10月27日(日) 2013 J2リーグ戦 第38節
熊本 1 - 0 長崎 (13:04/うまスタ/7,306人)
得点者:45'+2 仲間隼斗(熊本)


「(狙いが)はまった」と言うのは試合後の池谷監督代行。“してやったり”の表情と熊日は書いていますが、仲間の得点シーン、そして試合終了の笛を聞いてからの喜びようは、尋常ではなかったように見えました。

九州ダービーであり、海峡ダービー?でもあって、それも当然と言えば当然なんですけど。それは池谷代行だけではなく、われわれも含めて(多分、ファン全体の雰囲気としても)、なぜこんなに「負けられないぞ」と思ってしまうのか。

それは多分、それほどに前半戦のアウェーでの戦いが、単なる敗戦という以上に何もできなかったこと。それも大きなショックを受けた北九州戦の大敗とも違っていて。何もさせてもらえず、点差の何倍もの差を感じた様なものだったからかも知れません。

20131027長崎

戦前に池谷代行が予想した通りのミラーゲーム。開始直後の緊張感そのままに、延々と続くお互いの潰し合い。熊本は徹底的にリスクを回避するような、そして狙いである相手3バックのサイドをつく“ロングフィード”をしつこく、しつこく繰り返す。前節、千葉戦の反省も大きいのか。とにかく、自陣でのリスキーなプレーを避け、ゲームの流れを切る選択が目立ちます。

「理想とは程遠く、サッカーをした感じがしない」と矢野は言います。確かに観ている方も、ボールの落ち着きどころがない、ある意味面白みのない展開が続く。しかし、指揮官が「相手が嫌がっていることを続けていこう」とハーフタイムで言ったように、それは、ゲームを通じて全く変わることなく、執拗に続けられました。

そしてその効果は、ハーフタイムより前に、突然、実を結びます。前半もアディッショナルタイム。このままスコアレスかと思われた時間帯。自陣で奪ったボールを吉井が左サイドを駆け上がったファビオにロングフィード。ファビオは追ってきた養父にダイレクトで落とす。養父は、斜めに走り抜けてDFの大外で手を上げた仲間に、右足アウトで通す。あとは仲間が落ち着いて決めるだけ。

それはまるで、自分たちがやられて嫌だったこと。3バックの外から裏を取られる失点。同じシステムの長崎相手に、その弱点を突き、これが値千金の決勝点になりました。

長崎・高木監督は「熊本は最近、サイドから崩されて失点することが多かったが、(今日は)サイドで起点を作れなかった」と言う。「マークする相手選手の良さは出させなかったが、自分の良さもあまり出せなかった」との片山の言葉と表裏一体。

自陣のサイドを閉じて、相手サイドを長いボールで崩す。そのためのファビオと仲間の先発。まさに、相手のスカウティングをスカウティングしたような。池谷代行の“してやったり”も理解できます。

それにしても長崎。指揮官の交代カードもあるものの、その意図をピッチ上で実現するために後半一気にギアをチェンジできる選手たち。チャンスと見るや、一瞬でプレーのテンポ、スピードがグッと上がるところは、この順位にいることを納得させる。本当の強さを感じさせる。それはピンチのときもしかり。リーグ最少失点も頷けます。

後半は、いつ同点にされるかと、胃が痛い思いで見守っていました。しかし、養父に代えて黒木を投入し中盤に蓋をすると、最後は「逃げ切るというメッセージとして」(池谷)高橋を入れた。GK南も、長崎のクロスを安定してセーブして、アディッショナルタイム4分も凌ぎ切り、完封で長崎にリベンジしました。

池谷代行の“現実路線”をあらためて思い知ったような気がしました。

スカウティングをスカウティングして、選手を変え、戦術を変え、展開のなかで的確なカードを切って、追加点ではなく逃げ切りを図った。どうしてもこの試合、勝ち点3が欲しかった。それは、最近は何度も繰り返し書いているような気がしますが、“結果がすべて”だという思いからではないでしょうか。

今節、鳥取が負けたため、勝ち点差13となって、残り4試合での熊本の最下位の可能性は消滅しました。まずは自動降格の可能性を消した。JFLの今の状況をみると、この意味はとても大きい。その状況でG大阪と戦えるということも。

今は結果がすべて。その采配は、単なるチームの指揮官というより、クラブ経営陣のひとりとしての超現実的采配ではなかったかと言うと、ちょっと大げさでしょうか。

ところで、25日の熊日朝刊。AC熊本の今期(2013年2月~14年1月)の経営状況について、約1千万円の黒字見通しと報じています。2010年度以来3期ぶりの黒字。

「AC熊本は昨年度決算で2300万円の赤字を計上し、債務超過額が7100万円と増加。14年度決算で債務超過しているか、または3期連続の赤字を計上すれば、Jリーグのクラブライセンスを失うため、今期は当初予算で2400万円の黒字を計上していた」(熊日)。

もちろん、誰も忘れてはいないけれど、降格をめぐる戦いはピッチ上だけではありません。3期連続の赤字はひとまず回避ということで、ひとつの危機は何とかクリアしたものの、債務超過の解消という重い課題は残ったままです。先週来、福岡の経営危機が取り沙汰されていますが、熊本も予断を許さない状況であることに変わりはありません。

次節はガンバ大阪戦。池谷代行はこの試合をどう位置づけ、どう戦おうと構想するのか。
「はまった」「してやったり」という顔をまた見たい。勝って降格圏21位の可能性も消してしまいたいものです。


10月20日(日) 2013 J2リーグ戦 第37節
千葉 6 - 0 熊本 (16:03/フクアリ/7,345人)
得点者:33' 田中佑昌(千葉)、35' ケンペス(千葉)、38' 高橋峻希(千葉)、52' ケンペス(千葉)、67' ケンペス(千葉)、90' 森本貴幸(千葉)


何でしょうか?完全なパスミス、いやプレー選択ミスからの失点。テレビ画面を通して見ていても、あの対応は理解できなかった。何だこれ?という感じ。

直前のセットプレーのピンチを脱して、何でもない局面だったわけで。普通にプレーが切れるような形でよかった。セットプレーで相手DFが残っていて、ゴール前はゴチャゴチャで、そこにボールが入れば、決定機になってしまう。まさにクリア、リセットのプレーでいいし、何の疑問もない状況だったはずなのに。ここぞとカウンターへ向かう気持ちもあったのでしょうが…。

試合の入りは悪くなかった。いやむしろ、ここ数試合より立体的で、片山サイドのスペースが空いていたこともあって、ワイドに展開できていて、得点の予感さえありました。

黒木のドリブルからウーゴがヒールで流して、養父がミドルを放つ。大きなサイドチェンジから片山が強烈なシュート、GKが弾いたところを齊藤がダイレクトボレー。齊藤からのパスを藤本がスルーして黒木が撃つ。バイタルを攻略している熊本。その「いける…」 という感触が、逆に気持に隙を生んだのでしょうか。

20131020千葉

この日、長崎が先に勝利を決めて勝ち点60にしたので、プレーオフ圏内6位ギリギリ(勝ち点58)となった千葉との戦い。千葉のモチベーションは相当のものだったでしょう。われわれにとっては、アウェーのフクダ電子アリーナは、全くいい印象はなく。戦前から、かなり厳しい、正直に言えば悲観的なイメージを持っていました。

「上位と当たる次からのリーグ戦に繋がるはず」と迎えた広島戦で、手も足も出なかったという結果も、そう思わせた遠因かも知れません。

したがって、勝ち点を重視したここ数試合のブロック戦術から、さらに守備的な戦いになるのかと予想していました。それでなくても青木が契約条項で、橋本と原田が怪我で不在ということで、守りの要を欠く熊本。相当に重心を後ろにもってくるのではないかと。

もうひとつの何故?は、1点先制されてからの崩れ方。「ミスの中から失点をして浮き足立った」と、池谷監督代行も言いますが、明らかに動揺した様子がチーム全体に伝播したような。それほどに”ミスしてしまった”感が強かったのかと。

千葉で驚かせたのは米倉の活躍でした。FWだった彼が、チーム事情もあったのでしょうが、今は右SBを努めている。それが驚くほどの攻撃性をもたらしていて。運動量、クロスの質とも申し分なく。常に前線に顔を出す”危険人物”。新しいタイプのSBに見えて。

先制点をお膳立てしたのも、その米倉のグラウンダーの高速クロス。その前から、熊本の左サイドの裏を狙っていた。熊本の攻撃の懐刀が片山だというスカウティングもあったのでしょうか、その後も、徹底的に同サイドを狙って崩す千葉。あるいは逆サイドからも、熊本の3バックの外側裏のスペースを狙われていた。後半の終盤には、左SBの高橋のクロスに、右SBの米倉がヘディングシュートするといった有様でした。

3点ビハインドを背負った後半開始早々も、熊本はいい攻撃を作り、なんとか反撃の狼煙を上げようとしました。しかし、追加点は千葉に入る。高橋の前に入ったケンペスの高い打点のヘディング。

熊本は堀米を入れ、そして北嶋。システムは4-4-2へ。ただ、北嶋になかなかボールが入らないうちに、ケンペスがPAで粘って、力ずくの右足シュートがネットを揺らす。ハットトリック。

この試合の前に、今シーズンでの引退を発表した北嶋。一方的な試合展開になったなか、チームのモチベーションは、”1点でも返したい”というのはもちろん、”彼”に点を取らせたいということだったでしょう。

ただ、シンプルなプレーで点を取り続けていく千葉に反して、熊本のその”特別な”気持ちは、プレーを複雑にし、かえって空回りさせた感じがします。初めてコンビを組むウーゴとのポジションの重なりも顕著で、好機を逸してしまいました。

終わってみれば6-0の大敗。

ただ、チーム全体が成すすべもなく”切れて”しまった北九州戦のあの大敗とは違っていたとは思います。人数を掛けて崩してくる千葉。その圧力とスピードはやはり”J1に繋がる”強さを感じました。それに対して、あまりにもDFの対応が淡白だった。決定的なパスを出す兵働へのケアは何もありませんでした。前回対戦でも2点を取られ、要注意だったはずのケンペスへの対応に関しては特に。

「ちょっとあっさりした失点が多かった」と、指揮官は言いますが、スカウティングは十分だったのか。らしくない感じがして、疑問も残ります…。

もうこの段階でのチームの目標は降格圏からの脱出以外にはないでしょう。目下の順位に一喜一憂するチームのモチベーションも含めて、目の前のゲームに全力を挙げること、そしてその結果がすべて。結果というのは、自力で戦うということと、この状況では、他チームの成績も当然、含めてのことになる。

最下位の鳥取が引き分けで勝ち点1を積んだ以外は、岐阜(1ゲーム未消化)、群馬、富山といずれも敗れたため、あまり状況は変わらなかった。つまり、1ゲーム消化して、そのままの状況で進んだということで、熊本にとっては、まさに結果オーライという理解ができます。

ただ、願望はもうひとつ。

「波乱、旋風を巻き起こせたらよいと思う」。富山戦で勝利したあと、続く上位陣との対戦に向けて、池谷監督代行は、そう言いました。毎年、リーグ終盤上位陣を叩いて、”昇格戦線をかく乱”していたわが熊本。そのいつもの”存在感”は、まだ示せてはいません。

次節は、プレーオフ圏内6位に位置する長崎。というよりも、J2昇格1年目の長崎。前半戦で敗戦した長崎。昨季までの指揮官・高木監督が率いる長崎。

その長崎に2度も負けるわけにはいきません。ホームで負けるわけにはいきません。”意地”はあるのか? チームも、われわれファンも試されています。

10月14日(月) 第93回天皇杯 3回戦
広島 2 - 0 熊本 (15:01/Eスタ/5,876人)
得点者:1' 石原直樹(広島)、63' 佐藤寿人(広島)


完敗でした。それはチームの勝敗のことではなく…。

天皇杯3回戦、広島戦。NHKどころか、スカパーの中継カードにも選ばれず、巨大掲示板とtwitterの情報頼みでPCの前に座っていました。敵地・広島までは、新幹線を使えばわずか1時間半なのに…。これでは、とてもロアッソ・ウォッチャーなどと“自称”することはできないなという意味で、恥じ入っています。

しかも、同じ放送時間帯にNHKが選んだカード、「清水vs金沢」の試合のすごかったこと。あわやJ1清水の足元を掬うところだったのはJFLの金沢。ジャイアントキリングを、この大会の”見どころ”にしているNHKは、結果はともかく、してやったりのチョイスだったのでは?と思うと、さらに敗北感が強くなってしまいます(笑)。

というわけで、試合内容については多くを語れないのですが、試合経過を見ていても、報道を見ても、開始わずか25秒の広島の先制点に浮き足立ち、ゲームプランどころではなくなったということでしょうね。

そして、「個人の質が違うなと改めて感じました」と池谷監督代行が言うように、先制点を嵩に掛けた広島が、その”差”をどんどん見せ付けていったということでしょうか。

気になるのは、指揮官も「あまりにも早く失点し、怖がるプレーが多くなった」(熊日)と言い、藤本がブログで、「あれだけ貧弱なメンタルで戦ったら、結果は当然負ける」と嘆いている点。藤本自身、怪我からの復帰戦で、古巣と戦うことへ”思うところ”が大きかったのもあるでしょうが。

われわれは前節のエントリーで、「これから当たるリーグ上位陣との戦いの前に、その広島の圧倒的なスピード感を受け止めるのも、次につながる」と書きました。しかし、藤本は同ブログで「正直、次のリーグにどう繋がっていくのか予想できないが、とにかく相手に立ち向かう勇気だけは取り戻したい」と、かなりネガティブなまとめかたをしています。

ただ、その藤本も、熊日のインタビューに対しては「J2では今日ほどはプレッシャーは感じないはず」とも。堀米も故障から復帰し、途中出場から気を吐いたようなので、ここもポジティブにとらえたいところです。現時点のJトップチームを相手に失うものはなく、戦って得られたものは必ずあるはず。また、降格戦線という現実に戻ります。われわれも、アタマの中からマイナスの要素を排除して、徹底的に前向きにいきます。さあ切り替えて、残り6試合。リーグ戦に集中です。

追記:アップしたあと、井芹さんの試合レポートを拝見しました。詳細です。ご参照あれ。

10月6日(日) 2013 J2リーグ戦 第36節
富山 1 - 2 熊本 (13:04/富山/4,942人)
得点者:18' 高橋祐太郎(熊本)、27' 大迫希(熊本)、75' キムヨングン(富山)


リーグ戦連勝です。徳島、東京V、水戸、札幌、富山。これで天皇杯以来、5試合負けなし。何と4勝1分け。勝ち点1差の富山との戦い。勝っても順位こそ変わりませんが、われわれの精神衛生面は申し分ないといった感じです(笑)。

今節、熊本は3トップの一角に仲間を入れてきました。前節、札幌相手に勝利したものの、ウーゴ、養父、齊藤のトライアングルには正直不満が残りました。それは足元へのパスを欲しがるタイプばかりだったからかも知れない。今日は、仲間の裏への飛び出しに大いに期待が持てました。

対する富山は、池谷監督代行の言葉を借りれば、「前からプレッシャーをかけ、縦に速く攻める。うちが一番苦手にしているタイプ」。前節、ハットトリックで福岡を沈めた苔口には、うちも過去に煮え湯を飲まされたこともある。要注意人物でした。

20131006富山

しかし。「かなり厳しくプレッシャーにくると想定していたが、始まってみると前を向けたし、パスコースも見つけることができた」と吉井が言うように、試合開始から序盤、寄せも緩く、きちんとボールを持てる。いつぞやのエントリーで「まるで蛇腹のようだ」と表現した、変則的で流動的に数的優位を作るシステムではなく、4-2-3-1というある意味現在ではオーソドックスな布陣が、相対する熊本にマッチしたせいもあるのでしょうか。相手ペースにはまることなく、うまく、無難にゲームに入ることができました。

「富山は普通ならボランチにパスするケースでも苔口に出してきた」(熊日)と言う青木。苔口への飛び出しへのケアを第一に。要所のタテを入れさせない。「一度振り切られた」ところでは高橋がカバー。「祐太郎が頼もしく見えた」と青木も言う。だって、巻、高原、鈴木という元日本代表FWを連戦のなかで相手にしてきた。そして彼らと厳しいせめぎあいを重ねてきたのですから。

前節、札幌戦の試合後、「あくまでうちは5-4-1ではなくて3トップ。守る時が5-4-1で攻撃のときはFW3枚なので、そこをやっぱり3枚になる状況をいかに作れるか」「ウイングバックまで入れれば4枚、5枚になっていく、そういう状況を作れるようなゲーム展開が欲しい」と戦術を解説してくれた池谷代行。

今日も5-4-1の守備ベースではあるが、やや緩い相手の寄せに乗じて、3トップ、ウイングバック、ボランチまで連動して3枚、4枚、5枚で攻め込む場面が。

前半18分、右からのCK。大迫が蹴ったボールは、ゾーンで守る富山の守備から遠ざかるように弧を描く。それは、相手の頭ふたつ上、高橋の高い打点にまさにピンポイント。鋭いヘディングシュートは、GKが弾くもゴール内に転がり込みました。

前節に続いてセットプレーからの先制点。これは大きい。

10分後には追加点。富山・苔口がエリアに侵入。それを高橋がカットしてからの反転。吉井が、右サイドを駆け上がる大迫に出すと、ひとりDFを抜いた大迫が、角度のないところからニアに打ち抜く。素晴らしいシュート精度でゴールに突き刺しました。

さて、この試合もお互いの交代、ベンチワークが戦術に直結して、戦況を微妙に、また、大きく変えていった試合でした。

まずは、開始早々の原田の怪我というアクシデント退場に対する高橋の投入。吉井を1枚上げ、高橋を投入という立体的なシフト変更。養父を1枚下げる、もあり得たのでしょうが、守備ベースの基本線に則った交代と思えました。その吉井、高橋が攻守に絡み、単なる交代以上の効果を生み出していく。

そして、ハーフタイム、富山のDFヤン・ヘジュンからMFソ・ヨンドクの交代。これによって富山は、4バックで熊本の前線、中盤とのミスマッチが生じていたシステムを修正。後半、富山の攻勢のきっかけを作った戦術変更でした。

さらに、後半14分、熊本は仲間から筑城への交代。縦横に動きまわり、球際の強さも際立ち、間違いなく”躍動”していた仲間を、残り時間30分の段階で交代。5-4-1でブロックしていた熊本が、今度は4バックに変更します。ちょっと受けに回るのは早過ぎないか、とわれわれは思いました。しかし、より重心を後ろに、サイドのケアもしながら、“確信犯”で守りきる決断をしたような。そんなメッセージの交代だったのかもしれません。

後半22分に、富山は「最終ラインに圧力をかけられる、走れる選手」として村松をチョイスします。「熊本は札幌と対戦した前節、相手が長身のフェホ選手を入れたことで逆に楽になっていた。それもあって動きのある選手を中心にチャレンジすることにした」という敵将・安間監督のスカウティングによる判断でした。

さらに「5バックの両サイドを引き出し、中央のDFと勝負する状態もつくれたと思う。それによって村松のプレーも生きた」「相手の動きが止まってきた時に三根を入れ、押し込んだ状態からのクロスで得点を狙わせた」と言う安間監督。まさに、熊本が4バックにしてサイドを閉めようとした意図とその焦点が符合します。

熊本は後半29分に疲れの見える大迫に代えて齊藤。押し込まれる状況のなか、残り15分を前線からのプレッシャーや”溜め”で押し戻せればという意図でした。

しかし、直後の後半30分にキム・ヨングンの豪快なミドルで1点を返される。ボランチまで最終ライン際に押し込まれた状況のなか、あの距離を入れられた仕方ないとも言えるような、南も届くべくもない見事なシュートでした。

押されっぱなしの熊本。最後の最後まで危ない場面が続く。今日もおもわず目を覆うようなシーンが何度あったでしょう。しかし、アディッショナルタイムも3分、右からのクロスに中央で合わせた三根のヘディングが枠を外れたところで、ようやく笛が鳴ってくれました。

結局、後半45分を守り切ったようなゲーム。「ここ何試合かは押される中で球を足に当てたり、(体を)寄せたり、耐えることができている」と言う指揮官。最終的に、熊本は自ら重心を下げて、リスクはあるが、中途半端なスペースを消して、身体を張って守る戦術を選択している。それができると。今は、その集中力があると指揮官は言うのでしょう。

何より降格圏内から脱するためには、この窮地から這い上がるためには、キレイ事は言っていられない。取れる勝ち点は必ず取るという強い意思。苔口に絶対裏は取らせない。枠内のシュートは絶対ブロックする。「試合内容はともかく、勝点3を持って帰ろう」と、結果に徹した熊本。一丸となった執念が勝利をもぎ取り、自力で富山との差を4に広げさせました。

ほっと一息ついていいでしょうか?

次週は天皇杯・広島戦。得失点差ではありますが、前節J1の首位に再浮上した広島。これから当たるリーグ上位陣との戦いの前に、その広島の圧倒的なスピード感を受け止めるのも、次につながる。いい意味での切り替えになる。

そんなゲームになれば…。なんかまた、天皇杯がいい流れを作る契機になるような気がします。