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8月19日(日)
【J2第29節】(長良川)
岐阜 0-2(前半0-0)熊本
<得点者>
[熊]上里一将(70分)、田中達也(78分)
<警告>
[岐]田森大己(10分)、イヨハ理ヘンリー(63分)
[熊]上村周平(33分)、皆川佑介(85分)
観衆:5,093人
主審:窪田陽輔


20180819岐阜

ようやく勝てました!5月20日の水戸戦以来です。序盤は岐阜の猛攻に苦しみますが、なんとか熊本も押し返し、スコアレスのまま迎えた後半25分、ロングボールに安が飛び出しPA右からクロスを入れるが岐阜DFがブロック。跳ね返りを黒木が入れ直すと、そこに上里が飛び込み頭で叩きつけ先制。続く78分には左の田中と中山のワンツー。中山が潰れながらスルーパス。これを田中が右足で振り抜いて追加点。その後も粘る岐阜に再三のピンチを招きますが、タイトな守備と、GK畑の安定したセーブもあり逃げ切りました。順位は暫定ながら20位に上げました。


2018.05.04 連敗。岐阜戦
5月3日(木)
【J2第12節】(えがおS)
熊本 1-2(前半0-1)岐阜
<得点者>
[熊]八久保颯(87分)
[岐]風間宏矢(24分)、宮本航汰(48分)
<警告>
[熊]片山奨典(36分)
観衆:5,247人
主審:谷本涼


黄金週間のなかの連戦の2試合目。熊本は先発を6人入れ替え、いわゆるターンオーバーで臨みましたが、逆にメンバーをほとんど入れ替えなかった岐阜に足元をすくわれてしまいました。

20180503岐阜

大木体制2年目の岐阜。京都を指揮していたときも対戦経験がありますが監督が志向する”クローズ戦術”が身についていた。ボールサイドに人を集めて短いパスで打開すると、空いている逆サイドに大きく展開するというやつです。

熊本は出だしこそCKの連続からチャンスを作りましたが、徐々に相手のペースにはまっていく。なによりダブルチームディフェンスや、プレスバックなど球際で圧倒され、ボールを持てない、運べない。

24分に自陣右サイドで岐阜につながれると、PAを横切るパスに詰めることができずFW風間に先制点を許します。

仕切りなおして入った後半でしたが、早々に自陣深くのパスをカットされ追加点を献上。その後、皆川、田中を同時投入。さらには伊東を入れ、ようやく87分に伊東のパスから八久保が抜け出し、冷静にGKビクトルとの1対1を制します。アディッショナルタイム3分まで、なんとか同点勝ち点1をと願ったホームのファン、サポーターでしたが、あえなく敗戦となりました。

試合後、まず誰もが聞きたいと思う質問、“先発6人を変えた影響はあったか?”と記者に問われた渋谷監督は、「バックラインが変わってビルドアップが落ち着かないなという話であるならば、フレッシュな選手が入ったけど、となりますが、じゃあ岡山戦ではボールが動いていたかというとそうでもないと思うので、そこはあまり、私の中では、6人変わった影響はありません」と答えます(熊本蹴球通信)。

ただ、DFラインからのビルドアップにこだわるあまり余計なプレッシャーを受け、前線あるいは逆サイドのフリーな選手が見えていないという状況は、前節岡山戦というより、見ていて開幕戦の山口戦を思い出させました。

この点は指揮官も「相手のプレッシャーのところの、スペースを共有できていなかった。フリーマンの共有ができていなかったというのが、いちばんの原因」(同)と認めている。

厳しいプレスにさらされると失われる判断力・・・。

「相手の状況とか、サッカーを読むということを僕はいつも言ってますけど。相手の形がこうだったらどういうところにスペースがあって、どういう風に開放しなきゃいけない、どういう風にリリースしていかなきゃいけないっていうのを、もっと選手たちは頭の中で考えなきゃいけない。それができていない、やっぱり最終的に失点になっているっていうことは、僕自身のトレーニングが足りないっていうことなので」(同)と指揮官は言う。

中二日の連戦のなかでは、なかなか練習に落とし込むことの難しいのは分かっています。しかし、今シーズンのコンセプトとも言えるこの監督の”理想像”に向かって一歩ずつでも近づいていく、そんな姿を見ていきたいと思います。
順位は12位に後退。次は難敵・甲府ですが、ホームが続くことを好機として勝利を飾って欲しい。そう願います。

8月16日(水)
【J2第28節】(えがおS)
熊本 0-0(前半0-0)岐阜
<警告>
[岐]福村貴幸(82分)
観衆:4,188人
主審:大坪博和


惜しかったですねぇ。しかし終始ボールを保持され猛攻を受け続けた前半を思えば、ドローもやむなし、というところかも知れません。

そのあたり、「前半は少し引いて、後半勝負というプランだったでしょうか?」と試合後に記者に聞かれて、そうではないと前置きした池谷監督。「立ち上がりからプレッシャーをかけるというなかから、自分たちのゾーンに入ってきたら行くという約束事だったんですけど、中盤がボールホルダーに対して甘かった」(熊本蹴球通信)と続けます。

この日のスタメンは、出場停止の村上の代わりに3バックの左にジュニオールを入れ、ボランチの一角には三鬼。上里をなんとシャドーに上げた。熊日や熊本蹴球通信の予想スタメンを裏切るものでしたが、これはこれで大いに期待させるのでした。

20170816岐阜

しかし岐阜は、4バックの中2枚が低い位置でボールを回し、司令塔の庄司も下がってボールを受け、そこから散らす。自由に動き回るシシーニョも捕まえ切れず、なかなか熊本は喰いつけない。ボールの取りどころが決まらないと、両サイドも押し込まれ、終始5バックに近い形になってしまいます。

そういう意味では、故障者もあったのかも知れませんが、“奇襲”のようなこの布陣が奏功したとは言えず、「上里をあそこに置いてもう少しボールが収まるかなと思ったんですが」「いつもボランチをやっているので、どうしても受けるという感じが強かった」(同)と指揮官の思い通りにならなかった。相手のシステムとの“相性”が悪かったということでしょうか。

それでも、ハーフタイムで「まずボールに行け」「90分もたなくてもいい!走りきれ!」(公式)という指揮官の指示に応えるようにプレスを高めた熊本は、後半から巻き返しを図ります。

片山、黒木の両SBが攻撃に参加できるようになり、62分、上里に代えて嶋田を入れると更にチャンスの数が増える。大きなサイドチェンジを黒木が落とすと、嶋田が受けてカットインして打つ。これはGKビクトルがパンチングで逃れる。

岐阜も疲れてきたせいかDFラインにギャップが生まれ、そこを突いて八久保、嶋田、さらには黒木とパスが繋がり好機が増える。

岐阜は中島に代えて難波を入れてくる。熊本キラーとも言える嫌な名前。その難波がロングパスに抜け出し、一人二人と交わしてPエリアに侵入するもGK畑が対応。

終盤には、「90分持たなくていい」という指揮官の言葉そのままに攻守に走り回った上村が、ついに足を攣って上原と交代。そして最後のカードは黒木に代えて田中。田中が入ってすぐ、上原が右にアバウトなパス。そこに走り込んだ田中がファールを貰う。田中の特徴を生かした好プレー。

すでに時間はアディッショナルタイム。熊本のクリアぎみのボールを嶋田が拾い、右から運んでエリアに入ってからのシュートは、しかしGKビクトルの片手ファインセーブに合ってゴールならず。結局、両者得点を奪えず、痛み分けとなってしまいました。

翌日の熊日朝刊。「ロアッソ 決定力不足」の見出しには、ちょっと首を傾げたくなりました。確かに数々あったCKの好機も生かせず、シュートもGK正面があった。しかしどちらかというと、両チームゴールキーパーの好守が優った試合ではなかったかと。

この日も前半のうちから、素晴らしい反応でピンチを救ったシーンがあった畑。すっかり“守護神”の座を自分のものにした感があります。安定感が増している。

リアクションの力が上がったのかと尋ねる記者に、「体力的な要素はあると思うけど、それ以上に“予測”がうまくできるようになった」と答えました(熊日・がんばれロアッソ熊本!)。

順位の近いチームから勝ち点3を奪えなかったことは残念ですが、敵将・大木監督に「すごくコンパクトでした」「ハーフラインを越えた後もですね、やっぱりそのコンパクトさは崩れないので、そこから行けない」(熊本蹴球通信)と言わしめた守備。最後まで破綻せず、ゴールを守り切りました。

順位は19位のままですが、少し足踏みしている間に下が迫ってきました。ただ、新たな選手の獲得情報もあり、まだまだ今後の躍進に期待したい。ちょっと涼しくなった夜風に猛暑の終わりを感じたことも、そう思わせる一因でした。

5月17日(水)
【J2第14節】(長良川)
岐阜 1-2(前半0-1)熊本
<得点者>
[岐]永島悠史(54分)
[熊]安柄俊(18分)、巻誠一郎(66分)
<警告>
[岐]ヘニキ(16分)
[熊]安柄俊(5分)、野村政孝(77分)
観衆:3,650人
主審:岡宏道


いやはや心臓に悪い試合でしたね。イヤフォン挿しながらDAZNで観ていて、時折小さく叫んだり呻いたりするものですから、家族から迷惑がられてしまいました(笑)。

20170517岐阜

中3日の連戦。ミッドウィークの岐阜戦に、清川監督は先発を7人入れ替えてきました。前線は巻と安、ボランチは上原、上村。CBに前節の汚名挽回を期すイム。SBとしては初先発となる光永。そして出すだろうと予想したとおり、昨季岐阜に期限付き移籍していた田中。「回復が間に合っていない選手もいたので」(DAZN)と指揮官は言いますが、選手層を試すには絶好のカードのような気がしました。

というのも、岐阜は今季から大木監督が就任して大きく戦術変更している。今発売中の「フットボール批評」の大木監督インタビューを立ち読み(笑)したんですが、ボールを持つ時間が長ければ失点しないというポゼッション志向のサッカー。短くパスを繋いで崩してくる。それにはかなり体力が必要だろうと聞かれて、「サッカーは“たった90分しか”走らない」と答えた言葉も印象的でした。

その岐阜に対して、「熊本蹴球通信」のマッチプレビューでも大木サッカーに詳しく触れたうえで、「熊本にとって大切なのは、ボールを握られ動かされるのは想定した上で、奪いどころを明確にして共有すること」と井芹さんも指摘していたように、相手を上回るハードワークでボールを奪えるメンバーを熊本は並べてきた。そんな期待を持たせる布陣でした。

そして、そんなイメージ通りのゲームでした。細かいパス回しでバイタルを脅かしてくる岐阜。しかし熊本もそれにしっかり対応し、ボールを奪うと前節と同じように縦に素早く仕掛る。

18分、GK野村からのキックを前線の巻が反らすと、そのボールに安が飛び出す。収めようと走るところをヘニキに後ろから倒されFKを獲得しました。

Pアーク手前左からのFK。キッカーに立った嶋田と安。安の右足から放たれた低いボールは、壁の間をすり抜けると、ニアのDFの足に当たって角度を変えゴール左隅に突き刺さり熊本が先制します。

ハーフタイムにDAZNがポゼッション率70%対30%と紹介したように、ボールを持つのは圧倒的に岐阜の方でした。しかし、ちょっとしたところでパスミスを犯したりするところは、岐阜の大木サッカーが完成には今一歩ということも感じさせ。この時期に対戦したことは、ちょっとした幸運だったかも知れないとも思う。

後半一気にギアを上げてきた岐阜に押されるように54分に失点。右から作って永島がドリブルで切れ込むと、対応できぬままに中央で撃たれる。DFの股を抜く強烈なグラウンダー。野村の反応もむなしくゴール右隅に転がります。

しかし、この同点弾を加勢にして一気に勝ち越し点を狙う岐阜に対して、熊本イレブンは意気消沈することなく粘り強く対応した。自分たちのサッカーを続ければいいと、ある意味愚直に続けた結果がこのあと実を結んだように感じます。

運動量豊富な上村の随所への顔出し。前半はちょっと空回りしていた田中も落ち着いて、持ち味を発揮してきた。

高い位置で奪ってバイタルに運ぶ。Pエリア内に入れると安がトラップ。反転してシュートは枠の上に外れますが、3人目、4人目の動き出し、繋ぎも良かったこのシーンが、次の得点シーンの予兆だったでしょう。

66分、左サイドで奪うと一度DFラインまで下げ、右SB黒木に預けた。黒木が運び、中に切れ込み相手を引き付けると右奥のスペースにはたく。田中が走りこむとダイレクトでクロスを上げた。ニアの庄司がヘッドでクリア。ファーに構えていた巻がそれを胸トラップで収めると右足を振りぬく。GKベクトルの右足に当たってゴールインします。岐阜を突き放す貴重な追加点でした。

風間を諦め難波を入れた岐阜の最初のベンチワーク。熊本もきつくなって少しずつ対応が遅れ始める。それは岐阜も同じ。中盤にもスペースが大きく開き始めると、岐阜は山田に代えて田中パウロ。熊本は田中に代えて齋藤を入れる。更に熊本は前線での収まりどころを求めて、巻に代えてグスタボを投入。安もいよいよ足を攣ったところを見定めて林に交代しました。

85分。岐阜の左CKからの混戦のなかでGK野村のファンブルが押し込まれネットが揺れますが、これはオフサイドの判定で事なきを得る。

迎えたアディッショナルタイムは4分。岐阜の猛攻に晒される。バイタルからヘニキの強烈なミドルシュート。これは野村がファインセーブ。続くCKはなんとかクリア。前線に運んだボールを奪われるとロングパス。岐阜・古橋がこれをうまくトラップ。GK野村と1対1。PA内左からのシュートはしかしわずかに枠の右に反れる。決定機を逃した古橋が頭を抱える。野村のポジショニングがコースを消していました。そして終了の笛が鳴る。

感無量の様子の野村。一度、二度とグローブの着いた手で顔を覆う。佐藤の怪我で代わってゴールを守るようになって、ようやく5試合目にして手にした感激の勝利でした。

「相手がパスサッカーをやってくるのは知っていたが、最後のところを取られなければいいと思っていたし、最後で食い止められた」(公式twitter)と言う野村。本当に文字通り最後のところで止めていた。新しい守護神の登場でした。

左SBの光永は「相手に回されることは分かっていて、チームとして取り切ることができた」と控えめに言う。しかし、右サイドで起点を作ろうとする岐阜の意図には、片山先発という当然の予想があったでしょう。そのなかで守備的にならざるを得なかったかも知れない今日の光永。この先発起用は、けっこうこの試合の勝敗を左右したポイントだったかも知れない。それが清川監督の意図(スカウティング)だとしたらさすがです。

若いメンバーで固めたなかで、最年長の巻が決勝点を決めたことがうれしいし、意味が大きいですね。同点にされたあとも意気消沈しなかったのは、この人がキャプテンマークを巻いてフィールドで鼓舞し続けたせいではないでしょうか。そのうえで決勝点という仕事までこなした。

正直課題は残しました。試合のクローズの仕方には大いに問題がありましたし、肝を冷やしたアディッショナルタイム、まさに綱渡りの辛勝と言えました。GK野村と新たに作り直す連携といつぞや書いたとおり、ようやく勝ち取った1勝でした。

そういう意味では互いに”途上”のチーム事情のなかで岐阜に競り勝ったこの試合。貴重なこの勝ち点3は、前節から繋げ、そして今後につなげなければいけない”内容”を伴った勝ち点3だと思います。順位は19位から18位にひとつ上げました。

11月12日(土)
【J2第41節】(うまスタ)
熊本 1-0(前半1-0)岐阜
<得点者>
[熊]清武功暉(35分)
<退場>
[岐]田代雅也(90分+4)
<警告>
[熊]村上巧(74分)
[岐]田代雅也2(53分、90分+4)
観衆:6,306人
主審:上村篤史


勝ちました。勝って自力でのリーグ残留を決めました。ようやくホッとしましたね。

「ダッカイ?ですか?」。試合前のコンコースで、久しぶりにお会いした元AC熊本社長の前田さんの「ようやくここまで来た」という感慨の後に発せられた言葉に、すぐにはその意味する漢字が当てられませんでした。

「そうです。リーグ脱会。このうまスタが支援物資の補給基地になっていて、それがいつまで続くかわからなかった。開放されても損壊の状況もわからず、スタジアムとして使えるかどうかわからない。いくらなんでもホームゲームを全て県外で行うということは不可能。だからあのとき、一部では自主的なリーグ脱会という案も出ました」という。「改めて正規な審査を経てリーグに復帰できないかという案」・・・。

今となっては非現実的な案とも思えますが、そこまでの切羽詰った考えがでてくるほどだったのだと、当時の混乱状況を想像させます。それほど先が見えなかったし、スタジアムだけでなく選手たちも多くが被災していた。手倉森氏がいつか言ったとおり「熊本だけが・・・」という状況でした。改めて、”熊本に居る”ことを選択し、柏や神戸をホームとして借りることでリーグ戦に復帰し、変則とも言えるスタンド開放でうまスタを使いながら、そしてスキップした試合を過密日程でこなしてきた、このシーズンがどれだけきつく厳しいものだったかに思いを馳せ、同じように「ようやくここまで来た」のだと感慨に耽りました。

だからこそ、勝って自力で残留を決めたい。こんなシーズンだったからこそ、みんなで笑ってホーム最終戦を終えたい。

奇しくも対戦相手はリーグ入会同期の岐阜。2連勝で降格圏内順位は脱したものの、まだ勝ち点40。ここで勝ち点を上積みして残留を確実なものにしたいという思いは同じでした。

互いにシステムは4-4-2。守備ではしっかりブロックを敷く。先に失点を許したくない。試合の序盤は”堅く”入りました。

20161112岐阜

危なかったのは16分。この日右SBで怪我から復帰した園田の頭でのバックパスをレオミネイロが奪うと、植田を交わしてエリア侵入。前に出たGK佐藤までも交わすとシュート。しかし、植田が戻ってスライディング。身体に当てて間一髪で防ぎます。

その後も岐阜に攻勢を許しますが、早く先制点が欲しい焦りからか、拙攻で助かっている。

すると35分。GKからのキックを清武と競った磐瀬が痛んで倒れましたがインプレー。左から作ってテヨンが右サイドを上がってきた園田に通すと、園田がグラウンダーで折り返す。ニアに走り込んだ清武が、左足でゴール左隅に流し込む。アタッキングサードでの、流れるようなパス回しから、熊本らしいゴールが生まれます。

ただ、レオミネイロを擁する岐阜に1点差では心もとない。前線には熊本にとっては特に嫌な名前、あの難波もいる。51分、その難波が右サイド阿部からのクロスを頭で合わせるが、これは枠の上に外れてくれます。

熊本も左からのFK。平繁のヘディングはわずかに枠の上。続いてはカウンターからのロングボールに清武が追いつきシュートを放ちますが、GKに遮られます。追加点がなかなか取れない。

風間や高地を入れることで勢いを増す岐阜の攻撃。守勢一方になった熊本は、平繁に代えて巻を投入。前線からの守備で、陣形を押し上げようと試みます。更には上原を入れてシステムを4-1-4-1に。

それでもバイタルを使われる熊本。清武も下がってディフェンス。マイボールになると駆け上がる。相当疲れているはず。とにかく凌いでいる。

告げられたアディッショナルタイムは4分。岐阜が最後に切ったカードは長身の瀧谷。その瀧谷、田代が落としたボールにゴール前競りながら長い足を伸ばすとGK佐藤の頭を越えた。わずかにバーを超えてゴールネットに転がる。スタンド中でホッとしたため息がもれる。

手拍子で選手たちを鼓舞するスタジアム。最後に入った嶋田が右サイドからカットインして放ったシュートはGKがキープ。しかし大いに沸く。いつもより長く長く感じる4分。早く終われ、早く。

主審の両手がまっすぐ上に向かれ、長い笛が吹かれた瞬間、スタジアム中がはじけるように立ち上がり、歓喜の声を上げ、マフラーを回しました。

選手たちは笑顔でガッツポーズ。勝利を喜び合う。互いを称えあう。ここまで長かった。とうとうリーグ戦の残り2試合のこの日までかかってしまったが、”残留”という大仕事を自分たちの手で成し遂げてくれた。

開幕から好調にスタートした。一時は単独首位に立ったときも。ただ、あの日起こった震災が状況を一変させた。リーグ戦に復帰しても連敗が続いた。それも大量失点での敗戦。勝ちたい、勝って熊本のみんなに笑顔を届けたい。そんな気持ちと、コンディション不良から動かない体との葛藤のなかで、巻が涙を流しながらコメントした試合もある。

スキップした試合の消化分ではわずか勝ち点1しかとれなかった。甘くはなかった。それほど過密日程は体力を奪ったし、練習試合もままならない状況は選手の底上げを妨げ、チーム力をも奪った。

それでも選手たちは戦い続けた。

ホーム最終戦恒例のセレモニーで、池谷社長は、「選手たちは泣き言も言わず、歯をくいしばって走りぬいてくれた。(当初の目標には程遠いが)残留はすごく価値があることだと思う」と述べて、そして後ろを向いてスタッフ、選手たちに「ありがとう」と頭を下げました。”歯をくいしばって”。それは常套句のように使われがちですが、われわれの選手たちにとっては、実に本当の状況ではなかったかと・・・。

清川監督は試合後、「震災でシーズン序盤はサッカーができない状況に置かれた中で、再開してからは結果も含めて辛い時期を選手全員が乗り越えてくれた」(熊本蹴球通信)と選手たちを称えました。

巻は「皆で1つのボールを追いかけて、皆でゴールを守って、本当にチーム一丸になった勝利だったと思います」(同)と言う。

この日、バックスタンドにはこれまで寄せられた他のチームからの寄せ書きや横断幕がたくさん掲げられていました。サッカーファミリーは、それだけでなく、多くの支援物資や義捐金を贈ってくれた。けれど、勝負事では決して手を抜かず、真っ向勝負で向かってきてくれました。日程やコンディション不足など言い訳にはできなかった。

ひとり熊本だけが取り残された状況で、苛烈とも言えるスケジュール、辛い連敗の時期も乗り越えて、ようやくようやくこの”残留”という結果をもたらした選手たちが、誇らしい。

そして、この残留を勝ち取った今だから、ひとこと言わせてもらえるならば、この熊本の残留を見届けて、内心一番ホッとしているのはJリーグ自身ではないでしょうか。冒頭のような脱会でもなく、また熊本だけのこんな罰ゲームのような過酷な措置でもない、リーグ方針にもっと違った選択肢はなかったのか。決して選手層の厚くない地方の小クラブがどんな状態になるのか、サッカーを知るものであればおよそ想像できたはず。この災害列島で全国リーグを仕組んでいくJリーグであれば、今回のケースは大いに反省、研究の対象になるのではないでしょうか。ことはJリーグの理念にも関わるものと考えます。

暮れかかるうまスタ。最後に手を振りながらスタジアムを一周する選手たちに拍手を送りながら、聞こえてくるのは、試合前選手たちを鼓舞する歌の原曲でもある、水前寺清子さんが歌う「HIKARI」。

「ただがむしゃらに。負けても諦めずに」。最初聴いたときは”負けても”なんてなんて縁起の悪い”応援歌”なんだと思いました(笑)が、震災を経験していまだ復興の途中にあるからでしょうか、リーグ戦を振り返り、この”残留”という結果を受けてまさに心に沁みる。そんな歌詞だと思いました。