2007.12.30 年末ご挨拶
恒例により「サカくま」から年末のご挨拶を申し上げます。
今年からブログ形式になった「サカくま」ですが、旧サイトから数えると7度目の「年末ご挨拶」になりました。

思えば今年われわれの身の回りにも色々なことがありました。
子供の受験、そして旅立ち。連れ合いとの離婚。親の死に目に立ち会ったこと。相も変わらない忙しさのなかで、口角泡を飛ばし上司とも言い争いながら仕事と格闘した日々・・・。
少しの嬉しかったこと。多くの哀しかったこと。時々奮い立ったこと。数々の情けなかったこと・・・。

でも、明らかにそんな日常の側に”ホームチームの戦い”がありました。
なにはともあれ、週末はホームチームの勝敗に一喜一憂した日々でした。

そして今年は何よりのものを手に入れた。Jリーグ昇格という、長いこと描いていた夢。
これまで”ホームチームがある喜び”だったものが、来年からは”Jリーグチームがある喜び”となります。

来る年も、きっと苦難の日々が待っているのでしょうが、サッカーが与えてくれる”喜び”を噛みしめながらおくれることを期待して、この年に感謝して、サッカーを愛する、ホームチームを愛する全ての皆さん、そしてなにより監督、選手たち、クラブのスタッフ全ての人たちに感謝して、年末のご挨拶に代えたいと思います。

良いお歳を。
今年ほど天皇杯に興味のない年もありませんでした。もちろんロッソがJ参入の一か八かの年だったせいで、リーグ戦以外には興味がわかなかったのです。
しかし、今日のホンダ・鹿島戦。JFL代表のホンダの奮闘にはちょっと興奮しましたね。一人退場になるまでは、全くどっちに転んでもおかしくない試合展開。熊本出身の吉村の途中投入後は思わず手に汗を握り見守りました。
明日はKKウイングでFC東京・広島戦。来期戦う広島のスカウティングを兼ねて足を運ぶ予定です。

さて本題。今週のサッカーダイジェスト、恒例のセルジオ越後氏の「天国と地獄」という連載で、ロッソが扱われています。ある意味、非情に手厳しく・・・。
要旨は、来期J2に熊本と岐阜の2チームを昇格させたが、Jリーグは安易にチーム数を増やすことを優先していないか?という意見。
まず岐阜については「今年10月の理事会では経営面の課題を厳しく指摘されていたはず。(中略)かなり無理をして間に合わせただろうことは想像がつく」。と指弾し、熊本についても「今期2位に入ったものの、1位の佐川には勝ち点14もの差をつけられている」として成績面を問題視、「そんな彼ら(2チーム)がJ2に参入することで、J2全体のレベルがどうなるのか、心配・・・」と評しています。
セルジオ氏の矛先はあくまでJリーグ本体。「基準を満たすお金さえかき集めれば、経営や強化に無理が生じてもかまわないというJリーグ姿勢の表れ」といい、また「強化よりも興行、それもクラブではなくJリーグ自体のための興行が優先されている」と糾弾しています。
そして彼の提案は「例えばJ1が14チーム、J2も14チーム、J3も14チームの計42チームの3部リーグ制。」として、「下にいくほど、スタジアム規模や運営費などのハードルを低くする」と具体案を示しています。

基本的にキリンカップの”名誉解説者”ともいえる氏の立場は、日本サッカーそれも特に日本代表の”ご意見番”にあります。それゆえ現状のチーム拡大路線が、日本サッカーの「強化」に繋がらないと見えているようです。Jリーグの標榜する百年構想や、地域密着構想などはあまり感心がないように見えます。
J3までのチーム数構想も、長期的視野での理想形では賛成できる面もありますが、現在はまさにそれに向けた過渡期のような気がします。

一方で全く視点の違う人のインタビューを今発売中の「サッカー批評」で見ました。FC岐阜の今西GMです。もちろん当事者という立場と、”ご意見番”という立場の違いが明確すぎますが・・・。

岐阜の今西さんについては、実はわれわれあまり詳しい認識がなっかったのですが、この同時昇格を機に色々調べてみて、その経歴に恐れをなしました。
東洋工業に所属し日本代表でも活躍した現役時代のこと。Jリーグ創設期、取締役強化部長兼・総監督としてサンフレッチェ広島を作ったこと。フランスW杯アジア地区最終予選途中での加茂周監督更迭、岡田武史コーチの昇格に関与したこと。日本サッカー協会技術副委員長などの要職を務めたこと。、大分トリニータや愛媛FCの創設にアドバイザーとして参加したこと。などなど・・・
そんな人が三顧の礼で、岐阜に迎えられているということ。

「私は長いことサッカーのおかげで多くの経験を積み、いろいろなことをやらさせていただいた。」
という今西氏。広島における自分の役割は終わったと感じていた。しかし「まだサッカーから受けた恩には報いきっていない」という思い。そんなときに岐阜からGMの話があったのだという。
そこにはもちろん、故郷にクラブを作りたいという森山の情熱があり、単に興行としてでなく、人を育てる、地域を活性化させるためにサッカーを役立てたいという今西氏の強固な信念があった。
それが岐阜県知事をして破格な協力姿勢を敷かせ、同郷のJリーグチェアマン鬼武氏から満幅の信頼を勝ち得たと思われるのです。

サッカー批評で彼はこう述べています。
「ここに来るまでは、実はFC岐阜の経済的な状況などは何も知りませんでした。」
ただ
「これに文句を言ってもしょうがない。本来自分の役割じゃないはずの金集めに奔走するんしかない。他にやる人がいませんからね。」
しかし、今後の経営に関しての言及では
「今までの経営状況はひどかった。今後は収入に見合った支出しかしない。選手ももっと安く確保するにはいくらでも方法はある。私にはノウハウがあります。」
「地域に根ざしたいろいろな活動はあとまわしではなく、並行していかなくてならない。勝負ということになればやっぱりお金があるチームが勝つ。でもお金がないクラブでも工夫すれば新潟くらい観客が集まるんです。あそこまでいかなくても2万人、2万5千人くらい集まれば予算は20億を超えますからね。そうすればJ1でもやっていけるんです。」
「いかに観客を増やすか。市民県民をいかに味方につけるか。それが地方クラブのキーポイントだと思うんです。」

なんだかロッソ熊本が標榜していることと言葉自体はそうそう変わらないのですが、今西GMの頭のなかにある”次元”と差があるような気がしてならないのは、単に彼の経歴がそうさせるのでしょうか・・・。
FC岐阜。サッカーの中身だけでなく、今後もなかなか侮れないクラブなのだと思います。

ひるがえってセルジオ越後氏との対比。それは日本サッカー界に対して、それぞれがこれから果たそうとしている責務、そしてそれぞれの立ち位置の違いといえばそれまでなのでしょうが。
それにしても”ご意見番”や”評論家”というのがいかにお気楽な立場なのかをつくづく感じ入ってしまうのです。
今週の熊日の連載3回シリーズ。首藤マネージャー、高部、福王のインタビュー構成でしたが、印象的だったのは首藤マネージャーの言葉でした。

「熊本にJリーグチームを」に代わる目標が見つからない。県民運動は社会を変える運動。そのチームの原点を忘れたら、ロッソはただの貧乏クラブ。奮い立たせる「旗」を立てて欲しい...と。

まさにJリーグ33チーム中、やはり33番目のポジション(=新参者の貧乏クラブ)であることだけは間違いないですね。いつも志を確かめながら進んでいかねば...ということでしょう。

来期からJFL昇格する北九州。市長からは3000万円の支援金継続と国際基準の新スタジアム建設構想が表明されるなど、一気に加速してきているようです。街のパワーからすれば当然ですが、でもこれはすごいですね。思えばロッソも、九州リーグ時代に破格の1億5千万という予算を確保し、”金満チーム”と揶揄されましたが、以前指摘したとおり、JFL時代確保した3億弱という予算は、リーグ中、中位の規模ではなかったかと・・・。そしてJ2参入が叶い、見回してみると最低レベルの予算規模。一気に”貧乏クラブ”と呼ばれる立場の変化に気づかされます。

さて、ストーブリーグの真っ只中。まさに本物のリーグ戦の様相でもあります。これもまた、戦力(クラブの資金力)と戦術(クラブのビジョン)の戦い。そして移籍市場という外部での戦いだけでなく、チーム内(契約更新)でもそれは激しさを増しているようです。

例えばJリーグトライアウトに関しても、確かにこれまではJリーグ移籍市場が納まってからというカテゴリーの順番待ち、時期のハンデはあったものの、「一緒にJに行こう。Jのステージに戻ろう」という殺し文句があった。ところがJに上がった今、順番待ちではなく、一気に同時期の同市場で他クラブと戦わなければならない。新参ものの一貧乏クラブが示せるものは何か?宮崎光平(鹿本高校⇒広島⇒福岡)が福岡から放出されても・・・

そんなとき、われわれだったら、選手をどう口説くのか。ビジョンは? 県民運動をどう理解し、こんなチームになりたい。どんなチームをめざす、と言うのか。

まず、ロッソの特徴のひとつとして挙げられるのは、先の元徳島GM氏も指摘したように、有料入場者の多さではないでしょうか。これまでのJFLの感覚では、観客はせいぜい数百人。アルエットのJFLホーム開幕戦で千人ちょっとの入場者数があって、かなり大きな数字だったという感覚がありました。

これまでのJFLからの昇格組で、当初から数千人という有料入場者があるモデルは恐らくロッソが初めてではないかと思います。今期10月20日ホンダ戦の有料入場者数四千数百人がJFL記録(チーム筋)と言われたように、コンスタントに三千人程度の有料入場者数があるというのはかなりな財産だと思います。(もちろんそれでも、ロッソの見え方=メディア露出はとんでもない高いレベルにあるので、これとクラブの実態とのギャップは大きなものですが・・・。)すでに決算として出ている昨シーズンのロッソの入場料収入が3600万円。ちなみにこれはホーム17試合での数字。1試合あたり約200万円。どうでしょう、今シーズンは1試合あたり250万円はいっているでしょうか。そうすると今期の入場料収入は4250万円。これはJ2の水戸、徳島、愛媛と比較してもあまり遜色のない数字です。

そうなんです。入場料収入の比率の高い、スポンサー収入に偏らない経営。これがロッソのひとつの目標ではないかと思います。例えばJ2の場合、その比率平均は17%くらい。それを20%以上にできれば・・・。そしてさらにそのなかでも、シーズンチケットで支えるというモデルを掲げていくべきだと思います。これこそ安定経営の切り札ではないかと。以前、上保事業部長が「おカネを払って来ていただくことが何よりの支援です」と発言したように、これこそ県民運動。来期ホームゲームは21試合。雨の日や平日開催も考えれば、当日の入場者数だけではどうしても収入見通しを立てにくい厳しさがあります。またチケットの単価も上がります。家族連れでいけばまとまった出費になるでしょう。なによりスカパーでの中継は最大の競合相手になることが想定されます。

イングランド・プレミアの場合総座席数の約60%がシーズンチケットに充てられると言われています。まあこれは極端なケースですが、ロッソの場合もシーズンチケットを平均単価2万5千円で4千枚売れば、とりあえず1億円になる計算です。仮に6億の予算だとすれば比率は16%・・・。ひとつのモデルとして、J2時代から甲府は23~28%の入場料収入比率。

シーズンチケットホールダーになることこそチームを支える第一の手段ということがファン常識になればいいですね。何より、われわれファンレベルで友人、知人を、あるいは職場で勧誘活動ができるネタでもあります。それにクールなチケットケースとかがセットになっていると嬉しい。あるいは日常的にもホールダーであることが実感できるようなピンバッジとか...と言っても時間がない。スケジュールはJFLより半月以上前倒し。実に待ち遠しい。

もうひとつ、上保事業部長の以前の発言で「今後もより地域に密着したクラブ運営をめざしたい。地元出身選手の獲得、育成を積極的に行うなど。」と育成型、地元密着型のクラブビジョンがはっきり示されました。今期も先発11人中6人が地元出身者だった試合がありましたが、Jリーグに上がったことで、少し落ち着いて若手の育成型に取り組めるということもありはしないでしょうか。今期のルーキー山内と西森は、貴重な即戦力となり、彼らの活躍がわれわれをJリーグに連れていってくれたと同時に、彼らをJリーガーにすることができました。

熊本は有数のJリーガー輩出県であると思いますが、地元にJリーグチームが出来たことによって、より以上に、若手の育成の裾野が広げられることになったと。まだまだ伸びしろのある若手の育成を続けていけば、それがいずれチームの力になり、チームの魅力になり、また移籍市場を賑わす好循環が生まれてくるのではないかと思うのです。

なんだかとても地味なビジョンになってしまいましたが、クラブワールドカップを横目にそんなことを思っていました。(首藤君を奮い立たせることも、魅力的な選手を口説くことも到底できませんね。)でも、ロッソがどんなクラブになっていくのか、育てていくのか。応援したくなる“魅力”をどこに見出すのか。これからもっともっと知恵を絞っていかなくてはと思います。甲府という一度倒れかけたクラブのJ1へのチャレンジは、その他のクラブを勇気づけ、夢をもたらしました。おそらくわれわれが目指す先も、Jリーグ創設メンバーの多くの財閥系チームではなく、新潟や大分、そして甲府といった後発市民チームなのは間違いないでしょう。

何年かぶりにJ1-J2入れ替え戦を真剣に観ました。もちろん、どちらかが来年戦う相手になるという現実感もあって。
今シーズンはJ2もパラパラと観戦したんですが、それにしても入れ替え戦の緊迫感は違いました。攻守の切り替えの早さ。攻めの組み立ての速さ。90分のなかの密度の違いというか・・・。2戦目、1点がどちらかに転べばそれが明暗を分けるという息を呑む展開。そしてなによりスタジアムの壮絶とまでいえる雰囲気。

とにかくこれで来シーズンの顔ぶれが決定しました。
J2降格となった広島は、有力選手をそのまま保持できるのか。
新生“都並”横浜は若返りを図り全く新しいチームを作ってくるのか。
J1を席巻した甲府の攻撃的サッカーをロッソは封じ切れるのか。
一時は昇格圏内にいた仙台、ロペスを失い、どういったチームに変身してくるのか。
古巣C大阪の攻撃を防ぐ闘将福王の維持の戦いが通じるか。
同じく古巣の湘南、池谷監督の秘蔵っこ加藤望の得点力には、ボランチ吉井、守護神小林が立ちはだかるのか。
大挙してやってくる福岡のサポーターの前で、われわれはホームの雰囲気を堅持できるのか。
上位を脅かす実力の鳥栖との対戦は、新たなダービーと呼ばれるようになるのか。
J2を知り尽くした山形、テクニシャン財前との戦いは。
愛媛、徳島の四国勢は、JFLで見た頃とどう変貌を遂げているのか。
草津や水戸に、何人のサポーターが集結できるのか。
何より同期生の岐阜に、借りを返すことができるのか・・・。

JFLではポゼッションサッカーを推し進めた(と思うのですが)ロッソも、そのままのスタイルでこのステージを戦えるとは、到底思えません。かと言って、決まり切った堅守・カウンターというスタイルを選ぶのか、またすぐにそのスタイルを確立できるのか、それもまた疑問・・・。

Jリーグは開幕直前に、全チームが集まってプレス・カンファレンスを開催するのが恒例です。そのとき各チームは、その年のチームコンセプトを簡潔な”キャッチフレーズ”にして表明します。
さてさて、ロッソはJリーグ初年度、どんなキャッチフレーズを掲げるのか。
今から興味が尽きません。

待ち遠しい新しいステージ、3月にはスタートする新しいシーズン。
ホームゲームの記念すべき年間チケットが売り出されたら、真っ先に購入しましょう。熊本が初めて体験する新しいシーズンを、”Jリーグ”を、みんなで精一杯楽しみましょう。
2007.12.03 覚悟の日
本日、正式にJリーグ加盟が承認されました。

はじめまして。
僕たちはロッソ熊本です。32番目のJリーグチームです(成績順からいって岐阜より先でいいですよね)。新参者で右も左もわかりませんが、全国のJの先輩の方々よろしくお願いします。
と、新人らしく元気よく挨拶したい。

しかし、そう言いながらも、これから始まる未知の、異次元の戦いに身構え、恐れをなしているところがあります。

昨日の最終戦。KKウィングで久しぶりにある人物にばったり出会いました。
握手を交わした彼は開口一番、「いよいよ。行くも地獄、残るも地獄ですね・・・」とボソリ。
先日の読売新聞で”一億円の男”と紹介されたT氏です(本人は自分からそんなこと言ってないと笑ってましたが)。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/sports/soccer/s_news/sn_07111001.htm

4位以内を確定した琉球戦の日の熱もやや冷めて、ここしばらく、なんとなく熱くなれなかったのは、やはり同じようなことをぼんやりと感じていたからかもしれません。
これから行く先は生き馬の目を抜く戦場。ここに止まるならば消滅。
その厳しさをじわじわと感じはじめているような。

それはまず勝負の世界の厳しさ。
これまで天皇杯でしか経験したことのないチームと、同等の立場で戦うということ。博多の森、小瀬、ユアスタ...。6年前の三ツ沢で対峙した横浜FCサポーターの恐ろしいまでの迫力。蹴散らされ膝をついた経験。負け続けるかも知れない怖さ。大敗してボロボロになる惨めさ。

そして、常につきまとう存続への不安。苦難が続くことは間違いないクラブ経営の厳しさ。昇格があったからチームがあったという現実。ロッソにしても来期の胸スポンサーはまだ未定。一寸先は闇、船板一枚下は地獄。債務超過や経営危機は決して他人事ではありません。

どれほどの広がりがあれば支えていけるのか、県民運動・・・。われわれ、一ファンといえもどれほどかの覚悟を決めてかからねば。チームを信じる覚悟、とことん応援し続ける覚悟...。昨晩来の池谷監督のインタビュー・コメントが、その“地獄”を知る人の問いかけのような気がしました。

「本当に覚悟はあるのか?」と...。

でも、すごく緊張はしていますが、「もちろん!」と胸をはって答えます。きっと、その苦しみを帳消しにしてくれるような歓喜が、必ずこの先にも待っている。多分、Jの先輩たちは、そう教えてくれそうな気がします。

第9回JFL最終節
12月2日(日)13:00 KKウィング
ロッソ熊本 6-3 佐川印刷
得点者:7分町中(印刷)、44分小森田(熊本)、46分高橋(熊本)、50分小森田(熊本)、60分高橋(熊本)、73分高橋(熊本)、79分大坪(印刷)、82分町中(印刷)、89分高橋(熊本)
先 発
29 小林陽 11 高橋
31 西森7 松岡
33 小森田8 喜名
23 有村6 福王
19 上村16 矢野
 21 小林弘 

JFL最終節。
マッチデイプログラムにも書かれていたように、すでに2位を確保し、この試合結果で順位が変動するわけではないロッソ。しかし、誰ともなく「JFL卒業試合」と呼び、また「ロッソ熊本」としての最後の公式戦でもあり。
われわれはといえば、この日の寒さをいいわけに、赤いマフラーの下に”青マフラー”も重ねて・・・。
それぞれの色々な思いでKKウイングに6,139人のファンが集まりました。

試合は、前半早い時間に佐川印刷が先制。中盤を厚くした印刷に、パスミスから危ない場面を迎えるロッソでしたが、30分頃から印刷もリズムを崩し、終了間際のいい時間帯に小森田のヘッドで追いつき前半を終えます。

後半から入った山内が、まさに”ロードスター”のような動きで活躍。印刷のDFを慌てさせ、高橋のマークも甘くなります。パスカットからワンタッチのつなぎで前線まで運ぶ、ロッソが理想とする形。そして、前半途中からほとんどトップ下で動きまわる小森田の働きもあり、ロッソが逆転。その後も次々に加点。その本来の”巧さ”を堪能させるように高橋はハットトリック+1の活躍。スタンドはスタンディングオベーションで大喜びです。
しかし、足が止まり始めた時間帯に印刷に立て続けに2失点。最後は高橋が自ら得たPKをきっちりと決めて突き放しました。

ロッソの良いところと、悪いところを全部出し切ったといっていい”最終戦”でした。

試合終了後のセレモニー。整列する選手たちのなかに、大瀧、遠藤、松岡の姿をどうしても探してしまいました。笑顔がかい間見えて少しはホッとして・・・。

この時期、必然的なことではありますが、チームから「契約満了に伴い、来季の契約を更新しない選手」が発表されました。いずれも今シーズンのロッソでは出場機会に恵まれなかった選手たちです。これから来シーズンへ向け、厳しい移籍市場を戦っていく選手たち。われわれファンとしてできるのは、J昇格という歴史的な役割を果たしたメンバーとして、彼らの功績を称えること。彼らのプレーを語り継ぐこと。
そして、おそらくこれからのステージではもっともっと、こういったことが頻繁になってくるのでしょう。でも、そのたびにこんな感傷的な気持ちになってしまうのは仕方ないですね。

どうもわれわれの感覚では契約更新をしないということと、一般企業での“解雇”というのが同じように感じられてしまうところがあります。しかし、よく考えてみれば一般の労働市場とサッカー選手の移籍市場ではまったく様相が異なります。チームは選手を評価し、チームとして生き残り、勝ち続けるために、新陳代謝を続ける。選手も自らの選手生命をかけ、出場機会と、より高い評価・報酬を求めてチームを選ぶ。いかに“いい選手”でも監督の戦術に納まらない場合は出場機会が与えられないというやっかいな問題もあります。

サッカー選手にとって重要なのは、所属チームのカテゴリーももちろんなのですが、それに優るのは、常に試合に出られるかどうか。試合勘というのは、現役選手にとってなにより大事なもの。それから言えば、出場機会を求めて、自分を評価してくれるチームに移るのも、選手としての選択なのだと思います。今年活躍した喜名や小森田にしても、Jリーグ時代、シーズンを通してコンスタントに出場していたわけではけしてない・・・。

J2ではさらにこの移籍市場も競争原理が激しくなるようです。ようやく育てた選手に出場機会を与え、いい活躍、いいパフォーマンスをしてくれたとしても、今度は外からオファーがかかり、資金力の弱いチームはそれを引き止められない。J2の下位チームは常に中心選手の移籍による戦力ダウンとの戦いという側面もあるようです。

契約満了者は、今回発表されたDF4人だけのようですが、これから進められる契約交渉では、更にまだチームを去る選手が出てくる可能性もあります。ファンとしては、まさしく複雑な心境の季節が続きます。

閑話休題。
一方ではまた人生を変えるドラマが生まれています。地域リーグ決勝最終日。今年はまさしく”死闘”という名にふさわしく、PK戦の連続。昨日まで4チームのなかで最下位にあったニューウェーブ北九州が、最終日バンディオンセ神戸を2-0で下して、2位に躍進。1位のファジアーノ岡山とともにJFL昇格を決めました。特に2点目を決めた北九州の10番を背負うのはアルエットに在籍した森本。これでまた、熊本・大津高出身のFW中嶋も含めて、JFL戦線も楽しみが増えます。

さてさて、JFL最終節で、FC岐阜も高崎を下して3位を確保。JFL昇格1年目にして、Jリーグ参入の成績条件をクリアし、ともに明日のJリーグ理事会の審判を待ちます。予定によればチームへの連絡は明日午後4時半ごろ。夕方5時ごろには、歓喜に包まれているはずです。

われわれも、今日の白岳はほどほどにして、明日にとっておくことにします。