4月16日(日)
【J2第8節】(えがおS)
熊本 2-0(前半1-0)松本
<得点者>
[熊]グスタボ(7分)、上里一将(81分)
<警告>
[熊]園田拓也(53分)、齋藤恵太(85分)
[松]石原崇兆(23分)
観衆:13,990人
主審:佐藤隆治

「特別な日だけれども松本を倒さなければ特別な日に何もならない」。

この試合を迎えるにあたって、清川監督はそう選手たちに話したそうです(熊本蹴球通信)。
熊本地震・本震からちょうど1年を迎えたこの日、熊本はホームえがお健康スタジアムで「復興支援マッチ」と銘打ち、5位に位置する松本山雅と戦いました。熊本は4連敗中で20位。

前週のなでしこジャパンのコスタリカ戦からえがおスタがバックスタンドも含めて全面利用可能に。「バックスタンド側のサイドを駆け上がるときに力がでない」と言っていたのは巻。この日、解放されたバックスタンドをサポーターたちが美しい赤で染め上げ、ようやく震災前のスタジアムの景色が戻ってきたのです。

しかし最初に断っておかなければいけません。この大事な試合の時間に、われわれは別の場所での復興イベントに狩り出されていて、スタジアムに行けていません。だから楽しみにしていたOB戦も、数々のイベントも、松本サポが掲げてくれたメッセージ横断幕も、先制点の喜びも、勝利のカモン!ロッソも、感動的な全ての事柄が、ネットらやDAZNでの後追い、追体験でした。なんとも悔しい思いですが、もうひとつの“特別な場所”でこの1年に想いをいたしながら、暇をみてはtwitterで試合の展開をハラハラしながら追いかけていたのでした。

20170416松本

システムを4-4-2に戻して2トップの一角にグスタボを初先発させた清川監督。その選択が早々に奏功しましたね。まだ互いに様子見の様相を呈していた開始7分。DFラインからのロングパスをジャンプして胸トラップした安が、キープしながら誰も寄せてこないとみると、挨拶代わりのようなミドルシュートを試みる。松本DF飯田が遮りますが、こぼれ球をすぐグスタボが拾って縦に侵入。「相手のGKが準備する前にできるだけ早く打つ」(熊日)ことだけ考えたグスタボの強烈シュートがゴールネットに突き刺さります。自身Jリーグ初ゴール。

そのときのスタジアムはどれほどの歓声だったのでしょう。われわれだったら、もう既に涙目になっていたかも知れない。

「難しい試合。われわれの力を100%発揮してゲームプランどおりの試合がしたい」(DAZN)と戦前語っていた反町監督。そのゲームプランはこれで少し修正が必要になっただろうが、しかし、智将率いる松本相手に1得点だけでは、全く心もとない。

バイタルでダイレクトパス。一発でDF裏に松本FW高崎が抜け出しますが、GK佐藤の頭を越える狙いのシュートはバーを越えて、胸を撫で下ろす。

安が痛んで前半のうちに交代を余儀なくされる。代わって入った巻が自陣深くでボールを奪うと前線のグスタボへ。グスタボのドリブルでのエリア侵入に、松本DFが5人も取り囲む。続いてもトラップして前を向いたら素早く右45度から打つ。得点をとって明らかに“乗って”きたグスタボ。松本はこのデータの少ないブラジル人FWに手を焼いているように見えました。

そのグスタボも後半足を攣ると71分齊藤に交代。松本はその少し前、セルジーニョに代えて三島。後藤に代えて岡本。

75分頃、この試合終始、厄介だった石原が左サイドを崩してのクロス。三島のヘッドはバーに嫌われ、こぼれを高崎が更にヘディングで襲いますが枠の上。この試合の最大のピンチだったかも知れません。

熊本は疲れの見えた林に代えて光永を入れ、嶋田と左右を入れ替えた。「守備の部分で光永の運動量を期待して、守備から出て行くこともできる選手なので、守備から攻撃というバランスを崩さないようにということで投入し」たという指揮官(熊本蹴球通信)。その期待どおり、光永は何度も左サイド奥で粘ってCKのチャンスを取る。ユーティリティ性もさることながら、このスキルの高さが監督の信頼を掴んでいるように思えます。

そして81分。齋藤が倒されて得たFK。上里の左足から放たれたボールは、ゴール前に飛び込んだ巻、園田の頭をかすめて、前に出られなかったGKの手も届かないゴール左隅に転がり込みます。大きな大きな2点目。ようやく突き放す追加点。

そして気の遠くなるように長い長いアディッショナルタイム5分を凌ぎきると、1万3千人以上のファンが、この特別な日の勝利をもぎ取ったのでした。

「やはり、たくさんのお客さんによる熱がスタジアムに降り注いだという感じですね」。敗戦の将・反町監督はそう言う。「主導してボールを動かせている時に何が出来たのかということに尽きる」と反省する。DAZNによれば試合を通じてのボール支配率は熊本の41%に対して、松本の59%。ただ、確かに松本にボールを持たれている時間は長くも感じましたが、今日は”持たせている”感じもした。それは「プレッシャーをかける場面と引き込む場面のメリハリを付けて、後半も良い形で得点を奪えました」(熊本蹴球通信)という清川監督の言葉にも通じるところでした。

この日の嶋田の表情もまた違っていましたね。鬼気迫るとも言えるような。何度チャンスに絡み、何度ゴールを目指したでしょうか。得点こそなりませんでしたが、「ファンや家族のことを思い、感謝をプレーで表現したかった」(熊日)という言葉は、その言葉以上に益城町出身ならではの重さがありました。

前震から1年、14日付の熊日に、この人の取材が大きく報じられていました。このブログの古くからの読者なら覚えていただいている名前かも知れません。床屋のイサムちゃん、その人でした。

「解体も、建て替えも、仮設商店への入居も、計画は全てキャンセル。やることなすこと裏目に出てしまった」と悔やむ。「将来を考えると酒量が増える」とうめくように言う(熊日)。

サッカー好きのイサムちゃん。ロアッソのことも大好きなイサムちゃん。この試合をどこかで観ていたのだろうか…。

この”特別な日”で掴み取った勝利。それは「4連敗を脱して、流れに乗るにはもってこいの相手」(安)でもあった強豪・松本から奪った勝ち点3。しかも今季初の完封勝利が花を添えました。

それは”特別な力”だったのかも知れません。この日を迎えるに当たっての選手たちの思いと、1万人以上のファンの思いが結集したホームの力だったのかも知れない。けれどそれが特別なアドレナリンの力だけで勝ったわけではないとも思いたい。

震災からちょうど1年。記念の日の試合。この勝利をもちろん深く心に刻みたい。しかし、それと同時に、復興の過程もまだ道半ばならば、ロアッソ熊本の”躍進”もまた道半ば。イサムちゃんだって、われわれだって同じ。道半ばなのではないでしょうか。

今日の勝利にとりあえずホッとして、大いに歓喜して。そして次に進む通過点のひとつにすればいい。さあ前を向きましょう。

4月9日(日)
【J2第7節】(ニンスタ)
愛媛 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[愛]丹羽詩温(88分)
<警告>
[熊]安柄俊(36分)、村上巧(83分)
観衆:3,766人
主審:清水修平


4連敗です。キーボードに向かう気持ちも晴れません。

色々な疑問符が浮かびます。何故4-1-4-1の布陣で、しかもアンカーの位置に上里なのでしょうか。中盤が厚い3-4-2-1の相手に対して、上里の両脇をケアするためでしょうか。しかし、どうしても上里が敵ゴールから遠くなってしまって攻撃の起点が作れない。

「プレスに行くところと、行かないところを整理・意思共有したい」という話は聞いていましたが、今日は終始セットした状態に見えたのはなぜでしょう。愛媛のボール回しが巧みで、押し込まれる時間帯が続いたからそう見えたのでしょうか。

「クロスからの失点が多かったので、そこを修正してきた」「無失点で勝ち点を持ち帰りたい」と言っていた清川監督。打てども打てども入らずに、その間失点を積み重ねた前節の反省からだとは理解できますが、思いのほか今日は守備に重心が置かれていたように感じます。両SBが高い位置をとるシーンも少なく、片山もアーリークロス一辺倒。

DFラインは長い故障からようやく帰ってきて今季初先発となった植田に託すところが大きかったのでしょう。その期待どおり、愛媛の猛攻を粘り強くブロックし、最後のところではGK佐藤もスーパーセーブでゴールを割らせません。

「前半のシュートチャンスで決めきらず、失点してしまった」(熊日)と清川監督が言うように、26分には村上から斜めに一本のパス。前線に走り込んだ嶋田に収まると、一人交わして左足に持ち替えて強烈なシュート。しかしこれを敵GKパク・ソンスもスーパーセーブ。
これが決まっていればとも言えますが。

その後は守勢一辺倒。中盤から前線にクサビを難なく通し、シャドーの二人が飛び出してくる愛媛に対し、熊本はボールを持っても前が向けず、後ろに戻しては結局アバウトなロングパスを送るばかりで、そのセカンドも拾えない。見ていてもストレスが溜まるばかり。

20170409愛媛

後半アタマから齊藤に代えて巻を安との2トップにした熊本。早速46分には巻が粘ってつなぐと、安がGKと1対1。しかしシュートはブロックされます。

一方の愛媛もすぐ後、ワンタッチパスでDFの裏を取った近藤がシュート。これは佐藤がクリア。熊本に流れを掴ませません。

再び攻勢は愛媛。熊本を自陣にくぎ付けにすると波状攻撃、シュートの雨あられ。しかし(最終的には24本にものぼった)愛媛のシュートも、枠外が多かったり佐藤のタイミングとばっちり合致していたりと、ゴールネットは揺らせない。

終盤75分、78分、86分と愛媛は立て続けに丹羽、小暮、安田と新しい選手を投入する。結局はこれが奏功しましたね。

88分、愛媛は左サイド奥で奪うと、素早く丹羽に付けた。丹羽は更に右サイドにはたく選択もあったが意表を突くように右足を一閃。植田もコースを切っていたのですが、その絶妙のタイミングとここしかないという角度、そして佐藤の伸ばした手の先でバウンドするシュートがゴール右隅に転がり込んでしまいます。コースを切ったと確信していた植田が振り返って驚く。決めた丹羽もルーキーとはいえ、やはりこういうきわどいシュートでないとゴールは割れないというお手本のようでした。

残り10分を切るあたりから熊本は完全に引き分け狙いだったでしょうね。しかし、最後の最後に…。勝ち点1さえも手にすることができず4連敗を喫しました。

ただ、どうしても訝しいのは今日の戦い方、冒頭書いたように、最初から引き分け狙い、アウェーでの勝ち点1を良しとするような戦い方に見えてしまいました。清川監督の口ぶりにも、どうもそんな消極性が感じられ。解説の大西氏も「まずは守備を安定させたいのだろう」と擁護するような…。

結果アウェーでの引き分けなら良しとしましょう。1-0を勝利の美学と捉えていたあの高木監督でさえ、しかしサッカーではアクシデントの1失点が有り得ると計算していた。ならば当然0-0の引き分け狙いなど難しいわけで。

どうもモヤモヤして愚痴っぽいことを長ったらしく書いてしまいました。順位は20位のまま。ただ、まだ何も諦めていませんし諦める必要もありません。次節も応援するのみです。

4月1日(土)
【J2第6節】(豊田ス)
名古屋 5-1(前半3-0)熊本
<得点者>
[名]佐藤寿人(9分)、永井龍(16分)、シモビッチ(37分)、フェリペ・ガルシア2(68分、79分)
[熊]齋藤恵太(65分)
<警告>
[名]杉本竜士(54分)、ワシントン(55分)
観衆:11,554人
主審:清水勇人


彼我の力の差は明らかだったとはいえ、ここまで一方的な結果になるとは。これはもうただただ、”流れ”を掴みきれなかった試合運びの拙さが招いたことだったような気がします。

リーグ公式戦として初めての対戦となる名古屋。向かったアウェーは、国内でも屈指のサッカースタジアムといえる豊田スタジアム。赤に黄色が混じる独特の名古屋カラーで埋め尽くされている。しかし、熊本のゴール裏も結構な数の赤い色が染めている。

この日熊本は名古屋対策として上里をアンカーに置き、安をワントップに据えた4-1-4-1の布陣を敷いてきます。開始早々から押し込んだのは熊本の方でした。

20170401名古屋

1分。DFラインからのロングボールを安が落として齋藤がいきなりGK楢崎と1対1。しかしこのシュートはブロックされる。続いても左からのクロスを落として繋いで右から上がってきた黒木がミドルで撃つ。名古屋の立ち上がりを突いて、熊本が攻勢を強めます。

しかし先制点を奪ったのはそんな劣勢の名古屋の方でした。9分、シモビッチがPAに侵入。クロスは佐藤に繋がる前にクリアしますが、左サイドで拾った杉本が再び入れるとゴール前には名古屋の選手が3人。一旦はGK佐藤がブロックしますが、名古屋FW佐藤寿人のオーバーヘッドシュートが決まってしまいます。これで名古屋が勢いづいた。

先制点を与えても、粘り強く追加点を与えないというのが今シーズンの熊本でしたが、16分には中盤のパスをカットされ素早く名古屋が右のスペースに。走り込んだ永井が切り返すとゴールニアサイドの打ち込み2点目を挙げます。

苦しくなりましたが、サッカーでは2-0が一番危険なスコアとも言われる。次の得点がどちらに転ぶかによって展開は変わってくる。

34分頃、DFラインからのロングボールに片山が追いついてクロス。中央に構えた安の前にDFがそらして安の足には合いませんが、右から上がってきたのは齋藤。しかしこれも合わずにバーの上。決めきれない。

そうするとすぐ後。名古屋・内田の左サイドからDFをかいくぐった侵入からの素早いクロス。中央に陣取ったシモビッチが光永の視界から逃げる動き。光永はニアに入ってきた佐藤に気をとられる。フリーになったシモビッチのシュート。一度はGK佐藤がブロックするものの、再び打ち直して押し込んだ。3点目とします。

劣勢の試合展開でしたが、「決めているか決めていないかだけの差だ」とハーフタイムの清川監督はイレブンを鼓舞し、後半前線に巻を投入。システムも4-4-2に戻します。

決してうまくいってはいませんでした。辛抱しながらボールを繋ごうとしている。しかし、名古屋は受け手のところでパスカットを狙っていた。けれど辛抱強く、まだ熊本は試合を諦めていない。

右サイドを走った齋藤。抉ってクロスでCKを獲得。65分、その右CKは上里。一旦はクリアされたボール。ファーで右足振りぬく。それをGK楢崎がパンチングで逃れる。こぼれたところを齋藤が押し込みます。

1対1を決め切れなったり、チャンスをことごとく潰したりしていた齋藤。しかしここで一人でCKを取って、チャンスを決めた。ようやく1点を返した。汚名挽回の得点。

ただ、さぁこれからと思わせた時間帯。すぐ後、片山が後ろから引っ掛けてファール。名古屋の右サイドからのFK。内田のキックは、途中から入っていたフェルペガルシアの頭にドンピシャに合って、ゴールイン。名古屋が追いすがる熊本を突き放す追加点とし、再び3点差に。

熊本はグスタボを入れる。田中を入れる。グスタボの強引な前を向くプレー、あるいは田中の速さを活かしたカウンターで活路を見出そうとしましたが得点までには至らず。名古屋が、熊本のパスの受け手に厳しくチェックに行って奪う姿勢は終始変わらず。あるいは名古屋の素早いパス回しに、終盤全く着いていけないのが熊本でした。
79分にはカウンターから左サイド駆け上がった八反田のクロスに、フェルペガルシアが頭で反らしてゴール右隅に流し込まれて5点目を献上。試合を決めました。

名古屋はこの勝利で5位から2位に浮上。反してわれわれは15位から20位に沈むことになりました。

まぁ、「次、次」と言うしかないのですが。熊日にも書いてあるとおり、この試合シュート数は熊本が20、名古屋が19だったそうで。そんななかでの5-1というスコア。”決めきれずに”流れを掴み切れなったことがこの大敗に繋がったのは明らかでした。

ただ、名古屋のあのパス回しの早さ、バイタルの崩しはお手本にすべきでしょう。名古屋は点差を受けて、この試合で色々な選手を試す余裕がありました。しかし熊本にとっても、齋藤に初得点が生まれたことはもちろん、グスタボや田中をしっかり実戦で使えたことは、ある意味今後の戦いにおける糧になったかも知れません。

勝ち点は得ませんでした。しかし貴重な経験を積み重ねた試合でした。

2017.03.29 大分戦。連敗
3月26日(日)
【J2第5節】(えがおS)
熊本 0-1(前半0-1)大分
<得点者>
[大]伊佐耕平(43分)
<警告>
[熊]上里一将(23分)、村上巧(63分)
観衆:10,056人
主審:西山貴生


晴天のホームえがおスタ。アウェーゲートの長い待機列は阿蘇の山並みを、ミルクロードを迂回しながら越えてきたサポーターたち。2000名を越えるという青いレプリカユニがゴール裏には入りきれないようにメインにも集団を作っている。そして辛いJ3生活を一年で乗り越えて、この隣県対決を迎える喜びに満ち溢れている。スタンドを真っ二つに分けた鮮やかな赤と青。連戦のバトルオブ九州…。

多分、そういう状況ではなかったでしょうか。すいません、実は現場に行けていません。不覚にも収束間近のインフルエンザに観戦、いえ感染してしまって。高熱との戦いに参戦しており、DAZNで観ていました(笑)。

試合は、対戦10試合負けなしという相性のいい大分相手に初黒星となりましたが、スクランブルなDF体制のなかで苦戦は必至だったものの、どちらかというと”ゴールへの遠さ”のほうに、ストレスを感じました。

CBの一角は前節同様SBが本職の光永。そして出場停止の右SB黒木の代わりには、なんとFW齋藤をコンバートしてきました。いいFWはいいクロッサーでもあり、コンバートの例は数多い。千葉にいて磐田にひとり昇格した中村太亮なんか好例のひとつです。スピードとスタミナに優れる齋藤も面白いと思いました。しかし、急造感は否めず、いいところ悪いところ半々でしたね。ただ、緊急避難的であったとはいえ、今後もオプションが出来たことは、チームとしても、本人にとっても少なくない収穫と思います。それは試合勘を積んで成長著しい光永もしかりでしょう。

前線の先発には巻。前節の受傷で口の中を10針以上縫っているという。顔の腫れはひいているとはいえこれはもう”鉄人”としか言いようがない。以前、クラブスタッフのS籐君が、「巻と清武は頑丈で、多少の打撲はものともしない。骨折以外は怪我ではない」などとは言っていましたが・・・。

20170326大分

ゲームは序盤から、ようやく取り戻した厳しい球際、組織的プレスで熊本がペースを掴みます。右サイド奥で奪ってPアーク前で嶋田が左足で撃つもゴールの右に反れていく。DF竹内のハンドをアピールするものの認められない。

その後も大分を前に向かせない守備。セカンドも拾い続けてバイタルまでは迫るのですが、フィニッシュまでには至らない。そうしているうちに、大分も徐々に守勢を撥ね返していきます。

このまま終えるなら両者互角の見応えのある試合だと思っていた前半も終わり間際でした。それまでもフィールドを大きく使いながら熊本を揺さぶっていた大分。主に最後は右サイド(熊本の左サイド)からゴールを突いてきていました。右サイドを抉ってのクロスにニアサイドからのヘディングはポストに当たり難を逃れますが、それを拾った大分、再び右サイドから松本がマイナスで入れると右45度の位置から後藤がダイレクトで撃つ。正面だったにも係わらず、これをGK佐藤が弾いてしまい、伊佐が詰めてゴールに押し込みます。名手・佐藤にしては痛恨のプレー。

「おそらく熊本さんは前から我々に対してアグレッシブにプレッシャーをかけてくると思っていました」と、試合後に言う敵将・片野坂監督。そのなかで「自分たちのサッカーにこだわ」りたいというのが狙いでしたが、熊本のプレスが少しずつ緩くなる機を逃さずDFラインを押し下げて攻め続けると、起点のボールホルダーへのチェックが甘くなる。そんなスカウティングがあったのかもと。佐藤がこぼす前の後藤のシュートのところに誰も行けていません。

ただ、後半一気に追加点を奪いに来た大分に対して、粘り強くそれに対応した熊本。今シーズンは先制されても気落ちせず大崩れしない我慢強さがいい。

52分には敵GKに平繁がプレスを掛けて奪おうとする。こぼれたボールを林が拾って撃ちますがGKがパンチング。拾って右から今度は巻がシュート。撥ね返されたのをまた回して中央から林が再び撃ちますがクリアされる。惜しい。しかし決めきれない。

その後、熊本は安、グスタボ、岡本と順次前線に投入して攻勢を強め、敵将に「追加点が入らなかったことで、少し苦しくなって熊本さんに最後まで勢いをもたらしてしまった」と言わしめた戦いをしたものの、「なかなかゴールには遠くて。向こうの体を張った守備でしのがれてしまった」(清川監督)。逆転はおろか同点弾のゴールも遠かった。

冒頭書いたように追加点を与えなかった守備より今日は攻撃のところに課題が見えた気がします。ラストパスのところ、クロスの精度、攻撃陣同士の呼吸。決め事というべきかアイデアというべきか…。

バトルオブ九州というより前に、ここでの連敗は避けたかった。順位を15位まで下げてしまいました。次節は黒木が使えるようになり、植田もベンチに戻ってきていますが・・・。

ただ、ベッドに横たわりながら聴いたRKKラジオ「VIVAロアッソRADIO」の最終回。人気コーナーヤスコの部屋で、岡本と黒木が今季の新加入選手12人をひとり一人紹介していく。野村、ヤン、イム、上里、グスタボ、モルベッキ、菅沼(昨季途中加入)、光永、安、林、三鬼、米原・・・。それぞれの特異な能力の紹介を交えながら。それを聴いていたらワクワクしてきました。実際の選手が感じている新加入選手の可能性。あとは監督がどう上塗りし、コーディネイトしていくか。

満身創痍なチームの印象が先立って、リーグ戦はまだまだ始まったばかりだということを忘れていました。次節はJ1降格組の名古屋戦。燃えてきたように感じるのは、これはまだ熱があるせいでしょうか(笑)。

3月19日(日)
【J2第4節】(レベスタ)
福岡 2-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[福]冨安健洋(54分)、ウェリントン(76分)
[熊]巻誠一郎(66分)
<退場>
[熊]黒木晃平(73分)
<警告>
[福]石津大介(83分)
[熊]上里一将(68分)、グスタボ(83分)
観衆:9,008人
主審:廣瀬格


「自分の名前を呼ばれた時に福岡の皆さんも拍手していただいたので、すごく嬉しかったです」(熊本蹴球通信)。福岡の下部組織で育ちトップ昇格した光永にとって、この”古巣”との対戦は待ち望んでいたものだったでしょうが、けれど、まさか自分がCBというポジションでレベスタに立つとは思ってもいなかったでしょうね。しかし、緊急避難的とはいえなかなかどうして。ニューイヤーカップからの実戦経験もあってのことか、あの福岡のFWウェリントン相手に一歩も引かない堂々とした戦いぶり。そして、この日の熊本の得点の起点まで作りました。

戦前、「厳しいゲームになることは予想できる。どこまで身体を張れるかが勝負になる」(DAZN)と言っていた清川監督。序盤からそれを体現する熊本の選手たちの姿がありました。前から猛烈なプレッシング。後ろも連動した組織的な守備。そもそもこれが熊本の持ち味でしたが、開幕から3試合はこれが”はまらず”、課題を残していました。

しかし今日の熊本は見違えるほど出足が早い。二人、三人でボールホルダーに詰め寄る、奪う。奪いきる。J1を1年で降格してきた福岡も、今季はよりポゼッションを目指していますが、切り替えの早い熊本に手を焼きます。

前節と同じ布陣となった巻と八久保の2トップもはまっていました。巻が収める。頭で反らしたところに八久保や嶋田、林が飛び込む。そんな巻の存在感を、福岡のDF陣が煙たがっていたのは間違いないでしょう。

20170319福岡

12分頃だったでしょうか。中盤でのボールへの競い合い。頭で競りに行った巻に対して、福岡・岩下のハイキックが完璧に顔面に入ります。もんどりうった巻が動かない。目も開けていない。急きょ安とグスタボにアップが命じられます。

結局、巻は血の滲んだユニフォームを着替えて、ピッチに戻りますが、しかしこの岩下の危険きわまりない(ひょっとしたら巻の選手生命まで奪いかねない)プレーに対して、何のカードも示されなかったのは何故なのか。にこやかに試合を再開する廣瀬主審。理解に苦しみます。

前半から左SB・片山からの攻撃がいい。右サイドで粘って繋いで左に大きく展開。片山からのアーリークロスにファーの巻のヘディング。これはGKがセーブしますが、非常にいい展開。押し込む熊本。

40分には片山が上がって、アーリークロス。福岡DFのクリアが右へ。林が拾って、巻くように撃ったシュートはGKの手が届かない軌道。しかし、ゴールマウス直前でDF富安のヘッドに阻まれます。

逆に福岡は前半終了間際、石津からの右CKにウェリントンのヘッドが炸裂。しかし、これはバーに当たり難を逃れました。

「やろうとしていることはできた。後半それをより一層強めていきたい」(DAZN)と前半を振り返った清川監督でした。後半は、開始早々から攻守の切り替えが更に早い、見応えのある試合展開になります。

そんな中、福岡に与えた右CK。ファーのウェリントンに飛んだボールには対処したものの、そのヘディングが中央にいた富安に繋がる。フリーでヘディングできた富安。ゴール左ポストに当てるとボールはゴールに転がり込みます。福岡が均衡を破る。

熊本は八久保に代えて安を入れました。開幕戦で2得点の安は、臀部の負傷でここ2試合を欠場していた。満を持しての投入でした。対する福岡は松田をポッピにスウィッチ。

すると66分、ボール保持から左で光永が持ち上がっていきスルーパスを送る。「ボールを受けた時にプレッシャーに来る選手がいなかったので、顔を上げながら運べて、パスコースが見えました」(熊本蹴球通信)という光永。その先にいたのは片山。追いついてサイドをえぐる。柔らかいクロス。ファーで巻が動きなおす。福岡DFのブラインドからマイナスぎみになったクロスを頭を振ってゴール右に押し込みます。同点!

顔に入った岩下のキックによって、唇も顎も腫れていました。おそらく口の中も切っているに違いない。それでもこのチャンスに懸命に首を振った。ゴールのあとに片山としっかりと抱き合う。しかし痛みもあって、言葉を発せられなかったに違い有りません。

69分には逆転のチャンス。嶋田が右サイドの黒木に通すと、低くて早いシュート性のグラウンダーのクロス。誰かが触ればというところでしたが、抜けていきます。

同点にされた福岡は、ボランチ・ダニルソンに代えてFW坂田を入れる。熊本は殊勲の巻に代えてグスタボ。

しかしそのすぐ後、前がかりになっていた熊本。福岡の大きなキックに園田がかぶって、それを拾ってポッピが運ぼうとするところ。抜ければGKと1対1。横から黒木がスライディング。しかしこれが決定機会阻止として一発レッドカードが示されます。

一人少なくなった熊本。右SBには村上が下がり、中盤は上里を底辺にした3枚に。その直後、連続した福岡のリスタート。左CKのクリアを拾った福岡・石津がクロスを入れる。大外に構えていたのはウェリントン。高い打点のヘディングで押し込む。落ち着かないところを突いてきた、福岡の”勝負強さ”が感じられました。

熊本は嶋田に代えて齋藤を入れ、4-3-2に。アディッショナルタイムのFKのチャンスには、前節と同じようにGK佐藤も上がりましたが得点できず。敗戦の笛を聞きました。

いつも以上に悔しさがにじむ敗戦でした。それはバトルオブ九州だからということもありますが、手応えを感じる内容だったのにもかかわらず勝負には負けたこと。あるいは、あれほどの傷を負いながら同点弾を決めた巻の意地が報われなかったことか・・・。

しかし、敗戦のなかでは忘れ去られがちになる自チームの得点のなかで、今日の巻の得点だけは、きっとずっと忘れられないものになるだろうとも思いました。