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6月2日(日)
【J3第10節】(ミクスタ)
北九州 1-2(前半0-1)熊本

<得点者>
[北]茂平(85分)
[熊]北村知也(10分)、オウンゴール(51分)
<警告>
[北]國分伸太郎(23分)
[熊]黒木晃平(61分)
観衆:7,474人
主審:川俣秀


行ってきました北九州。勝ってきましたーー。

同僚と二人、新幹線の割引切符を駆使して小倉駅に降り立つと、そこから屋根付き歩道を歩いて約10分。港を背にしたミクニワールドスタジアムが見えてきます。

Twitterの情報などからも、熊本勢が相当数訪れると予想はされたのですが、ビジター側ゴール裏は赤一色に染まっている。監督コメントによれば千300人ほど。このサッカー専用スタジアムが出来た年に北九州はJ3に落ちたので、これほどビジター側が埋まったのは初めてだと言う。KKウィングのゴール裏を、大分や福岡に青く染められたことを思い起こします。

前々日にC大阪U-23が破れ、前日に讃岐も敗戦となったため、舞台は整っていました。この試合に勝てば、首位が入れ替わる。

小林伸二監督が今シーズンから指揮を始め、昨シーズンの最下位から一気に順位を上げた北九州。失点が少なく、セットプレーでの得点が多いのだという。いったいどんなサッカーをするのか。

20190602北九州

池元はもちろんですが、もう一人、見覚えのある容姿の選手がいる。ディサロ燦シルヴァーノ。昨年のインカレ決勝、熊本に内定していた駒沢の中原輝見たさにテレビ観戦。そのとき決勝点を挙げて、法政を優勝に導いた選手がディサロでした。北九州に入っていたのか。

このディサロと池元の2トップはやはりやっかいでした。前半早々、黒木が奪われるとディサロのシュートはブロック。しかし池元が拾って打つ。これはGK山本がセーブ。

しかしすぐあと、山本が高瀬に回すと、ロングボールを敵CBの間に送る。バックスピンの掛かったボールに、抜け出した北村が敵GKより先にヘディングで押し込む。前半10分で先制します。赤いタオルマフラー、赤い応援旗が回る回る。歓喜のチャントが歌われる。

北九州は前半のうちに同点にしておきたい。前線からの激しいプレスで高い位置で奪うと、ショートカウンターに持ち込む。何度ものシュートシーンも、身体を投げ出し、エリアから掻き出し、コースを切って山本がセーブする。

後半開始から佐野に代えて原を投入。北九州は古巣となる原の投入意図を聞かれて、渋谷監督は、「前半は、つなぐことがみんなの頭にあったかなと思います。なので後半、原選手を入れて。一樹はターゲットにもなるし裏にも行けるしというところで、それがいい形で得点につながった」(熊本蹴球通信)と言う。

後半6分、中盤まで下りてきた原が貰いうまく入れ替わって前を向くと岡本へパス。岡本がためて、高瀬の上りを待つ。高瀬がえぐって速いクロスを入れると中央で競る北村にGKのパンチングミス。ゴールインして追加点になります。

北九州は町野、茂、新垣と次々に選手投入。このままでは終われない。北九州の猛攻を受け、なかなか熊本は自陣から出られない。それこそ“雨あられ”のようにシュートを浴びます。

痛んだ鈴木に代えて小谷。田村に代えて田辺でしのいでいたのですが、後半40分、茂からパスを受けた町野がターンするところを引っ掛けてしまう。しかし拾った茂がエリア内侵入するとアドバンテージ。スライディングに入ったDFの股を抜いたシュートがニアを打ち抜きました。

これだから2-0は分からない。まずは同点と北九州は勢いづく。時間を使う熊本。しかし、アディッショナルタイムには、茂にプレスバックに入った原が痛めてしまう。起き上がることもできずに担架で運ばれ、一人少ない状況に。

まさに死闘。シュート数は熊本の3に対して北九州は20を数える。ゴールキックでタッチを割って、試合を終わらせようとする山本。主審の笛が吹かれた瞬間、何人もの選手が倒れこみました。

対戦成績は1勝5分8敗。とても相性のいい相手とは言えない北九州でした。かつては0-7というとんでもない大敗を喫したこともあった。鬼門という人もいた。

けれどそんな“ジンクス”は、今日の選手たちが断ち切ってくれた。もはや鬼門とは言わせない。「まずピッチへ入って、サポーターの方がすごくて。モチベーションが上がりましたし、ありがたい環境を作ってもらえた中で勝てたことは良かった」()と中山が言うように、敵地ミクスタをこんなに赤く染めることができれば、選手たちに力を与えられることが証明された。

首位を奪ったものの勝ち点差はわずかに2。敵地で見せたカモン!ロッソに、今度は北九州のリベンジのモチベーションは否が応でも高まったでしょう。

ただ、「僕たちは1位で終わることが目標なので」()と言う黒木。「今は勝ちながら、もっとこうしていこうというところをチームとして話し合えているので、それを今後も続けていきたい」()と答える上村。選手たちに慢心はありません。



【J2第30節】(うまスタ)
熊本 1-6(前半0-4)北九州
<得点者>
[熊]清武功暉(47分)
[北]小松塁(9分)、小手川宏基(16分)、原一樹2(36分、39分)、風間宏希(49分)、井上翔太(90分+4)
<警告>
[熊]植田龍仁朗(76分)、藏川洋平(79分)
観衆:4,549人
主審:柿沼亨


20160821北九州

「もう、立ち上がりから前半にああいうゲームをさせてしまった自分の責任で、今日はそれに尽きます。たくさんの熊本のファンの皆さんが駆けつけてくれたなかで、ああいうゲームをさせてしまったことについて、自分の責任があるなと本当に感じています」(九州J-PARK)。試合後の記者会見で、清川監督はそう反省の弁を述べました。

清武からも高柳からも藏川からも。各選手たちから異口同音に「入りが良くなかった」(同)との言葉が発せられている。

前節・千葉戦のエントリーで、短い試合間隔のなかで、よくぞ指揮官は“戦う気持ち”を植え付け直したと称賛したばかりなのに、どうして一週間でこうなってしまうのか。

「やっぱりメンタル的なところ、前節、いい形で終わったというところでいくと、やれるんじゃないかという驕りみたいなものがあって、入りが全然、闘争心がないゲームで身構えてしまった」(同)と指揮官は言う。清武も「皆、前節の千葉戦のイメージがあって」(同)と。「勝って過信があったかも知れない」と言うのはキャプテンの岡本(熊日)。

しかし、ここでわれわれが首を傾げたくなるのは、対北九州のスカウティングだったり、対策としての戦術練習はどうだったのだろうということです。

前節の目を見張るような改善が“魔法の言葉”によるようなものではなく、「やっぱり前線に良い形でボールを入れて、そこから仕掛けようということを少し、全体で意識した」という、戦術練習で選手個々のメンタルに落とし込んだ成果だったように。対北九州を想定した戦術練習を、もししているならば、「前節のイメージがあって」などという言葉は出ないような気がするのですが。

もちろん球際の強さという基本ベースはわがチームの魂ですが、そのうえで北九州は北九州であり千葉とは違うチーム。相手があってのゲームという意味では、次の対戦相手を想定した練習は当然必要であろうし、それも相手をリスペクトすることだと思うのですが。

練習を見てもいないくせに勝手なことを書くなと怒られそうですが…。それとも、北九州のことを堅く守ってカウンターというスカウティングから、自分たちがボールを持てるだろう、その堅い守備をどう崩すかという一辺倒のなかで、思いがけず開始から押し込まれてびっくりしてしまったのでしょうか。

対する北九州は、熊本をよく研究していましたね。CKからの先制点の場面。ゾーンで守る熊本に対し、GKを挟み込むように人が立ち、佐藤の自由を奪います。そこにニアサイドで小松の高い打点のヘディング。なすすべもなくゴールを割られました。

この早い時間での失点で、一気に意気消沈してしまった感じのする熊本でした。全く立て直せなく前半だけで4失点。セカンドボールをことごとく拾われ、DFラインを切り裂かれ、崩されます。

後半から巻と中山が入って、この二人の繋ぎから最後は清武のシュートで、反撃の狼煙を上げたものの、すぐあとにまた失点して、勢いもそがれてしまいました。

終わってみれば1-6の惨敗と呼べる敗戦。終了のホイッスルを待たず席を立つ人々を、今日は責める気にはなれませんでした。

小野監督以来、熊本のサッカーは、誤解を恐れずに言えば”立会い”でガツンと勝負するサッカー。そこで身構えてしまっては(あるいは後手に回っては)、勝機は見いだせないでしょう。

ただ、何が起こるかわからないのもサッカー。われわれは長いシーズン、こんな試合もあるさとも思っています。“相性”というものも、まんざら否定できないでいる。惨敗も惜敗も失う勝ち点は3。前節に岡本が言ったように「一喜一憂しない」で次に向かっていくことが大事。

「最下位に負けて」などとは決して言わない。このカテゴリーで、どれほどの実力差があるものか。慢心したら、いつ足元をすくわれるかわからない下剋上だと思っています。

北九州の勝利は何試合ぶりだったのでしょう。録画したスカパーの画面の先で、サポーターの女性が泣いている姿が映りました。この勝利で最下位を脱しました。

最下位のチームに負けることもあれば、首位に勝つことだってある。それがこのリーグ。それがサッカー。スカパー解説者の元ロアッソ選手・松岡氏が最後に言いました。「熊本のサポーターは本当に暖かいサポーターが多いので、”ここ”にまた駆けつけてくれると思います。またここから熊本一丸となって戦っていかなければなりません」と。

切り替えましょう。そしてミッドウィークの札幌戦に臨みましょう。

【J2第4節】(本城)
北九州 1-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[北]小手川宏基(57分)
[熊]清武功暉(89分)
<警告>
[熊]岡本賢明(47分)
観衆:3,951人
主審:山岡良介
副審:塚越由貴、櫻井大輔


「苦しい中で迎える好相性の熊本戦」「過去5年間、黒丸を付けたことのない相手」。戦前、九州J-PARKのプレビューで、北九州側の記者に随分と煽られました。北九州としては山口、岐阜に連敗。怪我人も多い状況のなか、ジンクスにすがってでも連敗から抜け出したいと願っていたでしょう。

確かに対戦成績は分が悪い。特に敵地・本城陸上競技場ではろくな記憶がない。しかし、清川監督は、対戦相手やこれまでの戦歴のことより、この3連勝を受けて「何となく守りきれるとか、点が入るだろうという思いがあるとダメ。自分たちのやり方をしっか進め、ベースとなる部分を90分やり通さないといけない」(九州J-PARK)と、周囲の雑音よりチーム自身を見つめていました。

20160320北九州

早春のこの季節、選手たちは変わりやすい天候とも戦う。この日襲ったのは強い風でした。コイントスで風下を選んだ北九州のGK阿部の蹴るキックが、ハーフウェイラインを越えない。対して熊本も風上の戦いが上手かということはなく。相手DFの裏のスペースに出すロングボールが、風に煽られて抜けてしまう。

ただゲームの入りは悪くありませんでした。6分、嶋田からパスを受けた岡本がエリア左外から強引にシュート。これがエリア内にいた平繁に当たってコースが変わると、あわやゴールと思わせますが右にそれます。続く8分には高い位置で高柳が奪うと、中央の清武に。清武はDFを引きつけ更に左の平繁へ。平繁のコントロールしたシュートでしたが、これも右にそれる。惜しい。

北九州も徐々にペースを取り戻し、互いに攻守の切り替えの早い展開に。32分には北九州・花井から井上が繋いで、元日本代表・本山がエリアをえぐるとマイナスパスに風間のミドルシュート。間一髪でGK佐藤がクリアします。

ここから北九州のCKが何度も続き、波状攻撃に晒されますが、なんとか熊本も凌ぎきって前半を終えます。

「風上になるのでシュートの意識を高めよう!」。ハーフタイムでの柱谷監督の檄に応えるように、俄然、北九州が攻勢に出てきます。ゴール前が脅かされ、CKが続く。我慢の時間帯でした。

均衡が破れたのは57分、右サイドで藏川が井上に奪われると、本山、井上と繋いで、北九州の右サイドを上がってきた小手川へ。フリーで撃たれたシュートが、ゴールネットに突き刺さりました。熊本は今季初失点。

カウンターというほどの攻撃ではありませんでした。守備の人数も足りていたし、体力が消耗する時間帯でもなかったが、1歩2歩が遅れていました。「どうしても何とかなるだろうというのが少し選手の中であったと思います」と、戦前の心配と同じようなことを言って、指揮官はこのシーンを振り返ります。

しかし、指揮官も多くの選手も言うように、この失点で逆に熊本は目が覚めた。それまでお株を奪われたように北九州に球際激しくやられていましたが、ようやく熊本も「ボールに対する厳しさが出てきました」(清川監督)。

そしてここからのベンチワークが、試合の展開を変えます。

熊本が岡本に代えて巻を投入すると、北九州も本山に代えて大島。両者前線に高さを加えてきた。展開が徐々にオープンになってくると、熊本は齋藤を加える。これに対して、北九州・柱谷監督は、MF加藤をアンカーの位置に入れて、大島のワントップに。残り20分を逃げ切るサインでした。

熊本は早め早めに前線にボールを入れる。85分、右サイド奥のスペースに出すと齋藤が猛ダッシュ。北九州DFがなんとか追いついて、折り返しをクリアするものの、「こいつは速い」という残像が焼きついたのでしょう。

それが奏功したのが89分、ハーフウェイライン辺りからの高柳のロングフィード。PA内の巻が頭で落とすと、齋藤が拾ってエリアをえぐる。慌てた北九州DFが引き付けられたところを、齋藤がうまくマイナスパスを送ると、中央で待っていた清武が、しっかりとゴールに押し込みました。同点!

巻が落として、スピードのある齋藤が裏を取る。わかり切った構図でしたが、それをさせてしまった北九州は、連敗こそ脱したものの、あとわずかで手にするはずだった勝ち点の2をこぼししたショックを隠せませんでした。先の北九州側の記者は試合後のレポートで、「前向きに受け取っていいわけではない」と、早々と守備固めに走ったベンチワークを批判しました。

一方で、清武は殊勲のバースデーゴールで追いついたことより、「最後のチャンスで決めきれないのは課題」と、その後にもあった逆転の絶好機を逸したことを悔しがる。

今シーズン、初めて先制を許し、その後どう巻き返せるのか、真価が問われた試合でした。時間が過ぎていくなかで、やはりこの本城は鬼門なのかと思わせましたし、これまでだったらそのまま追いつけず、逆に追加点を奪われて…敗戦というパターンを何度も見てきた。

しかし、「先制されたあとも、中では『返せる』という落ち着きと自信があって」と清武が言うように、粘り強く、粘り強く全員が辛抱して、綱引きを手繰り寄せるように、好機をこちら側に持ってきたような印象です。

セレッソの連勝が続き、熊本は讃岐に総得点で抜かれて3位に“後退”ということになりました。が、しかし。この難敵、北九州とのゲーム。先制されて負けなかったこと。最後の最後に追いついたことは、チームの大きな自信に繋がったに違いありません。試合後の選手たちの表情にも明るさがありました。これまで対戦した6シーズンとは違う。同じ轍は踏まないんだ…と。
勝ち点1ではあるにしても、シーズン序盤にしてこの試合の勝ち点1の意味は大きい。ちなみに、2010年7月18日、第18節でJ2初対戦したのもこの本城。このときは相手のロスタイム同点弾を浴びて2-2のドローに持ち込まれてしまったという、今でも忘れられないゲームでした。

あれから6年目の今日、ドローに持ち込んだのは熊本でした。


【J2第29節】(うまスタ)
熊本 0-1(前半0-0)北九州
<得点者>
[北]井上翔太(38分)
<警告>
[熊]齊藤和樹(69分)
[北]前田和哉(60分)
観衆:7,680人
主審:野田祐樹
副審:大西保、西村幹也


20150815北九州

今節はあまり多くのことを書く必要がないかも知れません。「相手のカウンターを恐がってはいけない。一方では残っている選手をしっかりつかんでおかないといけない」(九州J-PARK)と戦前語っていた小野監督に対し、北九州の柱谷監督は、「うちが引き込んでカウンターを狙う展開も必要だろう」(スカパー!)と。自他ともに認めるカウンターサッカーの北九州に対し、前回対戦と同じように”策に嵌り”敗れた。

シュート数は熊本11に対して、北九州は1。たった1本のシュート、カウンターに敗れたという、サッカーではありがちな展開と言ってしまえばそれまでなんですが。しかし、前回対戦と違っていたのは、北九州が作るタイトな2列の守備ブロックを、うまく崩す場面がたびたび見られたこと。これは実は大きなチームの進化ではないかと感じました。

前半20分前後の攻勢。嶋田が左から入れると中山が清武にパス。シュートはGK。続いてはダイレクトパスの交換からゴール前に侵入。左からグラウンダーで入れたクロス。これは清武がジャストミートせず。養父のクロスを清武がニアで受けてマイナスに出すと、齊藤のシュートはDFがブロック。幾度となく熊本が確実にアタッキングサードまで攻め込めていました。

北九州は2トップの原と小松が裏を狙う動きこそ見せますが、なかなかボールが出てこない。防戦一方の展開。しかしこれが「うちが引き込んでカウンターを狙う展開」だったとすれば…。ちょっと考え過ぎでしょうか。

38分、右SBの養父のショートパスでした。井上がカットして素早く熊本の右サイド裏に出す。小松が走りこんで運ぶ。園田、養父も追いかけるが間に合わない。小松がマイナス気味に入れたクロスを、追走してきた井上が右足でダイレクトに突き刺す。貴重な先制点が北九州にこぼれ落ちます。

堅守速攻のチームに対して、痛恨の先制点献上でした。熊本は、攻勢の時間帯に得点が欲しかった。しかし、完全に崩し切れないフィニッシュを思うと、やはりどこかに北九州のカウンターを気にする”後ろ重心”があったのかも知れません。それに対して、北九州のワンチャンスの集中力、決定力は見事というしかありません。

ただ、点差は1点。指揮官がハーフタイムで「このまま続けていこう」「自分たちを信じて戦おう」と言ったのも当然でした。前回対戦のころとは”自信”が違っている。崩せている。必ず逆転できるはず。

その後半の反撃に水を差す第3の役者が現れます。前半は割とまっとうな笛を吹いていたといえる野田主審その人でした。

後半すぐさまカウンターから齊藤が倒されるがファールなし。エリア内でロングボールに競った清武が倒されるがファールなし。嶋田もボックス内で倒されるがファールなし。続いてもカウンターから齊藤が前の清武に付ける。清武が倒されるがファールなし。

そのたび、ゴール裏を中心にして怒涛のようにブーイングが鳴る。しかし、もちろん主審は意に介せず。けれど、この度重なる(スタジアム全体としての)ファールのアピールが、野田主審自身をかえって意固地にさせたのかも知れません。

68分頃でした。北九州GKのボールを、前目の位置でインターセプトした齊藤がドリブルで突っかけPエリアに迫る。GKと1対1。引っ掛けられて齊藤がもんどりうって倒れる。前々節・栃木戦と同じように、GKは1発レッドカード、こちらにはPKが与えられると思った瞬間…。

野田主審が示したイエローカードは、なんと齊藤に示されていました。シミュレーション。故意に倒れたという判定。騒然とするスタジアム。ブーイングの嵐。

これには熊本ベンチも黙っていない。激怒するコーチ陣。控えの選手たちも総立ち。当の齊藤は唖然とするばかり。チームキャプテンの園田が主審に詰め寄る。しかし、もちろん判定は覆されるわけもなく…。

日ごろ選手たちに、「人間誰にでもミスがある。誤審であっても抗議はしないこと」と、口酸っぱく指導している小野監督でした。試合後のインタビューでは、「おそらく、ルールに関しての私の認識が違っていたのかなと思います。ただ、齊藤はゴールに向かって精一杯のプレーをしてくれたし、我々は判定に従って精一杯戦うということだけなので。ルールに関する考え方がちょっとずれていたことだけが残念です」と述べました。監督としては、主審に対する”精一杯の皮肉”ではなかったのかと。

誤審(あるいは不利な判定)を嘆くより、それを上回る力を発揮すればいい、数ある決定機を決めていればいいのだという多くの意見があります。われわれも日ごろは、主審のジャッジに対してそうそう文句は言わないようにしていますが。

しかし、この日のこのシーンは、まさしく”勝敗を左右する”ワンプレーでした。その他の数々の決定機に決め切れなかったのが悪いということでは決してない。この”決定機”が決まっていたのかも知れない。前節の清武のセットプレーのワンチャンスで勝利したように。ここで同点にしたら、展開はまた違ってきた。そういう意味で、この時点でのこの”誤審”は許せないのです。

そもそもいわくのある人であるのは知っています。よくあるのはサイドを割ったボールの判定が逆なこと。今日もハンドを見逃した。はっきり言って、ポジショニングが悪いのは明らかです。プレーを(ボールを)選手の背中越しからしか見ていない。

それは何故かと言えば、彼自身が走っていないから。チームの、選手の運命を左右する責を担う者としてなすべき努力をしているのかと。

熊本は、その後もポゼッションを保持したまま攻勢を続け、アディッショナルタイム4分、パワープレイで攻め続けましたが、とうとう北九州のブロックを崩せず、終了の笛を聞きました。GK・ダニエルが見たこともないような悔しそうな表情で、グローブをピッチに叩きつける。熊本はこの敗戦で15位に後退。またPOの背中が遠くなりました。

いろんな感情がないまぜになり、われわれも複雑な心境です。しかし、先に書いたように、苦手とするブロックを敷く相手に対して、自分たちの戦い方で応戦し、それは着実に進化しているということ。それでも今日のゲームは、まだダメだ、もっと速く、もっと強くなれと教えてくれているのではないかと。そんなふうに総括して自分を納得させようと思っています。

【J2第18節】(本城)
北九州 2-0(前半2-0)熊本
<得点者>
[北]原一樹2(32分、45分)
<警告>
[熊]高柳一誠(10分)、上原拓郎(86分)
観衆:3,498人
主審:藤田和也
副審:蒲澤淳一、秋澤昌治


魔物でも住んでいるのでしょうか。この本城で勝てない。勝ったためしがない。北九州側からも「相性がいい相手」と言われる始末。本当に悔しいです。

熊本は前節長崎を下して、今季初の連勝を目論む。対する10位の北九州はクラブ記録タイの4連勝を賭けた戦いでした。

常盤と平繁の2トップは今季初。古巣との対戦に奮い立つ常盤。2列目に斎藤、嶋田という布陣は十分攻撃的に映る。前節の藏川のボランチもそのままで、黒木が新しく左SBを務める。今考えうるベストメンバーで臨む一戦。いい試合になりそうな予感がしたんですが。

20150614北九州

試合の入り方は決して悪くはなかった。前線からプレスを掛ける組織的守備もそこそこ機能していました。ただ、試合前に小野監督が言っていたという「ピッチ上の選手たちが同じ絵を描く」(スカパー!)ということでは首を傾げたくなるシーンが多い。微妙にチグハグな攻めの連携。

嶋田が左サイドをドリブルで上がってボックス内に侵入。ラストパスは平繁との呼吸が合わない。DFラインで奪ってからすぐにロングボールを裏に出すが、誰も走り込まず敵GKの手中に収まる。もったいない。

その間、北九州は虎視眈々とゴールを狙い、シュートを重ねていました。対する熊本がようやくシュートを放てたのは、前半も23分になってから。中盤でインターセプトした黒木からのミドルシュートでした。

押し込まれるでもない、“うまくいかなさ”を選手たち自身が感じていたのかも知れません。それが焦りを生んでいたのかも。失点はミスからでした。嶋田から前の常盤、そして嶋田へ返すくさびのパス交換からのミス。ボールが北九州FW原に収まると、一気にカウンターに持ち込まれる。園田が抜かれ、藏川が交わされるとゴールに流し込まれます。一瞬の出来事でした。

北九州にとって、自分たちの試合運びにするためには、この1点で十分でした。しっかりと守備でブロックを敷いて、あとはカウンター狙いに転じる。

前半のうちに同点にしておきたい熊本でしたが、その守備ブロックを前にして、急ぐところ、急ぎたいところで急げない。「同じ絵」を描けないでいました。

唯一40分頃、高柳からのパスを平繁がスルーして常盤、反転した平繁が貰うと、DFの裏にスルーパスを出す。嶋田がエリア内に入り込みエンドラインぎりぎりでキーパーへの股抜きシュートを狙う。クリアされますが、これこれ、いいぞ!

まだ前半時間がある。これから。と思わせたときでした。ダニエルからのキック。中盤で競って落としたボールは北九州が奪って、素早く前に出す。DFの裏を狙っていた原が、グッとスピードを上げ園田を再び振り切ると、前に出てきていたダニエルをあざ笑うかのようなループシュート。これがワンバウンドしてゴールに吸い込まれます。時間帯といい、取られ方といい、へたり込んでしまうようなダメージの大きな追加点でした。

「カウンターは思い切って仕掛けよう」。ハーフタイムの指揮官の指示は、攻撃に緩急を付けたいという意図だったのでしょう。しかし、戻りの早い北九州に素早くブロックを敷かれると、パスの出し先を失ってしまう熊本。中盤で奪ってからアタッキングサードまではテンポよく繋がっていくのですが、最後のパスの精度、そこへ呼応する選手とのコンビネーションが悪い。65分に、右サイドへの長いボールに走り込んだ嶋田が追走してきたDFをうまく交わして、得意の左足でシュートを放ちましたが枠の左外。これが決まらないと…。

その後はその嶋田、平繁と巻、中山の2枚替え。あるいは常盤に代えて上原を入れ、黒木を一列上げる。最後はハンジンも前線に上げてパワープレーを図りましたが、時間だけが過ぎていく。北九州相手に、またも本城で零敗の笛を聞きました。

なにも得るものがなかった。そういうファンの声もあります。試合後のゴール裏もがっくりと下を向いていました。

「失点はちょっとしたところのミスから得点のチャンスを与えてもったいなかった」(九州J-PARK)と指揮官は言います。「早い攻めにかかったときにどうしてもミスが出てしまう。(中略)一つ通せばビッグチャンスになりますが、そのかわり失ってしまうとピンチになる」と。

そして、チーム状況への手応えはあるか?との記者への問いに対しては、「一つ一つのクオリティ、それから、かなりトレーニングにも体が付いてきてくれるようになってきたので一歩ずつは前進していると思います」と結んでいる。

しかし、すでにリーグは18節を終えましたが、われわれはこのブログでの試合内容に関して、繰り返し何度も同じようなことを書いているような気がします。それはわれわれの目が節穴で、チームの前進、進歩に気づいていないのかも知れない、あるいは表現力が稚拙で毎度毎度同じようにしか書けないのかも知れませんが…。

4連勝目をホームで飾った敵将・柱谷監督は試合後のインタビューでこう言いました。「連敗しているときも内容はそんなに悪くなくて、ただ両ゴール前。守備の時の自分たちのゴール前、自分たちが決定機を作ったときの決めるところが甘くて結果が出てなかった」。なんだか、今の熊本の状況を言い表されているような気もして…。

そして「これから夏になってギラヴァンツの季節」と豪語しました。対照的にわがチームにはいつになれば好調な“季節”がくるのだろうか。このまま、この勝ち点のペースを続けると、とても不安になります。勝敗に一喜一憂はファン心理の常とはいえ、次節への気持ちの切り替えに、少し時間のかかりそうな敗戦でした。