3月22日(土) 2014 J2リーグ戦 第4節
熊本 1 - 1 大分 (15:03/うまスタ/9,492人)
得点者:54' 澤田崇(熊本)、86' 後藤優介(大分)


20140322大分

開始早々からオープンな展開でした。大分の周知のドリブラー西が突っかければ、こちらはルーキーの澤田が長い距離を持ち上がって、ファーストシュートを放つ。DFラインを高くしてコンパクトな陣形でボールを運ぼうと意図している大分に対して、橋本のタックルと養父のパスカットがはまり、素早く大分の裏のスペースを狙う。大分にゴール前で回される時間帯もありましたが、サイドで完全に詰まってしまって危ないシーンはなく。お互い綱引き状態で前半を終えました。

先制点は熊本。後半54分。中盤での攻守の激しい入れ替わり。奪った熊本がワンタッチで前に運ぶ。澤田から左に走った齊藤へ。齊藤が大事にマイナスでパスを出すと、仲間がダイレクトでシュート。ゴール前でDFを背にしていた澤田に当たって、ゴールに吸い込まれました。

この試合で最も印象的だったのは、前半36分。ピッチの中央付近で引っ掛けられて倒された養父。倒されて仰向けの姿勢のまま、足元にあったボールを、素早く右サイドを駆け上がっていく味方にリスタート。さすがに審判はこのプレーを認めなかったけれど。なんか隔世の感が…。思い出すのは「2009.08.11 再び完敗。徳島戦」。審判の判定に抗議しようとしている隙に失点してしまったあの試合。あのときとはチームも変わったし、サッカーも変わった。そう痛感したシーンでした。

変な言い方かもしれないけれど、選手は、切ないくらいに、ゲームに忠実に、相手に対しファイトしました。J1からの降格チームである大分を圧倒し、ゲームを支配したと言えるのではないでしょうか。

それも、戦術的にとか、相手の良さを消した、とか言うことではなく、物理的に。球際において、ボディコンタクトにおいて、集中において、切り替において。戦う意思において。

試合終了後、青く埋め尽くされた大分のゴール裏からは、激しいブーイング。大分からすれば、ギリギリの時間帯で追いついて、アウェーで勝ち点1は“悪くない”でいいじゃないか、と思ってしまいがちですが。降格チームにとって熊本はあくまで格下。“こんなところでモタモタしてる暇はないぞ”という思いなのでしょうか。

ピッチ上では、一目瞭然。「われわれのサッカーをさせてもらえなかった」(大分・田坂監督)ということなのではないか。

最近、思うのですが…。「サッカーのファンというのはつらいことのほうが多くて…」という記事は、ここでは何度も書いていますが、ここ数試合、職場の仲間とも、どうも結果だけではないよね、みたいなことを話したりしています。もちろん結果は何より重要なんですが。とても微妙な感覚で説明しにくいんですが。「昨年と比べることもないけれど、今季のロアッソの試合は楽しめる」。そんな拍手コメントを頂戴したりもしています。

最後の最後に、「勝ち」が「スルリ」(熊日)と逃げていってしまったわけですが、それでも、そこからのわずか残り時間、追いついた側の勢いをガッチリと受け止め、すぐさまそこから巻を投入し、黒木のあわやのシュートで流れをもう一度引き戻した。

監督ひとりが、選手ひとりが、それぞれに戦うという意思を持つのは当たり前なんだけど、それがチーム全体で常に高いレベルを保っていられることだったり、失点してモチベーションがガクッときても、それを一瞬で取り戻せたり。“選手が下を向かない”ことが伝わってくる。だから結果とは別に、決して負けてない状態で試合が終わる、そんな感覚。一週間をみじめな思いで過ごすことがなくなった感じです。

小野監督は、これまでの3試合からスタメンを変えてきました。FWに澤田、2列目に五領。「正直、誰を出してもいけるなというくらい、1人1人、トレーニングを見ていても非常に元気よく、いいパフォーマンスを発揮してくれてます」。そう監督は言う。

久々のスタメンの五領。与えられたチャンスをものにしようという必死のプレーが伝わってくる。こんなに足が速かったか?と思うくらい右サイドを完全に支配。行けるところまでいく。そんな攻守にわたる運動量。大分との“バトル”にスイッチを入れたのは、間違いなくこの男でした。勝っていれば、間違いなくMOMに推したいところでしたが。

澤田。期待のドリブラー。試合の展開もあったが、ほぼ90分間、前線で走りきれることを証明した。サッカーライターの小宮良之さんは自身のtwitter(https://twitter.com/estadi14/status/447314821331959808)にこう書いてくれています。「ナイフの切れ味で、敵守備陣の肌を切り、確実にダメージは与えた。あとは骨を断てるか」と。

とは言っても、現状17位。まだまだ順位をうんぬんする時期ではないにしても、厳しい戦いが続きます。次節はフクアリでの千葉戦。われわれにとって最悪なイメージしか残っていないこのシチュエーション。多分、この戦いがチームの今を見せてくれる、序盤戦の一番のゲームだと思います。

3月16日(日) 2014 J2リーグ戦 第3節
磐田 3 - 1 熊本 (16:03/ヤマハ/7,998人)
得点者:7' 前田遼一(磐田)、19' 前田遼一(磐田)、36' 松井大輔(磐田)、74' 齊藤和樹(熊本)


20140316磐田

13年前。2001年4月のヤマハスタジアム。ホームチームがまだ青の時代。初めてのJFLリーグ戦で初めてのアウェイゲームに臨む。対戦相手は静岡産業大学。サックスブルーのユニフォームはジュビロそのままで。運営にも磐田サポが多く関わっていたような。結果は引き分けでしたが、たった3人のゴール裏に、磐田サポの方々から次々と「がんばれよ」と、とても温かい声をかけていただいたのを思いだします。思えばあれがわれわれのスタート地点だった。

以前にも書きましたが、この日の前日、国立で鹿島・磐田戦を観戦した後だっただけに、われわれにとって磐田は、まさに雲の上のチームでした。そして再びの今日のヤマハスタジアム。先方が降格してきたとはいえ、同じカテゴリーでこうやって戦える日がくるなんて、まだ実感がわかない感じです。

そして、われわれがそうだったように、選手たちも、完全に雰囲気にのまれたのか、ボールは足につかず、何をやっているのかわからない間に前半3失点。前節のエントリーの最後に“メンタルの進歩”と書いたけれど、この試合を見てからにすればよかったかもしれないと思いました(笑)。しかし、小野監督が試合後、「選手たちにもっと自信を持たせて送り出せなかったのは私の責任」と言うのは、監督自身、まさかそんな微妙なメンタルがあるとは想像できなかったのかもしれません。

監督就任以来、その心理マネジメントの深みを捕まえようと、小野さんの発する言葉に注目しているわれわれですが、この日もわれわれをうならせた“小野語録”。今日一番はなんと言ってもハーフタイムに発せられたこの言葉でした。

「ミスは誰にでもある。ただ、できることを1つのミスで捨ててはいけない」

小野監督は自著「サッカースカウティングレポート」のなかで、ハーフタイムは「試合の流れを変えられる転機」だと書いています。ただし「いきなり選手を集めて話をするのではなく、最初に選手同士で気持ちを発散させてからポイントを伝える」のだと。コーチ陣と戦略をたてている間、別のコーチには選手たちが何を言っているのかモニターさせておく。その報告を聞いて、どのような言葉をかけるのか、何と言って自信をつけさせるのか頭を整理するのだと言う。わずか十分そこらの間で…。

「選手たちのメンタルの問題と戦術的な問題、その両方が同時にクリアになって初めて、劇的に流れが変わる」のだと説きます。

そして、この試合でも「選手が戻ってきた時に前半の最後の方は少し手応えを掴んでいたので、自分が言葉をかけるよりは選手の方が『絶対に行くぞ』という気持ちを持っていた」(J's Goal)と観察してる。そのうえでかけたのが前述の「1つのミスで捨ててはいけない」というシンプルな、しかし全てのネガティブなメンタルを一掃するような一言でした。具体的な戦術面では、「どういった形でボールを運んでいったらいいのかというところ」を伝えたのだと言います。

巻を使った空中戦は日本代表DFの伊野波にがっちり跳ね返されてしまう。これをあきらめて、岡本を入れて地上戦に変更した後半。ピンチを凌ぎながら、耐える時間帯が続くものの、けして受け身ではなく、自分たちからアクションを起こそうという意図が形をみせはじめる。次第にカウンターのチャンスが訪れる。五領の投入あたりで、明らかに形勢が五分くらいにまで変化します。

園田のアーリークロスをゴール前の齊藤がうまく自分のボールにして磐田ゴールにねじ込むと、終了間際の猛攻は、さらに追加点もという情勢で終了の笛が鳴りました。

もちろん3-0でリードした磐田が、チームとしていくぶん緩んだこともあろうし、足が止まってしまうくらい、前半、飛ばしていたことも事実です。開幕戦をホームで落としている磐田の立場なら、この試合は絶対に負けられないと、開始早々から相当の意気込みで突っ込んできたわけで。

正直なところ、昨年、前半のあの展開であれば、後半は目を覆うような結果が予想されると思いました。それはわれわれだけではなかったでしょう。

まだ始まったばかりのリーグ戦。集中を切らさず、愚直に凌いでいけば、必ず自分たちの時間帯が来ることは信じられるようになったのではないでしょうか。

今日の90分の戦いには負けたけれど、次に対戦ではきっと、とわれわれも思えるように、敵将シャムスカが「熊本に自信を与えてしまった」と悔やむ。

それにしても五領。思わず「決めてくれよ…」と呻いてしまいますが、しかし小野監督は、「向こうが1回で決めるなら、こちらは2度、3度と好機をつくらないといけない」と、さらに前がかりのコメント。

「強敵と早い時期に対戦できたのはよかった」と巻。通用したところ、通用しなかったところ。選手自身が肌で感じて確認できた。そして今日もまた下を向く必要のない戦いだったと思う。

そういう意味では、この試合(実戦)で得たメンタルこそ、大きな“進歩”だと言えるのではないでしょうか。


2014.03.12 松本戦。惜敗
3月9日(日) 2014 J2リーグ戦 第2節
熊本 0 - 1 松本 (16:04/うまスタ/5,521人)
得点者:70' サビア(松本)


「100パーセント良いゲームをしてもそれがすべて勝利につながるとは限らない。ゲーム全体を通して集中を切らさず、ゴールに向かう姿勢を見せてくれた」。
「全ての決定機で決められるわけではない。一つでも多く機会を増やして、その精度を高めていく」。
そう試合後のインタビューでコメントした小野監督。

1プレー1プレー、1ゲーム1ゲームに集中しながら、1プレー、1ゲームの結果だけではない、サッカー自体のクオリティを上げることに向かっていくことを重要視している。そんな監督としての基本姿勢を、こんなゲームの試合後コメントでスッと出してくる。

ホームでの初めての敗戦。コメントも難しいでしょうが、目指すところに向かう、いいパフォーマンスであればしっかりと選手の頑張りを称える。決して“負け惜しみ”には聞こえない内容でした。

相手は松本。そして反町監督。まったくいいイメージがない。下手すると大量失点を食らってしまうような、そんな心配なゲーム前でした。

20140309松本

前節・福岡戦と同じく、いや、やや主導権を握られていたものの、決定的なピンチはほとんどなく、カウンターを受けたシーンでもゴール前のDFの枚数は常に安定していた。

ただ攻撃は、松本のDFラインの裏を狙うものの、福岡のときほどうまくいかず、3バックの脇のスペースも活かせない。特に開幕戦で見せたボール奪取も、松本に奪いどころを消されてしまってうまくいかない。随所で数的優位を作られる。そこには、反町サッカーが3年目かけて育て上げた“運動量”が根底にあり、そのうえに浸透した“戦術”がありました。

失点は、巻から岡本への交代が準備されている時間帯でした。クリアボールが相手にあたって、左サイドを上がっていた鐡戸の足元に転がってしまう。難なくフリーでクロスを入れると、ニアに飛び込んだサビアが頭で反らす。確かに「一瞬の隙」「ポジショニングのミス」(矢野)と言えました。

ここからどう戦うのか。

われわれが今シーズン、このチームを見るうえで、最も注視したいのはそこでした。開幕戦の失点は、追いつかれようとする失点でしたが、この試合では先に点を取られたという大きな違いもありました。

澤田、高橋と繰り出した交代カード。パワープレーぎみになった戦術のなかで、タレントが活かされない部分はあったものの、「あわや」というシュートシーンはあった。同点の匂いはプンプンしていた。

試合後の矢野が、「失点につながるようなカウンターを受けることは少ないし、点を取られた後に崩れることはなくなった」と言うように、有効なカウンターのチャンスは熊本が凌いでいたわけで。互いが、攻撃への反転、守りへの素早い帰陣をチームコンセプトにするなかで、逆に、その一瞬の攻め、守りの精度の差が、これまた勝敗を決してしまった。そう思います。

「下を向く選手はいなかった」と書いたのは翌日の熊日。負け惜しみや強がりではなく、もちろん敗戦にいいも悪いもないけれど。“いい感じで負けた”。この試合を見た誰もが、“五分五分”だったと感じただろうし、多分やっている選手が一番、そう感じていることでしょう。

わずか2試合目。しかしこの2試合で、10年目のシーズンで初めて感じる、なんとなくだけど“確かな”感覚。激しいけれどクールな戦いぶり。

試合後、熊本の印象を問われた反町監督。「なんせ小野監督は私のS級の先生でありますから」と冗談まじりに前置きしながらも、「昨年に比べると判断とかチームの勢いとか、チームコンセプトとかが伝わるような、非常にいいチームに仕上がっている」と言わしめた。“リップサービス”とは無縁なこの人に。「どっちに転んでもおかしくないようなゲームだったと思います」というのは、まさしく実感ではなかったでしょうか。

この試合で感じたのは、チームとしての“メンタルの進歩”。そう言えるのではないでしょうか。



3月2日(日) 2014 J2リーグ戦 第1節
熊本 2 - 1 福岡 (15:05/うまスタ/9,679人)
得点者:33' 片山奨典(熊本)、52' 園田拓也(熊本)、57' 坂田大輔(福岡)


先週の水曜日。古くからの戦友であるクラブのスタッフS君と、開幕へ向けての激励、壮行会と称して今年も飲みに行きましたが…。しかし、その席で聞いたシーズン直前のチームのコンディションの良さも、何かしら鵜呑みにできない、そんなわれわれでした。それは、昨年の同じ時期に聞いた、あまりにも根拠に乏しい“好調”さのなかで、期待だけが膨んでしまって、手痛いしっぺ返しにあった反省からでした。

しかし、彼はさらに強い口調でこう言いました。「開始25分までに熊本が先制するでしょう」「もし、そうでなくても福岡には勝てると思います」と。まあ、酔った勢いはあるにせよ、いったいどこからくるのか、この自信は…

20140302福岡

確かに彼が「福岡は開始早々びっくりするでしょう」と言ったとおり、熊本の前線からの激しいプレスと、相手の高いDFラインの裏を突こうとするパスの狙いは、福岡DFを次第に混乱させていきました。新生・小野ロアッソを初めて公式戦で見るわれわれも、序盤からの数々のシュートシーンにワクワクしました。しかし、だからといってゴールを割るまでには至らない。

時間がたつに従って福岡も立て直していく。電光掲示板の時間表示は、S君が言った”約束の”開始25分を過ぎようとしている。

歓喜が訪れたのは、いくらか劣勢になった33分のことでした。CBの篠原が得たFKのチャンス。キッカーは右足が養父で、左足はルーキーの中山。おそらく用意されたサインプレー。養父が壁にたつチームメイトに指示を送っている”ふり”をしている間に、中山がちょこんと横にボールを出した。そこに助走をつけた片山が左足を振りぬいた。アウトに掛かったボールの軌道は、GK神山を逆に動かして、ネットに突き刺さりました。時間は押しましたが予言通りの”先制点”でした。

後半は、MF森村を早々と諦めてFW石津を入れてきた福岡に、さすがに押し込まれ始め、危険な場面が増えました。しかし、福岡のCKの流れから仲間が奪って持ち上がると、右からSB園田が猛然と駆け上がる。仲間からのパスを、園田がダイレクトでGKの頭を越えるループシュート。追加点。

しかしその5分後には、福岡・坂田に1点を返される。苦しい時間帯。それでも、失点した直後、熊本イレブンは円陣を組むように集まり、全員で何かを確認しあう姿が。それは、昨季までの熊本には見られなかったもの。練習試合で小野監督が指示したことでした。失点したら一度集まれと。

そこから終了までの長い長い30分あまり。お互いにいくつかの決定機があり、また、思わず目をつぶったピンチもあり、それをしのぎ切っての終了の笛。

足を攣った中山を五領に代え、仲間を岡本と交代させて推進力を維持し、追加点を狙おうと動いたあとは、最後、巻を吉井に代えて”守りきる”という明確なメッセージを伝えた小野・新監督の采配。それよりなにより、劣勢の時間帯もベンチにどっかりと座り、微動だにしない様は、「何も問題はないんだぞ」というメッセージを選手たちに伝えているようでした。

新監督を迎え、メンバーも入れ替わり、期待と不安が入り混じって、どちらかと言えば心細い、言いようのない不安のほうが大きい。そんな今年の開幕戦。

試合後、選手、スタッフがピッチ上で歓喜の円陣を組み、ぐるぐると回って思いっきり勝利の喜びを表現した。これも今までにない突然の出来事でしたが、われわれにも、それがごく自然に思われるくらい、こんなにも嬉しい、またホッさせられた初勝利でした。


見渡せば、うまスタを埋め尽くすにはまだまだだけど、スタンドにはおよそ1万人のファン。十年目のロアッソ熊本。十年目の開幕戦。

十年前にはまだ出会ってもいなかったカップルたち。まだ生まれていなかったような子供たち。その頃はサッカー観戦など思いもよらなかったような年配の方々。ひとりひとりのファンの人生と重なって、少しづつ、少しづつスタンドに広がってきた赤、赤、赤・・・。

試合後の監督インタビュー。繰り出される言葉は、単にボキャブラリーが豊富なだけではない。伝わり方、受け止められ方を意識した、心理マネジメント。これはもう、その場にいた1万に近いファンへのメッセージ。ファンとしてのモチベーションを掻き立てられた方も多かったのではないでしょうか。

「最後は選手も消耗しきっていた。それでも走りきれたのは“真っ赤な声援”が背中を押してくれたから」と。

日本サッカー界きっての“知将”。しかし、まずわれわれに見せてくれたのは、背筋の伸びるようなシンプルなサッカーの原点でした。闘うこと。そして走ること。

90分間ノンストップと言っていいくらいのゲームのテンポ。意図の不明なバックパスがほとんどない。ワンツーのためのワンツーみたいなプレーもない。そして目が離せないようなリスタートの早さ。

奪った瞬間に、可能性があれば前線のターゲットを1本でシンプルに狙っていく。犯したオフサイドは12。しかし、それはあくまでチャレンジの結果。合ってはいないが、どれか一本でも裏が取れれば、得点につながる。まだまだ出し手、受け手のタイミングはこれから。そんなことは意に介さないようにひたすら狙っていくところがいい。

シーズンははじまったばかりなのだから。これから、どうなっていくんだろう。どう成長していくんだろう。そう思わせます。照準は開幕ではないということがよく伝わってくる。

これで選手が消耗するのは仕方ないと納得できる。しかし、最後までチームとしてのパフォーマンスは落ちてはいなかったという感じもする。

当然90分のなかではピンチもあり、失点も喫してしまいました。しかしそんなピンチにも、相手シュートの瞬間には、3枚、4枚と体を張った守りがあった。“誰も行かない、誰も居ない”。そんなゴール前を見ることはなかった。

そして、今日のこの戦術には、巻の存在が大きい。いや、やはり小野監督が欲したとおり、小野・熊本の戦術に、巻は必要不可欠の存在なのかも知れないと思わせました。誰よりも走り続けた巻。失点のあとの円陣で、皆に何かを伝えた巻。交代で退く場面でも、選手たちに手を叩いて鼓舞した。この試合のMOMは、誰も異論なく彼だろうと思いました。

小野・新生熊本。これから徐々にその姿が明らかになっていくと思いますが、まず開幕戦で感じたのは、チームとしてのその”一体感”に違いありませんでした。