【J2第26節】(フクアリ)
千葉 2-3(前半0-1)熊本
<得点者>
[千]オナイウ阿道(62分)、金井貢史(90分)
[熊]齊藤和樹2(30分、58分)、嶋田慎太郎(73分)
<警告>
[熊]黒木晃平(90分+6)
観衆:8,499人
主審:松尾一
副審:塚越由貴、大友一平


千葉に勝ったことがあったっけ? 無意識にそう思ってしまうほどの苦手意識。特にアウェイ・フクアリでは、大敗のイメージしかなく…。記録をたどれば、対戦成績は1勝4分6敗。そのわずかな1勝は、2012年7月2日のホームゲーム。途中出場の高橋祐太郎が出した絶妙のスルーパスに、武富が決めた1点を守ってのもの。そのときのエントリーの題名は「勝ったぞー!千葉に」。当時の興奮が思い出されます(笑)。

そして、そして。実に3年ぶりの勝利に再び叫びたい。「打ち勝ったぞー!千葉に」。しかも今回は、8000の千葉サポーターが圧倒的な声量で支配するド・アウェイ、フクアリ。その余韻もまた格別です。

前節、ヴェルディの試合開始早々からの圧力に耐え切れなかった熊本。今節の千葉も、同じように開始早々から押し込んでくるタイプのチーム。特に前回対戦では無用なPKを早々に与え、それでずるずると加点を許したこともあり…。試合への入り方が最初の勝敗の分岐点。小野監督も「序盤が勝負」(スカパー)と捕らえます。

20150726千葉

先手を取ったのは熊本。1分、右からのアーリークロスを清武が落として、齊藤が強烈ボレー。しかしこれはGKがブロック。9分にはロングボールを巻が落として、齊藤がボックス内でGKと交錯するも潰される。惜しい。実はこれが、この試合で熊本が一貫して”狙っていた”プレーでした。

対する千葉の攻勢も鋭い。熊本のサイドチェンジのパスミスを高い位置で奪って攻め立てる。好手・左SB中村がアーリークロス。ニアで熊本DFが触るものの、そのままの勢いで抜けファーにいたペチュニク。これはペチュニクにも合わず事なきを得ました。

先制は、そんな互角の戦いのなかの前半30分でした。ペナルティアーク付近から黒木。クリアぎみのロングボールが千葉DFの裏に通ると、そこに齊藤。飛び出したGKを交わし、ボックス内に入った。追いすがるDFにも競り勝つと、捻り込むようにゴールに決めました。これも難易度の高い”齊藤の角度”でした。

しかし千葉も反撃。2列目の谷澤、町田、ペチュニクにアタッキングサードを脅かされますが、今日もダニエルが、最後の最後、壁のように熊本のゴールマウスを守ります。

1点先取で前半を終える。千葉相手にこれだけでも初めてのことではなかったでしょうか。先制点を取ったら負けない。そんな自信が、確信に変わったのは58分。ダニエルから前線へ狙いすましたロングボール。齊藤が自分のコントロール内に見事に収めると、相手DFの甘い詰めを見透かしたような股抜きシュート。前に出てきたGKの脇を抜けてゴールに転がり込む。1点目よりさらに難しい、これも齊藤の角度。これで齊藤は自身キャリアハイの11得点目。チーム得点王はもちろん、リーグ2位に躍り出ます。

ところがやはり2-0が一番危ないのがサッカー。後半途中から入った千葉・オナイウ阿道が右にはたくと、クロスにペチュニクがヘッド。そのクリアが小さくなったところをボックス内に入ったオナイウにボレーでぶち込まれます。1点差。

後半開始早々も、そんなに押し込んでくる感じがしなかった千葉でしたが、この日のスカパー解説の城福氏が監督業の”真髄”を説明する。「ハーフタイムでの指示で後半期待する結果に変わるかも知れない。しかし、変わらないとき、早めに選手交代する」。それがまさしく安に代わって入ったオナイウだったでしょう。PAのちょっと外からのオナイウの強烈シュートはダニエルがなんとかブロック。1点差にした千葉に勢いが出始めます。

ここで熊本は清武から藏川にスウィッチ。このベテランの投入はまさに、千葉の勢いを抑えるとともに、チームを落ち着かせる意図に違いありませんでした。

千葉の底力をジワリジワリと感じる時間帯。耐え続ける。そして体力的にも最もキツイ時間帯でした。中盤、ファウルギリギリで奪った黒木が前につける。巻に代わって入った嶋田が、それを受けるとすぐに反転。迷わず短い振り幅で左足を振り抜いた。瞬間、スカパーの実況アナウンサーも「ゴラッソ!」と叫んだ。嶋田のミドルで放ったシュートは、敵GKが横っ飛びするものの、ゴール右隅に突き刺さる。「前節は自分のミスで失点した」と悔やんでいた嶋田が、前節ヴェルディの高木にやられたような、しかし、較べるべくもない美しいゴールで取り返してみせました。

これでまた2点差とした熊本。しかし、それでもまだ楽にはしてくれないのが千葉の怖さでした。もう後半も90分、やがてアディッショナルタイムに入ろうかとする時間。左からの中村の大きなクロスをファーでオナイウが折り返すと、中央の金井が絵に描いたようにボレーでネットを揺らす。再び1点差。勢いは再び千葉へ。

アディッショナルタイム4分もあれば、千葉の勢い、底力からすれば、同点、果ては逆転する”瞬発力”もありました。千葉はDFのキムを前線に上げてパワープレー。スタジアム全体が揺れるように後押しする。しかし、熊本もまたゴール裏に結集した赤いサポーターたちの懸命の後押し。人数では劣っても、押し返す。負けない。今日は、絶対勝つ!必ず勝てる!そんな思いを結集させて…。

そして、何とか4分を凌ぎきった。追いすがる千葉を突き放し、逃げ切っての勝利。貴重な勝ち点3ポイントを手にしました。

「最後はみんなの気持ちが相手を上回った。きれいな勝ちではなかったが・・・」と言うのは園田。「熊本らしく泥くさく勝つことができた」と言うのは養父(27日付熊日)。ただ、やはりこの試合、忘れてはならないのは先発起用された巻の存在。得点こそなかったものの、攻守に体を張ったその存在感。千葉に先手を与えず、ゲームを作った。「『僕が先発に入ったというのは、試合の入り方を間違えないため』と起用の意図は感じとっていた」(同熊日)。

先発しても、後半から入っても、巻の存在が大きい。替えが効かない存在になってきています。そして斉藤。万能型のFWなどとベタ褒めの解説・城福氏。確かに嬉しいんですが…。あまり目立ってしまうのもどうかと…。微妙なファン心理ではあります。

順位はわずかひとつ上げて18位となりました。しかし、降格圏21位の京都からは4ポイント差をつけ、14位群馬まで3ポイント差に迫った。3年ぶりとはいえ、千葉への苦手意識を払拭した勝利劇。それだけでなく大きな”勝ち点”を得た嬉しいゲームでした。

【J2第25節】(うまスタ)
熊本 0-1(前半0-0)東京V
<得点者>
[東]高木善朗(74分)
<警告>
[熊]クォン・ハンジン(68分)、園田拓也(79分)
[東]三竿健斗(28分)、高木大輔(72分)
観衆:3,956人
主審:岡宏道
副審:相葉忠臣、中井恒


「点を取られたのは後半だが、残念なのは前半に積極性を出せなかったことだ」(23日付熊日朝刊)。試合後のインタビューで、小野監督はそう嘆きました。

前からアグレッシブにプレスに来るヴェルディ。ロングボールで押し込まれ、セカンドボールも次々に回収して2次攻撃、3次攻撃に繋げられると、少しずつ後手を踏んで来る熊本。本来、序盤は両者とも飛ばしてくるもので、このがっぷり四つ、あるいは鍔迫り合いの時間帯から徐々に押し戻し、自分たちのサッカーに持っていけていたのが、熊本のここのところの好調の要因でもありました。指揮官いわく「ピッチ上の選手たちが自分たちで解決できるようになった」と。冒頭のコメントは、この試合の前半それができなかったことを悔やんでいるように思えます。

わずか1カ月前、向こうのホームで対戦したときのヴェルディとは明らかに違っている。この間ヴェルディは、3勝1分1敗の成績を収め、順位も6位まで上げていました。「ホームのときとは違う牙をむいていける」(スカパー)。試合前の敵将・冨樫監督のコメントも、リベンジへの自信に溢れていました。

20150722東京V

ヴェルディは左から作って杉本がボックス内に侵入。ニアをぶち抜こうとしますが、これはダニエルが片手一本でクリア。FKから安在のシュートは、ダニエルが一旦弾いて再びキャッチング。ゴールマウスを割らせない。とにかくダニエルの好プレーに救われています。

前回対戦のときはしっかりマークできていた中後、三竿の両ボランチを、今日はなかなか捕まえきれない。途中から4ー4ー2にシフト変更を命じる小野監督。それでも伝統的な短いパス回しに、前からのアグレッシブな守備が加わっているヴェルディに対して、熊本も幾度か好機を作るものの、攻め上がっても少しチームの重心は後ろにあるように感じられ、とにかく0点で凌いだという印象で前半が終わります。

過密日程のなか、また降り続いた雨のため“重馬場”となったピッチ状態を考慮してか、膝に古傷のある岡本はベンチスタートになっていました。代わりに常盤の持つ古巣対戦へのモチベーションに期待しての起用でしたが、この展開のなかでは代えざるを得ない。熊本は後半から巻を入れました。

更には蔵川に代えて清武。清武はホーム初お目見え。そんな二人が加わって見せ場を作る。

巻が落として清武がミドルシュートで敵ゴールを脅かす。左サイド奥に侵入した斎藤からのマイナスパスを巻がミドルで打つがこれはキーパー。再び斎藤が持ち上がって清武に送ると、清武の反転からのシュートはブロックさせる。しかし、「よりギアを上げていこう」とハーフタイムで指示を送った冨樫ヴェルディに対して、五分五分のところまで盛り返した感じの熊本でした。

そんななかの一瞬の出来事でした。GKからのキックを中盤で落としたヴェルディ。途中投入の高木善朗にしっかりとつなぐと、PAの少し手前でした。思い切りよく高木が一閃した右足のシュートは、少し前に重心の掛かっていたダニエルの頭を越えて、ゴール右隅に突き刺さる。結局、この1点が決勝点になってしまいます。

残り10分となって熊本は岡本を入れる。ヴェルディはベテランの田村を入れて締めにかかる。コーナーキックからの清武のボールは、キーパーも触れない絶好のコース。しかし味方も触れずエンドラインを抜けてしまう。アディッショナルタイムのFKには、ダニエルも上がって”一発”の同点弾を狙い続けましたが、これもファーに流れて終了の笛を聞きました。

「たとえばファーストボールを競らないとか、あるいはフォワードもそういうところでしっかりと身体を当てないとか、そういうので相手にボールが渡るのがいちばん危険だと思っていたので、そういうところのゲームの入り方の修正をしました」(九州J-PARK)。富樫監督は勝因の一端をそう口にしました。

一方、小野監督は“アグレッシブさ”で劣った理由を記者に問われていわく、「相手がかなり徹底して裏に走ってそこへのロングボール、そこのセカンドボールの争いというのが序盤の大きな戦いだったんですけども、そこで1歩遅れることが多くて、こちらが後手に回った部分がちょっとあった」と。さらに「本来だったらそこでモノにしてもう1回押し返して、逆にこちら側がプレッシャーをかけて、苦しい体勢のボールをまた奪い返すという流れに早くもっていきたかった」。

そこが冒頭書いた「ピッチ上の選手たちが自分たちで解決」できなかったということではないかと。

「うちがやりたいことを逆にやられて」と園田は言う。全くそのとおり。更に言えば「やるべきこと」を逆にやられたとも言えます。

団子状態とも言える下位グループのなかで、これで19位まで後退。薄氷を踏むような感覚が続きます。

【J2第24節】(ニッパツ)
横浜FC 0-3(前半0-1)熊本
<得点者>
[熊]岡本賢明(22分)、嶋田慎太郎(54分)、藏川洋平(73分)
<警告>
[横]中島崇典(83分)、市村篤司(90分+1)
[熊]園田拓也(87分)
観衆:7,506人
主審:上村篤史
副審:桜井大介、藤沢達也


「今日の試合は自分にとってはサッカー人生のターニングポイントくらいの意気込みで臨んでいました。このチャンスを生かすか生かさないかで今後が変わってくるというゲームだったと思いました」(ゲキサカ)。

初先発からの今シーズン初得点。この大勝3得点の口火を切った殊勲者・岡本は、この試合に賭けていた並々ならぬ思いを語りました。

「シーズンオフにヒザの手術を受けた」のだという。「リハビリに半年近くかかってしまい、その間チームの状態も良くありませんでした。そのときに自分がチームのためにプレーできないことが、本当にもどかしかった」(ゲキサカ)と心情を吐露しました。チームの選手会長として、いつも明るく振舞っているその心の奥では、計り知れない焦りや不安や苦しみと戦っていたのであろうことが、”ターニングポイント”という言葉に集約されているように思います。

「立ち上がりは、なかなかゲームに入れなかった」(岡本)。コイントスでエンドを替えた横浜が、強風を背にして、縦に早い展開を仕掛けてくる。開始早々、市村のアーリークロスがハンジンの頭を越えると大久保に。これはハンジンがトラップをクリアして事なきを得ます。

大久保の高さ。「それを嫌がってこちらがラインを下げるか、ラインを上げてボールにプレッシャーを掛け続けられるかの勝負だった」と小野監督は言います。熊本は今日も勇気を持って高いラインを保つと、前線からプレスを掛ける。ボールの出所の寺田は齊藤と岡本が自由にさせず、攻撃に転じたら、岡本がボックス内に”神出鬼没”よろしく侵入する。徐々に横浜を追い詰めていく。

それが実ったのが先制点の場面。22分、左サイドのスローインから齊藤が右足を伸ばしてそらすと、ボックス内の岡本に収まる。すかさず岡本が前を向きなおしてDFを置き去りにするとシュート。猛然と前に出てきたGK南にも当たったかと思われましたが、ボールはネットを揺らしました。ガッツポーズの岡本。それに駆け寄る選手たち。

20150718横浜

後半開始から横浜は、なかなかボールを引き出すことの出来なかったカズを諦め、ボランチに渡辺を投入。寺田をトップ下に移すことでマークを外しに掛かります。ただ、確かに寺田がボールを触れるようにはなったものの、チームの随所でミスが出る。FKを得てもダイレクトで狙うものの大きく枠を外すばかり。淡白な攻撃が目立ちます。

熊本はロングボールを齊藤が落とすと、詰めていた藏川がシュート。こればボールごとGK南が枠内に入っていたかと思われましたがノーゴールの判定。しかし続く54分、右サイド奥で岡本がDFにチェックに行くと、嶋田がそのパスをカット。齊藤とのワンツーでボックス内に侵入すると、DFを交わして左足に持ち替えた。瞬間、南の反応より速いタイミングでゴールを打ち抜き、追加点としました。

いまさらですが、前線からのプレスと言っても、熊本の場合、90分間やみくもにプレスを掛けるのではない。ボールの”うばい所”(それは時間であり、場所であり、相手のバランスであり)を狙って、しかもチーム(組織的に)で奪う。単にプレッシャーを掛けるのではなく、”奪い切る”ことなのだと。この得点シーンが特に物語っていました。

“プレス”というサッカー用語だけでは誤解してしまいそうです。今の熊本の戦術の根幹は“奪うこと”。相手の攻撃を遅らせるでもなく、ボールを下げさせるでもない。奪うその一瞬が守備と攻撃を一体にした戦術の起点になる。どうも、奪ったボールが“ものにならない”状況と判断したときには、思い切って(リスクの少ない)スペースに蹴って、相手にポゼッションを渡してでも、奪い直しにリスタートしているような、そんな意図さえ感じます。

たまらず横浜は、小池に代えて黒津を投入。入ったばかりの黒津が、大久保とのワンツーで左から崩すとDFを振り切ってボックス内に侵入。この試合、最大のピンチはしかしダニエルが身体を投げ出し、足でブロックし防ぎます。2-0が一番危ないスコアとサッカーでは言われるとき、絶対絶命のピンチを救ったダニエルのファインプレーが、またチームメイトを奮起させ、勝利を呼び込みます。

怪我で痛んだ渡辺に代えて、松下を入れてくると、中盤での激しい奪い合いの様相になる。熊本は横浜のパスをヘッドでカットしてDFの裏に出す。そのボールを齊藤が持ち上がってシュートしますが、さすがの南がコースに立ちはだかって、ボールは左ポストに嫌われる。跳ね返りのボールを拾った寺田が、前の松下に短いパスを送ったところでした。猛然と走り込んだ藏川がそれを奪うと、南も一歩も動けない速くて強いシュートでゴールにぶち込み3点目とします。

ポストを叩いて悔しがるのは南。前回対戦後は、「今年の熊本はスマート。怖さはあまり感じなかった」とうそぶかれましたが、この日は3度そのゴールマウスを打ち抜いた。南がボールを持つたび大きなブーイングを送り続けたゴール裏の赤いサポーターたちも、きっと溜飲を下げたに違いない。それにしてもアウェーの地・三ツ沢に多くのサポーターが駆けつけ、よくぞあれほど赤く染めてくれました。

その後も熊本はラインを下げることなくプレスも怠らない。巻を入れ清武を入れ、走り続ける。横浜は完全に戦意を喪失、後ろで回すしかない。アディッショナルタイム3分、右サイド奥から途中投入の中山からのクロスに巻の頭が触ったか触らなかったか。ボールはゴールの左隅に吸い込まれ、4点目かと思わせましたが、これはオフサイドの判定。そして終了の笛が吹かれると、この日も熊本はクリーンシート。シーズン初めての連勝を敵地でもぎ取りました。

「点差よりは苦しい試合だった。選手が最後まで走り切ってボールに果敢にプレッシャーを掛け続けてくれたことが勝点3につながった」。そういう指揮官の試合後の言葉が、この試合の全てを物語っているでしょう。やはり”走ってなんぼ”。そして、玉際で激しくいくチームスタイルが、横浜をして、「自分たちから相手にプレゼントしたようなプレーが多かった。信じられないミスが多かった」と、ミロシュ監督を嘆かせました。

初連勝を飾り、順位こそひとつ上がって16位にしたものの、この節、下位グループも勝ち点を積み上げたことによって、その差はあまり広がりませんでした。まだまだ浮かれるわけにはいかない。

試合終了後のピッチ。途中退いた岡本が、選手たちを労い、一人ひとりと笑顔で握手を交わす。「まだまだ自分たちは苦しい順位にいる」(スカパー!ヒーローインタビュー)と言う彼の自覚の言葉もそうですが、何よりまた一枚、前線のカードが完全に戻ってきたことは頼もしい限りですね。

【J2第23節】(うまスタ)
熊本 2-0(前半1-0)愛媛
<得点者>
[熊]クォン・ハンジン(36分)、齊藤和樹(71分)
<警告>
[熊]齊藤和樹(28分)
観衆:3,978人
主審:福島孝一郎
副審:村井良輔、熊谷幸剛


なんと、ホームうまスタでの勝利は、昨年9月の栃木戦以来、実に10か月、11試合ぶりだったそうです。それほど長いことこのうまスタで、勝利のカモン!ロッソを見ていなかったのか。試合後、赤く染まったゴール裏の勝利のダンスが、蒸し暑さを夜空に吹き飛ばしました。前半戦に続いて、愛媛に勝利。しかもクリーンシートというのが嬉しい。これで何とか17位に浮上しました。

20150712愛媛

敵将・木山監督の熊本対策なのでしょう。前半、試合開始から愛媛は、熊本のプレスを警戒するように、球離れ早く、縦に長いボールで裏を突いてきます。河原からのロングフィードを渡辺が落として、瀬沼が中央まで切り返すとシュート。今度は左サイドからのアーリークロスを、両CBの間で渡辺が必死に足を伸ばす。いずれもGKダニエルの手中に収まり事なきを得ます。

熊本の左サイドハーフは、前節活躍した清武ではなく藏川が入りました。その起用の理由を小野監督は、「(7月に入り)急に暑くなった日に、一番体の切れを見せて、ギラギラしていた」(13日付熊日夕刊)と。「周りの良さを引き出してくれる」(九州J-PARK)とも語っていますが、確かに愛媛の攻撃サイド、玉林の上がりを封じるとともに、ボールを預かると黒木を追い越させる形を何度も演出する。その上がったスペースを埋める。あるいは自ら、ダイアゴナルな動きで逆サイドまで侵入して攻撃に参加します。いいねえ藏川。

先制点もそんな藏川のアグレッシブさが活きた。右サイド養父のロングスローがクリアされると、右から再度作りなおす養父。ボックスに入れると、ニアに走りこんでいた藏川がおさめる。えぐり直してクロスを入れた。そのボールを、まだ前線に居残っていたハンジンが高い打点でズドンと押し込んだ。

なかなかセカンドボールが拾えず、手詰まり感もあり、”堅い試合展開”を息を潜めるように見守っていたスタジアム全体が、一気に湧き上がりました。タオルマフラーを振る振る。

しかし直後、愛媛に右サイド45度からのFKを与えてしまう。何度かやられた嫌な位置。先制点後にすぐに追いつかれた悪夢も蘇る。このヘディングは枠の上。ちょっと手を伸ばして見切るダニエル。ほっとため息と同時に気持ち余裕を感じる。今の熊本、先制しても変に浮つかない。しっかり落ち着いている。これもダニエル効果か。

前半40分、ハイボールを相手FW河原と競って背中から直接落下したダニエル。熊本リードの状況。普通なら大げさなジェスチャーで痛がって転がっていていいところ。しかし、顔をしかめながらも、サッと立ち上がってプレーを続ける。本当に一瞬のためらいもなく。清々しい。われわれファンも、リーグもこんなプレーをこそ認めていくべきではないだろうか。

両サイドの激しい攻防は、黒木や養父の追い越す動きで先んじていた熊本。しかしエンドが替わった後半、開始早々から愛媛は、テンポを上げて、サイドから縦に長いボールを使い押し込んできます。特に右サイド(熊本の左サイド)の玉林を執拗に使う。

熊本は前線の巻にボールを送るが、なかなか収まらない。自陣ゴール前で懸命にクリアする時間帯が続きます。しかし、なんとかこの時間帯を凌ぎ、愛媛のサイド攻撃に蓋をすると、しっかりとDFラインを上げる。コンパクトな布陣の熊本。対照的にその熊本のブロックを崩せなくなる愛媛。

試合前、ここ2戦の引き分けを振り返って、「選手たちがピッチ上で解決していけるようになった」(スカパー)と語っていた指揮官。愛媛を押し返し、厳しい時間帯を”抜けた”感じがしました。

ただ、68分頃、巻からのマイナスパスを齊藤が打つも枠の上。続いても敵CBのパスをカットした齊藤が絶好機を外す。「こうやって好機を逸しているとマズイ。相手に流れを渡してしまうぞ」などと、つぶやいていた瞬間でした。ハーフウェイラインより少し自陣よりの位置からのダニエルのプレースキック。それを巻が頭でPエリア内に繋ぐと、齊藤がDFと競り合いながら右足でねじ込むようにゴール。追加点!

「簡単なゴールは外すが、難しいゴールを決める」と、サポーターからも妙な評価をされているエース・齊藤の真骨頂(笑)。われわれのどんよりした心配を吹き飛ばします。自身新記録になる9ゴール目でした。

まあ、ここまでも十分に面白かったのですが…。しかし、この試合の本当の見どころは、実はここからではなかったでしょうか。西田剛が入った愛媛の猛攻を、ゴール前でブロックし続ける熊本。それでも一歩としてラインを下げない。中山、常盤と入れて、終了間際最後の交代カードは”守りのサイン”上原で逃げ切りかと思いきや、なんと岡本を入れて更に追加点を狙い続ける。相変わらず養父が追い越して上がっていくし、黒木のスタミナもまだまだ残っている。なによりこの日1枚イエローを貰っている齊藤が、この時間帯にも激しくボディチェックして前線で守備をする。恐るべき運動量。愛媛は苦し紛れのシュートが精一杯。次第に足も止まってきます。

結局、最後まで走りきった方が勝ったという”原点”のような試合になりました。ミスもあった。しかし集中力は途切れなかった。いや、むしろ時間を追うごとに高まっていったような。そして、泥臭く勝ち点3をもぎ取った。小野監督が「消耗戦」と表現した試合。そして、「こういうスタイルのサッカーをやっていく上では、どうしても体力的な部分というのは欠くことができないんで、トレーニングを積みながらのゲームに身体も慣れてきて、最後まで走りきれるようになってきた」と自信を口にしました。

梅雨明けもまだの高い湿度に加えて、日ごとに暑さを増してきた熊本にあっても、小野監督はトレーニングの負荷を緩めないらしい。そして指揮官は、今日の藏川に代表されるように、そんなきついトレーニングの中から一番コンディションのいい選手を選ぶ。選手を固定しない。たとえそれが勝った試合のあとでも。誰が試合に出ても代わらないように、トレーニングから色々なポジションが試される。それが、この季節が来るたびに思い知らされる熊本のもうひとつの”敵”、夏の暑さと戦う小野監督の”戦術”なのだと、また深く思い知った一戦でした。

【J2第22節】(正田スタ)
群馬 1-1(前半1-1)熊本
<得点者>
[群]野崎桂太(20分)
[熊]巻誠一郎(34分)
<警告>
[群]松下裕樹(12分)、吉濱遼平(45分+2)、夛田凌輔(84分)
[熊]シュミット・ダニエル(19分)、清武功暉(31分)、平繁龍一(79分)
観衆:1,618人
主審:荒木友輔
副審:蒲澤淳一、福岡靖人


小野監督就任以来、試合前日の熊日の予想フォーメーションは、あまり当たらないからとちょっと半信半疑で見ていたのですが…。この試合、先日2日に加入発表があったばかりの清武をやはりというか、早速使ってきた指揮官。その理由を問われると、「アウトサイドから崩していくところ」「プレースキックが武器」そして「なにより、早くフィットしていくために」(クラブ公式)と言っています。

鳥栖からの育成型期限付き移籍。ご存知のとおり日本代表・清武弘嗣の実の弟。大分の下部組織から福岡大学時代に鳥栖の強化指定を受けて、そのまま鳥栖に加入。兄と同じようなアタッカーと知っていましたが、さてその実力のほどは。どれほどチームとその戦術にマッチしているのか。この試合のひとつ重要な注目点でした。

20150708群馬

そんな、ちょっとネガティブが入ったわれわれのドキドキを、試合始まってすぐにワクワクに塗り替えてくれる。前節磐田戦後半の攻撃性を、うまくそのまま持続させたような試合の入り方。途切れのないパス交換から敵陣に入り込むと、ボールホルダーを後ろから追い越す動き。今日はその先のアタッキングサードでの崩しも連携がある。

特に左サイド清武のところで起点ができると、ときに齊藤、あるいは巻の2トップのどちらかがDFをつり出しスペースを広げると、右サイドへのチェンジも有効。群馬のラインを慌てさせます。

1週間もない短い期間でここまでフィットしているのは、清武自身の能力か。もともとのプレースタイルか、あるいはチーム練習の“質”なのか。そういえば左SBの黒木とは鳥栖時代に被っていたっけ?福大時代は黒木の双子の兄、恭平ともチームメイトだったから違和感ないのかもな…(笑)。などと、スカパー実況の某アナウンサーの”お株を奪う”ようなことを思いながら。

しかし、先制点を奪ったのは防戦一方だった群馬の方でした。自陣ハーフウェイラインくらいからのサイドチェンジぎみのロングボールを左から頭でエリア内に入れると、対応に遅れた鈴木の野崎に対するコンタクトがアフターで入ったとの判定。主審が指差した先はペナルティマーク。ちょっと厳しすぎないかあ。

ダニエルもイエロー覚悟で駆け引きしましたが、このPKを野崎自身が叩き込みます。

ただ、まだまだ早い時間帯。熊本は下を向くことはもちろん、変に焦って攻撃を急ぐということもなかった。なんかある意味、淡々と同じようなペースで。しかし執拗に敵陣を脅かし続けた。必ず追いつくチャンスは作り出せるという自信さえ感じさせ。小さくない成長と感じました。

34分、右サイド奥で得たFK。嶋田が入れた速いクロスは、一旦ニアにいた巻が頭で競るもののファーに抜ける。しかし、その跳ね返りを今度は巻がダイレクトで右足を振り抜き、ゴールに突き刺しました。

「トレーニングでやっている形」だという巻。今シーズン2点目。彼の献身的なチームでの役割が報われたような。彼の得点でよかった。心底そう思わせた同点弾でした。

振り出しに戻った後半。指揮官は「落ち着いてプレーしよう」「粘り強く戦おう」と、ちょっといつもとは違ったニュアンスで選手たちをピッチに送り出します。

早速、巻の落としから齊藤がキープしてシュートは残念ながら枠の右外。「不思議なボールタッチ」だと解説の都並氏が、齊藤のことを評価する。PKの場面で少し脳震盪を疑われたCBの鈴木も、その後も臆することなく前へのチェックを怠らない。このところ黒木のモビリティが光る。試合ごとに存在感を増す。養父の右SBも板に付いてきた。3人目の動きに参加。

ところが、いつも受け身にすぎるのではないかと注文をつけてきたわが指揮官のベンチワーク。今日は早い時間帯から先にカード切ってきます。後半も早々の7分、清武を下げて中山を投入。これまであまり試合に絡んでいなかった清武の、フィジカルコンディションを考慮してのことなのでしょうか。まだ、清武を観たかったし、なによりこの流れやバランスを変化させるのはまだもったいない気がしました。

チームのパフォーマンスが一段落ちた印象。ちょっとゴールから遠くなる。

群馬はオリベイラを投入。熊本は殊勲の巻に代えて平繁。群馬のサポーターから盛大なブーイング。さらに群馬はドリブラー永井という切り札を切る。それに対抗するように熊本は岡本。群馬今度は前半戦の熊本戦でも点を決めたアクレイソン。

熊本優勢から少しづつがっぷり四つ状態に変化していった印象。勝ち越し点が欲しいが、群馬もしぶとく守る。終了間際の群馬の速攻をオフサイドに仕留める。この時間帯にもラインを下げずに押し上げた熊本のDF陣。

結局後半はスコアレス。それが後半戦初戦の結果でした。熊本にとって「実のあるドロー」だと都並氏は言う。翌日の熊日の見出しは「粘りのドロー」と。うーむ…。そうかなあ…。

試合後のインタビューで、敵将・服部監督が「負けに等しい引き分け」と表現したとおり、前節に続いてこの試合も、”仕留める”ことができなかった残念さのほうが大きい気がします。勝機はわれわれにあった。

もちろん90分という時間のかなでは、いい時間帯もあればその逆もある。選手のパフォーマンスや相性という”変数”もあれば、相手あってのベンチワークも大きな”変数”。ただ、そのトータルを勘案したうえでも、今の熊本は進境著しい。そう思うと、中二日のアウェー連戦とはいえ、この2試合連続の引き分けは、ものすごくもったいない。これだけ得点の匂いが漂うゲームはものにしたい。そういうと欲張りでしょうか。リーグもいよいよ後半戦。われわれも結果が欲しくなってきました。

【J2第21節】(ヤマハ)
磐田 1-1(前半1-0)熊本
<得点者>
[磐]松浦拓弥(33分)
[熊]齊藤和樹(83分)
<警告>
[熊]高柳一誠(45分)
観衆:8,114人
主審:榎本一慶
副審:竹田和雄、木川田博信


「前半と後半に二つの顔を出してしまう二面性が出てしまった」と言ったのは、磐田の名波監督でした(5日付・熊日)。確かに前半と後半では、攻勢が完全に入れ替わってしまった。それはまるで野球の表と裏のように…と言うのも言い過ぎではないようなコントラストでした。

”自分たちの悪癖”と言いたげな敵将ですが、果たしてそればかりでしょうか。明らかに後半、熊本は巻を入れて流れを変えた。巻を後半から入れてひっくり返す、こんな展開をいつか見たという既視感(デジャヴ)のような思いがあって、過去のエントリーを遡ってみたんですが、今季ではないようで。(昨季だったのでしょうか、記憶力に優れた人、拍手コメントででも教えてください)

リーグ2位、昇格圏内を確保する磐田とのアウェー戦。小野監督は、またもやスタメンを変更し、CBの一角に鈴木を起用。ボランチは園田をそのまま、相方には上村。高柳を一列上げてトップ下に持ってきました。

20150704磐田

ところが前半は防戦一方。元イングランド代表の長身FWジェイが前線で納め、モビリティのあるアダイウトンにサイドを破られることを恐れて、DFラインが徐々に押し下げられる。自陣に押し込まれる熊本。両ボランチも含めて、今日トップ下の高柳までもが守備に奔走させられ、クリア一辺倒の展開の先には、ワントップの齊藤しかいない。収まらない。攻撃の形すら作れない。

「強気に攻めに出てというところにメンタル面を持ってくるというところに45分費やしてしまった」と言うように、とにかく、DFラインを押し上げろ!コンパクトにしろ!とピッチサイドから指示を出す小野監督。けれども33分、熊本DFラインでかけ引きしていた松浦に、上田からのパスが渡るとすかさずシュート。前に出たダニエルが一旦はブロックしますが、こぼれたところを拾い、すばやく押し込んで先制点とします。

先制点を許すと、一気に敗戦の色が濃くなるのが熊本。たとえば昨季のヤマハスタジアムでの初めての磐田戦では、開始7分に先制されると、ずるずると前半だけで3失点。当時指揮官は「「ミスは誰にでもある。ただ、できることを1つのミスで捨ててはいけない」と、ハーフタイムで鼓舞しましたが。

しかし、今日はここで辛抱できた。相手に追加点を与えなかった。このことは非常に大きい。そして、後半の反撃が始まります。

ハーフタイム。小野監督は「厳しい言葉で」士気を高めたのだと言います。それは「強気で押し上げて、強気でプレッシャーをかけて、強気に攻めに出」ろ、というところなのでしょう。「強気で」。その言葉は、昨シーズンでの戦いで、アウェー1戦目は全くメンタル面で負けてしまい、しかしホーム2戦目では、「臆することなく勇敢にラインを上げて戦ってくれた」(小野監督)結果、スコアレスながらも引き分けた。そんな強豪・磐田に対する、小野監督の”チーム戦術”に、通じるものがあると思いました。

そんな指揮官自身、「言葉だけでは不足だと思って」、「そういう攻撃的な姿勢」のシンボルとして後半から投入したのが巻でした。

「僕が入った時には、皆ある程度、セカンドボールに対する反応が早くなる」(ロアッソ公式サイト)と巻自身が言うとおり、熊本は見違えるように攻撃に上がって行けるようになる。敵陣に侵入する人数、アタッキングサードを脅かす人数も増えてきます。

58分には、左サイドの巻からグラウンダーのクロスに、中央で中山が惜しくも合わず。71分にも、黒木からのアーリークロスに、巻が惜しくも届かず。ファーには常盤も飛び込んでいました。攻撃に掛ける人数が増えている。

残り時間は10分を切る。しかし依然、攻勢は熊本にありました。左CKを得た熊本。黒木はショートコーナーを選択。低い弾道でニアに送ると、齊藤がDFと競りながら頭を振った。ボールはゴールの左ポストをかすめると、それまで完璧な守備を披露していた磐田GK・カミンスキーの手をかいくぐりゴールマウスを割りました。同点。

磐田は俄然、反撃に転じる。粘り強さを持った磐田。しかし、それ以上に粘る熊本の守備。そして熊本には逆転、追加点のチャンスが訪れる。巻が繋いで黒木の左からのクロス。抑えのきいた園田のダイレクトボレーはカミンスキーに収まる。フ~っ。

あの流れであれば、逆転弾を決めて、磐田を仕留めるべき展開でした。同点引き分けではもったいないような。名波監督が「拾った引き分け」だと言うように…。

これぞという存在感を示した巻は、「前半戦を象徴するようなゲームだったのかな」と、今日の試合を振り返りました。「自分たちの良いところを出すのに時間がかかったのかな」と。

しかし、巻自身の活躍だけでなく、90分のゲームのなかで、あれほどの劣勢を戦術的に挽回できることを証明したのは大きな自信につながる成果と言っていいでしょう。

さて、この試合でシーズンの前半戦が終了。熊本は勝ち点1を得て20位。降格圏順位からひとつは上というものの、しかし、19位の徳島も21位の岐阜とも、同勝ち点19で並んでいるという、なんとも不安な状況は続きます。

【J2第20節】(うまスタ)
熊本 0-1(前半0-0)讃岐
<得点者>
[讃]木島良輔(46分)
<退場>
[讃]永田亮太(90分+3)
<警告>
[讃]清水健太(73分)、永田亮太2(88分、90分+3)、高橋祐治(88分)
観衆:8,309人
主審:三上正一郎
副審:村田裕介、角田裕之


選手たちはよく頑張った。勝てなかったのは私のせい。というのは敗軍の将として小野監督がよく使う”常套句”ですが、今回は「結果に対して、自分が選んだメンバー、自分がこういう風にやっていこうということで、選手たちはやってくれたんで、その結果に対して責任を負うのは私です」と言っている。特に「自分が選んだメンバー、自分がこういう風にやっていこうということで、選手たちはやってくれたんで」という踏み込んだ表現は初めて。今日のゲーム。確かにそのとおり。われらが指揮官はいつにも増して負うべき敗戦の責めを痛感しているのではないでしょうか。

勝った試合の後は選手をイジらない。そういうセオリーはわが指揮官には当てはまらないとは思っていたんですが、今節は、先日加入発表があった岡崎をCBに先発起用。園田を一列上げてボランチの一角に据えてきました。この意図に関して、セットプレーでの高さの確保と、いざ問題があればボランチには藏川あたりを入れて園田をCBに下げ1枚のカードで2枚替えの効果を発揮させるつもりなのかも、などと想像を逞しくしていたのですが…。

20150628讃岐

その素人目にもハッキリと分かったように、岡崎が入った急造DFラインは見るからに落ち着きがなかった。讃岐も木島を使ってその不安定なところを意識的に突いていました。ただ、危ないなぁと思いながらも、木島だってそうそうフルタイムでは戦えないだろうし、熊本も幾度かの好機が作れていたし、替え時の判断も難しいなあ、という感じで前半が終わりました。

皮肉にも、ハーフタイムで「球際で負けないようにしよう」と監督が指示したばかりでした。後半もまだ1分もたたないうち。讃岐の自陣からのロングフィードが前線の木島のところへ。木島の特徴、ああいったボールへの”強さ”をよくよく知っているわれわれ熊本サポーターからすれば、思わず「そこ、しっかり!」と叫んだところでした。対峙した岡崎がまんまと体を入れ替えられ、あとはみごとな木島劇場。GKダニエルも倒れながらも手を出したのですが、それをも低い重心から切り返して交わすと、ゴールにきっちり流し込みます。

決められてはいけない相手、決められたくなかった一番の”相手”に、絵に描いたように決められ。

先制した讃岐は、完全にブロックを敷いて堅守速攻、カウンターで追加点を狙うのみ。あとは”マリーシア”よろしく、狡猾に時間を使い続ける。結局、フルタイムは無理だろうとわれわれが勝手に想像していた木島にしても、とうとう残り時間3分、我那覇にその座を譲るまで、熊本のDFラインを牽制するかのようにピッチに立ち続けました。

讃岐にとってはゲームプランどおりの快心の勝利。木島は今シーズン初ゴール。試合後の敵将・北野監督が「木島のためのゲームだったのかな」という言葉に、余計な真意を深読みする。
「DFラインが若い子かわからないけど、隙を与えてくれた」とヒーローインタビューの木島に言われてしまう。「声援を送ってくれた温かいロアッソサポーターにもありがとう」とも。

落胆する熊本のゴール裏。怒りに似た叱咤の声が選手たちに飛ぶ。この湧き上がる悔しさは何なんでしょう。前いた選手、あのころ一緒に戦った選手に、今のわが”熊本”が負かされるという屈辱のゲーム。

前節のエントリーの最後に、「色々な意味で次の讃岐戦が非常に重要なゲームになる」と書いたのには、それこそ”色々な意味”がありました。勝てば中位に手が届き、降格圏から一歩脱する”分水嶺”にも似た状況でもあり、苦手とする堅守速攻のチームであり、そしてわが熊本を”古巣”とする選手を多く抱えたチームとの対戦。そういう重要性でした。

もちろん、長いリーグ戦のなか、起用した選手のパフォーマンスも含め、なかなかうまくいかない試合があることも、われわれは経験上よく知っています。若い選手の一個のミスをあげつらうつもりも一切ない。あの時間帯での1失点を取り返せないチーム力のほうが問題なわけで。

それでも今日の敗戦のこの落胆の大きさ。前半戦を終える直前の20試合目という状況もありますが、単なる一敗では済まされない重要な意味を持った試合だっただけに…。そのパフォーマンスと結果に皆、ガッカリしているのだと思う。

この敗戦の反省をもとに、小野監督は次節・磐田戦に対して、どういうメンバーでどういう戦術を敷いてくるだろうか。ヴェルディ戦ではガッチリはまったスカウティング。その”本領”を発揮してくれないと困ります。