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【J2第3節】(うまスタ)
熊本 1-0(前半1-0)東京V
<得点者>
[熊]清武功暉(25分)
<退場>
[東]ウェズレイ(36分)
<警告>
[熊]藏川洋平(64分)
[東]高木純平(13分)、ウェズレイ2(24分、36分)、高木善朗(45分)
観衆:5,902人
主審:榎本一慶
副審:数原武志、熊谷幸剛


開幕から3連勝です。熊本としては初めての記録であり、そしてたった3試合を消化したこの時点ではありますがセレッソ大阪と並び同率首位の座につくのも初めてのこと。しかしながらわれわれを含めてわがチームのファン、サポーターは、多少ニヤついてはいるものの、浮ついたところは微塵もなく。これも9年目になるJ2暮らしからくる苦労と経験がそうさせているに違いありません(笑)。

2週間前の開幕戦とは違って、16時キックオフのこの日は小雨降る肌寒い気候となりました。連勝と好調なホームチームの試合にしては観客席が寂しい。学校行事などと重なったのでしょうか。

迎えたヴェルディは、前節讃岐に2-1で敗れていて、敵地とはいえ連敗は避けたいところ。いわずと知れた育成に秀でたクラブで、ユース上がりの選手が多く、その点を「調子に乗せたら怖い」と清川監督も警戒する(スカパー!)。

熊本が今節のスタメンでいじったのは2列目のところ。ピッチ状態が心配ながら主将・岡本を戻してきました。

20160313東京V

指揮官が「非常に大事」と言った立ち上がり。左SBの黒木が高い位置をとって左から攻める熊本。清武、平繁、さらには嶋田、岡本と、前線の距離間がよく、テンポよく前に運べる。”入り”は決して悪くはない。

ヴェルディもバイタルで回しますが熊本が粘り強く対応。ワントップのドウグラスに入るボールには植田が激しく潰しにいく。そしてそこからの攻守切り替えの早い展開が続き、見応えのある序盤になりました。

24分、上原のカットから繋いで、岡本→平繁→清武。清武が嶋田に預けて再びエリア内で貰おうとするところ。ウェズレイに足をすくわれて倒される。主審がすかさずPマークを指し示します。開幕戦に続いてのPK!

「蹴りますか?」と嶋田に問われて「もちろん!」と答えたのだという(試合後のインタビュー)。もう決して譲らないエースの自覚。相手GKもコースを読んではいましたが、その反応よりも速いスピードのシュートで、清武が開幕戦と同じようにPKを沈めます。

先制に沸きあがるスタジアム。ただ今日の清武は、開幕戦とは違ってベンチに駆け寄るほど喜ばない。ベンチも至ってクールそのもの。この1点で勝敗が決まる相手ではないと知っているから。その後の反撃を試みるヴェルディを落ち着いて撥ね返す熊本。守備の時間。33分には、自陣から大事に繋ぎながら右サイドの嶋田が中にカットイン。そこからのシュートは惜しくもポストに嫌われる。よし。追加点も行ける!

ただ、36分。右サイドで抜けようとした平繁を引っ張り倒してウェズレイがこの日2枚目のイエローを貰い退場。先制に成功し、更には相手が一人少なくなった。優勢この上ないような熊本でしたが、実はこのことがゲームを難しくしてしまったようです。

ここ2戦での熊本の”課題”は、いずれも90分のなかで、特に後半、押し込まれた際の”試合運び”をどうチームで共有するかでした。その課題を抱えたなかで、今日は一人少ない相手と戦うことになった。

指揮官は恐らく強い危機感でハーフタイムに叱咤したでしょう。「相手が一人すくないサッカーをやったら、やられるぞ。11対11でやっているという意識で!」「チャンスがあるならば必ずいこう。早くいける時は早くいくこと」「絶対、受け身のサッカーにならないように!」。点差は1点しかないのです。

ヴェルディは後半アラン ピニェイロを2列目に配置し、ロングボールをドウグラスが落として、アランが拾って攻め込む。熊本は一人少ないヴェルディのセットプレーにも前線に余らせず、全員守備で構えます。

ヴェルディがギアを上げてチームの運動量が増えているかというとそうでもない。ブラジル人二人に依存した戦術。しかし熊本も、ボールを大事にするためか、あるいは体力の温存か、後ろで回す時間が増える。なかなかクサビも打たない。

後半13分、嶋田のカットからカウンター。平繁→清武、右の岡本が中央の清武に戻す。清武が打つかに思えたタイミング。しかしエリア内の平繁にパス。これが合わず。もったいない譲り合いで追加点の機会を逸する。「シュートチャンスのところで打てなくて、どうしても1個、2個、手数かけてシュートで終われなかったという部分の残念なところもありました」と指揮官も言う。

後半21分、嶋田に代えて、そこで投入したのは齋藤。早速、左サイドから平繁のスルーパスにPA侵入。ここは敵DFにクリアされる。しかしそれにしても速い。

ヴェルディは、高木善を諦め平本を投入。前節も讃岐相手に一矢報いた平本。怖い。熊本は平繁に代わって中山。中盤の守備を少し締める。徐々に徐々に、時間がなくなってきて。相手とのバランスのなかで、これはこのまま逃げ切りを望むべきなのかと。それにしてもヴェルディの攻撃のなかでの植田の撥ね返し。藏川の危機察知。最後はGK佐藤のボール捌き、その落ち着いた立ち振る舞いがチームに与える安心感。

今日のゲームのクローザーは、DF鈴木ではなくて、FW巻でした。前線で落ち着かせろと、撥ね返すだけの展開とは違った意図を試みました。アディッショナルタイム3分が告げられると、岡本に代えて入れられる。最後の最後、ヴェルディに与えたCKにGKも上がってきましたがこれをクリア。その瞬間、DF陣と佐藤が大きくガッツポーズ。熊本開幕3連勝の瞬間でした。

3試合連続のウノゼロの勝利となりました。開幕までの危機感の大きさがチーム戦術をまず守備からスタートさせたのでしょう。とにかく粘り強い。最後の最後でシュートブロックに体を張れるポジション取りができている。新加入の植田と佐藤の存在感も大きい。「堅守速攻」は今季の熊本のキャッチフレーズになるかも知れませんね。

課題の攻撃も、記録的にはセットプレーでしか取れていませんが、展開を見れば、惜しい機会は大いにある。献身的に動く平繁の得点も時間の問題だと思われます。

課題はやはり90分間のなかでの展開のマネジメントだと思います。そこに至る選手間の理解と技術。意思統一…。

その”勉強”に関しては、ちょっと参考にならない試合展開になったのが残念なヴェルディ戦でしたが。これはこれで反省点になりました。

「これからアウェイ2試合続いて難しいゲームが続くと思うので、3勝していますけれども、1戦1戦というところで戦っていかないといけないと感じています」(ロアッソ公式サイト)と指揮官は言う。われわれも全く同じ気持ちであって。

首位うんぬんと順位など口にする時期でもなく、次の一戦、その次の一戦。どうやって勝ち点を取っていくのか、わがチームは次にどの選手が出場し、どうチームとして成長していくのか。順位はその先にしかないのだと。この8年の経験が教えているから。次節、難敵である北九州。そして長崎との対戦を控えているからなおさらです。

【J2第25節】(うまスタ)
熊本 0-1(前半0-0)東京V
<得点者>
[東]高木善朗(74分)
<警告>
[熊]クォン・ハンジン(68分)、園田拓也(79分)
[東]三竿健斗(28分)、高木大輔(72分)
観衆:3,956人
主審:岡宏道
副審:相葉忠臣、中井恒


「点を取られたのは後半だが、残念なのは前半に積極性を出せなかったことだ」(23日付熊日朝刊)。試合後のインタビューで、小野監督はそう嘆きました。

前からアグレッシブにプレスに来るヴェルディ。ロングボールで押し込まれ、セカンドボールも次々に回収して2次攻撃、3次攻撃に繋げられると、少しずつ後手を踏んで来る熊本。本来、序盤は両者とも飛ばしてくるもので、このがっぷり四つ、あるいは鍔迫り合いの時間帯から徐々に押し戻し、自分たちのサッカーに持っていけていたのが、熊本のここのところの好調の要因でもありました。指揮官いわく「ピッチ上の選手たちが自分たちで解決できるようになった」と。冒頭のコメントは、この試合の前半それができなかったことを悔やんでいるように思えます。

わずか1カ月前、向こうのホームで対戦したときのヴェルディとは明らかに違っている。この間ヴェルディは、3勝1分1敗の成績を収め、順位も6位まで上げていました。「ホームのときとは違う牙をむいていける」(スカパー)。試合前の敵将・冨樫監督のコメントも、リベンジへの自信に溢れていました。

20150722東京V

ヴェルディは左から作って杉本がボックス内に侵入。ニアをぶち抜こうとしますが、これはダニエルが片手一本でクリア。FKから安在のシュートは、ダニエルが一旦弾いて再びキャッチング。ゴールマウスを割らせない。とにかくダニエルの好プレーに救われています。

前回対戦のときはしっかりマークできていた中後、三竿の両ボランチを、今日はなかなか捕まえきれない。途中から4ー4ー2にシフト変更を命じる小野監督。それでも伝統的な短いパス回しに、前からのアグレッシブな守備が加わっているヴェルディに対して、熊本も幾度か好機を作るものの、攻め上がっても少しチームの重心は後ろにあるように感じられ、とにかく0点で凌いだという印象で前半が終わります。

過密日程のなか、また降り続いた雨のため“重馬場”となったピッチ状態を考慮してか、膝に古傷のある岡本はベンチスタートになっていました。代わりに常盤の持つ古巣対戦へのモチベーションに期待しての起用でしたが、この展開のなかでは代えざるを得ない。熊本は後半から巻を入れました。

更には蔵川に代えて清武。清武はホーム初お目見え。そんな二人が加わって見せ場を作る。

巻が落として清武がミドルシュートで敵ゴールを脅かす。左サイド奥に侵入した斎藤からのマイナスパスを巻がミドルで打つがこれはキーパー。再び斎藤が持ち上がって清武に送ると、清武の反転からのシュートはブロックさせる。しかし、「よりギアを上げていこう」とハーフタイムで指示を送った冨樫ヴェルディに対して、五分五分のところまで盛り返した感じの熊本でした。

そんななかの一瞬の出来事でした。GKからのキックを中盤で落としたヴェルディ。途中投入の高木善朗にしっかりとつなぐと、PAの少し手前でした。思い切りよく高木が一閃した右足のシュートは、少し前に重心の掛かっていたダニエルの頭を越えて、ゴール右隅に突き刺さる。結局、この1点が決勝点になってしまいます。

残り10分となって熊本は岡本を入れる。ヴェルディはベテランの田村を入れて締めにかかる。コーナーキックからの清武のボールは、キーパーも触れない絶好のコース。しかし味方も触れずエンドラインを抜けてしまう。アディッショナルタイムのFKには、ダニエルも上がって”一発”の同点弾を狙い続けましたが、これもファーに流れて終了の笛を聞きました。

「たとえばファーストボールを競らないとか、あるいはフォワードもそういうところでしっかりと身体を当てないとか、そういうので相手にボールが渡るのがいちばん危険だと思っていたので、そういうところのゲームの入り方の修正をしました」(九州J-PARK)。富樫監督は勝因の一端をそう口にしました。

一方、小野監督は“アグレッシブさ”で劣った理由を記者に問われていわく、「相手がかなり徹底して裏に走ってそこへのロングボール、そこのセカンドボールの争いというのが序盤の大きな戦いだったんですけども、そこで1歩遅れることが多くて、こちらが後手に回った部分がちょっとあった」と。さらに「本来だったらそこでモノにしてもう1回押し返して、逆にこちら側がプレッシャーをかけて、苦しい体勢のボールをまた奪い返すという流れに早くもっていきたかった」。

そこが冒頭書いた「ピッチ上の選手たちが自分たちで解決」できなかったということではないかと。

「うちがやりたいことを逆にやられて」と園田は言う。全くそのとおり。更に言えば「やるべきこと」を逆にやられたとも言えます。

団子状態とも言える下位グループのなかで、これで19位まで後退。薄氷を踏むような感覚が続きます。

【J2第19節】(駒沢)
東京V 0-2(前半0-2)熊本
<得点者>
[熊]黒木晃平(18分)、齊藤和樹(30分)
<警告>
[熊]黒木晃平(57分)、養父雄仁(74分)
観衆:2,691人
主審:今村義朗
副審:高橋佳久、村井良輔


前節は随分ネガティブなことを書き連ねましたが、今週は実に心弾むような週始めを迎えています。一喜一憂のファン心理。まったくですね。

スカウティング、選手起用、システム、ゲームプラン、試合中の交代カードと、これほどまでに小野監督の”思惑”がピッタリとはまった試合はなかったのではないでしょうか。

前線は常盤、齊藤の2トップ。2列目は嶋田と中山。ボランチは高柳の相方に、藏川ではなく上村を選びました。対するヴェルディも4-4-2。前節は7試合ぶりに敗戦を喫していましたが、ぴったりと9位に位置しています。

20150621東京戦

熊本は、前節の”残像”が強かったのか、とにかく自らのディフェンスラインの前のスペースを消して、くだらない失点をしないようにとても慎重な運び。終始一貫、守備的な意識、バランスを重視する姿勢が強かったゲームと見えました。それは、「今日負けたらまずい」という共通認識があったからに違いないでしょう。実際、今日負けていたら21位。いや順位云々ではなく、先週の敗戦以来チームを取り巻く雰囲気は微妙なものでしたね。

これに立ち向かう選手たち。その気合いがひしひしと感じられました。

開始早々、中山からの大きなクロスにファーサイドで常盤が飛び込む。スライディングしながら合わせ、逆サイドに流し込む。これはGKが好反応してクリア。常盤にとって前節に続く”古巣”との対戦。モチベーションは十分でした。

とにかく球際は非常に強かった。しかし無闇に追っ掛けてはいない。”取り際”を心得た対応というべきか。自陣に入ってきたパス。ここぞというところで確実に奪い切り、マイボールにできています。

先制は18分。ヴェルディのCK。熊本のクリアのボールに対して、ヴェルディDFがお見合いするような隙を中山が鋭い詰めで襲うと、瞬間の判断で左足アウトで前に出す。カウンターに駆け出していた黒木はまだハーフウェイラインを越えた位置でしたが、そのパスをダイレクトに蹴った。スライディングしながら。ループシュートで。ゴールを狙って。「ヴェルディのGK(佐藤)が味方のCKの際に、高めのポジションを取る」(熊日)という事前のスカウティングが頭にありました。「枠に入ってくれ」(黒木)という願いどおり、値千金の先制点となります。してやったり!

さらには30分、熊本の自陣からこれはカウンターというより齊藤が頭で競ってクリアしたボール。その処理をヴェルディDFがまごつくところを嶋田が奪ってカウンターに持ち込む。ドリブルで攻め込むと、Pエリア前で、追走してきた齊藤にパス。齊藤が寄せてきたDF、GKをあざ笑うかのような浮き球で、ゴールに流し込みます。

齊藤のうまさ。落ち着き。これで7得点目。得点ランキング10位に入る。そしてこれまでだったら自分で撃っていただろう嶋田が、瞬時の判断でよくぞラストパスを出した。この追加点でかなり楽になりました。

2点を取られたヴェルディは、前半のうちに3-4-3にシステムを変更します。さすがにヴェルディFW・平本に収まると、ズルズルと下がらざるを得ない。安西に代えて南を入れてくる。ヴェルディの攻勢。ただ、後半の45分間熊本も、しっかり引くところは引く、行くところは行くで対応しました。もはや黒木や養父の両SBは戦術的に上がらない。スペースを与えない。

ハーフタイムの指揮官の指示は、「立ち上がりから圧倒していこう」というものでしたが、これはヴェルディのシステム変更とその勢いに押し返されました。ただ、「アドバンテージを利用しよう」ということは遂行できたのではないでしょうか。球際の強さは上回りながら、中山に代えて巻を前線に投入して、DFラインにプレッシャーを掛ける。常盤に代えて藏川を入れ、ヴェルディの攻撃の芽をとにかく潰す。その集中力を萎えさせるように、とにかく攻撃の連動性を断つ。ヴェルディにとって”嫌なこと”をとにかくしつこくしつこく続ける…。

それがヴェルディを時間とともに焦れさせる。これぞ「アドバンテージを利用する」試合展開ではなかったでしょうか。

今日の勝因はいくつも挙げられます。なかでも黒木も言っていたとおり、事前の”スカウティング”が一番でしょう。 前半、嶋田が相手ボランチだけ潰しにかかったのもスカウティングだろうし、2失点した相手ディフェンスの連携の悪さも、もしかしたらスカウティングしてたのかも知れません。

そして、セットプレーの不安が格段に解消した。あれだけコーナーをとられても不安がない。やはりシュミット・ダニエルの安心感。同じクリアするのでも、クリアの”質”が違うというと言いすぎでしょうか。周りの選手があたふたしない。なんとなくこぼれ球も、味方にこぼれるから不思議…。

先にセットプレーから失点するのとしないのでは、こんなに違うものかと。後半の30分間は試合を運んで、時間を使っただけ…。見ている方からすれば、面白くない展開かも知れませんでしたが、”心理戦”としては手に汗を握るゲームでした。

また、ある意味、小野監督がこれだけ選手の役割を決めて、動きに制約を加えたのはあまり見たことがないなとも思いました。もちろん、それが機能したのは、最後まで足が止まらず、ゲームをコントロールしたピッチ上の選手たちのハードワークがあったからだろうけれど。そういう意味でも、指揮官の意図と選手たちのパフォーマンスが見事にかみ合った”ベストゲーム”だったと。

高柳は試合後、自身のtwitterでこうつぶやきました。「全員が仲間を信じてチームの勝利の為に走り切った結果だと思います。 試合を通じて個人としてもチームとしても修正点があるので、また明日から全力で取り組みたいと思います。 ホームで勝利を」。

そう。ホームで勝利を。色々な意味で次の讃岐戦が非常に重要なゲームになるなと思いました。

10月4日(土) 2014 J2リーグ戦 第35節
東京V 1 - 0 熊本 (13:03/駒沢/2,924人)
得点者:90'+5 平本一樹(東京V)


「ヴェルディは、前半戦の時、前から前からくるというよりは、ある程度引いてラインを作るという感じだったのですが、監督が代わって、前へのアグレッシブさが前半戦よりもあったかなという印象を受けました」(中山雄登)

冨樫剛一新監督が就任した東京V。3試合を戦い結果は1勝1分1敗。ここ2試合は無失点できています。シーズン途中での監督交代。良くも悪くもチームがリセットされていて、それまでとは違うモチベーションで向かってくる。29節、ホームで零敗を喫した札幌戦の残像がよぎります。やりにくい…。

そんな変化も織り込みながら「東京Vがここ数試合、アグレッシブな方向に舵を切って、攻守ともに積極性が出てきたので、そこにまずは受け身に入らないでそこを上回れるように入りました」と小野監督が言うように、十分な警戒感を持ってゲームに入った熊本でした。

20141004東京V

前半のシュート数は、熊本も東京もわずかに2。お互いに消し合うような展開でなかなかシュートまでつながらない。解説者が思わず「固いゲーム…」と呟く。ジリジリするようなせめぎ合いに終始した前半はアッと言う間に終わりました。

ハーフタイム。先手を打ったのは熊本。仲間に代えて昨年まで東京に在籍していた巻を前線に。

「相手がプレッシャーをかけられた時に細かいパスで相手の勢いをちょっと逆に勢い付かせてしまっていたところを変えようというところと、それと前にボールを奪いに来ていたので巻が少し前線で頑張って押し下げてくれればそこの間のスペースが使えるという2つの理由で後半から使いました」(小野監督)

狙い通り、前線のスペースにうまくボールが入りはじめ、立て続けに決定機を作る熊本。ここでゲームが動くか…と思わせましたが、しかしこれを決めきれず、逆に東京に押し返されてしまいます。

「…僕がいた頃は、若い選手はプレーがまだ淡白だったのですが、今日は球際もガツガツきて、セカンドボールとかもしっかりと対応してゲームを作ってくる姿をピッチの中で見て、すごい成長を感じました。」(巻誠一郎)

終盤は全くヴェルディの時間帯。“伝統”の細かいパス回しに切り刻まれ、押し込まれる。しかし、そんななかPAからつなごうとする熊本のプレーには、これまでの“課題”に対する修正が見られました。苦しい時間に、むやみにクリアしても相手の波状攻撃は終わらない。

ただ、東京Vの今日の終盤の圧力は、それをも上回りました。

結局、後半アディショナルタイムのラストプレーで失点してしまう。それまでゾーンディフェンスで失点を重ねていたヴェルディが、新監督になってそれを“捨て”、同じくゾーンで守る熊本からゴールを割って見せました。われわれもそうでしたが、現場の関東サポーターの皆さんには腰の抜けるようなショックな結末になってしまいました。

台風の接近もあって天気もすぐれず、週末は気持ちが沈み、落ち着かず、どうやって自分を納得させようかと思い悩んでいました。情けないですね。決めるべきところを決め切れなかったから…では、ちょっと前には向けませんよね。

「ヴェルディも泥臭くやっていたので、その差が最後に出てしまったかなと思います。僕らもそういうところをストロングポイントとしてやっていたので、そこで差をつけたかったのですが、逆にやられてしまった。もう一度みんなで修正したいと思います」(巻誠一郎」

2試合連続の0-1。零敗。終盤の失点。十分に戦術的なゲームで、決定機も作り、相手を追い詰めている。しかし…。明らかに差をつけて、圧倒しないと勝ち点はつかない。そんな典型のようなゲームでした。

5月18日(日) 2014 J2リーグ戦 第14節
熊本 0 - 0 東京V (14:03/水前寺/4,268人)


決定機もあったのですが、スコアレスドローでした。公式記録ではシュート数は熊本9、東京2。

「守備はほぼ完璧に近い形で、やられる気もしなかったし良かったと思うが、こういうゲームを勝ちにもっていけるようにしていきたい」(養父)
「シュートもほとんど打たれてないので、後ろからしてみれば結果的には完璧に近い内容だったのかなと思う」(畑)

そう選手たちが感じたように、われわれも試合の流れのなかでリスクを感じたのはセットプレーの場面だけというような。それでも、相手を封じ込めたというより、要所をぴしゃりと締めて、付け入るスキを与えなかったような印象。

湘南戦の敗戦明けのゲーム。ひとことでいえば「よく我慢した」のかなと。

20140518東京V

3連勝のあと、4連続引き分け。そして首位・無敗の湘南に1-3で敗戦を喫してのこのホームゲーム。ここは勝ち切りたい。勝利を、勝ち点3をと、気持ちはハヤリ、高ぶるのはやむを得ない。そんな状況は間違いなかったと思います。

ところが、小野監督はこの日の基本戦術について次のように振り返る。
「相手はこっちが人数をかけて攻撃に出てきてバランスを崩すのを待って、そこでカウンターで点を取って勝つというのがシナリオ」。
「自分の経験の中でも、こういうゲームでいけいけになってバランスを崩し、それで向こうの思うつぼになって失点を食らって負けてしまう」。

もうこれは、事前に完全なゲームのイメージがあってのことだったような。
「その術中にはまらないようにしながら攻撃を仕掛けるというのが、今日のゲームのいちばんのポイントだったし、そこは選手達がいい形で進めていってくれた」という指揮官。“よく我慢した”という所以です。

もちろん、それでもそのうえで勝ち切れるチームを目指していかなければいけないわけですが。

こういうゲームの受け止めとしては、「自分たちは守備で作っていくチームだし、良かった点もあると思うので、この引き分けをポジティブな方向に考えてやっていきたい」という養父の言葉に象徴されるでしょうか。

現在、14節を終わった時点で、4勝6分4敗の勝ち点18。得点15、失点17。思えば、昨年の同時期、14節を終わった時点で、4勝5分5敗 勝ち点17。得点16、失点16。昨年の第14節の岐阜戦、これもスコアレスドロー。データで見れば、実は昨年と同程度の成績で推移しているとも言える。

昨年は、ここから監督交代の引き金になった7月7日の松本戦までの9ゲームで得た勝ち点はわずかに5。何より、ホームでの1-4の栃木戦、0-7の北九州戦、0-3の松本戦。目の前での大敗、惨敗が続き、初めてのシーズン途中での監督交代劇となってしまいました。

こんなふうにデータをなぞっていけば安閑としてはいられないのも事実です。昨年のような、あんな思いはもう二度としたくない。ただ、自分たちが書いた昨年のエントリーを今見返すと、同じドローという結果でも、その受け止め方が微妙に違うのに気づかされます。そう、昨年は迷いがある、とでもいうべきか…。今は、負けても、引き分けても、われわれにも全く迷いがない。その差はなんだろうと考えたとき、それは指揮官から発せられる言葉に場当たりでない一貫した“説明力”があるからかも知れないと思いました。

さて、もうひとつ。リーグ戦も14試合、三分の一を消化し、序盤戦を終えた。そこで気になるのが、熊本にとってのもうひとつの敵、「暑さ」。

「これから暑くなるし、セットプレーやチャンスをしっかり決めるしかないと思う」(養父雄仁)
「暑さは相手も一緒なので、そういう時に相手を上回れるかでチャンスも広がるし、そこで試合が決まってくる。」(園田拓也)
「後半は暑さもあったので、奪いにいくことと縦パスを消しにいくことを意識した。」(橋本拳人)
…選手たちのコメントの端々に“暑さ”が出始める時季。

思えば、今年で10シーズン目。どの年をとっても、序盤戦での戦いぶりは、それほど悪くないものでした。むしろチームの課題は、いつもここからの中盤戦、暑さとの戦いと言ってもいいかもしれないくらいに、気候条件とチームのコンディションは密接にからんでいたと思います。熊本のこのチームが持って生まれた課題。

そこで気付くのは、GW連戦で見せた、選手のローテーション起用。ターンオーバーではなく、まさに“ローテーション職場”のように、選手は少しずつ入れ替わる。選手を“休ませ”ながら選手層を厚くしていくチーム運営。今日のゲームでもハーフタイムでの仲間→岡本の交代。そして、後半38分、橋本→黒木の交代など、そんな意図が見えるような。連戦対策としてだけでなく、熊本特有の暑さ対策としても選手のローテーション起用、戦術の一貫性を貫いている。そんな気がしてきました。

選手層とかチーム運営と言えば、今日の東京ヴェルディ。何人いただろうか、ユース出身の選手たちがピッチを躍動する。まぶしく見えたのはその若さや技術だけではなく、そんなチームになりたいなあという、われわれの夢が形になってそれを目の前で見せられたからかもしれない。

けれど、何人いただろうか、という点では、今日の熊本。岡本、巻、黒木、と交代カードを切って最終的には、ピッチ上に同時に7人の地元出身選手が立ったことになる。このJ2というカテゴリーで、これはなかなかニュースなことではなかったでしょうか。育成型クラブへと大きく舵を切ったチームですが、目指す姿の手前には、まずこんな在り方なのかなと思わせる場面でした。   

最後に一言。シュミット選手、ありがとう。わずか一か月の在籍とはいえ、熊本のピンチに颯爽と現れ、全力のプレーで応えてくれた。5月の風のように爽やかに。忘れません。お疲れさまでした。