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2018.11.27 降格決定
J3降格が決定してしまいました。先週は「覚悟はできている」と書きましたが、いざとなるとなんだか寂しい、哀しい気持ちになるものです。

昔の話をすると若い人たちから嫌われますが、われわれは“青の時代”に一度JFLから九州リーグへの降格を経験しました。ようやく上がった全国リーグから地域リーグへの降格は、それはそれは辛く哀しいものでした。

その後、「熊本にJリーグチームを」県民運動推進本部が立ち上がり、プロ化を目指してアルエットがロッソに姿を変え、九州リーグからあの過酷な地域リーグ決勝を這い上がり、けれどJFL初年度はJ2昇格に失敗。2年目にして念願のJリーグ入りを果たしたことは、みなさんもご存じのとおりです。

その間、多くの人に支えられ、多くの選手たちが「熊本」の名のもとに戦ってきた。J2参入後もそうでした。そんな、短くもないこのクラブの歴史を思うと、少しはセンチメンタルになる時間を許していただきたい。

ただ、戦う場所は違っても、チームが、クラブが無くなってしまうわけではない。クラブの体制も、取り巻くスポンサーも、なによりファン・サポーターの数も、あの降格時とは比べ物にならない。

先日、「2018シーズン感謝の集い」に参加させていただく機会を得ました。

印象的だったのは、スポンサーを代表して挨拶された平田機工の藤本取締役執行役員のお話し。ロアッソのスポンサーとして社内の特命チームを任されたご苦労。先輩スポンサーの高橋酒造の久保田部長を招いて話を聞いたが、飲み過ぎて翌朝すっかり忘れたと、最初は笑い交じりのお話しでしたが、そのあと最終節で久しぶりに勝利したとき、ゴール裏で振り返ると、一緒に苦労した社員たちの満面の笑顔があった、というくだりでは、感極まって長い間があり、もらい泣きする人も少なくありませんでした。

重要だったのは、最終節翌日の熊日朝刊に掲載されたあの広告の意図。ただちに支援継続を表明されたのは、「ファン・サポーターにいらぬ不安を与えたくなかった」ことと、「この場にお集まりのスポンサー各社にも、同様に変わらぬ支援をお願いしたかった」から。
「大企業が親会社のJ1ビッグクラブと違って、ロアッソはここにおられる1社1社のスポンサードがなければ成り立たない」と自ら訴えられました。万雷の拍手でした。

“show the flag”。旗色をはっきりさせる。先週のエントリーでわれわれが、監督続投や知事の支援継続表明とともに、素早い対応で良かったと評価したのは、「いらぬ不安の払しょく」。まさにこの点でした。早い決断は、次に向かう準備が早めに取れるということにもつながります。

藤本取締役は一方で、チームに対して苦言も忘れませんでした。自分の会社も田舎の一機械メーカー。なんとか利益は出ているが、なかにはなけなしの利益からスポンサー料を払っておられる会社もあろう。そういった支援のうえで成り立っているということを肝に銘じて、選手たちには奮起をお願いしたい。といった内容でした。

2月。このシーズンの開幕前の「チーム壮行会」に参加したときに感じた期待感を、「熱量。」というタイトルで記事にしました。今頭に浮かぶ言葉は「覚悟」。それは冒頭に書いた「J3降格を覚悟していた」の覚悟ではなく、1年でJ2に戻るために、われわれファン・サポーターも来シーズン「覚悟を持って臨む」。という意味の覚悟です。

11月17日(土)
【J2第42節】(えがおS)
熊本 3-0(前半0-0)愛媛
<得点者>
[熊]伊東俊(52分)、上村周平(57分)、田中達也(80分)
<警告>
[熊]鈴木翔登(6分)
[愛]林堂眞(69分)
観衆:5,647人
主審:上村篤史


20181117愛媛

得失点差では讃岐を大きく上回ってはいるものの、勝ち点では同じ。結局、最終節までもつれた最下位争いは、熊本にとっては「讃岐の結果に係わらず、とにかく最後目の前の相手に勝てばいいんだ」という開き直りに近い決意に繋がったと思います。

ファン、サポーターの気持ちも同じ。秋晴れのスタジアムで声を嗄らして後押しするのみ。

難敵・愛媛を相手に前半をスコアレスで折り返しますが、出来はいつもと違っていました。なにより際立ったのはDFラインの高さ。それによるコンパクトな陣形。DAZNの解説松岡氏も「自陣ではなく、敵陣でポゼッションするのはいい」と誉める。

そして、奪われたら奪い返す。流行りの言葉でいえばトランジション。攻守の切り替えの速い展開。こんなサッカーが見たかったのです。

試合が動いたのは後半52分。中山の自陣からのロブに右サイド田中が追いついてクロス。皆川がニアにDFを引き付けてできたスペースに走り込んだ伊東の頭にドンピシャ。先制点を上げます。

俄然スタジアムのボルテージが上がると、すぐ5分後には中央を崩す。佐野の縦パスを伊東がワンタッチで出すと、上がってきた上村が右足一閃、ゴールに突き刺した。見事!

愛媛も選手交代を絡めて攻勢をかける。けれど今日の熊本の守備ブロックを割れない。熊本が伊東に代えて黒木をWBに入れ、田中をシャドーに回すとこれがまた奏功した。自陣から鈴木、中山、皆川と繋ぐと、前がかりになっていた愛媛DFのギャップを突くように田中が飛び出した。GKとの1対1を見事に制してダメ押しの3点目を入れます。

ゴール裏に駆け寄りガッツポーズの田中達也。ああ、きついシーズンだったけど、今季のこのヒーローの姿はしっかりと目に焼き付けておきたい。

終わってみれば3-0のクリーンシートでの快勝。敵将・川井監督に「完敗」と言わしめました(18日付・熊日)。

恒例のセレモニーでは、永田社長がこの成績で終わったことの「お詫び」と、それでも引き続きの支援を発表している蒲島知事や、スポンサーに対して、そしてめげずに応援し続けてくれたファン・サポーターに「感謝」を述べました。

おあずけになっていた「カモン!ロッソ」が秋の夕暮れにこだまする。ホーム戦では実に5月20日の水前寺以来。えがおスタに至っては4月1日の新潟戦まで遡る。

熊本は最後に“意地”を見せ、J3の結果次第では降格を免れる21位を自力で掴みましたが、翌日の試合で沼津が引き分けに終わったため、状況は極めて厳しいと言わざるを得ないでしょう。いや、誰もが覚悟はできている。

このところの言動から薄々予想はしていましたが、翌日には渋谷監督の続投が発表されました。シーズン最後の頃は、戦術に批判的なことを書いてきたわれわれでしたが、この人事はこれで良かったと思います。

なによりまず、早く次の体制を発表したのがいい。いらぬ憶測もブレも生む前に。それは知事の支援表明しかり、平田機工の翌日熊日朝刊広告しかり。

それと。前への意識を高めた最後の4戦、なぜもっと早くこの方向転換ができなかったかとも悔やまれますが、井芹さんが新潟戦のレビュー記事で書いていた、「ただ、岡山戦でも新潟戦でも、前への意識が強調されてはいたが単純に蹴っていたばかりではなく、落ち着いて動かすべき場面ではボールを握り、時間を作り、相手を動かそうと試みていた。もちろん質の問題はまだあれど、ここまで積み重ねてきたことが無駄だったかといえば決してそうではない」という見解に、われわれも全く同意です。

大宮のときがそうであったように、落とした監督がきっちりと上げる。そんな責任の取り方があっていい。もともと強く生まれ変わらせるために長期的視野で連れてきた人だから。

ただ、そんなに簡単なリーグは日本のどこにも存在しないことは、九州リーグから上がってきたわれわれが一番知っている。「来季は勝負にこだわる戦いを前面に出」すと監督は言う(公式)。願わくば、多くの“引き出し”も持っていていただきたい。それは、クラブもそう。織田GMにもAプランでダメならBプランという“引き出し”を。そういう体制でなければ、永田社長が挨拶で言った、「必ずや1年で戻す」という目標は達成されないのではないでしょうか。


11月11日(日)
【J2第41節】(レベスタ)
福岡 1-0(前半1-0)熊本
<得点者>
[福]石津大介(8分)
<警告>
[熊]上原拓郎(88分)
観衆:15,331人
主審:福島孝一郎


20181111福岡

1万5千人以上をレベスタに集めたアウェー戦。昇格PO圏内入りがかかっている福岡に開始早々から押し込まれる。中盤で奪われたボールを石津に運ばれると、ミドルで撃たれて失点。その後、後半から水野が入るとシステムのギャップがうまくハマりだして、熊本もチャンスを作るが、福岡の強固な守備を最後まで崩すことはできなかった。
同じ日に、讃岐も敗戦したため順位は変わらなかった。J3ではJ2昇格資格を持たない沼津が勝利して3位に上がった。

11月3日(土)
【J2第40節】(デンカS)
新潟 2-3(前半2-2)熊本
<得点者>
[新]河田篤秀(22分)、カウエ(45分)
[熊]伊東俊(6分)、皆川佑介(25分)、田中達也(90分+4)
<警告>
[新]大武峻(25分)
[熊]片山奨典(37分)
観衆:16,479人
主審:鶴岡将樹


20181103新潟

開始早々、新潟のバックパスをカウエから奪った伊東がそのまま持ち込み先制すると、新潟もセットプレーの流れから河田が得点。すぐ後、皆川が自ら得たPKをきっちり沈め突き放すと、新潟は終了間際のカウエのミドルで再び同点に追いつき前半を終えた。
後半は新潟の猛攻が続いたが、アディッショナルタイムに前線に上がっていた田中が、皆川からのスルーパスに飛び出し、利き足ではない左足で押し込む。値千金の決勝ゴールを決めた。8月19日の岐阜戦以来、11試合ぶりの勝利。
讃岐が敗れたため、勝ち点で並び、得失点差で上回る熊本が21位に順位を上げた。

10月28日(日)
【J2第39節】(えがおS)
熊本 0-0(前半0-0)岡山
<警告>
[熊]植田龍仁朗(59分)
[岡]増田繁人(45分)
観衆:6,211人
主審:小屋幸栄


20181028岡山

京都か岐阜が敗戦に終わり、熊本が勝利したときだけ降格圏脱出の可能性が残るという厳しい状況でした。しかし両者は勝利し、熊本は引き分けに終わる。これにより21位以下が確定してしまいました。

先発を6人入れ替え、しかも安と皆川の久しぶりの2トップに、中盤のアンカーに横山を起用した3-5-2のシステム。この日は全員が球際強く、皆川も必死にボールを収めようとしていたし、安も前を向こうとしていた。

しかし岡山のプレスも厳しく、アンカーの前の上村、上里のインサイド二人が徐々に押し込まれ始めると、前線の二人との距離が空いていく。

中盤でうまく奪ってスペースに出したとき、チャンスになるシーンが何度かありましたが、決めきれず。逆に、後半もアディッショナルタイム近くの岡山の怒涛の攻撃を受け続けた印象が強く残り、なんとか凌いで引き分けたというゲームになってしまいました。

これが精いっぱいかも知れない。しかし選手たちの気持ちは伝わった。試合後には(静かに)拍手を送りました。

「監督をやっている以上、結果の責任は私にあります」(熊本蹴球通信)。試合後のインタビューで渋谷監督は言いました。そのうえで、足りなかったのは「戦い方の落とし込み」だったと。

「ボールを動かしたサッカーをやるというのを、私はやってきました」()、しかし、それがいざ試合になるとできなくなるのは「頭の理屈、プレーの理屈」の“落とし込み”が足りなかったと。

総括は最終戦が終わったあとにしたいと前置きしたあと、「J2で戦ううえでの、私のメモリーが足りなかったんじゃないかと」(同)思うと監督は述べました。

「今日、選手たちはすごく、ボールぎわを頑張っていました。いままでの対戦相手を含めると、相当セカンドボールを拾ったり、そこから前に行く。岡山さんも全部裏に蹴ります。J2はすごくそういうのが多いです。ボールを動かしているチームが下にいます。ですからやっぱりそれを踏まえて、私自身の甘さがあったなと感じています。そういうところで方向転換しなければいけなかったのかなと思いますし、もっと今日みたいなゲームのトレーニングであったり、試合であったりを続けていた方が勝てたのかなと感じました」(同)と。

監督は就任会見で、大宮のときの対戦時、熊本のことをハードワークするいいチームだと思った。その良さを生かしていきたいというようなことを述べていたと思います。皮肉なことに、今季を通して渋谷・熊本は、ボールポゼッションは高いが球際に劣るためにわがチームに大敗したあの日の大宮のようなチームになっていなかったでしょうか。いや、大宮ほどのポゼッション力もない。

今流行りの言葉で言えば「インテンシティ」。そこがなくしてボールを保持すること(敢えて動かしてとは言いません)だけに固執していても、J2どころかJ1、J3どのカテゴリーでも勝てないでしょう。国際的にもそこが基本です。

シーズン3試合をまだ残していますので、われわれもまだ総括的なことは別の機会にしたいと思いますが、監督の言葉のなかで、われわれ素人には分かりかねる部分が気になったので、つい突っ込んでしまいました。

あとの目標は順位をなんとか21位に上げること。そこは熊本に残された“意地”のようなものだと思います。