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ロッソの運営会社であるアスリートクラブ熊本の上保毅彦(じょうほ・たけひこ)氏の講演を聴く機会がありました。演題は「ロッソ熊本の現状と展望」。時間にして1時間弱で、これまでの経緯や地域のなかでのクラブの意義、役割など基本的な内容がほとんどでしたが、所々に現在のクラブの考え方が表れていて興味深い部分がいくつかありましたので、そのあたりだけ断片的に報告したいと思います。

まず上保氏のプロフィールですが、現在、アスリートクラブ熊本で事業部長として事業、運営、広報関連を担当。1965年東京生まれ。その後、埼玉県浦和市、駒場スタジアムの近所で高校まで過ごしたとのこと。この業界での経歴は、1990年にイベント運営会社の株式会社ジエブ( http://www.jeb.co.jp/index1.html )に入社しイベント事業部配属になったことから。1992年には電通のサッカー事務局に出向し、主に日本代表戦関連の大会事務局、競技運営に従事した後、2004年に学校法人堀越学園に入社(所属は群馬FCホリコシのマネージャー)、興行、広報、選手管理などのクラブ経営に携わり、同年末退社。その後、フリーランスのスポーツイベントプロデューサー活動を経て(2006年5月~8月には日本協会の広報部勤務)、昨年9月から現職。ちなみにプレーヤーとしての経験はまったくなく、あくまでビジネスとしてサッカーに関わってきたとのことでした。

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Jリーグ準加盟をクリアしているロッソにとって、現状の課題と言えば、成績条件と財務条件。成績条件は、(ご存知のとおり)JFL4位以内。現在3位につけていますが、まだまだ楽観できない。特に昨年の秋以降の失速については、企業チーム(ホンダ、佐川、YKK等)と比較しての基盤の脆弱さ=練習場の安定確保ができなかった点=も課題ととらえている。各自治体から便宜をはかってもらっているが、気候的な問題で芝の養生時期と重なって、なかなか確保が難しい。

Jリーグ側は会社の財務の健全化、経営内容をより重視している。今期、現時点ではスポンサー収入はまだ目標に届いていない。入場料収入は昨年を上回り目標を達成できそう。昨年のホームゲームの平均入場者数は約3700人、今年は約2900人。しかし、有料入場者は昨年の1664人に対して、今年は2195人。観客動員が伸び悩んでいる、固定化しているように見えるという指摘も多いが…。Jリーグ側も単に何人入ったということではなく、有料入場者数を重視する方向になっている。もちろんクラブとしても同じ考え方にたち、今期は極力無料券を配布せず、有料入場者を増やすことに重点を置いている。入場料収入と広告・スポンサー収入が半々ぐらいになるのが理想と考えている。現在は3対7。またグッズ収入も目標を達成できる見込み。そして、興行としてしっかりペイしていくことを考えている。現状では1試合あたりの入場料収入が約200万円、運営経費が約120万円で収支バランスをとっている。身の丈にあった経営をしていきたい。

今はJFLというカテゴリーでコアなファンをしっかりつかんでいく時期と考えている。昨年、ある時期動員イベントを仕掛けて、有料入場のファンが駐車できずに引き返すというケースがあり反省もしている。KKウィングの駐車能力はクルマ1台あたり2.5人で計算して×2000台。駐車場だけでなく、1万人、2万人が入ったときに、トイレなどインフラ面でもリスクがある。もちろん、入場者が固定化しているという問題はあるので、近々、多めに動員するためのイベント計画も考えている。

J2加入後のイメージは…2008年~10位以内を目標に。J2の状況を把握する。2009年~7位以内を目標に。2010年~5位以内を目標に。2011年~このあたりからJ1への準備期間に。年間予算10億確保の体制をめざす。

今後もより地域に密着したクラブ運営をめざしたい。地元出身選手の獲得、育成を積極的に行うなど。また他のスポーツ競技への進出や興行会社として様々なチャレンジをしていきたい。一民間会社としてだけでなく、「地域の財産」と考えていただけるようなクラブをめざしたい。

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上保氏は事業部長として、試合運営に責任を持つ立場で、円滑な運営や運営経費、入場者数、入場料収入についての課題と方針を(具体的数字を交えて)率直に話していただきました。クラブの方針としても、また上保氏の考え方としても、試合=興行としての収支をしっかり見ていくという方針が前面に出ていました。入場者数の伸び悩みや固定化という部分についての課題に対しても、JFLにいる現段階とJに進んだときという時系列でのシミュレーションおよびビジョンを立てているようで、ここらあたりはJリーグだけでなく電通側の担当としてJFLも10年来見てきているキャリアの所以か・・・。
チームに携わる者として決して失敗は許されないミッションであるという、クラブ側の考え方を確認できたのではないか、と思います。