2013.11.04 G大阪に完敗
11月3日(日) 2013 J2リーグ戦 第39節
G大阪 4 - 0 熊本 (13:05/万博/11,402人)
得点者:8' 遠藤保仁(G大阪)、11' 丹羽大輝(G大阪)、41' 宇佐美貴史(G大阪)、86' 佐藤晃大(G大阪)

何かこう、例えて言えば代表チームの壮行試合のような。決して代表選手にケガをさせてはいけない。行くのは行くが、激しくはいかない、といったような・・・。そして、結果はまさにこの日の夜に行われた神戸対京都の試合結果で、J1復帰を決めたガンバ大阪の、文字通り壮行試合になってしまったと言えるでしょう。

翌日の熊日は「弱気ロアッソ」「強豪ガンバに気後れプレー」と散々な見出し。南のブログでも「完全にガンバという名前に対してビビっている選手が何人かいた」と手厳しい。

闘う以前の、ゲームに入る部分でサッカーになっていなかったのか。それとも、いざゲームが始まってみて、手合わせをした瞬間に「萎えて」しまったのか。テレビの画面越しで見ていたわれわれは、どちらかというと後者のような印象を持っています。

確かに、第一クール、ホームでの大阪戦では、前半2点のビハインドを背負いながら、後半追いついての引き分けに「勝ちきれなかった」と選手たちは口々に悔しがりました。しかし、今日の大阪は、このときの大阪とは別物だった。別物に変わっていた、いや、別物に成長していたと言うべきでしょうか。

20131103G大阪

前線には前節4得点の宇佐美。さらに前回対戦では代表招集で不在だった遠藤がFW登録で、ほぼトップ下に。同じく今野は一枚あがってボランチに。倉田はMF位置する布陣。実に攻撃的なシステム。しかし、守備をしない選手は使わないという長谷川監督の方針が徹底して、とにかく厳しく寄せてくる。サイドに追い込まれて3人、4人で囲まれ奪われる熊本。

まるで、14人くらいでやっているように錯覚してしまうガンバ大阪。多分、これだけのパフォーマンスはそうそう見られるものではないのではないかと思うぐらい。

先制のされかたが無残でした。宇佐美の身体の強さにサイドで粘られ、二川にダイレクトでクロスを入れられると、中盤の底まで下がっていたはずの遠藤にスルスルっとエリア内の侵入を許していた。全くノーマーク。そして、立て直す間もなく、たて続けにCKから押し込まれ追加点。

スコアレスの時間をできるだけ長く保って相手を焦らせ、結果的にワンチャンスをものにしようという、格上を相手にした戦略からすれば、早々の2点のビハインドは重い。それは前回対戦と同じとはいえ、今日の大阪の”まとまり”は、熊本の選手を完全に凌駕していました。

前線からの守備がはまらないために、ボランチのところでも止められず、ダイレクトのパス回しで次々に飛び出してくるガンバの選手たちを、4バックでスペースを消していてもマークしきれない。結果的に南の好セーブだけが目立つ、彼いわく「地獄のような90分間」。サンドバック状態とでも言うような。

個人の技術の差は確かにあるとはいうものの、今日感じたのはやはり”ボールを奪う”ことへの執着心、その組織力の差でした。ガンバ大阪の選手たちは、まるで意地悪っ子が、「これは俺たちのボールだよ」といわんばかりに奪いに来て、それを保持する。一方、熊本は奪えない。高木監督時代から言われてきた、奪ってからのパスが相変わらず繋がらない。

試合後、アウェーの白いユニが汚れていた選手が、果たして何人いたでしょうか。それがこの試合を物語っているようで。

しかしながら、この日の他チームの試合結果で、降格が完全になくなったことはわれわれにとって何よりのニュースでした。シーズン途中での監督交代というかつてない事態から、降格圏での必死の戦いがあってのこの結果。やはり、8月の第29節からの4連敗。いよいよ残りゲーム数と対戦相手も見据えた、なりふり構わぬ戦い。そこに9月8日の天皇杯・徳島戦の勝利。ここから前節・長崎戦までの6試合で実に勝ち点13を積み上げた。

今日の敗戦は厳しくもあり、ショックでもあります。しかし、また大きな課題を与えられたという意味では、降格争いに意識を集中していたわれわれも、もう一度、視野を取り直して、再スタートするきっかけになるゲーム、ということかもしれない。

そういう意味では池谷代行の「今期の結果を受け止め、もっと戦力を整えなくてはいけない。次の試合からはしっかり選手を見定めたい」(熊日)というコメントが、今日のこのゲームの総括であり、下を向いていた目を上げて、また前を向いて行かねばと思わせます。

今度は、プロの常であり、毎年のことではありますが、選手たちの生き残りをかけた厳しい戦いが始まります。

3月20日(水) 2013 J2リーグ戦 第4節
熊本 2 - 2 G大阪 (13:03/うまスタ/11,874人)
得点者:21' レアンドロ(G大阪)、39' 武井択也(G大阪)、58' 矢野大輔(熊本)、63' 仲間隼斗(熊本)


朝からの強い雨にもかかわらず、大きな動員が掛かっていたわけでもないのに、開幕戦を上回る入場者。やはりそれは、いくら遠藤、今野の日本代表組が帯同していないとわかっていても、“あの”ガンバ大阪がやって来るという期待の表れだったのでしょうか。われわれの席の周りにも、青でもなければ赤でもないという姿の入場者が目立ちました。

いや、われわれにしてみても初めて公式戦でガンバ大阪と向き合えるのは、嬉しくもあり怖くもあり。こちらが上がっていったのではく、向こうが落ちてきたからとはいえ。

20130320G大阪

試合開始から押し込む熊本のペース。受けに回るガンバのラインが低い。しばらくは様子見なのか。8分、怪我が癒えてこの日、初先発となったSB藏川のアーリークロスに、ゴール前の仲間。これはガンバDFが対応。ファビオの故障で、前線(トップ下)に起用された仲間が最初から飛ばしている。

緩慢さが漂っていたガンバも、徐々にボールを持ち始めます。21分、バイタルで右に左にボールを回して様子を窺うガンバ。家長からのパスなのかシュートなのか。一度倉田に当たりこぼれるものの、それを倉田が素早く拾って裏へ短く出した。そこにレアンドロ。飛び出した南の頭上を越えるシュートで先制点とします。

「広げられて、中が薄くなった時は狭いエリアでも崩す力がある」。試合後に吉田監督は、この1点目をしてそうガンバを評しましたが、熊本にしても人数は揃っているのに、これがガンバの崩しなのかという印象。スペースのないところでもきちんとフォローするプレーヤーが入ってきて3角形ができて正確なショートパスがどんどんつながるのはさすがというところ。

2失点目はPA内でのクリアミスが相手へのプレゼントパスのようになって。そこを見逃さなかった武井の詰め、きっちりと押し込むところもみごと。崩されたわけでもないのに前半だけで2点差。少ない好機をきっちりものにする。「う~む」これがガンバとの差なのかと思いました。

われわれがスタンドから俯瞰して“感じよう”としていたのは、ピッチ上の選手たちの“気持ち”でした。流れのなかでは互角の展開。しかしこの2点という点差に気落ちしてしまうのかどうか。開幕戦敗戦のあと吉田監督が言っていた「苦しい時に我慢してチャンスの時に出て点を取る」という修正点が、いわば今こそ発揮できるのかどうか。J’s Goalのプレビューで井芹記者も書いていました。「ピッチの中に過剰な敬意はいらない。臆することなく、立ち向かうのみだ」と。

後半開始から北嶋の投入。狙い通り。これが奏功します。調子を上げていた大迫の先発でしたが、今日は藤本、藏川という縦横の両フリーマンの動きに、バランスを保つことが仕事になってしまった。そこに仲間を下げて、北嶋がトップに入る。北嶋がくさび役になって、齊藤がサイドから裏を取る。片山のチェイシングから齊藤がドリブルでえぐってクロス。ニアに北嶋。DFに当たってあわやオウンゴールは、ポストに跳ね返された。しかし明らかにガンバDFはマークを絞れなくなってきている。

反撃の狼煙は、プロ生活をガンバでスタートさせた矢野から。ショートコーナーのボールを右サイドから藏川が入れる。中央での齊藤のヘディングは、GK藤ヶ谷に弾かれるものの、ゴール前、高く上がったボールに飛び込んだ。多分、ボールには触っていない。GKにも不当に接触していない。まさに体ごとなだれ込んだ泥臭い得点。でも、われわれから見れば今節のベストゴール。ガンバにすれば2-0というある意味難しいスコア。あの時間帯で1点返したことが、ガンバをセーフティリードの気持ちから追い落とし、追加点を狙いにこさせた。そこでまた熊本にも好機が訪れる。

63分、スローインから繋いだボールを齊藤が入れる。北嶋の胸トラップの落としをPアーク前で振りぬいた仲間。ボールはDFのかかとに当たってコースを変えゴールマウスに吸い込まれる。逆を取られた藤ヶ谷は一歩も動けず。

スタンドからはシュートコースもわからず。ゴールネットが揺れた瞬間、飛び上がってしまいました。そして回した回した。赤いタオルマフラーを。メインもバックもゴール裏も一緒になって。

その後も熊本は、黒木、北嶋が決定機を作りますが決め切れず。ガンバもカウンターから持ち込んでシュート。これは守護神・南が左足一本で防ぐ。押せ押せの熊本に、虎視眈眈とワンチャンスを狙うガンバ。終了の笛が鳴るまで勝敗の行方がまったくわからない展開に、1万人のファンの血液が沸騰したのは間違いありません。

せっかくの動員試合だったにもかかわらず敗戦の開幕戦。ファンの拡大策としては失敗と言えました。しかし、今日のこの試合はそのマイナスをカバーして余りあったのではないでしょうか。ガンバ見たさに訪れたファンも前半に満足し、そして試合が終わってみれば気付かされたに違いない。自分にも“赤い血”が流れていることを。

しかし、勝ち点3を狙っていた監督は、試合後「不満である」とはっきり言い切りました。「まだホームで1度も勝っていないので、応援に来ていただいている方に勝点3をプレゼントしたい」と。

今日も同点に追いついた後も五領、養父と切るカード切るカード全てが攻撃的。追加点を狙えという指示に見える。常に「ラインを下げるな」と選手たちを鼓舞する。一歩も引かない。ただ考えればこれも、全員守備全員攻撃という戦術が徹底されているからこそ。コンパクトにすることが守りにも奏功するからのことではないでしょうか。徐々に吉田サッカーの色が見えてきたように感じます。

選手たちもインタビューやブログで、「勝てた試合だった」「勝ち切れなかったのがまだ弱さ」と口を揃える。翻ってわれわれはどうか。あのガンバ大阪を相手に引き分けた、と満足しているのではないか。 彼我の戦力差は明らかだけれども、戦力スペックで勝敗が決まるわけではないし、与えられた条件のなかで勝っていかなければ明日はないわけで… 。どうだろうか?われわれは。

ゴール裏にも掲げられている弾幕。「スラムダンク」のあの有名な言葉。「あきらめたらそこで試合終了ですよ」という安西先生の台詞が思い浮かびました。逆に言えば、ここで満足してしまえば、試合終了なのかも知れないと。

さて、一戦一戦課題が修正され、良くなってきていることを実感できるこの開幕からの4戦ですが、勝ち点を上げることができたこの2戦に共通していることは、相手があまりプレスを掛けてくるチームではなかったことです。次節対戦するヴェルディはなかなかそうはいかないかも知れません。まだ開幕から勝利がないというチーム状況も、ある意味不気味。かなり走ってくると思います。3節からの先発ボランチ原田、黒木のコンビが、ヴェルディのプレッシングをどう凌ぐのかがポイントになるかも知れない。しかし、もちろん期待して次節を待ちます。チームの更なる進歩と、勝ち点3を見届けるために。