8月25日(日)J2 第31節 熊本 vs 北九州
(19:03KICK OFF/うまスタ)


雷さまがサッカーの神様に勝って、45分+20分しか試合をさせてくれませんでした。1-1の後半残り25分というところで、雷雨により「中止」。

中止ということはゲームは成立していないので、お互い勝ち点1ずつということではなかろう、開始から0-0で再試合なのか、それとも1-1の残り25分だけ再試合なのかと気を揉んでいましたが、翌日の今日、90分の再試合と決定されました。日程は未定。熊本にとっても初めての経験になります。

これで、あの橋本のいない隙を狙われた北九州の先制点と、ウーゴ、藤本、ドゥグラスと繋いだトリッキーな熊本の同点弾は、公式記録にはならず幻のゴールと呼ばれるのかも知れません。当人たちにとっては残念でしょうが、しかし総体的には、選手にとっても、われわれファンにとってもフェアで最善の決定になったのではないでしょうか。やはり1-1のイーブンだったことも判断材料にあったのでしょう。

前日からゲーム前まで、長時間にわたり断続的に雷まじりに激しい雨が降り、開催自体も危ぶまれました。わがスタジアム「うまスタ」はしかし、ややスリッピーではありましたが、かねてから水はけには定評のあるピッチ。敵将・柱谷監督が「ウォーミングアップを見たらボールもしっかり動いてた」と言うとおり、何の問題もなくパスサッカーの舞台として機能していました。

前半戦アウェーで0-7の大敗を喫した相手、北九州。とはいえ、お互いにそんなことを気にしたり、話題にする余裕のある順位にもなく、相手がどこであろうと目の前の勝ち点を積んでいくしかない。

前線でドゥグラス、ウーゴそれに、3バックの右で期限付き移籍の青木が初先発。ボランチに原田、吉井を並べ、さらに黒木を右のサイドハーフに起用。ずいぶんフレッシュな顔ぶれ。中2日、中3日の連戦の疲労を考慮したのだとしても、なかなかに魅力的な試みでした。

ベンチに目を向ければ、GKの他は、高橋、養父、堀米、仲間、齊藤。後ろも前も、真ん中も、シーズン当初よりかなり選手層が厚くなっているのに気付かされる。ちょっと大げさかもしれませんが、ただの交代要員ではなく、戦局に応じてゲームの流れを切り換えられるメンバーになってきた、と言ってもいいかもしれません。

20130825北九州

立ち上がりは北九州。4-4-2という徳島と同じシステムながら、高い位置からプレスを掛けられ苦しめられます。ただ、ウーゴ、藤本、ドゥグラスがワンタッチで繋ぐ、ためるトライアングルに、次第に北九州も翻弄され始めます。悪くない。

しかし、攻勢、主導権がクルクルと入れ替わるような展開。先制したのは北九州。そして冒頭に書いたように、熊本が前半のうちにドゥグラスのゴールでイーブンに持っていきました。

熊本はハーフタイムでケガの吉井に代えて筑城。後半15分にはドゥグラスに代えて齊藤。
いよいよここから終盤にかけて攻勢に出て行こうという熊本のスタイルになったかと思ったところでの「水入り」。やはり、この流れは残念というべきでしょう。

ただ、中断を経て再開されていたら流れが変わってしまうのもよくあること。それを思うと、「中止」のほうが良かったとも考える自分達がいます。

点差もイーブン。仮に残り25分だけのゲーム開催になった場合、サドンデスではありませんが、そんな状況の延長戦を戦うような気持ちかも知れない。たった25分だけのゲーム。25分だけの後押し。それはきっと痺れるような経験になるかも知れない。とも思っていました。

けれど決定は仕切りなおしの90分の再試合。しかし、それはそれで、65分の真剣勝負を観たあとに、同じ半券でもう一本同等の試合を観られると考えれば、ファンとしては随分得したのかも知れない。そう言ったらゲームの運営に苦労される関係者に怒られるでしょうか(笑)。

とにかく、決着は再試合で。今度こそ勝ち点をいただきましょう。

8月21日(水) 2013 J2リーグ戦 第30節
熊本 0 - 1 徳島 (19:03/うまスタ/4,052人)
得点者:86' 大崎淳矢(徳島)

うーむ。なんと言っていいのか迷っています。

池谷監督代行が「89分はゲームを支配できたと思う」と言ったように、ほとんどの時間で悪くなかった。正直、前節のエントリーの最後で「絶好調」と表現した徳島相手に、さてどうなるかという不安のなか、蓋を開けてみると、主導権を握っていたのは熊本。かなりいい。などと言っても、結果だけが求められているこの状況での連敗。しかも後半40分を過ぎての一瞬の失点。勝ち点1も取れなかった結果において、アホか?と言われてしまうでしょうか。

20130821徳島

齊藤を久しぶりに先発に起用した熊本の3トップは変幻自在。コンビネーションもよく、つかまえどころがなく、相手のマークを許さず、混乱に陥れました。前節の課題だった縦へのパスは、相手ボランチの脇のスペースを使って、橋本や黒木が通していく。そこから藤本や齊藤が溜めを作って、サイドハーフも加わることで、これまで薄かったアタッキングサードへの侵入人数も増えた。堀米は数多くのセットプレーを蹴り、どれも素晴らしいボール、スピード、コース、球スジ。入らないのが変だと思うくらいの…。

しかし。しかし、ゴールが割れない。

確かに、キーパーの背後にまでDFが滑りこんでカバーしていた徳島、なりふり構わず失点を防ごうとする、並々ならぬ集中力を感じました。熊本のシュートがなかなか枠に飛ばないのは、あるいはGKの正面に行くのは、徳島がシュートコースを塞いでいるからだろうし、実際GKも“当たって”いた。

平日の開催でやむ無くスタジアム行きを諦めたわれわれは、テレビ画面を前に、可能性にわくわくしていましたが、現地に駆け付けた同僚の見方はまた違っていたようです。いわく、絵に描いたように敷かれた徳島の美しい2列×4枚のブロックにしっかり阻まれ、点の匂いはしなかったと。

徳島の戦いぶりには、色んな見方があるかも知れません。省エネといえばそうかも知れない。熊本に持たせて、回させて、最後のゴール前だけはきっちり締めて、ワンチャンスをものにして勝ち点3だけ持って帰ったと。

しかし、試合後の小林監督談話(J’s Goal)では、ここまで熊本に主導権を握られるとは予想していなかったし、押し戻すために迷ったあげくシステムを変更した。最後のカードのキム ジョンミンも奏功して、“運よく”点が入ったという感じに読めるのですが。

ただ、何を言っても変わらないのは、勝ったのは徳島。そして勝った方が強いというサッカーの現実。われわれは順位をまたひとつ落として、まだまだ降格圏に突き落とされそうな位置から這いあがれずにいるということです。

やはり気になるのは、これほど内容が良くても結果が伴わないときの選手たちの自信喪失。指揮官は、試合後選手たちに「『めげているやつはいるか』と聞いたが、誰ひとりそんな選手はいなかった」といいます。片山は「好機をつくっても点が入らないなら、もっと多くつくるしかない」ときっぱり。

何を信じるかといって、自分たちを信じていくほかない。

ポジティブに考えれば、これだけ結果が出ない戦いを続けていても、まだ降格圏より僅かながら上にいる。これだけうまくいってなくても、悲惨な戦いが続いているわけでもなく、ゲーム自体は悪くない、いや、なかなかいいくらいだし。

そしてやっと観れたウーゴ。わがチームのプレーヤーとして、初めて見るような存在感、本格感。素人目で見ても、トップコンディションからはまだ遠いな、というスピードやキレではありますが、そんなもどかしさも漂わせつつ、わずか20分の途中出場であれだけボールにさわり、局面に顔を出し、ゲームに絡める。これはもう動きの質の高さというほかない。

プレーはいたってシンプル。受ける、はたく、落とす。ほとんどワンタッチ、ツータッチ。だが、そのボールの行方、強弱など、込められる意図のバラエティーと深さに驚かされる。次はどんなプレーをするんだろうか?そんなワクワクするような楽しみを感じさせてくれるプレーヤーを熊本は手に入れた。

どうしようもない時には、無理してでも明るく、前向きに振る舞うことも時には必要かもしれないが、今は決してそうではない。われわれはまだ何も失っていない。自らの戦力も、戦術も、そして、チーム状態も何も悪くない。新戦力もすでにある。そんな気持ちが今日のこの敗戦という結果をどう受け入れていいのかわからないまま、冒頭の言葉となりました。

2013.08.19 群馬戦。黒星
8月18日(日) 2013 J2リーグ戦 第29節
群馬 1 - 0 熊本 (18:04/正田スタ/2,841人)
得点者:65' 加藤弘堅(群馬)


「プロサッカークラブは観客に“苦痛”を売っている商売だ」と皮肉的に言ったリバプール大学のローガン・テイラー博士の逸話を以前このブログで引用したことがあります。もちろん「苦痛を感じるのは、クラブに対して愛があるから」。まさにわれわれは今、愛ある苦痛のさなかにあります。

サッカーのファンは、常勝チームでもない限りそのほとんどの週末はストレスばかりだったりして…。

熊日朝刊は「危機的、迫る降格圏」と書いていますが、いやいや、もうすでに今日のゲームは降格圏真っ只中であえいでいるような雰囲気さえ感じてしまいました。

それまでの5試合(池谷監督代行が就任以来)、選手もファンもその戦いぶりはそれなりに受け入れられるものでした。思うようにはいかないが、続けていけば前に進むという一本の筋が通っていたように思えました。

しかしリーグ戦も29節。あと14試合、3分の1を残すのみ。最終コーナーを回りながら、ゴールがそこに見えて来て、はっきりと意識しはじめるのは、残りゲーム数と対戦相手。このタイミングでまさに降格圏にある直接の対戦相手が群馬でした。

20130818群馬

連敗、大敗を喫していた時は、ショックも大きく、それこそ2敗も3敗もしたような気分でしたが、今日の敗戦もまた、実に嫌な負け方。正直、敗因もよくわからないと言っていい。選手はファイトしているし、守備の意識も非常に高い。群馬もホントの決定機はまさにあの1回だけ。

しかし、逆に群馬も現に降格圏という相当のストレスを抱えながらのゲームを戦っているわけで。向こうから見れば、まさに目の上に居る熊本。両者のモチベーション、メンタルは複雑に交錯していたように思えます。

堀米がPKを外した時点で、漂う嫌な雰囲気。どうも今日は熊本のゲームではないような。
辛勝した群馬・秋葉監督は、試合後いつになく饒舌にこの場面を振り返り、「サポーターが入らないような空気をつくってくれた」(熊日)、「まさにベテランの為せる技で彼の持つ経験値とオーラが相手より勝った」(J’s Goal)と淀みない。

われわれは結果論からすれば、この大事な場面でなぜうら若きレンタル選手が一身にその任を負わなければいけなかったのかを知りたい。自ら志願したのか。そこまでチームの信頼を得ていたからなのか。果たしてベテランは何をしていたのでしょうか。

その答えは井芹さんが取材した記事で知ることができましたが、「熊本に来たから経験できたことだと思うし、あれがあったからと言われるようにならないといけない」と前を向いた堀米の言葉がなにより救いでした。

これはもう愚にもつかない精神論ですが、金縛りのような状況とでもいうのでしょうか。日ごろ難なくやれていることが、できなくなるようなことはあるかも知れない。高橋は自らのプレーをミスというが…。ミスを必要以上にクローズアップされてしまうような雰囲気も良くない。

執拗な群馬の前からのチェックに対して、ハーフタイムで指揮官からは、「最終ラインのボールの動かし方には注意すること」という指示が出ていた。それが徹底できなかったということでしょう。

「ゴールに直結する相手DFの背後に抜ける動きが少なかった」と仲間は言います。もともと現状は攻撃に人数をかける戦術ではないわけなので、単に得点力不足を指摘しても仕方ないところではあるのですが、それでも、せっかく中盤で繋いでいるボールが、タテに行けない。行かないのかもしれない。大事に大事に、試合を運んでいるような。相変わらずポゼッションは高い。しかし、キープするのが目的ではないだろうにと思えるようなシーンもないでもない。

選手、監督のコメントにも、何となく力がないように感じてしまう。いかんいかん、それはわれわれ自身のメンタルが悪循環に陥っているせいかも知れません。

中二日で迎えるのは後期絶好調の徳島。相手を恐れることなく前を向いて、この連戦を戦いましょう。勝ち点を!

8月12日(月) 2013 J2リーグ戦 第28節
熊本 1 - 1 岡山 (19:04/うまスタ/5,513人)
得点者:79' 押谷祐樹(岡山)、81' 齊藤和樹(熊本)


単発的に、ロングボールで裏を取られる、あるいは取られそうになる以外には、岡山に対してほとんど有効な攻撃を封じた形でした。失点も、押谷の飛び出しと、まあこれはもう相手を褒めるしかない、瞬間のトラップと身体の入れ替え。残念と言えば残念。常に守備の数的優位を確保していただけに…。

月曜夜の変則開催。その他のカードは全て前日に終了しており、しかも下位チームが軒並み勝利を収めていました。最下位から勝ち点差4に迫られた状況。なんとしても勝利が欲しい熊本は、前節同様の先発布陣。

20130812岡山

試合序盤から中盤にかけてこそ、岡山の寄せの速さもあって、互いに潰しあうようなゲームになってしまいましたが、徐々に両サイドハーフが挽回しはじめ、主導権は熊本に移り、サイドから、あるいは中央から、“ちびっこ”3トップが流動的に動きまわり、幾度も決定機をつくりだします。

22分には敵GKからDFへのパス出しを藤本が奪って、すかさずループシュート。これは惜しくも左に反れる。34分にも前を向いた藤本がPA内の堀米へパス。DF3人を引き連れた堀米から藤本へ。藤本のシュートはまたも枠の左。

「いい前半だった。だけど結果は何も出ていない」とハーフタイムで池谷監督代行は言い、「後半の相手は、前半の相手と思うな」と選手を引き締めました。

岡山は仙石に代えて押谷を投入。千明を中盤の底に置いて藤本に対応させるとともに、押谷と久木田の2トップにして点を取りに行くぞという合図。岡山もまたどうしても勝ち点3が必要な状況でした。

ただ、岡山のボールを奪う位置は高くなったものの、そのあとの拙攻に助けられる展開。少しチームの機動力が弱まってきた熊本は、吉井に代えて黒木、堀米には齊藤。

均衡を破ったのは79分の岡山。冒頭に書いたように中盤・千明が斜めに入れたロングボールに押谷に裏を取られてのもの。しかしすかさずその2分後、原田が前線に送ったボールに岡山DFのクリアが小さくて、齊藤の足元に。瞬間、齊藤は迷わず左足を一閃。アウトに掛かったシュートがゴール左隅に突き刺さります。

その後も両者とも引き分けをよしとしない戦いぶり。熊本はアディッショナルタイムもボールを拾い続け、岡山のゴールに迫りましたが、終了のホイッスルが鳴り万事休しました。

南が「この2試合は内容が良い」と言い、片山が「前節の試合からボールを運んで良い形をつくることができている」とふり返るように、なんとか引き分けた、引き分けてラッキーだったという試合ではなく、十分に勝機を感じながらの引き分けと言えるでしょう。

ただ勝ち点3には結びつかなかった。池谷代行に交代してから5試合。これで1勝4分け。
指揮官が代わって、徐々に、本当に少しずつ戦術理解が進んで、その間、とにかく「負けない」サッカーで凌ぎながら。

しかし、前節、今節と下位チームが勝ち点3を積み上げる状況のなか、勝ち点がひとつずつしか伸びないもどかしさもある。われわれファンの側にも、ちょっとした焦りみたいなものが無いと言えばウソになるでしょう。

もちろん選手たちのコメントを読めば、これを続けていくということで一致しているし、それはチームの方向性、求心力として大事なことだと思う。意識してそういうふうに方向づける言動ということでもあるのかも知れません。

そんななかで、悔しさや課題を口にする選手もいる。「勝ててない焦りや、結果を残したいという思いが裏目に出てしまった」と言う藤本。「もっと怖い選手にならなければ」と言うのは堀米。

試合の“ベース”を作る力は確実に感じられるようになってきた。いわゆる「勝ち点1をベースに」というところ。しかし、それを勝ち点3につなげるためには、それを超えるプレーが必要になってくる。当たり前のプレーではそれは難しい。

今日の齊藤の同点ゴールのような、あるいは相手方ではあるけれど、押谷の先制ゴールのようなプレーが。

途中投入の齊藤のプレーぶりは、相手にとって十分に「怖さ」を感じさせたのではないでしょうか。五分五分でもない、自分が不利な状況でも果敢に仕掛け、身体ごとの勝負を挑んでチャンスを奪い取っていくような迫力。DFにとって嫌だと思わせるようなプレー。

「前に選手がいない中で、自分でも仕掛けるかシュートをかの判断が難しい」(熊日)。タイプは全く違うものの、FWで使われるようになって2試合目の堀米が感じていることも、それに通じることのように思えます。“上手いだけではダメだ”ということでしょうか。

堀米、橋本ともに今季末までのレンタル延長が決まり、FWにはウーゴ、DFには青木という新加入選手と合わせて、チームの力の大きな要素である「競争」環境が保たれ、さらに強まることになります。正直な気持ち、ホッとしたし、これはかなり大きなニュースでした。

今日の熊日は、斉藤にスタメン落ちからの経緯を「初心に帰ることができた」と語らせています。そして、今日のゲームもまたスタメン落ち。ですが、リアリストたる池谷代行は、多分、これは純粋に戦術的に斉藤をベンチに置いたのではないか。齊藤が入って「違う攻撃のバリエーションができた」と言う。コンディションを戻し、精神的にもひと回り頼もしくなった齊藤を、ひとりでも局面を打開できる、ゲームプランの“切り札”として先発より高い優先順位の選択肢としてベンチに置いたのではないか。ベンチに切り札を持った経験があまりないわれわれのチーム。斉藤をベンチに置いておける戦術、選手層は、ちょっとうれしい状況といえるかも知れません。

8月4日(日) 2013 J2リーグ戦 第27節
鳥取 0 - 0 熊本 (18:34/とりスタ/3,890人)


後半42分、3枚目の交代カードは黒木でした。これを現状のチーム戦術、池谷スタイルと呼ぶのかどうかは別にして、われわれを唸らせた。そのリアリズム(現実主義)を、改めて思い知らされた気がなぜかしたのです。

下位チームが勝ち点を積んだ今節。確かに勝ち点3を持ちかえれば、それは言うことないかもしれないのですが、ほんとうに近視眼的な結果論で言えば、勝ち点0なら、順位をふたつ下げて18位。降格圏・群馬との勝ち点差が“4”に縮まっていたわけで…。

試合後、「ボール支配率から見れば、勝ち点2を落としたとも言える試合」と、池谷監督代行がふり返るのは、これはもう明らかな評論、結果論であって、勝ち点1を手にしているからこそのコメントだろうと思うのです。

とにかく勝ち点を積んでいく戦い。

20130804鳥取

北嶋を故障で、齊藤を累積で欠く前線を、仲間と堀米の2トップ、トップ下に藤本というシステムに変えてきた熊本。3バックのセンターには橋本という布陣でした。

前半はお互いに守り合い。ある程度までは行くけれど、完全には崩しきれない。サイドで詰まる。これは集中して、守ろう、先制されない、という両チームの強い意志が前面に出たゲーム運び。鳥取もなによりこの順位の近い熊本を叩いて、下位戦線から這い上がろうという狙いの試合。昨年、降格圏内を最後まで彷徨った。その轍は踏まないとばかり。

だからと言って消極的な凡戦ではない。鳥取のプレスの甘さも手伝ってか、熊本はほぼツータッチでボールがよく回る。藤本がいつものように動き回って、収めては前を向く。前半16分には、片山のゴールラインぎりぎりからのマイナスクロスのこぼれ球を藤本が打つ。GK小針の手を抜けたもののDFドゥドゥに防がれる。ハンドではなかったか?その後のドゥドゥの顔面の痛がりようが、逆に不審に思えてなりませんでした。

35分以降あたりの時間帯に、ちょっと足が止まった感の熊本。鳥取のサイドチェンジにファーストディフェンダーが行けていない。やられてみると、サイドチェンジは実に嫌な組み立て。ピンチといえばこのあたりでした。

しかし、修正も確かなものがありました。後半、さすがにスペースができはじめたなと思っても、すぐにコンパクトに戻る修正が働く(両チームともに)。最後まで片山が単騎で攻め上がる場面がなかった。バランスを崩すリスクを冒してまで攻め上がらなかった。

ボール支配率というより、こちらの決定機と相手の決定機が同じくらいの戦いか。両GKも見せ場を作りました。

それにしても、縦に強いパスが通って、収まって、受け手が振り返ると、“サッカーらしく”なるし、ゲームの質が高くなって面白くなるものだ、と実感しました。このシステムで、あの位置での橋本の起用。ただ単に、当たりが強いだけでない。そしてあの縦の選択は、確かにこれまでの熊本にはなかったものでした。

組み立てのなかで、同サイドでのワンツーとサイドチェンジと。縦にズバッと行くところは行く。このぐらい色んな手を見せると、このところ封印気味のロングボールも、また活きてくるのではないでしょうか。

そこで、改めて不思議な気がするのが、なぜロングボールが使われなくなったのか?

昨日の試合でも、途中ファビオが出ても蹴らない。何かこう、主義主張のようにも…。蹴るのは決定的なカウンター狙いの時だけ。

思えば、夏場の消耗を懸念してのことかも知れないと。高木監督時代に一度、いつかのエントリーに書いたことがあります。ロングボールでのキック&ラッシュ、セカンドボールの奪い合いは、選手に相当の体力を要求する。熊本が夏場に失速するのも、その戦術のせいではないかと。

そういえば、ここのところ練習時間も、日中を避けて朝方や夕方に組まれているような。熊本のうだるような暑さのなかで、無用の消耗を避けるように。マネジメント面でもそういう配慮がされているのでしょうか。これも経験値。そして、この大事な局面だけに。

まだまだ、しばらくは勝ち点1を積み上げ、3を狙うゲームが続く。ゲーム運びもそうですが、JFLの時のような、「負けられない試合」「負けない戦術」なのかも知れない。それは監督というより、経営者の戦術にも見えますね。