2008.05.13
第二代・前田社長から第三代・岡社長へ
AC熊本の社長人事が発表になりましたね。前田社長が退任し、後任は元産交エージェンシー社長の岡英生氏とのこと。
まず、前田社長に「お疲れ様でした」という言葉を捧げたい。
本当にご苦労さまでした。
われわれは、仕事の関係で前田社長には以前から少々関わりがありました。ある意味で異色の県庁マンとしてのイメージを強く持っていました。
今さらかもしれませんが、前田社長の経歴をふり返ってみます。1941年生まれ。白川中学、熊本高校から学習院大学政経学部卒。65年熊本県庁へ。企画開発部企画課長補佐、テクノポリス建設室長、交通計画課長、地域振興課長、林政課長などを経て、91年3月総務部国体準備局長、94年3月企画開発部次長、96年3月世界ハンドボール選手権推進局長、97年7月県立図書館長、98年3月商工観光労働部長、01年3月県職員退職、01年6月天草エアライン社長、01年7月グランメッセ熊本理事長、05年4月AC熊本社長。
企画開発部の現場で熊本テクノポリス構想の推進に関わり、熊本国体主会場の買収など大規模開発を手がけ、世界ハンドボール選手権の熊本開催、日韓ワールドカップではベルギーキャンプの誘致というビッグイベントを成し遂げ、県庁退職後もグランメッセ熊本で現場に立つなど、一貫して熊本の地域振興に関わり続けてこられました。
KKウイング建設にあたっては将来的なサッカーでの活用を考えて、ロッカールームの作りを、きちんとホーム、アウェーのシンメトリーに設計変更させたという何やら因縁めいた経緯を伺ったことも懐かしい思い出です。また、ハンドボール世界選手権では現・県サッカー協会長の井薫氏(モントリオール五輪ハンドボール女子代表監督)、ACの米村取締役(当時熊本電通)とともに大会を成功に導きました。
まず、初代社長・荒木前サッカー協会長が立ち上がりの急場をしのぐ形で就任されました。健康面の不安もありながら(大津町長を退かれたのもそのあたりがあったと聞いています)、これも本当に無理を押してつないでいただいた。そしていよいよ九州リーグがスタートというタイミングでグランメッセ理事長を満了した前田社長にバトンタッチされた、という経過でしたね。
いまさらですが、あらためて前田社長の経歴を見ると、あの時期のロッソにとってこれ以上の人物は、他に見当たらなかったなというのが正直なところです。熊本の行政、経済界への幅広い人脈、地域振興にかける熱意、そして独特のビジネス感覚(商売感覚と言うべきか)で、実に細かいゼニ勘定で、そこまでやるか、というくらいのリアリストでしたね。本当にご苦労さまでした。重ねてその労をねぎらいたいと思います。
さて新社長に就任した岡氏。われわれにはその人物像をうかがい知ることはできませんが、とにかく50歳という年齢。まずは大きな若がえりといえます。
旧九州産交グループの総帥・岡陽一氏の長男。2003年に表面化した九州産交の経営危機は記憶に新しいものがあります。その後、産業再生機構の支援案件第一号となり、グループ解体・再生の道をたどりました。岡新社長もおそらくはそのなかで”流転”といえる運命を経験されたのではないでしょうか。
以前のエントリーで「くまもとにJリーグチームを」県民運動について、熊本に漂っていた閉塞感、停滞感をなんとか打破したい。という地元経済界“有志”の、心底の思いが運動を突き動かしていった。と書きました。2001年末に民事再生手続きを申請した寿屋に続いて、ニコニコドー、熊本岩田屋そして九州産交という、それまで熊本経済の根幹を成していた企業の相次ぐ経営破たんがその停滞感の大きな要因だったことは間違いないでしょう。
ところが、そんなことを思いながら現在のロアッソのスポンサー企業リスト眺めると、いろんな運命的なつながり、縁といったものを感じます。
産業再生機構に対し、真っ先に九州産交のスポンサー企業として名乗りを上げたのは再春館グループ(その後、HISグループが支援スポンサーに決定)。今、その両社はロアッソのスポンサーとサプライヤーになっていただいています。
熊本岩田屋のあとを継いだのはくまもと阪神。そして壽屋、ニコニコドー後の熊本の流通再編を担ったイオングループ(マックスバリュー九州)、イズミグループ(ゆめタウン)。いずれも現在、ロアッソのスポンサーです。
そして、今回、新たにユニフォームスポンサーに協賛していただいた神城文化の森・藤田株式会社。人吉・球磨でサンロードシティを運営しているディベロッパー。主要テナントにはイエローハットが名を連ねています。ちなみに旧産交系ホームセンターサンコーは、2000年4月に全株式をイエローハットに売却。岡氏はその売却先のイエローハットで3月まで一従業員として働いていたのだそうです。
※イエローハットは今年六月上旬をメドに、保有するホームセンターサンコーの株式をすべて、ホームセンター大手のダイキ(愛媛県松山市)に売却すると発表している。
熊本の経済的閉塞感を打破するために生まれた“ロアッソ”AC熊本の社長に、そんな経歴の岡氏が就任するのも、なにかの”因縁”なのでしょうか。熊本経済の激動の荒波を真っ向から被った人が、今まさに再生へ希望を託した小さな船を任された。
これまでの荒木、前田という「県民運動的」草創期体制から、さらにクラブの体制強化、企業として一段の成長を目指す段階に入ったロアッソ。立上げから地域リーグ、JFL、J2昇格と言うステージを終え、これから全国区での戦いへ、更なる経営の強化が望まれます。
そのうえで、これはフロント体制の再構築、あるいは第2段階とも言える人事が始まったとも見ることができます。
と言っても、まだまだJ2でも最低レベルの運営予算であることは変わっていません。若い社長の給料自体が払えるのか?という心配が先にたつぐらいですから・・・。われわれとしては経営面では、なによりまず、キメこまかな営業力強化が課題だと考えています。そういう意味で新社長の手腕が大いに注目されます。
更に望むとすれば、なぜ、九州産交という地場の一大企業グループが破綻に追い込まれたのか。その時の自分のありようはどうだったのか。今一度、自らを厳しく省みて、この新しい会社の経営にあたっていただきたい。今、なぜ、小なりといえども熊本県民の夢を乗せた船=フラッグシップ=を任されたのか。こんなチャンスを与えられたのか。その意味を、重さを、深く心に刻んで、全身全霊をかけて社長職に打ち込んでいただきたい。
責任は決して小さくない。そう思うだけに期待しています。
まず、前田社長に「お疲れ様でした」という言葉を捧げたい。
本当にご苦労さまでした。
われわれは、仕事の関係で前田社長には以前から少々関わりがありました。ある意味で異色の県庁マンとしてのイメージを強く持っていました。
今さらかもしれませんが、前田社長の経歴をふり返ってみます。1941年生まれ。白川中学、熊本高校から学習院大学政経学部卒。65年熊本県庁へ。企画開発部企画課長補佐、テクノポリス建設室長、交通計画課長、地域振興課長、林政課長などを経て、91年3月総務部国体準備局長、94年3月企画開発部次長、96年3月世界ハンドボール選手権推進局長、97年7月県立図書館長、98年3月商工観光労働部長、01年3月県職員退職、01年6月天草エアライン社長、01年7月グランメッセ熊本理事長、05年4月AC熊本社長。
企画開発部の現場で熊本テクノポリス構想の推進に関わり、熊本国体主会場の買収など大規模開発を手がけ、世界ハンドボール選手権の熊本開催、日韓ワールドカップではベルギーキャンプの誘致というビッグイベントを成し遂げ、県庁退職後もグランメッセ熊本で現場に立つなど、一貫して熊本の地域振興に関わり続けてこられました。
KKウイング建設にあたっては将来的なサッカーでの活用を考えて、ロッカールームの作りを、きちんとホーム、アウェーのシンメトリーに設計変更させたという何やら因縁めいた経緯を伺ったことも懐かしい思い出です。また、ハンドボール世界選手権では現・県サッカー協会長の井薫氏(モントリオール五輪ハンドボール女子代表監督)、ACの米村取締役(当時熊本電通)とともに大会を成功に導きました。
まず、初代社長・荒木前サッカー協会長が立ち上がりの急場をしのぐ形で就任されました。健康面の不安もありながら(大津町長を退かれたのもそのあたりがあったと聞いています)、これも本当に無理を押してつないでいただいた。そしていよいよ九州リーグがスタートというタイミングでグランメッセ理事長を満了した前田社長にバトンタッチされた、という経過でしたね。
いまさらですが、あらためて前田社長の経歴を見ると、あの時期のロッソにとってこれ以上の人物は、他に見当たらなかったなというのが正直なところです。熊本の行政、経済界への幅広い人脈、地域振興にかける熱意、そして独特のビジネス感覚(商売感覚と言うべきか)で、実に細かいゼニ勘定で、そこまでやるか、というくらいのリアリストでしたね。本当にご苦労さまでした。重ねてその労をねぎらいたいと思います。
さて新社長に就任した岡氏。われわれにはその人物像をうかがい知ることはできませんが、とにかく50歳という年齢。まずは大きな若がえりといえます。
旧九州産交グループの総帥・岡陽一氏の長男。2003年に表面化した九州産交の経営危機は記憶に新しいものがあります。その後、産業再生機構の支援案件第一号となり、グループ解体・再生の道をたどりました。岡新社長もおそらくはそのなかで”流転”といえる運命を経験されたのではないでしょうか。
以前のエントリーで「くまもとにJリーグチームを」県民運動について、熊本に漂っていた閉塞感、停滞感をなんとか打破したい。という地元経済界“有志”の、心底の思いが運動を突き動かしていった。と書きました。2001年末に民事再生手続きを申請した寿屋に続いて、ニコニコドー、熊本岩田屋そして九州産交という、それまで熊本経済の根幹を成していた企業の相次ぐ経営破たんがその停滞感の大きな要因だったことは間違いないでしょう。
ところが、そんなことを思いながら現在のロアッソのスポンサー企業リスト眺めると、いろんな運命的なつながり、縁といったものを感じます。
産業再生機構に対し、真っ先に九州産交のスポンサー企業として名乗りを上げたのは再春館グループ(その後、HISグループが支援スポンサーに決定)。今、その両社はロアッソのスポンサーとサプライヤーになっていただいています。
熊本岩田屋のあとを継いだのはくまもと阪神。そして壽屋、ニコニコドー後の熊本の流通再編を担ったイオングループ(マックスバリュー九州)、イズミグループ(ゆめタウン)。いずれも現在、ロアッソのスポンサーです。
そして、今回、新たにユニフォームスポンサーに協賛していただいた神城文化の森・藤田株式会社。人吉・球磨でサンロードシティを運営しているディベロッパー。主要テナントにはイエローハットが名を連ねています。ちなみに旧産交系ホームセンターサンコーは、2000年4月に全株式をイエローハットに売却。岡氏はその売却先のイエローハットで3月まで一従業員として働いていたのだそうです。
※イエローハットは今年六月上旬をメドに、保有するホームセンターサンコーの株式をすべて、ホームセンター大手のダイキ(愛媛県松山市)に売却すると発表している。
熊本の経済的閉塞感を打破するために生まれた“ロアッソ”AC熊本の社長に、そんな経歴の岡氏が就任するのも、なにかの”因縁”なのでしょうか。熊本経済の激動の荒波を真っ向から被った人が、今まさに再生へ希望を託した小さな船を任された。
これまでの荒木、前田という「県民運動的」草創期体制から、さらにクラブの体制強化、企業として一段の成長を目指す段階に入ったロアッソ。立上げから地域リーグ、JFL、J2昇格と言うステージを終え、これから全国区での戦いへ、更なる経営の強化が望まれます。
そのうえで、これはフロント体制の再構築、あるいは第2段階とも言える人事が始まったとも見ることができます。
と言っても、まだまだJ2でも最低レベルの運営予算であることは変わっていません。若い社長の給料自体が払えるのか?という心配が先にたつぐらいですから・・・。われわれとしては経営面では、なによりまず、キメこまかな営業力強化が課題だと考えています。そういう意味で新社長の手腕が大いに注目されます。
更に望むとすれば、なぜ、九州産交という地場の一大企業グループが破綻に追い込まれたのか。その時の自分のありようはどうだったのか。今一度、自らを厳しく省みて、この新しい会社の経営にあたっていただきたい。今、なぜ、小なりといえども熊本県民の夢を乗せた船=フラッグシップ=を任されたのか。こんなチャンスを与えられたのか。その意味を、重さを、深く心に刻んで、全身全霊をかけて社長職に打ち込んでいただきたい。
責任は決して小さくない。そう思うだけに期待しています。
2008.05.12
もうひとつの”因縁”。岐阜戦
5月11日(日) 2008 J2リーグ戦 第13節
熊本 0 - 2 岐阜 (16:03/熊本/4,608人)
得点者:56' 梅田高志(岐阜)、64' 片桐淳至(岐阜)
前節、福岡戦では事前のスカウティングが奏功し、勝利に大きく貢献したことを書きました。がしかし、今回は逆に、岐阜の動きに “驚かされた”(あるいは岐阜にスカウティングされていた)というのが正直なところでした。
特に、試合の入りから前半を通じての運動量、攻撃に人数をかけてくるところ。対するロアッソは、チェックも後手後手に回り、ジリジリと追い込まれ自陣での時間帯が続く。不用意なパスミスやファウルが目立ち、自らピンチを招いてしまう悪循環。そんな前半41分。山口武士が2枚目のカードを貰い、退場に。JFL時代の対岐阜戦。たった2試合ですが両チーム2名づつ計4名の退場者を出しています(山口武士もその一人)。それだけ激しくぶつかっているのでしょう。
見るからに、コンディションが良くないチーム状態。風下の前半はしのいで、後半勝負、というゲームプランはこれで脆くも崩れ去ります。この時点で、とるべき選択肢、望むべき結果は相当に狭まってしまいました。
後半、中山を下げて喜名を投入。しかし11分先制されてしまうと、例によって、バランスを崩しても点を取りにいくというベンチの指示でスリーバックに変更した途端、失点。それでも残り25分のファイトで、0−2のまま試合終了。
レギュラー陣の選手層が手薄な台所事情はわかっていることですが、ここにきて気温も上がってくるなかで、疲労による肉体的なコンディション、パフォーマンスの低下は否めないところです。これが精神的な持久力にも影響を与えているようにも感じられます。福岡戦ではお互いに似たようなチーム状態だったためか、あまり目立ちませんでした。しかし、今日の岐阜。よく仕上がっていた。チームのバイオリズムの差がそのまま結果になってしまったようなゲームでした。
連戦のツケをまだまだ解消しきれていない。そう感じます。
しかし、ホームでは見せてはならないゲーム内容でした。
J2リーグ戦。つい昨日はじまったような気がしますが、第一クールも徳島、仙台の2試合を残すのみとなりました。リーグ戦はすぐに第二クールに入り、次の対岐阜戦はアウェイで1ヶ月後の6月11日。この悔しさを晴らす機会はあっという間にやってきます。
熊本 0 - 2 岐阜 (16:03/熊本/4,608人)
得点者:56' 梅田高志(岐阜)、64' 片桐淳至(岐阜)
前節、福岡戦では事前のスカウティングが奏功し、勝利に大きく貢献したことを書きました。がしかし、今回は逆に、岐阜の動きに “驚かされた”(あるいは岐阜にスカウティングされていた)というのが正直なところでした。
特に、試合の入りから前半を通じての運動量、攻撃に人数をかけてくるところ。対するロアッソは、チェックも後手後手に回り、ジリジリと追い込まれ自陣での時間帯が続く。不用意なパスミスやファウルが目立ち、自らピンチを招いてしまう悪循環。そんな前半41分。山口武士が2枚目のカードを貰い、退場に。JFL時代の対岐阜戦。たった2試合ですが両チーム2名づつ計4名の退場者を出しています(山口武士もその一人)。それだけ激しくぶつかっているのでしょう。
見るからに、コンディションが良くないチーム状態。風下の前半はしのいで、後半勝負、というゲームプランはこれで脆くも崩れ去ります。この時点で、とるべき選択肢、望むべき結果は相当に狭まってしまいました。
後半、中山を下げて喜名を投入。しかし11分先制されてしまうと、例によって、バランスを崩しても点を取りにいくというベンチの指示でスリーバックに変更した途端、失点。それでも残り25分のファイトで、0−2のまま試合終了。
レギュラー陣の選手層が手薄な台所事情はわかっていることですが、ここにきて気温も上がってくるなかで、疲労による肉体的なコンディション、パフォーマンスの低下は否めないところです。これが精神的な持久力にも影響を与えているようにも感じられます。福岡戦ではお互いに似たようなチーム状態だったためか、あまり目立ちませんでした。しかし、今日の岐阜。よく仕上がっていた。チームのバイオリズムの差がそのまま結果になってしまったようなゲームでした。
連戦のツケをまだまだ解消しきれていない。そう感じます。
しかし、ホームでは見せてはならないゲーム内容でした。
J2リーグ戦。つい昨日はじまったような気がしますが、第一クールも徳島、仙台の2試合を残すのみとなりました。リーグ戦はすぐに第二クールに入り、次の対岐阜戦はアウェイで1ヶ月後の6月11日。この悔しさを晴らす機会はあっという間にやってきます。
2008.05.06
アウェー初勝利。九州ダービー福岡戦
5月6日(火) 2008 J2リーグ戦 第12節
福岡 2 - 4 熊本 (13:04/レベスタ/10,822人)
得点者:8' 大久保哲哉(福岡)、28' 高橋泰(熊本)、33' 高橋泰(熊本)、41' グリフィス(福岡)、57' 小森田友明(熊本)、72' 高橋泰(熊本)
どんな状況でも、たとえ結果がともなわないことがあっても、応援の声を止めない。われわれのホームチームだから。そして、こんな試合を見せられたら、なおのこと・・・。
新・九州ダービーの第2戦となった今節はアビスパ福岡との戦い。敵地レベルファイブスタジアム(博多の森球技場)に多くのファンが乗り込みました。
前節、大差完封負けを喫している両者にとって、悪い流れを振り払いたい一戦。しかし、われわれ熊本にとっては、それ以上に、この福岡戦には期するものがありました。
ご存じのようにアビスパ福岡は、九州で一番最初にJ入りしたチーム。そのため、熊本にも博多の森に”九州のチームとして”応援に行ったという人たちが多い。はからずもそこで「福岡!福岡!」と叫んだという経験を持つ人を何人も知っています。
しかし、皆がそこでなにがしかの違和感を覚えて帰ってきた。
「熊本にもホームチームがほしい」・・・。その思いがようやく叶って、今こうして初めて博多の森の”アウェー側”に立つことができた。多くの熊本サポーターからすれば、そんな記念すべき日だったのではないでしょうか。
うちの八十になる年寄りも以前、無理やり連れていかれた博多の森のおぼろげな記憶をたどりながら、「格の上がったけん福岡と試合のでくっとたいね」とちょっと誇らしげでした。
熊本は、出場停止が解けたチャジホが左SHに帰ってきたほかは、C大阪戦から続く先発陣。中二日の疲れを憂慮するより、いい戦いをしているこのメンバーを優先しました。ベンチにはFWに北川、そして初めてMF熊谷の姿も。
対する福岡は、U−19の海外遠征を断ってこの試合に臨むという、ユース出身の鈴木惇がボランチで初先発。その意気込みが、開始早々からプレーに表れます。ゴール前右サイドからの鈴木のFKをロッソDF陣がクリアしてCKに。このCKからFW大久保をフリーにしてヘッドで決められてしまう。今日もまた先制された熊本。前節の嫌なイメージが襲います。
しかし、先制されても決して守りに引いてしまうのではなく、あくまでアグレッシブにという戦い方は前節も全く同じでした。しかし、今日は敵陣で無理に奪ったり、中盤で後ろから追いかけたりということではなく、自陣の最終ラインへの出所で、きっちりとチェックしていたという感じ。奪いに行くというのではなく、自由にさせない、相手のリズムを削ぐ。決して守備のバランスを崩さない。おそらく前節から、というより、ここ数試合の修正の積み重ねとして、条件に応じた攻撃的守備、守備から攻撃へといったところの“間合い”が見えてきたのではないでしょうか。
そこから両サイドや、前線の2トップにフィード。高橋の1点目、3点目はいずれもCB上村のそんな仕事から生まれたものでした。
もちろんハットトリックを達成した高橋の抜群の技量、活躍抜きに、この勝利はなかったでしょう。昨年の雨の水前寺、アルテ高崎戦を彷彿とさせるような2点目のFK、無回転シュートに敵GKはなすすべもなく。紛れもなく、今節Jリーグアフターゲームショー選定のベストゴールでした。
しかし、この試合でわれわれをしびれさせたのは、同点で折り返し、はては撃ち合いかと思われた後半。最後はパワープレーに及んだ福岡を零封した45分間の展開でした。
12分にチャジホの折り返しをうまく小森田が押し込んで勝ち越し。その後、反撃に出た福岡の文字通り”力ずく”の試合はこび。高さのある大久保に、黒部、ハーフナーまで入れられると、熊本のゴール前の制空権は完全に福岡のものになってしまいました。
しかし、GK小林の決死の守り。喜名、福王、熊谷というカードも投入のタイミングも迷いがない。「全員守備なんだ」という明快なメッセージ。そして、足が止まりそうになる時間帯での、高橋の貴重な貴重なだめ押し点。
エースの大活躍もあり、4点という初の大量得点になりましたが、後半を0点に抑えたゲームは、実に鳥栖戦以来。これまで、後半に運動量が落ちて失点を重ねていたのが熊本。しかし、ここにきて少しずつですが、それが改善されてきている証左ではないでしょうか。しかも、この過酷な連戦のなかで・・・。
紙一重の戦い。
前節終了後、横浜の都並監督が「先制点を奪われていたら、違った形のゲームになっていただろう」と言ったように、今日の試合も後半、相手に先に勝ち越されていたら、追いつく力はなかったかも知れません。とても表現しにくいんですが、それほど絶妙な試合運びだったと。
そしてそれは僅差で敗れ続けたこれまでの戦いが、なにがしか”糧”になっているように思えるのです。まさに紙一重の戦いを続けているのではないかと。
誤解を恐れずに言えば、前節、横浜戦、結果的には大敗でしたが、後半の失点は勝敗ではなくリスクを恐れず“1点”を取りにいった結果だったこと。5点差がついた後半20分以降も誰一人、下を向くことなく、ロスタイムまで1点を目指して、全力で走り、攻めていた。われわれのチームは紛れもなく“闘っている”と思うからです。
この連休、過酷な日程のなかで元J1勢との連戦。結果、この4連戦を2勝2敗で乗り切ってしまいました。振り返って「基本的に”得た”ものしかない。」と池谷監督にいわしめた貴重な経験。
連休最後の新たなダービー戦では、先輩福岡に勝利することによって、これまでの”借り”を返すことができました。
Jリーグの楽しさを、自分の町のチームを応援することの嬉しさを教えてくれた先輩福岡への”借り”。地域リーグ時代から、練習相手としてチームを鍛えてもらった”借り”。
最初は福岡の借り物だったチャント(応援歌)も、もうそろそろお返ししなくては。これから熊本も少しずつですがファンを増やして、いつかきっと“いいライバル”と思ってもらえるようになってみせます。
福岡にとっては連続での大量失点による敗戦。今後どう立て直してくるのでしょうか。次に戦うのは6月8日のホーム水前寺。あの水前寺競技場が、リベンジに燃える福岡サポーターで占拠されてしまうのではないかと、今からちょっと心配。しかし、それでこそのダービーなんですよね。
福岡 2 - 4 熊本 (13:04/レベスタ/10,822人)
得点者:8' 大久保哲哉(福岡)、28' 高橋泰(熊本)、33' 高橋泰(熊本)、41' グリフィス(福岡)、57' 小森田友明(熊本)、72' 高橋泰(熊本)
どんな状況でも、たとえ結果がともなわないことがあっても、応援の声を止めない。われわれのホームチームだから。そして、こんな試合を見せられたら、なおのこと・・・。
新・九州ダービーの第2戦となった今節はアビスパ福岡との戦い。敵地レベルファイブスタジアム(博多の森球技場)に多くのファンが乗り込みました。
前節、大差完封負けを喫している両者にとって、悪い流れを振り払いたい一戦。しかし、われわれ熊本にとっては、それ以上に、この福岡戦には期するものがありました。
ご存じのようにアビスパ福岡は、九州で一番最初にJ入りしたチーム。そのため、熊本にも博多の森に”九州のチームとして”応援に行ったという人たちが多い。はからずもそこで「福岡!福岡!」と叫んだという経験を持つ人を何人も知っています。
しかし、皆がそこでなにがしかの違和感を覚えて帰ってきた。
「熊本にもホームチームがほしい」・・・。その思いがようやく叶って、今こうして初めて博多の森の”アウェー側”に立つことができた。多くの熊本サポーターからすれば、そんな記念すべき日だったのではないでしょうか。
うちの八十になる年寄りも以前、無理やり連れていかれた博多の森のおぼろげな記憶をたどりながら、「格の上がったけん福岡と試合のでくっとたいね」とちょっと誇らしげでした。
熊本は、出場停止が解けたチャジホが左SHに帰ってきたほかは、C大阪戦から続く先発陣。中二日の疲れを憂慮するより、いい戦いをしているこのメンバーを優先しました。ベンチにはFWに北川、そして初めてMF熊谷の姿も。
対する福岡は、U−19の海外遠征を断ってこの試合に臨むという、ユース出身の鈴木惇がボランチで初先発。その意気込みが、開始早々からプレーに表れます。ゴール前右サイドからの鈴木のFKをロッソDF陣がクリアしてCKに。このCKからFW大久保をフリーにしてヘッドで決められてしまう。今日もまた先制された熊本。前節の嫌なイメージが襲います。
しかし、先制されても決して守りに引いてしまうのではなく、あくまでアグレッシブにという戦い方は前節も全く同じでした。しかし、今日は敵陣で無理に奪ったり、中盤で後ろから追いかけたりということではなく、自陣の最終ラインへの出所で、きっちりとチェックしていたという感じ。奪いに行くというのではなく、自由にさせない、相手のリズムを削ぐ。決して守備のバランスを崩さない。おそらく前節から、というより、ここ数試合の修正の積み重ねとして、条件に応じた攻撃的守備、守備から攻撃へといったところの“間合い”が見えてきたのではないでしょうか。
そこから両サイドや、前線の2トップにフィード。高橋の1点目、3点目はいずれもCB上村のそんな仕事から生まれたものでした。
もちろんハットトリックを達成した高橋の抜群の技量、活躍抜きに、この勝利はなかったでしょう。昨年の雨の水前寺、アルテ高崎戦を彷彿とさせるような2点目のFK、無回転シュートに敵GKはなすすべもなく。紛れもなく、今節Jリーグアフターゲームショー選定のベストゴールでした。
しかし、この試合でわれわれをしびれさせたのは、同点で折り返し、はては撃ち合いかと思われた後半。最後はパワープレーに及んだ福岡を零封した45分間の展開でした。
12分にチャジホの折り返しをうまく小森田が押し込んで勝ち越し。その後、反撃に出た福岡の文字通り”力ずく”の試合はこび。高さのある大久保に、黒部、ハーフナーまで入れられると、熊本のゴール前の制空権は完全に福岡のものになってしまいました。
しかし、GK小林の決死の守り。喜名、福王、熊谷というカードも投入のタイミングも迷いがない。「全員守備なんだ」という明快なメッセージ。そして、足が止まりそうになる時間帯での、高橋の貴重な貴重なだめ押し点。
エースの大活躍もあり、4点という初の大量得点になりましたが、後半を0点に抑えたゲームは、実に鳥栖戦以来。これまで、後半に運動量が落ちて失点を重ねていたのが熊本。しかし、ここにきて少しずつですが、それが改善されてきている証左ではないでしょうか。しかも、この過酷な連戦のなかで・・・。
紙一重の戦い。
前節終了後、横浜の都並監督が「先制点を奪われていたら、違った形のゲームになっていただろう」と言ったように、今日の試合も後半、相手に先に勝ち越されていたら、追いつく力はなかったかも知れません。とても表現しにくいんですが、それほど絶妙な試合運びだったと。
そしてそれは僅差で敗れ続けたこれまでの戦いが、なにがしか”糧”になっているように思えるのです。まさに紙一重の戦いを続けているのではないかと。
誤解を恐れずに言えば、前節、横浜戦、結果的には大敗でしたが、後半の失点は勝敗ではなくリスクを恐れず“1点”を取りにいった結果だったこと。5点差がついた後半20分以降も誰一人、下を向くことなく、ロスタイムまで1点を目指して、全力で走り、攻めていた。われわれのチームは紛れもなく“闘っている”と思うからです。
この連休、過酷な日程のなかで元J1勢との連戦。結果、この4連戦を2勝2敗で乗り切ってしまいました。振り返って「基本的に”得た”ものしかない。」と池谷監督にいわしめた貴重な経験。
連休最後の新たなダービー戦では、先輩福岡に勝利することによって、これまでの”借り”を返すことができました。
Jリーグの楽しさを、自分の町のチームを応援することの嬉しさを教えてくれた先輩福岡への”借り”。地域リーグ時代から、練習相手としてチームを鍛えてもらった”借り”。
最初は福岡の借り物だったチャント(応援歌)も、もうそろそろお返ししなくては。これから熊本も少しずつですがファンを増やして、いつかきっと“いいライバル”と思ってもらえるようになってみせます。
福岡にとっては連続での大量失点による敗戦。今後どう立て直してくるのでしょうか。次に戦うのは6月8日のホーム水前寺。あの水前寺競技場が、リベンジに燃える福岡サポーターで占拠されてしまうのではないかと、今からちょっと心配。しかし、それでこそのダービーなんですよね。
2008.05.03
過密日程との戦い。横浜FC戦
5月3日(土) 2008 J2リーグ戦 第11節
横浜FC 5 - 0 熊本 (13:03/ニッパ球/4,061人)
得点者:25' アンデルソン(横浜FC)、42' アンデルソン(横浜FC)、46' アンデルソン(横浜FC)、52' 難波宏明(横浜FC)、62' チョヨンチョル(横浜FC)
見るからにコンディションの差が明らかでしたね。思わぬ大差になりました。
出場停止のチャジホに代えて前節途中出場の宮崎。そのほかは、ほとんど前節、前々節と同じメンバーで挑んだロアッソに対して、横浜は前節休み。試合開始まで降り続いた雨でしっとりと濡れた三ツ沢のピッチも、アウェーチームにとっては厳しい条件となりました。
アンデルソンも、難波も、三浦知良もキレがあったことは間違いありませんが、ロアッソの選手達は、完全に競り負けていました。中盤でも前を向けない、チェックにはファールを取られる。
なにより、CBの二人が、今日はアンデルソンと難波に翻弄されていました。闘将上村も疲れは隠せず。ボールを追ってしまい目線が下がる分、視野が狭くなっていたのでしょうか。
初めて2点のビハインドを背負って迎えた後半。
前半もところどころでは熊本らしい攻撃を垣間見ることができていたので、立て直しも可能かと思われたのですが、開始早々のアンデルソンの3発目が、大きく効きました。今季初出場の町田、山内を投入するも流れは変わらず。逆に、横浜には次の試合を考慮して、アンデルソンや三浦淳を休ませる余裕すら与えてしまいました。
ここまでどんなFWにも決定的な仕事はさせてこなかったうちの両CB。しかし、どうも外人FWには、弱みを見せてしまうようです。福王は今日もしっかり自分の仕事をしましたが、限られた3人交代枠のなかで、彼の持つユーティリティ性ゆえにどうしてもベンチスタート、”置いておきたい”選手になってしまうのでしょう。
総体的な選手力の差が埋められているか。今節の見どころをそう書きましたが、それ以前にこのリーグ日程の厳しさに膝をついた感じがします。11日間で4試合。まったく未知の世界です。
チーム全体が常にトップコンディションの動きでなければ戦えないリーグ。それもまた全体の選手層の差と言っていいかもしれません。できれば、いいコンディションで2月のTMの借りを返したいところでしたが、全ては言い訳にしかなりません。
これもまた試練。
くしくも今節、多くの試合で大差完封試合となっているのも、そんな日程との調整力や選手層というチーム力の”差”が出ているのではないかと感じさせました。
次節戦う福岡も、本日の試合で湘南に0−4で敗れています。
どちらがこの嫌なイメージを引きずらず、切り替えて戦うことが出来るのか。対戦まで中二日。コンディションはある意味一緒。”新・九州ダービー” 初の福岡戦です。
われわれもまた、気持ちを切り替え、新たなモチベーションを胸に、福岡戦に臨みます。
横浜FC 5 - 0 熊本 (13:03/ニッパ球/4,061人)
得点者:25' アンデルソン(横浜FC)、42' アンデルソン(横浜FC)、46' アンデルソン(横浜FC)、52' 難波宏明(横浜FC)、62' チョヨンチョル(横浜FC)
見るからにコンディションの差が明らかでしたね。思わぬ大差になりました。
出場停止のチャジホに代えて前節途中出場の宮崎。そのほかは、ほとんど前節、前々節と同じメンバーで挑んだロアッソに対して、横浜は前節休み。試合開始まで降り続いた雨でしっとりと濡れた三ツ沢のピッチも、アウェーチームにとっては厳しい条件となりました。
アンデルソンも、難波も、三浦知良もキレがあったことは間違いありませんが、ロアッソの選手達は、完全に競り負けていました。中盤でも前を向けない、チェックにはファールを取られる。
なにより、CBの二人が、今日はアンデルソンと難波に翻弄されていました。闘将上村も疲れは隠せず。ボールを追ってしまい目線が下がる分、視野が狭くなっていたのでしょうか。
初めて2点のビハインドを背負って迎えた後半。
前半もところどころでは熊本らしい攻撃を垣間見ることができていたので、立て直しも可能かと思われたのですが、開始早々のアンデルソンの3発目が、大きく効きました。今季初出場の町田、山内を投入するも流れは変わらず。逆に、横浜には次の試合を考慮して、アンデルソンや三浦淳を休ませる余裕すら与えてしまいました。
ここまでどんなFWにも決定的な仕事はさせてこなかったうちの両CB。しかし、どうも外人FWには、弱みを見せてしまうようです。福王は今日もしっかり自分の仕事をしましたが、限られた3人交代枠のなかで、彼の持つユーティリティ性ゆえにどうしてもベンチスタート、”置いておきたい”選手になってしまうのでしょう。
総体的な選手力の差が埋められているか。今節の見どころをそう書きましたが、それ以前にこのリーグ日程の厳しさに膝をついた感じがします。11日間で4試合。まったく未知の世界です。
チーム全体が常にトップコンディションの動きでなければ戦えないリーグ。それもまた全体の選手層の差と言っていいかもしれません。できれば、いいコンディションで2月のTMの借りを返したいところでしたが、全ては言い訳にしかなりません。
これもまた試練。
くしくも今節、多くの試合で大差完封試合となっているのも、そんな日程との調整力や選手層というチーム力の”差”が出ているのではないかと感じさせました。
次節戦う福岡も、本日の試合で湘南に0−4で敗れています。
どちらがこの嫌なイメージを引きずらず、切り替えて戦うことが出来るのか。対戦まで中二日。コンディションはある意味一緒。”新・九州ダービー” 初の福岡戦です。
われわれもまた、気持ちを切り替え、新たなモチベーションを胸に、福岡戦に臨みます。
2008.04.30
苦難の末の勝ち点3。甲府戦
4月29日(火) 2008 J2リーグ戦 第10節
熊本 2 - 1 甲府 (14:04/熊本/4,464人)
得点者:26' 小森田友明(熊本)、48' 藤田健(甲府)、52' 矢野大輔(熊本)
プロセスが結果に結びつかないここ数試合。正直、勝利という”結果”がすぐにでもほしいという気持ちと、2勝目まではもう少し時間がかかるかなという不安(覚悟)が、ない交ぜになったようなゲーム前の心境でした。しかし、ホームに迎えた甲府を相手に勝利。あの広島にも土をつけたJ1降格組。一般的に世間では、この勝利を”金星”と呼ぶのでしょう。
バックスタンドでは子供達が掲げる「小森田先輩。頑張れ」の横断幕。おそらくブレイズ・ジュニアの面々か。
その小森田も右サイドに入って、ロアッソは、前節、前々節と変わらぬ先発フォーメーション。強豪甲府相手にも、いつもどおり、真正面から自分たちの目指すサッカーで挑もうという監督の気構えが、無言のメッセージとしてわれわれにもしっかりと伝わってきます。
「チーム内にヘタッているやつは一人もいない」(上村健一4月27日熊日朝刊)。結果が出ていなくてもチームが浮き足立つ様子は全く見えません。
しかし、中二日の試合日程の疲れか、あるいは夏日となったこの日の暑さのせいか、それともペース配分を考えてのことか、試合の入り方としてはややスローな重たい感じがしました。セカンドボールはことごとく甲府に拾われ、ボールを支配されます。ただ、結果論かも知れませんが、ある程度、甲府にボールを持たせる戦略だったのかもしれません。甲府は自分たちが“意外に”ボールを持てるため、例の”狭い局面でのクローズ”といった特異な陣形を90分間、一度も見せず、いわば”普通”のサッカーをやってくれました。
逆に熊本は徐々に、ボランチ“山山コンビ”を中心として、甲府のパス回しを要所要所でカットしていく。自陣ゴール前でのドリブルや、ショートパスに対しても、きっちり準備できている。
両者押し合って、主導権を奪い合おうとする互角の展開。試合が動いたのは26分、エリアやや右手前、得意の位置からのFKを小森田が直接突き刺す。ロアッソにとって、実に開幕以来9試合目にして初めての先制点となった鮮やかなゴール。小森田にとっても今季初得点でした。
その後も、甲府の高いDFラインの裏をつきチャンスを作る”ロッソ”。加えて今日は、早いサイドチェンジから2列目、3列目が追い越してくるシーンが随所に見られる。決定的なチャンスも二度、三度。何より熊本も甲府もお互いに見事にコンパクト。そのためか攻守の切り替えは非常に早く、攻守の動きがつながっている「シームレス」な感じさえ受けました。
さて、リードして前半を終えるのは、水戸戦以来です。
ハーフタイムの喫煙コーナーで同僚たちと後半予測。「後半2点入るよ。どちらに入るかはわからないが・・・。」「1点ずつ取って2−1ならベストかな。」などとうそぶいていたのは、皆の心に「今日は勝ちたい」という思いと、これまで何度と目にした後半のパフォーマンス低下への不安とが入り混じっていたせいでしょう。ドラマはまだ前半を終わっただけ。当然このままで終わるとは誰ひとり思っていなかった。
そして後半。まず悪いほうの予感が早々に的中。開始2分、やや不運とも見えたPK判定で同点に追いつかれてしまいます。
しかし、早い時間帯だったし、防戦一方というわけではなかったので、スタンドは比較的落ち着いて見守っていました。同点にされたわずか5分後、セットプレーから矢野のヘッドで再び勝ち越し。この瞬間、スタンドは総立ち。騒然としたスタジアムの雰囲気そのままに、さらに撃ち合いになるのか。押せ押せの熊本が追加点を上げるのか。観る側にとってもこれ以上はないシビれる展開。
しかしこのドラマ、さらに意外な展開を見せます。図らずもそれを“演出”したのは、同点PKを“演出”した田辺主審その人でした。
後半30分、チャジホは左サイドで、自らのコントロール下にあったタッチライン沿いの浮きダマを敵陣方向にクリアしようと果敢なオーバーヘッドキックを試みますが、これが相手の顔に入り、2枚目のイエローで退場。
一人少なくなった熊本。後はこの1点を守り抜くことに完全に集中していきます。中山を下げ、福王を最終ラインに入れ、上村をボランチの位置に。残り時間は15分。
しかしここにきて、もはや人数など問題ではありませんでした。
どちらの“勝ちたい”という気持ちが勝るかどうか。
前線に高橋ひとりを残した熊本は、甲府の攻撃を必死に跳ね返す。低いクロスボールに危険を顧みず頭から体を投げ出す河端。疲労困ぱいのはずなのに縦横無尽に走り回る山本、山口。退場劇直前に投入された宮崎大志郎は守備に追われながらもJデビューのチャンスを果敢に相手陣深く駆け上がる。削られ、倒されながらも孤軍奮闘する高橋。審判の視界外で行われる、甲府選手の狡猾なプレー。ひとりのミスも許されない。ノーファウル。オールクリア。懸命のタックルに大声援が応え、スタジアム中から沸きあがる手拍子が疲れ切った選手たちの背中を押す。長い長い3分のロスタイム。ドラマの終わりを告げる主審の笛。
実に一ヶ月半ぶりの勝利。待ち遠しかった勝ち点3。だからこそこの勝利の喜びはひとしお。なにより甲府の持ち味のハラハラ・ドキドキサッカーのお株を奪うようなスリリングな展開。
サッカースタイルも、クラブ経営もいわばお手本としたい先輩格の甲府にがっぷり四つ、勝ち点を奪えたことはまさしく“大金星”と言っていいでしょう。
もちろん、まだまだ課題は目に付きました。しかし、駐車場までの道すがら、家族連れや友達同士、大勢の人たちが、皆、一様に笑顔で、今日の勝利を喜び、選手の活躍を称え、ゴールシーンを思い出しながら、賑やかに語り合う姿を見ていると、そんな心配もどこかに吹き飛んでしまいました。
このハラハラ・ドキドキをスタジアムで体感した人たちは、次のホームゲームにはきっとまた足を運んでくれるでしょう。テレビや新聞で結果を知った人にも、その興奮とわれらがチームの逞しい戦いぶりを伝えてくれるに違いありません。
こうして一試合、一試合、みんなの胸に刻まれてゆく小さな歴史。このサッカーを続けていく先には、きっときっと真っ赤に埋まったKKウィングがあることを確信させる、そんなゲームでした。
熊本 2 - 1 甲府 (14:04/熊本/4,464人)
得点者:26' 小森田友明(熊本)、48' 藤田健(甲府)、52' 矢野大輔(熊本)
プロセスが結果に結びつかないここ数試合。正直、勝利という”結果”がすぐにでもほしいという気持ちと、2勝目まではもう少し時間がかかるかなという不安(覚悟)が、ない交ぜになったようなゲーム前の心境でした。しかし、ホームに迎えた甲府を相手に勝利。あの広島にも土をつけたJ1降格組。一般的に世間では、この勝利を”金星”と呼ぶのでしょう。
バックスタンドでは子供達が掲げる「小森田先輩。頑張れ」の横断幕。おそらくブレイズ・ジュニアの面々か。
その小森田も右サイドに入って、ロアッソは、前節、前々節と変わらぬ先発フォーメーション。強豪甲府相手にも、いつもどおり、真正面から自分たちの目指すサッカーで挑もうという監督の気構えが、無言のメッセージとしてわれわれにもしっかりと伝わってきます。
「チーム内にヘタッているやつは一人もいない」(上村健一4月27日熊日朝刊)。結果が出ていなくてもチームが浮き足立つ様子は全く見えません。
しかし、中二日の試合日程の疲れか、あるいは夏日となったこの日の暑さのせいか、それともペース配分を考えてのことか、試合の入り方としてはややスローな重たい感じがしました。セカンドボールはことごとく甲府に拾われ、ボールを支配されます。ただ、結果論かも知れませんが、ある程度、甲府にボールを持たせる戦略だったのかもしれません。甲府は自分たちが“意外に”ボールを持てるため、例の”狭い局面でのクローズ”といった特異な陣形を90分間、一度も見せず、いわば”普通”のサッカーをやってくれました。
逆に熊本は徐々に、ボランチ“山山コンビ”を中心として、甲府のパス回しを要所要所でカットしていく。自陣ゴール前でのドリブルや、ショートパスに対しても、きっちり準備できている。
両者押し合って、主導権を奪い合おうとする互角の展開。試合が動いたのは26分、エリアやや右手前、得意の位置からのFKを小森田が直接突き刺す。ロアッソにとって、実に開幕以来9試合目にして初めての先制点となった鮮やかなゴール。小森田にとっても今季初得点でした。
その後も、甲府の高いDFラインの裏をつきチャンスを作る”ロッソ”。加えて今日は、早いサイドチェンジから2列目、3列目が追い越してくるシーンが随所に見られる。決定的なチャンスも二度、三度。何より熊本も甲府もお互いに見事にコンパクト。そのためか攻守の切り替えは非常に早く、攻守の動きがつながっている「シームレス」な感じさえ受けました。
さて、リードして前半を終えるのは、水戸戦以来です。
ハーフタイムの喫煙コーナーで同僚たちと後半予測。「後半2点入るよ。どちらに入るかはわからないが・・・。」「1点ずつ取って2−1ならベストかな。」などとうそぶいていたのは、皆の心に「今日は勝ちたい」という思いと、これまで何度と目にした後半のパフォーマンス低下への不安とが入り混じっていたせいでしょう。ドラマはまだ前半を終わっただけ。当然このままで終わるとは誰ひとり思っていなかった。
そして後半。まず悪いほうの予感が早々に的中。開始2分、やや不運とも見えたPK判定で同点に追いつかれてしまいます。
しかし、早い時間帯だったし、防戦一方というわけではなかったので、スタンドは比較的落ち着いて見守っていました。同点にされたわずか5分後、セットプレーから矢野のヘッドで再び勝ち越し。この瞬間、スタンドは総立ち。騒然としたスタジアムの雰囲気そのままに、さらに撃ち合いになるのか。押せ押せの熊本が追加点を上げるのか。観る側にとってもこれ以上はないシビれる展開。
しかしこのドラマ、さらに意外な展開を見せます。図らずもそれを“演出”したのは、同点PKを“演出”した田辺主審その人でした。
後半30分、チャジホは左サイドで、自らのコントロール下にあったタッチライン沿いの浮きダマを敵陣方向にクリアしようと果敢なオーバーヘッドキックを試みますが、これが相手の顔に入り、2枚目のイエローで退場。
一人少なくなった熊本。後はこの1点を守り抜くことに完全に集中していきます。中山を下げ、福王を最終ラインに入れ、上村をボランチの位置に。残り時間は15分。
しかしここにきて、もはや人数など問題ではありませんでした。
どちらの“勝ちたい”という気持ちが勝るかどうか。
前線に高橋ひとりを残した熊本は、甲府の攻撃を必死に跳ね返す。低いクロスボールに危険を顧みず頭から体を投げ出す河端。疲労困ぱいのはずなのに縦横無尽に走り回る山本、山口。退場劇直前に投入された宮崎大志郎は守備に追われながらもJデビューのチャンスを果敢に相手陣深く駆け上がる。削られ、倒されながらも孤軍奮闘する高橋。審判の視界外で行われる、甲府選手の狡猾なプレー。ひとりのミスも許されない。ノーファウル。オールクリア。懸命のタックルに大声援が応え、スタジアム中から沸きあがる手拍子が疲れ切った選手たちの背中を押す。長い長い3分のロスタイム。ドラマの終わりを告げる主審の笛。
実に一ヶ月半ぶりの勝利。待ち遠しかった勝ち点3。だからこそこの勝利の喜びはひとしお。なにより甲府の持ち味のハラハラ・ドキドキサッカーのお株を奪うようなスリリングな展開。
サッカースタイルも、クラブ経営もいわばお手本としたい先輩格の甲府にがっぷり四つ、勝ち点を奪えたことはまさしく“大金星”と言っていいでしょう。
もちろん、まだまだ課題は目に付きました。しかし、駐車場までの道すがら、家族連れや友達同士、大勢の人たちが、皆、一様に笑顔で、今日の勝利を喜び、選手の活躍を称え、ゴールシーンを思い出しながら、賑やかに語り合う姿を見ていると、そんな心配もどこかに吹き飛んでしまいました。
このハラハラ・ドキドキをスタジアムで体感した人たちは、次のホームゲームにはきっとまた足を運んでくれるでしょう。テレビや新聞で結果を知った人にも、その興奮とわれらがチームの逞しい戦いぶりを伝えてくれるに違いありません。
こうして一試合、一試合、みんなの胸に刻まれてゆく小さな歴史。このサッカーを続けていく先には、きっときっと真っ赤に埋まったKKウィングがあることを確信させる、そんなゲームでした。





