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3月11日(日) 2012 J2リーグ戦 第2節
熊本 2 - 1 鳥取 (16:04/熊本/5,817人)
得点者:10' 小井手翔太(鳥取)、46' 武富孝介(熊本)、52' 藤本主税(熊本)


「花冷え」というには厳しすぎる寒風に足が遠のいたのか、J加盟以来のホーム開幕戦としては最低の入場者数に、少々落胆しました。直前(金曜日)の社長交代劇の影響と関係がないとも言えないのかも知れない。微妙なファンの心理。何がきっかけになるかわからない熊本人の気質。

経営的には待ったなしの状況。ややタイミングを逸した感じですが、それでも他にも多くのクラブが似たり寄ったりの財政のなか、いち早く財務状況を開示し、さらには代表者が責任をとる形で辞意を表明したことは、「公的資金が投入されている」会社としてのケジメなのだろうし、県民クラブとしてのコンプライアンスに他ならなかったのでしょう。後任の池谷氏の経営手腕を不安視する声もありますが、実業団時代の選手兼大企業ビジネスマンの感覚をあなどるなかれという気がします。それよりこういったケジメ、責任の取り方が、この先慣例となってしまうのだろうか、という危惧のほうが少しします。

熊 本
 9チェ クンシク 
14武富11藤本
7片山26田中
8原田10養父
4廣井5矢野
 6福王 
 18南 
ハーフタイム 田中 俊一 → 大迫 希
後半25分 廣井 友信 → 高橋 祐太郎
後半31分 チェ クンシク → 白谷 建人


鳥 取
29福井 8美尾
17鶴見7小井手
22森10実信
3加藤2尾崎
4戸川6柳楽
 48小針 
後半19分 鶴見 聡貴 → ケニー クニンガム
後半26分 尾崎 瑛一郎 → 奥山 泰裕
後半35分 小井手 翔太 → 岡野 雅行

鳥取の吉澤監督が「ある程度予想していた」というとおり、熊本は前節・福岡戦の途中から試した3バックを、スタートから敷いてきました。そしてこれもまた福岡と同様、鳥取も前からの速く厳しいプレスで全開の勢いでゲームに入ってきた。熊本はそれに押されるように、立ち上がり、ああいった形で引いてしまった。あそこまで自陣ゴール近くでプレーされると、非常にリスクが高まる。さらには激しい向かい風が、ボールごと自陣に押しとどまることを手伝ってしまいました。

開始早々ともいえる10分での失点。大きなサイドチェンジが右サイドの小井手に渡ると、がら空きのスペースからクロスを入れられる。エリア内で福井が戻すところに再び走り込んで来た小井手。豪快にゴールを割られます。3バックの弱点を崩すお手本のようなカウンター。その後も執拗にサイドを攻められました。

しかし、これまた前節福岡戦と同様に、前半30分前後から徐々にペースを奪い返していく。武富からのパスを奪うように田中がPAのなかに猛スピードで入っていく。エンドラインぎりぎりからクロス。田中らしいケレン味のないプレー。チームのエンジンが温まってきた感じ。スカパー解説の池ノ上氏も「あとは崩すときのシフトチェンジだけ」だと。

ハーフタイムを挟んで確実に修正してきた熊本。高木監督の指示もやはり「相手の陣地でプレーすることを心がけ、シュートをもっと打っていこう」というもの。昨シーズンとは違う今シーズンの戦いができているかどうか。ここが一番大事なところ。後半から田中に代えて鳥取キラーとも言える大迫を投入しました。

象徴的なのは、武富が2試合連続で得点できていることではないでしょうか。後半も開始早々、ハーフウェイラインからのリスタートを左側からつなぐと、養父がスルーパス。クンシクがこれをスルーするところに走りこんでいたのは武富。角度のないところを打ち抜いて同点にします。「タケ(武富)には俺が持ったら走れというのは言っていた」(J’s goal)と言うのは養父。一方の武富も「養父さんが前を向いた時に前に走っていれば、そこしかないっていうところにボールが出てくる」と呼応している。狭いところを通す、そして3人目の動きという意味でも、これまでの熊本にはなかった得点シーン。

逆転弾も武富から。相手CBのまごつく処理を狙った守備。クンシクに出たボールを、走りこんできた藤本に優しくロブで渡す。藤本主税はトラップ一発で、DFから遠い左足にぴたりと収めると、GKの動きを落ちついて見極め、ゴールに流し込みました。この一連のプレーが、しかも一瞬のスピードのなかで行われたのです。

歓喜のスタジアム。殊勲の藤本が、思い切りよくゴール裏の看板を越えてチームメイトを手招きする。“お約束”の阿波踊りの周りに、ほとんど全ての選手がピッチ看板を越えて集まって喜びを分かち合っている。こんなシーンも、しばらく熊本にありませんでした。

その後の残された長い時間に、熊本にも幾度かピンチが訪れたことを思えば、ダメ押しの3点目を取れなかったことに不満は残ります。ただ、65分頃に見せた波状攻撃。スローインからサイドでパス交換。養父のクロスに大迫。こぼれ玉に武富。さらに拾って養父。片山に返して藤本が入ってきてシュート。などなど・・・。アタッキングサードで人数をかけ、次々にエリアに人が入って切り崩すパスワークに、まったく鳥取が翻弄されている時間帯がありました。

このゲームでの武富、クンシク、藤本そして養父、前3人とパサーのこの4人の関係性が今シーズンの戦いをはかるひとつのバロメーターであり、とても興味深い点でした。

また、ファビオとクンシクのチョイスについて高木監督は「根植(クンシク)の方が点を取るためにシュートを打たなくてはいけない中で、足を振れる」「ファビオの場合はシュートシーンでもなかなか振れない。点を取れるポジションに入れるか入れないか、そして入った時にシュートを打てるか打てないか、それが大きな差」と語っています。ファビオについてのこの指摘は昨シーズンからあったもの。チームとしてのその課題に早速、ひとつのオプションを試しているということでしょうか。クンシクは、怪我で出遅れた分、まだまだ身体は重そうでしたが、フィジカルの強さを感じさせました。そして絶妙のアシストに見られるように、足元の柔らかさ、判断の早さも。

今シーズンの戦いということで言えば、今節、スタートから3バックに変更した狙いと、手応えを問われて「それなりに良かったんじゃないかなと思います。短い時間で準備した割には、選手たちがよく理解してやってくれた」とさらりと受け答え、「変更した理由は言えません(笑)」とはぐらかしている。高木監督からファンに対して出されたクイズのようなものでしょうか。

奇しくも東日本大震災の1周年の日と重なったこの日。膨大な数の犠牲者、いまだ避難生活を送っている多くの人々のことに思いをはせて、日本中の人々が祈りを捧げました。センターサークルでたたずむ選手たちとともに黙祷を捧げながら、この日、ホーム開幕を迎えられた自らの“平穏”に感謝するしかありませんでした。毎週の一喜一憂を与えてくれる、このサッカーのある暮らしへの感謝を。「養父のスルーパスを観に来るだけでも楽しい」「主税の阿波踊りをまた観たい」そう思える今季を。もっともっと多くの人に知ってもらいたい。そう思いました。

10月26日(水) 2011 J2リーグ戦 第7節
鳥取 0 - 1 熊本 (19:03/とりスタ/1,994人)
得点者:53' 大迫希(熊本)

相手FWハメドがすべてだったのかも知れないなと思った試合でした。2週間前の天皇杯2回戦、0-3の敗戦時、1得点2アシストしたこのコートジボワール人を止められなかった。菅沼が語るように「ハメドにやられないように、個人的にも強く(当たりに)いった。前半はやらせなかったと思う」というところが今日の熊本の最終ラインの意図であり、そこに集中していました。

最近5試合(天皇杯含めて)3勝1敗1分と、決して悪くない状態の鳥取。連戦という両チーム共通のテーマのもと、土曜日にホームで札幌に勝ち、そのまま中3日でホームゲームに臨む鳥取。対する熊本は日曜日のホームから中2日でアウェー戦。このあたりのコンディションはなかなかデリケートに影響してくるのかと思いました。10月も下旬のナイトゲーム。寒冷前線の影響もあって気温は14度。グラウンドコートを着て入場した熊本のイレブンでしたが、試合開始後すぐに汗が吹き出している様子が画面からもわかる。これも、それが疲れからなのか、それともそれほど開始から走っているということなのか。

鳥 取
 9ハメド 
7小井手10実信
6服部13美尾
 28三浦 
3加藤2尾崎
23水本4戸川
 48小針 
前半12分 加藤 秀典 → 鈴木 伸貴
後半18分 小井手 翔太 → キム ソンミン
後半37分 鈴木 伸貴 → 奥山 泰裕


熊 本
 27ファビオ 
14武富13大迫
25西森22吉井
8原田
24筑城2チョ ソンジン
4廣井28菅沼
18南
後半13分 武富 孝介 → 片山 奨典
後半27分 吉井 孝輔 → 根占 真伍
後半37分 ファビオ → ソン イニョン


前半。スカパー!の解説者が「ガイナーレの攻めで、熊本は両SBが上がれない」「前節は両SBが高い位置から攻撃の起点になっていたのに」と、1試合だけのにわか勉強で指摘していましたが、われわれから見ると天皇杯の敗戦のイメージから、ハメドにまずサイドのスペースを与えないように慎重に入っているだけだと映りました。そしてボールを持ち、侵入してこようとするハメドに対しては、必ず二人で対応して左(左利き)を切る。実にしっかり対応していました。

前回のリーグ戦。KKウィングで対戦したときは、そのレポートに彼のことを鳥取の「ゲームメーカー」と書きました。パスも出せて、自分で点も決める。こういうタイプの外国人は、他のチームでもよく見ますが、いかんせん“チームの状況=彼のパフォーマンス”になってしまうきらいがある。自由が与えられる反面、“戦術はハメド”と揶揄されるような。調子に乗せたら怖い。しかし的確に押さえ込んだらチーム全体が動かない。前回ホーム対戦時はそれに成功し、アウェーの天皇杯では失敗した。そして今回はそのリベンジでした。

リベンジという意味では、もうひとつありました。南のブログで明かされた、試合前のミーティングでの高木監督の言葉。今日は絶対勝たなければいけない理由があると。天皇杯時に得点を決めたあと、ハメドが熊本のゴール裏を挑発し侮辱した行為を思い出させ、「自分達のせいでサポーターまで馬鹿にされたんだっ。俺は絶対に許せない。だから今日はサポーターのためにも絶対にリベンジしなきゃいけないんだっ!!」と。南でなくてもこのセリフに「燃えないはずはない」。ハメドはすでに前の試合で、熊本の選手たちに“火”を着ける理由を与えていたのでした。

南が書きます。「今日は“どうしても勝つんだ”って気持ちが後ろから見ていてもみんな溢れているように見えてホント心強かった」「みんな疲労もピークだったと思うけど、今日が4試合の中で1番動けてたと思う」と。戦術だけでなく、そこにメンタルも加わった。だから90分間、あそこまで前線からプレスを掛け続けられたのだと思います。

エジミウソン、長沢が傷んでいるなかで、前節、先発から外した原田、吉井、大迫をスタメンに。市村をベンチに置いて筑城、ソンジンでスタート。後は選手の状態を見ながら、武富、ファビオ、吉井を下げていく。吉井、根占が復帰したことが、熊本の“総力戦”にとっては、やはり大きい。そのなかでも、ワントップを任されたファビオの献身的な追い込みは目を見張るものでした。

後半8分。先制点かつ決勝点になった大迫のシュートの場面。熊本は鳥取が作る2列のブロックを右サイドから崩して攻める。鳥取のクリア。それを高い最終ラインで押し返すと、ボールをトラップしたのは右サイドの大迫。自身のトラップボールがワンバウンドしたところを、すかさず思い切って打つ。ゴールからはまだ30メートルもあった距離からでしたが、ドライブがかかったシュートは、若干前目に出ていたGK小針の伸ばした手をあざ笑うかのように、ゴールに吸い込まれていきました。

「ゴールキーパーのポジションを見ていて打ったと、彼の口から聞くことができるのなら、非常に成長したと思う」という高木監督に対して、「完全には見えていないですけど(笑)、前に出ているという感覚は、いつも持っているので。自分としては、自分が持っている力が出たシュートだったのかな、と思います」とインタビューに答えた大迫。それでいい。ちょっと前まで90分間フルに走れなかったこの生え抜きの“逸材”は、今年一番の成長を見せ、今やチームに欠かせない存在になっている。

スカパー解説者は、熊本は後半、特に先制してから、見違えるくらいに運動量、前線からのプレスが厳しく、守備がはまっていた。と分析していました。「点をとってから元気になった」と。しかし決してそうではない。鳥取サイドの言葉を借りても、「今日はなかなかパスの出しどころがなかった。相手の守備、こちらのパスの受け方、両方に原因があった。裏へのパスも相手が対応していました。うまく守備ではめられているシーンが多くて、そのときにどうするか。後半になったら、もう少し回せるかと思ったけど、相手もペースが落ちませんでした」(戸川健太)。

「前半、相手の前からのプレッシャーは予想していました。それを裏返そうと、前節、(前々節の)岡山戦と同じ意識で入ったつもりです。ただ、結果的に攻撃が単発になり、むやみにスピードが上がり過ぎた。(中略)スピードが上がり過ぎて、うまく活用できなかった。そこが体力的にも、あとあとに響く結果になってしまったと思います。後半、相手は体力面で、90分間を通してアグレッシブに継続してきた。それが、自分たちがボールをうまく動かせなかったことと比例して、ゲームをうまく運べなかった要因だった」(松田岳夫監督)と。

前半は両者拮抗していたものが、後半、鳥取の運動量が急激に落ちたことで、熊本が“見違えるように”活性化したように見えた、ということではなかろうかと。つまり熊本は90分間、一貫してパフォーマンスは変わっていない。実はそれがこの試合の熊本の一番評価されるべきところだと思うのです。

この連戦の4試合目というのに、選手全体のきわめて高い集中力、連動性と豊富な運動量。そのあたりを、まるで軽く煙に巻くように「われわれの方が少しコンディションが良かったのかな」と答えた高木監督でした。

さらに「(先制した後に)2点目を取りにいくということは、ハーフタイムに選手たちからも声が出ていましたし、僕自身も望んでいたことです。そのあたりをもう少し貪欲にいかなければいけないかなと思っています」と指揮官は言うものの、その後も途絶えることがなかった前線から連動したディフェンスは、貪欲に2点目を狙ったというよりも、むしろ相手の攻撃の目をつむための“守備的な”ものと思えました。ファーストディフェンダーから、二人目、三人目と、解説者が丁寧に分析してくれたほど、実にお手本のような組織的守備を見た思いがしました。熊本の2列のブロックを崩せない鳥取は、ハメドがどんどん中盤まで降りてくるという状況に陥る。それは前回勝利したゲームの再現でした。

アディショナルタイム3分を、コーナーでキープして時間を使う熊本。終了のホイッスルが鳴るときに、焦れてそのコーナー付近までボールを奪いにきていたハメドの、苦しげにゆがんだ表情がそこにありました。

先制してからもあれだけ前線からいって、しかもコンパクトにしようとしてラインを高く保てば、必然的に裏をとられるリスクは高まる。しかし、そういった相手のプレーの意図や精度を奪うくらいに、前線から追い込んでいたといことでもあると思います。結局、90分間運動量が落ちないで守備が機能し続けた熊本。何度も繰り返しになりますが、今日はそれしか言えません。

サッカーは所詮、生身の人間のやるゲーム。ひとりひとりの、またチーム全体のコンディションがいかに直接的に影響してくるかがわかるゲームでもあり、またメンタルがそれをどう補うのかということも考えさせられたゲームでした。「次の試合までにできるだけ良い状態にして、連戦の最後を勝利で終えるように頑張っていきたい」という当たり前のような指揮官のコメントですが、これはまったくの本音でしょう。

次節は、ファビオとソンジンが累積で欠場。武富も痛めているという情報があり心配されます。エジミウソンと長沢の故障は癒えるのか。相手は昇格圏を争う札幌。連戦の最終戦にして、本当の“総力”が試される戦いになりそうです。札幌厚別アウェー戦。38試合のなかの1試合とはいえ、この状況においては、色々なことが試されるとても重要な山場のように思えてきました。

9月18日(日) 2011 J2リーグ戦 第28節
熊本 2 - 0 鳥取 (19:03/熊本/5,200人)
得点者:11' 大迫希(熊本)、40' ソンイニョン(熊本)

鳥取とのJでの初対戦です。でも、どうしても昔話をしたくなるのが年寄りの悪い癖。あれはようやく熊本のトップカテゴリーがJFLとなった“青の時代”の2001年3月。倉敷で行われた西日本社会人大会。枯れ芝のピッチで、同期でJFLに昇格したSC鳥取とのいわゆるプレシーズンマッチを戦った。そのときは0-1で負け。なかなか簡単な相手はいないリーグだと思い知らされた。そしてあれから10年の歳月を隔てて、所属選手も大幅に入れ替わり、互いに紆余曲折を経て名前も変わり、こうして今この舞台で再び戦う。ロッソ時代の対戦成績も1勝1敗2引分で全くの五分。馴染みはあるけれど、相性がいいとはあまり言えない。われわれにとっての鳥取はそんなチームです。

高木監督が「最終的には、内容よりも勝負にこだわったという結果」になったと評した試合。確かに1ヶ月前の大分戦以来5試合ぶりの勝利。勝つには勝ったが、とにかく引き分けでもなく、勝ちが欲しかった。「勝つ事が今の我々にとっては重要なエネルギーになる」。それが指揮官の正直な心情なのでしょう。

今節のエポックは新布陣。というより、開幕以来、出場停止の試合を除いて、全試合スタメンの長沢を控えに回したこと。後方の司令塔として、定位置だった原田をベンチスタートさせたこと。DFの真ん中二人の選択も、後方からの正確なロングボールフィーダーの福王を控えにして、菅沼、廣井できました。スカパー!の山崎アナ、風戸レポーターが口を合わせて言っていたのは、事前取材時、監督が選手起用について相当考えこんでいたということ。悩みに悩んだ末のシステムが、イニョンをトップに大迫、武富をシャドーに置いた4-3-2-1の俗に言うクリスマスツリー。徹底的に高さを活かすことを突き詰めればいい。前節そう書いたわれわれでしたが、これは“高さ”のサッカーからの転換を意味するものだったのでしょうか。

熊 本
 32ソン イニョン 
13大迫14武富
7片山22吉井
5エジミウソン
24筑城15市村
28菅沼4廣井
18南
前半34分 武富 孝介 → 齊藤 和樹
後半23分 ソン イニョン → 長沢 駿
後半30分 片山 奨典 → 原田 拓

鳥 取
 9ハメド 
 16金 
7小井手10実信
6服部14吉野
25奥山27丁
4戸川3加藤
 48小針 
ハーフタイム 吉野 智行 → 住田 貴彦
後半17分 キム ソンミン → 梅田 直哉
後半25分 小井手 翔太 → 岡野 雅行

「今までの2トップで、コンビネーションとかが機能しない部分があった。例えばスペースへのランニングだったり、縦に行ける選手を置く方が、今日のゲームでは効果的かなと思って、そういう構成にした」というのは高木監督。確かに、わかりやすい動機です。タテに行ける選手。そういう目でみると確かにどこをとっても縦に行くシフトだなと。そして対する松田監督は、「うちのセンターバックに対して相手のフォワード、ボランチに対して相手のオフェンシブ、そこが相手にとってすごくはまっていた。うちは逆に、そこでプレッシャーがかかったために中央に侵入できなかった。その面はゲームが始まってすぐに感じました」と。

鳥取のカウンターの切れ味。そのボールの出どころと連動性。そういった“相手”あってのこの新布陣。指揮官が選んだのは、相手を詳細にスカウティングしたうえで、今選択しうる最良のコンディションの選手たちと、相手の良さを消し、自身の良さを発揮するためのシステムだったのでしょう。

鳥取は縦に行けなかった。それはさらに今日の熊本が、前から行かず、自陣でしっかりブロックを作って、ハーフウェイラインを超えたところからファーストディフェンスを始めるという戦術をとったことにもよると思います。鳥取は凹型に攻めるしかなかった。中盤3人の吉井と片山のところでの守備の負担は、確かに大変でしたが、鳥取はサイド、サイドに持ってはいけるものの、市村、筑城の両SBの上がりを抑えた今日の熊本は、しっかりとスペースを埋めて、PAへの侵入を阻み続けました。

凸型攻撃の熊本でしたが、得点は決してカウンターではなく、しっかりとシフトアップして人数を掛けた攻撃からでした。9試合ぶり念願の先制点は、ポゼッションから。大迫が吉井に預けるとそのまま走りこむ。吉井はワンタッチで縦に入れる。武富がDFを背負いながら、これもワンタッチで走りこんできた大迫へ。大迫が迷わずシュートという、流れるような一連の連携プレーでした。

前節は武富。今節は大迫と、チームにとって“鍵”を握っていると書いたプレーヤーの得点が重なりました。昨年の途中出場から徐々に先発に名を連ね、90分間走れるようになった。そろそろ“結果”が欲しかった。生え抜きの大迫のゴールで、スタンドは沸きに沸きました。

イニョンの追加点も、類まれなる運動神経、彼の個人技によるところはあります。高木監督は「広島に入ってきたばかりの久保竜彦を見るようなんだ」と言ったとか。なるほど確かに、そこから撃ってくるかという意外性とボディバランスは、確かに久保を彷彿させます。ただしこの場面、相手ボールの守勢の局面。高い位置での連動したプレッシングで、相手DFがバックパスのミスをした。組織的守備から生まれた得点だったということも忘れてはならないことだと思います。

前半2点先取しての折り返しは、いつ以来のことでしょう。しかし、ハーフタイムのスモーキングエリア、はしゃいだ声は聞こえず、何故か皆、異様なほどに考え込んで黙りこくっている。皆、このままでは終わらないのではないかと思っている。2-0というサッカーにとって難しい点差を知っている。かつて“引き分け王”の異名をとった鳥取の、異様なまでの粘りを知っている。けれど、勝ちたい。今日こそは、この大事な2点を守りきって、勝利を喜びたい。そんな緊張感にも似た雰囲気に包まれていました。

思ったとおり、鳥取は後半早々から圧を掛けてきました。最後の南のところでなんとか防ぐ熊本。もうひとつ、この日、熊本を苦しめた“変数”に、この季節にしては異常に高い湿度がありました。プレーが止まるたびに選手たちは給水に走る。前半途中で武富が打撲系?のアクシデントで痛む。この穴は斎藤がうまく埋めました。しかし、後半イニョンに疲れが見えると、長沢に交代。片山も足を攣って原田と交代。とうとう早い段階で3枚のカードを使い切ってしまいます。

そのたびごとにシステム変更。終盤、頼みの大迫までが足を攣ってしまう場面も、もう交代カードはない。最後は、筑城を右SB、市村を一列上げると、守備の負担を軽減させるために大迫をトップに、長沢を2列目に配置。この、アクシデントとも言える“変数”に対応していくベンチワークも、この試合、われわれをうならせた見どころではありました。

決して3点目を取りにいくことを放棄したわけではなかっただろうと思いますが、鳥取の圧力の強さ、重なる選手のアクシデントによって、熊本の狙いはカウンター攻撃に絞られてしまいました。確かに、前半から相手にボールを持たせすぎ、揺さぶられすぎていた。守備の時間のこの長さと、この湿度の高さは、選手から体力を奪うのに十分だったことでしょう。もはや熊本は、奪っても前線に大きく蹴りだすだけに終始している。繋いで攻撃に転じるどころか、カウンターにさえ繋げない。

PAに入り込むボールは掃きだす。服部が前線に上がってくるところはエジミウソンが潰す。終盤、鳥取は“あの”俊足・岡野を投入しますが、この時間帯には岡野の得意とする大きなスペースは、どこにもありませんでした。

後半の内容は、決して“褒められた”ものではなかったでしょう。もっと狡猾で、もっと力で押してくる相手には通用しなかったかもしれない。しかし、この展開で、このチームコンディションでは仕方がなかった。これが精一杯だったと。試合後、「修正するポイントや、個々でリカバリーするところはもちろんあると思いますけども、今日のゲームに関してはそういうところを見るのではなくて、純粋に勝ちの喜びを味わいたいなと思います」と指揮官に言わしめた。その意味もそこにあったのだと思います。

しかし、勝利の影に隠されている小さくない評価。それは単純に言えば、ハメドをほぼ完璧に抑えたこと。この鳥取のキーマンを、90分間自由にさせなかったこと。途中から中盤まで下がったハメド。自身の突破力だけでなく、視野の広い、精度の高いパスは脅威だった。下がってからのハメドに対しては、持たせるが、出させないような、そんな対応に見えました。それによって鳥取の攻撃はさらに封じ込められたような。しかし、その能力は凄みがあった。セットプレーのキッカーも務める彼こそ、鳥取のゲームメーカーに違いありませんでした。天皇杯を含めて、あと2度対戦する相手。まだまだ油断できない相手だと心すべきだと思いました。

長沢を先発から外した新布陣。それは高さからの転換なのか?と書きました。迷いに迷ったという指揮官の選んだ道は、ひょっとしたらそうなのかもしれません。あるいは長沢のコンディションを考慮した結果なのかも知れない。ただ言えることは、“引き出し”の数が増えたということは事実だと。“高さだけ”からの転換とも言えるのかも知れない。イニョンのゴールに、長沢も発奮せざるを得ない。ファビオも然り。チームとしては、確実にオプションの幅を広げたのは間違いない。

それはいつか書きましたが、選手に90分間の熾烈な運動量を要求するわがチームの戦術にとっては、有意義なオプションなのに違いない。そんなポジティブな意気込みを持って、さあいよいよ次節。今期好調な栃木との、この時期にしての初めての一戦に臨みます。負けられない。いや絶対に勝ちたいと思います。

7月7日(土)16:00 水前寺競技場
ロッソ熊本3-2ガイナーレ鳥取

得点者:11分田村(鳥取)、26分高橋(熊本)、32分上村(熊本)、51分北川(熊本)、89分高木(鳥取)

試合開催も危ぶまれるほどの集中豪雨の熊本の空でしたが、16時のキックオフの頃はようやく雨も上がりました。昨シーズン2引き分け、そして前期は全くいいところなく敗れたガイナーレ鳥取。(われわれファンにとっては)苦手意識のある相手をホームに迎えました。

そして苦手意識だけでなく、鳥取はほんとにシンプルないいサッカーをするチームだいうのが実感です。前期は最後までよく動きまわられ、実にいやな形の逆転負けを喫しています。逆に鳥取はそんないいイメージを持って向かってきているのか試合開始からいい動き。鳥取の左SB樋口は鹿本高校出身。また後期に入ってFC刈谷から移籍したFW秋田はかつてブレイズ熊本にも籍を置いていたというベテラン。この水前寺でもプレーしたことでしょう。また前期苦しめられたMF鶴見も左サイドで活発な動きを見せます。しかし今日、出色だったのはWボランチとFWの連携によるプレス。うちの司令塔・小森田が、がっちりとマークされて仕事をさせてもらえません。今日の鳥取、コースが少しでも空けば、意識的に枠を狙って抑えたいいシュートを打ってきました。そんなシュートが2本、3本。ついに11分、ゴール前混戦からDFのクリアが弱いところを押し込まれ鳥取に先制されます。

しかし、早い時間で先制されましたが、今日のロッソ、それに動じることなくやるべきことをしっかり繰り返していきます。雨の影響で気温もしのぎやすいせいか動きも軽快。高い位置から積極的にボール奪取に向かいます。シンプルにワンタッチパスから徐々にポゼッションを確保、次々に鳥取の両サイドを侵食していきます(今日はどちらのサイドもバランスよく仕事をしていたという印象)。そうそう、前期対戦ではこれが出来なかったのです。

26分に、熊谷のパスから市村が右サイドをえぐり、タッチラインギリギリのセンタリング。これがファーサイドにいた高橋のアタマにどんぴしゃ。さらに32分には、CKから上村のヘッドで逆転に成功します。ここまでの、敵を翻弄するようなロッソのパスワークは見事。ため息のでるようなワンツーは相手の戦意をくじくような、連携の完成度を感じさせるものでした。

後半に入って反撃を仕掛けたい鳥取に対して、ロッソは前半同様、厳しい試合運びでピッチを支配、7分、カウンターから北川が決めて追加点。しかし鳥取はこの点差でも安心させてくれませんでした。

ここからはベンチワークの戦いも激しさを増し、一手一手で戦局が動いていきます。追加点の直後、9分に鳥取はボランチに実信を投入。いやーな選手が出てきたなと思いましたが、予想どおり、実信が散らすボールで、鳥取の攻撃が再び活性化。対照的にロッソは前節と同じように、徐々に(と言うかガクンと)運動量が落ちてきます。再三サイドを脅かされますが、なんとか相手フィニッシュの精度に助けられて事なきを得ます。

しかし20分あたりを境に、ロッソはゲームを支配できなくなり、25分には熊谷に代えて山口を投入。鳥取はセレッソから最近移籍の高木ケインを前線に。29分には明らかに疲れのみえる小森田を引っ込めて関。中盤を再構成。対する鳥取も畑野に代えて堀池を入れ更に攻撃を活性化。終了間際の40分、ロッソは北川に代えてDF森川を投入。これで守り切るかと思われたのですが、そこが90分間諦めない鳥取の強さか、ゴール前のFKからのこぼれ玉を高木が押し込んで追いすがります。

残り時間が少なく、なんとかそのまま逃げ切りには成功しましたが、鳥取の粘り強さに再びヒヤリとさせられる結果となりました。準加盟チームのなかではもはやほとんど今期昇格の可能性(4位以内)が消えかかっている鳥取ですが、今日のように何度もゲームの流れを戦術的に引き寄せていくチーム力はベンチワークを含めて、不思議な強さを感じます。

今日のロッソ。押し込んでいる時間帯に、きっちり点を取れたことがなによりの勝因でしょう。スタミナにやや難がある小森田のペアに吉井を配し、小森田が切れたときには山口にスイッチするというのが、今のベストパターンか。惜しむらくは、上村の交代要員に欠けるところが今のロッソの不安材料。早く福王、河端に復帰してほしい。

試合中印象的だったのは、有村が同サイドの西森に対して、激しく指示していたこと。おそらく有村がボールを持った瞬間の西森の動き出しに対する不満だったのかと想像しました。もっと「感じろ!」と言っているような。これからロッソが更に磨くべきは、攻守に通じて全員の意志統一、イメージの共有ではないかと。消極的なバックパスからボールを奪われ、再三ピンチを招く場面があったのも、なんとない意思疎通の欠如ではなかろうかと・・・。

とはいえ、苦手な鳥取に初めて勝てたこと。そしてこの勝ち点3によって、”J”にまた一歩、近づいたことを素直に喜びたいと思います。
首位を窺う今の位置で、今日のこの結果はやはり最高です。

残り15試合。勝ち点70の”メド”まで27。あと9勝。

4月15日(日)13:00布施陸上競技場
ガイナーレ鳥取3-1ロッソ熊本
得点者19分高橋(熊本)、29分釜田(鳥取)、68分(鶴見)、83分(西村)

弱い・・・。

アウェーでのテレビ中継。もちろん遠征先まで駆けつけるサポーターが一番コアと呼べるんですが、Jリーグになればスカパーで全試合完全生中継。ホームはスタジアム観戦、アウェーはテレビで、というJリーグ生活の疑似体験よろしくテレビの前に座っていました。

19分の先制点まではいつもどおりのロッソのペース。中盤で奪ったボールを左サイドからえぐった松岡がセンタリング。そこに飛び込んだ高橋がヘッドで前節のうっぷんを晴らすかのようなゴール。カウンター気味の展開、前線に人数が足りないときの、ここしかないというニヤサイドへのピンポイントのセンタリングと飛び込みで先制すると、今日はこのままのポゼッションで行けるかなと思わせたのですが・・・。
すぐ後、GK小林とDF上村の交錯から無人のゴールに蹴りこまれ失点。ゴールキーパーはどんなにいいプレーを連発しようと、一発のミスが帳消しにしてしまうポジション。飛び出したのなら確実にクリアしないと。この日、相手のGKが数々の好プレーを見せていただけに残念。すかさず同点にしてくる鳥取の「引分け力」を感じて前半終了。

問題は後半のグダグダな展開。解説の山野さんは「ボールの出しどころに迷いがある」と言っていましたが、向こうが引いて守っているのではなくて、まるで引くのを待って攻撃しているかのような有様。
思うに、サッカーに限らずアメフトにしろラグビーにしろ、同じフィールド内で同人数で戦う競技の場合、基本的な戦術は「いかに相手より数的有利な状況を作るか」ということ。今のロッソは、まるでバレーボールや野球のように、選手個々の能力の総体で力まかせに上回ろうとしているだけにしか見えません。

松岡が決まりごとのように途中交代。プレースキック以外そんなに悪くはないと思われるのですが、スタミナに難があるのか。しかし河野が入って展開が変わるわけでもなく、山口が入ってからは3-5-2にシステム変更。これによりそれまで明らかに攻撃の起点になっていた小森田を最後列に下げる結果に。その結果は、中盤でパスを奪われて、すばやく前線に運ばれて、DFがかわされ2失点。残された時間でひっくり返す、いや同点に追いつく展開力もいまのロッソにはありませんでした。

鳥取はこの試合まで引き分けこそあれ白星なし。その理由を納得させるほど技術的に劣りました。サイド奥まで持っていくがセンタリングが不正確だったり、フィニッシュに精度がなかったり・・・。それに助けられている間に、それに甘んじている間に勝負の神様に見放されたというほかありません。
鳥取のなかでひときわ異彩を放っていた湘南からレンタルの鶴見は、この10日にチームに合流したばかりとか。そんな一人の突出した選手の加入で劇的にチーム力が上がるわけではありませんが、彼にボールを集める戦術、そして初白星にかける意気込み、それをロッソ戦で達成するというモチベーションが点差に表れたのだと。前節のジェフリザーブズの喜びようを見ても何かを感じざるを得ません。
今のロッソは、佐川のようなけれん味のないスピードもなければ、Hondaのような恐ろしいまでの勝負強さも持ち合わせてはいない。
試合後のサポーターからの怒号に反論する必要はありません。しっかりフィールドのプレーで見返してほしい。