5月24日(土) 2014 J2リーグ戦 第15節
栃木 1 - 1 熊本 (13:03/栃木グ/3,536人)
得点者:29' 養父雄仁(熊本)、60' 湯澤洋介(栃木)


またも引き分けでした。熊日が“息切れドロー”と見出しをとったように、いい形でゲームに入り、主導権を握り、先制しながら、その後失速し追いつかれるパターン。

得点経過は様々ですが、ここ数試合、同じようなパターンが続いているような気がします。

20140524栃木

前半、スカパー解説者にも指摘されていたように、中盤でポゼッションし、よくボールが回って主導権を握っているかのように見えた栃木。ただ、確かにジワジワと前に進めてはいるが、攻守の切り替え素早くブロックを作る熊本に対し、完全に攻めあぐねている様子。逆に熊本は、取りに行くところ、受けるところをうまく使い分けているような。カウンターの形を狙って一気のプレスに行く。

29分の先制点は、そんな熊本の狙いが結実しました。中盤で齋藤が戦って縦に出す。中山はワンタッチでさらに縦へ。エリア内に侵入した養父もこれをダイレクトでシュート。ゴールの左隅に決まりました。完全に崩した。

後半、確かに失点自体は相手のシュートのうまさも光るものでしたが、運動量やスピードが落ちかけたところで、目に見えて対応が“雑”になっていました。

防戦一方のような展開になりながら、それでも守り切った。それどころか最終盤では、巻、大迫の2枚替えで見事に主導権を奪い返した。カウンターの切れ味も戻り、何度も相手ゴールを脅かしたのですが…。

結果的には両チーム、シュート数は同じ9本。

「前半の試合を監督も言っていたように、1分でも2分でも長くやることが、これからの課題になってくると思う。そこを修正できれば、ドローが勝ちになる」(養父)
「今のウチは1点ではなかなか勝ちきれない。その状況のなかで前半にいくつかチャンスがあり、その中で追加点が取れれば優位に試合が運べたと思う。」(片山)

これだけドローが続くと、われわれファンの心理というのは実に欲深いもので、ついつい揺れてしまいそうになります。

しかし、同じドローでも、“やっと追いついて”とは違うし、ただ“ひたすら引いて守って”でもない。ましてやドローで幸運だったという印象では決してない。むしろここ数試合の手応えとして“勝ち点1はとれる”というデザインされたゲーム運び、基盤のようなものができつつある、と見てみてはどうでしょうか。

「前半はミスが多すぎるし、自分たちがやろうとしたことができていなかった。よく1失点で済んだ。」(栃木・廣瀬浩二)と相手は感じている。

「ちょっともったいない失点だった」と小野監督が悔やむように、押し込まれているからといって、それが即、失点につながるわけでもなく、実際に怖いのはカウンターであり、この試合も結局は押し込まれた局面からの失点ではなかったわけで。

さて、今日の選手起用はと言えば、仲間を休ませ、養父が一列前に。

「ここからシーズンを通してチームを成長させていくために、いくつかのポジションをやっていこうと。それと、DF、ボランチを含めて選手層を厚くしていこうと。」と、指揮官はその意図を語っています。色々と試してくるなあ…。

4-2-3-1のなかで前線4枚の連携と運動量がカギになることは、「相手に押し込まれたときこそ、前線の選手が良い守備をしないといけない。」(中山)と、選手自身に明確な自覚がある。今日の選手起用にそこのところを厚くしていくための起用という長い目での考えがあるのはもちろんでしょうが、このゲームに限っても、養父を一列前で使うことで、裏への飛び出しで彼のゴールがあり、また仲間の後半投入が可能になったわけで、なかなかに深く戦略的だなあと感じるところです。(橋本のミドルが決まっていればさらに凄みが増すはずだったのですが…)

“引き分けるべくして、引き分けられる”というのは変な言い方かもしれませんが、サッカーの神様のご機嫌に関係なく、“勝つべくして、勝てるチーム”、“勝ち点3を取るためのデザイン”へ向けて進んでいるようにも見えるチーム。打つべき手を丁寧に積み重ねて…。今日のこのゲームもその成長のために無くてはならないものだったと思うことにしよう。われわれはこの試合をそう位置づけました。

5月18日(日) 2014 J2リーグ戦 第14節
熊本 0 - 0 東京V (14:03/水前寺/4,268人)


決定機もあったのですが、スコアレスドローでした。公式記録ではシュート数は熊本9、東京2。

「守備はほぼ完璧に近い形で、やられる気もしなかったし良かったと思うが、こういうゲームを勝ちにもっていけるようにしていきたい」(養父)
「シュートもほとんど打たれてないので、後ろからしてみれば結果的には完璧に近い内容だったのかなと思う」(畑)

そう選手たちが感じたように、われわれも試合の流れのなかでリスクを感じたのはセットプレーの場面だけというような。それでも、相手を封じ込めたというより、要所をぴしゃりと締めて、付け入るスキを与えなかったような印象。

湘南戦の敗戦明けのゲーム。ひとことでいえば「よく我慢した」のかなと。

20140518東京V

3連勝のあと、4連続引き分け。そして首位・無敗の湘南に1-3で敗戦を喫してのこのホームゲーム。ここは勝ち切りたい。勝利を、勝ち点3をと、気持ちはハヤリ、高ぶるのはやむを得ない。そんな状況は間違いなかったと思います。

ところが、小野監督はこの日の基本戦術について次のように振り返る。
「相手はこっちが人数をかけて攻撃に出てきてバランスを崩すのを待って、そこでカウンターで点を取って勝つというのがシナリオ」。
「自分の経験の中でも、こういうゲームでいけいけになってバランスを崩し、それで向こうの思うつぼになって失点を食らって負けてしまう」。

もうこれは、事前に完全なゲームのイメージがあってのことだったような。
「その術中にはまらないようにしながら攻撃を仕掛けるというのが、今日のゲームのいちばんのポイントだったし、そこは選手達がいい形で進めていってくれた」という指揮官。“よく我慢した”という所以です。

もちろん、それでもそのうえで勝ち切れるチームを目指していかなければいけないわけですが。

こういうゲームの受け止めとしては、「自分たちは守備で作っていくチームだし、良かった点もあると思うので、この引き分けをポジティブな方向に考えてやっていきたい」という養父の言葉に象徴されるでしょうか。

現在、14節を終わった時点で、4勝6分4敗の勝ち点18。得点15、失点17。思えば、昨年の同時期、14節を終わった時点で、4勝5分5敗 勝ち点17。得点16、失点16。昨年の第14節の岐阜戦、これもスコアレスドロー。データで見れば、実は昨年と同程度の成績で推移しているとも言える。

昨年は、ここから監督交代の引き金になった7月7日の松本戦までの9ゲームで得た勝ち点はわずかに5。何より、ホームでの1-4の栃木戦、0-7の北九州戦、0-3の松本戦。目の前での大敗、惨敗が続き、初めてのシーズン途中での監督交代劇となってしまいました。

こんなふうにデータをなぞっていけば安閑としてはいられないのも事実です。昨年のような、あんな思いはもう二度としたくない。ただ、自分たちが書いた昨年のエントリーを今見返すと、同じドローという結果でも、その受け止め方が微妙に違うのに気づかされます。そう、昨年は迷いがある、とでもいうべきか…。今は、負けても、引き分けても、われわれにも全く迷いがない。その差はなんだろうと考えたとき、それは指揮官から発せられる言葉に場当たりでない一貫した“説明力”があるからかも知れないと思いました。

さて、もうひとつ。リーグ戦も14試合、三分の一を消化し、序盤戦を終えた。そこで気になるのが、熊本にとってのもうひとつの敵、「暑さ」。

「これから暑くなるし、セットプレーやチャンスをしっかり決めるしかないと思う」(養父雄仁)
「暑さは相手も一緒なので、そういう時に相手を上回れるかでチャンスも広がるし、そこで試合が決まってくる。」(園田拓也)
「後半は暑さもあったので、奪いにいくことと縦パスを消しにいくことを意識した。」(橋本拳人)
…選手たちのコメントの端々に“暑さ”が出始める時季。

思えば、今年で10シーズン目。どの年をとっても、序盤戦での戦いぶりは、それほど悪くないものでした。むしろチームの課題は、いつもここからの中盤戦、暑さとの戦いと言ってもいいかもしれないくらいに、気候条件とチームのコンディションは密接にからんでいたと思います。熊本のこのチームが持って生まれた課題。

そこで気付くのは、GW連戦で見せた、選手のローテーション起用。ターンオーバーではなく、まさに“ローテーション職場”のように、選手は少しずつ入れ替わる。選手を“休ませ”ながら選手層を厚くしていくチーム運営。今日のゲームでもハーフタイムでの仲間→岡本の交代。そして、後半38分、橋本→黒木の交代など、そんな意図が見えるような。連戦対策としてだけでなく、熊本特有の暑さ対策としても選手のローテーション起用、戦術の一貫性を貫いている。そんな気がしてきました。

選手層とかチーム運営と言えば、今日の東京ヴェルディ。何人いただろうか、ユース出身の選手たちがピッチを躍動する。まぶしく見えたのはその若さや技術だけではなく、そんなチームになりたいなあという、われわれの夢が形になってそれを目の前で見せられたからかもしれない。

けれど、何人いただろうか、という点では、今日の熊本。岡本、巻、黒木、と交代カードを切って最終的には、ピッチ上に同時に7人の地元出身選手が立ったことになる。このJ2というカテゴリーで、これはなかなかニュースなことではなかったでしょうか。育成型クラブへと大きく舵を切ったチームですが、目指す姿の手前には、まずこんな在り方なのかなと思わせる場面でした。   

最後に一言。シュミット選手、ありがとう。わずか一か月の在籍とはいえ、熊本のピンチに颯爽と現れ、全力のプレーで応えてくれた。5月の風のように爽やかに。忘れません。お疲れさまでした。

5月11日(日) 2014 J2リーグ戦 第13節
熊本 1 - 3 湘南 (16:03/うまスタ/6,517人)
得点者:16' 澤田崇(熊本)、47' 菊池大介(湘南)、67' 大槻周平(湘南)、68' ウェリントン(湘南)


20140511湘南

連戦の最後にきたのは、今期、いまだに無敗、12連勝中の湘南戦でした。リーグ戦もちょうど3分の1あたりを終えるところ。まるで1学期を終えたあたりでの行われる実力テストのような。その課題は、「我々は真っ向勝負で、その攻守の切り替えを上回りたい、球際や運動量で上回りたい」ということでした。(J’s Goal試合後の小野監督コメントから)

この試合の前半と後半。ハーフタイムを境に、見た目も、結果も、くっきりと形勢が分かれてしまったのは間違いないですね。そんなゲームのなかで選手たちは、監督はどんな気持ちで臨んでいたのか? 敗戦には違いないけれど、惨敗ではないが、完敗だったのか? どんな負けだったのか? テストでいうなら、どの問題が解けなかったのか? その“答え合わせ”は今後のシーズンを戦っていくうえで貴重な材料になりそうな気がします。

戦えた前半。熊本は湘南から先制点を奪い折り返した初めてのチームでした。湘南の連勝を止められるかも知れない。そう期待して迎えた後半でした。しかし原田と園田が、その“境目”にあったものを次のように証言する。

「前半にかなり皆でハードワークして、残り10分ぐらいはゴール前にへばりついて耐えたんですけど、90分終わった後みたいな感じで、向こうより力を使ってたなと思います」(原田拓)

「早い時間帯に追いつかれてしまったことでメンタル的にも効いたかなと思います…。相手の気迫というか、1点与えたことによって相手が息を吹き返して、それを上から被せられたような感じでした。」(園田拓也)

“90分終わった後みたい”とか“上から被せられたような”とか、実にリアルな表現。フィジカル面もメンタル面でも湘南の強い圧力が感じられます。

そして、ぽっかりと空いたというべきか、ふわっとしたというべきか、そんな時間帯に立て続けに2点を献上してしまいました。

小野監督は、そのあたりを記者から問われて、こう振り返りました。
「…セカンドボールを拾うスピードが、前半と比べて落ちたかと言ったらほんのちょっとだと思うんですけど、その1歩が若干落ちた時間帯でセカンドボールを拾われた。」
「…それが連続して何本か放り込まれ、ラインを下げられてセカンドボールにちょっと遅れる。その50cm、1mというのが、やや苦しい時間帯が出てきたと思います。」

もちろん、監督が会見ですべてを語るわけではないと思うし、ではなぜそうなったのか? というところは、まさに戦術的なものでしょう。「勝点を取れなかったのは本当に私の力不足で…」というのは、多分、具体的に悔いの残る局面が思い浮かんでいるのかもしれない。今日のゲームでは、これまでは見られなかったような、終始、厳しい表情でピッチを見つめていたのが印象的でした。

まあ、結果論でしかありませんが、その50センチ、1メートルの遅れ、行けなくなった部分がゲーム全体を大きく変えてしまいました。

勝ちきれてはいなかったものの、久々の敗戦です。

但し、「2-1にできるチャンスもあったので、そこは悔いが残ってます」と澤田が言うように、タラ・レバではなく、得点経過次第でゲームはどちらにも転んでいく。押し込まれながらも、決定機は作れていた。

「後半の最後の方でも、相手の(攻撃に)出てくる人数を見ればすごいなと感じましたし、自分たちもああいう風になっていきたいという気持ちがあります」というのは原田。
「今日の試合の後半に湘南がやっていたように、ボールを回して相手を振れるようになれば、前の選手ももう少し楽になると思います」と園田も言う。

選手自身がすでに修正点を意識しているように、多分、チーム全体としてこのゲームから貴重なデータを得ただろうし、数多くの改善点がリストアップされているに違いないと。

「…何か足りない要素をというより、ここまでやってきた方向性の中でもっとさらに磨きをかけていこうと、そういう試合じゃなかったかなと思います」

小野監督にとっては当然、“受け入れがたい敗戦”だろうが、こうやってゲームの結果、評価自体を明確に位置づけ直すことで、チームは見事に前に向いて、また進み始めたような気がします。おそらくは選手たちも、次の練習の課題をそれぞれに思い描いてスタジアムを後にしたのではないでしょうか。

5月6日(火) 2014 J2リーグ戦 第12節
札幌 2 - 2 熊本 (13:03/札幌ド/12,302人)
得点者:40' 園田拓也(熊本)、55' 前田俊介(札幌)、67' 養父雄仁(熊本)、75' 砂川誠(札幌)

11日間で4試合というGW連戦の最終戦は札幌。とは言うものの、この日曜日には中4日で湘南戦。まだまだ連戦モードは続いていきます。この試合では、DFは篠原を休ませ、ボランチは原田・橋本が養父・橋本に。前線は澤田・斎藤をベンチに置き、巻・岡本でスタート。

20140506札幌

「ここ最近は負けずに戦えているが、いろんな選手がローテーションで試合に出ながらも、チームとしての戦い方がブレていないのが大きいと思う」と、巻が言うような総力戦。

この4試合。わずか4試合だが、選手のコンディションを維持するためのローテーションというよりも、いつの間にか層が厚くなった感じ。それも“選手層”が厚くなったのは確かだけれど、それだけではなく、戦術理解、戦術対応も含めてチーム力がひとつ分厚くなったような印象を持ちます。われわれが何年も、毎年毎年嘆いていたことだっただけに、素直にうれしい。

さて、このゲーム、どちらがピッチを支配していたのか? 主導権を握っていたのか? まず、そんなところで色んな見方ができる、見え方のするゲームでした。

前半、札幌は前線の前田をはじめ、足元の技術がしっかりとしていて、熊本のプレッシャーに対してもなかなかミスを犯すことがなく、それを剥がしてうまくボールをつなぎ前線に運ぶ。バイタルまで運ばれると、そこからの個人技で熊本のファウルを誘う。前半、札幌が得たFKは12、熊本は3(試合を通じては熊本12に対して25もありました。)PA周辺での相手FKは嫌なもの。相手には菊岡もいる。しかし、いまひとつ精度を欠いたキックは決定機を作り出すことはありませんでした。

これに対して、前半のシュート数は熊本10、札幌7。熊本はいつものように、長めのボールを適度に織り交ぜながら前線に打ち込む。セカンドを奪うと一気にシュートまで持ち込む。ポゼッションやパスの回り具合は札幌に分があるように見えましたが、こと“決定機”ということでは、熊本に分があったようにわれわれには見えました。うまくいっている部分、いってない部分はあるけれど、それを克服しながら、自分たちの戦いができている、自分たちの戦いに持ち込もうとしている。そんな印象の前半でした。

先制はCKから、低く速いボール。ニアで巻がうまく体を入れて、コントロールするようにボールをそらす。逆サイド、フリーで受けた園田は落ち着いてワントラップしてからゴールに蹴り込んだ。スカパー解説が思わず、「デザインされた、練習通りのセットプレー」と言うように。

後半、同点に追いつかれると、14分には岡本→澤田。養父の勝ち越し弾の後、24分には仲間→斎藤。再度、同点に追いつかれた終盤37分には中山→藤本。連戦の中、目いっぱいの運動量をこなした前線の選手に代えて、これまた攻撃的なカードをつぎ込んでいく。

2-2の終盤、互いにオープンな戦いになっていく。熊本の交代出場の選手たちが躍動し、“次々に”ポストに当たる決定機を作る。2試合連続で終盤に猛攻を演じたのですが。

それにしても前半アディッショナルタイムでの岡本のPK失敗。7年のシーズンを過ごした古巣への”恩返し弾”の絶好の機会と、まっさきにボールを取りにいったのですが。「自分のせいで勝ち切ることができず、本当に申し訳なく思っている」と悔やむ岡本。ドラマは作れませんでした。


「勝ちを逃しての引き分けという見方もできるので、そこは反省しながらやっていく必要がある」と巻は言う。この連戦、すべて引き分け。4試合連続のドロー。こうなると、引き分けの捉え方、受け止め方がチームや選手のメンタルに大きく影響してくるのでは、という心配にもなります。4試合引き分けで得た勝ち点は、1勝1分2敗と一緒じゃないかという外野の声もある。

勝ち切れない。勝ち点3を逃している、と感じるのかどうか。

そのあたりを意識した記者からの問いかけに小野監督は、こう応えました。
「長い目でシーズンを見れば、ポストに当たって外にでるシュートもあれば、ネットを揺らすこともあると思います。」
「大事なのはゴールに向かう、その闘志。今日見せてくれたその闘志を落とさずに続けていって、さらにアップしていこうという気迫を持って次の試合に挑んでいくことだと思います。」
「最後、得点にはなりませんでしたが、あそこまで多くの人数がゴール前に行けたことは自分たちの成長だと思います」

まったくの深読みですが…。小野監督としては、今日はまさにこの部分を言いたかった、そう選手に伝えたかった、いい質問をしてくれた、そんな感じではなかったのかと思います。

引き分けで積む勝ち点は“1”ずつだが、勝ち点1以上のものが積みあがっているんだと。

さて、シュミットダニエル。2点は失いましたが、正直なところ今日の2失点、札幌が作った決定機の数からすれば、非常に高い確率の2点だったように思う。まさに、先の小野監督のコメント通り、その裏返し。長いリーグ戦、そんなときもある。

1点目は前田のシュートのうまさを褒めるべき。なかなかあの角度からの弾道。めったに見られるものではない。2点目のFKも、これもGKとしては致し方ない。

それより、長身を生かした高いボールに対する優位からくる余裕のあるプレーぶりは、安定感すら感じられるようになってきた。4月20日に移籍、Jデビューとなった長崎戦以来、4試合を守り切った。そろそろ1か月の移籍期限も近づいてきました。

終了のホイッスルを聞いて、両チームのほとんどの選手がピッチ上に倒れこんだ。それは、GWの4試合目にして、蓄積疲労をものともせず、こんな”死闘”を繰り広げたゆえの当然の姿でした。

ただ、札幌のゴール裏からは拍手だけではない、厳しい反応もあって…。それが札幌側からみた、今日のゲームの見え方だったんだろうと思いました

5月3日(土) 2014 J2リーグ戦 第11節
熊本 0 - 0 岡山 (17:03/うまスタ/7,581人)


スタンドを見てちょっとびっくり。新幹線1本でつながったとはいえ、岡山のゴール裏。九州ダービーかと見紛う多くのサポ。その威圧感。

連休の初日になるとはいえ、チームの好調さもあってか、このシーズンに懸ける岡山サポーターの並々ならぬ闘志が感じられます。負けられない。

「少し消化不良というか、勝点3を取りきれなかったなという気持ちの方が強い」(巻誠一郎)。
「ピンチらしいピンチがなく、勝ちきれなかった思いが強い」(原田拓)。
そうピッチ上の選手たちは振り返る。

一方、小野監督は、まさにこの人らしく。「…今日は攻めきれずに1点が遠かったという印象も受けましたが」と、記者に問われていわく、「…あれだけどん欲にゴールに向かって行った、シュートが入る入らないは別の話だと思います…。最後まで1点を取ろうという闘志を見せてくれた試合だったんじゃないかなと思います」と、選手を高く評価する。

3試合連続の引き分け。2試合連続の無得点。何とはない“消化不良”感が募り、せっかくのチームの“運気”が乱れてしまうのが怖い。連戦のなか、そんな状況を見通しての監督コメントだったのでしょうか。唸らされます。

20140503岡山

まず、注目のスタメン。後ろは片山が戻り蔵川を休ませる。ボランチは養父・吉井が原田・橋本に変更、前線4枚は同じメンバー。ついに養父を休ませて(ベンチスタート)きました。

前半は熊本のハイプレッシャーで、われわれから見ても、ほとんど相手にサッカーをさせていなかった。序盤のせめぎあいの時間帯を過ぎると、完全に熊本が主導権を握り、狙い通りに奪い、一気にゴールへ向かう。小野監督がめずらしくピッチサイドまで出て指示する姿が目立つ。

この試合、熊本の不運は、岡山の状態が非常に良かったことというべきか。ここ二試合、無失点での連勝というのも頷ける。チームとしてトップコンディションではなかったのでしょうか。フィジカルもメンタルも。熊本にあれだけプレッシャーをかけられて、奪われ続ければ、どこかで集中が切れたり、切り替えできなかったり、隙ができるものなのに。ゲームを通じて運動量、スピードを維持し続けた。

勝機を逸したという点では、この前半で先制できなかったことでしょうか。なんとなく、嫌な感じを残しながらトイレに立ちました。

そんなハーフタイムの小野剛監督のコメントはコレ。もうこれは、彼我の状況を読んで、戦局を見通しているとしかいいようがない。
「いい戦いをしている。しかし前半通りにいかないのがサッカー。ハードワークをして、セカンドボールを拾いにいこう。」
「苦しい時間があるだろう。声を掛け合い、励まし合おう。」
「最後まで集中し、チームで戦おう。」

さすがに後半途中から熊本の前線も動きが鈍くなり、岡山に主導権を渡してしまいます。後半、10分から20分あたり。どう凌ぐか、どう巻き返すのか。さあここが胸突き八丁だ、と固まったようにピッチに集中しながら見ていました。

見事だったのは、ここで中途半端なシフトにせず、引いてブロックに徹したこと。4-4-2の綺麗なバランスを維持して、急がない、慌てない。相手にポゼッションを許しながらも、敵将・影山監督に「(ボールを)持てていた時間はあったんですけれども、そこから破くまではほとんど行けなかった」と言わしめたように、この時間帯をきっちり守りきると、巻、五領、そして養父と交代カードの投入で、再び、ペースを取り戻した。

「本当に熊本の選手が最後の最後にパワーを出してきましてね、ぎりぎりで失点を防いだ形になりました…」(影山監督)という、あと一歩の展開に持ち込みました。

このタイミングを待っていたかのような、残り10分での猛攻。最後は両者非常にオープンな展開になって、ここが勝どきと思ったファンも熱い手拍子で後押し。スタンドが一体となりました。試合運びという点では大きく成長したのですが、勝利の女神には、まだまだ認めてもらえなかったのでしょうか。

そして五領。先発の機会は少ないものの、これだけいい時間帯で、美味しい場面のチャンスに恵まれているのは、本人の努力と“持っているもの”なんだろうけれど…。決めろよ。決めてくれよ。とスタジアムの誰もが祈ったはず。しかし、五領があそこで決めて“ヒーロー”になるようになれば、熊本も本当に強くなったと言えるのでしょうが。まあ、とっておく楽しみもあっていいのかもしれません。

「前にキタジさんに言われた"人生が変わるゴール"をとるために練習からゴールを意識してやってきたけど、またそのチャンスを逃してスゴく悔しい!!まだまだやらなきゃいけないんだと痛感したし次こそは絶対にそのチャンスを掴みとる!」。
五領本人は、twitterでそうつぶやきました。