6月11日(日)
【J2第18節】(トラスタ)
長崎 1-0(前半1-0)熊本
<得点者>
[長]木村裕(36分)
<警告>
[長]高杉亮太(67分)
[熊]齋藤恵太(90分+3)
観衆:4,618人
主審:吉田哲朗


ちょっともう愚痴を言うのも辛くなってきました。長崎に敗れて3連敗。順位こそ19位のままですが、20位讃岐、21位群馬との勝ち点差は2まで縮まり、1ゲームでひっくり返される状況になってしまいました。

という書き出しで、長崎戦についてのエントリーをほぼ書き上げたところで、清川監督の交代(熊日によれば「事実上の解任」)発表があり、急ぎ大幅に書き直しています。

予感はあったものの、とにかく残念、と言わざるを得ません。何故なら清川監督は、長く熊本のヘッドコーチを務めただけでなく、昨年の監督就任からはスタートダッシュに成功してクラブ初の首位奪取。けれど襲った、あの思いもかけない大震災のシーズンを、文字通り死にもの狂いで戦い抜いて、結果的にリーグ残留を勝ち取ったいわば“功労者”。今年こそ、とわれわれも思っていたので、こんな別れ方(コメントには「クラブを去ることになりました」とある)になるとは…。

しかしこれもまたプロフェッショナルの世界に身を置く者の、“結果を問われる”という仕事上、仕方がないことかも知れない。そんな立場にあったということですね。

「監督としては優し過ぎた」という意見もよく耳にします。しかし、あの震災後の危機的状況のなかで、ソーメンも喉に通らなかったという清川監督の、真摯な人柄があったからこその求心力だったのではないかと想像します。

そして、清川監督が指揮をとる最後の試合(熊日によれば前日に交代が決まっていたと)になったのが、0-1を美学とする高木監督率いる長崎戦での敗戦というのも、なんとも皮肉な巡りあわせのようにも感じてしまいます。

後任には池谷氏が社長を退任したうえで就任。「また」という表現は失礼ですが、2度目となるリリーフ登板。しかし、前回2013年時と違うのは、当時の肩書が暫定的な監督代行であったのに対し、今回は「監督」であるということです。当時社長との兼務がリーグから問題になったので、今回は監督に専任するということなのでしょうか。それについて新たに社長兼務となった永田会長は、「あの時と、私どもが考えている状況は全く違うという風に考えております。あの時は監督代行という形でやってもらいましたけれども、今回は監督に専任ということになります。ですから期間もいつまでと決めておりません」(熊本蹴球通信)ときっぱりと言う。さらに大事なことは、「今季どうしても、この熊本にロアッソ熊本を残すために、我々は決断しなくてはいけなかった」という言葉。

震災のあとはっきりしたことは、このクラブは、このチームは、熊本にとって絶対必要だということ。だからこそ今シーズンのクラブテーマは「光となれ」。

決して降格させてはならない。ましてや消滅させることなどあってはならない。そんな人一倍の思いをもって、「また」池谷さんが立ち上がったということ。池谷さんが言う。「私に何があるのかということになると、分かりません。でも1つ言えるのは、このクラブに対する情熱です。これは誰にも負けない。この覚悟を持って、今回、やらせていただこうと思います」(熊本蹴球通信)。

全く縁のない熊本という土地にやってきたときからのこの人の情熱。熊本はまた、この人の熱量にゆだねる。

その思いを共有して、われわれもあの原点に返って。より以上の後押しをしていくしかないでしょう。まだ何もなかったあの日に立ち返って。

選手たちに自信を取り戻させ、100%以上の能力を発揮させるためには、今こそファン、サポーターも、池谷新監督と同様の覚悟が必要だという気がします。

20170611長崎

【J2第27節】(うまスタ)
熊本 1-2(前半0-0)長崎
<得点者>
[熊]植田龍仁朗(90分+3)
[長]岸田翔平(62分)、永井龍(90分)
<警告>
[熊]園田拓也(56分)
[長]永井龍(90分+4)
観衆:6,572人
主審:山本雄大


ホームでやってはいけない試合でしたね。結果はともかく、内容、パフォーマンスという全ての意味において残念でした。

うまスタに復帰して3度目のホーム戦。日が沈んだ19時キックオフの試合といえども、日中35度以上を越えた気温を下げきれないスタジアムに風もなく、67%という湿度の数値以上に蒸し暑さを感じさせていました。

熊本の先発には前節出場停止だった清武と上原が戻り、平繁との2トップの一角には前節Jリーグデビューを果たしたばかりの若杉。そして右SHには八久保という若い攻撃陣には、大いに期待しました。

対する長崎は、第2クールに入って4勝1敗。FW永井が13ゴールでリーグ得点トップタイを走る。この戦いの前まで、勝ち点33で10位に位置している。

「前回対戦した長崎とは違うチームと思わなければならない」(スカパー)という清川監督のスカウティングのコメントも、もはや聞き飽きた感のある当然の言葉で、リーグ戦のなかでどのチームも成長し、戦術を深化してさせているのは当たり前。(もちろんわが熊本もそうあらねばならないわけで。)

20160807長崎

前節、大いに嘆いた球際の攻防。この試合、序盤を見るだけでは、厳しさが戻っているように感じたのですが。しかしセカンドボール奪取に優れる長崎に次第に支配される。7分、長崎は中盤から右へ大きくサイドチェンジ。奥から岸田がワンタッチでニアにいた養父に渡すと、養父のグラウンダーシュートは枠の左をかすめる。ファーに詰めていた選手が合わせれば1点のシーン。

続いても長崎。クリアを拾ってDFの高杉がエリア侵入。左からのシュートは右に反れて事なきを得ます。

一方の熊本は、攻撃に転じてもサイドで蓋をされ、中盤で挟み込まれ奪われる。戻りの早い長崎の敷くブロックの前に、後ろでボールを”回させられる”ばかりで、前線に有効なボールが入らない。引き出す動きも、裏を取ろうという動きも少ない。とうとう前半はシュートゼロに終わってしまいました。ワクワクさせたシーンも皆無で、控え室に帰る選手たちにブーイングの声も飛んだのではないでしょうか。

翌日の熊日の報道によれば、清川監督のプランは「前半しのいで後半勝負」だったのだという。ちょっとわれわれは首をかしげました。前節、前々節と、球際の厳しさを嘆いた指揮官。相手を上回るその勢いを持って、試合開始から猛攻するのがわがチームの信条ではなかったか。せめて「前半しのいで」というのは、ボールの保持率ではどうしても劣る、清水や千葉相手のときのプランではなかったか。ちょっと長崎をリスペクトしすぎではないのか。と。

そんなゲームプランが、前半の”攻勢への消極性”に、もしも繋がっているのであれば、それは、”熊本らしさ”ではなく…。

一番の違いは中盤でしたね。もちろん互いにシステムは違うものの。長崎の3バックは、その前のアンカーの田中に変に負担をかけることなく。その前の梶川と養父の運動量で、熊本の攻撃の芽を潰す。高木監督時代や、小野監督時代にアグレッシブさを培われた養父の”泥臭い”までのプレー。そして今、高木監督の信頼を集めているのがよくわかる梶川の”気の利いた”プレーとその運動量。

その長崎の前に、完全に後手に回る熊本。常々思うのですが、小野サッカーから通じる今の清川サッカーも、ボランチの”出来”が勝敗を左右する大きな要因です。(それは3バックのときが一番顕著だと思うのですが)

62分、長崎のスローインからPエリアで落としたボールを拾って撃たれる。GK佐藤がクリアするものの、右から岸田が詰めていてシュート。先制点を奪います。

熊本も、八久保から代えて岡本を投入してからは、惜しい場面を演出しはじめる。しかし、後半アディショナルタイムが告げられるころの90分、長崎・永井がオフサイドをかいくぐり左からエリアイン。45度のシュートがゴール右すみに突き刺さり2点差となりました。

静まり返るスタンド。家路を急ぐ人たちも増える。

そんなアディショナルタイムの残り1分ころでした。岡本の強烈ミドルシュートを敵GKが弾く。詰めた清武。こぼれ球に反応して倒れながらも”足で”押し込んだのは、なんとDFの植田。「このままでは終われない」(熊日)と、このシーン、Pエリアまで上がっていました。

熊本としては”意地の1点”というしかありませんでしたが、とにかく火がつくのが遅すぎました。いつもなら得点の際に飛び上がってタオルマフラーを回すわれわれも、このときは座ったままでした。

「最後に1点を取られたが、ゲームの内容には非常に満足している」(熊日)。策士、長崎の高木監督は、そう試合後コメントしました。熊本のSBの上がりに蓋をして、エース清武は徹底的に潰し、帰陣早くブロックを敷いて隙を与えず、中盤の運動量で上回って奪い、カウンターで仕留める。フィニッシュの精度で、幾度もチャンスを潰したのは予定外でしょうが、戦術ははまり、結果的に先制点、追加点となりました。

熊本はその戦術にハメられましたね。高木サッカーに先制点を与えれば、追加点ならずとも、逃げ切りを図られるのはわかっているはずなのに。なのにどうして、「前半しのいで後半勝負」なのかが、どうしても解せないのです。3年間、ヘッドコーチを務め、高木サッカーの真髄を心得ているはずの清川監督なのに。

ただ、選手たちのパフォーマンスの”見劣り”は、指揮官の戦術うんぬんとは別の要因だったかもしれません。この日の気候に関しては、両者ともの環境条件なので言い訳はできないはずですが。コンディション調整の不良なのでしょうか。あるいは、フレッシュなメンバーの組み合わせによる連携不足が問題でしょうか。

これからまた続く連戦に不安だけが残る試合内容でした。

【J2第5節】(長崎県立)
長崎 0-2(前半0-2)熊本
<得点者>
[熊]清武功暉(9分)、平繁龍一(41分)
<警告>
[長]小野寺達也(40分)
[熊]上原拓郎(85分)
観衆:5,029人
主審:小屋幸栄
副審:亀川哲弘、藤沢達也


「首位奪還」「単独首位」。なんとも聞き慣れない。ちょっとこそばゆい。そんな時期じゃないだろうが、と一応は無関心を装うものの、しかし思わず口元がほころんでしまう。ネット上の順位表を画像保存する人多数(笑)。まだ5節目とはいえ、まさか(というと怒られますが)こんな位置に座る日が来ようとは。単独だけに、眺めの良さは格別です。

まだまだ課題はあるものの、結果は完勝と言っていいでしょう。スカパーのアナウンサーは、過去の対戦成績を取り上げて熊本との相性の悪さを心配していましたが、われわれにとっては、その能力をよく知る高木監督が率いる長崎は、不気味なことこのうえない。そしてわれわれ以上にそれを知っているのは清川監督。「(高木監督は)勝負に熱い人。しっかり分析して綿密に練習して試合に臨むところを見てきた。だからこそ、監督として初めて対戦する試合でなんとか勝てれば、逆に恩返しになるのかなと思います」(熊本蹴球通信)。そう戦前言っていました。

熊本は、「相手の高さもあり」(公式サイト・清川監督)2トップの一角に今季初めて巻を入れてきた。そしてボランチには逆に高さはないものの、「相手の切り替えの早い攻撃に対して、彼の運動量がすごく求めた部分」(同)という理由で、上村が復活。

20160326長崎

18時キックオフの初のナイトゲームは、気温12.8度とやや寒かったでしょう。「全体的に圧をかけてくるだろうと。それを恐がってしまうと思うつぼで相手のペースになるので、それを脅かすような入りができれば」(熊本蹴球通信)と言っていた清川監督の期待に応えて、熊本の入りは悪くない。先制機は早い時間に訪れました。

9分、黒木が左サイドでボールを落とすと、拾った岡本がうまく長崎のディフェンスを交わしながら中にドリブルで絞ってきた。右の上村に預けると長崎のスライドも追いつかない。さらに右サイドを猛ダッシュしてきた藏川へ。藏川にはDFのスライディングが入りますが、それを飛び越えてゴールラインぎりぎりのところで低いクロスを上げた。スペースをうかがっていた清武が、ニアでそれに合わせてゴールにねじ込みます。

この場面、岡本の粘り強いドリブルも良かったし、藏川の頑張りも、合わせた清武もうまかったのですが、スカパーのマッチデーハイライトで下村東美氏が指摘していたように、ゴール前でクリアしてそして左サイドまでダッシュしている黒木のモビリティが凄いと言わざるを得ない。攻撃に転じるときの、全員のイメージの共有とカウンターへの意識が生んだ、チーム全員の得点。何度繰り返して見ても見どころ満載の美しいゴールでした。

先制してからも熊本の攻勢が続く。長崎は浮き足立ったのかパスミスを連発。熊本が高い位置でインターセプトして速攻に持ち込む。長崎のFW永井に時折エリア内に侵入されますが、GK佐藤の飛び出しで難を逃れる。危なかったのは29分、一旦園田がプレスからチェックしたものの、相手に拾われ、空いたスペースを永井に使われ折り返されると小野寺の強烈ミドルシュート。ここはGK佐藤が間一髪、クリアします。

追加点は前半終了間際でした。長崎の安易な横パスを清武がカットすると、巻、再び清武、最後は左の平繁に預けた。対峙したDFに、エリア内縦に勝負を賭けた平繁。思わず平繁を倒してしまう長崎DF。主審は迷わずPマークを指差します。

もちろん蹴るのは平繁。GKにも反応されましたが、それより速く、ボールはゴールネットを揺らします。平繁の今季初ゴールで前半のうちに2点差としました。

「あせらず落ち着いて戦おう」(公式サイト)と、後半選手たちを送り出した敵将・高木監督は、得意の2枚替え。FWロドリゴとDF村上を入れて来ます。1点でも入ると形勢逆転。”2-0は危ないスコア”というのはサッカーファンなら誰でも知るところ。

猛攻を仕掛ける長崎。熊本の選手間のスペースを使い、球際も激しく、ボールを運び、バイタルを襲う。更にMF中村を入れると、中盤もシステムを変えた。早めの3枚目のカードを切って、点を取りにきた。

それに対応して中山を入れる熊本。そして、ピッチサイドの清川監督は、DFラインを下げさせまいと必死に叫ぶ。

74分には齋藤を入れる。この展開で齋藤のスピードは面白い。83分、齋藤が裏に飛び出すがGKがセーブ。続く84分にも齋藤のカウンターからシュートはGKがクリア。惜しい。しかし速い!前がかりにいきたい長崎の重心をジリジリと下げさせます。

長崎はゴールが遠い。時間だけが過ぎていく。もう切るべきカードは残されていない。終了間際、熊本は先日加入が発表されたばかりのキム・テヨンを投入。バイタルを締めると同時に、その高さで高木監督お得意のパワープレーに備える策か。

しかし長崎は攻め疲れたか、その後、アディッショナルタイム3分も危ないシーンはほとんどなく、主審の笛が、熊本の勝利を告げました。

セレッソが金沢に引き分けたため、そして熊本が2点差で勝ったため、得失点差で熊本が単独首位。

しかし、「首位とはいえ、本当に1戦1戦戦っていかなければいけないチームだと思っている」と言うのは清川監督(公式サイト)。清武も「単独首位ということは聞きましたけれども、僕たちは挑戦し続けるだけなので、おごらずに頑張りたい」(同)と言う。

それは決して謙虚なコメントというだけではなく、結果オーライで良しとはできないような”課題”を、この試合でも実感しているからなのでしょう。実際、2点差としたあと、攻撃が淡白になったことは否めない。常にあるのは、相手の時間帯になったときの圧力の返し方。後半も陣形をコンパクトに保てるか、プレスを維持できるかという、ずっと抱えている課題。今日のこのゲームも完封ではありましたが、それはGK佐藤のかなり神がかりな活躍によるところが大きかったのは認めざるを得ません。

だからこそ次の試合までに、練習のなかで修正していく。それは小野監督に学んだこと。そして、相手をしっかり分析して、そのための対策を練習に盛り込んでいくことは高木監督に学んだ。

次節はホームで降格組の清水との対戦。どんな内容になるのか。ドキドキするような、それでいてこっそり期待もしたりする。序盤戦の大きな楽しみになりそうなゲームです。

【J2第35節】(長崎県立)
長崎 1-2(前半1-0)熊本
<得点者>
[長]イ・ヨンジェ(23分)
[熊]養父雄仁(65分)、清武功暉(83分)
<警告>
[熊]鈴木翔登(42分)、齊藤和樹(90分)
観衆:5,554人
主審:塚田健太
副審:竹田明弘、佐藤貴之


「いろんな選手が復調してきたが、ピッチに出せるのは11人。うれしい悩みが出てきた」。試合前日3日付の熊日による小野監督の言葉どおり、前線には平繁、ボランチの一角には上原。そしてベンチには巻、清武、岡本と頼もしいメンバーが控える。終わってみればその厚くなった選手層を活かした熊本が、今季初の逆転劇を演じてみせました。

スタートの布陣は3-4-3。長崎の3バックに前線の3人をマッチアップするシステムを選んだ指揮官。しかし結果的にはこれはあまり機能しなかった。何となく借り物のようなぎこちなさ。長崎の強い球際に押されるように、バイタルを脅かされます。

20151004長崎

開始早々、上村がPA前で拾って嶋田にパス。嶋田がエリア内に侵入するもDFに対応されてチャンスなく下げる。それを養父が遠目から打つが枠を越える。一方の長崎はスローインからPA内で落としたところをイ・ヨンジェがトラップ一発、反転からのシュートはDFがブロック。この互いのファーストシュートを放ったプレーヤーが、この後の得点者になる。その予兆でした。

「どちらにしろ1点差のゲームになる」(スカパー)。敵将・高木監督は戦前そう予想していたそうです。ここのところの対戦結果も相変わらず1-0の勝利が多い長崎(笑)。一方、養父は最近の試合を「先制点が取れていない。流れの中で取れていない」と振り返る。過去の戦績からも一点差と読むゲーム。なおのこと先制点が欲しい。

帰陣の早い長崎のブロックに手を焼く熊本。なかなか縦に入れられず、なんとなく後ろで回させられている感。徐々に焦りも感じられる。左の鈴木が前に預けて攻め上がろうとした時、そのパスが奪われる。長崎は右サイド奥からそれを前線にロングフィード。ハンジンがそれをヘッドでダニエルにバックパスするのではなく、足元に置こうとした。ちょっと欲が出ましたね。

そこにヨンジェが猛然とアタック。後ろから押したようにも見えたのですが、主審は笛を吹かない。倒れたハンジンからボールを奪うと、前に出てきたダニエルより一瞬早くゴールに流し込みました。

熊本が今季「先制点を奪われた試合に勝利したことがない」ということを、データを使ってしつこくあげつらうスカパーのアナウンサー。もちろんホーム側の解説者も熊本の悪いところばかりを指摘します。まあ、そんなものかもしれませんが…。

なんとか前半のうちに同点にできないものかと思っていましたが、多分、長崎はこのまま前半を終わらせればいい。あわよくば90分間そのままでも。ただ、その前半の終わり頃、「長崎は複数得点が課題」。そう言ったアナウンサーのコメントどおりになったのも皮肉でしたね。

後半、長崎が先に動きます。前線の木村に代えて佐藤。「1点のリードで勝てるとは思っていなかったので、2点目を狙いました」(九州J-PARK)と高木監督は言うものの、しかし選手は「でも正直チーム全体で点を取りに行けてはなかった」(梶川)と言う。

後半も10分が過ぎると、ここでも時間帯別の得点失点データを持ち出して、ここからの熊本の失点数の多さを指摘するアナウンサーがなんともしつこい。

しかし逆に今日の熊本はここからでした。鈴木を下げていつもの4バックに戻すと前線には巻。これで雰囲気がガラリと変わりましたね。選手が生き生きと躍動し始めます。同じ前線のターゲットでも、佐藤より何枚も上手。張っているだけで存在感が違う。

その巻が倒されて得た65分のPA左からのFKのチャンス。養父と目が合ったという上原が素早くリスタート。キーパーが出そうで出れない絶妙のクロス。中央で巻が潰れてくれて、ファーサイドから入った養父が落ち着いて合わせた。同点弾とします。

さすがに目が覚めた長崎と、その後は緊迫した攻防戦。熊本は岡本、清武と攻撃的カードをテンポよく投入し、残り時間も10分を切ったところ。いい時間帯でもありました。右サイドからのスローイン。園田から縦に齋藤、そして岡本、巻、再び岡本と全てワンタッチで繋ぐ。岡本が侵入すると見せかけてDFを引きつけると、左から上がった黒木へ出す。黒木がダイレクトで打つかと思いましたが、DFの股を抜いてグラウンダーでクロスを入れると、中には清武が背後からドンピシャで入り押し込みます。全編、岡本がデザインした攻撃だったとも言えるでしょう。流れの中どころか、完璧なまでに崩し切っての得点でした。

長崎は最後、DF高橋を上げて“大砲”得意のパワープレー。それを凌いで熊本が記念すべきアウエー50勝目を挙げました。

試合後、「ゲームのプランとしては、長崎のゲームを見ていたなかで、どういう立ち上がりをして、最後はパワープレーも含めてどう変化を加えてくるのか、それに対してある程度こちらも耐えうる、ゲームの流れに応じて、攻撃に出るにしてもしっかりと守りきるにしても、いくつかの変化を持つカードはありました」と言う小野監督。

「巻を途中からというのも1つですし、そういう意味ではスタートからやってもらう選手、それから途中で流れを変えてもらう、あるいはゲームを閉めてもらう、そういったところは考えて、清武もそのうちの1人です」と言う。

戦前の“うれしい悩み”を、対長崎のゲームプランに落とし込んだ指揮官。そしてそれに応えるように、キッチリとそれぞれの役割をこなした選手たち。それと「最後の最後までサポーターがゴールの後ろから応援してくれて」(小野監督)と言うように、敵地に駆けつけた450人の赤いサポーターたち。九州ダービー、アウェーの地で一体となった熊本が“逆転する力”を発揮しました。

われわれはスカパーの実況内容にちょっと辟易、イライラしていただけに、画面に映る「カモン!ロッソ」が、いつにも増して嬉しかったことを付け加えておきます(笑)。

【J2第17節】(水前寺)
熊本 1-0(前半0-0)長崎
<得点者>
[熊]齊藤和樹(60分)
<警告>
[熊]齊藤和樹(71分)
[長]李栄直(86分)
観衆:4,560人
主審:飯田淳平
副審:相樂亨、三原純


いやー。やっと…です。梅雨入りしてしまいましたが。ようやくホームで勝てました。待ちわびた生「カモンロッソ」。

勝因は色々あると思います。ボランチに入った藏川の攻守にわたる活躍。DFラインに安心感をもたらしたシュミット・ダニエル。最近切れっ切れの斎藤。なにより最後まで走り抜いた選手たち。等々・・・。ひとつひとつ触れていきましょう。

20150606長崎

前半は、正直ちょっと長崎のサッカーに見とれていました。水前寺競技場のピッチは、前回の岐阜戦のときより更に状態が悪く見える。それなら、いえ、それでなくても高木サッカーは中盤を省略して長いボールで押し込んでくるものと思っていました。難しい試合になるだろうと・・・。

しかし3-4-3に敷いた長崎の布陣は、中盤が厚く、縦にグラウンダーのパスを急ぎ、後ろから次々に追い越してくる。攻守の切り替えも早く、流動的に動き、なにより球際が強い。指揮官に随分鍛えられているという感じがして、現在4位というリーグ順位もうなずけました。

ただ、平繁、常盤もようやくフィットしてきた感のある熊本も、縦に入れようという意図は十分感じられ、カウンターから斎藤がエリアに入ってGKと1対1。これはキーパーにセーブされるも、直後スローインからのクロスにハンジンの絶好機のボレーは惜しくも枠外…など、30分以降は熊本にも幾度かチャンスがありました。

「裏を意識しよう!」「球際はもっといける!」。そういうハーフタイムの小野監督の指示があったように、熊本は後半開始から一段ギアをシフトチャンジしましたね。ちょうど、前節の京都がそうであったように・・・。

球際で優りはじめ、セカンドも奪い始めた。長崎のピッチを広く使った攻撃にもスライドできている。足が出る。詰め寄る。攻勢はやや熊本に傾いていきました。

それが実を結んだのは60分。右SB養父からのサイドチェンジのボールを、高柳がダイレクトにヘッドで入れる。エリア内ゴールニアサイドにいた齊藤。それを胸トラップで落とすと、付いて来た2人の長崎DFを振り払うかのように反転。右足を振り抜き、ゴールを押し込みます。

うーむ。このシュートはちょっと別次元のうまさ。岐阜戦のときの得点シーンが思い出される落ち着きでした。

先制した熊本。ただ、この先制点を生かせず、すぐに失点・同点にされてきた試合展開のもろさもこれまでの熊本。しかし今日は、その後の試合運びに関して、ピッチ上の選手たち自身も頑張りましたが、ベンチワークも的確で、納得できるものでした。

すぐに嶋田に代えて巻を投入。長崎のDFラインを牽制する。72分、一番足が止まるきつい時間帯に、平繁に代えて運動量のある黒木でかき回す。そして、そして…。追加点が難しくなった終盤残り10分を切ると、逃げ切りの守りのサインで、SBに鈴木を入れる。

養父が足を攣るが、立ち上がる。告げられたアディッショナルタイムは4分。巻が身体を張って前線でキープを図る。常盤も。長崎のクロスにダニエルが飛びついてキープ。長崎・梶川のアーリークロスにイ・ヨンジュがファーからシュートするも藏川がブロック。点差は1点。同点に追いつかれれば勝ち点は1になる。まだか、まだか、まだか!と待ちわびた終了のホイッスルを、そのときようやく主審が吹いてくれました。

以前も触れましたが、ウノゼロ(1-0)での勝利を理想とする高木・長崎に対し、まさにその展開での勝利は格別です。ただ、先制したあとに2列のブロックを敷いて守った高木体制のあの頃とは違い、今は前線から走りまわって組織的に守備をする熊本。どちらかがいいということではありませんが、ずいぶん違うサッカーです。

今日の殊勲は攻守に貢献した藏川。そのボランチ起用の理由を尋ねられた指揮官は、「実は自分の中ではぐっと伸びて来た選手の1人だ」としたうえで、こう答えました。「彼の持っているゲームを読む力、状況に応じたプレーの選択、チームの他の選手の良さを引き出す力を発揮してくれてるんじゃないか」と。

チーム最年長の彼が、「ぐっと伸びて来た」と評価される事実もある意味驚きなのですが、藏川の持ち味は、現場でのその適応力にあるのではないかと思っています。今日の試合も、序盤はフィットしていないように思えました。ミスも見受けられた。しかし、時間が経つにつれ徐々に修正し適応していく。犯したミスから、次にどうすればいいのかを考える判断力と対応力がある。年齢を感じさせない運動量もすごいのですが、実は経験からくるその適応力こそが、藏川の”本当の力”であり、常々「選手自身がピッチ上で状況を変化させられる」ことを望んでいる小野監督からすれば、信頼し、期待を込めて起用したい選手なのでしょう。

しばらく試合から遠ざかり不安を隠せなかったDF・園田も、今日の試合での最後は随分戻ってきたように思えました。それは相方のクォン・ハンジンの高さによる読みの”強さ”、押し込まれても奪ってからの反転の技術の安心感がもたらしたものではないかと思うのです。クォン・ハンジン。そのパフォーマンス。本当に良いDFを得たのは間違いない。

そしてそして、再び育英型期限付き移籍で仙台からやってきたGKシュミット・ダニエル。昨年は相次ぐGK陣の故障で1ヵ月間の超短期移籍。しかし、今回はだいぶ事情が違います。「チームに入りやすい環境を作ってくれた他の4人のGKに感謝したい」とのコメントはそのあたりの意味を十分に意識しています。

出場機会には恵まれていなかったものの、相変わらずの安定したプレーぶりやゴール前に立ちはだかるその存在感は、この一年間の成長を感じさせます。その高さを警戒する長崎は、CKもショートコーナーからの変化を狙うしかない。クロスの球筋も全く勝負してきません。短い振り足から繰り出すパントキックの距離は驚くほど遠く伸びて、その弾道は低くゴールに向かい、一瞬で好機を演出する。

久々の勝利でちょっと感情が高ぶっているわれわれですが、冷静に振り返れば、熊本の今日のプレーぶりがこれまでと大きく変わっているわけではなく。決して悪くないが結果がついてこない…。セットプレーでやられる…。そんな悪循環を断ち切った今日のGK起用だったと言ってもいいかもしれません。

今日はそれほどゴールを脅かされることもなかったのですが、一瞬ひやりとしたのは長崎・高杉の左から攻撃参加しての意表を突くシュート。ダニエルが完全に見切ったかに見えたボールはあわやでバーを叩く。しかし、「ちょっと低かったけど、外に出ると思っていた。狙いどおりのプレー」(熊日)と意に介さない。

熊本はこの試合に勝利して、ようやく4試合ぶりに降格圏内を脱して19位になりました。しかし、21位(水戸)とは勝ち点差2でしかない状況。安心とはほど遠い状況にあります。

まだまだ。ひとつひとつを勝っていかなければなりません。