3月12日(日)
【J2第3節】(えがおS)
熊本 1-1(前半0-1)山形
<得点者>
[熊]佐藤昭大(90分+2)
[山]瀬沼優司(30分)
<警告>
[熊]片山奨典(17分)、林祥太(57分)、グスタボ(86分)、上里一将(87分)
観衆:6,628人
主審:荒木友輔


いやはや。2試合連続で終了間際のドラマチックな同点劇です。しかも、今回も「決めたのは誰?」となって。大きなガッツポーズをしている緑色のユニフォームと大柄な体を見て、やっとGK佐藤だったんだと。われわれとしたことが、このCKの場面で上がっていたのさえ気づかなかった。

それにしても前節はCB。今節はなんとGKが上がってのリーグ的にも”実に珍しい”得点。今回もまた清川監督の指示があったわけではないという。

3月。晴天のえがお健康スタジアムに迎えるのは山形でした。互いに開幕から1勝1敗で5位に並ぶ。寒地・山形は、開幕からアウェー3連戦の最後の試合。朝方は雪だったという山形から駆けつけました。

熊本は先発を入れ替えてきました。前線には巻と八久保。右SHにはルーキーの林がJリーグデビュー。

20170312山形

その八久保が開始早々ドリブルで持ち上がり、思い切りのいいシュートはGKがセーブ。持ち前のスピードを披露すると、対する山形はシャドーに入っている 汰木が右45度からシュート。これもGK佐藤がセーブします。

アクシデントは20分でした。山形の左CK。ファーに飛んだボールに下がりながらジャンプした小谷。その後ろから山形・菅沼が覆いかぶさる。もんどりうつ小谷。後ろから腰に膝が入っていました。担架が入る。苦痛に顔をゆがめる小谷。一旦ピッチに戻ったものの、結局は光永との交代となります。

ニューイヤーカップでもCBを務めた光永。リーグ開幕からは、SHも務めた。若くして器用で安定感のある選手なのでしょう。この大事なときにポリバレント性が活かされます。

しかし30分でした。山形の右CK。ニアの瀬沼の高いヘディングはマークについていた巻の前。ゴール左隅に転がり込み先制点を奪います。

山形の素早いプレスに押し戻され、後列からの長いボールはセカンドが拾えないという悪循環。奪っても時間がかかると山形のプレスに合い、前につなげない。体力は奪われ、ストレスばかりが溜まる。

しかし諦めない。しぶとく粘り強く戦う熊本は徐々にテンポを得る。バイタルで回して上里のシュートはGKでしたが、前半の終盤は熊本の時間帯。この日も、追加点を許さず粘り強く戦った。試合前のインタビュー。「耐えて、我慢しながらやっていく」と宣言した清川監督の言葉どおり。そのことが、その後に繋がったといえましょう。

後半、またアクシデントが起こる。54分、ペナルティエリアに侵入した瀬沼を村上が倒すがファールはなし。しかしこのプレーで村上が痛む。一旦ピッチに戻ったものの、大事をとったのか、上村との交代になります。戦術的な交代ではないところで早くも2枚の交代カードを切ってしまった熊本。

ようやく戦術的なカードを切れたのは72分の八久保からグスタボへの交代でした。グスタボに前線でのキープと、裏への突破を託します。

しかし山形も対処していましたね。グスタボに入ると二人が囲んで前を向かせない。初めて観るグスタボのプレーは、確かに強くしなやかでしたが、山形の執拗なカバーに神経を尖らせ、いら立つグスタボ。激しいタックルでイエローを貰う。続いても、山形の果敢な仕掛けに耐え切れず上里が後ろから引っ掛けてイエローを貰うというなんだか悪循環の嫌なムード。まさに敗色濃厚。そこからのアディショナルタイムでした。

山形は時間を使い始める。この1点を守ろうという戦術。熊本は左サイドを崩すと、片山がえぐってクロス。ファーで林の前に入った山田がクリア。右CK。

その瞬間、上がってきたのはGK佐藤。キッカーの上里は「(上がってきた)佐藤君と目が合い。ここに蹴ってくれと伝わってきた」(熊日)のだという。その佐藤は「ドンピシャで来た。飛んだら頭に当たっただけ」。値千金の同点弾をものにします。

そこに蹴りこんだ上里の技量もすばらしければ、そこに上がってきた佐藤の判断も素晴らしい。

山形は勝利の直前で手から滑り落ちた勝ち点2を取りもどそうと終了間際まで攻めたてましたが、熊本も凌いで痛み分け。勝ち点1を分け合うことになりました。

山形の素早い圧力に大苦戦した試合でした。アクシデントで交代枠のうちの2枚を使ってしまって、戦術的交代はグスタボのみ。デビュー戦になった林などは、おかげで90分間走り続けなければならなかった選手の一人なのかと。ただ、それもまた貴重な経験になったのではないでしょうか。

2試合連続で、劇的な同点引き分けになりました。劇的ではあるが、もちろん勝ってはいない。けれど、前節もそうでしたが、失点したあとの粘り強さ、2点目を与えなかったことが、この結果を生んでいることは確か。指揮官の言う粘り強さ、うまくいかない流れをひたすら我慢。そして「最後まで諦めずに点を取りに行く」(DAZN)と言うとおりの結果。そして勝ち得た勝ち点1。順位は8位に落ちましたが、首位との勝ち点差はわずか2でしかありません。

ただ、怪我人の様子がちょっと心配です。どう工面して次節を迎えるのか。

なかなかのスタートであり、そして早くも正念場を迎えているとも思えます。次節はアウェーで福岡戦です。

9月25日(日)
【J2第33節】(うまスタ)
熊本 0-0(前半0-0)山形
<警告>
[熊]清武功暉(36分)、キム・テヨン(48分)
[山]田代真一(80分)
観衆:4,341人
主審:池内明彦


前節岡山戦と同じスコアレスドロー。しかし、前節のような気分になれないのは、どうしてなんでしょうか。

上位に食い込んでいる岡山と違って、同勝ち点数でせめぎあっている相手だったからでしょうか。神戸と延長戦含め120分間戦って、中二日で試合を迎えた相手に対して、アドバンテージを見込んでいたからでしょうか。いや、前回対戦では4-1で大敗した相手。J1経験もある山形。リスペクトは十分にしていました。

問題は、明らかに疲れからかミスの多い相手に対して、そこで畳み掛けられないわがチームの不甲斐なさ。お付き合いをするようにミスをする試合内容。凡戦を見せられたようで、なんだかフラストレーションが溜まってしまいました。

山形に対し、「長いボールが入ってくるだろいうというところで、サイドバックが上がってきてのクロスも多くなると、後ろの4枚だけだと耐えられない時間も増えてくるかもしれないので、中を少し厚くした方が状況としてはいいかなと判断」(熊本蹴球通信)して、清川監督はこの試合も4-1-4-1のシステムで挑みます。

20160925山形

この日からナイトゲームのシーズンが終わりを告げ、キックオフは夕方の16時に。しかし、蒸し暑さの残るスタンドでは、あちらこちらでうちわで扇ぐファンの姿が・・・。

指揮官が、「攻撃に入った時には勇気を持って仕掛けるなり、ロングボールのセカンドに『ここに来るだろう』と信じて入り込んだり、そういうことを泥臭くやっていかないと、なかなか点が取れない」(清川監督)とも言うように、ボールはインサイドの中山や上村の頭の上を行き来するばかりのヘディングの応酬。マイボールにして落ち着かせても、「チャンスだと感じたらもっと前を追い越す動きも増やさないといけない」と上村が反省の弁を述べたように、攻撃のスウィッチを入れるタイミングが合わない。というよりも、ない。

テヨンは、「(清武)功暉が1人で苦しんでた場面が多かったので、前のボランチ2人をもう少し押し出して、攻撃の時にサポートができるようにしていかないといけない」と言う。空中戦に身体を張る清武でしたが、この日ボランチのひとりが高柳だったら、もっと追い越したり、押し込んでいけたり、前線に顔を出せたのではないかとも思わせました。

前半のシュートは、熊本4に対して山形が2。熊本は4分に右サイド上村のチェイスからクロス。清武のシュートにはDFが入る。12分のFKの場面。清武がゴールを狙いましたが、GK山岸が触ってポストに嫌われる。惜しい場面も演出しましたが、いずれの攻撃も単発でした。

後半は、山形の疲れもあって、互いにスペースができてオープンな展開になります。それを利用しようとするように、熊本は菅沼に代えてスピード勝負の齋藤。山形は、伊東に代えてテクニックのある汰木で打開を図る。

68分、中山のスルーパスに裏をうまくとった八久保。左足シュートはしかし枠の大きく上。

熊本は中山に代えて村上。山形はディエゴを諦め高木を入れる。

前節、怪我から復帰してシーズン初出場を果たした村上巧。ボランチの位置に入って、その能力を如何なく発揮します。1対1で奪って前を向く。85分、村上のターンから上村のシュートは枠のわずかに右外。前節も途中からの出場だった村上。まだ90分は無理なのか。それとも試合勘を養っているのか。

「奪ったボールを巻をターゲットにして当てて、そのこぼれをなんとか齋藤、八久保、清武のところで拾って攻撃を終わりたかった」(清川監督)指揮官は、終了間際に上村に代えて巻を投入しますが、時すでに遅しという感じでした。終了のホイッスルが鳴ると、多くの熊本の選手たちがピッチに倒れこむ姿が見られました。蒸し暑さは消耗を誘った。

決定機の多い試合ではありませんでした。終わってみれば熊本のシュート数8のうち枠内が4。山形に至ってはシュート数6のうち枠内はゼロ。確かに、山形に完全に崩されたシーン、危ないシーンはなかった。しかし、だからと言って、熊本が完全に崩しきったシーンもない。最後まで、どうも重心が後ろにかかっていたようで・・・。

山形の今のコンディションに”お付き合い”してしまったように感じるのはわれわれだけでしょうか。もっと”自分たちの試合”はできなかったのか。スカパー!の中継でも言っていましたが、まるで同勝ち点数の対戦相手に対して「相手を勝たせたくない」というだけの試合とでも言えるような。自分たちが”この試合は勝ちたい”という気迫のようなものが感じられなかった。

残り試合数が少なくなって、リーグ残留を意識し、今の戦力の現状、これからの対戦相手を考えての戦略なのでしょうか。このあたり。指揮官のコメントだけでなく、その選手選考とシステム、選手交代と戦術。なにか決意していることもあるのかも知れないとも思わないでもない試合。そう感じました。

【J2第10節】(NDスタ)
山形 4-1(前半4-0)熊本
<得点者>
[山]栗山直樹(21分)、鈴木雄斗(29分)、ディエゴ・ローザ(30分)、ディエゴ(34分)
[熊]アンデルソン(63分)
<退場>
[山]ディエゴ・ローザ(40分)
<警告>
[山]ディエゴ・ローザ2(19分、40分)、山田拓巳(72分)、田代真一(78分)
[熊]鈴木翔登(32分)
観衆:3,303人
主審:荒木友輔


展開は違いますが、大量失点での連敗になりました。どうしてこうなってしまったんだろう。

5連戦の4試合目。前節から中二日、ミッドウィークに組まれた山形戦は、本来4月29日に組まれていた試合の延期分でした。疲労を考慮して熊本は先発を半分以上入れ替えてきた。温存していた平繁とアンデルソンの2トップ。2列目右には中山。WBに片山と藏川。3バックの一角には鈴木。

20160706山形

この日のNDスタジアムは、一日中降り続く雨で水分を掃ききれず、特に前半熊本のゴール前ではボールが止まる有り様。全体のピッチコンディションも頭に入れた山形は、ロングボール主体で、熊本の最終ラインに打ち込んでくる。いわゆるイレギュラーなことがおきても不思議ではない環境。対処が難しい熊本でした。

そんななかで21分、CKからファーサイドにいた栗原に高い打点のヘディングで先制点を押し込まれると、29分にはぬかるんだゴール前で鈴木に切り替えされて豪快なシュートで追加点。更には30分にもロングボールからディエゴローザに裏を取られてループシュートで決められると、ダメ押しのように園田がエリア内でディエゴを倒してPKを献上。あれよあれよと前半のうちに4点を失います。

熊本が攻撃に転じても、中山と嶋田の重心が後ろにかかっているのか、アバウトなアーリークロスに終始するばかりで、アンデルソンや平繁を活かせない。成すすべもないような状況のなか、40分、GK佐藤がディエゴローザの接触を誘い、2枚目のイエローで退場に追い込みますが、しかし、一人少なくなった山形が、この大量得点のなかで“守り”に意思統一するのに格好の理由にもなりました。

後半開始早々から熊本は清武を入れ、62分には巻も投入すると攻撃の組み立てもようやく活性化。63分、熊本CKの流れから清武が低いクロスを入れると、ファーサイドで園田がスライディングで折り返し、それをアンデルソンもスライディングで流し込む。

一矢報いたものの、その後は山形に守り切られ、あえなく敗戦となりました。

試合後の「球際の攻防や、こぼれ球への反応で気持ちが見えない選手がいた」(熊日)という清川監督の言葉が、妙に気になります。ハーフタイムの叱咤激励も「1人でもあきらめたら、もっと失点するぞ」と。

「先制を許し、気持ちが少し切れてしまった」(熊日)というのはキム・テヨン。園田も「CKから失点し、気持ちをすぐに切り替えられなかった」(熊日)と同じようなことを言う。

決して犯人探しをしたいわけではありませんし、監督が言っているのも、一人や二人のことではないような気もする。テレビを観ていたわれわれも、組み立てにならない攻撃にモヤモヤしていた矢先の失点に、かなりガッカリしたことは事実。全体的にチーム自体に覇気が感じられなかった。

大敗とはいえ、前節とは展開が違う。前節は先制したものの一人少なくなったという要因がある。しかし、今節は先制点を与えたあとに櫛の歯がこぼれるように失点を続けた。まるで心が折れたように。

あの感動的なホーム復帰戦から中二日をおいて、こうもメンタルが変わってしまうものなのか。疲れた身体を打つ大雨、さらにぬかるんだピッチが、そうさせてしまったのか。運動量で、球際で圧倒してはじめてゲームが成り立つ熊本。しかし、この日の重く、スリッピーなコンディションは疲れきった選手たちのボールへの集中を削ぎ、ミスを恐れる気持ちは一歩の出足を鈍らせているように見えました。簡単に連戦、過密日程と言ってしまうものの、これが手倉森氏の言う「彼ら(熊本)だけしか中断していない。彼らだけの試練」ということか。

連戦を戦うには総力戦しかなく、この日も熊本は先発を6人も入れ替えた。しかし、攻撃の組み立てには、結局清武の投入を待つしかなかった。この展開のなかで、山形がベンチの大黒を温存したのと対照的でした。熊本のサッカーを取り戻す前にゲームは終わっていました。

この日山形は前半戦を終えてこの勝利で7勝7敗。勝敗をイーブンにして順位も10位で後半戦に折り返しました。方や熊本は、前半戦をまだ終えていません。

「5点と4点と連続して失点が多いので、もう一度しっかりした守備から攻撃に移れるように熊本に帰って修正したい」(公式)と指揮官は言う。ただ、次の試合までに調整できるような時間もエネルギーも残っていないことも確かです。相手は強豪・清水。守備陣の奮闘もですが、こういうときこそ新しい力、フレッシュな戦力の台頭が必要な気がします。

11月1日(土) 2014 J2リーグ戦 第39節
熊本 1 - 3 山形 (19:03/うまスタ/7,751人)
得点者:10' 宮阪政樹(山形)、30' 山崎雅人(山形)、44' 山崎雅人(山形)、68' 園田拓也(熊本)


高校駅伝開催のため、この季節には珍しくナイトゲーム。昼間の試合では、昇格プレーオフ圏の6位大分が勝利を収める。それは熊本のプレーオフ進出の可能性が消えたということでもありました。
そのあたりのメンタリティーについては「…目の前に試合があればそれに対して全力で勝点3を取りに行く、最高の試合をする、それだけです。ネガティブな要素を試合前に言う必要は全く感じておりません」(小野監督)という、ごく自然な受け答え。

しかし、追う7位山形に”火がついた”のは間違いなかったのでしょう。勝ち点3以外は頭になかった。今日の山形からはそういった熊本のモチベーションをさらに上回るアドレナリンが感じられました。

20141101山形

熊本のゲームへの入りも決して悪くなかったと思います。序盤は熊本がいつものようにアグレッシブに行く。しかし、山形はそれを真正面から受けて押し返す力がありました。

「相手はファウル覚悟で厳しくきていたけど、自分たちは前半それが出せていなかったのでああいうゲームになったのかなと思います。」(仲間隼斗)

このあたりの感覚は見ているわれわれも微妙にシンクロしていたところ。“もっと行かなきゃ。もっと潰さなきゃ。”と呟いているうちに、あっと言う間に拮抗状態が崩れ、山形がダイレクトで繋ぎ、ぐんぐんと前への推進力を強めていきます。

失点は前半10分。右からの相手FK。好手・宮阪の右足から放たれたブレ球は、クロスを予想していた畑の伸ばした手をあざ笑うかのように、ゴールネットに突き刺さりました。
「経験のあるゴールキーパーだったら防がなければいけないところだと思うんですけども…」「彼が成長する過程、チャレンジしていくなかのミスは仕方ないと思っています」と指揮官は言う。
われわれも、前に出る動きが格段に良くなった、とその成長ぶりを認めていた畑。厳しいコメントかもしれませんが、この経験をまた糧にして欲しいものです。

しかし、その畑が「気持ちの切り替えができず、ずるずると失点しまった」と振り返るように、前半10分でのこの1失点、本来慌てることも、バタつく必要もないはずなのに、スタジアムにもイレブンの心境がここでもシンクロするようでした。

「残念なのは、1点取られてから相手の勢いが増して、それに対してちょっと受けに入ってしまって、リズムを自分たちで取り戻すことが前半の間にできなかった」(小野監督)。もしかして、1点目の“ミス”ということが、選手の動きに微妙な影響を及ぼしたのか。あの京都や磐田、長崎をゼロに封じてきた守備。しかし、今日の山形の勢いには押されるばかり。抑えられない。2点目、3点目と崩されるように加点されます。

この「自分たちで…」という部分がこのゲームの、この結果を集約しているように思えてなりません。

前半を終え、ロッカールームに向かう選手たちに向けて、久しぶりに送られるゴール裏からの激しいブーイング。「どうしたんだ!いつものお前たちじゃないじゃないか?」とでも言うように。前半の3失点はあまりに重いものでした。

後半、嶋田・中山から、巻・仲間の二枚替え。「裏とかスペースにシンプルにプレーしてもいいんじゃないかなと感じていて」と巻が言えば、「球際だったりセカンドボールだったりっていうのは、うちが負けてはいけないところ」と言う仲間が入って、山形を掻き回す。やっと、”熊本の試合”が始まったという感じに。

後半22分。齊藤がボックス右そばで倒されると、そのFKを高柳が蹴る。園田がそれを頭で叩きつけると1点を返します。湧き上がるスタンド。

われわれは今シーズンの、このチームの成長ぶりを一番に感じるのはその修正力、あるいは復元力ではないかと思っています。ある意味、今日のゲームもその典型的なものということも言えるでしょう。

「後半は選手達は本当に勇敢に戦ってくれたと思ってます。球際のところ、ゴールに向かう意識。で、後半だけでもかなりチャンスを作ったんで、そういうところをしっかり決めていれば、ひっくり返せない試合ではなかったという風に思ってます」(小野監督)

実際に、前半のシュート数は山形9に対して熊本はわずかに1。それが後半は熊本12、山形5。チャンス、決定機も数多く、園田の追撃弾以降は、おそらく追いつけるだろうと、われわれを本気にさせるような展開に持ち込みました。

それでも、繰り返しになりますが、3点は重すぎた。「前半にみっともない試合をしてしまったというのもあるし、後半は気持ちを入れ替えて、しっかりと相手ディフェンスラインにボールを送ることだったり、相手のボール保持者にしっかりプレッシャーをかけるということだったりというのが、前半よりはできたので、ああいう展開にできたと思います」と園田は振り返る。

マスコミの多くの論調は、プレーオフに賭けるチームのモチベーションの差という感じでした。確かにそれもあるかも知れない。上位チームを零封してきた自信からすれば、今日の山形の球際の強さには少なからず驚かされた。

しかし、今日のDFの布陣、片山が負傷のためとはいえ、長崎対策のままの並びで良かったのかという点も気になります。試合途中で篠原と園田の位置を入れ替えたように、そこにまた山形を勢いづかせた要因(ミスマッチ)がありはしなかったかと。齊藤を孤立させた遠因ではなかったかと。記者会見の席上にいるなら、そこを聞いてみたかった。

小野監督は、「私が修正するまでに時間がかかりすぎてしまったこともあると思います。そういう意味では選手は頑張ってくれたんですけれども、もっと早く修正ができればと思っています」と、責任は自分にあることを強調します。が同時に、「前半のなかで選手達が自分たちで対応していくことを期待していた部分もあります」と言う。それが、前半の3失点のなかでも、ベンチに座り微動だにしなかった姿の訳なのでしょう。修正はハーフタイムを待たなければなりませんでした。

小野監督の戦術眼、戦局分析はこのチームの大きな武器のひとつであり、それがゲームのなかでの対応力を生んでいることは言うまでもないでしょう。しかし、実際にプレーするのは選手。

「ゲームはこれからだ、顔をあげよう」と、ハーフタイムで監督が言葉で言わなくても。多分行われたであろうプレーに関する細かい指示がなくても。試合途中で自ら押し返していけるようなチームに。極端に言えば、篠原と園田も自らポジション変更を監督に直訴してもいいわけで・・・。

なかなか大きな課題ですが、逆にまだまだ大きな伸びしろがあると理解したい。

しかし、次節はホーム最終戦。そんなことを言っている時期ではないと揶揄されるむきもあるかも知れません。ただ、PO進出の可能性もなくなったと同時に、降格の可能性もない今の立場。小野監督の目線は、多分もっと遠くにあるのだと思うと、われわれもそれに合わせて、目線を高くしていく必要があるのだと思うのです。

残り3試合で積み上げられることは、順位だけでなく、まだまだあります。

7月13日(日) 第94回天皇杯 2回戦
熊本 0 - 1 山形 (18:00/うまスタ/2,018人)
得点者:87' 山崎 雅人(山形)


【サッカー、次回天皇杯決勝は横浜 国立競技場は改築工事に】47news2013/11/14 18:19【共同通信】
日本サッカー協会は14日、東京都内で理事会を開き、来年12月13日の第94回天皇杯全日本選手権決勝を横浜市の日産スタジアムで行うと決めた。東京・国立競技場以外での決勝は48大会ぶり。国立が改築工事に入るため代わりの競技場を公募し、日産スタジアムなど3会場が名乗りを上げていた。第95回大会以降の決勝会場は未定。
2015年1月に日本代表が出場するアジア・カップがオーストラリアで開催されるため、恒例の元日から前倒しされた。日程も決まり、1回戦は7月5日に始まる。



2回戦から出場した天皇杯。梅雨時に天皇杯を戦うのは初めてのことです。随分前倒しになりました。

スケジュールが変更され、決勝も元日の国立ではなくなって、この歴史あるカップ戦もさらに焦点が定まらなくなってしまったような…。しかも雨の日曜のナイトゲーム。ファンにとっては、ただでさえその存在意義やモチベーションの持っていきどころがぼんやりしてしまって。入場者数も2000人というやや寂しい会場風景。

しかし、その分、緊張感や悲壮感すら漂うリーグ戦とは違って、かなり“気楽に”観戦できるゲームであることも事実だったかも知れません。

ただしゲームは、終了間際のあっけない失点ということで、脱力感で萎えてしまうような結果に。

20140706天皇杯山形

試合序盤は、うまくゲームに入った熊本が、早くも全開の動きを見せ、何度も決定機を作ります。前節から試している4-3-3の布陣。3トップの一角には仲間が復帰して、前線から非常にアグレッシブ。養父、中山に、ユース上がりの上村を初先発させた中盤3人は、いずれもボールが持てる選手。

ここ数試合の課題だった、相手との距離感に関しては、高い意識があるのか、厳しく体を寄せる対応で、相手に自由なプレーを許さない。山形にシュートは打たれるものの、枠にはほとんど飛ばず、失点の匂いは感じない。

しかし。まあ、これもいつか見たシーン。「ここ最近、決めるべきところで決められないで相手に勢いを与えてしまう、そういった試合が続いている」(小野監督)というまさに、そんなゲーム展開になっていきます。

徐々に、きちんとボールをつなぎ、収めて前に持っていく山形。攻め込まれる熊本。

もうひとつ、今日のゲームの変数だったのは、降り続いた雨でたっぷりと水を含んだピッチ。非常にスリッピーで、お互いに足を取られ、滑り、バランスを崩す選手が続出。決定的な場面でのリスクは相当のものがあったはず。上から見ているわれわれ以上に、ピッチ上の選手たちはピリピリ感じていたのではないでしょうか。

この状況で、攻め込まれた自陣では、かなりロングボール中心でセーフティなプレーを選択する熊本。滑るピッチでは逆に、球足は速く、気温も低めで選手たちの消耗も少なく、ゲーム自体は面白い。

この大会自体の意義の問題は別として、熊本にとって、小野監督にとっては、単に出場機会を与えるために選手を入れ替えて臨むゲームということではなく、いくつかテストしたい、あるいは熟成させたい意図をもったゲームであったことを、試合後のインタビューで説明してくれました。リーグ戦を戦っていく新たなオプションを検証するための布陣というのか。われわれも、スタメンを見てすぐにはフォーメーションをイメージすることができなかったように。

「アウトサイドの選手も高い位置へ出て、そこをセンターバックが幅広くカバーするという形で、チャンスを多く作り出す」ために、大迫を使っていくオプション。「その中では、園田、橋本は大きく左右をカバーできる、それからボールを運ぶことができる」というCBのチョイス。まあ、そんな試みの授業料を最後になって払うことになってしまいましたが…。

「あそこですぽっと空いてしまった。ちょうど中間のところに立たれた選手に対してどっちつかずになってしまった。」「今回初めて組んだ2人だったので、そこのところは次に向けてしっかり立て直してくれるんじゃないかと思ってます。」(小野監督)

リーグ戦を含めて公式戦4連敗。試合後、選手たちにはゴール裏から厳しい声が投げ掛けられました。ただ、失点シーンこそ、ぽっかりと空いた一瞬の時間でしたが、全体を通せば十分に闘ってくれたとわれわれは思う。そして、仲間が帰ってきたのは熊本にとって何よりのニュース。熊本の基本戦術を体現する選手だから。

「1つの敗戦、連敗というところに選手は顔を背けない、しっかりそこを見て、ここまでも1つ1つ乗り越えてくれてると思ってます。選手にいつも言い続けているのは、『目の前には必要なことが起こる』と。『これを乗り越えろということだ』ということで、ゲーム内容としてはいい方に持っていってくれてますので、それをしっかりと結果に結びつけるということも選手はそこから逃げず、しっかり乗り越えてくれると信じてます」。そう指揮官は結びました。

大量失点での連敗に、先週は、「頭を抱えてうずくまる」と表現してしまいましたが、もうずいぶん長い間、憂鬱な月曜日を迎える日々が続いています。

こうなるとゲームのことを思い出すのも億劫なくらいですが、それでも次に向かうには…と気力を振り絞って翌日の熊日を開き、経過を振り返り、駄文を連ねていく作業を繰り返しています。

いったい何をやっているんだろうかと、自分たちもわからなくなってしまうこともしばしば。もう店仕舞いしようと思ったことも。

それでも、気が付けば多くの拍手をいただき、そのなかには有り難いコメントをいただくこともあります。

戦術分析みたいな大そうなことはではなく、嬉しい、悲しい、もっと頑張ろう…、そんな一ファンとしてのありのままの気持ちを書いているだけですが、これに共感していただき、逆に励ましをいただいている。そんな感じでもう少し続けてみようかなと、気を取り直してまた週末を迎える。いただいた拍手、コメント、そしてそんなホームチームがある暮らしに感謝しています。