【J2第22節】(アイスタ)
清水 4-0(前半2-0)熊本
<得点者>
[清]白崎凌兵(27分)、鄭大世(41分)、北川航也2(64分、81分)
<警告>
[熊]薗田淳(40分)
観衆:10,553人
主審:大坪博和


やはり、われわれの想像以上に選手たちは疲れていたんですねぇ。この試合を観て改めてそう感じました。

前節、前々節合計で9失点の熊本。「前半をゼロでいければ勝機もある」というのが、5連戦の最後の試合を迎える清川監督のコンセプトでした。前節は雨を言い訳にしていたような球際の攻防も、今節は厳しさが戻っていました。ゲームの入りはまずまず良かったように見えました。

20160710清水

京都戦から4試合続く3バックの布陣はしかし、DFラインのスペースを埋めるための実質的には5バック。サイドを起点にされることは避けられたにしても、そのDFラインの前の中盤には3人。そのスペースはあまりにも手薄で、清水に自由に使われてしまいました。

中盤の底のキム・テヨンの疲労度も激しい。熊本の”ダイナモ”上村の離脱が本当に痛い。

清水のポゼッションのなかで、均衡を破られるのは時間の問題と言えました。27分、バイタルに入った白崎にボールが入ると、植田がチェックに行きますが入れ替わられ前を向かれる。すかさずゴールに流し込まれます。

中盤の薄さに加えて、2トップとのスペースも空いていて、「清水のダブルボランチを見きれていない」という解説の安永氏の指摘もそのとおりでしたが、清水が幾度も好機を外してくれていて、熊本にもまだまだチャンスはあると思っていました。

しかし41分。清水の左サイドからのクロスにエリア内、薗田が鄭大世にプレッシングのファールでPKを献上。思わず「またか…」とつぶやいてしまいます。

これを本人に決められて2-0で前半を折り返す。

ただ、次の1点次第で試合はわからない。2-0という点差がサッカーで一番”怖い”ということは皆知っています。

今日のアンデルソンのキープ力はひときわ目立っていました。実力を知る”古巣”の清水もなかなか飛び込めない。好機となれば一気に攻撃に人数をかけるのが、今日の熊本の戦術。1点取ればきっと流れは変わると…思ったんですが。

しかし、やはり徐々に徐々に、孤軍奮闘するアンデルソンへのフォローが少なくなってくる。64分、右サイドを清水が運んで鄭大世のアーリークロスに、途中交代で入った北川がファーに走る。園田がスライディングでクリアしますが、それを引っ掛けた北川が押し込む。これで3点目。

81分にも大きなサイドチェンジからアーリークロス。鄭大世に代わって入った村田に折り返されると、ファーで北川が合わせて押し込む。4点目とし、熊本は万事休しました。

徐々に、徐々に、時間とともに相手に着いていけなくなる。清水のボール運び、熊本のチェイシングを剥いでいくパス交換もみごとでしたが、それにしても熊本の守備に組織性はありませんでした。これほどまでに相手に着いていけないのは、震災後初の試合、千葉戦を思い起こさせました。それほど、選手たちの疲労は蓄積しているんだと。

唯一の光明は、この日途中出場でデビューを果たしたルーキーの八久保。カウンターからアンデルソンのアーリークロスをゴール前でピタリと右足でトラップするとシュート。残念ながら右サイドネットでしたが、見せ場を作った。スピードとセンス。もっと長い時間見てみたいと思わせました。

「疲労困ぱい ロアッソ3連敗」というのが翌日の熊日の見出しでした。大差の続いた3連敗でした。「熊本に戻り、しっかり休ませて、切り替えて次節に臨みたい」というのが指揮官のコメントでした。確かに、いつからでしょう。選手たちに一日のオフもなかったのではないでしょうか。

そうやって5連戦を戦いましたが、確認してみれば、震災後スキップした5試合のうち、ようやく消化できたのは2試合。まだ3試合が、今後の日程のなかで入ってきます。

指揮官の言葉ではありませんが、”戦士”たちには、今週ゆっくりと休養をとって貰いたい。身体も、そして心も。次節までのおよそ1週間。本当に久しぶりに長い間隔なのだと思います。そして主将・岡本が言うように「ゼロからやり直すしかない」(熊日)。われわれは今、そういう局面に立たされているんだと思います。

【J2第6節】(うまスタ)
熊本 0-2(前半0-0)清水
<得点者>
[清]大前元紀2(72分、74分)
<警告>
[清]大前元紀(84分)
観衆:9,727人
主審:柿沼亨
副審:村井良輔、小曽根潮


負けてしまいました。この相手に勝てれば大いに自信になる。そういう対戦だったのですが、結果は初めての複数失点であり、そして完封負け。

しかし、彼我の差がこの点差ほどあったかとも思えない。一見、エース大前の個人技にやられたようにも思えますが、実際は”総合力”の差による敗戦だったと思えます。

「勝っているからといって選手を固定しない」という清川監督、この試合は、前節途中出場を果たしたキムテヨンをボランチの一角に先発で据えてきました。清水のサイドハーフには、2年前に熊本でJデビューした澤田。

20160403清水

今日も熊本の入りは良かった。開始2分、GK佐藤からのボールを巧みにトラップした清武が前を向くと、DFの頭を越えるパス。平繁のヘッドはうまく合わずゴールの左へ。

9分にも清武がエリア右奥で受けると折り返し、ニアに平繁が入るが押し込めず。GKが弾いたボールに嶋田が詰めるが枠の上。

11分にも、清水の攻撃を凌いでからのカウンター。平繁から清武。エリア内に味方も上がってきたが、清武は自分で切り返してDFを交わすと撃つ。しかし枠外。

このあと20分過ぎからは清水が息を吹き返す。清水のクロスを何度も撥ね返し続け、最後は六平の強烈ミドル。これを身体を投げ出すようにヘディングでクリアしたのは黒木。

熊本もいつもように粘り強く守り、そして切り替え早く攻撃に転じる。どちらかというと熊本が押し気味で前半を終えます。

先手を打ってきたのは熊本の清川監督の方でした。後半から嶋田に代えて巻を投入。「高さを入れてのセカンドボール(回収)から、マイボールにできる時間を作りたい」(九州J-PARK)という意図で、試合を動かそうとしました。

その巻の存在感を相手に十分意識させたのは49分。清武の左からのアーリークロスにゴール前の巻。ちょっと下がりながらのヘディングは惜しくも枠の上を越えます。

その後、春の曇り空が我慢しきれずに雨を降らせてくると、ピッチが濡れてくる。そして59分、清水が澤田を諦め、俊足FWの村田を入れてきた。ここから試合がガラッと清水側に転がります。

村田のスピードに手こずる熊本の左サイド。そしてミッチェルデュークの体躯を活かした前線からのディフェンス、あるいはポストプレーにも懐に飛び込めない。奪えない。テンポが上がった清水の攻撃。カウンターをなんとか止めていたのですが・・・。

63分に上村が痛んで中山に交代。今日の上村はまさに獅子奮迅の働きでした。このアクシデント交代がまた試合の流れを変え、清水の勢いを加速させたように思います。

72分、清水の右サイド。ミッチェルデュークがワンタッチヒールで右サイド奥のスペースにボールを出すと、一気に村田が突破。ゴールラインぎりぎりから折り返すと、ファーに走り込んだ大前がスライディングで押し込む。失点。

下を向く間もない続く2分後にも、ミッチェルデュークのキープから左。アーリークロスをゴール前で大前が納めると、付いていた植田、園田、両CBを振り切って反転するとゴールにねじ込まれます。あっという間の2失点でした。やはり大前。

熊本がジョーカー齋藤のカードを切ったのは77分でしたが、この展開、この相手に対して2点ビハインドを撥ね返すには遅すぎましたし、今日のチームのギアはシフトアップしませんでした。

アディッショナルタイムは6分もあったのですが、最後のFK、清武からのキックに、ファーの植田のヘッドが揺らしたのは残念ながらサイドネット。一矢報いることもできず万事休止ました。

「(前半)バタバタしたと思うんですけど、そこを上手く乗り越えたのが良かった」と敵将・小林監督は言いました。後半は、「(村田)和哉のコンディションが良かったのもありますけど、少し(熊本の)守備がゆるくなったところをうまく衝けた」と。

うーん、確かにわれわれからすれば前半決めるべきところで決め切れなかったし、後半村田を入れられたあとにダイナモの上村を失い、テヨンも疲れが見えはじめた。

清川監督は「選手交代で後手に回ったのは自分の経験不足」(4日付・熊日)と反省を口にする。確かに開幕戦と同じように、ジョーカー齋藤投入は、随分じれったいものでしたが、その前に上村に代えてそこに入れるのが中山という選択でよかったのか、それは守備だったのか攻撃だったのか。何も変化しなかっただけに、「後手」という意味とは別に、ちょっとベンチワークに首を傾げるところがありました。

課題である後半の試合運びという意味では、選手のハードワークの維持はもちろん、チームとしての意思統一、そのうえでベンチが切っていくカードがより重要なわけで…。

清水は、というより小林監督は前述のコメントのように、劣勢と言えるような展開のなかでも、しっかりと駒を進め、試合をものにした。やはりこの人の経験からくる指揮には一目置かざるを得ない。選手ひとり一人の使い方を熟知したうえで、試合展開を引き寄せていく。負けや引き分け試合を勝ちに引き寄せていく。

もちろんこの試合、2点を決めたのは個人技にも優れる大前。しかし、展開を変えたのは村田であり、しかし常にわれわれを苦しめ、実はその存在感を示していたのはオーストラリア代表のミッチェルデュークの献身的ともいえる運動量とその技術だったように思います。

冒頭”総合力”に屈したと書いたのは、悔しながらもその選手層の差。そして残念ながら指揮官の経験値の差が勝敗を分けてしまった試合のように感じたからでした。ただ同時に書いたように、点差ほどに感じたわけではないということも・・・。決してその差は越えられない壁ではないということも。

次の試合。連敗しないことが大事。この試合を終えて選手の誰もが口にする。GKの佐藤が言う。「次の試合が真価を問われると思います。ここでバタバタしてしまったり、切り替えができずにズルズルと負けてしまったりということがないように、次の試合もホームで戦えるので、自分たちの戦う姿勢を皆さんに見てもらいたいですし、それを結果につなげたい」と。

この日のうまスタには1万人近いファンが詰めかけました。これと言って動員があったわけでもないのですが…。対戦相手が清水だったこともあったのか。あるいは、今シーズンからクラブはマーケティング部を新設して、グッズやチケットの販促を戦略的に取り組んでいくとのことでしたが、早速、それが効果を表しているのか。しかし、スタンドを見回してみると、やはりチームの好調さがジワリとファン層に厚みをもたらしているような気がします。

もちろん、連敗は避けたい。次の試合が大事。しかし、逆に選手たちに変なプレシャーがかかるのは良くない。次もホーム戦。チームが普段どおりの力を発揮できるように。今日のスタジアムの雰囲気に、さらに数を増して応援していきたいですね。