7月30日(日)
【J2第25節】(えがおS)
熊本 0-1(前半0-1)名古屋
<得点者>
[名]青木亮太(45分)
<警告>
[熊]グスタボ(54分)、小谷祐喜(69分)
[名]小林裕紀(29分)、ワシントン(46分)
観衆:6,296人
主審:松尾一


うーむ。この試合をどう評価すべきか。非常に悩むところです。

前回対戦の5-1での敗戦よりは点差は縮まった。名古屋に終始ボールを保持されながらも、1失点に抑え、あわや同点という惜しい場面もあった。失点も名古屋・青木の個人技のようでもあり、その他のシーンではよく守り通した。そういう意味では、彼我の力の差は縮まったようにも思えるのですが、いやいや点差以上の“差”を感じる試合でもありました。

熊本はこの試合、安と中山をベンチからも外し、古巣との対戦となったグスタボをワントップに入れ、嶋田を先発起用。これも名古屋でプロ生活をスタートさせた片山は、「お金を出してでも出たかった(笑)」(ELGOLAZO web版 BLOGOLA)と言いましたが、累積警告で光永の出番となりました。

前節、京都に敗れた名古屋は、現在9位。ただ、この試合で新加入のガブリエル・シャビエルが早速得点していて要注意。

20170730名古屋

小柄ながら、長身シモビッチと2トップを組む佐藤と同じように神出鬼没。前線に顔を出したり、あるいはパスを貰いに落ちたり、自由に動き回る。

15分頃、シモビッチからの縦パスに抜け出すと、シャビエルがマイナスパス。田口のシュートは右に反れますが、危ない。

37分頃には、シャビエルが左に送ると青木がそれをダイレクトでクロス。ゴール前でどんぴしゃヘッドの佐藤でしたが、これはGK畑がナイスセーブで防ぎます。

一方の熊本は、グスタボが空回りといった様相で、前線にボールが入ってもなかなかDFと入れ替われない。組織的な守備もはまらず、名古屋の早いパス回しに奪いどころが見つからずに押し込まれてしまいます。

それでもなんとか無失点に抑えていた前半も終了間際。このまま折り返したいと思っていたのが気の緩みだったのでしょうか。左サイド、パスを貰った青木がスペースをかいくぐるようにドリブルで切り込み、右足を一閃。ゴール左隅に突き刺し、先制とします。

後半は、敵将・風間監督が、試合後に「後半の入り方、試合の終わらせ方はまだまだ勉強が必要」と言うような展開になります。

56分頃、大きなサイドチェンジのパスを受けた光永が左から素早くクロスを入れる。これは間一髪、グスタボの前に和泉に入られる。続く60分頃は、グスタボの落としに飛び込んだ嶋田が追走するDFと競争。最初に引っ張られていたのは嶋田の方でしたが、主審が嶋田のファールを取り、このジャッジに場内騒然。

69分頃には、光永に代わって入った田中が、八久保からのパスで右から裏を取った。ゴール前のグスタボ目がけたクロスは、しかし「蹴る直前にボールが跳ね」(熊日)て、あらぬ方向へ。これにはおもわずズッコケました(笑)が、いくつかその俊足で名古屋DFを脅かすシーンもありました。

嶋田に代わって入ったのは岡本。やはり広い視野を活かして配球します。

しかし、中は通させない名古屋。ボールを持つと前を向かせないように素早くプレスも掛け続ける基本のところは、暑さで疲れが見えるとはいえども弱めない。

絶対追加点は許さない。絶対同点に追いつく。そういう熊本の強い気持ちも見えましたが、名古屋も最後まで熊本に得点を許さず、逃げ切られてしまいました。

冒頭書いた「点差以上の“差”」と感じたのは、名古屋の選手たちの“止める”“蹴る”、“パスを出したら走る”“ボールを持つ選手にはプレスを掛ける”といった基本中の基本である技術と動作。これは個人能力というよりは、徹底して訓練されているように思えます。

われわれはまだまだパススピードを上げるとトラップが悪くなる。ボールを持っても、攻撃の連動性が途絶えてしまうのも、汗をかくほど“頭”を使って練習してきたかどうかということだと思うのです。
このクラスと対戦すると、そう気づかさせてくれる。もっとうまくなれるし、上に行きたいと思える。やるべきことは多い。敗戦は悔しいけれど、そう思えたのは価値があったゲームだったといえました。

4月1日(土)
【J2第6節】(豊田ス)
名古屋 5-1(前半3-0)熊本
<得点者>
[名]佐藤寿人(9分)、永井龍(16分)、シモビッチ(37分)、フェリペ・ガルシア2(68分、79分)
[熊]齋藤恵太(65分)
<警告>
[名]杉本竜士(54分)、ワシントン(55分)
観衆:11,554人
主審:清水勇人


彼我の力の差は明らかだったとはいえ、ここまで一方的な結果になるとは。これはもうただただ、”流れ”を掴みきれなかった試合運びの拙さが招いたことだったような気がします。

リーグ公式戦として初めての対戦となる名古屋。向かったアウェーは、国内でも屈指のサッカースタジアムといえる豊田スタジアム。赤に黄色が混じる独特の名古屋カラーで埋め尽くされている。しかし、熊本のゴール裏も結構な数の赤い色が染めている。

この日熊本は名古屋対策として上里をアンカーに置き、安をワントップに据えた4-1-4-1の布陣を敷いてきます。開始早々から押し込んだのは熊本の方でした。

20170401名古屋

1分。DFラインからのロングボールを安が落として齋藤がいきなりGK楢崎と1対1。しかしこのシュートはブロックされる。続いても左からのクロスを落として繋いで右から上がってきた黒木がミドルで撃つ。名古屋の立ち上がりを突いて、熊本が攻勢を強めます。

しかし先制点を奪ったのはそんな劣勢の名古屋の方でした。9分、シモビッチがPAに侵入。クロスは佐藤に繋がる前にクリアしますが、左サイドで拾った杉本が再び入れるとゴール前には名古屋の選手が3人。一旦はGK佐藤がブロックしますが、名古屋FW佐藤寿人のオーバーヘッドシュートが決まってしまいます。これで名古屋が勢いづいた。

先制点を与えても、粘り強く追加点を与えないというのが今シーズンの熊本でしたが、16分には中盤のパスをカットされ素早く名古屋が右のスペースに。走り込んだ永井が切り返すとゴールニアサイドの打ち込み2点目を挙げます。

苦しくなりましたが、サッカーでは2-0が一番危険なスコアとも言われる。次の得点がどちらに転ぶかによって展開は変わってくる。

34分頃、DFラインからのロングボールに片山が追いついてクロス。中央に構えた安の前にDFがそらして安の足には合いませんが、右から上がってきたのは齋藤。しかしこれも合わずにバーの上。決めきれない。

そうするとすぐ後。名古屋・内田の左サイドからDFをかいくぐった侵入からの素早いクロス。中央に陣取ったシモビッチが光永の視界から逃げる動き。光永はニアに入ってきた佐藤に気をとられる。フリーになったシモビッチのシュート。一度はGK佐藤がブロックするものの、再び打ち直して押し込んだ。3点目とします。

劣勢の試合展開でしたが、「決めているか決めていないかだけの差だ」とハーフタイムの清川監督はイレブンを鼓舞し、後半前線に巻を投入。システムも4-4-2に戻します。

決してうまくいってはいませんでした。辛抱しながらボールを繋ごうとしている。しかし、名古屋は受け手のところでパスカットを狙っていた。けれど辛抱強く、まだ熊本は試合を諦めていない。

右サイドを走った齋藤。抉ってクロスでCKを獲得。65分、その右CKは上里。一旦はクリアされたボール。ファーで右足振りぬく。それをGK楢崎がパンチングで逃れる。こぼれたところを齋藤が押し込みます。

1対1を決め切れなったり、チャンスをことごとく潰したりしていた齋藤。しかしここで一人でCKを取って、チャンスを決めた。ようやく1点を返した。汚名挽回の得点。

ただ、さぁこれからと思わせた時間帯。すぐ後、片山が後ろから引っ掛けてファール。名古屋の右サイドからのFK。内田のキックは、途中から入っていたフェルペガルシアの頭にドンピシャに合って、ゴールイン。名古屋が追いすがる熊本を突き放す追加点とし、再び3点差に。

熊本はグスタボを入れる。田中を入れる。グスタボの強引な前を向くプレー、あるいは田中の速さを活かしたカウンターで活路を見出そうとしましたが得点までには至らず。名古屋が、熊本のパスの受け手に厳しくチェックに行って奪う姿勢は終始変わらず。あるいは名古屋の素早いパス回しに、終盤全く着いていけないのが熊本でした。
79分にはカウンターから左サイド駆け上がった八反田のクロスに、フェルペガルシアが頭で反らしてゴール右隅に流し込まれて5点目を献上。試合を決めました。

名古屋はこの勝利で5位から2位に浮上。反してわれわれは15位から20位に沈むことになりました。

まぁ、「次、次」と言うしかないのですが。熊日にも書いてあるとおり、この試合シュート数は熊本が20、名古屋が19だったそうで。そんななかでの5-1というスコア。”決めきれずに”流れを掴み切れなったことがこの大敗に繋がったのは明らかでした。

ただ、名古屋のあのパス回しの早さ、バイタルの崩しはお手本にすべきでしょう。名古屋は点差を受けて、この試合で色々な選手を試す余裕がありました。しかし熊本にとっても、齋藤に初得点が生まれたことはもちろん、グスタボや田中をしっかり実戦で使えたことは、ある意味今後の戦いにおける糧になったかも知れません。

勝ち点は得ませんでした。しかし貴重な経験を積み重ねた試合でした。

12月15日(土) 第92回天皇杯 4回戦
名古屋 5 - 2 熊本 (15:04/瑞穂陸/4,125人)
得点者:15' 田中 マルクス闘莉王(名古屋)、23' 齊藤 和樹(熊本)、43' 金崎 夢生(名古屋)、45' 齊藤 和樹(熊本)、65' 小川 佳純(名古屋)、79' 永井 謙佑(名古屋)、85' 玉田 圭司(名古屋)


前週のFC KAGOSHIMA相手の練習試合。ハーフタイムで選手たちにホワイトボードを示しながら高木監督が話し始めた内容は、いきなり「闘莉王は・・・」という名前で始まりました。FWで起用され点取り屋として活躍している闘莉王。かなり警戒していたのは間違いありませんでした。「闘莉王さんは規格外だけど、競り勝てなくても自由にさせないことで、セカンドボールでうまく対応したい。」と話していた廣井(BROGOLAから)。しかし、やはり闘莉王に決められ、闘莉王に守られた試合ではなかったでしょうか。

20121215名古屋戦

初めて天皇杯4回戦に進んだ熊本。われわれはBS観戦。15時から画面が瑞穂陸上競技場に切り替えられると、まず目に飛び込んできたのは、ゴール裏に集結した(名古屋とは違う)赤い色のサポーターの数。驚かされるとともに頼もしくなります。テレビを通してもゴール裏のコールがはっきりと聞き取れるほどに、大きく力強く響いてきます。

高木監督の最後の采配になるかもしれない、そんなことも大いにあったに違いない。

「一発勝負の面白さを感じさせてもらえたことはよかった」。当たり前ですが、個々の力の差は確かにあるものの、高木監督はこの勝負、勝ちにいっていた。それも引いて守って守ってカウンターという格下にありがちな戦術ではなく。もう少し、固めに守っていってもよかったのでは、と思ったほど。それでも120%でないと勝てない相手。それがやはり名古屋でした。

前日の熊日朝刊にはこう書かれていました。「『名古屋のカウンターはめちゃくちゃ鋭い』と高木琢也監督が警戒するように、中途半端な攻撃からボールを奪われるのは避けたい」。しかし攻撃に転じた際、自陣エリアで奪われるミスが続発。危惧していたことが現実になります。それでも名古屋の雑なフィニッシュに、なんとか失点は免れていたのも15分まででした。

藤本の左からのクロスにファーサイドの闘莉王が、片山の頭越しにヘッドで突き刺す。破壊力のある高さでした。

しかし熊本も下を向いたわけではなかった。右サイドを駆け上がった武富がマイナスで入れると、北嶋が作ったスペースに入り込んできたのは齊藤。落ち着いてゴールに流し込み同点。湧き上がるゴール裏。

ところが前半終了間際には、ゴール前で競った闘莉王の落としを金崎が奪うように南と1対1。勝越し点を上げると、返す刀で齊藤がひとりドリブルから仕掛けてゴールに迫る。再び同点に追いついて前半を折り返し。名古屋のサポーターからは猛烈なブーイングが上がったといいます。

前半のこの打ち合いの展開のなかで、なんとか勝機をつないできた熊本。ただ、後半の武富の決定機。多分、あれがこの試合の分岐点だったのでしょう。

ハーフタイムにストイコビッチに喝を入れられただろう名古屋イレブンは、猛烈にバイタルを脅かしてくる。小川の追加点が決まると、指揮官が立ち上がり、ダニルソンと玉田を投入。闘莉王を本来のポジションCBに下げる。結果的にこれで試合が決まってしまった気がしました。ダニルソンと闘莉王で後ろを固めた名古屋は、玉田の前線での躍動もあって、熊本のDFを翻弄。面白いように追加点を上げていきました。まさに闘莉王が攻め、闘莉王に守られた試合。そんな感じさえしました。

後半に関しては走力の問題。完全に息が上がっていました。名古屋のカウンターの速さ、鋭さ。これはつまり速いだけではなくて多彩。

「点の取り合いでは正直では分が悪かったかなと。」と言うのは試合後の高木監督。もっとクローズな戦いで臨んだはずだったのでしょう。そこは思惑が外れた。高木監督も。われわれも。それにしても、もうちょっと我慢できなかったかとみるべきか。トーナメントで上位カテゴリーと戦うなかで、勝ちにいく戦術として。先に点を与えて追いつく展開。そこでオープンなゲームになってしまっては、やはり力の差が歴然。前半の名古屋は完全に前がかりで隙ありという感じだっただけに、先制点の献上がなにより悔やまれます。

ひと月以上試合間隔が空いた熊本と、直前までリーグ戦を戦っていた名古屋。コンディション作りの苦労もあったのかも知れません。ただ、おかげで北嶋が間に合ったのも事実。代わりに藤本がまた故障してしまったのは計算外でしたが・・・。

試合終了のホイッスルはまた、この3年間の高木ロアッソの終わりを告げる笛でもありました。画面に映る指揮官の顔には、リーグ戦での敗戦と違ってどこか晴ればれしたとも取れる笑顔が見えました。

「自分自身にとって貴重な3年間でしたし、3年のスパンとはこういうことなのか、1年目、2年目、3年目とこうなるのか、ということを本当に勉強できました。自分の財産となったことは感謝です」。試合後のコメントも3年間という、ひとつのまとまった期間を戦い終えた潔い退任の弁。

12月のこの時期まで試合ができることの不思議な感覚。結果を残せなかったという意識も強いだろうが、われわれは楽しかったし、高木琢也が監督であることを誇りにさえ思えた。「今日勝っていれば、全国で8チームだけが練習を続けられる、次に4チーム、決勝まで残れば元日までサッカーができる。こういう時期に、日本全国でその8チーム、4チーム、2チームになれる、という喜びを感じられた」。それはわれわれファンも全く同じでした。

高木監督の最後の采配となったこの試合。ピッチ上には来季もこの陣容で戦う選手たち。

報道では次の監督人事も固まりつつあるような。今日の高木監督は、自分が3年間手がけたチームを、次の監督に引き継ぐような、そんなゲームをしたかった、見せたかったのではないか、などと想像しながら見ていました。なんとなくいつもの采配とは違うような。

もちろんそれはトーナメントの一発勝負だし当然かもしれないが。勝ちたい気持ちも当然だけれど、チームの今、到達点を見せたい、あるいは、次のステップにレベルアップしていく予感みたいな、そんな戦いを見せたい。なんとなくですが、そんな思いが伝わってくるような戦いぶり。

次の監督に託すような。こんなチームなんだ。次はこうしたかったんだ。と言っているような。試合後の笑顔にも、そんな思いが込められているように感じたのは、いつものわれわれの思いすごしなのかも知れませんが。

とうとうお別れの試合となってしまった名古屋戦。名残惜しさを振り切って、再び高木琢也氏への感謝の言葉で締めくくりたいと思います。ありがとうございました。