10月1日(日)
【J2第35節】(えがおS)
熊本 2-1(前半2-0)愛媛
<得点者>
[熊]嶋田慎太郎(17分)、小谷祐喜(22分)
[愛]三原向平(68分)
<警告>
[熊]嶋田慎太郎(86分)
観衆:4,005人
主審:西山貴生


連勝は、今季ようやく2度目だというのですから、どれほど厳しくつらいシーズンかがわかるというものです。愛媛との前回対戦は4月。今シーズン初めての4連敗を喫した試合でもありました。

今節は、村上の負傷以来、3バックの真ん中を担っていた植田が累積警告で出場停止。池谷監督は、直前まで木村、上原を代わる代わる試して悩んでいたようですが、結局先発には上原を起用しました。

上原にとっても初めてのポジションだったようですが、なかなかどうして、器用に、そしてしっかりとこなしました。これは単なる“代役”に止まらない、新しい組み合わせの発見かもしれません。まぁ、久しぶりの90分だったこともあって、最後に足を攣ってしまったのはご愛嬌というところでしょうか。

20171001愛媛

試合前のDAZNのインタビューで、対戦相手のことを問われて「オーガナイズが似ているチーム」と池谷監督が答え、愛媛・間瀬監督も「攻守のコンセプトが似ている」と述べていて興味深い。

熊本は開始早々から飛ばします。スローインを回り込んで奪った中山が、右サイドをえぐってクロス。安のヘディングは直前にDFがブロック。8分にも安が落として嶋田が持ち上がり、中山がエリア侵入。左足を振りましたがGKにクリアされる。中山の執拗なプレスは身上ですが、それに嶋田、三鬼、上村も加わって愛媛を前に向かせない。高い位置で奪うと次々にショートカウンターを浴びせ、スタジアムを沸かせます。

相手ボールホルダーへの素早い出足。それは“後ろを信じてプレスに行く”という感じ。交わされてもいい、後ろを信じていると…。

すると17分。三鬼の得意のノールックパスが縦に入ると、中山がすかさずDFライン間に走り込んだ嶋田にスルーパス。少し浮きぎみでしたが、これを嶋田が絶妙にトラップしてDFの裏を取ると、両手を広げたGKパク・ソンスをあざ笑うかのようにニアサイドを抜いて流し込みました。先制点!

その後も“受け”に回らなかった熊本。22分には安のボレーシュートで得たCKのチャンスに、三鬼がインスイングのボールを送ると、ニアサイドのDFの間から小谷が頭を出して突き刺す。追加点を奪います。

ほとんど危ない場面を作らせない完璧な守備、そこからくる攻撃での2点先取で前半を終えます。

しかし、後半は逆に愛媛の一方的な攻勢。プレス、球際とも愛媛が上回ってきた。愛媛が前半の熊本と同じことをしてきたと言っていいでしょう。前を向かせない。

さらに59分にアクセントとしての安田、66分には前線に有田を加えると、熊本も我慢の限界でした。河原が1度シュートモーションを掛けて左にはたくと、白井がダイレクトでクロスを入れる。大外のブラインドから三原がダイビングヘッドで入り込んだ。1点差に迫ります。「オーガナイズのところで混乱した」(DAZN)と指揮官も悔やむ。

選手交代で流れを変えたい熊本でしたが、上原が足を攣って光永と交代の用意。しかし小谷も痛んで一旦ストップ。結果的には園田に代えて光永。このあたりは、難しいベンチワークを迫られました。

終盤のきつい時間帯。踏ん張れた方に勝利の女神がほほ笑む。巻が入るとひときわ大きな拍手。最後は頼れる男の登場。

アディッショナルタイムの4分も愛媛が拾い続けて波状攻撃。最後の最後に来たチャンス。途中出場の田中のカウンター。右サイドをドリブルで運んで一人交わしてのシュートは枠の左。そして終了の笛が吹かれると、多くの選手たちが崩れるように膝を着きました。

互いのことを「似ている」と分析していた両監督。敗戦の将・間瀬監督は、「ゲームの入りに熊本の選手たちが本当に素晴らしい攻撃と守備、守備ではプレス、球際、セカンドボール、攻撃ではつなぎ、飛び出しというものを本当に思い切ってやった」「あの時間帯に上回られたことがこのゲームのほとんどすべてを決めた」(熊本蹴球通信)と言う。

しかし一方で、まるで野球の表と裏のように後半は愛媛がそれを上回る。“似ている”だけに、“上回った”わずかな差が、勝敗を分けた。そんな試合ではなかったでしょうか。

熊本は逃げ切って勝ち点を36に積み上げ、足踏みした降格圏・山口との差を8に広げました。順位も金沢、讃岐を抜いて18位に浮上。「ふーぅ」と息を吐きたいところですが・・・。

しかし、池谷監督が「この状況は最後まで続く」と言っていたように、一喜一憂せず、目の前の1戦1戦を戦い続けなければいけない。それが今シーズンでしょう。

4月9日(日)
【J2第7節】(ニンスタ)
愛媛 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[愛]丹羽詩温(88分)
<警告>
[熊]安柄俊(36分)、村上巧(83分)
観衆:3,766人
主審:清水修平


4連敗です。キーボードに向かう気持ちも晴れません。

色々な疑問符が浮かびます。何故4-1-4-1の布陣で、しかもアンカーの位置に上里なのでしょうか。中盤が厚い3-4-2-1の相手に対して、上里の両脇をケアするためでしょうか。しかし、どうしても上里が敵ゴールから遠くなってしまって攻撃の起点が作れない。

「プレスに行くところと、行かないところを整理・意思共有したい」という話は聞いていましたが、今日は終始セットした状態に見えたのはなぜでしょう。愛媛のボール回しが巧みで、押し込まれる時間帯が続いたからそう見えたのでしょうか。

「クロスからの失点が多かったので、そこを修正してきた」「無失点で勝ち点を持ち帰りたい」と言っていた清川監督。打てども打てども入らずに、その間失点を積み重ねた前節の反省からだとは理解できますが、思いのほか今日は守備に重心が置かれていたように感じます。両SBが高い位置をとるシーンも少なく、片山もアーリークロス一辺倒。

DFラインは長い故障からようやく帰ってきて今季初先発となった植田に託すところが大きかったのでしょう。その期待どおり、愛媛の猛攻を粘り強くブロックし、最後のところではGK佐藤もスーパーセーブでゴールを割らせません。

「前半のシュートチャンスで決めきらず、失点してしまった」(熊日)と清川監督が言うように、26分には村上から斜めに一本のパス。前線に走り込んだ嶋田に収まると、一人交わして左足に持ち替えて強烈なシュート。しかしこれを敵GKパク・ソンスもスーパーセーブ。
これが決まっていればとも言えますが。

その後は守勢一辺倒。中盤から前線にクサビを難なく通し、シャドーの二人が飛び出してくる愛媛に対し、熊本はボールを持っても前が向けず、後ろに戻しては結局アバウトなロングパスを送るばかりで、そのセカンドも拾えない。見ていてもストレスが溜まるばかり。

20170409愛媛

後半アタマから齊藤に代えて巻を安との2トップにした熊本。早速46分には巻が粘ってつなぐと、安がGKと1対1。しかしシュートはブロックされます。

一方の愛媛もすぐ後、ワンタッチパスでDFの裏を取った近藤がシュート。これは佐藤がクリア。熊本に流れを掴ませません。

再び攻勢は愛媛。熊本を自陣にくぎ付けにすると波状攻撃、シュートの雨あられ。しかし(最終的には24本にものぼった)愛媛のシュートも、枠外が多かったり佐藤のタイミングとばっちり合致していたりと、ゴールネットは揺らせない。

終盤75分、78分、86分と愛媛は立て続けに丹羽、小暮、安田と新しい選手を投入する。結局はこれが奏功しましたね。

88分、愛媛は左サイド奥で奪うと、素早く丹羽に付けた。丹羽は更に右サイドにはたく選択もあったが意表を突くように右足を一閃。植田もコースを切っていたのですが、その絶妙のタイミングとここしかないという角度、そして佐藤の伸ばした手の先でバウンドするシュートがゴール右隅に転がり込んでしまいます。コースを切ったと確信していた植田が振り返って驚く。決めた丹羽もルーキーとはいえ、やはりこういうきわどいシュートでないとゴールは割れないというお手本のようでした。

残り10分を切るあたりから熊本は完全に引き分け狙いだったでしょうね。しかし、最後の最後に…。勝ち点1さえも手にすることができず4連敗を喫しました。

ただ、どうしても訝しいのは今日の戦い方、冒頭書いたように、最初から引き分け狙い、アウェーでの勝ち点1を良しとするような戦い方に見えてしまいました。清川監督の口ぶりにも、どうもそんな消極性が感じられ。解説の大西氏も「まずは守備を安定させたいのだろう」と擁護するような…。

結果アウェーでの引き分けなら良しとしましょう。1-0を勝利の美学と捉えていたあの高木監督でさえ、しかしサッカーではアクシデントの1失点が有り得ると計算していた。ならば当然0-0の引き分け狙いなど難しいわけで。

どうもモヤモヤして愚痴っぽいことを長ったらしく書いてしまいました。順位は20位のまま。ただ、まだ何も諦めていませんし諦める必要もありません。次節も応援するのみです。

9月11日(日)
【J2第31節】(ニンスタ)
愛媛 1-0(前半1-0)熊本
<得点者>
[愛]内田健太(2分)
<警告>
[愛]茂木力也(26分)、白井康介(87分)
[熊]清武功暉(68分)、藏川洋平(90分+4)
観衆:2,955人
主審:清水修平


出会いがしらにガツンとやられた感じでしたね。開始2分、瀬沼の落としをクリアしましたが、左から内田がダイレクトで振りぬいた。アウトに掛かったシュートがゴール右隅に突き刺さる。ゴラッソで早々に先制点を許してしまいます。

前節のエントリーで「ここが新たな出発点です。」と結びました。同じように井芹さんの「熊本蹴球通信」によれば、清川監督は「3度目の開幕のような気持ちでやろう」と、この試合に向けて選手たちに話したそうです。

ただ、“立ち合い勝負”が身上だったはずの熊本ですが、「前半は0で抑えるプランだった」(公式)と小谷がコメントしているように、最近のゲームプランは妙に消極的に映る。それはとりもなおさずこの試合が3週間で7試合の過密日程の最後の試合だったからでしょうか。選手たちは想像以上に疲れているのでしょう。

その7連戦のなかのひとつに愛媛との前回対戦もありました。愛媛にとってはリーグ戦としては連続して熊本と戦うという珍しいパターン。その試合の反省をもとに、清川監督は「少しシステムを変えて」臨みます。テヨンをアンカーに置いた3ボランチシステム。しかし、これが奏功したようには見えませんでした。

20160911愛媛

とにかくこの試合も愛媛の出足の早さ、球際の強さに押されて、セカンドボール争いでも後手を踏む。特に相手のボランチを捕まえきれず自由にボールを運ばれている。

愛媛左サイドからのアーリークロスに瀬沼のシュートは枠の右に外れてくれる。右サイドから入ったボールに阪野、振り向きざまのシュートは佐藤がセーブ。いずれも追加点を与えそうな危ないシーンでした。

熊本が攻撃を組み立てられるようになったのは、後半平繁や菅沼を投入してから。システムも元の4-4-2に戻しました。そして、最後のカードは巻。

その巻が落として清武の足元。フリーでしたがシュートは枠の上に浮いてしまう。右サイドからのクロスに、ニアに飛び込んだ清武が頭で反らしますが枠の左。どちらも完璧な決定機でした。が、決まらない。

これまでの清武なら、どちらかは確実に決めていただろうシーン。どうも体調不良で欠場して以来、ゴールが遠い。以前も書いたことですがこのエースの不振が、チームの不振に直結している面も大きいようです。

愛媛相手に追加点こそ許しませんでしたが、結局開始早々の失点が決勝点になっての敗戦。順位をひとつ落として17位としました。

リーグ戦5連敗。これからも難敵との対戦が続く。さらに厳しい状況になってきました。

まあ、しかし、終わったことを悔やんでもしかたありません。選手たちにはまず身体と、そして同時に心も十分に休めて欲しい。コンディションが整わなければ戦術も何もあったものではないわけで。とにかく、ケガなく調整して欲しい。この一週間はそう願うばかりです。

8月31日(水)
【J2第11節】(うまスタ)
熊本 1-2(前半1-0)愛媛
<得点者>
[熊]菅沼実(28分)
[愛]白井康介(54分)、藤田息吹(88分)
<警告>
[熊]植田龍仁朗(45分)、キム・テヨン(75分)
[愛]小島秀仁(20分)
観衆:2,562人
主審:岡宏道


リーグ戦だけでいえば3連敗になりました。ホームで逆転負け。いかんですね。

震災後のスキップした5試合のうちのひとつ愛媛戦は、ミッドウィーク水曜日の開催。天皇杯を挟んでの連戦です。

熊本は3日前の天皇杯1回戦と同じスタメンは高柳と上原のみ。内容のよかった先週の札幌戦のメンバーをベースにした陣容にも思えました。

愛媛は勝ち点36で13位。ここ4試合は引き分けが続いている。

20160831愛媛

熊日も含めて多くの報道は、試合前半の熊本は悪くなかったという戦評ですが、それは、地上波放送初登場の解説・瀧上氏のいつにないポジティブな解説と、押されつつもしぶとく凌いで奪った先制点の印象がそうさせるのではなかろうかと。心配性のわれわれは、逆に試合開始からの愛媛の激しいプレス、DFの出足の早さ、切り替えの早さに苦しむ姿に不安を感じていました。

そんななかの28分、若杉の右サイドでのパスから藏川がえぐってマイナス。高柳のミドルシュートを、ゴール前の菅沼が角度を変えてゴール。確かに素晴らしいゴールシーン。この日からようやく開放された真っ赤なゴール裏が、一気に沸きあがりました。

しかし前半アディッショナルタイムには、愛媛・西田が胸トラップからシュート。これはバーが撥ね返してくれ胸をなでおろす。危ない。

やはり問題は、後半の悪さでした。それにはいくつかの要因があったと思います。

「前線のアクション、サポートをもっと増やしていこう」(公式)。「ボールをもっと早く回せ」(スカパー)と、ハーフタイムでギアを一段上げた愛媛・木山監督に対して、そこまでの意識は、熊本にはなかったのではないでしょうか。清川監督いわく「後半、相手に押し込まれた時の全体として押し上げきれないところで失点して」(公式)しまいます。

54分、白井がアタッキングサード左からカットイン。一度Pアーク付近で藤田とワンツーすると、さらに右に回ってコースが見えると撃った。カーブを掛けてゴール右上角に突き刺します。

「1点目の失点は守れないゴールではないし、全体としてあそこで押し上げることができれば、競った点数でもあるので、本当に悔しい失点」(公式)と、指揮官は悔やみます。確かに、なんとなくなんとなく。誰もプレスにいかずにフリーで撃たせる。そうそう入るシュートではないとはいえ、足りている人数のなか、フリーで撃たせるのもどうかしている。隙があったということなんでしょうが。

このあと、植田が傷んで薗田という交代カードを先に切らなければいけなかったのがこの試合一番のアクシデントでした。想定外だったでしょう。

すぐあとの熊本の左CKは菅沼。GKが弾いたところをうまく巻が押し込むのですが主審の笛が鳴ってファールの判定。リプレーを見ても何がファールだったのか。これまで、あまり判定に異議を唱えてこなかったわれわれですが、これは全く納得のいかないものでした。判定ひとつでゲームが別のものになってしまいました。覆ることはないとわかっていますが、せめてどのプレーなのか説明くらいは聞きたいものです。

1-1。このイーブンの状態で、熊本は既にアクシデントで1枚カードを切らざるを得なかった。胸をなでおろした愛媛は、試合を動かすために、先に攻撃の手を打ってきました。西田に代えて阪野を投入。

それに対して熊本は巻に代えて清武。「いいタイミング」だと瀧上氏は言いますが、どうも後手に感じる。愛媛の圧力に押し込まれると、DFと前線との距離が空いてしまって、後方からのパスもカットされる。

愛媛は更に先手。河原に代えて鈴木。右SBに入った鈴木がそのスピードで突破。薗田が競り負ける。右サイド奥をえぐってのクロス。ニアで藤田がダイビングヘッドで押し込み、逆転弾とします。

熊本はすぐそのあとに岡本に代えて嶋田を投入しますが、それも活性剤にはならない。逆転に成功した愛媛の勢いは収まりません。最後はFW瀬沼をDF西岡に代えて、ゲームをきれいにクローズしました。

何と言うべきか。まず、植田に代えての薗田の交代カード。これは想定外だったはず。このあとに、愛媛に先に攻撃的交代カードを切られてから、熊本は後手後手の対応に。そのカードも奏功したとは決していえなかったわけですが。

それにしても、巻に代えて清武。岡本に代えて嶋田。という、誰もがベンチメンバーを見たら、ああそうだろうなというカード。定石というか、教科書どおりとでもいうのか、ベンチメンバーを見れば試合の前からそうだろうとわかっていたような交代カードが、予想どおりに切られて行って…。

というより前に、選んだベンチメンバーに、FWがいない。アンデルソン、齋藤、八久保…。試合展開によって、そんなオプションを用意する考慮は全くしなかったのでしょうか。それとも選手コンディションの問題なのでしょうか。

まるで、試合前から交代カードもプランされ、それが頑なに守られているようで、生きもののように変化する試合展開、持ちうる手駒を選りすぐって次の手を打つ。それによる形勢の逆転。押さえ込む、あるいは突き放す。そんなベンチワークの醍醐味が感じられず、それがこの試合、一番の残念でした。

震災後スキップした試合5試合。そのうち4試合をどうにかこうにか消化してきましたが、結果は1分3敗という状況。他チームと比べて、加えた勝ち点は1という厳しい結果です。残すところは来週の横浜戦。これで、他チームとも試合数が並び、そして”暫定順位”ではなくなります。

苦しいチーム事情のなか。とにかく勝ち点1づつでも積み上げたい。今はもうそんな心境です。

【J2第23節】(うまスタ)
熊本 2-0(前半1-0)愛媛
<得点者>
[熊]クォン・ハンジン(36分)、齊藤和樹(71分)
<警告>
[熊]齊藤和樹(28分)
観衆:3,978人
主審:福島孝一郎
副審:村井良輔、熊谷幸剛


なんと、ホームうまスタでの勝利は、昨年9月の栃木戦以来、実に10か月、11試合ぶりだったそうです。それほど長いことこのうまスタで、勝利のカモン!ロッソを見ていなかったのか。試合後、赤く染まったゴール裏の勝利のダンスが、蒸し暑さを夜空に吹き飛ばしました。前半戦に続いて、愛媛に勝利。しかもクリーンシートというのが嬉しい。これで何とか17位に浮上しました。

20150712愛媛

敵将・木山監督の熊本対策なのでしょう。前半、試合開始から愛媛は、熊本のプレスを警戒するように、球離れ早く、縦に長いボールで裏を突いてきます。河原からのロングフィードを渡辺が落として、瀬沼が中央まで切り返すとシュート。今度は左サイドからのアーリークロスを、両CBの間で渡辺が必死に足を伸ばす。いずれもGKダニエルの手中に収まり事なきを得ます。

熊本の左サイドハーフは、前節活躍した清武ではなく藏川が入りました。その起用の理由を小野監督は、「(7月に入り)急に暑くなった日に、一番体の切れを見せて、ギラギラしていた」(13日付熊日夕刊)と。「周りの良さを引き出してくれる」(九州J-PARK)とも語っていますが、確かに愛媛の攻撃サイド、玉林の上がりを封じるとともに、ボールを預かると黒木を追い越させる形を何度も演出する。その上がったスペースを埋める。あるいは自ら、ダイアゴナルな動きで逆サイドまで侵入して攻撃に参加します。いいねえ藏川。

先制点もそんな藏川のアグレッシブさが活きた。右サイド養父のロングスローがクリアされると、右から再度作りなおす養父。ボックスに入れると、ニアに走りこんでいた藏川がおさめる。えぐり直してクロスを入れた。そのボールを、まだ前線に居残っていたハンジンが高い打点でズドンと押し込んだ。

なかなかセカンドボールが拾えず、手詰まり感もあり、”堅い試合展開”を息を潜めるように見守っていたスタジアム全体が、一気に湧き上がりました。タオルマフラーを振る振る。

しかし直後、愛媛に右サイド45度からのFKを与えてしまう。何度かやられた嫌な位置。先制点後にすぐに追いつかれた悪夢も蘇る。このヘディングは枠の上。ちょっと手を伸ばして見切るダニエル。ほっとため息と同時に気持ち余裕を感じる。今の熊本、先制しても変に浮つかない。しっかり落ち着いている。これもダニエル効果か。

前半40分、ハイボールを相手FW河原と競って背中から直接落下したダニエル。熊本リードの状況。普通なら大げさなジェスチャーで痛がって転がっていていいところ。しかし、顔をしかめながらも、サッと立ち上がってプレーを続ける。本当に一瞬のためらいもなく。清々しい。われわれファンも、リーグもこんなプレーをこそ認めていくべきではないだろうか。

両サイドの激しい攻防は、黒木や養父の追い越す動きで先んじていた熊本。しかしエンドが替わった後半、開始早々から愛媛は、テンポを上げて、サイドから縦に長いボールを使い押し込んできます。特に右サイド(熊本の左サイド)の玉林を執拗に使う。

熊本は前線の巻にボールを送るが、なかなか収まらない。自陣ゴール前で懸命にクリアする時間帯が続きます。しかし、なんとかこの時間帯を凌ぎ、愛媛のサイド攻撃に蓋をすると、しっかりとDFラインを上げる。コンパクトな布陣の熊本。対照的にその熊本のブロックを崩せなくなる愛媛。

試合前、ここ2戦の引き分けを振り返って、「選手たちがピッチ上で解決していけるようになった」(スカパー)と語っていた指揮官。愛媛を押し返し、厳しい時間帯を”抜けた”感じがしました。

ただ、68分頃、巻からのマイナスパスを齊藤が打つも枠の上。続いても敵CBのパスをカットした齊藤が絶好機を外す。「こうやって好機を逸しているとマズイ。相手に流れを渡してしまうぞ」などと、つぶやいていた瞬間でした。ハーフウェイラインより少し自陣よりの位置からのダニエルのプレースキック。それを巻が頭でPエリア内に繋ぐと、齊藤がDFと競り合いながら右足でねじ込むようにゴール。追加点!

「簡単なゴールは外すが、難しいゴールを決める」と、サポーターからも妙な評価をされているエース・齊藤の真骨頂(笑)。われわれのどんよりした心配を吹き飛ばします。自身新記録になる9ゴール目でした。

まあ、ここまでも十分に面白かったのですが…。しかし、この試合の本当の見どころは、実はここからではなかったでしょうか。西田剛が入った愛媛の猛攻を、ゴール前でブロックし続ける熊本。それでも一歩としてラインを下げない。中山、常盤と入れて、終了間際最後の交代カードは”守りのサイン”上原で逃げ切りかと思いきや、なんと岡本を入れて更に追加点を狙い続ける。相変わらず養父が追い越して上がっていくし、黒木のスタミナもまだまだ残っている。なによりこの日1枚イエローを貰っている齊藤が、この時間帯にも激しくボディチェックして前線で守備をする。恐るべき運動量。愛媛は苦し紛れのシュートが精一杯。次第に足も止まってきます。

結局、最後まで走りきった方が勝ったという”原点”のような試合になりました。ミスもあった。しかし集中力は途切れなかった。いや、むしろ時間を追うごとに高まっていったような。そして、泥臭く勝ち点3をもぎ取った。小野監督が「消耗戦」と表現した試合。そして、「こういうスタイルのサッカーをやっていく上では、どうしても体力的な部分というのは欠くことができないんで、トレーニングを積みながらのゲームに身体も慣れてきて、最後まで走りきれるようになってきた」と自信を口にしました。

梅雨明けもまだの高い湿度に加えて、日ごとに暑さを増してきた熊本にあっても、小野監督はトレーニングの負荷を緩めないらしい。そして指揮官は、今日の藏川に代表されるように、そんなきついトレーニングの中から一番コンディションのいい選手を選ぶ。選手を固定しない。たとえそれが勝った試合のあとでも。誰が試合に出ても代わらないように、トレーニングから色々なポジションが試される。それが、この季節が来るたびに思い知らされる熊本のもうひとつの”敵”、夏の暑さと戦う小野監督の”戦術”なのだと、また深く思い知った一戦でした。