11月27日(日) 2011 J2リーグ戦 第37節
熊本 1 - 0 岡山 (13:04/熊本/7,981人)
得点者:13' 長沢駿(熊本)


前節の敗戦に、これは今シーズンの負け試合の典型的なパターンだと感じましたが、今節、今度は勝ちゲームの典型的なパターンになりましたね。

終盤にきて4連敗中の熊本。今日のゲーム内容も、その4試合とさほどの差はない。ただ、ホーム最終戦ということで、確かに、選手の気持ちも入っていたし、早い時間帯での先制の後、ゲームの流れが相手に傾きかけても、ギリギリ踏みとどまり、これまでなら持ちこたえ切れなかったでしょうが、最後まで守備の運動量と集中が切れなかった。追加点は欲しかったが、そう好機は作れず、なんとか追いつかれずに逃げ切った。その展開は、J’s Goalで井芹さんも書いているとおり「まさに今シーズンを象徴するもの」と思いました。

決勝点になった長沢のゴールは、彼の長い脚の賜物でしたね。左サイド奥まで持ち込んだ武富からのアシスト。トラップが浮いた瞬間は「あ、ダメか」と思いましたが、一歩早くボールに触れました。

「勝負は水物だ」と試合後コメントした高木監督。「良くても負ける事はあるし、悪くても勝つ時だってある。本当に勝負というのはわからないけれども、自分たちの持ってるもの、皆が1人1人持ってるものを出し切って初めて、勝負が水物だって言える。時の運というのもあるし、本当に難しい事なので、しっかりやれ、やるしかないと」。そういう意味では選手たち全員が、出し切った試合だったでしょう。

熊 本
9長沢13大迫
 14武富 
23根占22吉井
 8原田 
7片山15市村
28菅沼16矢野
 18南 
後半22分 大迫 希 → 田中 俊一
後半29分 吉井 孝輔 → エジミウソン
後半36分 長沢 駿 → ファビオ


岡 山
 10チアゴ 
26金7妹尾
25田所2澤口
8千明28仙石
23植田30一柳
 3後藤 
 21真子 
後半15分 金 民均 → 桑田 慎一朗
後半21分 チアゴ → 石原 崇兆
後半33分 澤口 雅彦 → 岸田 裕樹


2011シーズンが、もうすぐ終わる。

これで熊本の、Jで4度目のホーム最終戦。8000人の観衆。これまでの3度はいずれも1万人を、いえ2万人を超えていた年すらありました。その意味でも少し寂しく感じてしまいます。

更に、いつもの最終戦と違ったのは、(エジミウソンを除いて)来期の契約更改についてのアナウンスもなく、これで、このメンバーでのゲームは見納めだという、最終戦特有の感傷もなんとなく中途半端で…。

ゲームに集中したいという選手からの要望がその理由だそうですが、われわれにはよく分からない。何か、定まっていないような、不可解さ。われわれもファンなりに、このシーズンを理解し、受け入れ、次に進みたいと思うが、どうしても腑に落ちないような…。

「このままでいいのか?」ゴール裏に掲げられた横断幕。これに対する池谷GMのコメント(熊日朝刊)は、「チームはJ2のなかでも下位の予算で、限られた戦力のなかで頑張った。(戦力補強は)足元を見つめながらやる必要があるが、サポーターの声も受け止めなければ」というものでした。これもどうもサポーターの真意と噛み合っていないような。去りゆくエジミウソンのメッセージ、「熊本の街と同じようにクラブも大きくなってほしいし、後押ししてくれるサポーター、クラブ、街が一丸になって、J1に昇格する事を望む」という言葉が、わずか1年の在籍期間で、そんなギクシャク感を感じ取ったとも思えるのは、われわれの単なる“斜め読み”なのでしょうか。

チーム発足当時、J2昇格、さらにJ1昇格までも視野にいれたスケジュール目標が示され、ある程度順調に進んできたともいえるでしょう。しかし、当時J1昇格時には確か10億の予算体制が目標だったと思うが、これもまだまだだし、それより、もう今のJ1は10億では戦えない状況になっているのでは。練習環境の問題も含めて、今も脆弱な体制であることには変わりありません。そんななかでクラブは、GMは、どんなことを準備し、どんなことを示してくれるのか。

もちろんそのあたりのことをこのゲームといっしょに語っても仕方のないことですが。

次節は、ほぼ昇格を決めた鳥栖とのシーズン最終戦。今シーズンの鳥栖は、本当に強かった。熊本としては、昇格組の胸を借りて、今シーズンの最終形のレベルを測るにはもってこいの試合と言えるのではないでしょうか。

ただ、そんな目先のこととは別に、J昇格まで色々なことを教わり、地方クラブのお手本ともしていたこの“隣町”の先輩クラブの昇格という事実は、われわれにも勇気を与えてくれるし、一度も二度も傾きかけた苦難の歴史や、色々な因縁を思うと、この最終戦、勝っても負けても、自分たちと重ねて、自分たちのことのようにもらい泣きしてしまうのではないかと。もう、今からすでに、そんな気がしています。

11月20日(日) 2011 J2リーグ戦 第36節
熊本 0 - 1 横浜FC (16:04/熊本/7,752人)
得点者:33' 藤田祥史(横浜FC)


1点先制されると、もうどうしようもなく点の匂いがしなくなる。決定力不足でもない、得点力不足という当たり前の表現でも足りない。決定機不足あるいは、決定人数不足とでもいうのでしょうか。

熊本はエジミウソンが中盤の底に復帰し、原田を左SBに。練習時に故障したという菅沼と廣井の代わりに矢野とソンジンのCBで臨みましたが、オフサイドラインをかいくぐった藤田の先制点のあと、同点に追いつくことすら出来ず、連敗を重ねました。

熊 本
27ファビオ13大迫
 14武富 
23根占22吉井
 5エジミウソン 
8原田15市村
16矢野2チョ ソンジン
 18南 
後半12分 大迫 希 → 長沢 駿
後半21分 ファビオ → ソン イニョン
後半32分 吉井 孝輔 → 片山 奨典


横浜FC
10カイオ 25藤田
13野崎9難波
17寺田23佐藤
26中野39藤田
28森本20渡邉
 31関 
後半29分 寺田 紳一 → 荒堀 謙次
後半43分 野崎 陽介 → 三浦 知良
後半45分  難波 宏明 → 小野瀬 康介


試合後、高木監督が「選手は勝つ事に対して前向きにプレーしてくれたので、僕自身は満足しています」と言ったとしても、とてもファンの立場からはサッカーのゲームとして“満足”という試合内容ではありませんでした。片山の「相手がちょっと引いた部分もあったと思うんですけど、単純に入れてるだけというボールが多かった」という振り返りや、あるいは武富の「突破できるところは自分でしようと思っていたんですけど、たいしたチャンスはなかったと思います。これでいいゲームをしていたとは言えないと思います」という言葉を待つまでもなく。

それにしても、同じく武富の「攻撃の枚数も足りないというか、3人で6人ぐらい相手にしている感じできついかなというのは正直思っていた」「追い越すというのも全然なかったです。自分のポジションよりもう1つ前とか横とか、動いて流動的になると崩せていけるのかなとは思うんですけど」という発言。これは深刻という意味で“深い”。

攻撃の枚数、追い越す、流動的など…キーワードが散りばめられているのに、全てがネガティブな内容。横浜が攻撃に転じた際、圧倒的人数で攻め上がるのに対して、熊本は「前線の3人だけに攻撃は任されて、3人目の動きもなければサポートもない」と前節でも書いたことが、一向に改善されていません。そしてこのシーズン終盤に及んでも、連携が完成されない。イメージの共有すら感じられない。スタンドのため息ばかりが、冷え込んだKKウィングの空に吸い込まれていきました。

何なんだろう。クリエイティブというのか、意外性というのか、サッカーの面白さが感じられない、まるで苦行のようなサッカーとでも言うべきか。

昇格可能性がなくなって、メンタル保持が難しいことは確かでしょうが、だからこそのモチベーションの持ち方があるのではないかとも思います。ある意味で5位の千葉以下のチームは一緒といえば一緒なわけで。また降格があるわけでもなく。むしろ解き放たれて、自由に、失うものなく、そんなサッカーを見せて欲しい。われわれはファンとしてそんな期待をしていました。

いつの間にか残すところあと2試合。次節はホームで最後の試合。そして、最終節は、昇格をかけた鳥栖との、多分、とんでもないギリギリの戦いになるでしょう。

サッカーは思い通りにいかない。人生と同じ。そんなはことみんなわかっている。今シーズンの、これまで戦ってきたすべてを賭けて見せてほしい。ある意味、結果なんかどうでもいい。負けてもすごい試合だったというような。2011シーズンはこんなサッカーだったというようなものを。

また、次のシーズンまで見納めになる。そんな気持ちのファンのためにも。

11月12日(土) 2011 J2リーグ戦 第35節
北九州 2 - 0 熊本 (14:04/本城/5,307人)
得点者:76' 林祐征(北九州)、90' 林祐征(北九州)


試合終了を告げるホイッスルは、同時に、熊本にとってJ1昇格への可能性が完全に消え去った今シーズンの“終戦”を教える笛でした。ただ、身体から全ての力が抜けるようなこの喪失感は、単に数字上残っていたといえる昇格可能性が消えたことより、この目の前の“完敗”から感じられるものでした。

北九州
4長野9大島
 21安田 
29金17木村
 5桑原 
22多田13関
8小森田26宮本
 31佐藤 
後半24分 大島 康明 → レオナルド
後半24分 長野 聡 → 林 祐征
後半36分 安田 晃大 → 冨士 祐樹


熊 本
13大迫27ファビオ
 14武富 
23根占25西森
 8原田 
24筑城15市村
4廣井28菅沼
 18南 
後半22分 西森 正明 → 仲間 隼斗
後半33分 武富 孝介 → ソン イニョン
後半40分 根占 真伍 → チョ ソンジン

バトルオブ九州と銘打たれたダービー。われわれは残念ながらテレビ観戦でしたが、熊本から5台のバスで駆けつけたファンが「ホームの雰囲気」(スカパー実況)で後押ししていました。ダービーにふさわしく、お互いに非常にアグレッシブで、激しいぶつかり合い。ナイスゲーム。後半30分までは…。そして残り15分での勝負という図式は、絵に描いたような今季の北九州のサッカーでした。

見事な交代カードの活躍。池元、福井、森村という主力を3人も欠きながらのベンチの層の厚さと言えるのか。「90分間の中で彼ら3人がいなかったことを思い出しませんでした」。采配的中の三浦監督にここまで言わせるのは 自らの戦力への信頼なのか、目の前の試合への集中なのか。

熊本も決して悪くない入り方でした。京都戦で前半30分しかもたなかった“時間帯”の反省から、うまくペース配分しているのだろうとも思えました。後半早々のPKという“アクシデント”には、南がビッグセーブで防いでみせる。しかし、熊本の見せ場らしいシーンは、この場面と、前半終了間際、ファビオがDF3人を抜いてGKと1対1に持ち込んだシーンぐらいか。ポゼッションを持ちながらも、いつスイッチが入るのか、どこでスイッチを入れるのか。今か今かと眺めるしかなかった。その時は…とうとう最後まで来ませんでした。

もちろん今の勢い、順位。そしてモチベーションの差があるのでしょうが。ピッチ上の感覚としては、高木監督が「我々以上に北九州さんほうがアグレッシブに来て…、完全に、間合いを含めてですが、威圧感という部分で受けてしまった…」、あるいは南が「五分五分のボールでも取れないというのはきつい。北九州の選手は球際がすごく強かったし、その辺で負けているシーンも多かった」と言うように、北九州にはDF宮本の気迫、ボランチ桑原の運動量、MF木村の狡猾なパスワークを始めとして、チーム全員に断固とした“勢い”があった。それで西森が「くさびを入れられるのに下げたりしてしまった場面もあった」と正直に吐露するように、気持ちで“受け”に回ってしまったと言えるのでしょう。

「後手を踏んでしまった。メンタル的にもたたきのめされたようなゲームだったと思います」という高木監督。「シュートを打つというのはたとえば意識をしていればシュートに行こう、ゴールに向かっていこうと思えば、意識から技術、スキルになるので。本当に意識さえあったのか」とまで言い、選手の姿勢に苛立ちを隠しませんでした。

中盤でゴールを奪い、キープし、回しているのに、ゴールに行けない。行かない。前線の3人だけに攻撃は任されて、3人目の動きもなければサポートもない。消極性ともとれる足の止まり方・・・。
逆に北九州は“速い”。決して熊本も数的に不利な状況ではないのに、その対応を上回る速さ。判断の速さというより、これはプレーについての戦術意識の統一。同じ絵が描けているがゆえの迷いのなさとも言えるのでしょうか。まさに1点目のピンポイントのアーリークロスは、プロと言えども滅多に出るようなプレーではない。前に行く、ゴールに向かう意識。林は「関君ならこうくるだろうと思って、体が覚えているかのように走っていけました」と言い、アシストの関は「(林とは)練習中から合わせているし、決めてくれると思って上げて、決めてくれました」と。ここが“今の”北九州と熊本との違いであり、戦術と練習が積み重ねられた成果が現れているのかと。

「とにかく何一ついいことはなかったなというゲームでした」と言ってしまう指揮官の気持ちもわからないではない。決してこんな台詞を口にしない男だっただけに。「ゴールを目指すというところが全くなかったというのは非常に腹立たしい気持ちです」と言うように、結果ではなく、“行かない”もどかしさ。“闘う”というサッカーの原点からの怒り。

われわれファンも気持ちが折れそうになるシーズン終盤の3連敗。しかし、南の「チームがここから上に上がって行くには、まだまだやることがあると思います」というコメントは、「選手が本当にどこまで立ち直れるかというのは選手一人一人がしっかり自立する部分に直面していると思う」という指揮官の言葉への、主将としての返答のようでもあり。これこそが今日、本城のゴール裏を真っ赤に埋め尽くしたファンに対するメッセージでしょう。これから最後の3試合、それを見せて欲しい。ずっとずっと熊本のサッカーは続いていくんだから。

11月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第34節
熊本 1 - 2 京都 (13:03/水前寺/2,847人)
得点者:11' 大迫希(熊本)、37' ドゥトラ(京都)、53' ドゥトラ(京都)

4連勝中の京都。一時は下位に低迷していたものの、いつの間にか勝ち点差1まで迫られていました。そんな相手に対して戦前、「今一番、やりたいサッカーが出来ているチーム」(スカパー!)と評していた高木監督。その好調にしてパスサッカーのお手本のような京都相手に、真っ向勝負を挑みましたね。もちろん十分な対策を立てて。だからこそ試合後のコメントはサバサバしているように感じられました。「悲観することはあまりない」と。「いなせる、かわせる、止められる、タメを作れる」。そういった“いくつかの力”の差だと。しかし、今シーズン、先制して初めて逆転負けを喫した展開を振り返ると、その差の大きさを痛感せざるを得ないとも言えます。

久しぶりの水前寺競技場。11月の雨にしては暖かい。結構な量を伴った雨は、芝を十分に濡らしたあと、試合が進むにつれて上がっていきました。

熊 本
27ファビオ13大迫
 14武富 
23根占22吉井
 8原田 
24筑城15市村
4廣井28菅沼
 18南 
後半17分 大迫 希 → ソン イニョン
後半27分 吉井 孝輔 → 西森 正明
後半38分 筑城 和人 → 仲間 隼斗

京 都
13宮吉 9ドゥトラ
15中山20工藤
23中村7チョン ウヨン
16福村2酒井
4秋本32内野
 1水谷 
ハーフタイム 秋本 倫孝 → 染谷 悠太
後半11分 中村 充孝 → 駒井 善成
後半43分 工藤 浩平 → 加藤 弘堅


誰もがわかるように、前半30分頃までが熊本の時間帯でした。前線からの連動したプレスがはまり、中盤の吉井、原田、根占のところで京都のパスが捕まる。球際での“あと一歩”がよく出ている。これは過密日程の連戦が終わり、いい休養がとれたということなのか。あるいは京都対策が入念に準備されていたのか。指揮官が「この試合に臨むにあたっての準備段階も含めて、目的は達成された」と言うくらいですから、きっとその両方なのでしょう。

先制点は早くも11分。大木監督の“クローズ戦術”に誘われるように左サイドで人数を掛けて奪ったあと右の市村に素早く展開。市村が中に入れると武富がスルーしてファビオ。今度は武富がワンタッチで左から走り込んだ大迫へスルーパス。飛び出してきたGKをしっかり見定めた大迫は、絶妙のループシュートで転がし込みました。

「プレッシングと、できるだけ早く相手の背後、薄いところを突いていくというのがポイントだった」という指揮官。ゴールの後、この人には珍しくガッツポーズを見せたという。それほど快心の出来だったのでしょう。左サイドの密集地帯から右サイドに展開すると、今度は逆を突くように左斜めに。「今までの積み重ねだと思う。イメージが合い始めた」と武富が振り返るように、京都のお株を奪うような鮮やかなワンタッチパスの連続。こんなゴールが見たかった。スタンドでは熊本恒例、ゴール後のタオルマフラーがぐるぐると回され、そんな気持ちを表現しました。

その後も好機を演出する。右サイドから吉井がファビオに。ファビオから市村がスルーして根占。市村が右サイド奥に走る。雨を含んだ水前寺の芝と相性がいいのか、ボール回しが早い。続いても、右サイド奥まで走った大迫からのグラウンダーのクロスは、相手DFとGKの間の絶好のスペースに。武富が中央でスライディングシュートしましたが、これはGKが身体を投げ出して防ぎました。

吉井も「30分頃まではパーフェクトに近いサッカーができていた」と言うように、立ち上がりから、先制、その後、失点するまでは、狙い通りのサッカーができていました。しかし何故でしょう、30分過ぎぐらいから、ボールを奪えなくなっていた。攻め疲れたか?とも思いましたが、気づかない間に、京都は中盤のシステムも変更していました。大木監督いわく「前半の途中で変えました。相手に合わせる形でダイヤモンドにしました」。ダブルボランチの一画の中村が高い位置取りをするようになっていた。そこでちょっと中がルーズになって、京都に回され始める。京都の方にパスカットが多くなる。

中山がPA内に入った工藤へパス。着いていた筑城のクリアは小さく、詰めていたドゥトラの足元に。落ち着いてうまくカーブを掛け、ドゥトラが同点弾をたたき込みました。前半終了間際の同点弾。試合はイーブンに戻り、後半勝負へ。しかし、前半のうちに同点にしておいた京都の方にやや分があるような。30分以降、萎むように攻勢が衰えた熊本に不安が募りました。

ここから両者の間に「いなせる、かわせる、止められる、タメを作れる」差が明確になってきました。加えて、京都でワンボランチを努めたチョン・ウヨンの存在感が際だっていた。我が方の原田も、エジミウソンの故障後、しっかりとその穴を埋めていますが、京都の時間帯を引き寄せた立役者は、このウヨンに他ならない。攻守ともに卓越した働きに見えました。前回対戦時にはウヨンもドゥトラも工藤もいなかった。そういった意味では、京都は前回とは全く違ったチームになっていたとも言えるでしょう。

後半早々にくらった逆転弾。中村のシュートのクリアから右サイドで宮吉に持たれ、そのパスを中村が縦に入れると中山が走り込んだ。ゴールラインぎりぎりで折り返すと、ドゥトラが詰めて押し込まれました。「オフサイドと思って、DF陣の足が止まってしまった」(熊日)と菅沼は悔やみますが、皮肉にもオフサイドラインを崩してしまったのは、当の菅沼でした。

熊本もソン・イニョン、西森、最後は仲間を入れて追いすがりましたが、イニョンがDFを背負い、反転して裏へ抜けようとするプレーは、スカウティングされていたのか、DFが決して前に出ようとせず対処される。西森も流れを変えられない。いくつかあった決定機も、途中から“当たって”きてしまったGK水谷の好守に阻まれました。

今シーズン、先制したら負け知らずだった熊本。初めての逆転負けを喫しました。しかもホームで。それは一番厳しい負け方でした。気分が良いはずがない。しかし、客観的に見れば結果は妥当なものだと受け入れざるを得ないでしょう。

前回対戦でその若さと可能性を十二分に感じさせた京都は、さらにベテランも復帰して、蹴る、止める、基本技術の高さと勝負強さをあらためて証明しました。やられた、と思ったときには、やはりやられる。少しもルーズにできない。忘れてしまいがちですが、京都は今シーズンのJ1降格チーム。その技術と経験はやはり伊達ではなかった。対する熊本の攻撃は意味不明のミスで終わってしまう。精度うんぬん以前の問題のようなミスで。

目が覚めるような鮮やかな攻撃の時間帯は前半30分まで。90分の試合時間のうちの3分の1でした。監督の言葉を借りれば「継続性が足り」なかった。ただ、あくまでやろうとしていることは“悪くなかった”ことを再確認したようです。選手たち自身も。

もう少し光明を探すなら、後半早々に逆転を許し、そこからかなりの時間帯を京都の“押せ押せ”にさらされた後、もう一度、押し返した点でしょうか(京都が守りに入ったとも見えますが)。押し返して、いくつかの決定機を作った。少なくとも、逆転を食らうというショックからズルズルやられず、ファイティングポーズをとってやり返した。監督としてもおそらく、今シーズン一番の攻撃的なゲームを指向したのではないか。いまある選手という手駒の“条件”のなかで。それが、「勝敗は別として」と前置きしながらも、「我々の目的は達成された」と述懐する理由なのではなかろうかと。勝負師としての本心は、「京都にもうちょっと善戦したかった」「この勝負に勝ちたかった」「もうちょっとだった」という言葉に隠されているようでなりません。

この悔しさが、今はまだ果てしなく遠く感じるJ1の扉への距離なのかも知れません。あと残り4試合。ホーム2試合。アウェイでは北九州と鳥栖戦。今シーズンをどう納めるのか、あと一カ月、どういう“戦い方”をするのか、そんなことを意識する季節になってきました。