9月29日(日) 2013 J2リーグ戦 第35節
熊本 2 - 1 札幌 (15:03/うまスタ/6,051人)
得点者:17' 齊藤和樹(熊本)、24' 上原慎也(札幌)、79' 片山奨典(熊本)


これはもう、「相性がいい」などという訳の分らないことを言ってもみたくなります。それほどに札幌とは「相性がいい感」が強い、強くなってきたと言っていいのでしょうか。今日の勝利も入れて、J2通算で5勝2敗2分。その戦績以上に、まだホームで負けていないということもあるのかもしれません。

指揮官がそれを言っちゃあいけないよとも思うのですが、「サッカーって面白いもので、ああいう内容で勝点3が拾える」とは池谷監督代行の弁。詳細に今日のゲームを振り返ったJ’s Goalのコメント。そのサッカーは「面白い」という部分をかなり深く、多面的に語っていて、これもなかなか「面白い」読み物になっていますね。

例えば「押し込まれるのが前提でゾーンを敷いたので、だけどどこで引っ掛けてどこで取るのかっていう意味では、押し込まれたことが2-1という結果につながったと思う」など。監督の頭の中では、一筋縄ではいかないゲームの全体像や色んな作用・反作用が絡み合っている様子を語ってくれている。それでも「粘り強くやるべきだし、やっぱり失点しないっていうところ」というのが結論のようなのですが。

20130929札幌

プレーオフ圏内まで勝ち点差4に迫っていた7位札幌の、この試合にかける気迫は相当のものでした。開始早々から、厳しく、執拗に前からチェックしてくる。内村だけでなく、前田、三上、荒野、はてはボランチまでからんで攻撃の圧を増す札幌に対して、熊本は押し込まれ続ける。ひとり少ないんじゃないかと思うくらいに完全に引いてブロックする熊本。相手をレスペクトし過ぎでは?と思ってしまうほど。

ただ、これは「ゲームプランとしては、しっかり5-4-1で守備のベースを作ってから奪って出よう」(池谷代行)というように、事前のプランとして守備的に進めるということがあったようですが。

降格圏にあって、残り8試合。先制されると非常に苦しくなるというのがわかっているなかでは、ある意味でトーナメントを戦うような極端な戦術も求められるということかと。

しかし、これだけ前から行かないと(行けないと)、常に最終ライン近い、低い位置からの攻め上がりになり、ウーゴが孤立してしまう形は前節と同じような。そして、前から来る札幌に対して、見え方としては徐々に「引っ掛けられて逆襲される」場面が続きます。

ところが、そういった攻勢の在りかとは別に先制したのは熊本でした。左サイド奥からのFK。大迫の得意な角度から入れたボールに、ニアで合わせた齊藤のバックヘッドが、GKも届かないゴール右隅に転がり込む。「非公開で行った27日の練習では、セットプレーを入念に確認」(熊日)したという。その成果を示しました。

ただ、すぐに同点に追いつかれると、後半の終盤まで、とにかく耐える時間が続きます。延々と同じパターンで熊本サイドを、まるで「包囲」するような札幌。

そんななかで、見ている側としてずっと気になっていたのは、選手交代、ベンチワーク。スピードや判断、明らかにコンディションが良くないと見えた吉井。マッチアップがうまくいかず、押し込まれ続ける右サイドの大迫。それにしても行かなさ過ぎるために、エリア内で高まるリスク。ここはどうにかしないと…。なぜ代えないのか。いつ代えるのか。などと考えながら。

「いくつか悩んだ部分はありました。(大迫)希のイエローもあったんで、早めに(黒木)晃平をというプランもあったんですけど、(吉井)孝輔の状態がかなりキツそうだったので先にそっちを代えて、あとはやっぱり1点欲しかったので、最後の所の希のクロスとか、攻撃の1発を捨てきれなかったというところで、少し躊躇しました」と言う池谷代行。攻撃か守備か。ギリギリの判断だったことがわかります。結果(まさに結果論ですが)、片山の決勝ゴール。直前のプレーで養父のヘッドにクロスを合わせたのは、まさにその大迫でした。

養父のヘディングシュートは敵GKがみごとに弾いた。しかし、こぼれ球に詰めたのは、逆サイドから駆け上がった片山。ウーゴも詰めていましたが片山の「OK」という声に反応して、自身はDFの引きつけ役にまわった。「前半も同じような形でウーゴがトラップしてしまった場面があって。2回目だったので気付いてくれたのかなと思います」という片山。利き足の左で、ファーサイドのネットに突き刺しました。

「あくまでうちは5-4-1ではなくて3トップ。守る時が5-4-1で攻撃のときはFW3枚なので、そこをやっぱり3枚になる状況をいかに作れるか」「ウイングバックまで入れれば4枚、5枚になっていく、そういう状況を作れるようなゲーム展開が欲しい」という池谷代行。その状況、時間帯は、お互いにスペースができ始める最終盤。その一瞬、その状況を作り出すための、そこまでの我慢、粘りが実を結んだということでしょう。

札幌の交代カードは、三上に代えてフェホ。そして前田に代えて岡本。それに対して「逆に向こうの交代で高さが出てきて、ある意味ラッキーだったかな」と言うのも池谷代行。「内村とか前田がいる方が、バイタルでのワンツーやフリックがあってちょっと気になっていたので、そこは代わってくれてラッキーだったなと」。

結果論ではあるにせよ、ここが勝敗を分ける心理戦だったのかなということ。

熊本のブロックを崩すという点では、札幌の攻撃陣はかなりの部分で成功していたわけで、得点にこそならなかったが、われわれも思わず目をつぶった決定機は、少なくとも3~4回はあったような。池谷代行自身が求める「ゴール前にごちゃごちゃ感を生み出すような…」。そんな見事な札幌の攻撃だったと思います。

しかし、それでも熊本は凌いだ。南のファインセーブはもちろんですが、エリア内の“ごちゃごちゃ感”のなかでも、最後に身体を張った。足を出した。クリアした。そうやって最後の最後に勝利を手繰り寄せました。

それは、内容で圧倒されながら、もう不器用で、不細工で、不恰好以外のなにものでもない勝利だったけれど。勝敗を分けたわずかな差は、冒頭書いた「相性」とかでは決してなく。たったひとつ。スタジアムの大声援の力としか言いようがない。

つるべ落としのような秋空に響く「カモン!ロッソ」の声。気のせいかも知れませんが、その声のまとまりが増してきて、ひとつの厚い束になってきているような。その壮観をわれわれも片隅から眺めていました。情けないことに、他会場の経過、結果を横目でうかがいながら(笑)。

残り試合について聞かれた片山は、「負けてないということを自信に、練習から意識を高くできるんじゃないかなと思います」と言う。

また、次につながる戦いができた。南は「前節の引き分けも大きかった」と。ホーム連勝。気がつけば公式戦4試合負けなし。あと7試合。こうやってひとつひとつ、気持をつないで最後まで戦えれば、結果はついてくる。そう確信しています。

9月22日(日) 2013 J2リーグ戦 第34節
水戸 1 - 1 熊本 (16:03/Ksスタ/4,601人)
得点者:27' 橋本晃司(水戸)、42' オウンゴ-ル(熊本)


とにかく、得点経過も含めて、サッカーにならなかったゲーム。よく引き分けたとも言えるでしょう。
「大変厳しいゲームになりましたが、よく耐えて勝点1を拾えたかなというゲーム」と池谷監督代行も言うように。

前節、久々のホームでの勝利を受けたこのアウェイの大事な一戦。いつにも増して数多くのサポが駆け付けたケーズデンキスタジアムのゴール裏。

今日も風のゲームでした。本当に今シーズンは天候に影響される。それと、スカパー観戦ではよくわからなかったんですが、熊日によれば、「強い風に荒れたピッチ」で、熊本得意のパスサッカーには厳しい条件だったとも。原田は「互いにボールが落ち着かず、プレーしていてストレスのたまる試合だった」と振り返っています。

3連敗中の水戸。特に前節のG大阪戦の大敗のショックを払拭するため、この1週間、相当締めなおして来たようです。「前から行く姿勢だったり、本来の我々の姿勢というものを取り戻せたと思います。そして、取り戻すための1週間だった」と敵将・柱谷監督。

20130922水戸

風上に立った前半開始から、水戸が猛烈に押し込む。水戸の攻撃の時間が長く、熊本のそれは短い。

しかし、終わってみればシュート数は熊本の3に対して、水戸は8。熊本の3は極端に少なく、また、なかなかシュートに持ち込めなかったのは事実。ただ、水戸の8も決して多いわけではなく、セットプレーからのシュートを除けば、流れのなかではそれほど打たれておらず、「やられそうな場面はなかった」と言うDF青木の印象そのものでした。

お互いに、気持ちも、足元も落ち着かないなかで、決め手を欠くゲームだったのかなと。CKからのハンドによるPKと、CKからのオウンゴールという得点内容がそれを物語っているようで。

熊本も前線からハイプレッシャーをかけますが、それを上回るように寄せる水戸。特に今日の、熊本の攻撃の核となるウーゴに対しては、終始DF2人が対応。その早い潰しにほとんどプレーをさせてもらえなかった感じです。

ただ、熊本の攻撃が機能できなかった原因はそれだけではないような。むしろ、「風下も含めて、鈴木選手が起点になって縦に早い攻撃を受けてしまった。なかなかラインを上げることができなかった」と池谷代行が言うように、前線の3人が、やや孤立気味。見方を変えれば、攻撃は前の3人で…みたいなことにも見えるような状況が続いていました。ある意味で割り切らざるを得ないような。

落ち着かない状況のなかでも、いや、そんな状況だからこそ「誰よりも嫌な競り合いをしてくる」(高橋)、相手FW・鈴木の存在感が際立ちました。本当に感心するぐらい嫌な動きをする。

風向きは前節とは逆でしたが、前半のうちに同点にした展開は全く同じ。後半、風上を利用して逆転弾を…。おそらく、こんなゲームを勝つには、わずかな決定機、ワンチャンスをものにするしかないだろうと。いや、むしろ、今日の流れから言えば、熊本がワンチャンスを決めて逃げ切るというのが、こんなゲームらしい終わり方(われわれにとってですが…)だ、などと勝手なイメージをふくらませ、ジリジリとしながら試合後半を観ていました。

そこに、蔵川の一発退場。

原田が感じていたストレス。それには今日の副審も含めた審判団の笛も加わっていたのかも知れません。「?」マークが付くジャッジ。FKの数、熊本20、水戸18が物語る、笛の多さ。チーム全員が多かれ少なかれストレスを感じていただろうことは、容易に想像できました。

後半も残り10分を切ったあたり、ゲームがどちらに傾くか、転ぶか。微妙で、最も厳しい時間帯。熊本にとってどうだったか。この試合に限っての結果論としては、はっきりと割り切れてよかった、とも言えるのかも知れません。4-4-1にした熊本は、2列のブロックを敷いて、引き分けを狙いながらカウンターを仕掛ける。

ただ、明らかに足が止まっている選手もいたのですが、交代カードは齊藤から仲間への一枚のみ。ゲームの内容、流れからのベンチワークだったのでしょうか。それともベンチの陣容自体がひっ迫しているからなのか…。

次節は、矢野、片山が帰ってくるけれど、今度は藏川が出場停止。これもまた相当に痛い。左に入った大迫、前線の養父も、今日はなかなか絡めませんでした。けれど、多くの”変数”がマネジメントできない今日のような試合にあっては、やはり引き分けを良しとするしかないでしょう。

「評価できる引き分けだと思うが、生かすも殺すも次のホーム戦だ」(熊日朝刊)と、南が言うように、次のホームゲームに向けたモチベーションが高まってつながったことは収穫としましょう。

順位はひとつ上がって18位になったものの、岐阜と鳥取の直接対決に岐阜が勝ったため、降格圏との勝ち点差は2。1ゲームで入れ替わる状況は変わらない。

降格圏のチームがこれだけの僅差の団子状態。1戦1戦の結果しだいで、順位が大きくひっくりかえってしまう。一喜一憂ではありますが、チームもわれわれファンも、どんな状況でも、どれだけ気持ちを切らさず、気持ちを揚げて戦いを続けられるか。最終戦の試合終了のホイッスルを聞くまで。試される試合が続きます。

9月16日(月) 2013 J2リーグ戦 第33節
熊本 2 - 1 東京V (16:03/うまスタ/6,102人)
得点者:29' 常盤聡(東京V)、37' 大迫希(熊本)、82' 齊藤和樹(熊本)


昨夜は、スカパー!オンデマンドで繰り返しゲームをなぞり(得点シーンと最後のカモンロッソのとこだけ…)。遅くまでJ’s Goalの選手、監督コメントが上がるのを待ち。そして今朝は、早起きして朝刊を開いてみると、何と1面に…。開幕戦でもなく、優勝したわけでもなく、長らく勝てなかった降格圏のチームが、久しぶりに勝った。ただそれだけなんですが。でも確かにその紙面はファンとしてはとてもグッとくるもので…。

4分間の長い長いアディッショナルタイム。残りあと30秒での東京のCK。もう見ていられない。思わず手を合わせる。ショートコーナー。片山が、大迫が、黒木が… 粘りに粘り、上げさせない…。終了のホイッスルと同時に、精根尽き果ててピッチにへたり込む選手たち。

大きな溜息を吐きながら、改めて思いました。楽に勝てることも、普通に勝てることもない。1つ勝つにはこんなに大変なのかと。身をすり減らすような運動量と、神経を削るようなギリギリの集中と…そして、ほんのちょっとのラッキーと。

20130916東京V

「前半は風があったから、全部プレッシャーに行こうと声をかけて、相手も嫌がっていたから、風が助けてくれた部分もあったと思います」と言うのは藤本。台風の余波ではないでしょうが、試合前半、うまスタには熊本にとって強い追い風が吹いていました。試合序盤で東京に主導権が渡ることを妨げるためのような追い風。この風、なぜか後半はスーッとその勢いを弱め、いつの間にか消えていきました。

試合後、東京Vのゴール裏からは選手たちに相当な檄が飛んでいたようでした。ヴェルディとしては、押されていた流れの中で、ワンチャンスを活かして先制に成功。ところが、降格圏に喘ぐ熊本相手にまさかこんな結末になろうとは。そんな思いがそうさせたのでしょうか。

しかし、ゲームを見守るわれわれとしては、先制された時間帯が早かったこともありますが、不思議なほど焦りもなく。選手も下を向いていないのが確信できた。なにより、前半のうちに同点に追いついたのが大きかった。それも流れのなかで。

左サイドを何度も崩していた片山が、中に切れ込んで、利き足でない右足で送るように出したバイタルを横切るようなパス。藤本がDFを引きつけてスルーすると、逆サイドから上がってきていた大迫が狙いすましたようにゴール左隅に突き刺しました。

前半終了間際に痛んだ筑城に代えて、後半から復帰したばかりの藏川を投入。そして藤本に代えて、これまた帰国したばかりのウーゴと、カードを切った熊本。対するヴェルディも、高原、森を入れて、なんとしても勝ち越し点が欲しい。

後半20分あたりから、誰もが熊本の足が止まり始めたような、集中力が薄れてきたような印象を感じました。しかし、ヴェルディも奪ってから持ち上がる段階でのミスが目立つ。重苦しい展開が長く続いた後半も37分、歓喜は熊本に訪れます。

黒木が前線まで持ち上がって敵DFラインを下げると、追ってきた養父に下げた。養父は右から走り込んできた齊藤にすかさずスルーパス。これを齊藤が詰め寄るDFをワントラップでかわすと右足を一閃。狭い狭いニアサイド、ゴール右隅に撃ちこみました。

「チャンスも多かったので決めないといけないですけど、最低限の仕事はできたかなと思います」と言う齊藤。最低限どころか値千金の仕事をしました。「一本決めればいいだろうと、開き直って打った」というメンタリティもエースらしくなった。

今日は、いや前週に続いて今日も、養父のゲームだったと感じました。追撃の同点弾の起点となる片山へのロングフィード、勝ち越し弾をアシストする齊藤へのラストパス。しかし、そういった結果より、随所で見せた必死のプレー、スライディング、ブロック…。初めてとも言えるトップ下、シャドーのポジションにも、実際にはやや低めの位置から、縦の動きで攪乱する。

「出られないときは悔しい気持ちが強かったし、勝つために熊本に来たと思っていたし、自分が持っているものを表現できないのはつらかった」と前週と同じようなコメントをしている。

最終戦まで毎試合このコメントを繰り返すのではないかとさえ思える。残り全試合で、これまで鬱積したものを吹き飛ばすような活躍を狙っているような。そんな腹の底から絞り出すようなコメント。チームは勝てない苦しさ、選手は出られないつらさがあった。選手とチーム。一体ではあるけれど、違う思いもある。

先週、行きつけの整体院の院長に、「天皇杯に限って勝ってしまって。大事なリーグ戦を戦うフィジカル面に影響が出ないといいんですが…」と言われてしまいました。ですが、その意見に同意することはできませんでした。

「今日はたくさんミスもあったけど、それをプラスに変えるようなモチベーションというか、雰囲気が皆にあったから、そんなにサッカーをした感じではないんだけど、気持ちとかがいい感じでボールに伝わったかなと」と藤本が言います。
ミスに近い形で先制を許しながら、それを跳ね返せたのは、ミスから萎縮していく悪循環が断ち切られて、選手の、チームのリズムが好転していくような、そんな兆しが感じられるから。

池谷監督代行も、天皇杯で勝ったということで「勝利のメンタリティというか、そういう部分は確実についてきてるんではないかと。不安よりも勝ちたいという気持ちが強くなったし、皆が勝てるという自信を持ってプレーしている、それがあの勝利によって以前より増してきていると思います」と言う。

90分だったら引き分け勝ち点1だった徳島戦。しかし勝敗の決着をつける天皇杯のレギュレーションは、チームを一体にさせ、PK戦で“勝利”という結果を引き寄せた。それは同時に、失いかけていた“自信”を取り戻すという大きな効果がありました。

それだけでなく「今日出た選手も十分遜色無く、誰が出ても変わらないという仕事をしてくれたので、そういう意味で全体のレベルが上がってきているし、気持ちも同じレベルにあるのかなと改めて思いました」と指揮官に言わせたのも、あの試合の成果ではなかったでしょうか。

勝ち点3の重み、大きさ。この位置で1つ勝てば、スッと順位が上がる。何かこう、フワッとした感じで「上がる」。そして、この位置のチームはなかなか連勝ができない。2つ3つ勝てば、アッと言う間に浮上できる。

戦いは水戸、札幌、富山と続きます。この苦しい戦いは残り9試合の最後まで続くのでしょう。目の前の試合に集中して、最終的にはそれが結果に結び付く、という正論ももちろんですが、ここにくると、ゲームごとの順位とか勝ち点とかがモチベーションになるのも確かです。(逆に作用することもありますが…)

ただ、そこに向けて、まだ「兆し」ではあるものの、いい予感を持って臨むことができる。まだまだケガ人は多いけれど、養父と大迫と、そしてウーゴと。それぞれがなんとか間に合ったのかもしれない。まさしく総力戦。決戦は今。

ファンもサポーターも、ともに戦う準備はできています。

9月8日(日) 第93回天皇杯 2回戦
熊本 1 - 1(PK 4 - 3)徳島 (16:00/うまスタ/2,530人)
得点者:31' ドウグラス(徳島)、77' 養父雄仁(熊本)

延長戦突入が決まり、ピッチ脇に集まった選手たちが戦いの準備に余念がない短い時間。突如ゴール裏から湧き上ってきた「HIKARI」。いつもよりアップテンポなドラムで鼓舞する。それは「この試合は勝つぞ!絶対勝ちに行こう」という熱い後押しでした。

リーグ戦4連敗。降格圏がギリギリに迫っている今の熊本にとって、この試合の意味付けは難しいものだと思っていました。リーグ戦に集中したい、選手に怪我をさせたくないという気持ちの反面、ホーム公式戦で“負け癖”をこれ以上付けたくもない…。それはわれわれだけの屈折した思いだったのかも知れませんが、先発を少し入れ替えた布陣は、その微妙な雰囲気を反映しているように見えなくもありませんでした。

20130908徳島

久しぶりの先発となった五領、そして大迫が右サイドを中心にアグレッシブに動く。養父も止める、出す、その技術の高さを見せる。

徳島には相性の悪い津田の姿はなく、その代り高さのある2トップが。キムが再三裏への飛び出しを狙う。

ただ、やはりチームとしての課題の修正は一夜にしてならない。攻め込んではいるがなかなかフィニッシュまで行けない熊本。対する徳島の反転は素早い。31分、左SBのアレックスが駆け上がるとクロス。中にはドウグラスしかいなかったものの、競った矢野の頭の上から高い打点でヘディングシュートを決めました。まさにピンポイント。クロスの精度の差でした。

まるで恒例のように先制点を奪われた熊本。早くもがっちりとブロックを固めた徳島の守備陣形の前で、“持たされ”ている感もある。ボールを奪ってからの切り替えの遅さにはスタンドからブーイングにも似た声があがる。

ただ、後半から入った仲間、藤本が齊藤を助け、橋本が持ち上がり、黒木がミドルを狙うようになると、まだ選手間の呼吸はちょっとズレてはいるものの、少しずつではあるが、ゴールに近づいている予感が・・・。

同点弾はスローインから繋いで、バイタルでフリーになった養父が狙い澄まして右足を振り抜いた。ボールはキーパーの届かないところから孤を描くようにカーブして、ゴールの右上隅に突き刺さりました。

俄然、勢いを増す熊本。しかし、それに水を差したのは今日も不可解な判定が多かった野田主審の笛でした。徳島のCKの場面。ゴール前のいざこざで徳島の選手が倒れると、なんと矢野にこの日2枚目のイエローが提示されてしまいます。ひとり少なくなった熊本は4-4-1にシフト。ブロックをしっかり作ってカウンター狙いに戦術変更を余儀なくされます。なんとか守りきった後半。

「HIKARI」の熱唱に後押しされた熊本は、温存していた原田を延長戦になって投入。黒木を右SBに下げます。狙いがシンプルになった分、迷いなくカウンターでゴールを目指す。仲間がドリブルで持ち上がってシュートを放つ。藤本を追い越した黒木が右からグラウンダーのクロス。齊藤がスルーして仲間が撃ちますが、至近距離のシュートをGKがファインセーブ。

高崎を入れた徳島も、アレックスのサイドから攻撃の手を休めない。しかし、熊本も粘り強く対応する。この日がデビュー戦となったGK畑の好セーブにも助けられる。

両者とも相当に疲れていました。疲れているがそれでも走る。もう熊本の選手を突き動かしているのは、ここがホームだということ。ホームスタジアムの声援が選手を走らせている。そう思わせました。

トーナメントの決着をつけるためにPK戦に突入したときには、われわれはもう勝ち負けはどうでもいいやという思いがありました。ここまで選手の気持ちを見せられれば結果はもうどちらでもいいのだと。

守るべきゴールにゆっくりと向かう畑に向けて、ゴール裏からすさまじいばかりの拍手と「みのる!」コール。そして、徳島の選手がPKに立つときのブーイング。
徳島の2人目のキッカー、青山が枠を外すと、5人目のアレックスのシュートは畑が横っ跳びで弾いた。その瞬間、90分+30分の長い長い勝負に終止符が打たれ、ピッチサイドからコーチ、スタッフたちも一目散に駆け寄ってくる。

いつの間にかすっかり暗くなった秋の夕空に「カモン!ロッソ」のチャントが響きあう。ようやく。ようやく。リーグ戦ではないけれど、これが待ちに待ったホームに響く勝利の歌。

殊勲のGK畑の長身の雄姿がスタンドからもひと際目立つ。「ヒーローになるチャンスだということだけ考えて」プレーしたと彼は言う。同点弾の養父は、「悔しい気持ちをピッチで出そうと」思っていたと明かします。大迫は前節結果を残した。五領は行ける所までアグレッシブに行った。ヒーローになった者、なれなかった者はいるけれど、緊急避難的に使った黒木を入れた4バックを含め、指揮官に「迷うようなオプションも出てきたので、これは次につながるんではないかな」と言わせました。

Jに上がってから毎年、天皇杯に参加する意義についてわれわれなりに自問してきました。タイトなスケジュールのなかで行われるカップ戦の意味。天皇杯自体の存在の意義。

しかし今日の試合に限っては、今の熊本の状況を打開するという意味で大いに意義がありました。次々とやってくるリーグ戦の日程のなかでは、リスクを避けるあまり、新たな選手起用がどうしても消極的になっていたのではないでしょうか。今日は控えにまわることの多かった選手たちに試合勘を取り戻させ、自らアピールできる絶好の機会になった。それも同じカテゴリーの(しかも目下絶好調の)チーム、徳島との公式戦で。

そしてなにより、PK戦の末とはいえ、久々の、本当に待ち焦がれていた「勝利」という結果を得ることができたこと。内容はよくても結果が伴わないという状況が長く続いていたからこそ、勝利という結果がどうしても欲しかった。「勝つ事がこんなに嬉しいことか、そしてこんなにスタジアムが盛り上がるんだということを改めて感じたゲームでした」と指揮官が言うように。

ファンも同様でした。どんな内容であれ、勝利という結果がなにより欲しかったのです。だからこそ、今日のスタジアムは一体感が溢れていました。あるときは叱咤し、あるときは背中を押すことができたのではないでしょうか。

この勝ちは必ずリーグ戦にも好い影響を与える。きっと悪い流れを断ち切る契機になる。天皇杯を戦ってそんな気持ちになったのは初めての経験でした。

9月5日(木) 2013 J2リーグ戦 第31節
熊本 1 - 2 北九州 (19:03/うまスタ/3,339人)
得点者:33' 渡大生(北九州)、37' 井上翔太(北九州)、55' 大迫希(熊本)


なぜ勝てないのでしょう…。
なぜいつも必ず先制点を奪われるのか。なぜ追いつくことすらできないのか…。

池谷監督代行は試合後「内容的には悲観していない。ファイトできているし、攻撃の形もできている」と言いました。そして「これを好転させなくてはいけない」と。

しかし…。言葉を失ってしまうような前半の連続失点。後半は一転、攻勢に出るも、決定機らしい決定機をつくることができない。まあ、北九州とすれば前半で2点リード、それ以上リスクを冒さず、ある程度引きながら時間を使うような戦いは当然でしょう。シュート数では北九州を上回るものの、なかなか枠に飛ばない。それが最大の敗因でしょうか…。

北九州との31節の再戦。雷によって中止となった2週間前は同点で終わったためか、その試合の「残り25分」を戦うのではなく、全くゼロからの仕切りなおしになった。他のチーム全てがその節を終えた結果、熊本の暫定順位は20位。降格圏の21位鳥取との勝ち点差はわずかに2。しかし、この試合に勝てば北九州を上回り17位に浮上。誰もが、この再試合こそ非常に重要なゲームだという思いがありました。

勝つしかない、勝ちに行こうとしてゲームに入るのか。とにかく失点しないよう、ゲームを壊さないように慎重に入って勝機を探るのか。われわれは興味深く見守っていました。それに対して、どちらかと言えば、とにかく相手の出方を潰すことに集中して、大事に大事に入っていった熊本。いわば“置きに行っている”ようなゲーム。

20130905北九州

両サイドからチャンスを作り、クロスは上がるものの、受け手側の厚みが足りない。「3トップが中央で崩す場面を増やさなければ」と、試合後齊藤が言うものの、前線だけでどうなるものでもなく。相変わらずアタッキングサードでの呼吸が合わない。この課題は、いまだ改善されていない。

そして絵に描いたように、北九州が一瞬の隙をついた攻撃。熊本のミスを突く鋭さももちろんですが、ここぞとばかりの攻勢。攻撃性の”集積”。それこそがまさしくカウンターサッカーなのでしょうが、シュート4本で2得点という”効率”が熊本を消沈させます。

終わってしまったことや暗くなるようなことを考えても仕方がない。
こんな時こそ、良くない材料でも、明るく前向きにとらえ直すくらいの図太さが欲しい。

そう。ケガで出場を心配していた仲間も原田も大事には至らなかったじゃないか。敗戦ではあるが、暫定順位だったのが確定しただけではないか。

4連敗であり、すでに7試合も勝利から遠ざかっている。けれど、それでもまだ降格圏の奥底に沈んでいるわけでもなく、十分に残留の勝負ができるポジションだし。

翌朝の熊日にも「諦めずに」という単語がどこそこに出ていますが、思うにそれは残留20位ラインと勝ち点差が開いてしまっている場合に使う言葉。そして先々を思い悩んだときに、思わず使ってしまう言葉ではないでしょうか。

危機感を自覚する必要があったり、煽るなら別ですが、それでなくても自信喪失気味の熊本。かえって自らを追いつめ、萎縮してしまう。必要なのは自身の力を信じて、目前のプレーに力を出し切ること。決して諦めるとか、諦めないとかいうような局面でもなんでもない。それよりも慌てる、浮足立つ、疑うみたいな状況を恐れます。

残り10試合と区切ることで(これはわれわれの前エントリーもそうですが)、勝手に短期決戦のような錯覚に陥っている感がありますが、池谷代行が言うように残りはまだ3カ月余もある。まだまだシーズンは長い。(この32節でそのままシーズンが終わって欲しいというのもまた本音ですが…(笑))

もう一度、二度の浮き沈みは来るでしょう。

どれだけ普段の戦いができるか。どんなに周囲がやきもきしても、プレーするのは選手だし、指揮を執るのは監督だし、監督を助けるのはスタッフだし…。コンディションを整え、スカウティングを怠らず、知略を尽くして戦術を練り、チームがそれを共有できるまで練習する…しかない。そこに微塵の揺らぎもあってはいけないと思います。

そしてそのチームを土台から支え鼓舞できるのは、われわれファン、サポーターしかいないわけで。

総力戦。われわれもついに前節のエントリーで使ってしまった言葉ですが、ありもしない戦力を空想するような精神論ではなく、普段の準備をさらに周到に整えることだと。
そう、そこに総力を挙げて…。

9月1日(日) 2013 J2リーグ戦 第32節
京都 2 - 0 熊本 (19:04/西京極/4,314人)
得点者:21' 横谷繁(京都)、83' 宮吉拓実(京都)


完敗です。しかし、ボコボコにやられたというわけでもなく、どちらかと言えば零敗という印象でしょうか。京都がこれといって良かった、特別凄かったというような印象はなく、バヤリッツァに加え、安藤、工藤と主力が3人も欠場しても、普通に“京都の水準”が保てる。それに対して熊本が「何もできなかった」。そんな印象です。

20130901京都

攻撃が、守備がということでなく、終始、ボールを回され、じわじわ下がり、ことごとくセカンドを取れず、中盤でボールを失い、そして時間を追うごとに消耗していった。お互いに厳しいプレスを掛けあいはしたが、京都が上回った。仲間、藤本、ドゥグラスの流動的ボール回しも、寸断されてしまいました。

京都の守備陣を慌てさせる場面はなく、まさに「相手に『怖いと』思わせるほどのプレーができなかった」(J’s Goal)という藤本の表現の通りでした。

地力の差、などという言い方はまったく前向きではないので使いたくありませんが、前へ行く、闘うエネルギーが足りないということなのでしょうか。京都の選手の躍動感と較べて、ここははっきり見劣りがしました。ひょっとして、熊本で降り続いた雨での調整不足か、などとも思ってしまう。

もちろん熊本も、(特に片山のサイドから)それなりにチャンスを作ってはいましたが、シュートにまでたどり着かない。いや、ミドルさえ打てない状況。それを池谷監督代行は「シュートを打つべきなのか、次のスペースを探すべきなのか、そういうところがちょっと合っていない」(J’s Goal)と分析しました。「点がなかなか取れないという中に、そういう焦りとか、そういうものが作用している」と。

先週の木曜日に「ウーゴ、一時帰国」の情報が流されたあたりから漂ってきた「うまくいかない感」。吉井はケガでの欠場。今日も試合途中で仲間の負傷交代。ひょっとしたら原田も痛めたのではないか…。あっと言う間に故障者が増え、離脱者リストだけでメンバーが組めそうな感じにまでなってきた。完全に期限付き移籍選手に依存しています。

あるいはこれって「うまくいかない感」というより、すでに降格圏のストレス、焦りが引き起こしているものなのでしょうか。目の前のゲーム、只今のワンプレーに集中するしかないのですが…。

しかし、何が厳しいと言って、戦力が整わないことが一番厳しい。闘うのは選手。これまで経験したことのない総力戦が始まるというのに、です。

勝ち点1さえもが遠く感じますが、まだ何も終わっちゃいない。首の皮1枚でも、得失点差1でも、凌ぎきること。

さあ、木曜日は北九州との再試合。時間はあまりありませんが、どれだけ切り替えられるか。残り試合10。熊本は再試合を入れて11。選手たちの奮起に期待します。