6月21日
第97回天皇杯全日本サッカー選手権【2回戦】
水戸 1-2(延長)熊本 [Ksスタ]
[水]伊藤槙人(10分)
[熊]上里一将(72分)、菅沼実(118分)


水戸には行けていません。twitterのタイムライン上で試合展開を追いかけ、あとは熊日を読んだだけなので多くは語れませんが、とても大切な勝利だったので感想を短く書き留めておきます。

リーグ残留を目下の目標に掲げて指揮官が交代した熊本にとって、天皇杯というカップ戦の位置づけは複雑なものでした。ファンのなかにも「カップ戦はそこそこに。体力を温存してリーグ戦に注力すべき」という意見もありました。ただ、前節、池谷新体制の初戦を落とした熊本。次節を迎える前にミッドウィークとはいえ、リーグ戦とは違ったカップ戦という公式戦を戦えることは”いい巡り合わせ”だな、とわれわれは思いました。

案の定、池谷監督はターンオーバーよろしくこの試合、これまで試合出場の少なかった(なかった)選手を中心にスタメンを組んだ。そして、もうひとつは、前節緊急避難的に途中から敷いた3バックを、試合当初から試した。いわば、選手のテストと、フォーメーションの本格的なテストを、J2という同カテゴリー(しかも好調の水戸)相手に実戦で試せたというのは、それだけでも貴重なゲームと言えました。

さらに、勝利という結果で終えて。

早々と失点して心配されましたが、「その後から内容が好転した」(熊日)といいます。三鬼が得たPKを上里が決めて同点としますが、90分では決着がつかず。しかし、必ず決着をつけるという天皇杯のレギュレーション。同点で終わってモヤモヤするより、延長戦の結果、菅沼の決勝弾で勝利に終わったという決着も、大いに自信を取り戻すことに繋がったと思います。

GK畑、DFイム、村上、米原、MF黒木、上村、上里、三鬼、FW中山、菅沼、巻という3-4-2-1という布陣は、相手とのミスマッチを生むだけでなく「自分たちで長くボールを保持し、守備に追われる時間が少なかったことが終盤まで走れた要因」(熊日)と上村。

「ゴールを取るためには、あと一工夫が必要」と、池谷監督は課題を明確に認識する。「自分自身のプレーはまだまだ良くなる」というのは決勝弾を決めた菅沼の台詞。出場が待望されていたベテランの確信めいた受け答えが、”決意”にも聞こえて頼もしい。

さぁ、この日の選手起用、フォーメーションテストが、次の日曜日のリーグ戦にどのように効果や影響を与えるのでしょうか。実に楽しみです。

9月3日(土)
【天皇杯2回戦】(うまスタ)
熊本 1-5(前半1-2)東京V
<得点者>
[熊]平繁龍一(8分)
[東]平智広2(28分、66分)、高木善朗(43分)、澤井直人(50分)、高木大輔(90分+4)
<警告>
[熊]嶋田慎太郎(65分)、黒木晃平(70分)、アンデルソン(81分)
[東]北脇健慈(87分)
観衆:1,483人
主審:吉田哲朗


天皇杯2回戦は、北九州戦を思い起こさせるような大敗になりました。カテゴリーを越えて戦い、ときにジャイアントキリングが起こるのが天皇杯の醍醐味ですが、同じカテゴリー相手でこの大差の敗北はいただけない。

先制したのは熊本でした。8分、アンデルソンのポストプレーで繋いだボール。黒木が拾って右サイドを突破するとグラウンダーで早いクロスを入れた。ファーに滑り込んだ平繁が押し込みます。

しかし、試合開始からボールを回していたのはヴェルディ。しかも先制したことによる安心感からか、熊本の球際が見るからにゆるくなる。ヴェルディ左からのアーリークロスに澤井が抜け出すが、1対1のシュートをピタリと金井が止める。続いてもドウグラス・ヴィエイラが後ろからのパスを受けてエリア内から撃ったシュート。これも金井の手中。守護神が守り抜いていましたが、崩され、危ない場面が続いていたことも事実でした。

28分。その直前にテヨンが痛んでピッチの外に出ている時間帯のヴェルディの左CK。熊本のクリアを拾ってミドルを撃ったのは誰だったか。ゴール前で平に角度を変えられると、さすがに金井も止められない。

前半終了間際には、素早いパス回しで簡単にアタッキングサードまで持ち込むヴェルディ。高木のドリブルに対してズルズルと下がるだけのDF。PA右まで持ち込むと高木が撃ったシュートはブロックされることなく、ゴール左隅に決まります。

前半のうちに逆転されてしまいました。これは相当のテコ入れをしなければ、何点やられてもおかしくないぞと。それほどにゆるい球際。そしてボールを保持しても、ヴェルディのプレスが早く縦に急げない。アンデルソンにもまったく収まらない。

「後半立ち上がり15分は注意しよう」「攻撃の後のバランスが崩れている。はっきりとしたプレーを」(公式)。そうハーフタイムに指示した清川監督は、まず後半開始から片山に代えて小牧を入れます。そのあとは平繁に代えて清武。最後はテヨンを下げて上原。

しかし、形勢は逆転できない。ディフェンスの出足の遅さは変わらず。成すすべもなく、後半も3失点を重ねます。

「こういうゲームをしてしまった責任は、全部自分にあります。1点取ってからの追加点(が取れなかったこと)は確かにあるんですけれど、負けているチームがするようなプレーではないし、玉際、セカンドボール、戦う姿勢が本当に欠けていたと思います」(熊本蹴球通信)。そう指揮官は試合後語りました。

20160903天皇杯東京V

この日のメンバーは、先週の1回戦のメンバーをベースにしていました。いわば、先発争いかあるいはベンチ入りを争う、そういった選手たち。そんななかで、3つの交代カードについて問われた指揮官は、「最初の片山と小牧、平繁と清武については次のゲームもあるので」「テヨンについては連戦の部分で体力的に落ちて」きたからと言う。われわれも試合中に気付いていましたが、レギュラークラスの選手には、90分間走らせませんでした。

もちろん、それは連戦のなかでのマネージメント。今の熊本の台所事情なのですが…。

先週は「数々の”秘密兵器”を、公式戦の辛勝とはいえ実戦で試せたことは、今後間違いなくチームのためになりました」と書きました。指揮官は「総動員でこの連戦を乗り切っていかなきゃいけない」とも言った。

しかし、ボールを保持できた先週と違って、この試合はリーグ戦でしのぎを削る同カテゴリーの相手。そのなかで、清川監督は試合に絡めていない選手たちのモチベーションに期待しましたが、”戦う姿勢が見えなかった”と嘆きます。

だが、ヴェルディの”伝統的な”ボール回しのうまさに対して組織的な守備ができない選手たち。ここまでサッカーの質の部分で差をみせつけられると、この試合のイレブンだけでなく、それを含めた熊本のチーム力の”ベースの部分”に差があると思わざるをえませんでした。

確かに次々とやってくる試合日程。この連戦のなかで、練習試合を組めないどころか、コンディション調整に追われて戦術練習もままならないのかも知れない。ひょっとしたら指揮官は、敵のスカウティングもままならないのかも。

「責任は全部自分にある」。責任を一身に背負う。それはこの世界、監督として当然の責務です。しかし、今シーズンのスタート時、あれほど宣伝された「3S体制」ではなかったか。この苦しい状況のなかで、財前ヘッドコーチは、久藤コーチは、どう考え、どんな具体的役割で監督を補佐しているのでしょうか。決して厚いとは言えない選手層のチームにもかかわらず、集団指導体制のコーチ陣はそれなりの戦力と思っていましたが。それでも対応が難しい事態なのか?そろそろそのあたりについても報道陣には掘り下げてほしい。一ファンとして、とても気になっているところです。

8月28日(日)
熊本 2-1 FC.TOSU [うまスタ]
[熊]平繁龍一(45分)、キム・テヨン(90分+1)
[F]丸山大介(52分)


いやはや。それにしても手こずりましたねぇ。これまで何度も見てきたような、格下相手の天皇杯初戦の難しさが表れた試合でした。

FC.TOSUは、2014年創設ながら昨年度は佐賀県リーグで優勝した新進気鋭のチーム。この天皇杯の県予選では、決勝で佐賀大学を下して初出場を果たしていました。

迎え撃つ熊本は、GK金井、左SBに上原、ボランチの一角に上村、右SHに公式戦初出場となる小牧、2トップ平繁の相方にはアンデルソンを配し、この過密日程のなかの連戦を戦います。

20160828FCTOSU

とにかく、5-4-1でゴール前を固めたTOSUに対して、開始から終始敵陣内で試合を進める熊本でした。しかし、ボックス内に敵が林立していてスペースがない。完全に引いて構えるTOSUに、熊本はサイドチェンジで揺さぶりますが、DF5人とMF4人がしっかりスライドして、広げられない。食いつかせたところの空いたスペースを使いたいのですが、うまくイメージが共有しない。強烈なミドルシュートも、熊本出身のGK松岡にナイスセーブで防がれます。

TOSUはと言えば、しっかり守ってカウンター狙いかというと、ここまで引いてしまっていては、ボールを持っても押し上げが効かない。ただただゴール前を守る戦術。佐賀県予選決勝のときのように、最後PK戦までもつれさせて、当たっている松岡で”勝つ”という戦術だったのでしょう。

35分頃。あれはアンデルソンだったのでしょうか、遠目でわかりませんでしたが、Pアークの左からのFK。右足から放たれた絶妙のキックは、しかしバーに嫌われてしまう。平繁のシュートはポスト。最後の最後、身体を投げ出して撥ね返しているTOSUでしたが、バーやポストも味方している。

このままで前半終了かと思わせた最後のプレーでした。45分、右サイド奥で得たFKのチャンス。中山がグラウンダーで速いボールを入れると、ニアに飛び込んだのは平繁。DF二人に詰め寄られながらも一瞬早く足を出し、浮かせるようにゴールに決め、何とか前半のうちに先制しました。

後半開始から熊本は、上原と高柳に代えて、清武とテヨンを入れる。連戦の疲労や調整を考慮しての交代だったでしょうが、格下相手の一方的な試合展開のなかでの先制、そしてこの2枚替えが、なんだか選手たちのなかに、トレーニングマッチの雰囲気を醸し出したのではないでしょうか。あとは時間とともに追加点も取れていくだろう、というような…。

そんな”緩さ”が漂う52分。TOSUがボールを持つと自由に回され、CBの裏にループパスを許す。競った丸山がこれを収めて、ゴールに流し込みます。同点。

割とアウェー寄りのメインスタンドに居たのですが、少ないながらも駆けつけたFC.TOSUのファン、サポーターが一気に沸き上がりましたね。もう天下を取ったかのよう。それはそうでしょう。Jリーグチーム相手に、流れから点を奪ったのですから…。

これでまた振り出しに戻ったゲーム。TOSUは益々ゴール前を固める。熊本は中央から、サイドから、あるいはCKからの流れのなかで、雨あられのようにシュートを浴びせるのですが、これを巨大なダムのように堰き止めているTOSU。それにGK松岡のスーパーなセーブ。

この日、試合開始から降っていた雨はどんどん激しいものとなり、芝も重くなると、TOSU選手の足も止まり始めますが、ゴール前で守り切り、延長戦のために体力を温存しているようでもありました。

熊本は園田を入れて3バックにすると、黒木と清武をそれぞれ1列上げて攻勢に出ますが、それでもゴールが割れない。前半と同じように、このまま終了かと思わせた時間帯でした。鈴木が左サイド奥からクロスを上げると、TOSUのゴール前3人のDFの頭を越えて、ファーに飛び込んだキム・テヨンが高い打点のヘディングでズドンと突き刺し、決勝点とします。瞬間、電光掲示板を見ると45分でした。

連戦が続くだけに、「延長だけは避けたい」(熊本蹴球通信)と言っていた清川監督。なんとか、本当にギリギリの時間で、勝ち越すことが出来ました。浴びせたシュートは実に35本。もちろん全てが枠内ではなかったにせよ、ことごとくTOSUに撥ね返され、苦戦を強いられました。

選手評。上村は、ギリギリまで相手を引き付けておいてという意図は終始見えたのですが、そのパスを貰った同僚に意図が通じなかったか、遅攻になりました。小牧は右SHのときは、よく突破できていましたが、期待した左SBになったら、「やるべきことができなくて悔しい」(熊日)と本人も反省するように、うまく連携できませんでしたね。アンデルソンは、うーむ、身体が重いのでしょうか、オフサイドの数はあいかわらずですが、シュートも精度を欠きました。

しかし、数々の”秘密兵器”を、公式戦の辛勝とはいえ実戦で試せたことは、今後間違いなくチームのためになりました。選手起用について問われた清川監督が「なかなかゲームに出ていない選手もいるので、総動員でこの連戦を乗り切っていかなきゃいけないということを加味して」(熊本蹴球通信)と言うように。

”トレーニングマッチの…”という悪い表現を使いましたが、そもそものトレーニングマッチに関しては、指揮官はこうも言っています。
「連戦ということもあってトレーニングマッチができなかったので、ゲーム体力やゲームでのパフォーマンスを見ることができませんでした。いざ公式戦に入って、いろんな緊張だとか、足を攣ってしまったりする選手が出てきたんですけど、そこはトレーニングマッチができていれば、もっといいパフォーマンスを出せたのかなと思っているんですが、そこができていなかったのは、申し訳ない」。そう選手たちに謝ります。

連戦のせいでもあり、交通事情等のせいでもあるでしょう。こんなところにも震災の影響が…。

しかし、敗れたTOSUの選手たち、そしてそのファンやサポーターの人たちには笑顔がありました。創部3年目で天皇杯に出場して、Jのチームを苦しめた。得点シーンも見られた。あと一歩だった。またホームに帰って、自分たちのリーグを戦っていこう。

そんなFC.TOSUに対してエールを送るわが熊本のゴール裏。そしてホーム側の観客に整列してお辞儀するTOSUの選手たち。清清しいシーンが、まさにカテゴリーを越えて戦う天皇杯1回戦らしく。われわれを初心に帰らせるようでもありました。


【天皇杯3回戦】(Eスタ)
広島 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[広]皆川佑介(46分)
<警告>
[広]皆川佑介(35分)
[熊]齊藤和樹(38分)、嶋田慎太郎(76分)
観衆:3,179人
主審:家本政明
副審:武田光晴、三原純


【天皇杯2回戦】(うまスタ)
熊本 1-0(前半0-0)鳥取
<得点者>
[熊]嶋田慎太郎(88分)
<警告>
[熊]嶋田慎太郎(80分)
観衆:1,520人
主審:吉田哲朗
副審:作本貴典、権田智久


このブログでは「値千金」などというあまりに常套句すぎる表現は気恥ずかしくて使ってこなかったつもり。そう思っていたのですが、遡ってみると過去12試合のエントリーで使っていました(汗)。しかも1-0の試合ばかりか、打ち合いや同点弾についても使ってる使ってる(笑)。

しかし、この試合、嶋田の決勝の1点は易きに流れたわけではなく、心底「値千金」と思った次第です。

鳥取との公式戦は、実に2013年の8月以来でした。あの年熊本は初めてシーズン途中で監督を解任、池谷体制で降格圏脱出にもがいていた。思えばあのシーズンは、鳥取とのホーム開幕戦、後半43分に痛恨の逆転弾を喫して敗戦。波乱の一年を暗示するような不安なスタートだったことを思い出します。結果的にはその年、J3に降格したのがその鳥取だったのですが。

もちろんあの頃からはお互いにメンバーも大きく入れ替わって、当時のことを知る選手も少なくなっているでしょうが。現在は松波監督が指揮し、この時点でJ3リーグ7位。どんなサッカーをするものやら。以前から決して相性のいい相手だったという印象はなく、少し不気味な気持ちで試合開始のホイッスルを待ちました。

熊本は1回戦からメンバーをいじってきました。GKはシュミット・ダニエル、CBにクォン・ハンジン、2列目左には中山、2トップの一角に平繁を投入してきました。上村とユース米原の若いボランチコンビは今回もそのまま使ってきます。

20150909鳥取

決して引いて守るわけではない鳥取。サイドを起点にしたい熊本の狙いは、サイドハーフが下がって5バックになることによってスペースを潰される。あるいは出足のよいディフェンスで蓋をされる。短いパス回しを封じられた熊本は、勢いロングボールが主体になる。試合後、「序盤は練習よりもロングボールが多かった」(熊日)と平繁が振り返るように、これでは彼も活きてこない。

「プラン通りには入れた」(九州J-PARK)という松波監督。攻守の切り替えも早く、攻めては縦にシンプルに走らせる。守りとなるやきっちり5バックをセットする。攻撃のスピードを封じられた熊本は、ミスから奪われると30分以降は防戦一方。クリア一辺倒になります。

これは後半、相当のテコ入れが必要だぞと思わせたハーフタイムでした。鳥取のちょっと変則的とも言えるシステムにどう対処するのか。相手守備の数的優位に対してどう対処するのか…。小野監督著の「サッカー・スカウティングレポート」の一文が思い出されました。

「1人を余らせる、つまりプラス1にするためには、どこかをマイナス1にしなければなりません。こここはフリーにしても構わないという選手なり、ポジションなり、あるいはエリアなりを決めるのです。当然、弱みのマイナス1の部分を相手に気づかれるとまずい。だから、いかに相手をだますか。私たちはその工夫のことを『砂をまぶす』と言います。」(サッカー・スカウティングレポートから)

対戦相手のその”まぶした砂”を払いのける。ハーフタイムで指揮官は、「ボランチが顔を出した時に相手がどういう状況になっているかというのを少し話しました」。「相手が勢いよく来ると、空いている部分がピッチレベルで簡単に見つけられない場合もあるので、こうなった場合は必ずここが空いているというのを少し整理して伝えました」(九州J-PARK)。ここらあたりの指示に、”スカウティングの小野”の真骨頂があったのではないでしょうか。

迎えた後半。「平繁が決して悪かったわけではない」と言いながらも、58分に指揮官が齊藤を送り出すと、熊本へ少しずつ流れが傾いてくる。鳥取DFも、このFWはハイボールに競る、ボディコンタクトを厭わない、ちょっと面倒だ。嫌だな。と感じているようで。

大きなサイドチェンジに嶋田が追いついてバックパス。上原がエリア内で切り替えして撃ったシュートは枠の右外。ダニエルからのロングフィードに中山から黒木。右サイドえぐってクロス。ダイナミックな攻撃で、鳥取を少し慌てさせ始め、後ろに走らせるシーンが増えてきます。

一歩ずつ。少しずつ。熊本が手繰り寄せているような気もする勝機。しかし、最後のところのパスが甘く、単純なクロスでは中は厚い。膠着状態は続く。このまま延長戦に突入かとも思わせました。

中山に代えて岡本。清武を2列目に下げて岡本をトップ下に。さらにかき回すと…。

黒木が右から入れたアーリークロス。鳥取DFが処理できずPA内でバウンドさせてしまう。詰める熊本の選手たち。競ったDFがゴールライン際にクリアしようとヘディング。しかしそれが小さい。その着地点を狙っていたのは嶋田。ゴールライン際、角度のないところでしたが、それでも得意の左足を一閃。われわれの席からは、サイドネットだと見えました。しかしボールは「強い球を蹴られたら、相手に当たって入るはず」(熊日)という嶋田の狙いどおり、ゴールネットを揺らします。

時間にして試合終了間際の88分でした。アディッショナルタイム3分を加えても、あと5分しか残っていなかった。がっくりと膝を折ったのは鳥取の選手たち。そして松波監督。崩れたゲームプラン。

「天皇杯に関しては(延長を含めた)120分を想定しなければいけない」と言ったのは小野監督。鳥取は、想定通り、相変わらのしぶとい相手でした。だから齊藤を温存し、ぎりぎりまで投入を待った。中3日で次のリーグ戦を迎える日程のなかで、選手たちの消耗を最低限に抑えたかった。

嶋田の試合終了間際での得点は、その勝敗を決する”決勝点”という意味だけでなく、90分で決着をつけたという意味で、チームの”体力”に与えた価値も”値千金”でした。そして、1回戦では田中、この試合では嶋田。若いアタッカー陣が貴重な得点を決めて、熊本が天皇杯の駒を進めた意味もまた大きなものとなりました。

次は3回戦。対する相手は小野監督含め、多くの選手と因縁深い広島。「個人的には一緒にやっていた選手がまだいますし、非常に楽しみな対戦であることは間違いないです」。静かな指揮官にしては珍しく、次戦への意欲をコメントしました。この天皇杯というレギュレーションをよく知る監督は、おそらく一泡拭かせるどころか、ジャイアントキリングをきっと狙っているはず。抑えた口調ですがそんな隠れた闘志を感じるのはわれわれだけではないでしょう。

同じ2013年の天皇杯3回戦。あの時は点差以上の完敗でしたが、今どこまで詰められたのか。ファンにとっても非常に楽しみな対戦といえます。しかし残念ながら、10月14日平日の水曜日の夜。しがないサラリーマンのわれわれは、現地観戦が叶わないことも、予めお断りしておきます。遠く広島に念を送ります。勝利を!