11月5日(日)
【J2第40節】(ニッパツ)
横浜FC 2-0(前半2-0)熊本
<得点者>
[横]ジョン・チュングン(2分)、イバ(40分)
<警告>
[横]カルフィン・ヨン・ア・ピン(90分+1)
観衆:8,955人
主審:三上正一郎


20171105横浜

負けました。しかも降格圏脱出を図ったこの連戦で2連敗。しかも前節同様、前半のうちに2失点。引かれた後半に追いつくこともできず…。はぁ~…(溜息)。

「立ち上がりの1点がすごく重くのしかかったゲームだった」(熊本蹴球通信)とは、試合後の会見での池谷監督の弁。開始から2分。右サイドのスローインから野村に出ると、カットインしてミドルを打たれる。畑が触って一旦はバーに嫌われたものの、こぼれ球をジョン・チュングンに押し込まれます。

今節こそと意気込んでいたわれわれも、あっと言う間もない失点に言葉もでない。

ただ、「早い時間に失点しましたが、皆やりやすい感じでプレーできていて、いつか点は入るという感覚でやっていました」()と八久保が言う通り、熊本も持ち直してチャンスを作ります。ボランチには三鬼が戻り、2列目には累積の嶋田に代わって中山が入った。そしてCBの真ん中には米原を抜擢。ボールを動かせるメンバーが入ったことで、ピッチの幅を大きく使って展開している。黒木に代わって入った田中が何度も駆け上がり、そしてクロスの先には反対側から片山が上がっている。

しかし、ゴールネットが揺らせない。

なんとか前半のうちに同点に追いつけないものかと思っていた40分、反撃から横浜がCKを得ると、ニアで飛んだのはイバ。植田も付いてはいたものの、身体をねじるように頭に当てるとゴールマウスに叩き込む。警戒していた選手にきっちりと仕事をさせてしまう。その一瞬だけ。もう何度この言葉を書いたことか。

三ッ沢の西日の影響を考えて、先に逆光側のエンドを選んだ熊本だったのですが、プランどおりに行く前に痛い2失点。特にGK畑には辛い環境だったでしょうね。

2点先取した横浜が、後半がっちり守備ブロックを敷いて、あとはカウンターという戦法を取ってくると、全く前節と同じような状況。バイタルにスペースがなくなってくると、足元のパスだけでは繋がらないし、崩せない。かと言って裏を狙っても、飛び出す選手がいない。

ジレンマを抱えながら、時間ばかりが過ぎていく。交代カードが奏功しないのも前節同様でした。

彼我の力の差はあるものの、相手の強みを消して自分たちの良さを出してきたこれまでのいくつかの試合に比べ、この2連戦は、力の差どおりに負けてしまった。そんな印象があります。

もちろん長崎には自動昇格という強いモチベーションがあり、横浜もPO圏内を諦めてはいないという状況はあった。しかし、あったにせよ、せめて一矢報いるなど、ファンに光を見せて欲しかったなと。これが今の熊本の力だと思わせられるのは辛すぎる。

山口が勝って勝ち点3差まで迫ってきました。残り2試合。まさしく薄氷の上に立っている。

しかし思い出しました。昨シーズン、あの辛いシーズンのなかで最終的に残留を決めたのも41節、ホーム最終戦でした。全くあの時と同じような条件ですが、昨年はある意味で特別な状況があって、苦しいなかでも強い気持ちになれた。しかし、今の状況は多分、これまで経験したなかでも、最も追い込まれている感じがします。連敗とかなんとか何も関係ない。首の皮一枚有利な状況ですが…。今週土曜日、金沢戦は14時キックオフ。間違いなく次の試合はチームの歴史の中で最も重要なゲームです。簡単に勝てる相手ではないが、決して負ける相手でもない。天王山などというカッコいいものでもない。しかし、われわれにとって何よりもかけがえのないゲーム。かけがえのないチーム。さあ決戦。行くぞ熊本。

4月29日(土)
【J2第10節】(えがおS)
熊本 1-4(前半1-3)横浜FC
<得点者>
[熊]平繁龍一(14分)
[横]野村直輝(26分)、イバ3(35分、40分、71分)
<警告>
[熊]植田龍仁朗(48分)
観衆:7,816人
主審:柿沼亨


20170429横浜

GK野村にとっては苦いデビュー戦になりました。試合前日の練習で佐藤が怪我。急遽の先発起用となったようです。

その他のフィールドプレーヤーは、逆に固定感も感じる布陣。急造DFラインとはよく言いますが、しかし今日のこの”急造のGKとDFラインとの連携”は、横浜FCの今の勢いを止めるには力不足だったということでしょう。

それでも先制点を奪ったのは熊本の方でした。強い逆風のフィールドでしたが、連勝の勢いを背にして押し込む。それは2試合連続得点のグスタボの勢いと言ってもよかったかも知れません。14分、GK野村からのキックを林が落として平繁が繋ぐ。グスタボが出したスルーパスに嶋田が走りこんでシュート。「相手GKに当たった瞬間、『こっちにこぼれて来い』と願った」(熊日)という平繁が詰めていて押し込む。予測のポジショニングで点を取る平繁らしい得点。ようやく今季初得点で先制します。「よし!この試合もいける」。われわれもそう思いました。

先制した試合はこれまで全勝している熊本。早い時間帯での先制でしたが、これから粘って守り、追加点で突き放す。そんなゲームプランが浮かびました。

しかし、「やるべきことを冷静にやっていけば逆転できると思っていた」(DAZN)と、敵将・中田監督が試合後語るように、横浜FCは焦ることなく淡々と攻めに転じる。サイドを大きく使ってボールを動かし、熊本の守備をはがす。裏へのスルーパスでゴールを脅かす。

20分、グスタボからのクロスにニアの平繁が合わせれば1点。というところが合わず。この追加点の好機を逃したところで、逆に26分、横浜が右からクロス。GK野村が出て触るがこぼれる。イバが粘って潰れて繋ぐ。GK野村はすべる。こぼれてきたボールを横浜・野村が蹴りこんで同点とします。

このドタバタしたゴール前の印象は、その後に影響しましたね。横浜に勢いを与えたように思います。「行けるぞ」と。

35分には横浜のボランチ佐藤の大きなサイドチェンジから野村が右サイドでパスを貰いなおしてエンドラインぎりぎりからふわりとクロスを上げると、ボールウォッチャーになった熊本DF陣の間でフリーになったイバがヘッドで叩きこむ。40分にも大きく左にサイドチェンジされて間を開けさせられると、Pアーク前でイバが左脚を振りぬく。巻いたシュートにGK野村が触れず、ゴール左隅に決まります。

前半のうちに1-3と差をつけられた熊本でしたが、後半も横浜の勢いを止められない。波状攻撃のなかでPエリア内でハンドのファールを植田が受けてPKを献上。しかし、これを蹴ったイバのシュートはバーに嫌われる。

これで流れは熊本に傾くかとも思わせたのですが、そうはさせない横浜。グスタボのポストから嶋田が突破してエリア左から撃ちますが、今度はGK高岳もうまく弾いてDFがクリアする。

71分には右サイドのパス交換から裏にジョン・チュングンを走らせると、クロスにイバが合わせて4点目。駄目押しとします。

先制して守り切る、あるいは追加点で突き放すというゲームプランに対しては、今の横浜の勢い、特にイバの勢いは止められませんでしたね。急造の”守備システム”の前では、あまりにも無防備すぎたような気がします。それほどの力の差を今の横浜に感じました。

翌日、チームからGK佐藤の怪我は「右第3中手骨骨折」であり、完治まで約6週間と発表されました。思いがけない長い離脱。野村と畑。ふたりのGKで、もう一度守備ラインを構築しなおすしかない。

前節のエントリーで、「これから迎えるGWの連戦。総力戦のなか、多くのタレントの力が必要です」と書きましたが、いきなり守護神のポストに欠員が出るとは思ってもいませんでした。 本職のCBを欠いた頃に匹敵するような戦力ダウン。いや、戦力などという抽象的なものではなく、手も足も出ないような力の差がついてしまうような…。今の熊本にとって、それほどにGK佐藤の離脱は深刻です。

まあ、下ばかり向いてもしかたないです。今節長い時間出場したモルベッキ。粘り強い守備からボールを保持し、切れ味のあるスルーパスも出せる。ますます期待が膨らみました。

横浜FCはこの勝利で首位に立ち、熊本は18位に後退しました。

第9節延期分
9月7日(水)
【J2第9節】(うまスタ)
熊本 0-1(前半0-0)横浜FC
<得点者>
[横]佐藤謙介(85分)
<警告>
[熊]清武功暉(10分)
[横]中里崇宏(27分)、田所諒(37分)
観衆:3,108人
主審:今村義朗


切ないなあ…。悔しいでもなく、歯がゆいでもなく、哀しいでもなく、情けないでもなく。そんな気持ちです。

試合後、ゴール裏に挨拶に来た選手たちに、「もっとやれよ!」と罵倒するような声が飛ぶ。しかし、今日の選手たちは間違いなく”戦っていた”じゃないか。今日は全員が。
(もともとそんなキャラではありませんが)だからこそ野次を飛ばす気持ちにはなれませんでした。

今日だけは「たら・れば」が許されるならば。あの24分の清武のシュートがポストに嫌われなければ。あるいは86分の片山からのアーリークロスに、清武のヘッドがもっと厚く当たっていたら…と。

後半も終わりに近づく時間帯。この試合(内容)なら引き分けでも選手たちに拍手を送れる。そこまで思っていたのですが。ほんの一瞬。本当にほんの一瞬、そこまでしっかり寄せて厳しく行っていた守備のバランスが崩れると、警戒すべき横浜のボランチ・佐藤の前がポッカリ空いてしまった。佐藤がここぞとばかり、ゴール右隅に巻くようにミドルシュートを決めて決勝点としました。敵ながらあっぱれの技術を見せた一撃でした。

熊本には、ホームだというだけでなくアドバンテージがありました。横浜は、この4日前の天皇杯2回戦で長崎を倒すのに延長戦という時間を費やしていたし。熊本はといえば、連戦とはいえ、ターンオーバーよろしく4日前に先発したのはこの日のスタメンでは片山ひとり。ほとんどのメンバーが、通常のリーグ戦と同じ日程間隔のなかでゲームを迎えられた。

20160907横浜

だからこそ、昇り調子の横浜FCとはいえ、その相性もあって、展開は互角でした。厳しい球際、切り替えの早さ、縦へのスピード…。巻が落ちてきて空中戦を制する。岡本が、菅沼が気の利いたところに顔を出す。高柳が敵の攻撃の芽をつぶしては、鋭くパスを出す。横浜の長身FWイバには園田、小谷が身体をしっかり当てて自由にさせない。どちらが先に点が取れるか。1点をめぐる息をのむような好ゲームでした。

しかし、一瞬の守備の乱れが勝敗を分けてしまった。

終了のホイッスルが鳴って、その場にうずくまる熊本の選手たち。顔を覆う選手も。何故勝てないと自問しているようで…。


これで震災後延期されていた5試合を全て消化しました。5試合で得た勝ち点は、引き分けの1のみ。震災前は5位だった順位も、暫定順位でなくなった今、16位に大きく後退しました。

でも。これで暫定順位という曖昧な状況が吹っ切れたことでもあります。思えば他のチームより5試合未消化数があることを、何となく順位や勝ち点の含み資産であるかのように想像を膨らませていたのかも知れません。しかし、途中で誰もが気付いたようにそれは決してアドバンテージなどではなく、ただただ過密日程という自分たちだけが背負う重い重いハンディキャップでしかなかったのです。


試合数は揃いました。これで振り出しに戻った。16位。降格圏から勝ち点差6。震災直後には、チームが存続できるかどうかを覚悟していた時期もあったこと。再開初戦でのパフォーマンスを見て、これからまともにリーグを戦っていけるんだろうかと心配したこと。そしてここまで戦ってきての16位。もちろん背負っていた重荷によるダメージがすぐに消えるわけではありません。

冒頭の「もっとやれよ!」の声もあるかとは思いますが、今シーズンのテーマが残留にあることはわれわれだけでなく、多くのファンも思っていることではないかと。

これまで降格したチームを横目で見ていて思うのは、最後は選手、チーム、そしてファン・サポーターがバラバラになってしまうことの怖さ。お互いの不信感やないものねだりが止めようのない悪循環を招いていく。

震災と言うとんでもないアクシデントに見舞われながらも、ここまで一体となって戦い、踏みとどまり大いに面目を保ってきた“チーム熊本”。うまくいかなかったことも、反省することもあるだろうけれど、今はそれよりもまず、よくやってきたじゃないかと、自分たちを称えてもいいんじゃないかと。これまでやってきたことも、これからわれわれがやるべきことも何のぶれることはありません。ただただチームを後押しするということのみ。覚悟は決まりました。ここが新たな出発点です。

【J2第23節】(ニッパツ)
横浜FC 1-1(前半0-1)熊本
<得点者>
[横]イバ(86分)
[熊]八久保颯(3分)
<退場>
[熊]巻誠一郎(45分+4)
<警告>
[横]イバ(45分+1)
[熊]巻誠一郎2(13分、45分+4)、片山奨典(40分)、嶋田慎太郎(85分)
観衆:3,296人
主審:藤田和也


ふと思い立って横浜に行ってきました。何年ぶりでしょうか。飛行機が遅延して、三ツ沢に着いたのはキックオフぎりぎり。ゲーム直前にあったという南や市村の熊本へのメッセージ映像は見られず。

落ち着かないアウェーのスタンドで、自分ひとりまだ試合に入りきれない(笑)でいると、南が横っ飛びして横浜のゴールネットが揺れている。ん?八久保?

あとで録画を確認しましたが、自陣奥深くからの植田のFK。前線の巻が競って落としたところにDFのクリアが小さい。そこに詰めた八久保がダイレクトボレーで抑えたシュートを撃つ。ゴール左に突き刺します。開始3分の先制弾。初先発となった八久保が、幸先良くリーグ戦初ゴールを決めてくれました。

しかしすぐあと。横浜の左CKにニアサイド、190センチのイバが頭で反らしたボール。わずかに右に外れてくれましたが、ヒヤリとします。

「これまで3試合かなり失点が多かったので、もう一度、守備から入ろうと、それもただ守るとうことではなくて、ボールを奪いにいく守備が自分たちのサッカーだということをもう1回確認した」と言う清川監督(公式)。久しぶりにミッドウィークの試合のなかった熊本は、この試合、布陣を4-4-2に戻すと、球際が実に激しい。ファウルの笛も致し方ない。

そしてそれは、ここ10試合中1勝しかしておらず、しかも現在2連敗中という横浜も同じ。特に右SBの市村は、被災地である古巣との対戦に特別な感情を持つのか。対面する元同僚の片山との攻防も激しくやり合っています。

20160716横浜FC

12分頃、熊本のハーフウェイライン付近からのFK。前線で巻と競った田所が頭から流血し、巻にイエローが示される。ここで主審の巻への印象、肘の使い方の印象みないなもの…、が決まってしまったように思います。

イバの身体の強さ、懐の深さに手を焼きながらも、なんとか守っている熊本。八久保がボールを持つとドリブルで駆け上がりゴール裏を沸かせる。前半終了間際の連続したピンチもなんとか凌いでこのまま先取点を守って前半を終わりたい。もうラストプレーだろうというときでした。自陣手前のGK佐藤の蹴ったロングボールに競った巻。笛が吹かれ、肘を使ったと主審が右手で2枚目のイエロー、続いて左手でレッドカードが提示されます。

「退場は皆が戦った結果だ。ここは皆がもう1つチームとして頑張れるか。絶対パワーを落とさず、あきらめないこと」(公式)。ハーフタイムで指揮官は、巻をかばうと同時に、残った10人の選手たちをそう鼓舞して後半のピッチに送り出しました。

横浜は後半開始からカズに代えて野崎を投入。出だしから猛攻を仕掛けます。

ボールを持ち続けられる熊本。当然、前線からのファーストプレッシングはかからず、横浜のサイドを大きく使ったボール回しに、必死にスライドして対応する。奪われるスタミナ…。

指揮官は、「ある程度のところはブロックを引かなければいけないし、そこからボールを奪いに出て行って、カウンターを仕掛けようと思って」(公式)、平繁に代わって齋藤を入れる。続いて中山に代えて嶋田。

しかし、齋藤を一人前戦に残して、残りの9人がエリア内で懸命に横浜の波状攻撃を撥ね返している熊本。なかなか齋藤にいいボールが渡る気配はない。

一方の横浜も、単調なクロスは中が厚い熊本に撥ね返され、最後のシュートも精度がない。時間はどんどん過ぎていき、横浜のゴール裏のフラストレーションも貯まります。

残り時間も15分近くになって、横浜が高さのある大久保を入れると、清川監督はDFラインに鈴木を入れて3バックに。決して、このまま逃げ切ろうという意図ではなかったとは思うのですが…。

40分、エリア内まで戻って守備をしていた嶋田が、市村を倒したという判定でイエロー。主審がPKを宣告します。もはや4試合連続になるPK。

キッカーはイバ。佐藤も読みきったのですが、その手をかすめてゴールネットを揺らされます。

贔屓目と言われればそれまでですが、横浜はこの1点を取るのがもはや精一杯で、熊本はまだたっぷり残されたアディッショナルタイムまで勝ち越し点を狙いにいったと思います。決して悪い戦いではなかったし、選手たちの意図も明確に見えていました。赤く染まったゴール裏も、応援の声を最後まで緩めませんでした。

結局、八久保の初ゴールは決勝点にはなりませんでしたが、大敗が続いた連敗をここで食い止めたということの成果は決して小さくない。山形戦のとき、「こういうときこそ新しい力、フレッシュな戦力の台頭が必要な気がします」と書いたことも、現実になりました。

ただ、もっともっと新しい力が出てきてほしい。それについては、紅白戦しか出来ず、対外練習試合が行えない、若い選手のゲーム勘がなかなか養えないというのも、震災の大きな影響なのかも知れません。今後の国体や天皇杯に期待したいものです。

布陣を変更してからの失点で、3バックに疑問符を付ける向きもありますが、「震災前から後半を凌ぎきれるかどうかが課題だった」といつかも書いたとおり、今日はしかも一人少ない状況で走らされ続け、あの時間帯にきたときの指揮官の選択肢としては、間違いではなかったと思います。

それにしても、毎試合毎試合、退場やらPK献上やらでゲームが落ち着かない。これもまた連戦を含めた何か熊本に課せられたもののように思えて来たりします。新米監督も試され続けますね。

「判定は言い訳にならないし、チームとして一人一人が強さを出してくれていたので、10人でも耐えていた。後半は外から見ていて、勇気ももらえた」(公式)。そう巻は仲間たちを称えました。きっと今も時間があると避難所まわりを続けているのでしょう、この暑さも加わって疲れているに違いない。出場停止の次節は、ミッドウィークの試合。チームとしては、巻に休養を取らせるちょうどいい機会と、これもまたポジティヴに捉えたい。

そんなことを考えながら、港方面で上がる花火を横目に、三ツ沢球技場をあとにしました。皆さん、お疲れさまでした。

【J2第24節】(ニッパツ)
横浜FC 0-3(前半0-1)熊本
<得点者>
[熊]岡本賢明(22分)、嶋田慎太郎(54分)、藏川洋平(73分)
<警告>
[横]中島崇典(83分)、市村篤司(90分+1)
[熊]園田拓也(87分)
観衆:7,506人
主審:上村篤史
副審:桜井大介、藤沢達也


「今日の試合は自分にとってはサッカー人生のターニングポイントくらいの意気込みで臨んでいました。このチャンスを生かすか生かさないかで今後が変わってくるというゲームだったと思いました」(ゲキサカ)。

初先発からの今シーズン初得点。この大勝3得点の口火を切った殊勲者・岡本は、この試合に賭けていた並々ならぬ思いを語りました。

「シーズンオフにヒザの手術を受けた」のだという。「リハビリに半年近くかかってしまい、その間チームの状態も良くありませんでした。そのときに自分がチームのためにプレーできないことが、本当にもどかしかった」(ゲキサカ)と心情を吐露しました。チームの選手会長として、いつも明るく振舞っているその心の奥では、計り知れない焦りや不安や苦しみと戦っていたのであろうことが、”ターニングポイント”という言葉に集約されているように思います。

「立ち上がりは、なかなかゲームに入れなかった」(岡本)。コイントスでエンドを替えた横浜が、強風を背にして、縦に早い展開を仕掛けてくる。開始早々、市村のアーリークロスがハンジンの頭を越えると大久保に。これはハンジンがトラップをクリアして事なきを得ます。

大久保の高さ。「それを嫌がってこちらがラインを下げるか、ラインを上げてボールにプレッシャーを掛け続けられるかの勝負だった」と小野監督は言います。熊本は今日も勇気を持って高いラインを保つと、前線からプレスを掛ける。ボールの出所の寺田は齊藤と岡本が自由にさせず、攻撃に転じたら、岡本がボックス内に”神出鬼没”よろしく侵入する。徐々に横浜を追い詰めていく。

それが実ったのが先制点の場面。22分、左サイドのスローインから齊藤が右足を伸ばしてそらすと、ボックス内の岡本に収まる。すかさず岡本が前を向きなおしてDFを置き去りにするとシュート。猛然と前に出てきたGK南にも当たったかと思われましたが、ボールはネットを揺らしました。ガッツポーズの岡本。それに駆け寄る選手たち。

20150718横浜

後半開始から横浜は、なかなかボールを引き出すことの出来なかったカズを諦め、ボランチに渡辺を投入。寺田をトップ下に移すことでマークを外しに掛かります。ただ、確かに寺田がボールを触れるようにはなったものの、チームの随所でミスが出る。FKを得てもダイレクトで狙うものの大きく枠を外すばかり。淡白な攻撃が目立ちます。

熊本はロングボールを齊藤が落とすと、詰めていた藏川がシュート。こればボールごとGK南が枠内に入っていたかと思われましたがノーゴールの判定。しかし続く54分、右サイド奥で岡本がDFにチェックに行くと、嶋田がそのパスをカット。齊藤とのワンツーでボックス内に侵入すると、DFを交わして左足に持ち替えた。瞬間、南の反応より速いタイミングでゴールを打ち抜き、追加点としました。

いまさらですが、前線からのプレスと言っても、熊本の場合、90分間やみくもにプレスを掛けるのではない。ボールの”うばい所”(それは時間であり、場所であり、相手のバランスであり)を狙って、しかもチーム(組織的に)で奪う。単にプレッシャーを掛けるのではなく、”奪い切る”ことなのだと。この得点シーンが特に物語っていました。

“プレス”というサッカー用語だけでは誤解してしまいそうです。今の熊本の戦術の根幹は“奪うこと”。相手の攻撃を遅らせるでもなく、ボールを下げさせるでもない。奪うその一瞬が守備と攻撃を一体にした戦術の起点になる。どうも、奪ったボールが“ものにならない”状況と判断したときには、思い切って(リスクの少ない)スペースに蹴って、相手にポゼッションを渡してでも、奪い直しにリスタートしているような、そんな意図さえ感じます。

たまらず横浜は、小池に代えて黒津を投入。入ったばかりの黒津が、大久保とのワンツーで左から崩すとDFを振り切ってボックス内に侵入。この試合、最大のピンチはしかしダニエルが身体を投げ出し、足でブロックし防ぎます。2-0が一番危ないスコアとサッカーでは言われるとき、絶対絶命のピンチを救ったダニエルのファインプレーが、またチームメイトを奮起させ、勝利を呼び込みます。

怪我で痛んだ渡辺に代えて、松下を入れてくると、中盤での激しい奪い合いの様相になる。熊本は横浜のパスをヘッドでカットしてDFの裏に出す。そのボールを齊藤が持ち上がってシュートしますが、さすがの南がコースに立ちはだかって、ボールは左ポストに嫌われる。跳ね返りのボールを拾った寺田が、前の松下に短いパスを送ったところでした。猛然と走り込んだ藏川がそれを奪うと、南も一歩も動けない速くて強いシュートでゴールにぶち込み3点目とします。

ポストを叩いて悔しがるのは南。前回対戦後は、「今年の熊本はスマート。怖さはあまり感じなかった」とうそぶかれましたが、この日は3度そのゴールマウスを打ち抜いた。南がボールを持つたび大きなブーイングを送り続けたゴール裏の赤いサポーターたちも、きっと溜飲を下げたに違いない。それにしてもアウェーの地・三ツ沢に多くのサポーターが駆けつけ、よくぞあれほど赤く染めてくれました。

その後も熊本はラインを下げることなくプレスも怠らない。巻を入れ清武を入れ、走り続ける。横浜は完全に戦意を喪失、後ろで回すしかない。アディッショナルタイム3分、右サイド奥から途中投入の中山からのクロスに巻の頭が触ったか触らなかったか。ボールはゴールの左隅に吸い込まれ、4点目かと思わせましたが、これはオフサイドの判定。そして終了の笛が吹かれると、この日も熊本はクリーンシート。シーズン初めての連勝を敵地でもぎ取りました。

「点差よりは苦しい試合だった。選手が最後まで走り切ってボールに果敢にプレッシャーを掛け続けてくれたことが勝点3につながった」。そういう指揮官の試合後の言葉が、この試合の全てを物語っているでしょう。やはり”走ってなんぼ”。そして、玉際で激しくいくチームスタイルが、横浜をして、「自分たちから相手にプレゼントしたようなプレーが多かった。信じられないミスが多かった」と、ミロシュ監督を嘆かせました。

初連勝を飾り、順位こそひとつ上がって16位にしたものの、この節、下位グループも勝ち点を積み上げたことによって、その差はあまり広がりませんでした。まだまだ浮かれるわけにはいかない。

試合終了後のピッチ。途中退いた岡本が、選手たちを労い、一人ひとりと笑顔で握手を交わす。「まだまだ自分たちは苦しい順位にいる」(スカパー!ヒーローインタビュー)と言う彼の自覚の言葉もそうですが、何よりまた一枚、前線のカードが完全に戻ってきたことは頼もしい限りですね。