【J2第9節】(うまスタ)
熊本 0-2(前半0-1)金沢
<得点者>
[金]秋葉勝(2分)、清原翔平(68分)
<警告>
[熊]養父雄仁(24分)、常盤聡(67分)、黒木晃平(70分)
[金]チャ・ヨンファン(72分)
観衆:4,790人
主審:池内明彦
副審:中野卓、櫻井大輔


20150426金沢

16時キックオフとはいえ、西日の差し込むスタジアムは暑い。熊本の短い春が終わりを告げたのを感じました。

熊本のスタメンは、ボランチに養父が帰ってきて、その左に黒木。CBには強化指定選手の高校生・野田が入り、園田が右SBを務めます。GKを畑に代えたのにはちょっと首を傾げましたが…。この黄金週間を挟んで2週間での連戦にあたり、「常にピッチの中では100%のエネルギーで満たそうということで、少し変えながら5連戦を戦っていくことになる」(九州J-PARK)という小野監督の思惑を聞かずとも、今年もこの時期、総力戦で戦っていくだろうことは予想できました。

しかし…。開始2分でまさかの失点。多少の気落ちはしたものの、ただ時間はたっぷりある。そう思って観ていた。けれど、後半68分には追加点を与えてしまう。いずれも今シーズン鬼門とも言えるセットプレーからの”あっけない”流れ。

前節のエントリーで最後に、「しばらく辛抱の時期が続く。そう覚悟しました。」、そう書いたものの、さっそく辛い試合結果になってしまいました。わずか1週間そこらで、そう言うのも酷なのかも知れませんが、今日の試合では、チームに全く何の変化も、兆しすらも感じられなかった。それが何より残念でした。

堅守速攻を売り物にして、参入1年目にして現在リーグ2位につける金沢。「しっかり守備から入ろうと」いう森下監督の意図のもと敷かれた2列のブロックは、まるで横浜FCのときを思わせる。そしてブロックに引っかかったボールは、高い位置で居座っているFWの水永が制空権を独占し、そこに清原や田中が飛び込んでくる。わかりやすい。典型的なカウンターサッカー。

それに対して、ブロックを破れない熊本は、金沢のカウンターへの対処から、ボールを奪う位置がどうしても自陣内になってしまいます。そして、”ガツん”と行った球際がファールを取られてしまう悪循環。これまで金沢の得点の多くはセットプレーから得られていたにもかかわらず、なにしろ自ゴール前でのファールが多い。

全く金沢の戦術どおり、ゲームプランどおりに“ハマって”しまった90分を見せられてしまいました。前節のエントリーで引用したサッカーコラムJ3plusの記事、フレーズが再び思い浮かびました。「相手チームから見ると『戦いやすい相手』」。まさに、そんなゲームを見せられたような気がして。

プロとしてはデビュー戦となった田中達也のプレーが観られたのが唯一の収穫だったかも知れません。途中から入って、サイドで何度か起点を作りました。やはり今のチームには、ドリブルで変化をつけるタレントが欲しい。しかし、その田中も、巻と片山の交代で、左SBに下げられると、一気に攻撃から遠ざかることになりました。

フラストレーションを溜めたファンの心理は、試合後にスタンドに挨拶に来た選手たちに怒号を浴びせかけていました。そんななかにも、叱咤激励の言葉は確かにあり…。

われわれがいつまでもがっかりしている暇もなく、もう明日の千葉戦が待っています。

【J2第8節】(Cスタ)
岡山 3-0(前半1-0)熊本
<得点者>
[岡]伊藤大介(30分)、矢島慎也(67分)、押谷祐樹(70分)
<警告>
[熊]クォン・ハンジン(67分)、上村周平(90分+1)
観衆:7,060人
主審:上村篤史
副審:村田裕介、勝又弘樹


前線からのハイプレスで知られるチームとなったわが熊本。それを研究した対戦相手はこれまで、早めにロングボールを前線に放り込むという戦法で熊本に対してきました。今季初めて黒星を喫した相手、福岡などは特に、それまでの戦術を完全に捨ててまでそれを徹底してきた。

しかし、今日の岡山は、そもそも自分たちこそがハイプレスのチーム。それが熊本相手にどう戦うのか。「前節、横浜さんが少し、しっかりとスペースを閉めて戦うやり方をした」(そして勝利した)。新任監督・長澤氏は、しかし自分たちは「やりあう」(九州J-PARK)。そう決意しました。

20150419岡山

試合前、スカパー放送から、「ボール支配率が50%以上で高く、しかしシュート数はリーグ20位」という熊本のデータが示される。それはまさしく、最終ラインでのパス回しに終始し、なかなか攻撃のスウィッチが入れられなかった前節の展開を裏付けるデータでした。ボール支配率が相手より高いのは自分たちのゲームではない。ハイプレス、カウンタープレスを掲げるチーム特有の数字です。

「ギアを上げたときに、攻撃をやり切る」。この一週間それをテーマに練習をしてきたという小野監督のコメントが紹介される。確かに試合序盤、前線から激しく行く熊本が、前節とは比べようがないほど、積極的に攻勢を得て押し込みます。21分には、左からのショートコーナーからパス交換し、嶋田がゴールを横切るグラウンダーのパス。ファーの平繁が反転して切り返してシュート。これは枠の左。実に惜しい!

しかし、岡山の好調さにも理由がありました。今季補強に成功した元日本代表のCB岩政が中央で大きな壁になる。同じく加地がサイドを崩す。そのほかにも前線にはテクニックも併せ持つ押谷、スピードの染谷など、経験豊かで個性のある選手が揃っています。

「熊本がプレスを掛ける。ここが岡山の分かれ道。これをかいくぐることができるかというところ」。スカパー実況の解説者がそう言う。実によく分かっている。

熊本が岡山陣内に4、5人入って組織的にプレスを掛ける。「すごいな」と感心していたときでした、大きくサイドチェンジを繰り返されると、戻れない、スライドできない。左サイドを上がってきた加地が全くのフリーで柔らかくクロスを上げると、これまた居場所を見つけるように入り直した伊藤が全くのフリーでヘッドで叩き込みます。

攻勢のなかでの失点。これが選手たちに、前節を思い起こさせ、”硬く”させてしまいました。

「ミスが怖くなって消極的になる部分があって。気持ちではそういうのはなくても、ちょっとそういうところが出ていたのかなと感じます。安全な方を選んで、逆にそれがカウンターの起点になったり、細かいミスも多かった」。途中出場になった巻は、ベンチでそう見ていました。

先制した岡山のカウンター攻撃はますます鋭くなり、熊本の攻撃への切り替えはそれに比べて明らかに遅い。

後半67分。岡山のFKをクリア。混戦から染谷ががむしゃらに撃つ。DFに当たったこぼれ球に、途中交代で入った矢島が飛び出し追加点。
続く70分には、ハーフウェイライン右から矢島が入れたロングボール。GK金井が出るが触れず、交わした押谷がワントラップして確実にゴールに押し込む。3点目。

このあと。熊本イレブンが円陣を組むように集まって、何かを話し合ったのは、素晴らしかったと思います。昨年を思い出す。もう一度ひとつになる。

しかし、その後平繁→中山、片山→上原の2枚替えや、嶋田に代えて巻を投入するも反撃はままならず。アディッショナルタイム、高柳のロングシュートは枠内を捉えていましたがGKにクリアされ、上村がスルーパスに裏を取ってPA内で撃ったシュートもポストに嫌われて万事休す。敗戦のホイッスルを聞きました。

岩政や加地を加えた岡山は、想像以上に強かった。これが対戦時リーグ順位6位(対戦後5位)の実力なのでしょう。熊本のハイプレスに、「やりあう」とした岡山の決意の裏には、これまでのJ1経験チームとの6連戦を、2勝3分1敗で勝ち越したという結果の自信、そしてさらにチームの力を積み重ねようという意思がありました。

熊本には辛い敗戦となりました。これで3連敗という現実。テレビ画面には、タオルマフラーで涙を拭う、何人もの女性サポーターの姿が映し出されました。

前節の反省・課題から攻撃のスウィッチの入れどころ、小気味よくワンタッチで繋いで崩していくところには成長が見られました。しかし、小野監督が言うように「ボックス近辺になったところでの精度」に課題を残す。そして「相手の出足の方がラストパスの精度より上回った」。そう言うとおりです。

サッカーコラムJ3Plusさんは、日ごろから熊本の試合もよく観てくれている人ですが、最近の熊本の状況、なかなか勝てない理由をこう書いています。「ボールを大事にする意識が高まってポゼッション率などは上がってきているが、その分、相手チームから見ると『戦いやすい相手』になってしまっている」。「やろうとしているサッカーの質がもう1ランクか2ランク上がって洗練されたサッカーになった場合か、もしくは1ランクか2ランク下の慌ただしいサッカーになった方が勝ち点にはつながりやすいように思う。今の成長段階がちょうど『もっとも勝ち点を得にくい。』と言えると思う」と。

ここが分かれ目。

「熊本はまだ”発展途上”というしかない。」前節のエントリーでわれわれはそう書きました。今節の試合後、「今後何か変えて行くところというのがあるのか、それとも今の形で進めていくのか」と記者に問われた指揮官は、「変えてくところというのは、絶えずどんな試合でも高めていく。今日の試合と次の試合とで同じというのはあり得ないと思うので、さらに高めなければいけないところ、それを続けるのは勝ったとしても負けたとしても同じことだ」。そう応えました。

指揮官にブレはありませんでした。ランク(程度)を下げて勝ち点を取りにいくよりも、目指すところにランクを上げることを迷いはない。われわれファンにも、しばらく辛抱の時期が続く。そう覚悟しました。

【J2第7節】(うまスタ)
熊本 0-1(前半0-1)横浜FC
<得点者>
[横]オウンゴール(19分)
<警告>
[熊]クォン・ハンジン(56分)
[横]南雄太(59分)、松下年宏(69分)、佐藤謙介(82分)
観衆:7,040人
主審:小屋幸栄
副審:藤井陽一、福岡靖人


試合終了後、スタンドに挨拶に来た選手たちに、「ホームだぞ!」と一言罵声を浴びせたのは初老の男性でした。それは、ホーム初勝利が掛かっていたにも関わらず低調に推移したこの日のチームのパフォーマンスに対する叱咤に違いありませんが、同時に前半19分の得点者がキング・カズだとアナウンスされたとき、スタンドの赤い恰好の人たちからも大いに拍手が上がった(その後オウンゴールに変更されましたが)、そんな人たちへも向けられていた言葉ではなかったかと思うのは考え過ぎでしょうか。

20150411横浜

熊本はスロースタートな印象を受けました。出だしから横浜の攻勢の方が鋭い。8分にはカウンター。右からのアーリークロスをファーで松下がダイレクトボレー。これはこの日、原に代わって初スタメンとなったGK金井ががっちりキープ。14分には熊本ゴール前での空中戦での押し合い。PA内の大久保にこぼれると、すかさず撃たれますが、枠外。ヒヤリとさせられる。

ところが19分、横浜に与えたFK。松下がカーブの掛かったボールを右足で送ると、誰が触ったのかよくわからないままゴールに吸い込まれる。

横浜の選手たちが次々にカズの手にタッチする。場内でもカズのゴールとアナウンスされます。しかし、あとでVTRで見ると、ボールはジャンプした壁を越えて、平繁に当たって角度を変えて吸い込まれた。カズは触っていない。カズが”ダンス”をしなかったはずでした。

前節まではCKからの失点の連続に苦言を呈しましたが。この日もFKというセットプレーから。これで今シーズン8失点のうち、セットプレーから6失点目。何故にリスタートに弱いのか。

横浜が2列に敷いたブロックは非常にコンパクト。まるで生き物のようにその距離をキープしながら熊本のボールホルダーに圧力を加えます。中山や上村が受けてもなかなか前へ運べない。前線に入れるくさびのボールは、最終ラインからの激しいチェックに潰される。それはまるでカミソリのように鋭い。DFの裏には大きなスペースがあるのですが、前線の動き出しと、後方からの出し手のタイミングが全く合いません。次第にDFラインでボールを回す時間ばかりが長くなる。

そんななか、前半の36分、一度左を通しておいて大きく右にサイドチェンジ。素早い藏川のクロスから齊藤のヘッドは、惜しくも枠右に外れましたが、これが熊本の目指す攻撃パターンだったでしょう。ハーフタイムの小野監督の言葉も「幅を大きく使って、テンポを上げていこう」というものでしたし。

続く41分には、片山がアーリークロスをGKと平繁の間に送りますが、バウンドが高くなって平繁に合わず。あとは後半74分に中山が得意の浮き球パスをPA内の常盤に送るとシュート。GK南が弾いたところを平繁が押し込む。場内が沸きかえりますが、これは常盤のところで副審がオフサイドフラッグを上げていました。

熊本の見せ場はこれぐらい。常盤を入れ、黒木を入れ、巻を入れてもパフォーマンスは上がりませんでした。

「澤田や仲間がいた昨年はスピードでゴリゴリ攻めてきた。今年の熊本はスマート。怖さはあまり感じなかった」(12日付・熊日)と、試合後の南に”うそぶかれ”てしまいましたが。しかし、そんな横浜もオウンゴールで先制したあと、その1点を守り抜くような試合運びに終始した。まるで1-0を美学にしていた熊本や横浜で指揮した元監督の采配のようであり、ミロシュ・ルス新監督も「互いにけん制しあう試合で、観客にとって面白かったか分からない」と言いました。

熊本はまだ”発展途上”というしかない。こんなゲーム展開の日もある。相手もしかり。しかし、3戦勝利から遠ざかっていた横浜は、この日はオウンゴールでもその1点での勝利に捨て身でこだわったように、熊本もホームでの勝利に絶対にこだわるというメンタルをもっと前面に押し出してほしかったのは事実です。

そうでなかったら、この日のようなブーイングをまた浴びせられても仕方がないでと言えるしょう。

【J2第6節】(NACK)
大宮 2-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[大]ムルジャ(51分)、横山知伸(73分)
<警告>
[大]菊地光将(17分)、金澤慎(23分)
観衆:5,428人
主審:三上正一郎
副審:桜井大介、藤沢達也


「前半にしっかり決めることができれば、逆の結果になっていたと思う」という小野監督のインタビューは、決して負け惜しみではなく、決定機に決め切れなかったことのツケ、そして90分という時間のなかでの展開(流れ)の変化をまざまざと感じさせられた一戦でした。

J1からの降格組・大宮との初対戦。もちろん引退した藤本主税の古巣でもありますが、九州J-PARKの戦前のプレビューでは井芹さんが、「遡ればお互いにNTTのチームを母体に生まれた経緯があり、熊本の前身であるNTT西日本熊本FCに金川幸司というFWの選手が期限付き移籍で在籍したこともある」と、往年のファンにはとても懐かしい名前を挙げていました。

われわれが「青の時代」と呼んでいる、熊本のトップチームがNTT西日本熊本だった頃。同じNTTチームを母体にして、NTT東日本をバックに大宮があるのだったら、西日本は熊本を押し上げてくれるのではないかと夢見ていた頃もありました(事実、あの頃の胸スポンサーはNTT DoCoMo九州でした)。

しかし、同じNTT系列で二つもJクラブはいらないという方針のもと、企業チームの強豪NTT西日本熊本はクラブチーム・アルエット熊本に姿を代え、紆余曲折を経て、なんとか熊本にJクラブを生むことができたのですが…。いささか古い話しですが、2001年12月、三ツ沢での天皇杯横浜FC戦。完全アウェイのなかで10人あまりのわれわれのゴール裏に、NTT繋がりということで大宮サポーターの援軍が駆けつけてくれ、共に戦ったことは今でも忘れられません。

…まぁ、色々なことがありました。そんなことも思い出させる大宮とのアウェイでの初対戦でした。

20150405大宮

熊本には、ようやくキャプテン・園田の傷が癒えて先発に帰ってきました。

指揮官が言うように、前半は完全に熊本が主導権を握っていたと言っていいでしょう。それは、相手を必要以上にリスペクトするのではなく…。受け身(リアクション)ではなく、自分たちでアクションを起こす積極的な戦い。逆に言えば、解説の山口氏から「前半は寝ていた」とまで表現された大宮。実に緩いアプローチ。ほぼ自由にプレーさせてくれていました。

14分に、ハーフウェイライン付近で相手ボールを奪うと、齊藤が持ち上がって左から追走して追い抜いた平繁にパス。平繁がPA内で切り替えして右足シュート。決まったと思ったものの、これをGK加藤が鋭い反応でセーブ。20分にも、中盤でのワンタッチパス交換から齊藤がタメて平繁の上がりを待ってパス。平繁のシュートは今度はGKの脇を抜けましたが、後ろに構えたDFの残り足に当たってクリアされる。不運…。

「熊本は点を取っておきたい時間帯。ニューイヤーズカップでも、決定機を逃し続けて敗れました」と、スカパーの実況にも指摘される。

44分には、右からの齊藤のクロスに平繁がファーに走る。これは目前で敵DFがクリアしたものの、それをPA内で拾った中山がすかさずシュート。しかし、これもGK加藤にブロックされてしまいます。完全に当たってきた加藤。

解説の山口素弘・元横浜FC監督も指摘するように、大宮はアンカーの高柳をフリーにしてくれていました。もう一点は上村が大宮ボランチの金澤とのマッチアップで優位に立てていたこと。

しかしハーフタイムを挟んでの修正、後半開始から金澤に代えて横山に代えてきたことが状況を一変させます。

横山がしっかり守備を築くことで、前に顔を出すことができるようになったカルリーニョス。開始早々からの大宮の波状攻撃。なんだかバタバタした感じのなかで、51分の大宮、左前線に送ったボール。ムルジャが園田と競って勝つと、PA左から強烈に打ち込む。GK原の伸ばした手をかすめてゴールに突き刺さります。

大宮もこれでやっと落ち着いた様子。完全に主導権を奪い、格上の”威厳”を示します。熊本は前半が嘘であったかのように防戦一方。

金澤との優位に立っていた上村も、「ハーフタイムに替わるというのを聞いて、ちょっと狙うポイントをどこにするかというのをチーム全体でまた考え直すという感じだったので、その中でもうちょっと早くそこのポイントを掴めれば良かったですけど、そこが入りはあまり掴めず、結局最後まであまり掴めずに終わったという印象はあります」と言う(Jリーグブログ | J SPORTS)。

残念だったのは、ここから養父、常盤、巻と投入したにも関わらず状況が打開しなかったことそれより、73分、左CKから横山にヘッドで決められた追加点。ゾーンの隙を破られる。原が前に出たのに触れていない。前節に続く、いや前々節から続く同じような失点。過密日程の3連戦のなかで全く同じようなシーン。研究されているのか。このセットプレーからの失点の意味はとても重いと思われます。

それでも…。なんとかポジティブな点を見つけようと思うなら。決めきれなかったにしても、前半の決定機のシーン。選手同士の距離感が近く、綺麗なワンタッチパスで完全に崩し切っているということ。連携が徐々に高まってきているということ。単純化して言えば、連携と言うのは、ワンタッチパスが狙える距離感をいかに組み立てられるかということ。

先制点の責任を一身に背負い、主将・園田にとっては辛い復帰戦になりましたが、やはりDFラインの安定感は高まった。

一時期はNTT系の先輩格と慕っていた大宮との初対戦。気後れはありませんでしたが、しかし、さすがに一日の長がむこうにありました。「熊本の向かっている方向性は間違っていない」。そう断言してくれた山口素弘の言葉が、今節の救いになりました。熊本の歴史は、まだまだこれから。下は向きませんよ。

【J2第5節】(うまスタ)
熊本 2-2(前半1-2)徳島
<得点者>
[熊]平繁龍一(45分+1)、齊藤和樹(46分)
[徳]橋内優也(26分)、長谷川悠(30分)
観衆:4,072人
主審:佐藤隆治
副審:名木利幸、櫻井大輔


いやー、流れからの理想的で見事な2得点でした。だからこそ、その前の淡白な2失点がなにより悔やまれるのですが…。小心者のわれわれとしては、前半30分での2点ビハインド。このままいいところなく2戦続けての零敗では、多分、気持ちが持たないかも…などと、弱気もいいところで戦況を見守っていました。

20150401徳島

ようやく帰ってきたという感じがする、今季初のうまスタでのホーム戦。ただし平日のナイトゲームとなりました。先発に起用されたのはワントップに平繁、そしてCBに大学新卒の鈴木。

”気持ち君”というあだ名を持つ鈴木。「強さ、それからハイボールに対して、気持ちの強さ、そういう部分を見て、思い切ってこの場面で起用しました」(九州J-PARK)と、小野監督は起用の理由を述べていますが、その”気持ち”の強さを持ってしても、デビュー戦は相当の重圧があったのでしょうか。「雰囲気にのまれた」(熊日)と言います。厳しい言い方かもしれませんが、明らかなミスや局面での競り負け…。前半、ゲームの流れを持っていかれた原因の一端はそこにもあると見えました。

前半26分には、CKから橋内にフリーでヘディングされ先制されると、30分にも木村のアーリークロスに、鈴木とGK原が交錯。長谷川に押し込まれ追加点を与えます。

「CKに対する守備で、熊本はGK寄りのゾーンに固まると分析していた」と、チームの守備に関して敵将・小林監督に分析されていたにしても、2点目に関しては、鈴木の原との連携の問題、ポジショニングの課題があったと思います。

ただしかし、わが指揮官が「ハーフタイムには普通は個別にはあまり話をしないんですけれど、いくつかの点は彼にアドバイスをして、それに関して非常によくやってくれた。逆にそれで少しプレーも楽になったかな」というとおり、後半は落ち着いてプレーしました。ヘディングの高さ、強さはもちろんですが、幾度となく見せた前線への”強気の”スルーパスは、彼の持つポテンシャルを感じさせてくれましたね。

この試合を迎える前にわれわれの頭にあったのは、1節、2節、そして前節のように、”熊本対策”として早めにロングボールを放り込まれたときの対応の問題でした。全体が間延びさせられて、プレスも効かず、セカンドボールも拾えなくなったとき、どう対処していくのか。ということでした。打開策はあるのか・・・。それに対する答えは、小野監督はすぐこの試合で返してくれました。

「ロングボールに対するセカンドボールというよりは、奪ったボールをしっかりと起点を作って、相手を押し込んで攻める、そうすると、ロングボールを蹴られても相手のFWが逆に孤立するので、我々の方がいい体勢でしっかりとセカンドボールを拾える。それをしっかりと、攻撃のところで意図的にサイドを変えながら、一気に攻めきるところとしっかりとつないでサイドを変えて起点を作っていく、これをやっていこうと。」(九州J-PARK:小野監督コメント)

指揮官の、そのコンセプト通りの1点目でした。自陣から一気にサイドのワンタッチパス交換で持ち上がる。平繁がDF3人と駆け引きでフリーになると、そこに片山が浅い位置からピンポイントでクロスを合わせた。前半アディショナルタイムという時間帯といい、絶好の追撃弾でした。

平繁に関しての監督のコメント。「トレーニングのところでもどうしても周りとの連携をしっかり確認していく、その時間が今まで彼にとっては足りなかったと思うんですけれども、しっかりとトレーニングの中でできるようになって、非常にいいところを出してくれたし、周りも龍一のプレーを理解して、パスを出して、受けてというのが出てきてくれたかなと思っています。ただここはもっともっと良くしていきたい部分で、さらに良くなると思ってます」。まだまだ、と見えるし、もっとよくなるという期待も膨らみます。

そしてそして。後半キックオフ早々。タッチラインからのスローインを拾って、齊藤に渡る。ペナルティアーク付近でうまく相手DFをかわしてシュートアングルを作って右足を振り抜いた。うまく足に乗せたボールはカーブが掛かり、ゴール右隅上に突き刺さり同点としました。

待ちに待った、平繁、齊藤という熊本の得点源に期待されるエース候補の初ゴールでした。あとは、今日も途中投入されましたが常盤にゴールが生まれれば言うことないのですが・・・。

後半29分、平繁が担架で運ばれて退場したときは心底心配しましたが、足を攣っただけと分かって安堵。代わって入った巻は、前節に捻挫系の怪我で退いたのだと思っていたので、今節の復帰には驚かされました。

徳島は、佐藤晃大やキム・ジョンミンという、あくまで高さを投入してきましたが、クォン・ハンジンと鈴木が跳ね返し続けました。

2点先制されたものの、いい時間帯に同点まで追いつくことができた。それも理想に近い攻撃で。指揮官が「新しい可能性をしっかりと見せてくれた」(九州J-PARK)と言うように、これは大いなる進歩でした。ただし、同時に守備面での課題も、また明確になりました。

課題と進歩と。そういう意味では正当な結果と言える引き分けだったと思います。ただし、J1を経験してきた徳島相手に臆することなく、ビハインドをものともしない、しっかり根付いた強い気持ちを感じさせる戦いでした。