6月29日(土) 2013 J2リーグ戦 第21節
熊本 1 - 2 神戸 (19:04/うまスタ/7,926人)
得点者:14' 小川慶治朗(神戸)、54' 原田拓(熊本)、90'+1 杉浦恭平(神戸)


一つのゲームが90分間トータルでの攻防であるように、1シーズンも42試合。山あり谷あり、浮き沈みは承知のうえではあります。迎えた第21節、ちょうど前半戦の最後の試合は、目下2位に位置する神戸との対戦。公式戦では初めての対戦でした。

20130629神戸

上位であり、J1からの降格チームであり、戦力的にもひとつ抜けているチーム。熊本は相手をリスペクトして、しっかりブロックを敷き、奪っては中盤を省略したロングボールを多用します。誰もが思ったように、熊本としてもゲーム観がはっきりして、戦いやすいのではないかと。この厳しい状況のなかで、この相手とやることで、ひとつシンプルに整理できるきっかけになるのではないかと思いました。

それでも、久々に当たったワンランク上の質感。神戸の個々の選手のスピード、切り替えに翻弄される序盤の時間帯。熊本も相当に集中しているのですが、それを上回る神戸のスピード。それは走るスピードではなく、プレー(判断)のスピード。中盤で貰った小川の前が空くと、ポポが真っ先に右斜めに走ってDFを釣り出す。ポポに預けた小川はすかさずそのスペースに走りこむ。ポポからのダイレクトの返球をトゥーキックを押し込みます。人は足りているのに着ききれない速さ。先制点の場面はその典型のような形でした。

早い時間に先制されてからの前半。いつものように2点目を取られるな、凌げ、慌てるなと、そればかり思っていました。ただ、相手の手ごたえも十分に感じているのか、もはや悪癖ともなったアンバランスな前掛かりの罠にはまることはなかった。もちろんそんな状況ではないし、神戸がそれを許さないというべきか。

中盤から完全にボールをコントロールし、ポゼッションで圧倒する神戸。自陣で完全にブロックを作って受ける熊本。わかりやすい構図。しかし、齊藤が、仲間が、「いつもよりは共通の意識でやれた」「全員が声を出して意思疎通ができて」と言うような、しっかりした守備の時間帯でした。

そして、粘り強く跳ね返し続けて行ったことで生まれた変化。徐々にそのスピード、そして高さに適応、順応していきます。奪われてからの帰陣も、横へのスライドも素早い。そのなかで攻守切り替えの応酬。次第に自信を取り戻していくのがわかります。熊本のパスがテンポよく回るようになる。
37分には左位置の堀米のFK。ファーの矢野が折り返すと、橋本がダイレクトで撃つ。惜しくもこれはポストに嫌われ、前半での同点機を逸しました。

そして迎えた後半。むしろ熊本側に攻撃のリズムを感じるような入り方。54分、オフサイドをかいくぐり、仲間が右サイドに持ち込むとゴールラインぎりぎりで切り返して時間を作る。ここぞとばかりニアに走りこんでいたのは原田。「打ち込めば何かが起きると思った」という仲間の速いグラウンダーのクロスを、左足アウトに掛けて押し込み同点としました。

たたみ掛けるように熊本はファビオを投入。ファビオが前で起点を作り、その後も再三のチャンス。しかし最後の詰めが甘い。

逆に神戸も、熊本のブロックを崩していくまでには至らず、交代カードを早めに切りながら打開をはかります。攻守が入れ替わる、というより、もっと微妙に攻守のバランスが変化するような時間帯。熊本は、ブロックを作りながらも、チャンスと見れば果敢に攻め上がる。ちゃんと人数もかかっている。相手のリズムやバランスを崩せば勝機は必ず訪れる。

しかし最後に訪れたのはPK。セットプレーという名前のパワープレーに屈してしまいました。まあ、その前のファウルがなぜ起きたかということからの”流れ”なわけで。いっぱいいっぱいの終盤の、あと一歩のところで後手を踏んでしまった。これは決してアクシデントではない。そう言えるでしょう。

敵将・安達監督は「アーリーヒットというか、空中での駆け引きというか、動き出しのタイミングとか、そういうのが気になりました。上手だったと思います」(J's Goal)と、FW齊藤が一番やっかいな選手だったと誉める。しかし、吉田監督は誰か個人を指しているのか、前線総体を言っているのか文脈からは読み取れませんが、「相手DFから抜け出すときのファーストタッチや、いい形まで持っていってもシュートを打てないなど、個人的な問題もある」(熊日)と、その先を憂う。確かにシュートで終われず、カウンターに持ち込まれる場面は、結果的に無事で済んでも、危ない局面。それが何度かありました。

決定力というより、決定機に持ち込む一歩手前のところ。今日対峙したエステバンのような知略に富んだDFの裏をかけるようなスピードとテクニック。たとえばファビオに関していえば、縦に入ったボールを受ける体勢を狙われていることは当然ですが、それをかいくぐるような成長を見せて欲しい。

「まだ半分」「もう半分」のリーグ戦。

4連敗で終えるという厳しい結果の前半戦。しかし振り返ってみれば、全然どうしようもないということではなく、持っている力を出せていないということだったと思います。持っている力を出しにくい戦いぶりであったというべきか。

このリーグ、強いほうが勝つではなく、勝つほうが強いでもない。少なくとも同じカテゴリーならば、賢いチームが勝つ、勝ち続けられる可能性が高いと思うし、もっとシンプルに言えばコンディションのいいチームが勝つ。そういうことなのでしょう。

前半の最終戦という節目の時期で神戸と当たったことが、後半を迎えるうえで幸いだった。そう思うのは、神戸をリスペクトするが故だったかも知れないとはいえ、守備の意識と組織を再構築できたのではないかということ。この成果をベースに、あとは攻撃を加味していける。そんな”標準”を得ることができた試合ではなかったのかと。冒頭に書いた「シンプルに整理できるきっかけに」なったのではないかということです。

そしてリーグは折り返し。今日スタジアムに参集したファンはおよそ8000人。負けが込んでいるのに来場者が増えている。そんな感じがしているのは、われわれのいつもの楽観論でしょうか?いえ、来場者が増えるかどうかは別にして、ファンが本気になってきている。いや、ファンにとってのチームの存在が少しだけ変化、深化しているような。それだけは間違いなく言えると思います。

6月22日(土) 2013 J2リーグ戦 第20節
熊本 2 - 3 群馬 (19:04/うまスタ/5,966人)
得点者:9' 有薗真吾(群馬)、25' 高橋祐太郎(熊本)、28' 齊藤和樹(熊本)、55' 平繁龍一(群馬)、77' 平繁龍一(群馬)


別にないものねだりをしようということではない。あるものをうまく表現できていないから不満が鬱積してくるわけで。

先制されて、逆転して、再逆転される。前節に続いて(前節とはまた違った意味で)、ファンの落胆はとても大きく。それは試合後のスタジアム。まばらな拍手のメイン、バックスタンド。チームのコールすらなかったゴール裏を見ていてもわかるとおり。

吉田監督が言うとおり「非常に厳しい状況になった」(熊日)のは確かです。

ただ、われわれもそうですが、チームも、選手も、監督も。これはもう、振り返ることをやめたほうがいいのかもしれない。片山の「選手一人一人が自己批判しなくてはいけない」(熊日)という気持ちもわかりますが。前節、「戦術的には徹底的に分析し、向き合うべき」だと書きましたが、反省すること自体が目的ではないわけで。それは勝つための手段ではありますが、時に違った手段が必要になることもあると言いたいのです。

20130623群馬

前半の戦いぶり(試合運び)は見事だったという見方もありますが…。

早い時間帯に先制されて、まずわれわれが思ったのは、2点目を取られないことでした。セットプレーからの失点で下を向く必要もなく、もう一度、落ち着いて全体を、90分を見渡して、徹底して守備意識からリスタートしようということでした。

これはもうペースとかリズムとか、何とも言いようのない問題でもあって、それが乱れかけたときは、どうしても落ち着く時間帯が必要なのだと。チームメートの表情や、動きや、ベンチの様子や、スタジアムの全体が見えるようになるまで時間を稼ぐには、これはもう単純に守備の意識で臨むしかないだろうと。そう思って見ていました。

(たまたま)熊本もセットプレーから同点に追いつき、相手の“凡ミス”もあって逆転できた。もともと群馬側もこれといって攻勢だったわけでもなく、スローダウンで結果オーライの前半。しかし、その内容を注意深く見れば、うまくいっていないチームとのゲーム。ちょっと圧を掛けると、いや、特に何もなくても下げてくれるし、普通にミスが発生する。あぁ…やられた、と思っても、なぜか行かないでいてくれる、とかです。

その隙をついた逆転劇。文字通りそれが90分を通じての“台本”ならばよかったのですが。

後半、立て続けに2失点。あっさりという表現が似合いそうな、似たようなパターン。まったく平繁という個にやられた感じしかない。前半の彼のプレーぶりを見て油断してしまったのか。いや、前半は、まったく孤立したような状態だったわけで。それでも、十分に得点の雰囲気を感じさせる嫌なシュートがあったのは忘れてはならなかった。

「勇気がない、ラインをずるずる下げる、前半はうちのもともとのスタイルでも戦う状態でもなかった」(J’s Goal)と感じた敵将・秋葉監督のハーフタイムの激に、「目を覚まし」た群馬イレブン。特に平繁を覚醒させてしまいました。

得点のシュートはさすがでした。しかし、あの距離であの間合いで撃たせてしまったことに悔いが大きい。前節のように裏は取られていないものの、その分、下がってしまった。バイタルを空けてしまいました。

草津も明らかに問題を抱えていた。勝てないのが理解できるような戦いぶりでした。だからこそ、前半早々先制されても、今日はまったく慌てる必要はないと。それはピッチ上の選手たちが肌で感じていたことでしょう。

しかしそれでも、再逆転を食らってしまった。それも攻勢に攻勢をかけられてというよりも、いとも簡単に。これは何なのか。確かに群馬は秋葉監督が言うように「思っている以上のファイトと、3倍、4倍の走力をみせ」た。しかし、相手がどうこうというより、熊本側自身に問題があると言うべきではなかったでしょうか。自滅と言ってもいいゲーム運びに見えたから。それがファンを大いに落胆させたと思うのです。

どんなゲームプランだったのでしょう。2-1で折り返したハーフタイム。監督の指示は、もちろん「もう一点とろう」でしたが、より具体的なサジェスチョンは、残り45分の台本はどう描かれていたのか。

90分を通じていいプレーをすることは難しいし、集中力を保つことも然り。守る、攻める。出る、受けるがあってもいいのではないか。チームコンディションは決して良いとはいえないし、もちろん11人いれば、ベストコンディションでない選手もいるわけで。そのとき「反省」が過ぎると、やはり遮二無二“頑張ってしまう”ことだけにならないか。今の窮地は、“頑張る”ことで解決される単純なことではないのではないか。

一方で、後押しするファンの目線で言えば、7点取られようが、10点取られようが、5連敗しようが、10連敗しようが、誰も逃げていかないから。“結果”だけを追い求めているわけではないから。だから、安心してゲームに集中して欲しい。次もホームだし、選手だけでゲームをやるわけじゃない。一緒に戦っていると思って欲しい。責任ならファンにだってある。われわれはそんなふうに思っているから。

6月15日(土) 2013 J2リーグ戦 第19節
北九州 7 - 0 熊本 (18:03/本城/3,819人)
得点者:5' キムドンフィ(北九州)、31' 森村昂太(北九州)、49' 小手川宏基(北九州)、64' 池元友樹(北九州)、68' 小手川宏基(北九州)、87' 李根鎬(北九州)、90'+2 渡大生(北九州)


こういう試合のあとこそ現実と向き合わなければ、と開いた翌日の熊日朝刊。「屈辱7失点」「J2ワースト」「歴史的大敗」「守備崩壊」…。まあこれだけ派手なネガティブ見出しが並ぶのも初めてかもしれない。

守備崩壊? いやこれはもうチーム崩壊と言ってもいいような…。

ほぼ全てが同じような失点のパターン。引っ掛けられて、ショートカウンターで、振り切られ、裏をとられる。あっさりと、いとも簡単に。思考回路が麻痺したように、何度も何度も、同じシーンが繰り返される。サッカーを放棄したような。フリー過ぎる、誰も行かない、誰もいない。もう目を覆うしかない惨状。

ただ、0-7だろうが0-1だろうが、1敗は1敗。7点取られたからといって2つも3つも敗戦がつくわけではない。失った勝ち点は3。まあ、7点はちょっと取られすぎですが(苦笑)…。

20130615北九州


一夜明けて、われわれの知っている仲間たちは案外落ち着いていました。大量失点、大敗といえば“青の時代”の2001年シーズン、JFL初参入の年。都田での本田技研戦。0-8のゲームを思い出すからでしょうか。ただ、あのとき感じたのは圧倒的な戦力の差であって、今回はそれとはまったく違う。

多分、北九州のスカウティング勝ち。これほど見事に、徹底して熊本のウイークポイントを突いてきたチームもこれまで無かったのだと。

「一番の責任は私にある」と吉田監督は言う。それは部下の責任を一身に背負う会社組織的言葉ではなくて、実際に自分のスカウティング不足を指しているのだろうし、スタメンの選定ミスを悔やんでいるのではなかろうかとも思います。吉井が故障したのか、そこに福王という選択は次善の策としては順当だったのでしょうが、復帰した藏川を含めた4人のDFラインの距離感は非常に悪かった。さらに橋本はコンディション不良のところを無理させたらしい。

ゲームへの入り方の違和感。チーム全体に漂う重く緩慢な動き、鈍い反応。行くのか行かないのか、よくわからないような球際。そして結局橋本を前半で諦めざるを得なくなっての養父への交代。既に2点のビハインド。何も知らないわれわれには、攻撃的スウィッチにしか見えませんでしたが、チームという“身体”は、大きくバランスを崩していったのでした。

これはもうゲームに入る前に“失点”してしまっていたようなもの。そう思うと「点を取りにいって失点を重ねたのが恥ずかしい」という指揮官の言葉も、決して選手だけに向けられたものではなく、ゲームプランを変更できなかった戦術眼も含んでいるようで深刻さを増します。

加えて前節も指摘した南のコンディション。このチームの基礎、骨格であるプレーヤーが、迷いのような、靄のかかったようなここ数試合。このメンタリティーがチーム全体にも大きく影響しているような。

確かに、これだけ集中を欠いた試合を見せられたことには怒りさえこみ上げます。ただ、しかし、この持っていきどころのない怒りや、意味のない全否定が一番怖い。反省や振り返りは、正しい方法論、方向性がなければ、何の成果も生まないどころか、チーム内に無用の不信感や見えない傷を残してしまう。心配です。

どうしようもない、抗しようのない流れと言うものはあるわけで…。それを止めるべく、何とか変えようと、選手も、監督も手を尽くしたのでしょうが、最後までうまくいかなかった。そう思いたい。

もちろん、ここは早く忘れる、切り替えるということもあるでしょう。しかし、熊本の場合はこの試合だけではない、ここ数試合の明らかな兆候、病変であり、有効な処方箋が必要です。下を向く必要はないけれども、戦術的には徹底的に分析し、向き合うべき試合だろうと思います。

とにかく、なぜこうなってしまうのか、この試合のビデオを繰り返し見て、分析してほしい。ここを乗り越えないと、次には進めないように思います。

6月9日(日) 2013 J2リーグ戦 第18節
熊本 1 - 3 京都 (19:04/うまスタ/5,460人)
得点者:49' 久保裕也(京都)、64' 久保裕也(京都)、72' 久保裕也(京都)、88' オウンゴ-ル(熊本)


開始10分までは確かに京都の圧力にバタついたものの、前半を通していえば熊本のゲームと言える内容でした。「決定的なパスがまだまだ」と課題にしていた橋本が、今日は果敢に縦に入れる。仲間が、堀米が前を向くと京都の中盤がおいていかれる。ファビオが空中戦を競り勝ち、齊藤がDFの裏に空いた広大なスペースを何度も突く。京都のDF陣にはなんとなく詰めの甘さ、おぼつかなささえ漂っていました。

そういう意味では、一昨年11月、水前寺での京都戦を思い起こさせたかも知れません。しかし、今日はこの時間帯に点が取れなかった。それが敗因のひとつであることは間違いないでしょう。

熊日は翌日夕刊の見出しに「後半崩壊」ととりました。確かに、互角以上で戦っていた前半なのに、終わってみればFW久保にハットトリックを献上する3対1の大敗。何がこの落差を産んでしまったのか。

20130609京都

「自分が試合を壊してしまった」(熊日)と、南は一身にその責を担います。後半も始まってすぐに与えた京都へのファール。そのFKに飛んだ南が、パンチングかキャッチングが迷ったのでしょうか、ファンブルしたボールが、まさに久保の目の前に。落ち着いて頭で押し込まれてしまいます。

前節・福岡戦の連携ミスに続いての南。いや、思えば栃木戦からすでに、何とも言えない不安定さを感じていました。GKと言っても、コンディションの波は必ずあるはず。これまで幾度となく失点機を防いでくれた絶対的守護神、南というチームの柱に絡む失点ということも、その後の試合運びを落ち着かなくさせた遠因かもしれません。

その後も、球際の強さが増した京都に対して熊本のパスは乱れ始め、その「クローズ戦法」から脱しきれなくなりました。ただ、追加失点は一本のロングボールから。久保のトラップの瞬間に勝負が決まっていました。ゴールを割られます。

挽回しようと前がかりになってカウンターを受けてさらに失点。そのあっけなさは、典型的な失点パターンではあるのですが、そのプロセスをもう一歩突っ込んで考えてみると、これはもう自分たちのプレーに対して自信を持てないことからくる焦り。失点したのは後半も4分の段階。まだ40分もの時間が残されており、戦局はどうとでも変えられた、そんな時間帯だったはずです。

「1点くらいじゃびくともしない強い気持を持たなくては」(熊日)と、吉田監督は選手のメンタルの弱さに注文をつけました。それは確かに本質だろうとは思います。とにかく我慢できない。攻守のバランスを崩して、あっさりと失点してしまう。普段の持てる力を大きく下回る結果になってしまう。運動量や集中力といったものの上に、微妙なバランスで成立しているものが、ちょっとしたことで崩れてしまう。

ただ、このあとの采配で、原田に代えて藤本を入れ、橋本のワンボランチにして中央を薄くした。藤本が、この日もうまく試合に入れなかったこともあって、戦術面でもバランスを崩すことに手を貸してしまったようにも思えるのです。

「後半は相手がポジションも変えてきてハメやすくなった」(J’s Goal)と、京都の田森がそれを証明するように、益々京都の“クローズド”に余裕が感じられてしまいます。

「もっとじっくり攻めてよかった」(熊日)と言うのは吉田監督。しかし、攻撃に比重を掛けた交代、システム変更は明確なメッセージであり、それと同時に、「じっくり」を選手たちに求めるのは、少々酷なようにも感じます。

攻守ともにペースをつかんで、決定機を何度も演出した前半。そして決めきれなかった前半。その消化不良感。これも、我慢するエネルギーを弱めてしまった原因でしょうか。

サッカーは1点取るのに2~3分あればいいわけで、10分も20分もかかるものではない。「まだ十分行けるぞ!」と指揮官に背中を押されて途中から入った北嶋は、片山のアーリークロスに飛び込む。最後は藏川も投入される。

そうして現実に最終盤。本当にスイッチが入ってしまえば、取りに行って取れた、そんな得点だったように見えました。これは栃木戦の1点と同じ価値。あのあたりの攻めの迫力は尋常でないものを感じます。ただ惜しむらくは、遅すぎる反撃の狼煙。オウンゴールということもあって、タオルマフラーを回す気持ちにはなれませんでしたが…。

今の熊本は、先制してもされても、ゲームが動くと何かしらバタついてしまうような、そんな印象を受けます。それはメンタルの弱さと言うことではないような。90分を通じたチーム力、パフォーマンスとなると、安定せず大きくバラついてしまう。90分のなかで何度か訪れる、ゲームの潮目のような時間帯。そこで見せてしまうチームの“底の浅さ”みたいな対応力。それを補うのがベンチワークであり、ベテランの力だと思うのです。さて、今日の試合はどうだったのかと言えば、月並みですが“噛み合わなかった”。チームのバランスの危うさを示した残念なゲームだったと言わざるを得ません。

6月1日(土) 2013 J2リーグ戦 第17節
福岡 1 - 1 熊本 (16:04/レベスタ/7,253人)
得点者:30' 西田剛(福岡)、90'+11 ファビオ(熊本)


これだけドタバタした経過はめったにないというようなゲーム。翌日の熊日でも“不可解な判定”という言葉も使われているようですが、どちらかと言えば、ダービーという雰囲気がベースにあって、それに加えて、審判のジャッジが偏って見えるような判定が2つくらい続き、選手がヒートアップしてしまったような。カード2枚での退場。交代枠を使い切った後のGKの負傷退場。2枚の数的不利に加え、フィールドプレーヤーがゴールを守るという福岡。とんでもないハンデを背負ってしまいました。

そして、今日の場合、そんなハンデ戦に加えて、サッカーに集中できない試合、選手が審判と戦っているような試合になってしまった。そんな試合を見ることになってしまったことがしごく残念です。

正直なところ、どちらかのチームが数的に不利な状態で戦いを強いられるゲームを見せられるのは、ファンとしてあまり好きではありません。このカードによる退場、交代なしというルールには日ごろから少なからず疑問を持っています。

悪質なほど危険なラフプレー、得点機会を阻止するアンフェアなファウル。確かに、プレーヤー個人、そしてその所属チームがそういったプレーの結果責任をとり、懲罰を負わされるのはわかりますが、その結果として、ファンまでもが戦力10%減のハンデ戦を見せられる懲罰を受ける理由はないだろうと。それもサッカーの面白さと言う向きもあるのでしょうが、結局、戦力を失った側は、そのハンデを緩和すべくスペースをカバーするために実効ピッチを狭くして戦うわけで、現代サッカーの面白さの大きな部分を捨ててしまうことになる。

この福岡戦。あの退場のジャッジを見て、逆に天を仰いだ熊本ファンも少なくなかったのではないでしょうか。これで福岡は「1点を死守する」という戦術で徹底する。難しい試合になる、と。

個人、およびチームへの罰としては、まず、レッドカードがでたら、チームに対してはPK。個人に対しては退場と数ゲームの出場停止。ただし、交代枠が残っている限り交代出場を認める、とか。そして、前節の南のケースでも思いましたが、GKは、絶対的な専門職であって、現行ルールのなかでも特別な存在。負傷の場合のみ、4枠目の交代を認めるとかあってもいいのではないでしょうか。福岡サポーターの感情を逆なでするわけではありませんが、今日の城後のような代役GKのプレーを好んで見たいとは思わない。それは誤解を恐れずに言えば、“珍事”として記憶される以外にないわけで。

20130601福岡戦

降り続く雨にぬかるんだピッチ。踏ん張りが効かないのは誰の目にも明らかでした。慎重に試合を運ぶなかで、徐々に熊本の本来のボール回しが出来つつあったなかでのボーンヘッド。GKとDFの目を覆いたくなるような連携ミスで先制点を献上。

しかしまだ時間は十分にあった。どちらかと言えば、熊本の攻勢だった。そんななかでの相手の退場が、試合を難しくしてしまった。

水谷の負傷に、南までもが加わって“退場”を説得するシーンは、心を打つものがありました。しかし、この悲壮とも言える状況が、スタンドのサポーターを含めて福岡を一体にし、燃えさせた。逆に熊本イレブンは、この5分あまりの中断時、雨のなかで“エンジン”を切ってしまって、身体を冷やしてしまいました。

じれったい。放り込めばいいのに。しかし、その精度もない熊本の攻撃。アディッショナルタイムも残りわずか。何とか土壇場で追いついて引き分けに持ち込んだ試合。あるいは、福岡はあと2分くらい凌げれば勝ち点3を手にできたのに。熊本は、あの圧倒的に有利な条件で、土壇場までゴールが奪えず、勝ち点3を取れなかった。

「もったいない」と言えるのかも知れない。あるいは「情けない」と捉えられるのかも。しかし、主審がジャッジで“主張”し始めたところで、あるいはその判定に福岡の選手たちが“戦い”始めた時点で、この試合はすでに価値を失い、違ったものになってしまっていた。雨にうたれながら声を送り続けた赤いサポーターの、ダービーに懸ける気持ちを台無しにしてしまったと思うのです。

北嶋がブログに書いていることが全てだと思います。
「極めて珍しい状況をいくら反省しても次にそれが起こる可能性は高いわけではないし、勝たなくてはいけない試合だったけど負けなかったのも事実。」「勝ちきれなかったことのショックや、やれて当たり前の状況をやりきれなかった自分達を責めすぎて引きずってもいけない」と。

そう。こんなドタバタしたゲームを戦って、変に引きずって、これまで積み上げてきた良い“バランス”を、微妙に崩すようなことがないか。そのことのほうが心配です。

「次は11対11の試合が待っているわけだし。」(北嶋)