3月19日(土)東日本大震災被災地支援活動トレーニングマッチ
ロアッソ熊本0-3サガン鳥栖(ベストアメニティスタジアム、45分×2本)


東日本大震災において亡くなられた多くの方のご冥福を祈るとともに、愛する家族や友人、同僚を亡くされた方々に心よりお悔やみ申し上げます。そして、今なお避難所で辛く不安な日々を余儀なくされている被災者の方々を思い、一刻も早い復旧を願って止みません。

“未曾有”などという3文字で表現することすらもはや憚られます。11日からこのかた、報道で目にする被災の状況を目の当たりにして、何を綴ればいいのか戸惑っていました。ただただ、われわれは運がよかっただけではないのか、そしてわれわれに出来うることの何と小さいことかと…。

Jリーグは当面、3月の日程を中止し、再開のメドは立っていません。今の状況を見ればそれは当然のことと思われます。ベガルタ仙台、鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、JFLに目を転じればソニー仙台…。選手はともかくスタッフの安否、ホームスタジアムの損傷、交通アクセス、電気、水などライフライン…被災地のチームは多くの重い問題を抱えています。さらには電力不足で“計画停電”を余儀なくされている都内には、FC東京、東京Vというチームが。プロ野球セントラルリーグの開幕日程をめぐっては相当な論議を呼びましたが、やはり被災地のチームがなかったということもその意思決定過程に影響しているのは間違いないでしょう。

こういった状況に対し、サッカー界からの発言もいくつかでてきています。いつも斜め横からの論評を得意とするサッカージャーナリスト杉山茂樹氏は、この期に及んで「サッカーどころではありません」という表現で、茫然自失感をブログに表しました。また、日頃はわれわれとは少し立ち位置が異なるな、という印象だったセルジオ越後氏。しかし今回の言葉は今のわれわれには響きました。いわく「1人負傷者が出たからといって、勝負を諦めるのか?」「 10人でも勝利を目指して戦い続ける、倒れた人の分まで走るのが、サッカーだ」と。そして「悲しみを超えて、みんなで立ち上がろう」というメッセージ。さらに、昨日金曜日の熊日夕刊では、西部謙司氏がその連載のなかで、「サッカーは世界のスポーツ。痛みを分かち合う機会も多い。(世界から)寄せられた激励と、“痛みを分かち合える想像力”、そしてサッカーを通じての絆に感謝したい」と述べ「ヨーロッパではどのチームも喪章をつけずにプレーする週があったら、それは珍しい」ことだとも。

19日の今日、各地で“チャリティ”と銘打ったTMが被災地以外の各地で行われ、ベストアメニティスタジアムではわが熊本とサガン鳥栖が対戦。スタジアムのゲートには募金箱を携えた鳥栖スタッフの方々が立ち、チャリティを呼びかける。われわれは松本育夫前監督の姿を見つけてそこに募金。そこには入りきれないくらいの千円札が。「ご苦労様です」と声をかけると「本当に助かります。ありがとう」と重い声で返事をいただく。ピッチでは両チーム選手は喪章をつけ、審判団も上下とも黒のユニフォーム。両軍のゴール裏からは「ニッポン!!」コールに続いて「ベガルタ仙台!!」「鹿島アントラーズ!!」「栃木SC!!」「水戸!!」…と交互に被災したチームへの友情のコール。挨拶に立った運営会社・サガンドリームスの牛島社長は「この両チームの選手たちも、自らの出身地が被災した者、かつて所属したチームあるいはそのチームメイト、スタッフ、その家族…そんな仲間が被災地にいる」と述べ、まさに痛みを分かち合う思いを訴える。そして一分間の黙祷。試合後は、両チーム選手はまず相手チームのゴール裏へ挨拶に走る…。

被災地へのチャリティと言いながら、何だか自分たちが多くのことを学ばせてもらっているような気持にもなります。このような状況のなかで、サッカーが、サッカーを通じて、サッカーだけではない社会的な存在としても機能し、役割を果たしていくということ。つまり西部氏の言う“痛みを分かち合う想像力”が試されているように感じます。そこで単純に“思考停止”してしまう人。そうではなく、広く深く様々な角度から状況に“思いを致す”ことのできる人。この大災害はそんな人としての(組織としてもですね)根本的な深さをくっきりと炙り出しているような気がします。


さて、“不謹慎”という名の節制を戒め、“片肺”の日本経済を“回して”いくため、何とか西日本だけでも普段どおりに、あるいは東日本の分までもっともっとエネルギッシュに活動しようという意見は多く見られます。それはまさにそのとおりだと思います。そしてJリーグにとっても、特に脆弱な財政のJ2クラブにとっては、中断期間の長さはまさに経営面で死活問題につながります。しかし、そうは言っても西日本だけでは“回して”いけない仕組み。それがわれわれのJリーグなのです。被災地の復興を切に願いながらも、この時期に“不謹慎”の謗りは免れないとは承知しつつも、われわれのクラブやリーグの存続にも思いを巡らせてしまうことをお許しください。

「一人のベガサポが天国へ旅立ちました エピソード2」と題するこのブログ。
どうしようもなく涙するのはもちろんですが、このご遺族の思いをわれわれは大事にしていきたいし、しなければいけない。今はそんなことしか思い付きません。

3月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第1節
熊本 1 - 0 東京V (15:07/熊本/6,611人)
得点者:39' 根占真伍(熊本)


開幕戦。ごった返すKKのコンコース。昨シーズンの最終戦以来3カ月ぶりに再会する顔、顔。互いに挨拶を交わし、今シーズンの話題についつい話し込んでしまいます。ただ、この人と会うのはそれ以上に久しぶり。チーム統括部の首藤君。(もう以前のように“君”付けで呼べないほど立派になってしまったのですが、昔からの仲ということでお許しください。)彼にとっては一番忙しい季節が終わり、ホッと一息ついた開幕。その気の緩みを狙って、オフの裏話しをなんとか聞きだそうとしたんですが、もちろんなかなか口が堅い。しかし一言だけ印象的だったのが「高くなったでしょ?」という言葉。それを実感したのは、試合前のピッチ練習に熊本の選手達が入場してきた瞬間でした。長澤、ファビオ、ソンジン。この3人だけで、相当に平均身長を押し上げている。東京Vに見劣りしないどころか、一目瞭然、圧倒的な優位に立っているのがわかりました。

熊 本
9長沢11宇留野
 27ファビオ 
7片山23根占
 8原田 
26筑城15市村
6福王2ソンジン
 18南 

制空権は完全に熊本にありましたね。前線の長澤のところでも、その下のファビオのところでも。あるいはCKの場面では、そこにソンジンと福王が加わって。アメフトのショットガンフォーメーションよろしく一斉にボールに飛び込む姿は、NHK中継の解説・山本昌邦氏をして「迫力がありますねぇ」と言わしめました。

東京ヴェルディ
25平本27市川
 7河野 
16飯尾10菊岡
 14富澤 
23高橋2福田
20深津17土屋
 26柴崎 

対する東京Ⅴ。直前に故障者が続出したのか、前エントリーで整理した各種メディアの予想フォーメーションは全くあてにならず、富澤をボランチに上げて、熊本と同じ中盤ダイヤモンドを敷いてきました。しかし、このシステム、いかにもの急造感は否めず、出だしから熊本が押し込む場面が続く。長澤、宇留野、ファビオが高い位置で奪って前を向く。あるいは前線からの守備もはまって、ワンボランチの原田も読み通りに動けました。なかでもファビオの存在感が光りましたね。守備に攻撃に、ピッチを縦横に走り回ります。原田のワンボランチを陰で支えたのは彼の無尽蔵の運動量だったのではないでしょうか。

前半途中から東京Vにも元気が出てきて、ちょっと危ないかなとも思う場面もありましたが、その心配を払拭する“いい時間帯”で根占の先制弾。ヘッドでの応酬のあと片山が戻して、中盤から根占が強烈なミドル。ゴール前の宇留野で角度が変わったのもありますが、GK柴崎も見送るしかないシュートでした。熊本にはそこまでも再三のチャンスがありましたが、最後の最後にDF土屋に阻まれていました。その厚い壁・土屋をかわす意味でも、意外性のある攻撃でした。

根占真伍。片山と同じで敵として相対していたころから“好みのプレーヤー”だったんですが、移籍早々、大仕事をやってくれました。いや、得点だけでなく攻守にわたり的確なポシショニングとテクニックに感心させられます。試合前の選手紹介では東京Vのゴール裏からも彼には大きな拍手が。(反面、高木監督には大ブーイングが浴びせられましたが…。(笑))

ヴェルディが後半開始からマラニョンを投入する意図は明確でした。左サイドを抉ってクロスを上げられたときは万事休したかと思いましたが、見せ場はそこまででした。降り続いた雨で濡れたピッチ状態のせいか、あるいは急造のシステムのせいなのかも知れませんが、とにかく今日のヴェルディはミスが目立った。最後の猛攻には少し怖さを感じたものの、熊本の執拗な守備にパスワークを寸断され、最後までヴェルディらしさは見られずじまい。ちょっと拍子抜けしたというのが正直な心境です。

もちろん熊本にも課題は残りました。何度かの決定機を決めきれなかった。試合を決定づける意味の追加点が取れなかった。残り10分で入った仲間が、なんかやってくれそうだったのですが、最後の力を振り絞って同点に持ち込もうとするヴェルディに“消されて”しまいました。しかし、今日はこの開幕戦初白星という結果だけで“大満足”です。しかも、今季からチャレンジしている新しいシステムで、新しいメンバーが躍動しての白星。あの重いピッチ状態で前線から執拗に守備を続け、90分間よく足が止まらなかったなと。昨シーズンからの積み重ねられたものがさらに厚みを増したなと。

新シーズンのロアッソ。見ているわれわれも、正直“高さの麻薬”にはまりそうではあります。これまで、どちらかと言えば小柄でスピード、テクニックがチームカラーだったように感じていた“固定観念”。それが、まったく別次元の高さを手に入れてしまいました。このあたり、実際にゲームを見てはじめての実感。“昇格”という目標に対して、チーム編成の方針が大きく変化し、それに伴って戦術も進化した。そんな印象を持ちました。

もちろん、この“高さ”は高いだけでなくよく走るし、足許もしっかりしている。さらに、今日は出番のなかった大迫や西森。さらに武富、斉藤ら個性的な面々も控えている。われわれファンの側からはプレーの選択肢が大いに増えたということですが、選手間の競争はさらに激しさを増しているのがヒシヒシと伝わってきます。90分間、誰も、ワンプレーも気を抜かない。戦っている相手はもちろん東京Vですが、それだけではないような。恐ろしく攻守の切り替えが早いんですが、そのワンプレーが“見られている”“評価されている”というような緊張感が漲っています。いやいや、まだまだスタートです。これからまだまだ良くなっていく。面白くなっていく。そんなワクワク感が止まりません。

最後になりましたが、試合前に行われた「ロアッソ熊本をJ1へ」県民運動推進本部本部長・永野光哉氏への追悼セレモニー。雨のなか共に黙祷を捧げていただいたヴェルディの選手、スタッフ、サポーターの皆さんに感謝を申し上げます。また、昨年の署名活動への協力に感謝するヴェルディサポからの「ロアッソ熊本」コールにも胸を打たれました。ひとつ、ひとつ。ピッチ上で戦うことだけではないこんなことの積み重ね。クラブの歴史としてわれわれの胸の中にしっかりと刻んでいきたいと思います。

華やいだ開幕にしては、生憎の天気。それでも6千人を超えるファンが詰め掛けました。凍えるような寒さのなかで、スタジアム中の気持ちを凝縮したようなゲーム。昇格を狙うシーズンに相応しいスタートではなかったかと。冷たい雨の中、走り回っておられたスタッフ、ボランティアの方々。大変ご苦労さまでした。今シーズンもよろしくお願いいたします。

まず冒頭に、熊本日日新聞社名誉会長にして熊本県体育協会会長、永野光哉氏の急逝の報に接し、謹んでご冥福をお祈りし生前のご労苦に対し心から感謝の気持ちを表したいと思います。Jリーグ昇格の際のエントリーで書いたこともありますが、熊本モデルともいえる「県民運動」のリーダー(「ロアッソ熊本をJ1へ」県民運動推進本部本部長)として、わがホームチームの成長を支えていただきました。願わくはチームがJ1の舞台で戦う姿を見ていただきたかった…。本当にありがとうございました。
合掌



さて、ファンにとっては長い長い3ヵ月あまりのオフシーズンがようやく終わり、J4年目の開幕が目前に迫ってきました。開幕直前になって練習生だったイヴァンの正式加入も発表されました。その開幕戦、実は、これまで一度も白星を挙げていないことは意識してはいました。ただ、白星でこそないものの、昨シーズンは強豪・千葉を相手に引き分けて、その後の5戦負けなしスタートダッシュに成功。今振り返ってみれば、あの引き分けは勝ち点1以上、いやチームの歴史を左右するくらいの(ちょっと大袈裟ですが)価値があったとも言えるでしょう。長いシーズンの中の1試合とはいえ、それぐらい重要な意味を持つのが開幕戦だと思うのです。どのチームにとっても。

今年の相手は東京ヴェルディ。過去の対戦成績を振り返れば、昨年は前期・後期ともに勝利。通算でも4勝1敗と勝ち越しているため、苦手意識もなく、むしろ相性の良ささえ感じる相手なのですが、実は昨季リーグ最終順位では熊本より上であり、そして今シーズンの開幕前の各種予想でも熊本より上どころか、多くの評論家がJ1昇格の有力候補と評している前評判の高いチームです。だからなおさら、この初戦で叩いておくことは、われわれファンの想定以上に低い、熊本に対する評論家の下馬評を覆すだけでなく、昇格戦線を占うちょうどいい“物差し”にもなるのではないか。われわれはそう思っています。

それにしても手強い。いくつかの媒体で予想されている先発フォーメーションを列記してみました。

スカパー!JAGS開幕直前特番予想
 平本 
 河野 
マラニョン高木
佐伯菊岡
福田
富澤土屋
 土肥 

サッカーマガジン選手名鑑予想
 平本 
 河野 
飯尾高木
佐伯菊岡
福田
富澤土屋
 土肥 

サッカーマガジン3月8日号予想
 平本 
 河野 
マラニョン高木
佐伯飯尾
福田
富澤土屋
 土肥 

いずれも4-2-3-1のフォーメーション。変わらないのは、GKの土肥と左から森、宮澤、土屋、福田の4バック。そしてトップの平本、トップ下に河野、右SHの高木、ボランチの佐伯。土屋と宮澤のCBは堅い。そこに川崎から攻撃的なSB森が加わり要注意です。問題はボランチで大きな存在感を放っていた柴崎が抜けた穴かと。菊岡を一列下げるのが大方の予想ですが、飯尾も試されているとか。その影響で2列目には昨年は主に交代カードだった高木(弟の方)が食い込んできているようです。平本はご存知のようにその体躯を活かしたポストプレーが上手。そこに河野も加えた2列目が飛び出してくるか、あるいはサイドからのクロスに平本が飛び込むかといったイメージがします。これに甲府から移籍したマラニョンが加わってくるとやっかいな感じ。ドリブルで突っかかってくるし、遠目からも撃てるし…。痛い目にあわされた記憶も消えていません。

熊本は急造といえる東京のボランチとDFラインの間のスペースを使いたいですね。富沢か土屋を引き出してギャップを作らせたい。あるいはそこからはたいてサイドを抉らせたり、クロスから長沢の高さを活かしたり。見所は東京の左サイドと熊本の右サイドの駆け引きもあるかと。森の上がりを誘ったところに、奪ってスペースを使うとか、大きなサイドチェンジとか。いずれにしても右のSHとSBのスムーズな意思疎通、連携が重要になってきそうです。あとはドリブラーの多い相手に対して、自陣ゴール前での無用なファールに注意してほしい。

チームは直前の練習試合や今週前半の練習を非公開にし、ファンに対しても動画投稿やメンバー情報書き込みの自粛を求めています。かなり神経質になってきているなと思ったのですが、既に“情報戦”のなかでの激しい駆け引きが始まっているということなのでしょう。今シーズンにかける思いとともに、それほど重要な一戦ということを改めて認識させられます。

選手たちにはベストのコンディションで迎えてほしい。東京ヴェルディ、相手にとって不足はない。相手も手強いが、ウチはもっと強い。いいゲームになりそうな予感。春風吹き渡る真っ赤に染まったスタジアム。早や4年目のシーズン。開幕戦初勝利の喜びをみんなで分かち合いたい。永野本部長もきっとKKの空の上から見守っていてくださるような…。われわれもそんな思いを胸に試合に臨みたいと思います。さあ、いよいよ開幕です。