10月10日(水) 第92回天皇杯 3回戦
仙台 1 - 2 熊本 (19:00/ユアスタ/4,269人)
得点者:48' 齊藤和樹(熊本)、64' 渡辺広大(仙台)、119' 養父雄仁(熊本)

勝ちました!

テレビ放送がないなか、久しぶりにネット上のテキスト情報を頼りにハラハラドキドキしていると、JFLの頃を懐かしく思い出しました。

現在J1で2位につける仙台。直近のリーグ戦から先発を7人入れ替えたものの、モチベーション的には「2つのタイトルを狙うための大事な試合になる。激戦を覚悟する」(仙台・手倉森誠監督 日刊スポーツ)と気を引き締めて臨んだ試合。対する熊本も日曜日の山形戦とまったく同じ先発メンバー。

試合の中身は観ていませんので、今回はネット上で拾った情報をキュレーション的に掲載しておきます。


「とにかく自分たちのサッカーをやること。山形との試合が終わって中二日で、何ができるかということが一番大事で、優先順位としてはコンディションを戻すしかありません。あとは『普段やっていることをやるしかないんじゃないか』という話をしました。」高木監督
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00145121.html

「90分の中で仕留めようとしたゲームプランで、我々は3人を交代しました。それが叶わず、延長戦に行ったときに最後の最後にああいうところで失点してしまったのは残念なところでした。」手倉森誠監督(仙台)
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00145120.html

「最近特に感じるのは、左サイドで片山とのコンビから崩す場面が多く、良い関係が築けていると思う。」藤本主税
http://blog.goo.ne.jp/chikara-11/e/1ccebf0b5b653dc4215f2dbae71ddcee

「実は延長戦あたりから“PK戦になれなれなれ”って心の中で唱えてました(笑) 」南雄太
http://labola.jp/south/diary/20901532

「(決勝点のアシストは)一瞬、自分がスピードを緩めたときに、縦にいけそうな雰囲気だったので、相手の前に入ろうと思ったら抜けることができて、最後にアシストを決めることができました。」齊藤和樹
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00145122.html

「自分の力がどこまで通用するのかということを試す場だと思うので、どんどんこういう相手と試合をしていきたい」養父雄仁
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00145122.html

「柏から出場機会を求めて熊本へ行った時、本人からしてみれば「都落ち」のような無念の気持ちがあったはずと勝手に思っていました。そして、その考えが間違っている事を、昨日の南の行動から知ったのです。あのガッツポーズをしてサポーターの前へ走りだす南の姿は、決して「都落ち」にあった貴族のそれではなく、新しく出逢った仲間の為に「ひたすら頑張ることに生き甲斐」すら見出している侍(さむらい)の姿でした。」ベガルタ仙台のつぼ
http://vegalten.blogspot.jp/2012/10/blog-post_11.html

試合展開の詳細がわかるベガルタファンのブログ ベガルタ・マヴォイ
http://www.mavoi.com/vegalta/archives/000675.php

おまけ・・・
試合後のファンの喜びようが伝わるドメサカ板まとめブログ
http://blog.livedoor.jp/domesoccer/archives/51987329.html


9月27日(日) 2009 J2リーグ戦 第42節
仙台 1 - 0 熊本 (16:04/ユアスタ/14,374人)
得点者:44' 渡辺広大(仙台)


J2のなかでも観客動員では屈指の仙台・ユアスタ。今日も1万4千人を越え、明らかに多勢に無勢の熊本。しかし、耳を澄ませばしっかりと熊本のチャントが聞こえてくる。二子新地のアズーリでお会いした面々が、スカパーの画面からも確認できました。

戦前多くの下馬評は、これまで勝ちなしのデータから仙台に対しての苦手意識を語っていましたが、何故かわれわれは仙台と相性が悪いという印象はまったく持っていませんでした。肝胆寒からしめた天皇杯での初対戦。あるいは同点引き分け、内容の伴った試合が多かった昨シーズンのイメージがそうさせるのか。それに、アウェーとはいえ大観衆・大舞台のほうが実力を発揮する。わがチームにそんな印象すら持っています。

熊本はGKの小林を稲田に代えてきただけで、あとは前節同様の布陣。画面に示されたフォーメーションでは、藤田が2トップの一角を占めるものの、試合が始まれば予想どおりの自由自在な動き。これはまるで9人のフィールドプレーヤーのまわりに一人のフリーマンを置いているようで。いや、もはや藤田は、FW、MFなどのゾーン分担型フォーメーション図には押し込められない。とにかく「攻撃的選手」の一人だ、という“存在”なのかも知れません。

仙台 (先発フォーメーション)
13中島 14平瀬
10リャン・ヨンギ11関口
7千葉17冨田
27パク・チュソン25菅井
3渡辺8エリゼウ
 18林 

対する仙台は得点源・ソアレスを欠く。平瀬の相方に指名されたのは中島でした。渡辺とエリゼウのCBに、菅井、パクの両SBを置いた強固なディフェンスラインは、リーグ1の失点数の少なさを誇る。ボランチも今日は特に守備に専念しているようにも見える。前線4人で攻撃を作るはっきりした役割分担。それにときおり両SBが加担するといった格好でした。

わが軍の石井とともに、J2のこの過酷な日程で全試合出場中の渡辺。鼻骨骨折をフェイスガードで覆い先発出場のタフガイ。エリゼウとともにトラップミスを見逃さず、攻撃の起点を潰し続けます。藤田の自在なポジショニングに関しても、前回対戦時のゼロトップで経験済みだった仙台。今回のスカウティングでは、藤田以外の「2列目からの飛び出し」に関してしっかりとケアすることに努めていました。

開始早々の熊本の攻勢をしのいだ仙台は、次第に押し込んでくる。13分、リャンのFKに中島が合わせるものの、なんとかクリア。20分には再びリャンのFKから平瀬のヘッド。バーに妨げられ、オフサイドではあったものの肝を冷やします。前回対戦と同様、ジワリジワリと詰め寄ってくるような圧迫感。熊本も40分、藤田が右へ流して石井を使う。PA内で再びもらうとヒールパス。そこに宇留野が入ってきてシュート。惜しくもエリゼウに掃きだされましたが、わがチームの本領を発揮した瞬間でした。

互いに我慢を重ねながら、攻守の切り替えの早い、質の高いゲーム。このまま前半スコアレスでとの願いを奪ったのは、やはり仙台の“飛び道具”リャンのひと蹴りでした。終了間際に得た左CK。ファーには平瀬、中央には中島を配し、中島でGK稲田を潰したところに入ってきたのはフェイスガードの渡辺。頭のてっぺんを思いっきり前に突き出して、ゴール右角に打ち込みました。

毎回、こちらの“急所”を突いてくるようなリャンのキック。さらに今日は、この男に“凄み”さえ感じました。後半も全く落ちることのない運動量。果てはアーリークロスに自らが体ごと飛び込む。GKとの交錯も恐れず。この(いわば下位との)一戦の重要性と今日の戦術を十分理解している。一気に追加点をと目論む仙台は、後半開始早々から飛ばしてきました。熊本の両サイドを崩し、次々にクロスを上げてくる。60分、左からのクロスを稲田がはじくと、ボールはリャンの足元に。決定的な場面でしたが、シュートは枠を反れてくれました。

熊本は打開すべく宇留野、藤田、松岡を下げて、山内、吉井、原田を入れる、かつてなかった同時3枚替えの采配。4-3-3にシフト変更して敵の混乱を誘う。原田も果敢にサイドを上がる。これで仙台のバイタルエリアを押し下げることには奏功しましたが、いかんせんDFラインを切り裂く最後のスルーパスが誰からも出てこない。そのときすでにそれを出せる選手がピッチから去っていました。

開始早々に太ももを痛めた様子のパク・チュソンのサイドをただ一辺倒に攻めたてましたが、壁のように跳ね返されるばかり。逆に時折見せる前線への攻撃参加時に、その裏のスペースを突こうというチーム戦術も見失っていました。

アタッキング・サードでどう崩すかというのが、今期の当初からの課題であり、熊本はシーズンを通してこの課題に取り組んできたはずでした。もちろん今日のそれは第1クール段階のそれとは違っていて、それなりの実戦を踏んで鍛えてきたはずのものでしたが。熊本の“進歩”に立ちはだかったのは、「昇格を狙うチームの本気の守り」という強靭な壁でした。そういう意味では、今日は今期の“到達点”を探るいい機会だったのかも知れません。

J2降格から既に6年。毎年のように上位をうかがってはいるもののあと一歩及ばなかった年月。昨年ようやく入れ替え戦に臨んだものの、重い扉の隙間からJ1を覗きながら、立ちはだかる磐田の前に涙をのんだ仙台。これが昇格を狙うチームの、何年も苦汁をなめたチームの、この時期での“本気度”のゲーム運びなのだろうと実感しました。

熊本にとって、想像できないようなプレッシャーのなかで昇格を狙う上位チームに、きっちりと守られたときいったいどう崩すのか、いやどうゲームを運ぶのか、という更に高いハードルを与えられたようなゲーム。仙台はもちろんしっかりスカウティングして、熊本の攻撃を封じる策で臨んできたと推測できるのですが、今日の仙台、守りのバランスを崩すのを異様なまでに恐れているように見えました。まるで最悪の場合「スコアレスドローでも止む無し」というまでの思いかと邪推するほど。下位とはいえ、熊本の攻撃力への警戒は怠りなく、とにかく交通事故でもなんでも、万が一にも勝ち点ゼロだけは避けたいという計算だったのかと。

3年前の天皇杯。同じ場所で同じ点差で終了したとき、仙台ファンからは大きなブーイングが起こりました。そのときのカテゴリーと今とは熊本も違ってはいるものの、今日のユアスタは、奪った「勝ち点3」に対して満場の拍手。鳴り止まない「仙台」コール。仙台はファンともども昇格を確実に見据えているのだと思いました。

今シーズンの対戦は3戦全敗で終了。それもリャンという才能とそのセットプレーに翻弄された一年。しばらくは相対することもないのかも知れませんが、実に多くのことを教えてくれた仙台。失点も少ないが、カードも少ない。われわれが目指すクラブ、チームのイメージにも重なるような。今日のことを糧にわれわれも積み重ねていけば、こんなギリギリの気持ちや状況でのゲームを迎える日が、いつかきっと熊本にも来るのだと思います。

8月1日(土) 2009 J2リーグ戦 第31節
仙台 3 - 2 熊本 (19:04/ユアスタ/13,785人)
得点者:3' 吉井孝輔(熊本)、20' サーレス(仙台)、27' エリゼウ(仙台)、45' 平瀬智行(仙台)、65' 市村篤司(熊本)


夜のアウェーゲームは、テレビの前でビールから白岳しろに進んで、ほろ酔い加減で観戦するのが恒なのですが、このゲーム、もしどちらにも加担しないサッカーファンだったとすれば、攻守の切り替えの早い、得点シーンもふんだんにあるとても面白い試合として堪能したことでしょう。サッカーの楽しみとしてこれは大きな要素だし、熊本は実に面白いゲームをするという評価はたしかなものになりつつあるようです。しかしながら、われわれにはホームチームがあり、われわれは敗れてしまった。残念なことに、その現実を受け止めなければなりませんでした。

仙台 (先発フォーメーション)
19サーレス 14平瀬
10リャン11関口
7千葉8永井
5一柳25菅井
3渡辺8エリゼウ
 16林 

3連敗中に10失点。14位に沈んでしまったロアッソ。対する仙台には、知らない間に去年甲府にいたサーレスが加入していて、平瀬との2トップを構えます。スカウティング不足の仙台には“奇策”に映ったのかも知れませんが、木島が出場できない熊本の前線は、右に西、左に宇留野、中央に藤田を置いて、久しぶりのゼロトップというべき布陣。これが奏功しました。2列目の山本、吉井を加えた5人が、仙台のバイタルエリアを流動的に動き回るために、マークが着ききれない。石井から前の4人のボックスと藤田の関係が融通無碍で躍動するシステム。エリゼウ、渡辺の両CBの前には本来対峙するはずのFWがいない。かといって藤田を追いかけて上がることも許されないため、結果的にこの二人が余ってしまうことになってしまいます。逆に中盤では熊本が局地的な数的優位を作り出し、2列目、3列目が次々に飛び出していきます。3分、そんな仙台の混乱状態を見逃さず、右サイドから山本がクロスを入れる。相手DFを引き出した藤田の背後からゴール前に入ってきた吉井がヘッドで突き刺し、熊本が早い時間で先制しました。

中盤での激しい攻防。今日は山本と吉井の運動量が半端でない。原田もライン際のボールを粘り強く拾って、相手にリズムを渡さない。単にポゼッションだけでなく、サイドを広く使った展開、緩急をつけたズバッと縦への展開は、仙台を大いに慌てさせました。

しかし20分、ロングボールの処理。福王がサーレスに詰められて大きくバックパスをするとボールはゴール方向へ。目の前でバウンドしたボールの対処に慌てた木下の視野には、平瀬、そしてサーレスも詰めよる姿が映る。中途半端なクリアはサーレスへの絶好のラストパスになってしまいます。ほんの一瞬のプレー選択のミスから失点。同点にされてしまいます。熊本も気落ちせず攻め立てますが、最後のコンビネーションが少しだけズレて、惜しい場面が続く。対する仙台はカウンター主体ですが、逆襲からの奪ったCKやFKのチャンスでリャンのキックは実に脅威。そう思っていると27分、右CKからのリャンの低く速いボールがピンポイントでエリゼウの頭を捕らえて逆転に成功。エリゼウにとっては、直線的に自分のところに向かって来る簡単なボールでした。

流動的な熊本の攻撃に苦しみながらも、仙台がジワリジワリと地力を発揮してくる。そんな印象の前半でした。しかし、今日の熊本の出来が後半も続くなら、時間次第で追いつくことも可能だろう、そうも思いました。ところが、その思いが後半開始早々打ち砕かれます。再びリャンのCKから。速い良質のボール。ちゅうちょした木下は触ることもできず。まさにそこを狙っていたファーサイドの平瀬が頭でどんぴしゃり突き刺しました。

ややもすると多くの戦評は(これまでのわれわれも含めて)、「流れのなかでの失点ではない」「崩されての失点ではない」といった表現で、そのセットプレーからの失点を“結果”から差し引こうとします。しかし、この大事な時間帯での失点こそ試合全体の“流れ”のなかでの失点であり、セットプレーとはいえ“崩された”ことに何ら違いはないと思うのです。CKという必ず一定の回数で起こりうる場面への対処。それも3回の場面で2回決められてしまった。重い重い1点であり、その重い1点を奪い合うのがサッカーというゲームなわけですから…。特に今回、仙台は最後まで自分達の時間帯を作れなかったなかで、コストパフォーマンスよろしく2点のビハインドを作られたことは非常に痛かった。逆にわれわれはセットプレーを活かせなかった。

低い気温も手伝って、熊本の運動量も今日はなかなか落ちませんでした。65分には、熊本の前線5人の流動的な攻撃に、両SBが加わります。左から原田のクロス。中には3人。“きちんと”こぼれたところを、エリアの外から市村がミドルシュート。グラウンダーの球筋は、ゴール左サイドネットを揺らします。なんとも美しい全員攻撃。美しい市村のシュートで1点差に迫る。残り時間は25分。行ける。十分に追いつける感じが漂います。しかし、このあたりでさすがに熊本も足が止まり始める。仙台は平瀬を斉藤に代え、中盤を厚くしてくる。宇留野に代えて山内。原田に代えて矢野。山本に代えて宮崎。全ての手を打つ熊本ベンチ。精一杯の前懸かりで攻め続ける熊本。当然、仙台のカウンターに晒されます。代わって入った中原に何度もチャンスが訪れますが、全くフィニッシュの精度に欠け、助けられました。

アディッショナル・タイム3分の間も、両者互いにピンチとチャンス。ホイッスルが鳴った瞬間、熊本選手のみならず仙台の選手もうなだれていたことが、この試合の“内容”を物語っていました。
「いい気になることはできない。今日の内容では喜ばない方がいい。本当に、今日の苦しさは、もう一度進むためにはいい厳しさのあるゲームをさせてもらったと感じた」。試合後の敵将・手倉森監督のコメントにも、仙台側の“気持ち”が現れていました。しかし同時に、この試合で「必要なのは勝点3だった」とも言い放った。「どんなにいいサッカーをしても、僕らはプロなので勝たないといけないし、その辺で本当に申し訳ないと思っている。」敗者の北野監督のコメントは、全くの“対称形”を描いています。

Jで2シーズン目を迎えた今年、これまでわれわれは「たら」「れば」という言葉を出来るだけ使わないように努めてきました。それは、現実のサッカーの世界を生き抜いていくためには意味のない言葉だし、敗戦の言い訳にして現実を受け止めることを妨げるだけのものでしかないと思ったからです。われわれは(われわれのチームは)、本気で日本のトップリーグ(J1)を目指していることが少しですが実感できるようになってきたからでもあります。そして、更に、今日は“あの××”という表現もなるべく使うまいと心しました。確かに今日は“あの仙台に”主導権を渡さなかったし、先日は“あのC大阪相手に”75分まで互角に戦った。しかし、チームもそう表現されることから、そろそろ卒業してもよくないか…と。それが、「内容はよかったのだが…」ということとイコールになっているようで。そこから次に進まなければいけないような気がして。

8月に入ったとは思えないような涼しい気候の影響もあったのかも知れませんが、今日は“自分達のサッカー”を90分近く行えたことは確かです。これが徐々に徐々に増えていき、そして結果が伴ってくれればいいのですが。「今日は最後まで狙いに行って、守備も最後まで体を張ったので。これを忘れないことだね、それだけだと思う」。今日も顔色ひとつ変えずに鉄人ぶりを発揮した石井。歴戦のつわもののその言葉は、とても重く、ずっしりと響いてきます。

4月26日(日) 2009 J2リーグ戦 第10節
熊本 0 - 3 仙台 (16:03/熊本/5,223人)
得点者:42' 梁勇基(仙台)、46' 梁勇基(仙台)、86' マルセロソアレス(仙台)


しかし、勝ち誇った敵将は口が滑らかになるもんですね。先日の湘南・反町監督の“うそぶき方”にも苦笑しましたが、今節後の手倉森氏も。熊本のシステムへの対応を問われていわく「昨日、ホテルに入った時に、熊日新聞に、今日のシステムが書いてありました(笑)」(J‘sゴール)って・・・。3トップで来るか2トップかの対策において、多少の比重配分の助けにはなったかも知れませんが、今時、ネットも含めてどこでも見当たる予想フォーメーション。そんなものが実際のスカウティングに上回るはずもないと思います。

ただ今日の熊本。相手のいいところを潰しあうのが“戦い”なのだとしたら、ここ2節、連続ゴールを決めているFW平瀬に矢野が徹底したマンマークで着いたものの、一番の要注意人物に“仕事”をさせてしまいましたね。

仙台 (先発フォーメーション)
13中島 14平瀬
10梁11関口
31斉藤8永井
27朴25菅井
3渡辺6エリゼウ
 16林 
梁勇基。ロペスや萬代を欠いてどうなることやらと思われた昨季の仙台を支え、入れ替え戦まで進めさせた立役者。この男の攻撃センスとキック能力を甘くみていたわけでもないでしょうに・・・。前半スコアレスかと思われた42分。矢野が与えたゴール前20メートル程度からのFK。たった一人でボールの前に立つと、ゴール右隅に撃ち込みました。その少し前、34分のバーを越えたFKが“練習”として活かされたのだとしても、右足と分かっている相手がひとり。左にそうそう決めきれるわけはなく、吉田が一歩も動けないというのはいただけない。“読み”以前に壁の作り方も含めての問題ではないでしょうか。また、後半巻き返すぞ、という立ち上がりの時間帯にも、今度は河端のファウルからほぼ同じ状況で失点。FKを与えたこの直前のプレー。 DFの“気合”はわかりますがが、二つの場面、いずれもチェックが遅れている。梁に許していい距離ではありませんでした。

セットプレーで2点のビハインド。しかし前半はポゼッションを保てていたので、とにかく何度でもチャレンジして、我慢して続けていけば必ず点は取れる。そうファンは信じて応援しました。ある意味開き直ったように・・・。ところが、アタッキングサードでどうしてもブレーキが掛かったように攻撃が止まってしまう。仙台のディフェンシブサードへの素早い戻り。すぐに守備バランスを整えブロックする。さらに“読み”のいいチェック。ここぞというところでは恐ろしく速く、そして強く行く。組織的な守備のお手本を見るようでした。さらに攻撃に転じたらアタッキングサードでのギアチェンジ。3人目、4人目の動き出し、両SBも加えた縦への突破でバイタルエリアを脅かします。見るからにオートマチィズム。無謀に走り回るだけではない、ある意味それは“省エネ”サッカー。先日の湘南を彷彿とさせました。熊本が個々のアイデアが“繋がらず”、「他人(ひと)を活かして自分も活きる」というプレーがないのと全く対照的でした。

刻々と過ぎていく時間。選手交代も、リスクを賭けた前掛かりな攻撃も仙台の堅い守備網をこじ開けることは出来ませんでした。運動量による疲労というより、今日は「めげる」ことでも体力は奪われるということを知りました。終了間際には、ルーズボールを緩慢に追いかけていた原田に追いついた梁が、途中交代のソアレスの駄目押し点をアシスト。終了のホイッスルが吹かれたあとも、遠く足を運んだ仙台サポーターの“梁コール”がいつまでも続きました。

敗戦にもかかわらず北野監督の顔には何故かしら笑みがありました。試合後の会見でも「こういう時もあるかなと思います。」とサバサバとしたコメントを残しています。『選手が何かを学ぶなら、勝ったときより負けたとき、敗北から学ぶことが本当に大きい。ここ何試合かいい試合をしていたが、負けから学ぶことがある。』かつてオシムがそう語ったのと同じ心境だったのかも知れません。

ゲーム自体は見たとおりのものでした。しかし、仙台の堅い守備網のなかでも、短かい時間帯だったけれど、幾度も熊本のペースで決定機を作ることができていた。あとは決めるだけという瞬間もあった。まさに決めればいいし、決まらなければこうなる。前半15分までの熊本のいいリズムが、その後、仙台に押され続け、思うようにならない時間帯でファウルが目立ち、FK2発という飛び道具に沈んでしまいました。客観的に言っても、Jで一試合に、同じ選手が2本もFKを決めることはあまり記憶にありません。

しかし、そうさせたのも自分たち。思うようにならないとき、FKを2本も決められてどうしようもないときでも、自分たちの戦いをしなければ課題も、修正も(そして成長も)ないわけです。大敗、完敗というよりも、試合になる前に自ら試合を壊してしまったような、そんなゲームだったように感じています。「失点しても自分たちのやるべきサッカーを続けなければならない。気持ちを切り替えて東京V戦に向けて最善を尽くしたい」と言う藤田のコメント(27日・熊日朝刊)を聞いて、われわれもすぐにやってくる次の戦いにアタマを切り替えようと思います。もう明日の朝刊には、次節の予想フォーメーションが載る。そんな日程なのですから。

9月13日(土) 2008 J2リーグ戦 第35節
熊本 0 - 4 仙台 (18:03/熊本/3,106人)
得点者:46' ナジソン(仙台)、58' 平瀬智行(仙台)、61' 平瀬智行(仙台)、76' 斉藤大介(仙台)


J‘sゴールの井芹記者が戦前、「これからはまさに未知の世界」と表現したように、第3クールに入って、昇格のかかった上位チームがどのようなモチベーションでかかってくるのか全く初めての体験が続きます。
前々節から続く不振。しかし対戦成績2戦2引き分けで、わりと“相性がいい”のかも知れない、という認識もあった仙台との3戦目。そんな期待と不安が交錯する戦いでした。

仙台 (先発フォーメーション)
14平瀬 33ナジソン
10梁11関口
7千葉31斉藤
23岡村25菅井
32岡山2木谷
 16林 
スコアレスで終えたハーフタイム。喫煙所で知人と「もうこれでいい。この45分で、この試合は終わりにしよう」とうそぶいたのがいけなかった。残り45分で地獄を見ることになってしまいます。
これまで何度もハーフタイムでの“修正力”と書いてきましたが、今節の事情はちょっと違いました。いみじくも45分で終われと願ったとおり、それは世界中のサッカーが90分という時間で行われ、それをしっかりとマネジメントすることが必要なスポーツだということに集約されました。
これから一敗もしたくない仙台が開始から猛然と攻撃してくるなかで、それを凌いだ熊本は、ある時間帯では主導権を握り、いい戦い方を演じた前半。ショートパス主体のチームには、こちらもショートパスが活きる。やはり相性がいいのかも知れない。そう思わせた。しかし、それで“良し”としてしまったところで“終わって”いたのかも知れません。
後半、仙台がより以上の力で押してくるのは当然なのに、その想像力、対応力が欠如している。そんなフワフワした後半の入り方であり、後半早々の失点でした。何度こんなことを書いたことでしょう。一向に改まらないのは、チームとしての学習能力の無さなのか、それとも何かに“慣れ”が生じたのか…。

ただ、先制点献上、ゲームプランが崩れ、その後の追加点でビハインドになっても、フィールドのイレブンの気持ちが切れているように見えなかったのは、唯一の救い。これまでの成長の証でした。ホームのファンは、まだ残り30分近くの時間での“健闘”をイメージしていました。
しかし、3失点目はさすがに全員に頭を垂れさせた。ここぞというときに頼るべきゲームキャプテン自らのミスだっただけに…。

これまで、敗戦濃厚な試合途中で席を立つ人を見るにつけ、「野球の試合じゃないんだから…」と侮蔑の眼差しを投げていました。90分で終わるとわかっているゲームを、どうして最後まで観られないのか、ホームチームをなぜ最後まで応援できないのか、結果ではないだろうに、と。
しかしこの日、席を立つ人の気持ちが少しわかったような気がします。それは、結果敗戦を確信して席を立っているのではない。ビハインドは承知のうえ。その上で、自分たちのホームチームが相手より“走り負けている”姿を、もうこれ以上見たくないからなのだと…。

気力は持続していたのかも知れませんが、もはや走れない、戻れない。対して仙台は、最後までPAを切り裂く、脅かす。これが90分間のマネジメントの違いなのでしょうか。われわれは走らされていたのか、あるいは持たされていたのでしょうか…。

昔、とあるサッカー関係者に聞いた話を思い出しました。
「テクニックだけを比べればJFLはもちろん、今や地域リーグの選手でも変わらないものを持っている。ただ、上のリーグと違うのは、それを90分間持続できるか。あるいは相当のプレッシャーや速さのなかで出し切れるか。疲れてきたときに集中力が持続できるか、ということなのです。」

細かいことを言えばキリがありません。SBは間合いが甘くて相変わらずクロスを易々とあげさせるし、CBのマークも着ききれていない。前がかりになったボランチは戻りきれない。
攻撃陣は、よくぞあの堅守の仙台相手にチャンスを作ったともいえます。けれど、日本のサッカーがフィニッシュを人に譲り、ラストパスを選択しがちと言われるように、今のロアッソは、フィニッシュどころか、“ラストパス自体を人に譲っている”ように見える。ゴール前での手数という名の消極性…。

しかし、最も憂うべくは何度も繰り返される同じ失敗。それは、個人のプレー判断でもあり、今節の後半の入り方、その後のゲームプランの修正といったチーム戦術の問題でもあり…。J1年目として、結果は何も問わないと覚悟しているのに、何かが欠如してしまったのではないか。
J1経験チームとの引き分け3連戦を終えたエントリーで、「単なる1年生のチャレンジャーから脱皮していく最中にある」と書いたのは早計でした。われわれにも自然と現状満足と慢心が芽生えていたのかも知れません。

GK吉田の判断も技術もまだまだだし、目を覆いたくなる場面も多い。だけど、われわれはこのルーキーの“可能性”を応援しているのだと思う。それはチーム全体に対する気持ちも同じ。やはりチャレンジ精神だけは、常に失ってはいけないのです。

「悔しいと思ったら、また強くなれる」。中村俊輔はそう言いました。
出口のないトンネルなどありません。そして、この同じトンネルをきっと仙台も水戸も甲府も、(それぞれの速度に違いはあっても)通過してきたはずなのですから。