10月14日(月) 第93回天皇杯 3回戦
広島 2 - 0 熊本 (15:01/Eスタ/5,876人)
得点者:1' 石原直樹(広島)、63' 佐藤寿人(広島)


完敗でした。それはチームの勝敗のことではなく…。

天皇杯3回戦、広島戦。NHKどころか、スカパーの中継カードにも選ばれず、巨大掲示板とtwitterの情報頼みでPCの前に座っていました。敵地・広島までは、新幹線を使えばわずか1時間半なのに…。これでは、とてもロアッソ・ウォッチャーなどと“自称”することはできないなという意味で、恥じ入っています。

しかも、同じ放送時間帯にNHKが選んだカード、「清水vs金沢」の試合のすごかったこと。あわやJ1清水の足元を掬うところだったのはJFLの金沢。ジャイアントキリングを、この大会の”見どころ”にしているNHKは、結果はともかく、してやったりのチョイスだったのでは?と思うと、さらに敗北感が強くなってしまいます(笑)。

というわけで、試合内容については多くを語れないのですが、試合経過を見ていても、報道を見ても、開始わずか25秒の広島の先制点に浮き足立ち、ゲームプランどころではなくなったということでしょうね。

そして、「個人の質が違うなと改めて感じました」と池谷監督代行が言うように、先制点を嵩に掛けた広島が、その”差”をどんどん見せ付けていったということでしょうか。

気になるのは、指揮官も「あまりにも早く失点し、怖がるプレーが多くなった」(熊日)と言い、藤本がブログで、「あれだけ貧弱なメンタルで戦ったら、結果は当然負ける」と嘆いている点。藤本自身、怪我からの復帰戦で、古巣と戦うことへ”思うところ”が大きかったのもあるでしょうが。

われわれは前節のエントリーで、「これから当たるリーグ上位陣との戦いの前に、その広島の圧倒的なスピード感を受け止めるのも、次につながる」と書きました。しかし、藤本は同ブログで「正直、次のリーグにどう繋がっていくのか予想できないが、とにかく相手に立ち向かう勇気だけは取り戻したい」と、かなりネガティブなまとめかたをしています。

ただ、その藤本も、熊日のインタビューに対しては「J2では今日ほどはプレッシャーは感じないはず」とも。堀米も故障から復帰し、途中出場から気を吐いたようなので、ここもポジティブにとらえたいところです。現時点のJトップチームを相手に失うものはなく、戦って得られたものは必ずあるはず。また、降格戦線という現実に戻ります。われわれも、アタマの中からマイナスの要素を排除して、徹底的に前向きにいきます。さあ切り替えて、残り6試合。リーグ戦に集中です。

追記:アップしたあと、井芹さんの試合レポートを拝見しました。詳細です。ご参照あれ。

11月30日(日) 2008 J2リーグ戦 第44節
熊本 1 - 2 広島 (13:06/熊本/20,635人)
得点者:38' 佐藤寿人(広島)、57' 木島良輔(熊本)、87' 佐藤寿人(広島)


日本中のあちこちで、それぞれのホームチームにとって非常に重要な意味を持つ試合が行われたこの週末。われわれのホーム・KKウィングでは、熊本にとってまたひとつ“記憶”に残る大事な試合が行われました。

8戦負けなしで迎えるリーグ王者・広島との最終戦。終盤尻上がりに調子を上げた熊本にとって、このシーズンに蓄えた力を最後に試す相手として不足はない。鉄壁のDFストヤノフが欠場とはいえ、綺羅星のごときタレントがスタメンに名を連ね、勝ち点100を目指し、J1での躍進も期す広島のモチベーションは、優勝決定後もまったく落ちていません。
熊本はしかし、この1週間で引退の4選手の発表。前日には「契約満了」の6選手の発表もあり…。いずれも“ロッソ”発足からのメンバーや、JFL昇格、あるいはJリーグ昇格に貢献した選手たち。言い表せない複雑な心境でスタジアムまでのハンドルを握りました。

試合前のキッズ・サッカーにも、サイン会にも元気な笑顔で参加している契約満了の選手たち。コンコースでは、ファンにせがまれて写真に納まる小林陽介選手の笑顔が…。人気ものでした。試合前、大型ビジョンでは、今シーズンの試合のダイジェストが放映。ホーム開幕・草津戦での勝利、九州ダービー福岡戦での戦い、C大阪戦での逆転劇…。走馬灯のように駆け巡る今シーズン。すでに年寄りの涙腺はゆるゆるになっていました。

先発には久しぶりの、そしてこの日キャプテンマークを巻くのも最後になる、熊谷の姿が。控えにも上村、有村、北川。熊本のベンチには試合に出ない全ての選手のユニフォームが飾られて…。今年のメンバー、このチームの全員で臨む最終戦。

熊谷は攻撃的な中盤の位置に入りました。この人が、“ロッソ”九州リーグ時代の途中、佐川急便東京の主将の座を投げ打って熊本に移籍してきたときは、正直驚きました。JFLのベストイレブンに何度も輝いた佐川急便の主力。大学、そして柏と、池谷監督が直々の後輩を口説き落としたことは、想像に難くありませんでした。そして、その後の熊本の中盤を、安定したプレーで落ち着かせただけでなく、大事な場面、得意のミドルで決めてくれました。精悍な容姿とクレバーな物腰。JFLに昇格した年の壮行会で、「Jに上がっても1年ぐらいでしょう…」と言って笑っていた。あの頃、もう決意は胸のなかにあったのでしょうか。

試合開始から少し硬さの見える今日の熊本。チームの誰もが、このゲームの意味がわかっているからこそでしょうか。しかし、この強豪・広島相手に臆病に引いてしまうのではなく、一年間やり抜き通した「前線からのプレス」を貫くことに変わりはありませんでした。いやむしろ、これまでにないような激しさで試合に入っていきます。試していたことが今、確固たる自信に繋がっている。ゴール裏のアルデラスのチャントも、今日は最初から飛ばしているようで…。

そこはしかし、さすがに広島。徐々にもきっちりと押し返してくる。中盤から最終ラインのバランスを保ち、隙を与えない。逆に熊本のミスを見逃さない。高萩と柏木のシャドーが、前線でのチェックを怠らない。この完成された広島サッカーと戦えているという喜び。相手は“巧い”“正確”“速い”。しかし熊本も負けてはいない。奪われそうになるペースを全員で奪い返す。高いレベルのゲームを目の当たりにしていると実感しました。

均衡が崩れたのは前半38分。右サイドを破られ、上がったクロスに佐藤寿人のドンピシャのヘッド。スコアレスに持ち込みたかった前半。痛い失点でした。

後半早々、チャに代えて上村を投入。矢野をSBにスライドしCBに入りました。熊本が初めて迎えた元日本代表選手。昇格を逃したJFL2年目に、彼は“現場指揮官”として乞われて熊本にやってきました。幾度も受けた手術。満身創痍。しかし、百戦錬磨の経験からくる、どんな逆境も跳ね除けるその姿勢で、若い選手たちをフィールドで鼓舞し続けた。むき出しの闘志はピッチを支配し、その存在はどれだけ心強かったことか。

後半12分、その上村からのロングフィード。相手陣地に残っていた木島にボールが収まる。DFをひとり交わす。ふたり交わす。エリア内に侵入。左の角度のないところからニアサイドに迷いなく突き刺す。同点!!そのとき、すでに2万人に膨れあがっていたKKのスタンドは騒然。木島!木島!この男のゴールに今期何度励まされたことか。

広島は高萩に代えて桑田。楽山に代えて橋内。一方、熊本は熊谷を下げて北川を入れ4-4-2にシフト。ピッチに向かって深々と一礼する熊谷。惜しみない拍手。代わって最後の20分のプレーに飛び出して行く北川。その容貌から熊本のルーニーとあだ名した北川。佐川大阪、水戸、アローズ北陸と渡り歩き、JFL得点ランキング4位の実績を買われて熊本にやってきてくれました。しかし、「強い」「巧い」という特徴において、どうしても高橋の影に隠れてしまった。その北川、前線でしつこく相手ボールを追いまわし、足の止まりかけたチームにエネルギーを注入。自らの仕事を完遂しました。

30分には満を持してSBに有村を投入。木島との交代の際、サイドラインでがっしりと抱擁。「やることはやったから」と、大分時代からの僚友のラストゲームにはなむけの言葉を添えました(J‘sゴール)。

上村はボランチに上がり、前線は高橋、中山、北川という攻撃的布陣のまま。有村がサイドをかけ上がる。下がっては身体ごと投げ出す懸命のディフェンスを見せる。怪我に泣いた今期。身体はボロボロのはずなのに、気持ちが勝っている。それはこの日出場を果たしたほかの3選手も同じ。コンディションをいえば他のメンバーに分があるのか知れないが、この日はこの4人の“特別”なモチベーションに賭けた。その波動が、間違いなくチーム全体にも伝播している。この日、通産100試合出場のGK小林がファイン・セーブで、危険な場面を防ぐ。当たりまくる小林。上村を兄とも慕うこの男にとっても、この日は特別な何かが宿っていたようでした。中山が、高橋が、相手ゴール前で果敢にボールを追う。DFやGKを慌てさせる。今、あの広島を攻め立て、焦らせているのは、われわれのチームなのだ。

しかし、試合を決めたのは、やはり現日本代表FW佐藤寿人の一撃でした。後ろから入るボールに合わせる技術の高さ。そして、入っては消える位置取りの巧みさ。なぜあそこでフリーになってしまうのか…。広島の選手個々の技術、そしてチームとしての連携の高さ。追い詰めた感がしたのもつかの間。やはりまだまだ相手は上手だった。最後のゲームで大きな宿題をもらったようにも思います。

そのまま終了のホイッスル。熊本の初めてのJリーグ挑戦のシーズンが終わりました。10勝19敗13分勝ち点43。最終節を待たずしてリーグ12位を確保しました。J昇格に際し大幅な(無理な)補強などせず、ほぼJFLの陣容で臨んだ1年。最下位という予想が多くを占めた前評判を覆す、1年生としては堂々と胸をはれる結果と言えるでしょう。

今シーズンの分析・評価はまた別の機会にゆずることとして、まずは選手、監督、コーチ、チームスタッフに感謝の気持ちを伝えなければならないでしょう。われわれをJリーグに連れてきてくれて、本当にありがとう。ホームチームの勝敗に一喜一憂して過ごした1年。いつも“ロアッソ”が側にありました。

そして今日のラストゲーム。敵将ペトロヴィッチの試合後コメント「熊本のこの素晴らしいスタジアムで、これだけのお客さんが集まってくれたことは、本当に素晴らしい。スタジアムのムードも、本当によかった」(J‘sゴール)。かなりのリップサービスもあるでしょうが、実はわれわれも同じような気持ちでこのゲームを楽しんでいました。シーズン最後の試合にシーズン最多の観客が来てくれたこと。4人の引退選手が、決して“引退試合”でなく、激しい闘志で、それぞれの思いを込めたプレーを見せてくれたこと。多分、そのことが王者・広島に対して一歩も引かないぞという、チーム全体の気持ちが通い合う瞬間が感じられたこと。そしてスタジアム全体に、冬の午後の少しオレンジがかった光の中で、実に幸せな時間が流れていたこと。みんながサッカーを楽しんでいたこと。

すっかり日が傾いたスタジアム。セレモニーに臨む4名の引退選手たち。自らの選手生活の最後の地に熊本を選んでくれて、本当にありがとう。広島サポーターからの「上村」コールに感極まる闘将。熊本サポーターのコールを待って、場をわきまえてくれた広島サポーターの皆さんありがとう。有村には大分からも大勢が駆けつけてくれていた。何度も振り向き、手を振っていた。本当に愛された選手たち。

そして、去って行く6人の選手たち…。鈴木、斉藤、町田、河野、関、小林。われわれは、あなたたちが、熊本の戦士だったことを決して忘れない。現役を続けていくなら、きっとどこかでまためぐり合えるでしょう。そう、この前、武蔵野で目にした遠藤のように。だから高橋風に「またね。」と別れるのが適当なのでしょう。次は敵として相まみえる日を夢見て。そのときはみんなで思いっきりの拍手と最大の敬意を込めたブーイングで迎えることにしましょう。

7月6日(日) 2008 J2リーグ戦 第24節
広島 2 - 2 熊本 (18:04/広島ビ/7,924人)
得点者:27' 木島良輔(熊本)、35' 佐藤寿人(広島)、55' 佐藤寿人(広島)、67' 山口武士(熊本)


広島 (先発)
 11佐藤寿人 
15高萩7森崎浩司
17服部16李
25高柳6青山
5槙野3結城
 8森崎和幸 
 31佐藤 

広島は怪我人続出で、満身創痍のフォーメーションだったそうです。ストヤノフが累積で欠場。その最終ラインには、森崎和幸が入って。先制点は、その森崎を木島が襲ったもの。こぼれたボールを高橋が拾って、再び木島にパス。PAで木島はワントラップ。みごとにゴールに流し込みました。高い位置での守備意識が奏功したもの。なんと熊本が先制という展開になりました。

広島は“ガチ”できていましたね。前節は山形に悔しい黒星。最下位熊本から愛媛、岐阜と続く3連戦を“取りこぼさない”ことが重要と、前回対戦以上の高いモチベーションを感じました。

激しいプレスから前線へ運ぶパスワーク。PA前で鋭く入れてフィニッシュ。全くフルスロットルの広島でした。熊本は、序盤にやや押し気味の時間帯があったものの、その後は防戦一方。前半35分には、佐藤寿人が同点弾。熊本の両CBが詰めましたが、GK小林との連携ミスでこぼれたボールを、逆回転に切り返しシュート。日本代表の個人技を見せつけました。これは致し方ない。

後半、勝ち越し点も佐藤。PA内に切れ込んだ佐藤を河端がしっかり引っ張ってしまいましたね。このPKを本人がきっちり決めて広島勝ち越し。

ところが、最後まで諦めなかった熊本。後半22分、左サイド奥まで走った山本からの“タメ”の利いたクロスにピンポイントで山口が合わせ、ゴール右隅に。GK触れず。値千金の同点弾でした。

ゲーム全体を通して見れば、前回対戦以上に、力の差は歴然としたものでした。しかし、ここ数試合、歯車がかみ合ってきた“ハードワーク”が、首位広島から2得点をもぎとり、勝ち点1を奪い取った。

前線でのアグレッシブな守備からの1点目。インターセプトしたボールを高橋に預けたときには、木島はもうゴール前に突進していた。
そして山本の諦めない走りからの2点目。このとき実は山本が狙っていたのはゴール前の高橋の頭だったらしいのですが、わずかに合わず。しかし、山本にパスを出した山口自身が、同時にファーに走りこんでいた。いずれも一本前のパスの出し手がゴールを決めるという、少ないチャンス、少ない人数での攻めの典型。

もちろんこれは、佐藤の2得点のほかにも数々あった広島の決定的なチャンスを、本当に“愚直”に“辛抱強く”潰し続けた全員守備があったからこそかと。スカパー解説者も、熊本の守りを“8人の守備ブロック”と高く評価していましたね。それでも引いて守っているイメージにならないのは、熊本の前線2枚の脅威があったからでしょう。熊本FWの納める力、シュートの意識の高さなど相手DFへの圧力は一定のものがありましたね。

広島との歴然とした“力の差”を埋めようかというまでに改良された熊本型“ハードワーク”。初期の“行けるところまで行く”プレスから、様々な経験を糧として時間帯に応じた非常に細かい連携、意思統一が見えてきました。今日は相対的に劣る戦力の配分を割り切って、全員が非常にクレバーに汗をかき、水を運び、少ないチャンスに集中したという印象です。

リーグ戦も折り返しにかかるこの時期、J1経験の上位チームとの3連戦を1勝2分で締めくくりました。ようやくこのカテゴリーで戦うベースができた、そんな確信を持ってもいいような、胸を張っていいファイトだったと思います。
4月26日(土) 2008 J2リーグ戦 第9節
熊本 1 - 2 広島 (15:03/熊本/5,822人)
得点者:56' 平繁龍一(広島)、82' 服部公太(広島)、87' オウンゴ-ル(熊本)


こんなに悔しいのは何故なんだろうとも思います。

ひよっとしたら、ズタズタにされて、ボロ負けするんではないかという一抹の不安のなかで、また惜しい試合をしたからか・・・。あるいは、全くいつもと同じように、後半だけの内容で負けてしまったからか・・・。昇格候補筆頭の広島を相手に、こちらの順位から言えば、1-2という結果はかなりの善戦といえるはずなのに・・・。

今シーズン最多というほど、やはり広島からは大勢のサポーターがやって来て、アウェー・ゴール裏を紫色に染めました。前節、甲府相手に痛恨の初黒星を喫した広島。J一年生チーム相手に連敗は許されないというモチベーションだったのでしょうが、しかし、その動きは意外なほど鈍かった。

熊本は、善戦した前節C大阪戦と同じフォーメーション。この試合でも、山本、山口の両ボランチが果敢に詰めてボールを奪い、チャジホや小森田が、前線にからんでいきました。

前半は互角というより、わがほうに何度もチャンスあり。しかし、先制点は取れず。これもまた何度目になるでしょうか。

そして後半の、ある時間帯。見た目にははっきりと足が止まるというより、動きの”精度”が落ちるといっていいのかも知れません。もちろんそれは、単純に言えばスタミナと言いうことなんでしょうが。

戻れない、走れないというよりも、ほんの一歩の出足のタイミング、一本のパスの強弱・・・。遅い、弱いというより、本当に微妙な筋肉のスピード感の狂い。消耗。

河端に削りに削られながらも、走り抜き、パスを送り、シュートを撃ち抜く佐藤寿人を観ていて、その違いに感じ入りました。どんなに疲れた時間帯でも、どんなに厳しく競っていても“軸”がぶれない。したがって視野がぶれない。こんな言い方をしていいのかどうかと思いますが、印象的には「体幹」の筋力、持久力といったものを感じました。

「1本の精度の違いが、上位との差じゃないかと思う」(山本:J’sゴールインタビュー)。そこには詰めなければいけない1点差以上の”差”があるだと感じました。

首位をひた走る強豪チームではありましたが、”今日の”広島には勝てた。勝っておきたかった。いい試合をしながらも勝ちきれない。ひどい内容ながらも勝ち点は得る。それが、今ある両チームの”力”の差なんだと思いました。


さあ、切り替え、切り替え!
次節甲府戦まで時間もないので、同時にスカウティング編にいきたいと思います。

ヴァンフォーレ甲府は、やはり今季J1から降格してきたチームですが、目だってこれといったタレントがいるわけではありません。やはり有名なのは、前監督である大木氏が築いた”狭い局面でのショートパス”で繋いで、攻撃に移るサッカー。狭いサイドに追い込み“クローズド”したあとに、奪って“オープン”展開する。といっても、普通ならスペースがある逆サイドのほうにサイドチェンジするんですが、甲府のサッカーはあえて、同サイドに”オープン”するように感じます。数的優位を作るサッカーとは、対局をいくサッカーなのではないかと・・・。ことに、”オープン”の先にあるジョジマールが要注意選手といえます。
開幕からスタートはもたついていましたが、相性のいい広島に白星。今節では愛媛に競り勝ち、いよいよ調子を上げてきました。

甲府の歴史は苦難の歴史です。J2創設期からのチームですが、開幕から10試合未勝利。初年度は最下位。2年目も第5節から25連敗というリーグ記録。当時としては珍しかった、親会社なしの純市民クラブ経営も苦難をきわめ、ついに債務超過となり経営危機に陥りました。
クラブを救ったのは、現社長でもある海野氏。大企業という後ろ盾がないかわりに、担架にまで広告を入れるという、少額スポンサーをコツコツと獲得する大胆な戦略で、徐々に好転させていきました。
転機が訪れたのは2005年、大木監督による攻撃的サッカーが開花して、ついにJ1に昇格。一時は、消滅の危機さえあった地方の弱小クラブのJ1昇格は、多くの地方クラブに勇気をもたらし、経営的にもひとつのモデルとなりました。

残念ながら2年で降格の憂き目にあいましたが、J1を経験したことで、甲府市民にさらにホームチームへの求心力を与えました。小瀬のホームゲームの動員力は、J2では屈指といえるでしょう。

今季新たに指揮をとっている安間監督は、JFLのHondaFCで選手生活を送り、大木監督時代に甲府に呼ばれてコーチをしていたため、大木サッカーの正統な継承者といえます。Honda出身では、宇留野がFWとして活躍しています。運動量の多い、相手にとっては嫌な選手です。

ただ、ロアッソとしては与しやすい相手ではないかと。
無闇なロングボールもなければ、厳しいサイドチェンジもないような・・・。ただひたすら、全員が走り続け、ハードワークを厭わない。ある意味、同じ方向を向いた相手。
がっぷり四つで、今の熊本の力をぶつけてみせて欲しいと思います。

第一クールもいつの間にか折り返しを過ぎ、そのあとは横浜、福岡、岐阜、徳島と続きます。
「これを一年やり続けられるかだと思います。結果が出ないからといって“引いて守ろう”とか、リスクを負わないサッカーにやり方を変えてしまうと、次がないと思うので・・・」(池谷監督:J’sゴールインタビュー)
”結果”が欲しいわれわれファンの気持ちをよそに、指揮官の視点の先は、まだまだ彼方にあるようです。

さぁ、ゴールデンウィークは連戦。下を向いたり、振り返ったりしている暇はない。次も、その次も声を限りに応援しましょう。われわれのホームチームを。