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【J2第13節】(フクアリ)
千葉 2-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[千]町田也真人2(56分、74分)
<警告>
[千]近藤直也(34分)、長澤和輝(71分)
[熊]園田拓也(48分)、上村周平(85分)
観衆:14,163人


5月15日(日)。熊本の歴史にまたひとつ刻まれるであろう試合。16時きっかり。その開始を告げる笛が千葉のホーム・フクアリで高らかに鳴り響きました。それは、平成28年熊本地震によって、ちょうど一か月間、5試合を戦うことができなかった熊本にとってのリーグ復帰戦。“リスタート”を告げる笛でもありました。

サッカー専門紙のエルゴラッソは、この日のために一面から「おかえり熊本」と題した特集を組みました。それに応えるように熊本ゴール裏には「ただいま Jリーグ」という横断幕が掲げられ。試合前のサポーターはインタビューで、「ようやく日常が戻ってきた」(スカパー!)と答えた。そう。ロアッソの試合再開は、徐々に取り戻してきた“日常”のなかのひとつに違いない。ホームチームの試合を毎週末応援するという日常。

思いがけず千葉のサポーターからの野太い「熊本!」コール。それに応えて赤い一角からは「サンキュー!千葉」コールのお返し。もう、涙腺の弱くなったわれわれは既にウルウルです。

インフルエンザ罹患の影響もあったのかも知れませんが、今日熊本のリスタートのメンバーには、昨シーズンの怪我から1年ぶりに復帰した片山の姿も。GKは、益城町で自宅倒壊にみまわれた畑。そして、前線にはやはりこの人が。震災後、避難所への物資配給や子供たちとのサッカー教室などでチームの、いやクラブの”フラッグシップ”ともいえた巻。不思議なめぐりあわせで古巣との対戦となりました。

20160515千葉

「前半は0-0で凌いで、後半勝負」というのが清川監督の描いたゲームプランだったらしい。しかし、ピッチ上の選手たちはスタートからアグレッシブに入ります。一ヵ月ぶりにJリーグの舞台で公式戦を出来る喜びと、被災地への思いが、選手たちの闘争心をかき立てたのでしょう。

巻が前線の空中戦で身を投げ出すように相手と競ると、セカンドボールの回収に平繁が、清武が、岡本が走り、高柳が、上村が相手からボールを奪う。

4分には清武がバイタルで一人交わすとシュート。ディフェンスに入った千葉の近藤に当たり、コースが変わってGKの逆を突きますが、これを千葉GK・佐藤が片手一本残して弾き出す。ファインプレー。惜しい。

熊本のここ5試合のブランクの間、千葉は不調をきたし3引き分け2敗。勝ち点3しか獲得しておらず、この試合ぜひとも勝利が欲しい。徐々にペースを取り戻しますが、フィニッシュに精度を欠き得点まではいきません。熊本・清川監督のプランどおりのスコアレスで前半を終えます。

ただ、「後半勝負」。しかしそれは今の熊本にとって、厳しいゲームプランでもありました。1ヵ月に及ぶブランク。わずか2週間での調整。その間90分間の練習試合は一度だけ。その試合も一人45分だけの出場で、あとは紅白戦だけという状態には清川監督も「シーズン前のキャンプを見ているような」(スカパー!)と言っていた。

しかし、決してそれを「言い訳にはしたくない」と誓った選手たちですが、前エントリーで手倉森氏の「今回は彼ら(熊本)しか中断していない」という言葉を借りて心配したとおり、フィジカルコンディションの差は歴然でした。これほどまでのものなのか。いやもはや、コンディションという言葉が適切でもないような。彼らを突き動かしているのは、ただただ被災地・熊本の人たちに応えたいという気持ちだけだったような。そんな悲痛な感じさえしました。

組織的な守備が後手後手に回ると、選手間のスペースが空いて、千葉に思い通りに崩される。大きなサイドチェンジにスライドが追いつかない。

56分、前線で潰され奪われると、すぐさま千葉に右サイドを持ち込まれる。サイドチェンジぎみのアーリークロス。左サイドで拾った船山がシュート。ブロックするものの、そのこぼれ球に抜け出したのは町田。シュートはゴールに突き刺さります。失点。

熊本は平繁を下げて齋藤。岡本に代えて嶋田。なんとか攻勢を試みる。しかし、ボディコンタクトの度に体力が奪われる。追いつけないパスが送られる度に息が上がる。連携にも難がありました。

74分のゴールキック。畑が味方の上がりを待ち、的確なフィードを狙ってキックに時間を掛けようとしていた一瞬でした。千葉の町田が、そのほんの瞬間を見逃さずきびすを返して畑に襲い掛かる。畑のキックを身体でカットすると、そのままねじ込むようにゴールにします。追加点で突き放した千葉。町田ひとりの2得点。差は広がった。GK畑、痛恨のミスでした。

もう誰にぶつけることもできないような。”絶望感”さえ漂うそのとき。真っ先に畑に駆け寄ったのは巻でした。畑に言った。

「下を向くな。前を向いて行こう。俺たちが助ける」。

ほかの選手たちも駆け寄る。もう一度、やり直せる。
それはまるで、巻が避難所に物資を届けながら被災者に寄せていた思いと同じ。熊本の被災地へのメッセージと同じ。

79分、中盤でインターセプトした高柳からのカウンター。左サイドのスペースに絶妙のパス。好機。しかし清武がそのボールに追いつけない。既にその足は痙攣していました。

熊本は巻に代えてアンデルソンを2列目に入れ、清武と齋藤の2トップ。必死の戦いに、千葉も攻撃を終えて猛烈にダッシュして守備に戻らなければならない体力戦の様相。

アディッショナルタイムは5分。千葉は時間を使い始め、熊本には奪う力が残されていない。右サイド嶋田が、SB藏川を追い越させ、エンドラインぎりぎりからのクロス。中央でクリアされるこぼれ球を嶋田が左足で撃ちましたが枠の右に反れる。そして終了の笛を聞きました。

熊本のリーグ復帰戦は勝利では飾れませんでした。ゴール裏は「バモ!ロッソ男ならば、見せてくれ」とチャントを歌い続けた。それは、昨シーズンのあの最下位にもがいていた頃に、ただただ試合中ひとつだけ歌い続けたチャントでした。

熊本イレブンが熊本ゴール裏に挨拶に集まった後ろに、なんと千葉のイレブンの姿もありました。被災地から来たサポーターへのリスペクトを表して、挨拶に来てくれました。

熊本の選手たちはそのあとも、被災地熊本への支援を感謝するメッセージの書いた横断幕を掲げて場内を一周しました。それに対して、在籍当時の背番号18の巻のユニフォームを掲げて、「がんばれ熊本」コールを送る古参の千葉サポーターの姿も多数あり。そして、そのシーンを見て、熊本のゴール裏もまた泣いていた。

被災地・熊本のリーグ復帰戦という、ある意味難しい試合の相手として向き合ってくれた千葉。1万4千人という今シーズン最高の動員数で迎えてくれ、この環境を演出し、そして温かく激励してくれたことに感謝です。

もちろんチーム自身も、決して手加減などなく、ナイスゲームを創出してくれました。ありがとう千葉。あなた方が復帰戦の相手で、本当によかった。

巻は試合後のインタビューでこう答えました。
「熊本の人たちのために勝ち点1でも届けたかったのだが、結果は思い通りに行かなかった。けれど誰一人として諦めずにボールを追いかけたし、ひたむきに走っていたし、ゴールを目指していた。そういう思いは少なくとも(被災地の人々に)届けられたのではないかなと思います」と。

前節のエントリーで、「決して選手たちに、『復興のシンボル』のような”重責”を背負わせるわけにはいかない」と書きました。

今回、それを補足するとするなら、冒頭書いたように、ロアッソの試合の復活が日常の復旧のひとつという広い意味では「復興のシンボル」ともいえるかも知れない。物指しというような意味では。

しかし、ゴール裏のサポーターがインタビューに答えていたように、「選手たちは同じ被災者のはずなのに、ボランティアとして被災地を回り、自分たちに勇気を与えてくれた。今度はわれわれがサポーターとして後押しすることで彼らに少しでも元気を与えたい」。それが、われわれが、言いたかった気持ち全くそのままでした。

次節は柏でのホーム戦。リーグ戦復帰は叶ったものの、ホームスタジアムうまスタは使えず、しばらくは遠征が続きます。更には中断の間の試合の再設定による過密日程。

いずれにしても厳しい戦いが待っています。しかしそれを後押しすることが、震災と戦うことと同義なのだと思う今日の戦いでした。

【J2第26節】(フクアリ)
千葉 2-3(前半0-1)熊本
<得点者>
[千]オナイウ阿道(62分)、金井貢史(90分)
[熊]齊藤和樹2(30分、58分)、嶋田慎太郎(73分)
<警告>
[熊]黒木晃平(90分+6)
観衆:8,499人
主審:松尾一
副審:塚越由貴、大友一平


千葉に勝ったことがあったっけ? 無意識にそう思ってしまうほどの苦手意識。特にアウェイ・フクアリでは、大敗のイメージしかなく…。記録をたどれば、対戦成績は1勝4分6敗。そのわずかな1勝は、2012年7月2日のホームゲーム。途中出場の高橋祐太郎が出した絶妙のスルーパスに、武富が決めた1点を守ってのもの。そのときのエントリーの題名は「勝ったぞー!千葉に」。当時の興奮が思い出されます(笑)。

そして、そして。実に3年ぶりの勝利に再び叫びたい。「打ち勝ったぞー!千葉に」。しかも今回は、8000の千葉サポーターが圧倒的な声量で支配するド・アウェイ、フクアリ。その余韻もまた格別です。

前節、ヴェルディの試合開始早々からの圧力に耐え切れなかった熊本。今節の千葉も、同じように開始早々から押し込んでくるタイプのチーム。特に前回対戦では無用なPKを早々に与え、それでずるずると加点を許したこともあり…。試合への入り方が最初の勝敗の分岐点。小野監督も「序盤が勝負」(スカパー)と捕らえます。

20150726千葉

先手を取ったのは熊本。1分、右からのアーリークロスを清武が落として、齊藤が強烈ボレー。しかしこれはGKがブロック。9分にはロングボールを巻が落として、齊藤がボックス内でGKと交錯するも潰される。惜しい。実はこれが、この試合で熊本が一貫して”狙っていた”プレーでした。

対する千葉の攻勢も鋭い。熊本のサイドチェンジのパスミスを高い位置で奪って攻め立てる。好手・左SB中村がアーリークロス。ニアで熊本DFが触るものの、そのままの勢いで抜けファーにいたペチュニク。これはペチュニクにも合わず事なきを得ました。

先制は、そんな互角の戦いのなかの前半30分でした。ペナルティアーク付近から黒木。クリアぎみのロングボールが千葉DFの裏に通ると、そこに齊藤。飛び出したGKを交わし、ボックス内に入った。追いすがるDFにも競り勝つと、捻り込むようにゴールに決めました。これも難易度の高い”齊藤の角度”でした。

しかし千葉も反撃。2列目の谷澤、町田、ペチュニクにアタッキングサードを脅かされますが、今日もダニエルが、最後の最後、壁のように熊本のゴールマウスを守ります。

1点先取で前半を終える。千葉相手にこれだけでも初めてのことではなかったでしょうか。先制点を取ったら負けない。そんな自信が、確信に変わったのは58分。ダニエルから前線へ狙いすましたロングボール。齊藤が自分のコントロール内に見事に収めると、相手DFの甘い詰めを見透かしたような股抜きシュート。前に出てきたGKの脇を抜けてゴールに転がり込む。1点目よりさらに難しい、これも齊藤の角度。これで齊藤は自身キャリアハイの11得点目。チーム得点王はもちろん、リーグ2位に躍り出ます。

ところがやはり2-0が一番危ないのがサッカー。後半途中から入った千葉・オナイウ阿道が右にはたくと、クロスにペチュニクがヘッド。そのクリアが小さくなったところをボックス内に入ったオナイウにボレーでぶち込まれます。1点差。

後半開始早々も、そんなに押し込んでくる感じがしなかった千葉でしたが、この日のスカパー解説の城福氏が監督業の”真髄”を説明する。「ハーフタイムでの指示で後半期待する結果に変わるかも知れない。しかし、変わらないとき、早めに選手交代する」。それがまさしく安に代わって入ったオナイウだったでしょう。PAのちょっと外からのオナイウの強烈シュートはダニエルがなんとかブロック。1点差にした千葉に勢いが出始めます。

ここで熊本は清武から藏川にスウィッチ。このベテランの投入はまさに、千葉の勢いを抑えるとともに、チームを落ち着かせる意図に違いありませんでした。

千葉の底力をジワリジワリと感じる時間帯。耐え続ける。そして体力的にも最もキツイ時間帯でした。中盤、ファウルギリギリで奪った黒木が前につける。巻に代わって入った嶋田が、それを受けるとすぐに反転。迷わず短い振り幅で左足を振り抜いた。瞬間、スカパーの実況アナウンサーも「ゴラッソ!」と叫んだ。嶋田のミドルで放ったシュートは、敵GKが横っ飛びするものの、ゴール右隅に突き刺さる。「前節は自分のミスで失点した」と悔やんでいた嶋田が、前節ヴェルディの高木にやられたような、しかし、較べるべくもない美しいゴールで取り返してみせました。

これでまた2点差とした熊本。しかし、それでもまだ楽にはしてくれないのが千葉の怖さでした。もう後半も90分、やがてアディッショナルタイムに入ろうかとする時間。左からの中村の大きなクロスをファーでオナイウが折り返すと、中央の金井が絵に描いたようにボレーでネットを揺らす。再び1点差。勢いは再び千葉へ。

アディッショナルタイム4分もあれば、千葉の勢い、底力からすれば、同点、果ては逆転する”瞬発力”もありました。千葉はDFのキムを前線に上げてパワープレー。スタジアム全体が揺れるように後押しする。しかし、熊本もまたゴール裏に結集した赤いサポーターたちの懸命の後押し。人数では劣っても、押し返す。負けない。今日は、絶対勝つ!必ず勝てる!そんな思いを結集させて…。

そして、何とか4分を凌ぎきった。追いすがる千葉を突き放し、逃げ切っての勝利。貴重な勝ち点3ポイントを手にしました。

「最後はみんなの気持ちが相手を上回った。きれいな勝ちではなかったが・・・」と言うのは園田。「熊本らしく泥くさく勝つことができた」と言うのは養父(27日付熊日)。ただ、やはりこの試合、忘れてはならないのは先発起用された巻の存在。得点こそなかったものの、攻守に体を張ったその存在感。千葉に先手を与えず、ゲームを作った。「『僕が先発に入ったというのは、試合の入り方を間違えないため』と起用の意図は感じとっていた」(同熊日)。

先発しても、後半から入っても、巻の存在が大きい。替えが効かない存在になってきています。そして斉藤。万能型のFWなどとベタ褒めの解説・城福氏。確かに嬉しいんですが…。あまり目立ってしまうのもどうかと…。微妙なファン心理ではあります。

順位はわずかひとつ上げて18位となりました。しかし、降格圏21位の京都からは4ポイント差をつけ、14位群馬まで3ポイント差に迫った。3年ぶりとはいえ、千葉への苦手意識を払拭した勝利劇。それだけでなく大きな”勝ち点”を得た嬉しいゲームでした。

【J2第10節】(うまスタ)
熊本 0-4(前半0-2)千葉
<得点者>
[千]ネイツ・ペチュニク(5分)、キム・ヒョヌン2(15分、81分)、パウリーニョ(70分)
<警告>
[千]中村太亮(65分)
観衆:6,038人
主審:西村雄一
副審:相樂亨、三原純


妙にサバサバしています。もちろん戦前は勝利の可能性を信じていました。アップの前にスタンドに一礼にやってきたGK陣やフィールドプレヤーにも、立ち上がっていつも以上に拍手で鼓舞したし、ゴール裏の「HIKARI」の合唱も力強さが際立っていました。

いつも掲出されている選手名や各種の横断幕はなく、唯一掲げられたのは「チャレンジする事を恐れるな!闘う勇気を忘れるな!俺らと共に全力前進」という手書きのもののみ。

この一戦に賭ける思いは“ひとつ”であったろうと思います。

20150429千葉

しかし、「立ち上がりの失点がちょっと、自分たちのそれからのサッカーを難しくしてしまった部分があった」(九州J-PARK)と小野監督が言うように、開始5分にPA内でハンジンが町田を倒したという判定でPKを献上。前節と同じように早々に先制点を与えてしまいます。

その後は彼我の力の差をまざまざと見せつけられる。2点のビハインドで折り返した後半早々は、途中から入った巻や田中の活躍もあり、もちろん千葉が様子見だったこともあって、一時熊本の時間帯もありましたが、70分にパウリーニョに豪快なミドルを決められると、81分にはキム・ヒョヌンにこの日2点目となる追加点を与え、計4点という大差での敗戦となりました。

くどくどとチームの欠点を書いても仕方がない。ただひとつ見ていて思うのは、「他人(ひと)まかせ」な感じがするということ。ゴール前でのクリアにとどまらず、パスがずれたときの受け手の行動、パスを出したあとの出し手の行動、ミスした後のアクションなどなど要所要所で、ちょっとしたところで、少しずつですが、「他人(ひと)まかせ」そんな意識が見える。自分でなんとかする。自分で取り返しに行く。そんな切迫感が見えない。これは大きな気がかりです。

岐阜が長崎に勝利したことによって最下位に転落。上等だ。わかりやすいじゃないか。ここから這い上がっていくしかない。

試合中も試合後も特段イライラせずに済んだのは、前節と比べたら入場者が6千人に復活していたこと。そのなかのわれわれの後ろに座った若いカップルの彼女の方が、「これ(この場面)ロアッソがやばいよね」とか「今のはロアッソにとっていいこと?」と、可愛い質問をしていたのがなんとも微笑ましかったからかも知れません。

そして感動したのは、この日ゴール裏がただ一曲のチャントを延々と歌い続けたこと。飛び跳ね続けたこと。相手選手を威嚇するでなく、主審の判定に異を唱えるでもなく、ただひたすらに自分たちの選手を鼓舞するためにだけ歌い続けた。終了の笛が鳴っても、ある意味惨敗といえる結果をも受け止め、それを超えて…。そしてゴール裏に選手が挨拶にきても歌い飛び跳ね続け、それはとうとう選手がロッカールームに消えるまでスタジアムに響き続きました。

ようやく場内が静かになったとき、残っていた他の観客から、メインスタンドからもバックスタンドからも拍手が起こり始めました。それはわれわれの、素晴らしいゴール裏のサポーターに送られたものでした。

涙腺が弱くなった年寄りは、たまらず慌ててその場をあとにしました。

8月17日(日) 2014 J2リーグ戦 第27節
熊本 0 - 0 千葉 (19:03/うまスタ/5,357人)


格上の強豪を相手に勝つときは、こんな試合のときなんだろうな、と試合中ずっと思っていました。監督交代から負けなしという関塚・千葉に初めて土をつけるのは熊本だと。残り2分になって高橋が投入されたときも、「殊勲点を決めるのは祐太郎か」と想像したぐらい。それほど勝利の女神が近づいていた試合。悔しさもいっそうです。

直近の対戦を見返してみると、ケンペス一人にやられていました。
昨シーズン前半戦 0-3(前半10分にケンペス先制点、75分ケンペスダメ押し点)
昨シーズン後半戦 0-6(ケンペス3得点)
今シーズン前半戦 0-3(ケンペス前半2分に先制点)

これ以前の3シーズンの対戦成績は1勝2敗3分で、比較的よく戦っていたイメージもあって、われわれにもそこまでの苦手意識はなかったように記憶しているのですが…。いやはや、ここまでやられてしまうと、どうしたらいいのか…。

しかし、ひとつだけ言えるのは、課題はこの大量失点という表面的なことではなく、とにかくこのケンペスに仕事をさせないこと、そして早い時間帯での先制を“絶対に”阻止すること。われわれの素人評論では、ある意味で、これがほとんど全てと言っていいくらい重要なことのように思われました。

そして今日のゲーム、それは試合運び、特にゲームへの入りから徹底していたように見えました。

20140817千葉

「今日は立ち上がりの10分、15分が勝負になると思っていました。どの試合を見ても、ジェフは立ち上がりで圧力をかけて点を奪う、あるいはそこで主導権を取っていく。そこを何とかしのいでいけば、いくつかのポイントの中で自分たちのゲームに持っていけるんじゃないかということで…」(小野監督)

全神経を集中して試合開始のホイッスルを聞いた熊本の選手たち。監督の予想通り、パス数、パス成功率がリーグ1、2位という千葉の巧みなボール回し。ただ、それはわかっていたことであり、ゲーム序盤では織り込み済みのイメージ。ある程度、回されて押し込まれることは承知。

「15分くらいすると向こうも若干運動量が落ちて、そこでしっかりとつないで、ボールをコントロールしていくことによって逆に相手の消耗を誘うことができた。」
「そこで失点してしまうと向こうが疲れをそんなに感じなくなりエネルギーが増してしまうので、そこを何とかしのいで徐々にペースを持ってきた。」

指揮官がそう振り返るとおり、徐々に熊本がセカンドボールをひろいはじめ、主導権が移り始める。

「熊本が球際をキツく寄せてきたなかで、自分たちのミスからピンチを招いたり、悪い取られ方をしたりして、自分たちのリズムがだんだん掴めなくなってきた感じだった」。千葉のGK岡本もそう証言します。

さらに、主導権を奪い返してからも、このケンペスにプレーをさせないこと。フリーにしない、スペースを与えない、パスの供給源を絶ち孤立させる、振り向かせない…。多分、ありとあらゆる対策を集中して、…サッカーをさせないこと。90分間、一瞬のスキも与えない。ほぼ、完全に封じ込めることができた。

「たとえ相手に触られても、勝つヘディングと負けないヘディングということで少しトレーニングの中でやりました」と指揮官が言う。この一週間、ヘディングで競り負けない練習からやったというくらい。

「ケンペス選手はたぶん、片山と園田の間を取っていたんですけども、篠原が引っ張り出された時もボランチが下りてきてくれたので、センターバックと競り合うシーンというのは中盤がうまく作ってくれたんじゃないかなと思ってます。いいポジションを取り続けるのは大変だったと思うんですけど、そのことで確実な起点を作らせずに済んだと思ってます。あとは、園田、篠原を中心にしっかりと競って、周りもセカンドボールを拾ってくれたと思います」と、高い連携で守り切ったことも明かしています。

どうしようもない、崩された決定的なシーンは全くと言っていいくらいなかった。今日のそのわかりやすいシンプルな戦術が、全体の緊張感、集中力につながり、ゲーム自体の一貫性、統一感につながっていった。ゲームの質自体が高まっていった。

しかし、それでも千葉は千葉。
「…数少ないチャンスで決めるのが大事」と谷澤が言えば、岡本は「…こういう展開ならしっかり守りながらなんとか1点取りたいゲームだったと思う。どんなに内容が悪くても、1発で沈めないといけない。」と狙っているわけで、90分間のなかのその一瞬でやられてしまう。それこそワンプレーで全てが水の泡になってしまうような緊張感に痺れるような展開がアディッショナルタイムの4分まで続きました。

「今季の中でも本当に、素晴らしい試合をしてくれたと自分の中では思っています」と指揮官が評価する。それはわれわれも同じ。小野監督の優れたスカウティング力が結集したようなゲーム。だからこその引き分けの悔しさです。これだけのゲーム。結果論でも、タラレバでもない。勝ちたかった…。勝つべき試合だった。そう思います。

2014.04.02 千葉戦。完敗
3月30日(日) 2014 J2リーグ戦 第5節
千葉 3 - 0 熊本 (16:03/フクアリ/5,957人)
得点者:2' ケンペス(千葉)、56' オウンゴール(千葉)、71' 谷澤達也(千葉)


先週も書いたことですが、良いイメージが全くないこのフクアリの千葉戦。厳しい結果にもへこたれないように、結構な覚悟と、相当に悪いシナリオも思い描いて臨んだのですが…。

実際のゲームは、それを上回るような、単なる一つの敗戦以上にダメージの残るものになってしまいました。“とても古典的”とでも言えるような、嫌なゲームでした。

20140330千葉戦

浮足立ったようなゲームへの入り。厳しく行ってはじめてゲームを作れるチームなのに。どうしても同じことを繰り返してしまう。

左サイドから攻撃の起点を作る熊本に対して、すかさず千葉はサイドハーフの井出と谷澤をポジションチェンジ。マッチアップの相手を変えるだけで、うまくいくということではないだろうけれど、意識的に片山サイドを封じようとする戦術をとられると厳しいことになるというのがわかる。

ただ、先制されてからの時間帯をじっくりと耐えて、追加点を与えず、立て直して攻勢に転じるというところまでは「フクアリの千葉戦」でもできたわけで。しばらくは五分五分の時間帯と、あわやの決定機がいくつかありました。そこに関してはチームの成長。相手がどこであろうと、場所がどこであろうと。

しかし。さあ、これから。と思わせたところでの養父のオウンゴール。後半開始から千葉も圧力を増したとはいえ、このゲームの流れを決定的にしてしまったプレー。精神的にもこれが一番、厳しいものでした。

「相手のクロスが来ていて、スルーする判断はあり得ない」と養父。プレー自体は悪くないし当然の判断。しかし…。ついてない。

われわれの見立てとしては、今季の熊本は“養父のチーム”。養父の調子に大いに左右されるという意味もあって。開幕してからの5戦。これといったラッキーもなく、どちらかと言えばアンラッキーが目立ち。結果がともなわず、苦しい滑り出し。ひとつの気懸りは、養父のそのコンディションでした。しかし、それもまだまだの感がありながら、プレーぶりにも少しずつ上向いている気配は感じられていた。

そこでのオウンゴール。参ってしまったのはわれわれだけではないだろうと思う。引きずらなければいいと願います。

相手選手退場の場面から後は、数的な有利不利というより、「ゲームが壊れた」(千葉・鈴木監督)と言うような、どこを向いて戦っているのかわからなくなってしまうような嫌な空気がスタジアムを覆ってしまった。2点ビハインドの熊本にとっても勢いの持っていきどころが見えなくなって、ゲームに集中できないような、何とも言いようのない状況になってしまいました。

とにかく、このクラスのチームからはボールが奪えない。保持したボールをすぐに失ってしまう。まあ、こんな時こそ、何か一つでも良いきざし、次につながるものを見つけたいと思って、砂を噛むような気持ちでゲームを見続けたのですが…。今日ばかりは、なかなか、それが見つけられない。ここまでのシナリオは用意していなかったわれわれでした。こんな時は、切り替え!切り替え! と言うしかないんでしょうね。