを作れない。言いたいことを全部言わないけれど、何が問題なのか分からない不安もある」。
34分、五領が左サイドでひとり交わしてクロスを入れる。ゴール前には合わないものの、スタンドが沸く。今日の五領もいい。ミスもある。ボールを獲られることもあるけれど、前に行く意思、向かっていく闘志ははっきりと伝わります。相手の嫌がる動きをしている。もう少し。もう少しだという感じ。
後半に入っても47分、左CKから福王のフリーのヘッドは味方に当たってしまう。前節から引き続きミドルの意識も高い。大きくはずすこともあるが、際どいシュートも2本、3本。54分のバイタルエリアからの藏川のミドル、64分の原田のシュートもGK荻に阻まれる。ゴール前からのこぼれ、セカンドを意識したポジションどりで、シュートまで持っていく形ができていました。
そして斉藤から武富への交代。長い故障から癒えたばかりの武富がピッチに登場すると、待ちわびていたファンの盛大な拍手。何となく一回り体が大きくなったような。さらには五領から養父。このタイミングで熊日予想どおりの養父のシャドー。彼の実力を知っている甲府相手だからこそ、一番効果的な時間帯で一番嫌な選手の”攻撃的な”投入。よーし、さぁこれからだ。そう勢いづいたところだったのですが…。
原田が高崎を残り足で払ったという判定で、この日2枚目のイエローで退場。一気にプランの修正を余儀なくされる。スタンドで見守っていたであろう主将・藤本は、自身のブログで「あえて拓に苦言を言うならば、あの場面は我慢しなければいけなかった。カードを1枚もらっている中で、どうしようもない場面ではなかった」と指摘します。それも、その試合展開だけを悔やむのではなく、「チーム状況も苦しい中、大事な選手が出られなくなるのは、この試合だけではなく、次の試合にも影響する。よくよく理解して、プレーの選択をして欲しい」と。全くそのとおりでした。
それでも指揮官が「10人になってからも、1.5人とは言わないまでも、1人分を上回るようなプレーを見せてくれた」と言うように、ボールは確かに持たれてしまうが、熊本のバランスは変わらないし、チャンスを作るのは熊本。85分には養父のFK。クンシクに代わって入った高橋に惜しくも合わず。アディッショナルタイムに入っても、スローインから養父が、走りこんでくる市村にマイナスパス。決定機でしたがシュートはゴール左にそれていきました。
終盤、審判の判定をめぐって、やや集中を欠くようなゲームになりましたが、後半45分以降、4枚のイエローをもらう甲府。(それまでの90分は熊本だけが4枚のイエローと1枚のレッドだったわけで)。いかに甲府側にも焦りがあったかがわかります。
J1からの降格チームの甲府。新たに就任した城福監督の甲府は「ムービーング・フットボール」を標榜するとおり、かつての大木さんが培った”クローズ”戦術とは違い、ピッチを大きく使ってくる、いわばオーソドックスなものでした。しかし、何か動きに約束事があるのか、オートマティズムも無ければ、個の打開もない。これが現在リーグ得点王のダヴィや、守りの要の山本を欠いた試合だったからだけなのか。だとしても(だとしたら)、今日は甲府を下す絶好の機会でした。
南の怪我で、前節途中からゴールを守るGK岩丸。今日はスタートから安定したセービングでチーム全体を落ち着かせました。「皆頑張ってくれているし、GKが僕に替わって、皆がシュートを打たせないようにしてくれてるのかなと思う」というコメントは、謙虚な上になかなか深い。
「スタジアムの雰囲気も、何かしら僕の中では(今までと)少し違うなという雰囲気があって、立ち上がりから選手たちにパワーを与えてくれたなというのを感じてます」と高木監督が言うのは、確かにわれわれも感じたことでした。それは今節から試合前の選手紹介で、DJコバとの掛け合いに選手別のオリジナル・コールを交えるという”演出”の効果もあったに違いありません。一体感が増した。バックスタンドへの呼びかけもしかり。ただ、それだけではなく何だろう、ゴール裏の声も低く、声量も大きく感じるようになった。それは文字通り”腹の据わった感じ”というべきか。
さあ、千葉、山形と続く対戦。下を見ると怖いので見ないようにしているけれど。確かに勝ちからはずいぶん遠ざかっているけれど。勝ち点1の意味は重い。積み重ねること。それしかない。ここが踏ん張りどころだと信じて。
ああ、それにしても惜しかった。
熊本 0 - 0 甲府 (16:04/熊本/4,182人)
試合終了後、ゴール裏に行く甲府の選手達に対して、サポーターから強烈なブーイングが、これでもかと言うくらいに浴びせられました。甲府サポーターの不満の声が、このゲームを物語っている。滅多にこんな言い方はしないんですが、熊本にとって今日は”勝てた試合だった”。甲府に決定機を作らせなかった。そして多くの決定機を作った。1分7敗という一方的に分が悪い対戦成績。染みついた苦手意識。その苦い思いを払しょくする絶好の機会だった。だからこそ余計に。残念です。
長くCBの中心を務めていた吉井を累積警告で欠く。その代わりには本職ともいえる福王。前節は藏川が務めた左WBには片山が復帰して、その藏川は原田とともにボランチに入りました。おやっと思ったのは、敢えてよく古巣対決という起用のしかたで選手を鼓舞する高木監督が、養父をベンチスタートさせたこと。特に前日の熊日が予想した養父のシャドー起用という“奇策”にワクワクしていただけに。ただ、それは後半に準備されていたカードであったことがあとでわかるのですが、またある意味“幻”のフォーメーションに終わってしまうのです。

とても慎重に試合に入ったという緊張感は、観ているわれわれにも伝わってきました。「前半のプランニングとしては、基本的に失点してはいけないということで…」と高木監督。熊本はいつもよりリトリートして、しっかりブロックを作る。終始、バランスを崩さず、サイドもバイタルもガッチリと固める。ポゼッションは与えるが、崩されない。そのまま我慢。じっと我慢。奪ってはシンプルに長いボールで相手DFの裏をつく。これを斉藤や五領が粘ってCKをもぎ取る。
「サイドの選手があまり速くアプローチに行ってしまうと、我々がギャップを作ってしまうことがあったので、意図的に開けない形を選択しました。前の3人の追い方に関しては、人につきすぎて1トップで両サイドを下げられる状況になったので、そこは途中で指示も出したんですが、なかなかうまくいかなかった。そこがうまくいけば、もっとサイドも高い位置に出れたと思いますが、相手のボランチのところに効果的なアプローチがかけられなかった分、後ろを割られることは前半に関しては無かったと思う」(J's goal)と手の内を明かす高木監督。いつになく饒舌に感じるのは、今日のこの采配に手ごたえを感じたからなのでしょう。
15分の右CK。競ってこぼれたところに福王がグラウンダーで撃つものの、DFに当たりポストに跳ね返される。再び撃つがGK。
甲府は序盤こそシステムのミスマッチを生かしてポゼッションを持ったものの、徐々に停滞してくる。目立つパスミス。精度のないクロス。あの甲府が…。
片桐(甲府)が言います。「チームになっていなくて、個人で行っている感じが強い。何が悪いのかはっきりしない状況。決定的なチャンスを作れない。言いたいことを全部言わないけれど、何が問題なのか分からない不安もある」。
34分、五領が左サイドでひとり交わしてクロスを入れる。ゴール前には合わないものの、スタンドが沸く。今日の五領もいい。ミスもある。ボールを獲られることもあるけれど、前に行く意思、向かっていく闘志ははっきりと伝わります。相手の嫌がる動きをしている。もう少し。もう少しだという感じ。
後半に入っても47分、左CKから福王のフリーのヘッドは味方に当たってしまう。前節から引き続きミドルの意識も高い。大きくはずすこともあるが、際どいシュートも2本、3本。54分のバイタルエリアからの藏川のミドル、64分の原田のシュートもGK荻に阻まれる。ゴール前からのこぼれ、セカンドを意識したポジションどりで、シュートまで持っていく形ができていました。
そして斉藤から武富への交代。長い故障から癒えたばかりの武富がピッチに登場すると、待ちわびていたファンの盛大な拍手。何となく一回り体が大きくなったような。さらには五領から養父。このタイミングで熊日予想どおりの養父のシャドー。彼の実力を知っている甲府相手だからこそ、一番効果的な時間帯で一番嫌な選手の”攻撃的な”投入。よーし、さぁこれからだ。そう勢いづいたところだったのですが…。
原田が高崎を残り足で払ったという判定で、この日2枚目のイエローで退場。一気にプランの修正を余儀なくされる。スタンドで見守っていたであろう主将・藤本は、自身のブログで「あえて拓に苦言を言うならば、あの場面は我慢しなければいけなかった。カードを1枚もらっている中で、どうしようもない場面ではなかった」と指摘します。それも、その試合展開だけを悔やむのではなく、「チーム状況も苦しい中、大事な選手が出られなくなるのは、この試合だけではなく、次の試合にも影響する。よくよく理解して、プレーの選択をして欲しい」と。全くそのとおりでした。
それでも指揮官が「10人になってからも、1.5人とは言わないまでも、1人分を上回るようなプレーを見せてくれた」と言うように、ボールは確かに持たれてしまうが、熊本のバランスは変わらないし、チャンスを作るのは熊本。85分には養父のFK。クンシクに代わって入った高橋に惜しくも合わず。アディッショナルタイムに入っても、スローインから養父が、走りこんでくる市村にマイナスパス。決定機でしたがシュートはゴール左にそれていきました。
終盤、審判の判定をめぐって、やや集中を欠くようなゲームになりましたが、後半45分以降、4枚のイエローをもらう甲府。(それまでの90分は熊本だけが4枚のイエローと1枚のレッドだったわけで)。いかに甲府側にも焦りがあったかがわかります。
J1からの降格チームの甲府。新たに就任した城福監督の甲府は「ムービーング・フットボール」を標榜するとおり、かつての大木さんが培った”クローズ”戦術とは違い、ピッチを大きく使ってくる、いわばオーソドックスなものでした。しかし、何か動きに約束事があるのか、オートマティズムも無ければ、個の打開もない。これが現在リーグ得点王のダヴィや、守りの要の山本を欠いた試合だったからだけなのか。だとしても(だとしたら)、今日は甲府を下す絶好の機会でした。
南の怪我で、前節途中からゴールを守るGK岩丸。今日はスタートから安定したセービングでチーム全体を落ち着かせました。「皆頑張ってくれているし、GKが僕に替わって、皆がシュートを打たせないようにしてくれてるのかなと思う」というコメントは、謙虚な上になかなか深い。
「スタジアムの雰囲気も、何かしら僕の中では(今までと)少し違うなという雰囲気があって、立ち上がりから選手たちにパワーを与えてくれたなというのを感じてます」と高木監督が言うのは、確かにわれわれも感じたことでした。それは今節から試合前の選手紹介で、DJコバとの掛け合いに選手別のオリジナル・コールを交えるという”演出”の効果もあったに違いありません。一体感が増した。バックスタンドへの呼びかけもしかり。ただ、それだけではなく何だろう、ゴール裏の声も低く、声量も大きく感じるようになった。それは文字通り”腹の据わった感じ”というべきか。
さあ、千葉、山形と続く対戦。下を見ると怖いので見ないようにしているけれど。確かに勝ちからはずいぶん遠ざかっているけれど。勝ち点1の意味は重い。積み重ねること。それしかない。ここが踏ん張りどころだと信じて。
ああ、それにしても惜しかった。
2012.05.08
徳島戦。7試合ぶりの得点。しかしまたも勝ち切れず。
5月6日(日) 2012 J2リーグ戦 第13節
徳島 1 - 1 熊本 (13:04/鳴門大塚/4,027人)
得点者:54' 市村篤司(熊本)、80' 津田知宏(徳島)
ようやく。ようやく得点シーンを見ることができました。長く続いた無得点の時間。やっと、ほっとした。しかし、試合自体は同点に追いつかれ、結果は痛み分けに終わりました。
”鳴門の風”は曲者でした。今日もピッチボード看板が立てられないほどの強風、その風下でスタートした前半の熊本。しかし、ある意味でその風をうまく利用して主導権を握ったのだといえます。裏へ、サイドへ、深いスペースをついて逆風へ向け大きなボールを入れる。それが徳島のDFラインを見誤らせる。
後半15分 キム ジョンミン → 津田 知宏
後半24分 三木 隆司 → 濱田 武
後半37分 ジオゴ → 徳重 隆明
前半12分 南 雄太 → 岩丸 史也
後半32分 養父 雄仁 → 西森 正明
後半35分 五領 淳樹 → 大迫 希
熊本のシステムは変わらず3−4−3。出場停止の片山のところにはユーティリティ溢れる藏川が入る。ダブルボランチの一角に原田が復帰。
この数試合と同じように熊本の入り方がいい。9分、右CKがファーに抜けたところを原田が拾って再び低いボールで入れる。エリア内でスクランブル。こぼれたボールに廣井が反応。左に広げて打とうとするがDFが2人入る。徳島の素早い反応に阻まれる。32分には、五領が左サイドえぐってクロスを入れると、斉藤が中央で頭に当てるがボールは高く上がって右に流れる。ファーに入り込んだ市村が、そんな難しいボールをダイレクトボレー。GKがたまらずはじくが、こぼれたところに詰める選手がいない。惜しい。
一方の徳島、これまでのような”怖さ”が全く感じられない。攻撃が散発と言うべきか、人の厚みがないというべきか。小林監督が「あまりにも質が低すぎた」という点がここにあるのか、昨年の徳島とは様変わり。とにかくミスをしてくれる。ミスとは見えない精度の低いパスも。今日も出足のよい熊本の前線から始まる組織的なプレスの成果もあるにせよ、中盤から上、前線には全く収まらない。これが前節松本戦の勝利まで10試合勝ちがなかったという、徳島らしからぬ今季の低迷の原因なのかどうか。
そんな徳島の状況の悪さに大いに助けられはしたものの、今日の熊本、むやみにいかない。前に縦に、シンプルに攻める。少ないタッチ数でスピーディに運び、思いっきりミドルを打つ。打つ。ゴールを狙う姿勢はいつも以上でした。
後半に入って若干、徳島の修正が奏功する。小林監督が”鳴門の風”の特徴を熟知したのか、定説とは違って「組み立てるには風下の方がいい」(スカパー!)と言ったように、前半の熊本のように風下になった徳島がゲームを支配するようになります。
バイタルで拾って、徳島がパス回しを続ける。熊本が何とか奪っても、また奪い返される。スルーパスにジオゴが抜けて、ゴール左45度から完璧なシュート。しかし、ボールはポストに当たり事なきを得る。
その一瞬の反転攻勢でした。GK岩丸から左の原田に素早くフィード。原田が大きなサイドチェンジでゴール前に送ると、駆け上がっていた市村はすでにPA内。DF一人を左に切り交わすと、左足で冷静にカーブを掛けた。ボールはゴール左ポストに当たりネットに吸い込まれる。実に、実に7試合ぶりのゴール。市村にとっても今季初ゴール。雄叫びを上げる市村。それに集まるチームメイトの誰もが、長い苦境を打開したこの”一発”の重要性を知って、手荒い祝福を市村に容赦なく浴びせました。
しかし、熊本が不運だったのは、GK岩丸が「あの時間帯、疲れてきている状況で津田選手が入ってきたことはDF陣にとってはすごく嫌な交代でした」と正直に証言するとおり、9節以降怪我で戦列を離れていたFW津田が、この試合から復帰。そして、この大事な時間帯で投入されたことでした。足が止まりかけていた熊本に対して津田の投入は、確かにきつかった。前線に収まり始める徳島の攻撃に、熊本の守備が、ある意味いつものように後手に回り始める。
養父に代えて西森。藏川をボランチに回して、西森は左WBに。なんとか活性化を図ろうとする熊本でしたが、勢いは徳島に。波状攻撃のなか、ボランチの花井が拾うと縦に入れる。津田がみごとに反応して裏に。岩丸が飛び込みますが、それを交わした津田。身体のどこかに当ててでも、というような体勢でゴールに流し込みます。
熊本は五領に代えて大迫を投入。前半早々に痛んだGK南の交代というアクシデントで交代カードを一枚消費していた熊本にとっては、これが最後の切り札でした。それに対して、徳島はジオゴに代えて、どうも熊本には相性のよくない徳重の投入。
不思議なもので、先制点を取ったあとの熊本も勢いがありましたが、同点にしたあとの徳島も足が止まらない。熊本は徳島の攻勢を跳ね返すのがやっとという印象で、なんとか勝ち点1を持ち帰ったのでした。
「勝ち切れなかったことが非常に残念なゲーム」と、高木監督は試合後語りました。そして、勝ちきれなかった原因は徳島の交代カードによって、試合の流れを持っていかれてしまったことだと。具体的には「濱田選手が入って花井選手と組んだのですが、彼ら二人は非常にスキルが高いものがある」「最後も1本花井選手が本来の持ち味を出しましたが、それも多分津田選手が入ってきたからだ」と言う。
南のアクシデントで、熊本の交代カードが2枚しかなかったことはもちろんですが、リードしていた状況での西森は、当然ながら流れを守りにいったもの。同点にされてからのカードは1枚しか残っていない。そして大迫の投入。よくやったが、及ばなかった。結局は「そこをどうしても閉めなければいけないということになった」が「切るカードが2枚しかない中では、守備的にやるか攻撃的にやるかというのではなくて、現状に合わせてやるしかありませんでした」というのが実際なのでしょう。
徳島・小林監督は出来の悪かった前半を評して、「どうしても勝たなくてはいけないという想いがあり個人でのプレーになってしまう。やり過ぎている選手もいるし、時にはうまくいくけどそれはチームとしてどうなのかということもありました」と言う。しかし、後半打開したのも津田の突破力、そこへの花井のホットラインといった個の力ではなかったかと。チームとしてのミスを嘆きつつも、結果的には”個人”の技量でなんとか同点にした試合だったように思えます。チームとしては、全く機能していなかった徳島。しかし、数少ない決定機を担える。そんな個人がベンチにいるというのも徳島というチームの今なのでしょう。
対して熊本。チームとしての攻撃の内容は良くなっているといえます。しかし逆に、ここぞという”個”の力は、相変わらず頼りない。チームの力での1点。個人の力での1点。果たしてどちらがいいことなのだと思うべきなのか…。同点劇というゲームの中で見えた両チームの課題が、両監督のコメントに滲み出ているように感じます。
高木監督は、もはや常套句のように聞こえるコメントを繰り返す。「勝ち切れないゲームや勝てないゲームが続きますが、内容的には決して悲観するようなものでもないし、続けることが一番重要かなと思っています」と。確かにそう思います。現有戦力という現実のなかで、確かに成長している。そう信じるしかないと思います。
徳島 1 - 1 熊本 (13:04/鳴門大塚/4,027人)
得点者:54' 市村篤司(熊本)、80' 津田知宏(徳島)
ようやく。ようやく得点シーンを見ることができました。長く続いた無得点の時間。やっと、ほっとした。しかし、試合自体は同点に追いつかれ、結果は痛み分けに終わりました。
”鳴門の風”は曲者でした。今日もピッチボード看板が立てられないほどの強風、その風下でスタートした前半の熊本。しかし、ある意味でその風をうまく利用して主導権を握ったのだといえます。裏へ、サイドへ、深いスペースをついて逆風へ向け大きなボールを入れる。それが徳島のDFラインを見誤らせる。
徳 島
| 22ジオゴ | 19キム ジョンミン | ||
| 18宮崎 | 10鈴木 | ||
| 4エリゼウ | 27花井 | ||
| 6西嶋 | 3橋内 | ||
| 2三木 | 33福元 | ||
| 21オ スンフン | |||
後半24分 三木 隆司 → 濱田 武
後半37分 ジオゴ → 徳重 隆明
熊 本
| 9チェ クンシク | |||
| 17斉藤 | 19五領 | ||
| 38藏川 | 15市村 | ||
| 8原田 | 10養父 | ||
| 4廣井 | 24筑城 | ||
| 22吉井 | |||
| 18南 | |||
後半32分 養父 雄仁 → 西森 正明
後半35分 五領 淳樹 → 大迫 希
熊本のシステムは変わらず3−4−3。出場停止の片山のところにはユーティリティ溢れる藏川が入る。ダブルボランチの一角に原田が復帰。
この数試合と同じように熊本の入り方がいい。9分、右CKがファーに抜けたところを原田が拾って再び低いボールで入れる。エリア内でスクランブル。こぼれたボールに廣井が反応。左に広げて打とうとするがDFが2人入る。徳島の素早い反応に阻まれる。32分には、五領が左サイドえぐってクロスを入れると、斉藤が中央で頭に当てるがボールは高く上がって右に流れる。ファーに入り込んだ市村が、そんな難しいボールをダイレクトボレー。GKがたまらずはじくが、こぼれたところに詰める選手がいない。惜しい。
一方の徳島、これまでのような”怖さ”が全く感じられない。攻撃が散発と言うべきか、人の厚みがないというべきか。小林監督が「あまりにも質が低すぎた」という点がここにあるのか、昨年の徳島とは様変わり。とにかくミスをしてくれる。ミスとは見えない精度の低いパスも。今日も出足のよい熊本の前線から始まる組織的なプレスの成果もあるにせよ、中盤から上、前線には全く収まらない。これが前節松本戦の勝利まで10試合勝ちがなかったという、徳島らしからぬ今季の低迷の原因なのかどうか。
そんな徳島の状況の悪さに大いに助けられはしたものの、今日の熊本、むやみにいかない。前に縦に、シンプルに攻める。少ないタッチ数でスピーディに運び、思いっきりミドルを打つ。打つ。ゴールを狙う姿勢はいつも以上でした。
後半に入って若干、徳島の修正が奏功する。小林監督が”鳴門の風”の特徴を熟知したのか、定説とは違って「組み立てるには風下の方がいい」(スカパー!)と言ったように、前半の熊本のように風下になった徳島がゲームを支配するようになります。
バイタルで拾って、徳島がパス回しを続ける。熊本が何とか奪っても、また奪い返される。スルーパスにジオゴが抜けて、ゴール左45度から完璧なシュート。しかし、ボールはポストに当たり事なきを得る。
その一瞬の反転攻勢でした。GK岩丸から左の原田に素早くフィード。原田が大きなサイドチェンジでゴール前に送ると、駆け上がっていた市村はすでにPA内。DF一人を左に切り交わすと、左足で冷静にカーブを掛けた。ボールはゴール左ポストに当たりネットに吸い込まれる。実に、実に7試合ぶりのゴール。市村にとっても今季初ゴール。雄叫びを上げる市村。それに集まるチームメイトの誰もが、長い苦境を打開したこの”一発”の重要性を知って、手荒い祝福を市村に容赦なく浴びせました。
しかし、熊本が不運だったのは、GK岩丸が「あの時間帯、疲れてきている状況で津田選手が入ってきたことはDF陣にとってはすごく嫌な交代でした」と正直に証言するとおり、9節以降怪我で戦列を離れていたFW津田が、この試合から復帰。そして、この大事な時間帯で投入されたことでした。足が止まりかけていた熊本に対して津田の投入は、確かにきつかった。前線に収まり始める徳島の攻撃に、熊本の守備が、ある意味いつものように後手に回り始める。
養父に代えて西森。藏川をボランチに回して、西森は左WBに。なんとか活性化を図ろうとする熊本でしたが、勢いは徳島に。波状攻撃のなか、ボランチの花井が拾うと縦に入れる。津田がみごとに反応して裏に。岩丸が飛び込みますが、それを交わした津田。身体のどこかに当ててでも、というような体勢でゴールに流し込みます。
熊本は五領に代えて大迫を投入。前半早々に痛んだGK南の交代というアクシデントで交代カードを一枚消費していた熊本にとっては、これが最後の切り札でした。それに対して、徳島はジオゴに代えて、どうも熊本には相性のよくない徳重の投入。
不思議なもので、先制点を取ったあとの熊本も勢いがありましたが、同点にしたあとの徳島も足が止まらない。熊本は徳島の攻勢を跳ね返すのがやっとという印象で、なんとか勝ち点1を持ち帰ったのでした。
「勝ち切れなかったことが非常に残念なゲーム」と、高木監督は試合後語りました。そして、勝ちきれなかった原因は徳島の交代カードによって、試合の流れを持っていかれてしまったことだと。具体的には「濱田選手が入って花井選手と組んだのですが、彼ら二人は非常にスキルが高いものがある」「最後も1本花井選手が本来の持ち味を出しましたが、それも多分津田選手が入ってきたからだ」と言う。
南のアクシデントで、熊本の交代カードが2枚しかなかったことはもちろんですが、リードしていた状況での西森は、当然ながら流れを守りにいったもの。同点にされてからのカードは1枚しか残っていない。そして大迫の投入。よくやったが、及ばなかった。結局は「そこをどうしても閉めなければいけないということになった」が「切るカードが2枚しかない中では、守備的にやるか攻撃的にやるかというのではなくて、現状に合わせてやるしかありませんでした」というのが実際なのでしょう。
徳島・小林監督は出来の悪かった前半を評して、「どうしても勝たなくてはいけないという想いがあり個人でのプレーになってしまう。やり過ぎている選手もいるし、時にはうまくいくけどそれはチームとしてどうなのかということもありました」と言う。しかし、後半打開したのも津田の突破力、そこへの花井のホットラインといった個の力ではなかったかと。チームとしてのミスを嘆きつつも、結果的には”個人”の技量でなんとか同点にした試合だったように思えます。チームとしては、全く機能していなかった徳島。しかし、数少ない決定機を担える。そんな個人がベンチにいるというのも徳島というチームの今なのでしょう。
対して熊本。チームとしての攻撃の内容は良くなっているといえます。しかし逆に、ここぞという”個”の力は、相変わらず頼りない。チームの力での1点。個人の力での1点。果たしてどちらがいいことなのだと思うべきなのか…。同点劇というゲームの中で見えた両チームの課題が、両監督のコメントに滲み出ているように感じます。
高木監督は、もはや常套句のように聞こえるコメントを繰り返す。「勝ち切れないゲームや勝てないゲームが続きますが、内容的には決して悲観するようなものでもないし、続けることが一番重要かなと思っています」と。確かにそう思います。現有戦力という現実のなかで、確かに成長している。そう信じるしかないと思います。
2012.05.04
東京V戦。ゲームプランとベンチワークと
5月3日(木) 2012 J2リーグ戦 第12節
熊本 0 - 2 東京V (13:04/熊本/5,775人)
得点者:56' 飯尾一慶(東京V)、90'+4 小林祐希(東京V)
黄金週間・中二日の連戦。熊本のゲームプランは相変わらず入りから飛ばして先制点を奪うというものだったのでしょうが…。どこかで疲労が限界にくるのではないかと思っていましたが、それは突然、今日の後半にやってきました。失点自体は中盤でのミスが起因してのものでしたが、明らかに後半に入ってすぐから熊本の選手の足は重く、切り返しやボールへの出足も前半より、そして相手より一歩遅れていました。
熊本のスタメン。前節から変わったのは、ボランチの位置に原田に代えて体調不良から復帰した養父を使ってきたこと。
後半12分 五領 淳樹 → 山崎 侑輝
後半21分 齊藤 和樹 → 白谷 建人
後半35分 養父 雄仁 → 高橋 祐太郎
後半40分 飯尾 一慶 → 小林 祐希
後半45分 西 紀寛 → 小池 純輝
後半45分+3 阿部 拓馬 → 南 秀仁
試合開始から全開で行った熊本。受けた形のヴェルディ。熊本が完全にゲームを支配して進む。五領が市村に預けるとエリアに走りこむ。中央で流して左から駆け込んだ片山。惜しくも間に合わず。
クンシクから斉藤。エリアまでドリブルで持ち込むがシュートは枠を大きく外れる。養父がDFの裏にふわりとループを上げる。しかし前線の五領は足元でもらうイメージだったのか合わない。筑城がインターセプトして藏川に預けると前に入っていく。しかしクロスは合わない。運動量と人数を掛けてゴールを狙っている折角の時間帯なのに…。
NHK中継の解説者・福西氏も「この”流れ”のある中で点を取るのが重要」と言っている。
ヴェルディの両ボランチに対して、熊本は前線と中盤の選手が交互にチェックしたりサンドしたり、自由を奪っている。再三、主に右サイドから崩してクロスを上げる。しかし、どうしても読みと1対1に優れる土屋の壁を越えられない。
いつにも増して熊本のゲームだという前半の印象でしたが、逆にこんな試合のハーフタイムの監督の指示は難しいのではないか。自分たちの時間帯で点が決めきれず…という嫌な結果をこれまで重ねてきただけに。などと思いながらコンコースに出ると、すれ違う人々の表情も一様に硬い。決して白い歯がこぼれてはいない。集中力が後半も持続できるかどうかという、いつも通りの試合展開になってきたということをファンもよくわかっているからです。
「残り45分、こちら側のペースに乗せられるように、したたかに粘り強くやっていく事」。広報からもたらされるハーフタイムの監督コメントは、常にもちろん細かい部分は伏された抽象的なもの、あるいはメンタルを鼓舞するような内容になりがちですが、皮肉なことに後半”したたかに粘り強く”やれたのは、相手のヴェルディの方でした。
燃料が切れた車のアクセルを踏み込むように、熊本の動きは目立って遅くなってくる。さらに川勝監督が指示した「タテだけではなく横にも速くボールを動か」すことで、熊本の疲労感は増したように思います。
56分に先制点を奪われる前後に、五領に代えて山崎が準備され、1点を追いかけるために斉藤に代えて白谷。最後は養父を引っ込めて高橋を前線に投入。一時は4−4−2のシステムに変更する手も見せましたが、片山が2枚目のカードで退場になると、前がかりななか、数的不利も手伝ってアディショナルタイムに追加点を奪われ万事休しました。
五領は確かに飛ばしていて、どちらかというと”空回り感”もありました。懸命なのは伝わってきますが、ここぞというところで預けてしまう。交代で入ったのは山崎。どうして同ポジションに入れたのか。その後、斉藤に代えて白谷を入れた際に、ボランチに下げるくらいなら大迫は何故ベンチを温め続けたのか。藏川が連戦の疲れから、養父は病み上がりという事情もあって、もはや中盤を押し上げられない状態だったにもかかわらず、そこに手を打つのが遅すぎはしなかったのか。
「今日の動きを見ていると、齋藤、五領は難しいなと見ていて、自分たちのリズムがダウンしてしまう前に山崎を入れて、前でプレッシャーをかけたり、前に出て行くとか、流れが悪くなる前に変えたかった」と高木監督。山崎の投入は失点前から考えていたことだと言う。
しかし、疲労感のあるチームを”したたかに粘り強く”戦わせるためには、もっと違ったベンチワークはなかったのか。交代カードが何も奏功しなかった、何の変化も生まなかったというのがわれわれの印象です。
もうひとつ。試合後、いつものように色々なメディアをザッピングして思ったのは、どうもわれわれが試合中に感じていたこの日のゲームの流れ、実際に高木監督が描いていたゲームプランは微妙に違っていたのではないかということ。NHKの中継を見返したとき、試合前に指揮官はこの試合に関して「0−0でいいくらい守備から入りたい」と言っている。ハーフタイムでのインタビューには「思った以上に身体が動いている」と。これは、前半ここまでアグレッシブに攻めに行くことを想定していなかったということではないか。そうプランさせるほど、戦前のわがチームのコンディションは悲観すべき状況だったのかも知れません。
試合後のインタビューでは「前半をゼロに抑えたこと、後半は相手のペースになってしまいましたけど、できるだけ耐えた中でチャンスもあったので、ゲーム全体ではプラン通りに働いた」と言っている。自身が常に言う「1失点はアクシデントもある」という言葉を接ぎながら、「覚悟したんですけど、その前にやっぱり点が欲しかった」とも。
しかし、”1失点はアクシデントもある”というのが自身のサッカー哲学ならば、その際の次善の策はなかったのか。白谷の投入や4−4−2というオプションは、リトリートしてカウンターで同点を狙うという意図が隠されていたのか。どうなのか。どうも釈然としないのです。
「全体を通しては我々がやりたいことというのが、ある程度できたんじゃないかなと思います」という彼らしい“前向き”な総括。それは、5戦勝ちなしのなか、勝利を信じて声を枯らしたファンの心理とのギャップはいかんともしがたく。この試合後の後味の悪さを一層引き立ててしまいます。
また中二日で迎えるのは、あまり相性がいいとも言えない徳島戦。これが連戦の最後の試合にもなりますが、この連戦を迎える当初、指揮官は、「疲労を考えると選手を代えていかなければならないが、使い続けなければならない選手も出てくる」とコメントしていたと思います。その言葉と、どうも首を傾げたくなる今日のこの試合と。色々な不安を抱えたまま、徳島戦を迎えます。
熊本 0 - 2 東京V (13:04/熊本/5,775人)
得点者:56' 飯尾一慶(東京V)、90'+4 小林祐希(東京V)
黄金週間・中二日の連戦。熊本のゲームプランは相変わらず入りから飛ばして先制点を奪うというものだったのでしょうが…。どこかで疲労が限界にくるのではないかと思っていましたが、それは突然、今日の後半にやってきました。失点自体は中盤でのミスが起因してのものでしたが、明らかに後半に入ってすぐから熊本の選手の足は重く、切り返しやボールへの出足も前半より、そして相手より一歩遅れていました。
熊本のスタメン。前節から変わったのは、ボランチの位置に原田に代えて体調不良から復帰した養父を使ってきたこと。
熊 本
| 9チェ クンシク | |||
| 17齊藤 | 19五領 | ||
| 7片山 | 15市村 | ||
| 10養父 | 38藏川 | ||
| 4廣井 | 24筑城 | ||
| 22吉井 | |||
| 18南 | |||
後半21分 齊藤 和樹 → 白谷 建人
後半35分 養父 雄仁 → 高橋 祐太郎
東京ヴェルディ
| 41杉本 | 9阿部 | ||
| 10飯尾 | 11西 | ||
| 22和田 | 23梶川 | ||
| 7中谷 | 19森 | ||
| 3深津 | 17土屋 | ||
| 26柴崎 | |||
後半45分 西 紀寛 → 小池 純輝
後半45分+3 阿部 拓馬 → 南 秀仁
試合開始から全開で行った熊本。受けた形のヴェルディ。熊本が完全にゲームを支配して進む。五領が市村に預けるとエリアに走りこむ。中央で流して左から駆け込んだ片山。惜しくも間に合わず。
クンシクから斉藤。エリアまでドリブルで持ち込むがシュートは枠を大きく外れる。養父がDFの裏にふわりとループを上げる。しかし前線の五領は足元でもらうイメージだったのか合わない。筑城がインターセプトして藏川に預けると前に入っていく。しかしクロスは合わない。運動量と人数を掛けてゴールを狙っている折角の時間帯なのに…。
NHK中継の解説者・福西氏も「この”流れ”のある中で点を取るのが重要」と言っている。
ヴェルディの両ボランチに対して、熊本は前線と中盤の選手が交互にチェックしたりサンドしたり、自由を奪っている。再三、主に右サイドから崩してクロスを上げる。しかし、どうしても読みと1対1に優れる土屋の壁を越えられない。
いつにも増して熊本のゲームだという前半の印象でしたが、逆にこんな試合のハーフタイムの監督の指示は難しいのではないか。自分たちの時間帯で点が決めきれず…という嫌な結果をこれまで重ねてきただけに。などと思いながらコンコースに出ると、すれ違う人々の表情も一様に硬い。決して白い歯がこぼれてはいない。集中力が後半も持続できるかどうかという、いつも通りの試合展開になってきたということをファンもよくわかっているからです。
「残り45分、こちら側のペースに乗せられるように、したたかに粘り強くやっていく事」。広報からもたらされるハーフタイムの監督コメントは、常にもちろん細かい部分は伏された抽象的なもの、あるいはメンタルを鼓舞するような内容になりがちですが、皮肉なことに後半”したたかに粘り強く”やれたのは、相手のヴェルディの方でした。
燃料が切れた車のアクセルを踏み込むように、熊本の動きは目立って遅くなってくる。さらに川勝監督が指示した「タテだけではなく横にも速くボールを動か」すことで、熊本の疲労感は増したように思います。
56分に先制点を奪われる前後に、五領に代えて山崎が準備され、1点を追いかけるために斉藤に代えて白谷。最後は養父を引っ込めて高橋を前線に投入。一時は4−4−2のシステムに変更する手も見せましたが、片山が2枚目のカードで退場になると、前がかりななか、数的不利も手伝ってアディショナルタイムに追加点を奪われ万事休しました。
五領は確かに飛ばしていて、どちらかというと”空回り感”もありました。懸命なのは伝わってきますが、ここぞというところで預けてしまう。交代で入ったのは山崎。どうして同ポジションに入れたのか。その後、斉藤に代えて白谷を入れた際に、ボランチに下げるくらいなら大迫は何故ベンチを温め続けたのか。藏川が連戦の疲れから、養父は病み上がりという事情もあって、もはや中盤を押し上げられない状態だったにもかかわらず、そこに手を打つのが遅すぎはしなかったのか。
「今日の動きを見ていると、齋藤、五領は難しいなと見ていて、自分たちのリズムがダウンしてしまう前に山崎を入れて、前でプレッシャーをかけたり、前に出て行くとか、流れが悪くなる前に変えたかった」と高木監督。山崎の投入は失点前から考えていたことだと言う。
しかし、疲労感のあるチームを”したたかに粘り強く”戦わせるためには、もっと違ったベンチワークはなかったのか。交代カードが何も奏功しなかった、何の変化も生まなかったというのがわれわれの印象です。
もうひとつ。試合後、いつものように色々なメディアをザッピングして思ったのは、どうもわれわれが試合中に感じていたこの日のゲームの流れ、実際に高木監督が描いていたゲームプランは微妙に違っていたのではないかということ。NHKの中継を見返したとき、試合前に指揮官はこの試合に関して「0−0でいいくらい守備から入りたい」と言っている。ハーフタイムでのインタビューには「思った以上に身体が動いている」と。これは、前半ここまでアグレッシブに攻めに行くことを想定していなかったということではないか。そうプランさせるほど、戦前のわがチームのコンディションは悲観すべき状況だったのかも知れません。
試合後のインタビューでは「前半をゼロに抑えたこと、後半は相手のペースになってしまいましたけど、できるだけ耐えた中でチャンスもあったので、ゲーム全体ではプラン通りに働いた」と言っている。自身が常に言う「1失点はアクシデントもある」という言葉を接ぎながら、「覚悟したんですけど、その前にやっぱり点が欲しかった」とも。
しかし、”1失点はアクシデントもある”というのが自身のサッカー哲学ならば、その際の次善の策はなかったのか。白谷の投入や4−4−2というオプションは、リトリートしてカウンターで同点を狙うという意図が隠されていたのか。どうなのか。どうも釈然としないのです。
「全体を通しては我々がやりたいことというのが、ある程度できたんじゃないかなと思います」という彼らしい“前向き”な総括。それは、5戦勝ちなしのなか、勝利を信じて声を枯らしたファンの心理とのギャップはいかんともしがたく。この試合後の後味の悪さを一層引き立ててしまいます。
また中二日で迎えるのは、あまり相性がいいとも言えない徳島戦。これが連戦の最後の試合にもなりますが、この連戦を迎える当初、指揮官は、「疲労を考えると選手を代えていかなければならないが、使い続けなければならない選手も出てくる」とコメントしていたと思います。その言葉と、どうも首を傾げたくなる今日のこの試合と。色々な不安を抱えたまま、徳島戦を迎えます。
2012.05.01
大分戦。3戦連続スコアレスドロー
4月30日(月) 2012 J2リーグ戦 第11節
大分 0 - 0 熊本 (13:06/大銀ド/12,595人)
終了の笛を聞くのといっしょに、ふーっと大きく息をつく。ダービーマッチ。 バトルオブ九州。90分間、息もつかせない攻防でした。
前節、京都に2−1と競り勝っている大分は現在5位。前々節は3−2で富山を下し、FW高松の復帰とともに”得点力”を増していることがなにより脅威でした。またしても3−4−3という同システムのチーム。ミラーゲームが予想される試合。しかし、熊本がサイドでの狭い攻防に持っていこうとするのに対して、大分はピッチ全体を広く使おうとする意図。両者マッチアップというより、ちょっと違ったサッカーになりました。
バトルオブ九州と銘打ったダービーマッチ。今季は福岡戦に次ぐ第2戦。隣県ともあって、熊本からもバス6台のファンが大分入りして…。レベスタでの福岡戦でも実感するのですが、ゴール裏に集結した”赤い群集”の色は、青との対比もあって実に美しい。さらにこの日の雨天のせいで、屋根が閉められた大銀ドーム。両チームサポーターのチャントがドーム全体にこだまして、九州対決という「負けられない」独特の雰囲気を盛り上げる。試合の前からドキドキさせます。
後半20分 高松 大樹 → 村井 慎二
後半33分 木島 悠 → 西 弘則
後半40分 為田 大貴 → 小手川 宏基
後半28分 チェ クンシク → 白谷 建人
後半41分 齊藤 和樹 → 高橋 祐太郎
後半44分 五領 淳樹 → 山崎 侑輝
今日もうまく試合に入った熊本。高い位置でのプレス。球際の厳しさ。大分を圧倒してペースを握らせない。前節途中からトップ下シャドーに入った市村は、今日はWBに先発で入り、ボランチは原田と藏川。3試合ぶりの先発となった五領も気合がみなぎっているのがわかる。このあたりは、選手層が薄いなかでも高木監督、うまく配置してきたなと感心させる。それにしてもなんとも言えない不安は、この試合、体調不良で養父を欠く事態に。
「明らかに試合の立ち上がりから熊本の方がアグレッシブに走り、良かった。いい意味に捉えるなら、そこで失点しなかったのが唯一良かった点」。大分・田坂監督がそう捕らえるとおり、前半は大分にほとんどと言っていいほど仕事をさせませんでした。唯一、37分の左遠目からのFK。三平のヘッドがゴール左角を狙う。これを南が横っ飛びのビッグプレーでクリア。その後も、石神から三平へのセットプレーのホットラインは要注意ではありました。
大分は前述のとおり、ピッチを広く使いたかったのではないでしょうか。選手間が妙に遠い。ひょっとして熊本のサイドへの追い込みが、大分の選手間の距離を遠ざけたのかも知れませんが。
戦前、両チームスタメンを見た印象では、大分の森島と高松という高さに対して、廣井はともかく、吉井や筑城をよく当ててきたなと思ったのですが、前節から続くこの3バックで、完全にこの2人を封じ込めていました。それは、原田と藏川という、その前の2人のポジショニング、働きにも寄るところが大きかったと思われます。
後半に入っても熊本の絶好機は続きました。52分、大分・作田から奪った五領が前線にパス。片山がスペースに走りこんでキーパーと1対1。しかし、このシュートをGK清水が片手一本ではじく。63分には、五領が縦に入れると斉藤から右を追い越してきた藏川へ。すかさずクロスを入れる。中央に飛び込んできたクンシクが合わせたものの、惜しくもゴール左にそれていきます。
最初はその気合いが“空回り”している感もあった五領でしたが、時間が経つほどに、ボールを触るほどに、思い切りやアイデアが加わって良くなってきました。攻撃の起点にはまず五領。「もっと行けー!」。そう叫んでしまいそうです。
大分は高松を下げて、村井をボランチに、為田を一列上げたあたりからペースを掴み始めました。村井のキープ力。2人、3人に囲まれても交わす。バイタルでワンツー。もらいなおしてシュートを打つ。「ボールを持つと仕掛けられ、シュートも打たれた」(高木監督)。後半20分という時間帯もあって、流れを大きく変える働きでした。
熊本・高木監督は、クンシクに代えて白谷。斉藤に代えて高橋を前線で投入。そして最後には山崎を投入します。先日強化指定選手と発表があったばかりの鹿屋体育大学在籍の選手の大胆な起用。連戦の最中、総力戦のなかでは、面白い起用。何かを変えようという意図があったのでしょう。山崎は、けっして物怖じせず、試合にスムーズに入っていきました。
しかしながら、またしてもスコアレスドロー。2連敗のあと、3連続引き分け。その間、5試合連続で無得点が続く。
高松が復帰し、レンタル延長となった三平は現在チームのトップスコアラー。石神、村井の獲得。そして為田といったユース上がりの逸材。なんだかんだ言っても、大分はずいぶん着実な補強をしている。5位という現在の順位にいるのも頷ける。その大分に、しかも連勝で登り調子だったその攻撃陣に、まったくと言っていいほど仕事をさせなかったことには自信を持っていい。この3−4−3システムでの組織的守備は形になってきていると思います。
高木監督は、「いま我々に必要なことは点を取ることも大事だが、このようなゲームを続けていくこと。今日のような試合を続けていけば得点は取れると思うし、確信している」と言います。多くは語っていませんが・・・。
開始早々の15分で点を取れれば言うことがなかったのですが。しかし、その後も自分たちの”時間帯”を作れるようにはなった。その時間帯を長く保てるようにはなってきている。ただ足りないのは、自分たちの時間帯での決定力。それは、今が点の取り時なのだというチーム全体の統一感ではないでしょうか。
藏川が「攻撃のとき守備に力を注いでいる分、迫力が足りなかった」と言うように。それは、局面的に言えば、クロスを上げるまでは行くけれど、中に人数が足りない。あるいは、アタッキングサードまでは迫るけれど、最後の崩しがない。ということになるのですが、要するに攻撃に厚み、いや”凄み”がない。
スカパー!解説者の増田氏も言う。「バイタルから先で、もっと崩すイメージ。アイデア、あるいはイマジネーションが出てくると・・・」と。彼が在籍した、かつての鹿島がそうだったように。ここぞという時には必ず点を決めきれる力があった。「今が点を取る時」という時間帯でのチーム全体の意思の統一は、ある程度リスクを掛けても全体の緊張感から守備に綻びはきたさない。それがチーム攻撃の”凄み”ではないかと思うのです。
「前からいい守備ができているので、成果が出てきていると思う」「前を向いていい戦いができているので、粘り強くやっていくしかない」。そう言う廣井をはじめとして、各選手も手ごたえを感じているコメントを残している。
それはそれとしても、しかし、偶然を待つサッカーでは勝機はない。いくつかの好機のなかで”偶然”ではなく、”必然”的に点を決められるチームに。また中二日の過密日程の最中ですが、わがチームのそんな成長を見たい。それが今のファンの心理ではないかと・・・。それがまた次の試合への楽しみなのだと思います。
大分 0 - 0 熊本 (13:06/大銀ド/12,595人)
終了の笛を聞くのといっしょに、ふーっと大きく息をつく。ダービーマッチ。 バトルオブ九州。90分間、息もつかせない攻防でした。
前節、京都に2−1と競り勝っている大分は現在5位。前々節は3−2で富山を下し、FW高松の復帰とともに”得点力”を増していることがなにより脅威でした。またしても3−4−3という同システムのチーム。ミラーゲームが予想される試合。しかし、熊本がサイドでの狭い攻防に持っていこうとするのに対して、大分はピッチ全体を広く使おうとする意図。両者マッチアップというより、ちょっと違ったサッカーになりました。
バトルオブ九州と銘打ったダービーマッチ。今季は福岡戦に次ぐ第2戦。隣県ともあって、熊本からもバス6台のファンが大分入りして…。レベスタでの福岡戦でも実感するのですが、ゴール裏に集結した”赤い群集”の色は、青との対比もあって実に美しい。さらにこの日の雨天のせいで、屋根が閉められた大銀ドーム。両チームサポーターのチャントがドーム全体にこだまして、九州対決という「負けられない」独特の雰囲気を盛り上げる。試合の前からドキドキさせます。
大 分
| 13高松 | |||
| 20森島 | 24木島 | ||
| 18イ ドンミョン | 9三平 | ||
| 32宮沢 | 28為田 | ||
| 17石神 | 4作田 | ||
| 3阪田 | |||
| 1清水 | |||
後半33分 木島 悠 → 西 弘則
後半40分 為田 大貴 → 小手川 宏基
熊 本
| 9チェ クンシク | |||
| 17齊藤 | 19五領 | ||
| 7片山 | 15市村 | ||
| 8原田 | 38藏川 | ||
| 4廣井 | 24筑城 | ||
| 22吉井 | |||
| 18南 | |||
後半41分 齊藤 和樹 → 高橋 祐太郎
後半44分 五領 淳樹 → 山崎 侑輝
今日もうまく試合に入った熊本。高い位置でのプレス。球際の厳しさ。大分を圧倒してペースを握らせない。前節途中からトップ下シャドーに入った市村は、今日はWBに先発で入り、ボランチは原田と藏川。3試合ぶりの先発となった五領も気合がみなぎっているのがわかる。このあたりは、選手層が薄いなかでも高木監督、うまく配置してきたなと感心させる。それにしてもなんとも言えない不安は、この試合、体調不良で養父を欠く事態に。
「明らかに試合の立ち上がりから熊本の方がアグレッシブに走り、良かった。いい意味に捉えるなら、そこで失点しなかったのが唯一良かった点」。大分・田坂監督がそう捕らえるとおり、前半は大分にほとんどと言っていいほど仕事をさせませんでした。唯一、37分の左遠目からのFK。三平のヘッドがゴール左角を狙う。これを南が横っ飛びのビッグプレーでクリア。その後も、石神から三平へのセットプレーのホットラインは要注意ではありました。
大分は前述のとおり、ピッチを広く使いたかったのではないでしょうか。選手間が妙に遠い。ひょっとして熊本のサイドへの追い込みが、大分の選手間の距離を遠ざけたのかも知れませんが。
戦前、両チームスタメンを見た印象では、大分の森島と高松という高さに対して、廣井はともかく、吉井や筑城をよく当ててきたなと思ったのですが、前節から続くこの3バックで、完全にこの2人を封じ込めていました。それは、原田と藏川という、その前の2人のポジショニング、働きにも寄るところが大きかったと思われます。
後半に入っても熊本の絶好機は続きました。52分、大分・作田から奪った五領が前線にパス。片山がスペースに走りこんでキーパーと1対1。しかし、このシュートをGK清水が片手一本ではじく。63分には、五領が縦に入れると斉藤から右を追い越してきた藏川へ。すかさずクロスを入れる。中央に飛び込んできたクンシクが合わせたものの、惜しくもゴール左にそれていきます。
最初はその気合いが“空回り”している感もあった五領でしたが、時間が経つほどに、ボールを触るほどに、思い切りやアイデアが加わって良くなってきました。攻撃の起点にはまず五領。「もっと行けー!」。そう叫んでしまいそうです。
大分は高松を下げて、村井をボランチに、為田を一列上げたあたりからペースを掴み始めました。村井のキープ力。2人、3人に囲まれても交わす。バイタルでワンツー。もらいなおしてシュートを打つ。「ボールを持つと仕掛けられ、シュートも打たれた」(高木監督)。後半20分という時間帯もあって、流れを大きく変える働きでした。
熊本・高木監督は、クンシクに代えて白谷。斉藤に代えて高橋を前線で投入。そして最後には山崎を投入します。先日強化指定選手と発表があったばかりの鹿屋体育大学在籍の選手の大胆な起用。連戦の最中、総力戦のなかでは、面白い起用。何かを変えようという意図があったのでしょう。山崎は、けっして物怖じせず、試合にスムーズに入っていきました。
しかしながら、またしてもスコアレスドロー。2連敗のあと、3連続引き分け。その間、5試合連続で無得点が続く。
高松が復帰し、レンタル延長となった三平は現在チームのトップスコアラー。石神、村井の獲得。そして為田といったユース上がりの逸材。なんだかんだ言っても、大分はずいぶん着実な補強をしている。5位という現在の順位にいるのも頷ける。その大分に、しかも連勝で登り調子だったその攻撃陣に、まったくと言っていいほど仕事をさせなかったことには自信を持っていい。この3−4−3システムでの組織的守備は形になってきていると思います。
高木監督は、「いま我々に必要なことは点を取ることも大事だが、このようなゲームを続けていくこと。今日のような試合を続けていけば得点は取れると思うし、確信している」と言います。多くは語っていませんが・・・。
開始早々の15分で点を取れれば言うことがなかったのですが。しかし、その後も自分たちの”時間帯”を作れるようにはなった。その時間帯を長く保てるようにはなってきている。ただ足りないのは、自分たちの時間帯での決定力。それは、今が点の取り時なのだというチーム全体の統一感ではないでしょうか。
藏川が「攻撃のとき守備に力を注いでいる分、迫力が足りなかった」と言うように。それは、局面的に言えば、クロスを上げるまでは行くけれど、中に人数が足りない。あるいは、アタッキングサードまでは迫るけれど、最後の崩しがない。ということになるのですが、要するに攻撃に厚み、いや”凄み”がない。
スカパー!解説者の増田氏も言う。「バイタルから先で、もっと崩すイメージ。アイデア、あるいはイマジネーションが出てくると・・・」と。彼が在籍した、かつての鹿島がそうだったように。ここぞという時には必ず点を決めきれる力があった。「今が点を取る時」という時間帯でのチーム全体の意思の統一は、ある程度リスクを掛けても全体の緊張感から守備に綻びはきたさない。それがチーム攻撃の”凄み”ではないかと思うのです。
「前からいい守備ができているので、成果が出てきていると思う」「前を向いていい戦いができているので、粘り強くやっていくしかない」。そう言う廣井をはじめとして、各選手も手ごたえを感じているコメントを残している。
それはそれとしても、しかし、偶然を待つサッカーでは勝機はない。いくつかの好機のなかで”偶然”ではなく、”必然”的に点を決められるチームに。また中二日の過密日程の最中ですが、わがチームのそんな成長を見たい。それが今のファンの心理ではないかと・・・。それがまた次の試合への楽しみなのだと思います。
2012.04.29
岡山戦。評価分かれる試合
4月27日(金) 2012 J2リーグ戦 第10節
熊本 0 - 0 岡山 (19:03/熊本/3,198人)
翌日の熊日朝刊は「価値あるドロー」と評価する見出しをとり、「マイナス」から「ゼロ地点にまで回復してきた」と表現。高木監督は「あくまでも結果に満足しているわけではない」という条件つきで「これまで課題だった部分を照らし合わせると、いいゲームをしてくれた」と振り返る。しかし、GK南は「いい内容の試合ができても、こういう試合で勝ちきれるようにならないといけない。こういう試合で勝ちきれるともっと上を狙えると思うので、そういうもどかしさはあります」と言う。見ているほうも、やっているほうも評価の分かれる難しいゲームでした。
前節から4人も変更した熊本の先発システムは、シャドーにFWの白谷と斉藤を置く布陣。3バックの中心には再び吉井。右には筑城を持ってきました。一方の岡山は5試合負けなし。得点源の川又をベンチに置いて、中野のワントップでスタートしてきた。システムは3−4−3と全く同じ。目の前の選手とマッチアップします。
後半22分 白谷 建人 → 市村 篤司
後半29分 原田 拓 → 大迫 希
ハーフタイム 岡崎 和也 → 関戸 健二
後半15分 中野 裕太 → 川又 堅碁
後半37分 田所 諒 → 石原 崇兆
前半のシュート数9(熊本)対3(岡山)という数字が物語るように、立ち上がりから熊本のペースでした。右CKからのこぼれ球をクンシクがシュート。これはバーに嫌われる。斉藤が左の白谷にはたいて、白谷のクロスに入っていくが惜しくもゴール左に外れる。CKから岡山の強烈ヘッドを南の反応でクリアするスーパープレイもありましたが、セカンドもうまく手中にしていたし、守っても筑城が「前と中盤の選手がよく動いて限定してくれたので、プレスもはっきり行けた」と言うように、明らかにポゼッションは熊本にありました。あとは、アタッキングサードでの最後の崩し、ゴール前に行く人数という”勇気”…。
この試合何と言っても特筆すべきは吉井の活躍でしたね。くさびのパスはコースを読んで、必ず飛び込んで潰す。サイドに侵入してきた敵に対しても追い込んでいるのは吉井。スイーパーの役割も吉井。得意の運動量と読みで、岡山に仕事をさせません。前節の勝ち点1は南がもたらしたものと書きましたが、今節は吉井の働きのおかげかも知れません。
しかし、徐々に岡山も今季の好調さ示し始めます。後半開始から岡崎に代えて関戸を入れ、修正を図ってくると、俄然ボールは岡山側へ。藏川が「慌てすぎてるというか、もうちょっと落ち着いてもいいのかなという部分はあります」と振り返るとおり、攻め急ぎともとれるボール回し。さらに岡山が中野に代えて川又を入れると、前線に迫力が加わった。仙石(岡山)が、「勝てた試合だった」と言うような、岡山の時間帯に突入しました。
岡山にはかつての”新参チーム”によく見られるような、試合中の浮き足立ち方が微塵も見られなくなりましたね。逆に、次第しだいに自分たちの時間帯に持っていく自信のようなものを手に入れている。なんだか知らない間に、愛媛のようなチームに近づいているような気がしました。
熊本が、そんな悪い流れを断ち切ったのは、DF市村のシャドーでの起用という”奇策”でした。ゴールに近いところでクロスを上げる。エリア内、アーリークロスをぴたりと止めた斉藤が右に走りこんだ市村にはたくと、市村がえぐりなおしてクロスを上げる。好機を演出します。
次は原田に代えて大迫。畳み掛けるような交代カード。しかし、何度かチャンスはあったものの、終盤、球際の強さが失われ、前線へも人数を掛けて上がれなくなった熊本は、どうしてもゴールを奪えず引き分けに甘んじることとなってしまいました。カードを一枚残し、明らかに疲れの見えるクンシクを使い続けた。ベンチにはクンシクに代わって前線を張れるのは、DF兼務の高橋しか残っていませんでした。
結果だけを知る人にとっては、勝てはしなかったという事実しか残らないものの、試合の評価としては、GWの連戦の緒戦。互いに”勝ち”にこだわるなかで「集中力」の途切れない、密度の濃い試合を観せてくれたのではないかと。熊日によれば「選手は誰も満足していなかった」し、殊勲の吉井は「これが最低限のゲーム」とも表現している。「ゼロ地点」まで回復してきていると信じて、この連戦の先を見守っていきたいと思います。決して選手層の厚いとはいえないわがチームでもありますから。
最後に。うちの試合の笛を吹くのは初めてだったでしょうか、プロフェッショナル・レフリーの吉田氏。選手の落ち着かせ方、アドバンテージの取り方、ファールの流し方、判断の確かさ…。選手も、ファンのわれわれも試合にしっかり集中できたのは、実はこの卓越したジャッジによるところも大きかったのではないかと。改めて審判の存在の大きさを思った試合でした。
熊本 0 - 0 岡山 (19:03/熊本/3,198人)
翌日の熊日朝刊は「価値あるドロー」と評価する見出しをとり、「マイナス」から「ゼロ地点にまで回復してきた」と表現。高木監督は「あくまでも結果に満足しているわけではない」という条件つきで「これまで課題だった部分を照らし合わせると、いいゲームをしてくれた」と振り返る。しかし、GK南は「いい内容の試合ができても、こういう試合で勝ちきれるようにならないといけない。こういう試合で勝ちきれるともっと上を狙えると思うので、そういうもどかしさはあります」と言う。見ているほうも、やっているほうも評価の分かれる難しいゲームでした。
前節から4人も変更した熊本の先発システムは、シャドーにFWの白谷と斉藤を置く布陣。3バックの中心には再び吉井。右には筑城を持ってきました。一方の岡山は5試合負けなし。得点源の川又をベンチに置いて、中野のワントップでスタートしてきた。システムは3−4−3と全く同じ。目の前の選手とマッチアップします。
熊 本
| 9チェ クンシク | |||
| 20白谷 | 17斉藤 | ||
| 7片山 | 38藏川 | ||
| 8原田 | 10養父 | ||
| 4廣井 | 24筑城 | ||
| 22吉井 | |||
| 18南 | |||
後半29分 原田 拓 → 大迫 希
岡 山
| 19中野 | |||
| 28岡崎 | 7金 | ||
| 25田所 | 2澤口 | ||
| 8千明 | 14仙石 | ||
| 5植田 | 3後藤 | ||
| 14竹田 | |||
| 1中林 | |||
後半15分 中野 裕太 → 川又 堅碁
後半37分 田所 諒 → 石原 崇兆
前半のシュート数9(熊本)対3(岡山)という数字が物語るように、立ち上がりから熊本のペースでした。右CKからのこぼれ球をクンシクがシュート。これはバーに嫌われる。斉藤が左の白谷にはたいて、白谷のクロスに入っていくが惜しくもゴール左に外れる。CKから岡山の強烈ヘッドを南の反応でクリアするスーパープレイもありましたが、セカンドもうまく手中にしていたし、守っても筑城が「前と中盤の選手がよく動いて限定してくれたので、プレスもはっきり行けた」と言うように、明らかにポゼッションは熊本にありました。あとは、アタッキングサードでの最後の崩し、ゴール前に行く人数という”勇気”…。
この試合何と言っても特筆すべきは吉井の活躍でしたね。くさびのパスはコースを読んで、必ず飛び込んで潰す。サイドに侵入してきた敵に対しても追い込んでいるのは吉井。スイーパーの役割も吉井。得意の運動量と読みで、岡山に仕事をさせません。前節の勝ち点1は南がもたらしたものと書きましたが、今節は吉井の働きのおかげかも知れません。
しかし、徐々に岡山も今季の好調さ示し始めます。後半開始から岡崎に代えて関戸を入れ、修正を図ってくると、俄然ボールは岡山側へ。藏川が「慌てすぎてるというか、もうちょっと落ち着いてもいいのかなという部分はあります」と振り返るとおり、攻め急ぎともとれるボール回し。さらに岡山が中野に代えて川又を入れると、前線に迫力が加わった。仙石(岡山)が、「勝てた試合だった」と言うような、岡山の時間帯に突入しました。
岡山にはかつての”新参チーム”によく見られるような、試合中の浮き足立ち方が微塵も見られなくなりましたね。逆に、次第しだいに自分たちの時間帯に持っていく自信のようなものを手に入れている。なんだか知らない間に、愛媛のようなチームに近づいているような気がしました。
熊本が、そんな悪い流れを断ち切ったのは、DF市村のシャドーでの起用という”奇策”でした。ゴールに近いところでクロスを上げる。エリア内、アーリークロスをぴたりと止めた斉藤が右に走りこんだ市村にはたくと、市村がえぐりなおしてクロスを上げる。好機を演出します。
次は原田に代えて大迫。畳み掛けるような交代カード。しかし、何度かチャンスはあったものの、終盤、球際の強さが失われ、前線へも人数を掛けて上がれなくなった熊本は、どうしてもゴールを奪えず引き分けに甘んじることとなってしまいました。カードを一枚残し、明らかに疲れの見えるクンシクを使い続けた。ベンチにはクンシクに代わって前線を張れるのは、DF兼務の高橋しか残っていませんでした。
結果だけを知る人にとっては、勝てはしなかったという事実しか残らないものの、試合の評価としては、GWの連戦の緒戦。互いに”勝ち”にこだわるなかで「集中力」の途切れない、密度の濃い試合を観せてくれたのではないかと。熊日によれば「選手は誰も満足していなかった」し、殊勲の吉井は「これが最低限のゲーム」とも表現している。「ゼロ地点」まで回復してきていると信じて、この連戦の先を見守っていきたいと思います。決して選手層の厚いとはいえないわがチームでもありますから。
最後に。うちの試合の笛を吹くのは初めてだったでしょうか、プロフェッショナル・レフリーの吉田氏。選手の落ち着かせ方、アドバンテージの取り方、ファールの流し方、判断の確かさ…。選手も、ファンのわれわれも試合にしっかり集中できたのは、実はこの卓越したジャッジによるところも大きかったのではないかと。改めて審判の存在の大きさを思った試合でした。




