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9月20日(土) 2014 J2リーグ戦 第32節
熊本 2 - 1 栃木 (16:03/うまスタ/5,218人)
得点者:58' 齊藤和樹(熊本)、69' 齊藤和樹(熊本)、88' 大久保哲哉(栃木)


気温20.3度。16時キックオッフのゲーム。このあいだまでの真夏日がうそのような。スタンドでは肌寒さを感じる季節になりました。

この日の栃木にも、前線には西川という”高さ”が立ちはだかり、さらには近藤という高さ、強さを併せ持つ”曲者”の存在がありました。立ち上がりこそ、熊本が出足良くチャンスをつくり、ゲームをコントロールしましたが、徐々に栃木ペースに。サイドでうまく起点を作り、人数をかけてドリブル、ワンツーで仕掛け、熊本のクリアやファウルを誘う栃木。CKやエリア近くでのFKなど危険なセットプレーが延々と続いた前半でした。

20140920栃木

「コーナーキックも多かったので、どこかで1本でも決めなきゃいけなかったと思います。」と栃木・西川優大。

しかし、スタンドのわれわれのドキドキ感とは違って「前半はたくさんコーナーを取られたけど、前節コーナーキックからやられていることもあって、皆すごく集中して跳ね返せた。」(片山奨典)
「前半は我慢する時間かなという感じだったけど、前節セットプレーで2本やられているので、皆にも集中しようと声かけしていました」(園田拓也)

崩されているわけでもなく、相手の攻勢というわけではないけれど、うまくセットプレーの状況を作られているような感じ。相手のロングボールもあって、熊本のハイプレスも今ひとつハマり方が不十分。園田の言うように、ここは“我慢”。そんな前半をスコアレスで終了しました。思えば、ここを凌いだことがひとつの勝敗の分岐点だったような。

ハーフタイム、小野監督は「後半も引き続き、全体でハードワークをしよう。」「前線からプレッシャーをかけよう。」と、普段通りのアドバイスを送ると同時に、SB大迫を下げて、篠原を入れ、園田をサイドに出すという戦術的なカードを切りました。

ベンチにいた篠原が「前半、マッチアップで少しズレがあった…」と表現していますが、それはスタンドのわれわれもミスマッチを感じるくらい。何らかのシステム的な対処が必要だったのでしょう。

小野監督は「特に左の近藤(祐介)選手が攻守に渡って大きなキー…」「どうしてもあそこにロングボールを入れられて」「園田の場合…あそこをしっかり高さでも抑えることができて…」とその意図を説明しています。

しかし、指揮官が「大迫は決して悪くなかった」というように、前半24分にゴール前に走り込む斉藤にピンポイントで合わせたアーリークロス。前半36分に養父からのロングフィードに反応して、自らピッチ中央に駆け上がり相手DFとの勝負に持ち込んだシーン。いずれも決定的なシーンを演出しています。「それが得点になっていたらまた別の展開もあった」と言うように・・・。決まるかどうか。多分それだけ。試合展開のなかでの戦術的な交代ということなんでしょう。

そして後半。「相手は前から来ていたし、皆プレッシャーにビビっていたので、うまくいなせるぐらいのつなぎが特に中盤では必要だし、自分たちが奪っても相手が多い所に持って行ってまた取られてる。」(栃木・近藤祐介)

熊本のプレスがハマりはじめ、徐々に攻撃にもリズムが。後半11分、相手DFへのプレスから、中盤で奪ったボール。養父がタテに入れると澤田が抜け出して決定的なシュート。これはGKの左手一本のセーブに阻まれますが、得点の匂いは十分。
そして後半13分、最後列の橋本から、低く速い“パス”が右サイドのスペースを駆け上がる園田にピタリ。ダイレクトの折り返しに齊藤が一瞬GKより早く、アタマで合わせ先制します。

「アンジー(アンデルソン)が前節取って、アンジーじゃなきゃタメだと言われるのも嫌だし、後半しっかり取れたのでよかったです」という意地のゴール。そしてなんと彼の今季ホーム初ゴールでした。

待望の先制。1点リード。さぁ、どうする?

直後の後半18分、熊本は仲間 → 巻の交代。ここは明確に追加点を奪いに行くメッセージです。巻が入るとゲームがラクになる(ように見えます)。前線での空中戦の勝率が一気に上がります。

後半24分、畑からのフィードを巻が簡単に(簡単に見えるだけですが…)おさめ、養父に預ける。そのリターンを絶妙なタッチで澤田がエリア内に持ち込んで得たCK。ショートコーナーから出てきた中山のセンス溢れる浮き球のラストパス。斉藤がトラップ一発、豪快に蹴り込んでこの日2点目をねじ込み、一気にチームのトップスコアラーに踊り出ました。

中山は、そこに「誰かがいるだろう」と瞬時に判断した。齊藤は「(中山)はああいうプレーが得意」と準備し、GKを見ずに「感覚で撃った」。ようやく息がピッタリあってきたことを思わせます。

さて、2-0。2点リードして残り時間20分。本当なら、勝ち点3を皮算用できる状況なんでしょうが。この弱気な雰囲気。多分、スタジアムの誰もが、前節、横浜戦の悪夢がアタマによぎるのを振り払うように、ゲームに、目の前のプレーに意識を集中しようとしていたのではないでしょうか。

案の定、後半28分には イ・ミンス → 大久保哲哉のカードを切る栃木。西川とのツインタワーにして強力なパワープレーのシフトを敷きます。

まさに、ゲームはここから正念場。しかし、今日の熊本。前節の悔しいドローをバネにあくまでも前から激しく、時にはうまく時間を使いながら…、ゲームをコントロールしようと踏ん張ります。

「前節も追いつかれる経験をして、今日は皆で守り抜こう、絶対やらせないという気持ちが出ていて、やられる気はしなかったです。ラインを上げられる時にサボらず、押し込まれて下げる位置が低くならないように最初の段階で1歩でも2歩でも上げることは意識していました」(橋本拳人)

それでも終了間際の後半43分。大久保の“パワープレイ”に屈し、1点を返されてしまう。そのとき、イレブンは円陣を組むように集まり、何かを確認しあうように声を掛け合いました。それは、忘れていましたが、今シーズンの開幕戦で見たシーンと同じでした。土壇場で福岡に1点返され、追いつかれそうになった試合。指揮官の教え。「失点したら一度集まれ」。

守るのか、攻めるのか。11人の意思をしっかりと統一しました。そして、5分に及んだアディショナルタイムを凌ぐ。栃木は最後の猛攻。ゴール前に入れられた大きなクロスに大久保が”かぶる”。味方に当たってこぼれたボールを畑ががっちりとキープした瞬間、終了の笛が鳴る。久々のホームでの勝利を手にしました。

ゲームの経過はドキドキでしたが、前節と似たような展開の”課題”も克服し、試合自体は、あるいはその内容は、前節も書いたように、手ごたえが着実に増している感じで、それは今日もまた少し積みあがったように思います。何となくだけど、確実に負けなくなってきているような、そんな感じですね。

「まだまだプレーオフは目指せると信じてます。」(小野監督)

いやいや、われわれも忘れているわけではありません。残り10試合。6位大分との勝ち点差は10“しか”ありません。中2日でまたゲームです。