6月28日(土) 2008 J2リーグ戦 第23節
熊本 3 - 2 C大阪 (16:03/熊本/3,074人)
得点者:20' 小松塁(C大阪)、22' 木島良輔(熊本)、77' 森島康仁(C大阪)、80' 木島良輔(熊本)、89' 山内祐一(熊本)


前節のエントリーで、「木島は入ったら2度チャンスを作る」と書いたら、“験”が良かったのかきっちり2点取ってくれました。中山が前節痛めたらしくてFWで先発。高橋との帝京2トップが実現しました。

朝から激しく降った雨が試合開始と同時に上がったものの、90%以上の湿度、厳しい蒸し暑さ。おまけに乾ききらないスリッピーなピッチは選手達に相当の疲労をもたらしたと思います。

C大阪は古橋、ジェルマーノなど主力を怪我で欠くなど、かなり苦しい布陣だったとか。それでも若き日本代表・香川や、柿谷、小松など錚々たるメンバー。前節まで3位という好位置につけ昇格を狙っています。

セレッソ大阪 (先発フォーメーション)
15小松 11柿谷
26香川17酒本
28青山7アレー
16尾亦13柳沢
2羽田23山下
 1相澤 
対戦前、池谷監督は「相手はショートパスで繋ぐチーム。粘れれば勝機がある」と相性の良さを予言していました。
お互いがポゼッションを奪い合うような展開。ミスもありますが、ここのところ目指している“連動性”がかい間見えます。
失点場面は、DF陣が揃っていたものの、小松塁の個人技に上村があっさりかわされた。致し方ないといえば致し方ない感じ。しかしロアッソ・イレブン、全く下を向きませんでしたね。

FKからの敵DFのクリアを山口が拾って、ゴール前で矢野が繋いで、その先に居たのは木島。胸でワントラップから流し込んで、わずか2分で同点に追いついた。
スコアが示すとおり全く互角の内容だった前半でした。

ハーフタイムで池谷監督は「苦しいときはスペースを埋めろ。慌てて何かしようと思うな」と指示。一方のクルピ監督は「マイボールになったら押し上げろ。ボランチは前に勝負しろ」と。
後半、その両指揮官の指示どおりの展開になりました。

熊本は無理して押し上げない。一見、疲れで足が止まったかのようにも映ったでしょう。逆に大阪はチャンスと見るやリスクを懸けて攻め込みます。
2点目は、香川がペナルティエリアまで突っかけ、ラインギリギリからの折り返しに、後半途中から入った森島康仁がダイレクトで押し込んだもの。香川のテクニック、森島の決定力が光りましたが、このときの大阪はリスクを承知でDFだけ残し、中盤以上全員がエリア直前まで駆け上がり、一気に押し上げていた。

歓喜する大阪サポーター。しかしそれを沈黙させたのはまたしても木島。鋭いドリブルでペナルティエリアに侵入すると、思わず大阪DF山下が倒してしまいます。
怒濤のような歓声が、今度はホーム側から沸き上がりました。

なんとなくPKキッカーはチームのエース高橋が務めるものという先入観があったのですが、ペナルティ・マークにボールを運んでいるのは木島自身。やっぱりここは帝京の先輩としての意地がまさったのでしょう。ちょっとドキドキしましたが、これをきっちり決めて再び同点。

木島って、相手にとっては本当に嫌な選手だろうと思います。
バイタルエリアでの重心の低い突進力。玉際に強い、というより粘っこいと表現したほうがいいようなプレースタイル。怪我でここ2年ばかりサッカー生活を棒に振っていたところに、縁あって熊本の一員となった。1点目取ったあと、ベンチに駆け寄り池谷監督に深々とお辞儀をしたその姿。その胸中を思うと、この選手が来てくれてよかった、チームの一員でよかったと思わずにはいられない。

そう。体をこじ入れてボールを争う。簡単には倒れない。ラインギリギリまでボールを追うことを諦めない。木島のそんな気持ちのこもったプレーのイメージが、前節あたりから、何となくチーム全員に乗り移ったような気がしています。
GK小林も前節に続きスーパーセーブを連発します。しかしそれも、小林ひとりが“当たっていた”と言うより、チーム全員がボールに集中していたから、落ち着いていたから守り抜けたと言えるのではないかと。失点しても“恐れる”ことはなくなった。バタバタしなくなった。時間や流れや、自分たちをコントロールできるようになった…。

そして本当のドラマはロスタイム直前にやってきました。90分近く走り抜いた木島を下げて山内投入。このまま同点で終わるかと思われた時間帯。中盤からのカウンター、高橋がワンタッチでDF裏に。スペースに走り込んだ山内は長い距離をドリブルで持ち込みGKと1対1に。待ちかまえるGK相澤。カバーに走るDF。まるでスーパースローを見ているように長い長い時間に感じられました。山内が慎重に振り抜いた一瞬、ボールは相澤の手をかすめ、ゴールの右隅に突き刺さった。

大阪サポーターを奈落の底に落とし込んだ瞬間。対して狂喜乱舞の熊本側スタンド。ちぎれるように振り回される赤い旗やマフラー。突き上げられる拳。スタンディング・オベーション。喝采。
ファンの視線の先には、若き殊勲者を祝福するチームメイトの姿が。それは乱暴なくらい歓びに満ちあふれていて…。

「ロアッソ、調子悪いね。」と周りから言われても、「なぁに、ときどき勝つからよけい嬉しいんですよ。」とうそぶいていました。それにしても、待ち望んだこの勝利は格別に嬉しい。実に10試合ぶりの勝ち点3。

“ハードワーク”

試合後のインタビューでは熊本側も大阪側も、この言葉をキーワードとして何人もが口にしていましたね。岐阜戦の無失点引き分け以来、少しづつ薄明かりが見えてきていると思っていましたが、それは少し確信めいたものになっています。強くなったなあ、ひとつレベルアップしたなあと。しかし忘れてはならないのは、それを支えているのが90分間の“ハードワーク”であること。言うのは簡単ですが・・・。

試合終了の笛と同時に選手がへたり込む、膝を折る。そんなハードワークを続けなければ戦っていけないチームだからこそ、われわれファンもスタジアムで90分間、チームと一体化して闘う甲斐がある。愛すべきチームだな。そんなふうにも感じています。

さて、伏兵FWが二人も結果を出して、中山もうかうかしていられない。この試合はアシスト役にまわった高橋も、そろそろゴールが欲しいところ。選手層の厚みが、ファンの楽しみを増してきたといった感じですね。
次節は首位を独走する広島。高橋、上村の古巣。一泡ふかせてやりたい。ちょっとばかりそんな“欲”をかいてみたい気持ちも出てきましたね。

6月25日(水) 2008 J2リーグ戦 第22節
仙台 0 - 0 熊本 (19:04/ユアスタ/10,317人)


日本のリーグ戦は、あまりホームアドバンテージを感じさせないリーグといわれます。J1でもしかり。統計的にも目に見えてそんなにホームチームの勝率が優位とはなっていないのではないでしょうか。そんななかでJ2であっても、ホームにキャパ一杯のファンを詰めかけさせるチームがあります。
それが仙台。

ホーム“ユアテックスタジアム”の立地もさることながら、悲願のJ1復帰を想いスタジアムに通い詰める本当に熱心なファンが多い。彼の地では、楽天イーグルスにも劣らない人気なのではないでしょうか。是非、一度は訪れてみたいアウェーなのですが、今回はスカパー観戦になりました。

試合前には、先日の仙台・岩手地震の被災者に黙祷。選手も喪章を腕にはめています。360度、ほぼ仙台サポーターで埋め尽くされています。熊本のサポーターはアルデラス・メトロ中心なのでしょうか、10数人の姿が見えます。
テレビの音声ではそこまで感じませんが、恐らく現地では怒濤のように押し寄せるホームサポーターのチャントで、スタジアム全体が揺れていたのではないでしょうか。

いわゆる完全アウェー。

仙台 (先発フォーメーション)
14平瀬 13中島
11関口10リャン
7千葉8永井
26田ノ上23田村
32岡山5一柳
 16林 
前回対戦では主力を休ませ、不覚にも引き分けに終わった仙台。あれが「足踏みの始まり」だったとの後悔があるのか、今回は“ここ8試合勝ちのない”“最下位”熊本相手にホームできっちり勝ち点3をいただいてケリをつけようかと前がかり意識満々の様子。立ち上がりから圧倒的にポゼッションを確保します。

一方、熊本はボールを奪っても、前になかなか運べない(運ばない?)。最終ラインで回して、前線へのロングボール頼み。無理して組み立てて、中盤高い位置で奪われることが怖いのか。恐れているようにも見えましたが、これが前半のゲームプランだったのでしょう。

ところが途中、攻守の切り替えが俄然早くなった流れのなかで、熊本にもチャンスが生まれてきます。仙台を大いに慌てさせたCKからの連続シュート。前半のスコアレスを十分に意識しながらも、機を見て勝ちにいく気持ちもしっかりと見せてくれました。

市村、矢野の両サイドバックの攻撃参加と守備に戻る運動量。スペースに入る、あるいは埋める両SHとの連携も出来てきました。ときおりサイドに一人入り込まれ決定的なピンチを招く、そんな失点シーンを多く見てきましたが、例えば前半、右の田村が入り込んだ決定的シーンに詰めきった矢野、あるいはその他の決定的な場面もGK小林がきっちり守りきりました。

その後も熊本はしのぐ、散らす、タイミングを外す。そして決してバランスを崩さない。決め切れない仙台は次第に焦れて、ミスも目立つようになります。

いくつかのラッキーと、同じくらいのアンラッキーが重なり合う展開。

途中交代の木島が、いつものように“2つ”の決定的なチャンスを作るも決めきれず。惜しかった。でも実に面白かった。

試合終了後は1万人のホームサポーターから仙台イレブンにブーイング。ちょうど2年前の天皇杯のときのように。逆に熊本イレブンには自分たちへの賛辞のように聴こえたことでしょう。

確かに勝ちきれなかったことは事実です。しかし、中二日のスケジュールで一番遠いアウェーへの移動、四面楚歌の敵地、足もすくむような大観衆の怒号、置かれている順位状況。そんなくじけそうになる条件のなかで、わずかなホームチームの“メンタル”の機微をうかがい、その裏側を微妙に突いたような試合運び。しのぐ時間帯を自らつくることで、逆に自分たちの時間帯を手繰り寄せることができた。ゲームプランと同時に、試合の流れに対する“読み”をチーム全員が共有し、それを実行できたというべきか・・・。

また“経験値”が上がった。このアウェーでのドローは、さらにそれを大きく上乗せしたと思うのです。昇格候補・仙台に対し2連続でのドロー。これでちょっと仙台からは“嫌な相手”と一目置かれるようになるかな。そんな期待も持たせる内容のある一戦でした。
しろ08オフシーズンに、Jリーグとの間でユニフォーム・スポンサードに関していろいろと経緯のあった高橋酒造。外野ほどうるさいあの問題の渦中にあって、謙虚で真摯な見識を示されたことは、以前のエントリーでも触れたとおりです。そして、今後も変わらぬ支援を約束していただいた…。我々が誇りとする、心あるスポンサーのひとつです。

すでにチーム公式HPでも発表されていますが、その高橋酒造から今年も“白岳しろ”ロアッソ・ボトルが発売されます。もちろん、売上の一部をチームの活動資金としてサポートするシステム。

昨年、驚かされた真っ赤なラベルの“しろ”ボトル。何気に変わらないようですが、実はよく見比べてみると、ベースの赤がより鮮やかな色彩になり、またロアッソの跳馬のマークが、昨年の白抜きのものから赤黒仕様のフルバージョンになってリッチ感が増しています。なにしろ“しろ”抜きでは縁起も悪いですからね。
ただし、“しろ”の文字に関しては、完全な「白色」になりました。これも昨年の「銀色」よりは、かえって高級感があるのかと…。

そして、なんと言っても昨年と比べて全く大きく違うのは、表ラベル角と裏ラベルに燦然と輝く“Jリーグ・ロゴ”。もちろん、今年我々のホームチームがJリーグの一員なのだということを示す証ですが、実はこのマークが付いているということは、リーグ公認商品だということ。(Jチームのグッズである以上、ロゴがあろうが無かろうがリーグの管理下にはなるわけですが。)
しろ裏俗っぽく言えば、この商品が売れるごとに何パーセントかのロイヤリティがJリーグにも支払われるということ。われわれが知るなかで、ロアッソのJリーグ・ロイヤリティ商品は、これが第一号ではなかったでしょうか。

2008年(Jリーグ元年)版ロアッソ・ボトル。
ホームチームが今年晴れてJリーグに上がったことを、ファンと一緒に祝いたい、Jリーグ・ロゴの入ったボトルでその歓びを分かち合いたい。という我々のスポンサーの、“因縁”など飛び越えた暖かい心が伝わってくるような気がします。

 ロックに“ちょい水”がおいしい季節になりました。実にどこかの国のシングルモルトなんかよりも美味しいスピリッツがわれわれの“ホームタウン”にはある。

7月1日からの限定発売に先んじて、6月28日のC大阪戦、KKウィングで先行発売されるそうです。
このJリーグ元年ボトルを手に入れたら、これまで熊本のJリーグ入りに力を尽くした多くの選手や、関係者のことを想って、“Jリーグ・ロゴ”を撫でてやりたいものです。

6月21日(土) 2008 J2リーグ戦 第21節
熊本 0 - 1 鳥栖 (15:04/熊本/3,292人)
得点者:44' 藤田祥史(鳥栖)


勝負には負けましたが、内容は五分五分だったと言えるでしょう。九州ダービーでのホーム戦は今節で最後。“隣町”のJリーグチーム・鳥栖をKKに迎えました。

鳥栖 (先発フォーメーション)
9 キム・シンヨン 25藤田
19山城7廣瀬
15鐵戸8衛藤
28谷田5飯尾
13日高2柴小屋
 21室 
熊本は朝から注意報が灯るほどの豪雨。開催が危ぶまれるほどでしたが、水前寺の福岡戦のときと同じように、千人近くの鳥栖サポーターの来襲。これで試合中止となっては、怖じ気づいたと言われかねません。
熊本の選手紹介の際、鳥栖サポからひときわブーイングを浴びたのは、矢野と高橋。矢野は元鳥栖戦士として“お約束”。一方、高橋に対しては前回対戦での同点弾を思ってのことでしょう。
その矢野がこの試合は奮起しました。タイミングよく上がり、幾度と攻撃に参加します。最後の最後に、決定的なシーンもあったんですが…。あれはさすがに悔しかったでしょう。

明らかなように、前半の20分過ぎくらいから、完全に熊本の時間帯でした。鳥栖の前線とボランチの間が空いてしまっているため、面白いようにセカンドが拾え、パスが繋がります。波状攻撃。ここが点の取りどころ!
しかし枠がとらえられない。前半スコアレスもやむなしと思ったロスタイム、中盤での奪い合いから鳥栖のボールは前線のキム・シンヨンに。思わず「そこは厳しく(行け)!」と叫んだんですが、河端がかわされてしまいます。なんだか前回対戦を思い出すようなシーン。切り返しもみごとに、センタリングに飛び込んだ藤田に決められてしまいます。

わずかな隙でした。1対1に敗れたというより、ライン自体が曖昧で緩慢だったのでしょう。
内容の悪いなかで奪った1点。攻めながらわずかな残り時間で奪われた1点。この1点が重くのしかかりました。

内容の悪さに、ハーフタイムで敵将・岸野監督の激しい“檄”が飛んだことは想像に難くありません。後半開始早々、鳥栖は猛烈に押し込んできました。
これまでの熊本ならこの時間帯で、追加点を奪われていてもおかしくなかったでしょう。
しかし今日は、これをいなす。
それは、熊本の成長を感じさせました。誰一人とも“怖がっていない”。「勝ちたい!この試合に」。この一心が全ての選手から感じられました。いずれ同点にする。そして逆転もある。そう感じさせるものでした。

後半途中、木島、西森を投入して攻撃的に。何度も好機があれど決めきれず。最後の最後まで、前節から続く鳥栖の泥臭い身体を張ったディフェンスに阻まれまれてしまいます。

敵を上回る14本のシュートに対して、その“決定力”を嘆く向きも多いかと思います。
しかし、この試合で見えたのは、コンディションが悪くても勝ち点に“執着”する鳥栖の勝負強さ。
熊本に足りないものは、ほんの一瞬の判断。それは、失点の場面だけでなく、攻撃の組み立てについても…。
足元にもらってから考えている余裕は、このカテゴリーにはない。味方のボールになったら、どう動き出すのか。ボールを奪ったらどこに出すのか。アイコンタクトはなくても、「きっと、そこに走り込んでいるはず。」というパス、そういったチーム全体での連動性がなければ…。個の力だけでは、敵の強固な守備はそうそう崩せない。

そういう意味で、お手本のようなサッカーをする鳥栖に対して、そのカウンター攻撃を芽の部分で完全に潰していただけに、この敗戦は非常に悔いが残りました。なによりホイッスルが鳴った瞬間の選手たちが、一番悔しそうだった。

あと一皮、あと少し。その差が、1失点であり、同点に追いつけない“1点”。ひいては勝ち点3という差なのではないでしょうか。
「負けに慣れないように…。」前節、池谷監督はそうコメントしましたが、選手たちはそんなことより、手応えと更なる課題、そして人一倍の”悔しさ”を感じているような気がします。

6月11日(水) 2008 J2リーグ戦 第19節
岐阜 0 - 0 熊本 (19:03/長良川/2,030人)


やはり平日の夜の試合は厳しいですね。残業もあって録画を完全に観たのは翌日になってしまいました。おまけに激しい風雨の影響で庭木の枝がアンテナの邪魔していたらしく、かなりの時間帯でモザイク画面も・・・。皆さんもお気をつけください。

さて、前節の対戦後、2-0の勝利に「熊本がしてくることは、だいたい想定できていた」と豪語した岐阜の松永監督でしたが、その試合以降ここまで白星はなく。JFL時代からは大幅に入れ替えたメンバーの“個”の力でここまで押してきましたが、第2クールに入って研究されだしたのと、故障などで“個”が揃わなくなってきたのが一因のようです。

FC岐阜 (先発フォーメーション)
10片桐 9相川
11高木33梅田
7北村27菅
6那須5川島
3菊池2深津
 21日野 
熊日などの報道によれば、前半岐阜は選手のコンディションを考慮してリトリートする戦略だったそうで。対する熊本は、前節福岡に敗れながらも掴んだ攻撃の連動性が、この試合でも発揮できていました。セカンドの拾い合いのような展開のなかにも、パス交換からの“3人目の動き”が見られた。ポゼッションを保持し、岐阜にチャンスというチャンスは与えない。ひとつだけ、開始早々に前線の相川に入ったボール。反転してシュートを撃たれましたが、実は右に梅田がひとり余っていた。そこへのパスを選ばれていたら決定的な場面ではありました。

後半、松永監督はDFラインを上げることを指示したようですが、ピッチコンディションを考慮した熊本のロングボール攻撃が、結果的に押し下げることに成功しました。54分、高橋得意のミドルFK。67分には高橋から熊谷への決定的ラストパス(57分、松岡→熊谷の交代)。GKがはじいたあとも右から吉井が詰めてきていました。

吉井と熊谷という右も左もボランチタイプというサイドの布陣。あの時間帯からの展開としては絶妙の配置でしたね。もともと守備の意識の高い選手。全体を見渡して守備の穴をきちんと埋めていく。攻守どちらに傾くでもなく、バランスよく運動量を保ちました。そこに山口、山本という両ボランチが90分間スタミナを切らすことなく走りまわれた。

お互い勝負に出たといえるのは80分も近くになって。岐阜は切り札として前線に小島を投入。対して熊本は中山に代えて木島。ようやく岐阜の時間帯という感じ。松永監督は1点を押し込み逃げ切ろうという戦術だったのでしょうが、ここは熊本のDF陣も集中を切らさず。ロスタイムの決定的な場面も、福王、河端の両CBが体を投げ出し阻止しました。

巷では初の零封試合を評価する声が多いようです。確かにベンチワークも含めて、終始、攻守のバランスを崩さないよう意図した試合運びではなかったかと。そして、ある意味、現時点で熊本ができる組み立ての“基本パターン”が見えてきたゲームではなかったかと。地味なゲームではありましたが、ちょっとターニングポイントを感じさせるような。これでDF陣ならずとも全員守備の集中力に自信が付いてくれると嬉しいですね。かたや今回も岐阜に対して白星をとれず、相性の悪さを嘆く人もいるのかと思いますが、われわれは逆に、3連敗中で、しかも相性の悪い岐阜に対してアウェイで、勝ち点1をきちんと取ったと評価したいところです。

同期、同期とまわりからは煽られますが、このゲーム、課題を修正しながら自分たちのサッカーを追求しようとしている熊本、現状のチームコンディションのなかでこの試合をしのぎ勝ち点を得ようとした岐阜。長くて過酷なJ2日程もいよいよ中盤に差しかかる苦しいこの時期。1年生同士が見せた“因縁もなにもかなぐり捨てた”“戦いの日々の一試合”。お互いちょっと逞しくなったなあ。そんな印象を持ちました。
6月8日(日) 2008 J2リーグ戦 第18節
熊本 1 - 2 福岡 (13:04/水前寺/4,886人)
得点者:9' 中山悟志(熊本)、29' 中村北斗(福岡)、41' タレイ(福岡)


熊本サッカーの聖地・水前寺でJリーグ公式戦が開かれるのは、いつ以来になるのでしょう。”熊本”のホーム試合としては、まぎれもなく始めて。しかも、福岡を迎えての九州ダービーとなりました。KKが単に取れなかったとはいえ、なんだかここにも”因縁”を感じてしまいます。アビスパ・サポはおよそ1000人か。ゴール裏からはみ出し、メインのアウェー側も占拠されました。

メインスタンドの喫煙所からふと見ると、競輪場の建物の階下に、アップする福岡の選手たちが見えました。その雰囲気は、いい意味での緊張感に溢れ、寡黙で、そしてこの試合に懸けるものを充分感じさせました。

第1クールでの対戦は高橋のハットもあり4-2で熊本が勝利。その試合から福岡には監督解任騒ぎが起こりましたが、その後持ち直し、現在2連勝中。3バックをマンマークにして、スイーパーに布部を置くという変則的な布陣で、守備を立て直しているという前情報でした。

福岡 (先発フォーメーション)
 19大久保 
17中島14中村
7久藤16久永
 8タレイ 
3山形13柳楽
5長野6布部
 1神山 
試合開始。確かに福岡の3バックのマンマークは噂どおりでした。しかし、これに対して熊本は、FWの高橋、中山が縦の関係で入れ違い、時に2列目よりも下がることによって、マークを外します。更には最終ラインとボランチとの空いたスペースを有効に使うことによって、流動的に押し込んでいきます。それによって得たCK。これを中山がきっちり決めて、熊本が早々と先制しました。

面白かったのは福岡のCK時の守り。3バックこそマンマークですが、このCKのときは全員がゴール前に壁を作るように乱立して、何とも言い難いような“ゾーンディフェンス”。人には付かないのです。こんな光景は始めて見ました。
1本目は、これでうまく中山がフリーになったのですが、その後のCKも、もう少しこの守備の弱点を攻めるキックを考えればよかったのにとも思います。

その後も、ポゼッションは熊本だったといえましょう。失点は29分、中村のヘッドでしたが、そのクロスを上げた久永の個人技がみごとでした。しかし、“流れ”や”文脈”を遡ればその前に、危険なスペースで山口が犯した不用意なファールに問題がありますし、さらにその前の中盤での緩慢なプレスに問題がありました。

41分のPKもしかり。小林は確かにボールにいっていたんですが、回転したときに足があがっていたのが審判には悪印象だったのでしょう。しかしここでも問題は、その前にやはり久永にエリアへの侵入のスキを与えたところにある・・・。

今日の審判には確かに不満がなかったとは言えません。個々のプレーへの判定が曖昧であり、均一でなかったし、なによりFKからの壁の位置が非常にアバウトだったのには苦笑しました。しかし、とりあえずどちらかのチームに偏っていたわけではなかったので、我慢するしかないのでしょうが。昇格してから印象に残ることのひとつに“Jの笛”の安定感や威厳、リズムを感じていただけに、今日ははっきりとその技量に見劣りがしました。

1点ビハインドの後半、熊本にも得点の匂いはありました。しかし、攻守の切り替えが早くなっていく流れのなかで、自らのミス、それもフィニッシュではなく、それに至るまでの段階での細かいもの。“ミスを恐れるな”とは言いますが、それは“リスクを犯しても”と同時に使われる言葉。リスクのないところで犯すミスは“自滅”と同義語になってしまう。それで熊本は自らチャンスを棒に振り、さらに体力を無駄に消耗していったように感じます。
相手にとってカウンターが“怖くない”どころか、“前に運べない”。これはもちろんシステム的な失陥(それは選手の判断力、体力も含めて)があったのでしょうが、それについては他の多くの人たちの分析に任せます。

ただ言えることは、今日の福岡、決して恐れるような強さはなかった。十分に勝てた相手だった、勝てた試合だったと・・・。
九州ダービーだからこそ、そしてホームだからこその”力”を示すべきだった。それは、選手だけでなく、4800人の観戦者のうち1000人ものアウェーサポに占拠されたわれわれファンにも言えることではないかと。雨が予想されようが、福岡は4台のバス、プラスJRや自家用車で多くのファンがこの試合に駆けつけた。この試合で3連勝するために。いや3連勝させるために・・・。

試合後、鳴りやむことのない福岡のサポーターの”コール”。その前を横切り家路に向かうことの”屈辱”。われわれは、ホームで敗戦するというこの屈辱をもっと心に刻まなければならないと思いました。5月6日のあの日、向こうがそうだったように。

敗戦という結果だけを嘆いたり、チームを責めたり、戦力のないものねだりをしたり、他チームを羨んだり、そんなことを言っているのではありませんが、悔しい思いや屈辱感を、もっともっと胸に抱いて、エネルギーに換えて、われわれファンも闘う姿勢でなければと。
それがホームチームを応援する”姿”だと、数々の難局を乗り越えてきて、今もまさしくその真っ只中にあるだろう先輩・福岡に教えられたような気がします。
5月30日(金) 2008 J2リーグ戦 第17節
草津 2 - 0 熊本 (19:05/正田スタ/1,819人)
得点者:4' 後藤涼(草津)、70' 山崎渡(草津)


先発フォーメーションは、ほとんど熊日紙面で予想されたとおりでした。PSM東京V戦以来の4-1-4-1。ただしワンボランチは上村であり、ワントップは高橋でした。

われわれは、前日の熊日紙面を見たとき「面白い」と思いました。このところ調子を落としている感のあるスタメン陣。チャと小森田、両サイドプレイヤーの離脱。第2クールに入り、対戦経験のある相手に”裏”を画く。向こうが恐れるFW高橋をトップに置き、山内、木島の両シャドー・・・。

ところが草津も、もちろん前回ホーム開幕戦で対戦した時のメンバーとは微妙に違っていて、そして”勢い”があった。キックオフの前のセレモニーで、「第1クールMVP」に選ばれ表彰されたのは、FW後藤涼。前回対戦した氏原は故障で戦線離脱の様。そして、その若きエース後藤に先制弾を決められてしまいます。

開始早々からアグレッシブに攻める草津に対して、熊本の新布陣は一時的に完全に混乱してしまいました。向こうのボランチを封じるはずの喜名と山本は、サイドの守備に忙殺されているのか”姿が見えず”、アンカーの上村が一人、中盤で”カウンターパンチ”を浴びているような守勢。4分、早々と最終ラインを破られ、先制点を許しました。

このシュート、やや角度のないところから厳しく決められてしまいました。逆に19分に高橋の放ったミドルは、相手GKが全く反応できず見送ってしまいますが、ポストに嫌われてしまいます。不運。4回ほどあったCKのチャンスも決めきれず。後半早々は、セカンドも収まりはじめたのでしたが、終始果敢に走りまわり、可能性を見せた木島のシュートも枠をとらえきれずに、逆にこのプレーで痛んでベンチに下がります。ここで、吉井にスイッチしたのは、ある意味監督の”勘”だったのでしょうが、その後も攻撃は活性化せず。

逆に25分、MF山崎にミドルのスーパーシュートを決められてしまいました。次のカードは中山ではなかったのかと思います。もう一度、高橋、中山の2トップに戻して、草津の混乱を誘うべきではなかったのかと・・・。熊本は、運動量の落ちた喜名、上村に代えて山口、有村を投入しましたが、結局1点も返せず膝をつきました。

熊日の試合後のインタビューによれば、「相手の2点目が痛かった」と池谷監督。対する植木監督も「2点目が大きかった」と・・・。誰もがそう思う、しごく当たり前のコメントのようですが、両監督が示しているのは、この試合が、結果こそ2-0完封ゲームになったものの、力が拮抗したきわめて”紙一重”の展開だったということでしょう。高橋のミドルを悔やんでも、”たら、れば”としかとらえられないでしょう。同じように草津も後半、山崎のスーパーミドル以外 、チャンスというチャンスはなく、これもまた逆に”たら、れば”ですね。

敵将・植木監督はそのうえでの勝利を、「選手たちが試合を流せるようになってきている。彼らが90分での戦い方を分かってきてくれたのかなと思っている」と表現しています。それも含めた草津の”勢い”なのでしょう。

ならば、わがロアッソも、まだまだ下を向く必要はありません。勝ち切れなかった草津や水戸が、今、勝負をものにしている。その両者の”経験”に、まだ及んでいないということです。なにより、こんなところで下を向くために、”長年”Jを目指していたわけではないのですから・・・。

完封負けは屈辱感を伴うものですが、このゲーム、われわれは決して“悪くなかった”と感じています。ボール奪取に行く場面、判断の意思統一も感じられたし、木島、山内を先発させた戦術意図もしっかりと共有されていて、前節の完敗から修正してきたなと。チャジホ、小森田のケガというマイナス材料から新たなオプションの可能性も感じられたような。それは、木島、山内が与えられたチャンスをつかみとろうと貪欲であったことにもよりますが。何より最後まで足を止めることなく選手たちは終始、よくファイトしていた。後半、かなり押し込んでいたところも、前半の修正が効いていた。ただ、細かいところでのミスが、相手に運をもたらした。

次節は、福岡を迎え、熊本で初の”新・九州ダービー”。向こうは2連勝と調子を上げている上に、前回対戦のリベンジと、モチベーションも想像以上でしょう。相当の闘志を持たなければいけません。選手もわれわれも。ホーム水前寺で勝利しましょう。