11月4日(日) 2012 J2リーグ戦 第41節
甲府 2 - 0 熊本 (13:04/中銀スタ/13,050人)
得点者:56' オウンゴ-ル(甲府)、74' 井澤惇(甲府)


前回対戦は5月。その時点での甲府はまだ城福サッカーが試行錯誤の状態だったのか。あるいはダヴィも山本も欠く布陣だったからか。スコアレスドローに終わったその試合のエントリーでは「勝てた試合だった」、そう悔しがって書いています。しかし、最終節を前にして再びの対戦となった甲府は、すでにリーグ優勝を決め、しかも22試合負けなしというJ2記録を更新中。そして、前線には32という突出したゴール数を積み上げたダヴィが。

甲府20121104

「今日は思いっきりやるだけだった。守備のポイントとして、ダヴィはある程度抑えることができたと思う」と、試合後高木監督は振り返りました。「ある程度抑えることができた」というように、センターバックとボランチでダヴィを抑えにかかった熊本。ある程度、支配され、攻め込まれることを見越していたようで、スカパー解説者も試合途中、攻めている甲府よりも、決定機を与えない熊本に、実は主導権があるのではないか、と言うような展開。

しかし、その攻守のカナメとして踏ん張っていた原田が、前半のうちに、ダヴィのアフター気味のバックチャージによるダメージから交代してしまった。代わって吉井が入る。しかし、見ている側からは、この予期しないアクシデントが、今日のゲームの流れを決定づけてしまったように思われました。

そして福王。2枚のカードであえなく退場。これもダヴィ。スピードで振り切られまいと手がでてしまうのか、うまく、体を入れてファールせざるを得ない状況を作り出しているのか。

後半に入った11分。持ちこたえていた守備がとうとう決壊します。フェルナンジーニョが右サイドで持つと、ダヴィが入るまでの”時間”を作る。低いクロスが送られると、ダヴィを背にした矢野が痛恨のクリアミス。オウンゴールで先制点を献上してしまいました。

29分にはフェルナンジーニョが縦に入れる。井沢がそれをダヴィに当て、ワンツーで熊本DFラインを切り裂きました。至近距離から打たれたシュートはさすがの南も防ぎようがなかった。

いずれにせよ、「ダヴィはある程度抑えることができた」が、結局、別の意味でダヴィにやられてしまったとも言えましょう。あれだけひとりのプレーヤーにエネルギーを割いてしまうと、全体のバランスを欠いてしまうのも致し方ないのか。「J2レベルではない」(熊日)と福王は悔しがりますが、しかし、このクラスを普通に止めきれないと、やはり勝てないし、J1に昇格することは難しいということでしょう。

ただ甲府はダヴィが中心ではあるにせよ、彼だけのチームではありませんでした。城福監督は、その著書で、自らの戦術を「裏」「時間」「幅」の3つだと書いています。「裏」はもちろん敵DFの裏を狙う選手。「時間」はボールを溜めて時間を作り、味方の上がりを待てる選手。「幅」はもちろんピッチを大きく使ったサイドチェンジやサイド攻撃のことを指す。永里や柏が裏を突く。フェルナンジーニョは時間を作る。福田や佐々木が幅を使う。そのうえで、傑出した存在のダヴィが躍動する。

熊本もリーグ戦終盤に至ってチームが成熟した。しかし城福監督は、それ以上に甲府というチームを”作り上げた”。5月以来の対戦でまさしく実感した変化でした。

「攻撃ではミスでできないことがあった」と高木監督が言う。敵陣に入ってからのそれは、後半から顕著になりましたが、前半は自陣からのロングパスが多用され、どうもチームの”重心”が後ろにあるような感じがこの試合を通してしていました。それはピッチの外でこの試合を観ていた主将・藤本のブログの分析にもあるように。養父の言葉を借りればそれは「相手をリスペクトしすぎた」ということなのかも知れません。

優勝チームであり、22試合不敗という記録を更新しているチーム。1万3千人以上のファンをスタジアムに集め、試合終了後には優勝セレモニーで”シャーレ”を掲げた。海野会長は挨拶で、あの苦境時代、初めて観客3000人を越したときの喜びを感慨深げに思い出していた。勝つということ、優勝するということの意味。チームのメンタリティを、その肌で実感できた。選手も、ファンも。熊本に足りないものも、課題もともに感じることができた。

しかし負け惜しみでもなんでもなく。これまで、圧倒的な強さで昇格していったチーム、広島、柏、FC東京。仰ぎ見るような存在。そんな距離感もだいぶ縮まってきたような印象もあります。プロビンチャのお手本という意味でも、少しでも近づきたい。そしていつかは、圧倒的でなくてもいいから、僅差でもいいから膝を着かせたい。

「チームは6位以内の可能性はないが、いいチームを作ろうとみんな気持ちが入っている。ホーム最終戦と天皇杯は頑張りたい。もっといいチーム、クラブにしていきたい」。養父の言葉からは、希望を持って前を向いている力強さがすでに感じられます。ただ、これまで培った(本来の熊本の)力を、この試合で出し切れなかったことは、相当無念だったに違いない。

試合終了後、ダヴィを始めとした甲府の選手たちが、養父に対して当然厚く(見ようによっては手荒く)挨拶を交わす姿をテレビ画面越しに見ながら、ああ甲府の選手たちは”養父の“熊本と戦ったんだという思いがしました。養父が10番を背負い、タクトを振る熊本。だからこそこの終盤に来て好調なのだろうという思い。そんな古巣の盟友たちの”期待”に応えられなかったことが、養父は相当悔しかったのではないでしょうか。フェルナンジーニョに再三振り切られ、スライディングから起き上がったときの養父のため息に似た苦笑い。それは、そんな彼の気持ちを垣間見たようで仕様がありません。

次節、今季最終節。ホームでの見納め。最後の戦い。片山は帰ってくるものの、原田は状態次第。福王は出場停止。満身創痍のチーム事情。すでに力を出しきり、最後の力を振り絞るわがホームチーム。そして熊本の明日につながる戦いともいえる。

いろんな思いを胸に。リーグ最終戦。一緒に戦いましょう。

5月13日(日) 2012 J2リーグ戦 第14節
熊本 0 - 0 甲府 (16:04/熊本/4,182人)


試合終了後、ゴール裏に行く甲府の選手達に対して、サポーターから強烈なブーイングが、これでもかと言うくらいに浴びせられました。甲府サポーターの不満の声が、このゲームを物語っている。滅多にこんな言い方はしないんですが、熊本にとって今日は”勝てた試合だった”。甲府に決定機を作らせなかった。そして多くの決定機を作った。1分7敗という一方的に分が悪い対戦成績。染みついた苦手意識。その苦い思いを払しょくする絶好の機会だった。だからこそ余計に。残念です。

長くCBの中心を務めていた吉井を累積警告で欠く。その代わりには本職ともいえる福王。前節は藏川が務めた左WBには片山が復帰して、その藏川は原田とともにボランチに入りました。おやっと思ったのは、敢えてよく古巣対決という起用のしかたで選手を鼓舞する高木監督が、養父をベンチスタートさせたこと。特に前日の熊日が予想した養父のシャドー起用という“奇策”にワクワクしていただけに。ただ、それは後半に準備されていたカードであったことがあとでわかるのですが、またある意味“幻”のフォーメーションに終わってしまうのです。

甲府戦450

とても慎重に試合に入ったという緊張感は、観ているわれわれにも伝わってきました。「前半のプランニングとしては、基本的に失点してはいけないということで…」と高木監督。熊本はいつもよりリトリートして、しっかりブロックを作る。終始、バランスを崩さず、サイドもバイタルもガッチリと固める。ポゼッションは与えるが、崩されない。そのまま我慢。じっと我慢。奪ってはシンプルに長いボールで相手DFの裏をつく。これを斉藤や五領が粘ってCKをもぎ取る。

「サイドの選手があまり速くアプローチに行ってしまうと、我々がギャップを作ってしまうことがあったので、意図的に開けない形を選択しました。前の3人の追い方に関しては、人につきすぎて1トップで両サイドを下げられる状況になったので、そこは途中で指示も出したんですが、なかなかうまくいかなかった。そこがうまくいけば、もっとサイドも高い位置に出れたと思いますが、相手のボランチのところに効果的なアプローチがかけられなかった分、後ろを割られることは前半に関しては無かったと思う」(J's goal)と手の内を明かす高木監督。いつになく饒舌に感じるのは、今日のこの采配に手ごたえを感じたからなのでしょう。

15分の右CK。競ってこぼれたところに福王がグラウンダーで撃つものの、DFに当たりポストに跳ね返される。再び撃つがGK。

甲府は序盤こそシステムのミスマッチを生かしてポゼッションを持ったものの、徐々に停滞してくる。目立つパスミス。精度のないクロス。あの甲府が…。

片桐(甲府)が言います。「チームになっていなくて、個人で行っている感じが強い。何が悪いのかはっきりしない状況。決定的なチャンスを作れない。言いたいことを全部言わないけれど、何が問題なのか分からない不安もある」。

34分、五領が左サイドでひとり交わしてクロスを入れる。ゴール前には合わないものの、スタンドが沸く。今日の五領もいい。ミスもある。ボールを獲られることもあるけれど、前に行く意思、向かっていく闘志ははっきりと伝わります。相手の嫌がる動きをしている。もう少し。もう少しだという感じ。

後半に入っても47分、左CKから福王のフリーのヘッドは味方に当たってしまう。前節から引き続きミドルの意識も高い。大きくはずすこともあるが、際どいシュートも2本、3本。54分のバイタルエリアからの藏川のミドル、64分の原田のシュートもGK荻に阻まれる。ゴール前からのこぼれ、セカンドを意識したポジションどりで、シュートまで持っていく形ができていました。

そして斉藤から武富への交代。長い故障から癒えたばかりの武富がピッチに登場すると、待ちわびていたファンの盛大な拍手。何となく一回り体が大きくなったような。さらには五領から養父。このタイミングで熊日予想どおりの養父のシャドー。彼の実力を知っている甲府相手だからこそ、一番効果的な時間帯で一番嫌な選手の”攻撃的な”投入。よーし、さぁこれからだ。そう勢いづいたところだったのですが…。

原田が高崎を残り足で払ったという判定で、この日2枚目のイエローで退場。一気にプランの修正を余儀なくされる。スタンドで見守っていたであろう主将・藤本は、自身のブログで「あえて拓に苦言を言うならば、あの場面は我慢しなければいけなかった。カードを1枚もらっている中で、どうしようもない場面ではなかった」と指摘します。それも、その試合展開だけを悔やむのではなく、「チーム状況も苦しい中、大事な選手が出られなくなるのは、この試合だけではなく、次の試合にも影響する。よくよく理解して、プレーの選択をして欲しい」と。全くそのとおりでした。

それでも指揮官が「10人になってからも、1.5人とは言わないまでも、1人分を上回るようなプレーを見せてくれた」と言うように、ボールは確かに持たれてしまうが、熊本のバランスは変わらないし、チャンスを作るのは熊本。85分には養父のFK。クンシクに代わって入った高橋に惜しくも合わず。アディッショナルタイムに入っても、スローインから養父が、走りこんでくる市村にマイナスパス。決定機でしたがシュートはゴール左にそれていきました。

終盤、審判の判定をめぐって、やや集中を欠くようなゲームになりましたが、後半45分以降、4枚のイエローをもらう甲府。(それまでの90分は熊本だけが4枚のイエローと1枚のレッドだったわけで)。いかに甲府側にも焦りがあったかがわかります。

J1からの降格チームの甲府。新たに就任した城福監督の甲府は「ムービーング・フットボール」を標榜するとおり、かつての大木さんが培った”クローズ”戦術とは違い、ピッチを大きく使ってくる、いわばオーソドックスなものでした。しかし、何か動きに約束事があるのか、オートマティズムも無ければ、個の打開もない。これが現在リーグ得点王のダヴィや、守りの要の山本を欠いた試合だったからだけなのか。だとしても(だとしたら)、今日は甲府を下す絶好の機会でした。

南の怪我で、前節途中からゴールを守るGK岩丸。今日はスタートから安定したセービングでチーム全体を落ち着かせました。「皆頑張ってくれているし、GKが僕に替わって、皆がシュートを打たせないようにしてくれてるのかなと思う」というコメントは、謙虚な上になかなか深い。

「スタジアムの雰囲気も、何かしら僕の中では(今までと)少し違うなという雰囲気があって、立ち上がりから選手たちにパワーを与えてくれたなというのを感じてます」と高木監督が言うのは、確かにわれわれも感じたことでした。それは今節から試合前の選手紹介で、DJコバとの掛け合いに選手別のオリジナル・コールを交えるという”演出”の効果もあったに違いありません。一体感が増した。バックスタンドへの呼びかけもしかり。ただ、それだけではなく何だろう、ゴール裏の声も低く、声量も大きく感じるようになった。それは文字通り”腹の据わった感じ”というべきか。

さあ、千葉、山形と続く対戦。下を見ると怖いので見ないようにしているけれど。確かに勝ちからはずいぶん遠ざかっているけれど。勝ち点1の意味は重い。積み重ねること。それしかない。ここが踏ん張りどころだと信じて。

ああ、それにしても惜しかった。

9月19日(日) 2010 J2リーグ戦 第26節
甲府 3 - 3 熊本 (16:03/小瀬/12,750人)
得点者:33' 筑城和人(熊本)、35' パウリーニョ(甲府)、38' 秋本倫孝(甲府)、39' 宇留野純(熊本)、61' パウリーニョ(甲府)、77' ファビオ(熊本)


3連休の中日。秋晴れの小瀬スポーツ公園陸上競技場。背後に見える美しい稜線は南アルプスなのでしょうか。相変わらずわれわれはテレビ画面のこちら側で、ホームチームの勝利を願います。試合前の高木監督へのインタビュー。甲府に対するスカウティングを「このところ追いついたり、追いつかれたり。不安定な印象を受ける」と言っていた高木監督。まさにこの試合もそのとおりの展開になりました。

甲府 (先発フォーメーション)
 14ハーフナーマイク 
15パウリーニョ27柏
10藤田8養父
 2秋本 
13内山6吉田
5ダニエル4山本
 1荻 

序盤は慎重な入り方の熊本。しっかりとブロックを作って甲府の出方を見ているような。リスクを冒さないその姿勢は、まるで前節・水戸戦を彷彿とさせるような。次第次第に甲府のポゼッションが際立ってくる。原田がパウリーニョを倒して与えたFKは、Pアークの少し左。そのパウリーニョが放ったキックは、大きく左に反れてくれて事なきを得ます。対して熊本は西がパスカット。平木に繋いで再び西。西が中央から突破しようとした松橋へ。渡ればビッグチャンスといったところでした。

やはり狭いところは通してくれない甲府。裏を狙ったロングボールが跳ね返され、そのセカンドもなかなか拾えない。養父が放ったミドルシュートは枠を外れますがちょっとヒヤリ。前回対戦の決勝点が頭をよぎります。ただ、甲府のタワー、ハーフナーマイクには、CBの矢野、福王、そして今節は右SBに入った長身のソンジンが、挟み込むようにカバーしあって自由にはさせていない。一度だけ、PA内中央でマイクがDFを背にしながら反転してシュート。これは南の手中に収まりました。

甲府の攻勢をじっと凌いでいるような熊本。一方的な守勢のように見えて、しかしこれもゲームプランどおり。根底には強い自信と戦術への信念が感じられるようでした。それが実を結んだのは33分。右サイドの狭いところをシュートパスで繋いでいくと、松橋は左から全速力で上がってきた筑城に出す。筑城がDF二人を切り返して右足に持ち直すと振り切った。熊本のこの試合ファーストシュートが、ゴールとなって突き刺さる。そしてそれは筑城にとってもプロ入り初ゴールでした。

もちろんこれで気落ちするほど甲府も“若く”はありません。ここから試合は一気に動きだしました。右サイドで得たFK。熊本がクリアしますが、ハーフウェイラインぐらいから再び入れる。ダニエルと競りながら福王が反らしたボールは、あいにくゴールに正対したパウリーニョの丁度足元へ。一蹴したキックはゴール右角に突き刺さり同点とします。

さらに38分、甲府はCKからニアに走りこんだ秋本が右足で角度を変える。妙なバウンドになったそのボールは、詰めていたパウリーニョにも、手を伸ばした南にも触れられない軌道でゴール左角に転がり込みました。

一気に逆転の甲府。しかし湧き上がる甲府サポーターを一瞬にして沈黙させたのは、古巣との対戦も数度目になった宇留野でした。左サイドから筑城のクロス。ニアで平木が反らすとPアーク付近から松橋がシュート。DFのクリアを今度は右から西。西から最後は中央で宇留野が落ち着いて押し込む。今度は熊本が波状攻撃で甲府DFを切り裂き、試合を再び振り出しに戻します。わずか5分あまりに4点が入る目まぐるしいシーソーゲーム。宇留野のことをよく知っている甲府のゴール裏が静かになる。「好調の宇留野は止められない。」そんなことを思わせたのではないでしょうか。

点の取り合いはやや意外でしたが、前半を終えて同点というのはプランどおりにも思えました。しかし試合後のコメントを見ると熊本の指揮官は「もう少しボールを繋ぐことに積極的に関わってほしかった」と、前半の内容的に不満を感じていました。ハーフタイムに叱咤されたのかも知れません。それが通じたのか、後半熊本はポゼッション重視に転換していきます。甲府もこのまま終われるわけがない。試合は俄然、攻守切り替えの早い“撃ち合い”の様相を帯びてきました。

甲府は右から吉田、左から内山が突破を図り、あるいはアーリーでクロスを上げてくる。落ち着いて跳ね返していたように見えた熊本のDFラインでしたが、思えばそのプレッシャーにじりじりと後退を余儀なくされていたのかも知れません。左から作っていく甲府にバイタルエリアが広げられる。パウリーニョがPA内のマイクに入れる。マイクをポストに使うプレー。福王がぴったりとマイクに張り付いていたのですが、思わずひっぱり倒してしまう。PK。そのPKをパウリーニョがきっちりと決めると、再び甲府が突き放しにかかります。

すかさず熊本は平木を下げてファビオ。それは「こんなくらいで下を向くな」という指揮官からの強いメッセージでした。さすがにこの長身のブラジル人が入ると警戒する甲府DF。ダニエルがぴったりとマークする。山本が狡猾なプレーで潰す。イライラ感の見えるファビオ。カウンターの芽を潰され、更に主審の度重なる笛、そして示されたイエローカードに、丹精な顔が歪んでいく。途中出場ながらカード2枚を貰って退場し、「猛省を」と試合後の指揮官に言わしめたあの岐阜戦のときのように、今日は“若さ”だけが前面に出てしまうのか。

袖をめくったファビオ。それと同時にちょっと気持ちを切り替えたのかも知れません。スローインにDFを背負いながら反転するとシュート。これはGKがキープ。しかし続く77分、松橋の左からのシュートが枠を大きく反れて右サイドへ。相手DFも追うのをやめたルーズボール。宇留野が猛烈にダッシュしてそれに追いつき拾う。一度中盤とパス交換すると、グラウンダーで中へ入れる。それは甲府のDFがパスにも球際にも詰め切れなかった、足が止まった瞬間でした。Pアーク付近でDFを背にしていたファビオが貰う。回りこむようにDFを交わすと、速いタイミングと小さな振り幅でシュート。意表を突かれたGKの手をかすめてゴール左角に転がりこんだ。同点!「どうだ!」とばかりに選手たちが喜ぶなか、当のファビオが真っ先に走り寄ったのは、ベンチスタッフの通訳エジソン氏でした。いの一番にエジソンと抱き合う。そのまわりから選手たちが抱きつく。エジソンはファビオの背中を叩く。ユニを揺さぶって嬉しそうに何か叫んでいる。

「この短い期間の中、波があったのですが、それでも本人は日本のサッカーに対し理解を深め、監督やチームメイトとのコミュニケーションを精一杯とりながらチームがやろうとしているサッカーを彼なりにやっていこうと努力しているのだと思います」。

早川エジソン正吉氏は自身のブログで、直近のファビオの様子をそう語ってくれていました。ようやく手に入れた出場機会。それを活かして活躍したが、すぐに大きな怪我に見舞われた。言葉のわからない孤独な異国の生活のなかで、必死にリハビリに向った日々を支えた陰には、きっとこの人の力添えもあったのではないでしょうか。自身も若き日、単身ブラジルから日本へやってきて、日本のサッカー界で想像以上の苦労を重ねたことでしょう。縁あってブレイズ熊本でプレーし、その後は今年解雇されるまで福岡で選手通訳を努め、多くの選手を物心両面にわたり面倒をみた。自ら経験したからこそ、あとから続いてくる若いブラジルの選手たちの気持ちが痛いほどわかるのだろう。“親代わり”といった月並みな表現では表せないほど、この人の選手を思う愛情がそのブログから伝わってきます。
外国籍選手に限らず“メンタル面”管理が重視される現代のチームマネジメントにおいて、いわずもがな何もないのがわがクラブ。この非常勤職ともいえるエジソン氏の存在が、きっと多くのことを救っているに違いない。ファビオと彼の抱擁シーン。いつもなら神にささげる、お得意の指を天にかざすポーズより何より、真っ先に彼に感謝の意を示したこのシーンは、われわれにそんなことを思わせました。

甲府はもちろん負けられない。熊本も勝利しか望んでいませんでした。ソンジンを下げて片山を左SBに投入。さらに攻撃的なクロスの供給を期待する。甲府はパウリーニョと柏を諦め、マラニョンとキムシンヨンの2枚代え。どちらも熊本にとっては、非常に嫌な印象を残しているプレーヤー。これに対して熊本も藤田という最終カードで対抗する。残り時間はわずかに10分。

ところが今度はキムの試合への入り方が悪いことが熊本に幸いしました。やる気が空回りしてファールが多い。キムの顔が歪んでいる分、甲府の攻撃が繋がらない。マラニョンに至っては、どこにいるのか、存在自体がまったく消えていました。

甲府は養父に代えて最後のカードは松橋。兄弟対決。アディショナルタイムは4分。互いに疲れが見え始め、ミスが目立つ。しかし最後まで走りきったチームが勝つ。甲府・吉田のアーリークロス。ファーでジャンプするのは2人の甲府選手。そこに届く前に南がなんとかパンチング。再びアーリークロス。今度は南がきっちりキャッチする。と終了のホイッスルが鳴りました。

試合終了後、腕組みし静まり返る甲府のゴール裏が映し出されました。アナウンサーは「(熊本が)互角以上の展開を演じた」と評し、解説者も「(熊本にとって)次の試合、果ては来季にも繋がる試合だった。これから伸び率のあるチームだ」と賞賛しました。思えば08年の甲府との初アウェー試合。小森田の得点で一矢報いたものの、結果3-1で圧勝された。あのときの解説者は、まるでわれわれのチームに“お説教”のような指摘を嫌というほど繰り返しました。J1を経験してきたばかりの降格チームが、昇格したばかりのチームを見下すようなおせっかいな言及。あの日の屈辱。もしかしたらあの日のあの解説者と同じ人ではなかったろうかとも思うのです。

何度も挑み、何度も跳ね返された続けた“甲府”という壁。それはアルプスにそびえ立つ難壁のようであり。その強さにおののき、自らとの力の差を少しでも縮めようと目標にしてきたチームとも言えるでしょう。初めての対戦では、幸運が味方して“金星”を得た。しかしその後は、圧倒的な力で捻じ伏せられ、対戦ごとに力の差が身に沁みた。対戦するごとに一歩、また一歩とにじり寄ったつもりでも、跳ね返され続けた。今日、あと一歩というところまで追い詰め、肝胆寒からしめた。けれども勝ちきることは叶わなかった。

あの日のエントリーで書いたのは「しかし、こんな“悔しさ”もホームチームがあればこそ。」という(その頃のお決まりの)台詞でした。しかし今日は、前節も書いたとおり「悔しさの“質”が違う。」その言葉がまた浮かんできました。難壁。いつか必ずこの手で征服してやると。

4月11日(日) 2010 J2リーグ戦 第6節
熊本 0 - 1 甲府 (13:03/熊本/6,350人)
得点者:29' 養父雄仁(甲府)


90分間を振り返ってみると、本当にあの一瞬だけ。後半の熊本の猛攻を考えると、どっちに勝利が転んでもおかしくはなかった。負け惜しみでもなんでもなく、きっぱりそう言い切れる惜敗でした。

シーズン前にはわれわれも昇格戦線の一画と予想していたあの甲府が、開幕ダッシュに失敗して苦しんでいる。甲府の試合はこれまで、福岡との開幕戦、前節の鳥栖との試合をテレビ観戦したんですが、林健太郎なき後の中盤がなんとも落ち着かなくて、強力な前線3トップと堅いDFラインとの3列のラインが、なんだかちぐはぐでかみ合っていない。そんな印象を受けていました。調子が出ないうちに叩いておきたい。川崎からレンタル中の養父はテクニックもあってやっかいな選手だけど、前節鳥栖戦では焦れた甲府側が後半途中でマラニョンとの交代で引っ込めてしまった。あとは前線への単調なロングボール頼みの展開で自滅。わが熊本も、前半をうまくしのいでいけば、十分にそんな展開に持ち込める。そうなれば必ず相手はミスを犯す。戦術面でも、プレー面でも。素人ながら、そんなイメージを持っていました。

甲府 (先発フォーメーション)
 15パウリーニョ 
11マラニョン9大西
10藤田8養父
 2秋本 
13内山6吉田
4山本5ダニエル
 1荻 

この季節、一週間一週間暖かくなる。曇りのち雨の週間天気予報を吹き飛ばし、雲の合間からもう初夏のような強い陽が差し、気温はグングン上がっていきました。

試合は開始序盤からがっぷり四つ。甲府の藤田がロングシュートでゴールマウスを狙う。西森がDF裏に浮き球を出すと、松橋がヘッドで西に繋ぎますがDFがクリア。今度は甲府がカウンター攻撃。左から切れ込んでのマラニョンのシュートは枠を越える。熊本はGK南からの低いキックをDFが反らしたところに井畑が頭で落とし、松橋が走り込んでGKを交わしますが、シュートは右にそれていきました。

そして何の前触れも予兆もなく前半29分、甲府のスローインから左でマラニョンが一人粘って一度は下げる。今度は右から作り直して右サイド奥、フリーの大西に渡ったと思った瞬間ダイレクトに入れた。人数は足りていたものの、バイタルエリアを大きくしてしまった熊本は、Pエリア中央に入ってきた養父をフリーにしてしまう。ダイレクトでしっかりとボレーで合わせた養父のシュートは勢いよくゴールネットに突き刺さりました。

6千人のファンのどよめきにも似たため息。「あれを決められたら仕方ない・・・」という声。「まだまだこれから」という声。

しかしなんとか前半のうちに追いつきたい熊本だったのですが、その後は選手間の距離に難があるのかセカンドボールが一向に拾えない。パスが寸断される。井畑にはがっちりダニエルが密着していて潰される。先制点を上げた甲府は自信を取り戻したようにバランスを配慮して守る。堅い。これで養父も今日は後半交代で下がることもなくなっただろう。今日の甲府に果たして付け入る隙を見つけられるのだろうか。前半終了時点ではそう思ったものでした。

今思えば、さすがの甲府も、好調と噂される熊本を、きっちりスカウティングしてきたということなのでしょう。いつもならこういった強豪チームに見られるような“油断”が感じられませんでした。わが熊本は好調さ故にスタメンも固定ぎみ、前線の井畑のところで収めて、という戦術も読まれていました。だからこそ今日は後半早めに藤田を投入して、いわば“戦術変更”した。更には右サイド西森を左SBにスウィッチして、そこにまだ“知られていない”平木を置いたのだろうと思いました。

そして交代の意図通り、誰が見てもわかるくらい、藤田が入ったあとの熊本は一変します。ワンタッチパスが増え、中盤での縦への推進力が増す。ゴール前をワン・ツーで崩していく。ちょっと甲府が慌て出す。もう一度、前線に起点を作りたい甲府は、パウリーニョを下げてキム・シンヨン。なんとも嫌な相手が入ります。

藤田が散らすボール。左サイドを松橋がえぐってクロスを上げますがファーに抜ける。ポゼッションは圧倒的に熊本。長短交えて攻撃できることをファンに示す。しかし、甲府は最終ラインで必死に跳ね返す。

70分には決定的場面。藤田が溜めて松橋が中央突破。追いかけるDF二人に挟まれながらもシュートを放ちますが、GK荻にクリアされてしまいました。遠い。今日のゴールは実に遠い。前節の敗戦後、あえて厳しい言葉でチームを鼓舞したGKの荻が、今日は砦のようにゴールマウスに立ちはだかる。こんなに甲府の守備の時間が長いのは、甲府を自陣に貼り付け守らせたのは、熊本にとっても初めてではなかったでしょうか。

ただ、攻守の切り替えの早さは、甲府に一日の長があったのは確かでした。予想外の陽気に疲れが増したのか、熊本は徐々に戻りが遅くなってきているのがわかります。Jリーグ・デビューになった平木でしたが、出場機会がなく試合勘が鈍っていたのか、あるいは彼のプレースタイルなのか、走り込んでほしいスペースに走りこまない。ドリブルで仕掛けない。捌き屋、テクニシャンであることは彷彿とさせましたが、パサーばかりが並んで、ゴールへの迫力を感じさせるフィニッシャーがいない状況にも見えました。

残り15分。渡辺を原田に代えて投入。甲府陣内でのプレーが続く。西森の左からのクロスはファー市村が折り返しますが繋がらない。アディショナルタイム。矢野も上がる。諦めない熊本。残り1分を切っても“何か”起こりそうな期待を感じさせるのが今年の熊本。しかし、前節を思わせるような福王のロングシュートが残念ながらゴールポストの上を通過すると、試合の終わりを告げる主審の長い笛が吹かれました。

守りきった甲府。“あの”甲府がいわばなりふり構わぬ、といった感じで1点を守り抜くことに専念しました。それほどとにかく“結果”が欲しかった。それほど追いつめられていたのかも知れません。不調だった甲府でしたが、今日は前節のような“ミス”は皆無でした。これで熊本が何かきっかけを提供してしまったようにも思われます。

そしてわが熊本。課題は少しフォーカスされてきました。アタッキングサードでのプレー、それもフィニッシュの前のプレー。クロスの精度とか、パスのアイデア、呼応する動き等々…。高木監督が言うように、攻撃の熟成には時間がかかることは確かです。しかし、今日、藤田が長い時間を与えられ、昨年ファンを大いに湧かせたような“パス回しで崩す”熊本のスタイルが今も健在だということも証明してくれました。熊本には硬軟、長短の武器があることを確かめられたのは何よりの収穫でした。

試合終了後、イレブンへの拍手もそこそこに家路を急ぎました。今日の結果に対して、満たされないものが沸々と湧き上がってくるからでした。本当に悔しい。

これまでは“相性が悪い”と言われ、われわれもそう意識するほど、チカラの差を見せつけられ、大量失点に膝を着かされてきた甲府。そんな相手にワンチャンスだけの最少失点。相手を自陣に釘付けにし、シュート数も上回り…と。しかし、さすがのポジティブ・シンキングなわれわれも、この結果をもって“あの”甲府に善戦した、いい試合だったと言う気にはもうなれません。いや、なんだかこれまで以上に悔しい。負けて悔しいのは当たり前。この負けが悔しくなければならない。熊本3年目のJリーグ。何だかサッカーの原点に返ったような気持ちになってきます。おそらく監督、選手と共に、今一心でその悔しさを共有しているのだと。第二クール、絶対にこの借りは返すぞと。

12月5日(土) 2009 J2リーグ戦 第51節
甲府 2 - 1 熊本 (12:33/小瀬/13,104人)
得点者:2' 金信泳(甲府)、23' 金信泳(甲府)、28' 小森田友明(熊本)


まさしくプチ・パンデミック(爆発的感染)。その名のとおり、ホーム最終戦の感傷も癒ぬこの一週間、熊本はインフルエンザ感染に見舞われました。最初に公式に発表されたのは市村。続いて松岡、宮崎、原田、河端の発症。他にも体調不良の選手がいることも噂され、これで果たして最終戦が戦えるのだろうか、11人のメンバーが揃うのだろうかとまで心配させました。

それでもなんとか試合の2日前には、かなりの人数が練習に合流。ほとんどの選手の発症は11月30日から12月1日。通常、タミフル(あるいはリレンザ)を投与した日から2日後に熱は下がるものの、その後も数日間は安静が必要(というよりフラフラの状態が普通ですが…)とされます。そういう意味では、甲府・小瀬のピッチに立っていた市村と原田。恐るべき回復力。まさしくギリギリの復帰だといえるでしょう。

前節のエントリーの最後に、「このチームとしての最後の戦い、このシーズンの到達点をしっかりと見届けたい」と書いたものの、こんな状況で最終節を迎えることになるとは思ってもみませんでした。DFラインは前節、前半半ばで痛んでリタイアしたチョ・ソンジンと福王をセンターに、右に市村、左に網田。ベンチには控えのDFは一人もいない。しかも小瀬のスタンドは、この最終節で勝利して、逆転でのJ1昇格を信じる甲府のファンの声を限りのチャントがテレビから伝わってくる。更に追い討ちをかけるような、12月の冷たい雨。

甲府 (先発フォーメーション)
 18キム・シンヨン 
11マラニョン9大西
7石原10藤田
 31林 
3御厨20吉田
4山本5ダニエル
 34阿部 

古巣に対して序盤からアグレッシブな宇留野の動き。右サイドを崩していきます。(試合途中では、今期限りとなった甲府の安間監督に、ピッチサイドで肩を叩かれる場面も。)しかし、試合は思わぬ展開に。甲府の1点目も2点目も、マラニョンの切り替えしのキレに振り切られたことや、人数は居るのにボールウォッチャーになってキム・シンヨンを放してしまったことなど、DFの若さが露呈してしまいました。どうしても、球際に厳しく来る甲府に押され、各人の判断がやや遅れがち。そこかしこにチームのコンディションの悪さが見えるようで。そんななか、早い時間帯での2点のビハインド。本当に久しぶりのシチュエーションです。しかし、以前であれば“キレて”しまって立て直せなかったような試合の流れ。今日は辛抱強く自分達に引き寄せていきました。

徐々に甲府の攻撃がロングボールの放り込みで単調になります。対照的に熊本はしつこいくらいパスで繋いで、前線に運んでリズムを作っていく。ひとつの目指すべきモデルとしてあったパスサッカーの甲府を相手に、自分達のパスサッカーを貫こうとする選手たち。彼らもやはり今シーズンの“到達点”を探っているように思えました。

28分、原田の強烈なロングシュートをGKが弾いたところに、詰めていた小森田が押し込む。「今日が僕の開幕戦です」と言った栃木戦からまさかの4連続ゴール。そのときのエントリーで「FWにはFWのDNAがある」といったことを書きましたが、今日の小森田、もらったパスをワンタッチで反らしDFを交わしたり、2列目でパスを出したあとエリアに侵入したり…。“タメる”ことへのこだわりから一歩抜け出し、随所にFWっぽい、いい働きを見せました。もちろん、周りが彼の使い方にうまくなったということもあるのでしょうが、終盤での4連続ゴールは、その“ご褒美”ではないかと思いました。

それにしても特筆すべきは原田の働き。得点シーンの前にも、「あわや」と思わせる直接FKがあったり、その時の「フィーリングが良かった」とはいうものの、とても数日前まで高熱でうなされていた選手とは思えない左足の冴えぐあい。ボールのスピード、変化、球筋など、これまでにないキレを感じました。「後半は咳が止まらず正直苦しかった」(熊日)と言いますが、最後は左SBまで努めた90分の運動量。吉井とのダブルボランチは安定感を増し。来期、熊本の中心でチームを引っ張る選手であることは間違いないと思わせました。

一気に同点も、と思わせましたが、そこはさすがの甲府。そのままの点差で押し切られてしまいました。しかし終始、切り替えの早い攻守の応酬に、最終節らしく両者いいゲームを演じてくれました。

ミスも多かったが交代で退くまで積極性を失わなかった網田。前節痛んだにもかかわらず出場を志願したというソンジン。おそらくまだ万全ではないだろう市村。インフルエンザではないものの、激しい咳き込みで背筋を痛めたという藤田。チーム全体が満身創痍。しかし、普通なら立っているのもキツイはずなのに、苦しい表情どころか、皆どこか笑顔で、スッキリしたような顔つき。契約満了が決まっている選手たちも、今日のこの最後のゲームを楽しんでいるようで。このチームでやる最後のゲームを…。

さて、勝利はしたものの、昇格を逸した甲府。長いシーズンのなかで、4強と呼ばれ、最初から最後まで昇格ラインを伺う位置にいました。命運を分けたのは、わずかに勝ち点差1という現実。51試合というかつてない試合数の積み重ねのあげく、わずか勝ち点差1の間にラインが引かれ、また来期、共にJ2を戦うことになりました。

そしてわれわれ熊本。今シーズンは甲府に対して一勝もできませんでした。しかし、この最終節、昇格を争うチームの“痺れる”ような状況のゲームの相手を演じられたことは、熊本の大きな財産になったことに違いありません。しかも、こんなアクシデントにも動じることなく、がっぷり四つで、最後まで甲府を脅かしました。昨年の最終戦、KKでの広島との戦い。スコアは偶然にも同じ1-2ですが、昨年感じたような、まだまだ埋めようがない落差といった感じではなく、また、それは、先日、水前寺で湘南に勝利したときとも違うさらに“僅差”の感覚を持ったのはわれわれだけしょうか。

仙台、C大阪、湘南を見送り、来期は柏、千葉、大分が落ちてくることになりました。JFLからは新しく名前を変えた北九州が参戦してくることに。われわれはといえば、今期果たせなかった目標を、もう一度掲げなおして戦うことになるのでしょう。果たしてどんなチームに構成されるのか。“場外”の戦いは既に始まっていると書きましたが、まずは指揮をとる次期監督が誰になるのかが、最大の関心事です。ただ間違いなく言えることは、誰が指揮をとり、どんな新しい選手が来ても、今年までに築いた熊本の財産がチャラになるわけではなく、更にその上に積み増していく作業になるのだろうということ。それをまた見続けていきたい、見守っていきたいと思います。その意味でも、この最終戦。敗戦ではあったけれど、今シーズンの“到達点”を見せてくれた価値ある一戦として、しっかりと記憶に留めておくべき戦いだったなと思いました。そして、去っていく選手たちも含めて、そんな気持ちにさせてくれた全ての選手達に拍手を送りたいと思います。