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【J2第8節】(西京極)
京都 1-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[京]内田恭兵(64分)
[熊]清武功暉(68分)
<警告>
[京]石櫃洋祐(45分+1)、アンドレイ(74分)
[熊]上原拓郎(78分)
観衆:2,884人
主審:野田祐樹


「コンディション面であまり回復が間に合ってないような感じだったので、アンデルソンと巻をスタートでいって、少し前線も疲れてきた部分があったので、そこのタイミングで清武を入れて、そのワンチャンスが絶対来るなというのはあって、冷静に決めてくれたので良かったです」。

清川監督はベンチスタートから途中投入、そして期待どおりの働きをした清武について、試合後そう語りました。(公式

5連戦の2戦目は、震災後にスキップした5試合のうち4月16日のいわゆる本震翌日に行われる予定だった京都戦でした。ゴール裏に掲げられた「お待たせ」の横断幕は、京都サポーターに向けられたものでしょう。そうか、あれからもう2カ月半の時が過ぎ去ったのか。と、ちょっと感傷的になってしまいます。

ちなみに延期なっていたその他の試合の日程もおさらいしておきましょう。
4月23日第9節横浜FC戦→9月7日(水)H
4月29日第10節山形戦→7月6日(水)A
5月3日第11節愛媛戦→8月31日(水)H
5月7日第12節札幌戦→8月25日(木)A
いずれにしてもミッドウィークに入ってこざるを得ず、連戦は避けられません。

さて、過密日程とあって熊本は、前節から先発を5人も入れ替えてきました。DFに鈴木、黒木、中盤に上原、中山、前線2トップの一角には巻。そして布陣は3-5-2。テヨンを一列下げて、鈴木と園田との3バック。中盤の底には上原を置いて、最終ラインのスペースを消す。

しかしこの狭いところにも右SBの石櫃からエスクデロ目がけて長いボールが撃ち込まれてきて何度かヒヤリとする。渡ったら一気にピンチになるのが分かっている。

ヴェルディ、松本と連敗を喫していて、ここで3連敗するとPO圏内が危うくなる6位の京都も、この試合負けられない。

20160629京都

12分、京都の左CKはショートコーナー。クリアを拾った山瀬が45度の角度からシュート。これは佐藤がセーブ。逆に13分には熊本。藏川が右から上がってアンデルソンに預けると、ワンツーに見せかけボールはPA前の嶋田へ。そのまま思い切って嶋田がミドルで撃つが、GK菅野がクリアする。

スカパーの中継で示された意外?なデータは、熊本のワンタッチパス率が51%でリーグ1位であり、対する京都のそれは39%で22位(最下位)だということ。なるほど熊本はワンタッチパスで崩していくが、京都はボールが“持てる”ということだろう。そうこうしているうちに京都、右サイド奥からマイナスに送ると、上がってきた石櫃のダイレクトシュートは枠の左にそれて胸を撫で下ろします。

スコアレスで折り返した後半。「このまま前半のような入りでしっかり入ること」と指揮官が選手を送り出すと、アンデルソンが縦に入れたところに中山。しかしDFがクリア。熊本の攻撃の意識は揺るがない。

しかし京都も右サイドから崩すと、堀米がカットインしてシュート。ヒヤリとさせる。讃岐と対戦したときの仲間もそうでしたが、堀米も味方にすると頼もしいが、敵に回すと実に怖い存在。特に3年前より“線”が太くなったような印象を受ける。

拮抗した内容のなかで、試合を動かしたのは途中出場の選手たちでした。64分、京都の左CKを佐藤がパンチングで防ぐと、代わって入ったばかりの内田が拾ってミドルを打つ。アウトにかかった軌道はゴールの右上隅に突き刺さり先制点とします。自身J初ゴール。しかしここ最近、敵も味方も、なんでこんなにミドルの”ゴラッソ”が決まるのか。これは佐藤も止められない。

すかさず熊本は中山に代えて岡本。左サイドで得たFKのチャンスに、今度はアンデルソンを下げて清武を入れるとFKを蹴らせる。そのクリアのスローインからの流れで、68分、清武が巻に預けてワンツーで返してもらうと、ダイレクトで右足を振った。「狙っていた。上に浮かないことだけを考えて思い切り振り抜いた。ピッチが濡れててうまく転がってくれた」(スポニチアネックス)と言うシュートは、ニアの狭いところを抜いて同点弾となります。清武が入ってわずか1分あまりの出来事でした。

「勝負を決められる清武がサブにいるので怖い」と言っていたのは、後半開始時のスカパーの解説者・森岡氏でしたが、その言葉どおりになりました。森岡氏が言うように、今の熊本は“清武のチーム”かも知れない。

試合はその後も互いに譲らず、結局1対1のドローで勝ち点1を分け合いましたが、京都は6位からひとつ順位を上げ、熊本も11位から10位に上がりました。

スカパーを始めテレビ各局は、J2順位を左右二つに折って画面に収めることが多いのですが、それにしてもこの左側に居ることの素晴らしさ。しかもわれわれは消化試合数が他より4つも少ないし…。

さて、前節の岐阜戦から帰らずに、そのまま京都入りしたわがチーム。次節はいよいよ文字通り「うまスタ」に帰還します。関係各位の努力と支援があってようやく“本当の”ホームスタジアムでの戦いが実現します。5戦負けなしで帰ってきたチーム。迎えるは現在2位のC大阪。相手にとって不足なし。メインスタンドだけ開放。バックスタンド、ゴール裏は無人というという変則的なスタイル。収容人数は1万足らず(ちなみに昨年のホームセレッソ戦は入場者13000人でした)で、どんな状態になるのかちょっと心配ですが…。まあ、しかし、震災後は再びチームの雄姿を見ることができるんだろうかと、本当にこの日がくるんだろうかと思っていたわけで…。

さあ、いま一度の嬉しい、嬉しいホーム再開幕戦です。清武が言っていたというように、「真っ赤に染まるメインスタンド全員でカモン!ロッソ」といきましょう!

【J2第32節】(うまスタ)
熊本 0-0(前半0-0)京都
<警告>
[熊]中山雄登(16分)、高柳一誠(76分)
[京]有田光希(89分)
観衆:7,051人
主審:上村篤史
副審:関谷宣貴、津野洋平


シルバーウィークの3連戦の初戦はまさかの19位に沈む京都。しかし小野監督は「京都の今の順位は力を反映していない」(スカパー!)と警戒を怠らない。

この試合の見所はなんと言っても大黒。昨年このうまスタでハットトリックを喫したエースをどう抑えるか。それともうひとつ。熊本にとってかなり切実な問題。累積警告で出場停止のハンジンに代わってCBを務めるのは誰かということでした。そして、小野監督が出した答えは園田。実に13試合ぶりにCBの一角に入りました。その代わりのボランチは、天皇杯で実戦を積んだ上村を入れてきた。「試合に出る11人だけを強化してきたわけではない」。それが指揮官の言葉でした。

20150920京都

ここ数試合は途中出場ながら、しっかり得点している大黒でしたが、この試合は有田のコンディションもあったのか、先発で入ってきた。相変わらず神出鬼没な位置取りと、厳しいマークを厭わないワンタッチプレーで、最終ラインを脅かします。

これに対して「しっかりリーダーシップをとってチームを鼓舞したり、ラインを上げ下げすることを意識しました」(九州J-PARK)と言う主将・園田と、鈴木の両CBが大黒の動きを常に意識のなかに置き、また周りはボールの出所を抑えて仕事をさせない。対大黒に対しては、90分間押さえ込めたと言っても過言ではないでしょう。われわれでさえ、試合途中で今日の大黒はもう交代したほうがいいのでは?と思ったくらいです。

但し、その代わりに2列目の伊藤や駒井を起点にされました。が、それもコースを消した最終ラインの働き、最後はダニエルの好セーブで凌いでいる。前節、大分に押し込まれて耐え続けた”自信”が活きているような。試合ぶりに落ち着きさえ感じました。

ポゼッションは五分と五分。互いに拮抗した前半。シュートまで持って行く展開力でやや京都が押しているような…。しかし、後半は一転してオープンというか、縦に早い、カウンターの打ち合いのような様相に。

嶋田がグラウンダーで左からクロス。中で齊藤ダイレクトで角度を変えますが、惜しくも枠の右外。スローインから上村が落として清武。これはDFにクリアさせる。対する京都は、右からのアーリークロス。宮吉に繋がりPAに侵入するもダニエルがブロック。

それでも少しずつですが、熊本のペースに傾いてきているような。前節・大分戦のイメージが重なる。“いけるぞ!”のムードが溢れるスタジアム。それにプラスするようにベンチが動き出す。中山に代えて藏川を投入。しかし、そうはさせじと京都は宮吉を諦め有田を入れてきた。息を吹き返す京都。どうしても勝ち点3が欲しい。

養父に代えて岡本。駒井に代えて佐々木。これはまた同じようなコンセプトの交代。

熊本、最後のカードは清武から巻。京都は197センチの長身フェホを投入。これはもう互いにがっぷり四つ。「どっちに転んでもおかしくないゲームだった」と、試合後敵将・石丸監督が言ったように、アディッショナルタイム4分の間にも京都・原川のPアーク付近からの強烈なシュートをダニエルが片手一本で防ぎ、今度はダニエルからのロングフィードに嶋田が走ってドリブル、ラストパスを中に送るも惜しくも合わず。

互いにチャンスありピンチが交互に訪れる息もつかせぬ展開。最終的に引き分けに終わったのは、実に”妥当”な結果だったと言えるでしょう。

これで通算成績は1勝2分7敗。まだまだ、分が悪いのは変わりありませんが、この試合の内容と結果が、京都に対する苦手意識を少しは払拭できた、そんな一戦ではなかったかなと思いました。

【J2第16節】(西京極)
京都 2-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[京]駒井善成(53分)、菅沼駿哉(65分)
[熊]クォン・ハンジン(90分+5)
<警告>
[京]石櫃洋祐(45分)、バヤリッツァ(90分+3)
観衆:7,827人
主審:塚田健太
副審:今岡洋二、熊谷幸剛


一言で言えば“メンタルゲーム”ではなかったでしょうか。前半と後半でガラッと変わった展開の奥底に、そんな要因が見え隠れしているような気がします。

17位の京都。何故こんな順位に甘んじているのかわかりませんが、失点数が23というのは熊本と同じくリーグ19位。そのうちセットプレーからの失点が11と多いのも、なんだか熊本の状況と似ているようです。

前節、タレント揃いのC大阪の攻撃をしのいで零封した熊本の組織的守備。「これをベースに」と畑が言うように、試合開始からアグレッシブに入った熊本でした。

20150531京都

右サイドを齊藤がえぐってのクロスは、ニアに走りこんだ平繁の前でDFがクリア。右CKはショートコーナー。クリアを齊藤がシュート性のクロス。GKのパンチングが後ろにそれてポストに当たってあわやオウンゴール。惜しい…。

しかし、この立ち上がりのイケイケの時間帯に先制弾を押し込めるかどうか。その後のゲーム展開はそこにかかっているのですが。これが今の熊本の実力なのかも知れません。

中山、嶋田のサイドの守備が効いていて、奪って前に出すところまではうまく行っているのですが、ゴール前は平繁と齊藤に任せっきりで、人数が足りない。前節の反省で、「もっとゴール前に顔をだす回数を増やしたい」と言っていた高柳でしたが、やはり黒木とともに、重心は後ろにある。

それは、”先に失点をしたくない”というメンタルの表れ。同じことは京都にも言え、両者の今の順位からすれば、しかたないとも言える慎重な戦い方。互いにリスクを犯さない前半。そんななかでも、チャンスの多かった熊本の方が、この時間帯で点を決めておくべきでした。

後半、熊本は前半の調子のままで”行ける”という展望だったのかも知れません。しかし、京都は、開始からリスクを犯して押し込むことを選択しました。ギアを一段上げるように、球離れを早く、パススピードを速くしてきた。

熊本の守備が剥がされて、後手に回る。ジリジリとDFが押し下げられていく。

53分、京都・奥川が左から養父を抜いていく。グラウンダーのクロス。ダニエルロビーニョのシュートは、一旦GK畑がパンチングで凌いだものの、右から駒井に押し込まれます。この時間帯で取るんだという京都の集中力。

その後も、前半あれほど取れていたセカンドボールが、ことごとく京都に収まる。こんなにも足が止まるものか。先制されたあとに、盛り返していけるか、押し返していけるかどうかが熊本の課題。まさしくメンタルの課題でしたが、いかんせん勢いが出せない。

65分には、CKからのダニエルロビーニョのヘディング。これもゴールマウスに入った熊本の選手が一度はブロックしたものの、詰めていた菅沼に押し込まれます。なんだか、意気消沈したままで、あっさりと追加点を許した感じがしてしまう。

中山に代えて巻。嶋田には岡本。しかし、京都はダニエルロビーニョを下げて山瀬を入れると、ポゼッションよろしく、熊本を更に走らせる。いいようにやられてしまう。交わされて追いかける熊本選手が下を向くキツさ。

もはや体力とともに、判断力も鈍ってきたのか。久しぶりに熊本がうまくインターセプトして、平繁が左から上がってくるビョンヨンを待ってパスしますが、ダイレクトで放ったアーリークロスは大きくエンドラインを越えて行く。まだまだ前に大きなスペースが広がっていたにも関わらず。拙攻。

アディッショナルタイムに与えられた4分の時間も費やしたラストプレー。齊藤がCKを取る。右からの養父のCKをファーのハンジンがクリーンにヘッドと捕らえてゴールに突き刺す。ようやく一矢報いるも、それが精一杯でした。

冒頭に書いたように、”チーム”のメンタルが伝わってくるようなゲームでしたね。先に失点したくないというメンタル。ところが失点してしまうと、自信を失い、それを回復できないメンタル。あれほどうまく行っていても、一気にミスを連発してしまうメンタル。思いやりのないパスを送り、アバウトなクリアに終始し、消極的なプレーをしてしまう。

うーむ。どう打開すればいいのか。京都の出来が特別によかったとも思えなかっただけに、ちょっと嫌な内容の敗戦になりました。

大分が北九州に負けたことで、最下位転落は免れました。

10月11日(土) 2014 J2リーグ戦 第36節
京都 0 - 0 熊本 (16:04/西京極/5,906人)


いかに大黒を封じるか…。

ひとりの選手の名前を挙げてゲームプランを語るべきではないかもしれませんが。全体の戦術面も含めて、ある意味この試合、熊本にとってはその点がかなりのウェイトを占めていたと思います。

今シーズン、6月のホームでの前半戦。澤田のゴールで先制したものの、大黒からなんと3ゴールを奪われ1-4の逆転負けを喫してしまいました。分かっていても、警戒していても、一瞬の隙をつかれてやられてしまった。異次元ともいえるその存在感。リーグ得点ランキング1位をひた走る男。

とにかく、少なくともわれわれはには、大黒への警戒感、緊張感で張りつめたディフェンスから入った。そんな感じのゲームでした。

20141011京都

そして、熊本のそれ(ディフェンス)は単純に厳しいマークということではなく、強気でプレッシャーをかけ続けるとうもの。いわば”超攻撃的”なディフェンスというのが、今日の試合の一番の見どころでした。

「少しでもこちらが弱気になってラインを下げると、中盤にプレッシャーがかからなくなる。そうなると、(京都の)決定力というのが表に出てくるので、なんとか強気でプレッシャーをかけ続けられる様に、そしてそういう形から攻撃のチャンスを見出そうと思ってやりました」と、試合後の小野監督は明かす。ここで言う(表に出てくる)「決定力」というのが大黒を指していることは明白でした。

その前半は前節、東京V戦と同じような、お互いに消しあうような中盤での激しい潰し合い。小野監督の狙い通り、高いDFラインによるコンパクトな陣形で思いっきりのプレッシャーをかけ続ける。セカンドも拾えて、逆に京都には拾われず。しかし、なかなかシュートまでたどりつかない。トップの齊藤に対して縦のパスが入らないことを気にするスカパー解説者の長谷川氏の言葉。

京都はと言えば、「縦に急ぎ過ぎる」と長谷川氏。確かに中盤省略のロングフィードが多い。これに対する熊本、数的なバランスは崩れておらず、あまり脅威は感じない。

結果、前半のシュート数は熊本2、京都3。最近、よく見る数字。どうも、激しく行く熊本の戦術に対して、相手チームもガツガツに来る。そんなせめぎ合いでお互いに譲らないゲーム前半の戦いは、必然的にこうなってしまう。そんな気がしています。

スコアレスのままハーフタイム。確かにあまりシュートを打てなかった熊本ですが、ゲームの感触としては決して悪くない。ポゼッションやシュート数だけではゲームは語れない。どちらかと言えば熊本のゲームプランに近い形ではないか。

「ベンチには闘える選手がいる。寝ている選手がいたらサッカーにならないぞ!」「このユニフォームのために全力で闘うこと!」(川勝良一監督)
「前半よく闘っている。集中している。後半ももっと強気でいこう!」(小野剛監督)

両監督のハーフタイムコメントに、数字には表れないピッチの上のゲームの“形勢”が実によく出ているように思います。

そして、このハーフタイムで熊本は片山→蔵川の交代カードを切ります。守備のバランスのためにほぼ攻め上がりを自重していた片山でしたが、この交代は何だろう?と思いました。

「ウチのディフェンスがあまり機能しないと、そこ(=サイドバックのところで)のヘディングでの競り合いは出てこない。でも、はまってきた時に、そこがどうしても一つの逃げどころになって、そこでのヘディングの競り合いに勝てていなかった」と、小野監督はサイドバック交代の理由を語ります。要はドウグラス。唯一の不安材料は、そこでの高さの差。今日、初めて右サイドバックで先発のキム・ビョンヨンを左に、右に蔵川を入れ、ドウグラス選手の頭にキム・ビョンヨンの高さをぶつけます。

ゲームとは直接の関係はないんですが、密かな楽しみ、というのか、小野監督の選手起用には、必ずどこかに1枚ないし2枚、積極的な仕掛けというのか、選手の可能性やチームの引き出しを増やしていくような起用が散りばめられているような気がします。

キム・ビョンヨンを先発で右サイドバックに起用した意図を問われて「…非常に高い能力、これからの可能性を持った選手…。」「ひょっとしてサイドバックでも行けるかなと」「彼がそこまでポジションの幅を広げてくれれば、チームとしてもレベルアップになるなと」。リーグ終盤の連戦のなかにあって、このチャレンジは大きな収穫でした。

後半も20分を過ぎると、これだけの運動量のゲーム、さすがに熊本の反応が少しづつ遅れ始めます。もちろん、よく見れば京都の選手も明らかに息が上がってきている。

67分、GKからのフィード一本で熊本DFが交わされMF・駒井にわたる。大黒への折り返しはわずかにタッチミスで枠を逸れる。

77分、FKからのこぼれをエリア内で拾った大黒、振り向きざまのシュートは、畑が右足でかろうじて跳ね返す。よし!

ゲームは完全にオープンな展開に。押し込まれる熊本。厳しい時間帯が続きます。
後半38分。養父→巻。
後半43分。 キム・ビョンヨン→五領。

流れを変えようと必死にカードを切る熊本。徐々に押し返す場面が見え始める。攻守が目まぐるしく入れ替わる。

アディショナルタイムもほぼ3分。熊本のラストプレー。FKを左サイドで受けた五領が、持ち味を生かして中に切れ込むドリブル、低く上げたクロスを巻が後ろにスラすと、待ち構えていたのは園田。左足で引っ掛けるように抑え込んだシュートでしたが、惜しくもクロスバーの上。

結局、どちらのゴールネットも揺らすことなく、ゲームセットの笛が鳴りました。

コンパクトで高いDFの裏のスペースを引き受けてカバーしたGK・畑。時に思い切りよく飛び出し、確実にボールを処理しました。

そして橋本。うまく、強くなった。大黒という”個”に対して、戦術的なシステムで向かった熊本でしたが、これを封じ切ることについては、橋本という”個”の果たした役割は小さくないと思いました。前回の京都との対戦時のエントリーで書いた「敗戦で学ぶことの大きさ」を体現して、成長著しい感じがします。特に熊本で任されているCBというポジションが、彼を大きく育てているのは間違いない。

3試合連続での無得点ではありましたが…。

「能力的には京都さんの方が上かもしれないけど、そういうところ(セカンドボールだったり、球際だったり、攻守の切り替えだったり)で差をなくしたり、ウチらしい形がたくさん出た試合だったんじゃないかと思います」(巻誠一郎)

分が悪かった対戦成績で苦手意識が先に立つ京都戦でしたが、そんなネガティブな思いもようやく乗り越えられそうな…。そんな意味を持つ重要な引き分けのように感じました。


6月21日(土) 2014 J2リーグ戦 第19節
熊本 1 - 4 京都 (19:03/うまスタ/7,031人)
得点者:20' 澤田崇(熊本)、45' 大黒将志(京都)、55' 大黒将志(京都)、65' 大黒将志(京都)、78' 伊藤優汰(京都)


京都。その苦手意識ゆえに、リーグ戦では残念ながらまだ勝ったことがない相手。と思い込んでいましたが、実は2011年の初対戦のときに、勝っていたんですね。しかし、その喜びの記憶も薄らいでしまうように、その後は5試合勝てていない。選手、監督は入れ替わるので、苦手意識があるとすれば、それはほとんどわれわれファンのことかもしれません。

その京都、成績低迷により監督が代わって最初のゲーム。もともとの戦力を考えれば、多分、先週までとは別のチームになっていることが十分に考えられる。人が変わることで整理できることもあるだろうし、少なくともモチベーションは半端なく高いだろう。うーん。これもまた巡り合わせか…。

20140621京都

“大量”4失点。しかも久々のホームうまスタ。雨脚の強い中、7000人が駆け付けたスタジアム。このところ1点勝負のドローゲームが続いていただけに、その結果にはわれわれも少なからずショックを受けました。どんよりした梅雨空と金曜日のW杯代表戦と相次ぐストレスの溜まる結果に、せっかくの週末も穏やかな気持ちで過ごすことはできませんでした。

しかし、気を取り直してよくよく振り返ってみれば、サッカーのラッキーとアンラッキーがかなり偏って出てきてしまったようなゲームで、まあ、今日はわれわれの日ではなかったなあと。たまにはそんな持っていきどころがあってもいいのかもしれません。

こんな観戦記を書いていると、ときに後講釈の身勝手さで、すべての結果には原因があるみたいな言い方で、いかにも必然的なシナリオっぽく都合のいい結果論を語ってしまいがちです。しかし、ギリギリの勝負をしているなかでは、跳ね返ったボール、ルーズボールがどこに収まるのか、選手が雨のピッチのどこで足を取られるかとか、それはもうだれも推し量ることはできないもので…。1点の重みが極端に大きいサッカーというスポーツでは、それがどのタイミングで現れるかで、そのゲーム自体が決まってしまうことがあり得ることは、多分、誰もが否定できないことでしょう。

まあ今日は、小野監督のコメントを待つまでもなく「決して選手が下を向く必要はない」と整理して、われわれも次に目を向けることにしたいと思います。

「右サイドの裏に入れられて、そこからのドリブルからクロスを入れられてしまった。同じことを繰り返さないようにしたい」(園田拓也)

「(失点した後は)なかなかボールに行けずに、クロスに対しても寄せられずに、中盤でもフリーでもたれることが増えて、ラインを上げられずに押し込まれてしまった」(篠原弘次郎)

「スペースを使うのが上手くて、背後を意識したらボランチの所で上手く時間を使ってきたり、こっちの動きを見て対応するのは上手いなと感じました」(橋本拳人)

ただ、選手たちのコメントでは、もちろんアンラッキーなどということは一言もなく、むしろ最近のゲームにはないような、いろんな角度からの具体的な振り返りがなされていて、どうも「下を向く」云々とかいう話しではないような雰囲気。

「ボールに行けないのであれば皆でブロックを敷くというのも、今日の試合では大事だったかなとも思いますけど、ボールに行くことで自分たちにはチャンスが生まれるというのもあるので、そこの意思統一が、今日はちょっとうまくいかなかった」という橋本のコメントは、おそらく4失点目を指しているのでしょうか。

決して選手たちは下を向いてはいなくて、むしろ今日のゲームを“きっぱりとした敗戦”として真っ直ぐに見ているように感じます。自分たちの失敗、相手の上手さを率直に受け止めている。

“実際に選手が何かを学ぶなら、勝ったときより負けたとき、敗北から学ぶことが本当に大きい。”何度も引用しているオシム語録ですが、しばらく引き分けが続いたなかで、今日の敗戦はまた自らを整理し直すチャンスなのかもしれません。

ところで、われわれの勤務先でも、会社としての増資とは別に、社員有志という形で社内募金を立ち上げることになりました。チーム存続の危機、それもタイムリミットは8月。お金も足りないが時間もない。崖っぷちの厳しい状況は何も変わっていません。こんな観戦記を書いてるヒマがあったら…ですね。何とか百万円単位まで持っていければと思っていますが。