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【J2第23節】(うまスタ)
熊本 2-0(前半1-0)愛媛
<得点者>
[熊]クォン・ハンジン(36分)、齊藤和樹(71分)
<警告>
[熊]齊藤和樹(28分)
観衆:3,978人
主審:福島孝一郎
副審:村井良輔、熊谷幸剛


なんと、ホームうまスタでの勝利は、昨年9月の栃木戦以来、実に10か月、11試合ぶりだったそうです。それほど長いことこのうまスタで、勝利のカモン!ロッソを見ていなかったのか。試合後、赤く染まったゴール裏の勝利のダンスが、蒸し暑さを夜空に吹き飛ばしました。前半戦に続いて、愛媛に勝利。しかもクリーンシートというのが嬉しい。これで何とか17位に浮上しました。

20150712愛媛

敵将・木山監督の熊本対策なのでしょう。前半、試合開始から愛媛は、熊本のプレスを警戒するように、球離れ早く、縦に長いボールで裏を突いてきます。河原からのロングフィードを渡辺が落として、瀬沼が中央まで切り返すとシュート。今度は左サイドからのアーリークロスを、両CBの間で渡辺が必死に足を伸ばす。いずれもGKダニエルの手中に収まり事なきを得ます。

熊本の左サイドハーフは、前節活躍した清武ではなく藏川が入りました。その起用の理由を小野監督は、「(7月に入り)急に暑くなった日に、一番体の切れを見せて、ギラギラしていた」(13日付熊日夕刊)と。「周りの良さを引き出してくれる」(九州J-PARK)とも語っていますが、確かに愛媛の攻撃サイド、玉林の上がりを封じるとともに、ボールを預かると黒木を追い越させる形を何度も演出する。その上がったスペースを埋める。あるいは自ら、ダイアゴナルな動きで逆サイドまで侵入して攻撃に参加します。いいねえ藏川。

先制点もそんな藏川のアグレッシブさが活きた。右サイド養父のロングスローがクリアされると、右から再度作りなおす養父。ボックスに入れると、ニアに走りこんでいた藏川がおさめる。えぐり直してクロスを入れた。そのボールを、まだ前線に居残っていたハンジンが高い打点でズドンと押し込んだ。

なかなかセカンドボールが拾えず、手詰まり感もあり、”堅い試合展開”を息を潜めるように見守っていたスタジアム全体が、一気に湧き上がりました。タオルマフラーを振る振る。

しかし直後、愛媛に右サイド45度からのFKを与えてしまう。何度かやられた嫌な位置。先制点後にすぐに追いつかれた悪夢も蘇る。このヘディングは枠の上。ちょっと手を伸ばして見切るダニエル。ほっとため息と同時に気持ち余裕を感じる。今の熊本、先制しても変に浮つかない。しっかり落ち着いている。これもダニエル効果か。

前半40分、ハイボールを相手FW河原と競って背中から直接落下したダニエル。熊本リードの状況。普通なら大げさなジェスチャーで痛がって転がっていていいところ。しかし、顔をしかめながらも、サッと立ち上がってプレーを続ける。本当に一瞬のためらいもなく。清々しい。われわれファンも、リーグもこんなプレーをこそ認めていくべきではないだろうか。

両サイドの激しい攻防は、黒木や養父の追い越す動きで先んじていた熊本。しかしエンドが替わった後半、開始早々から愛媛は、テンポを上げて、サイドから縦に長いボールを使い押し込んできます。特に右サイド(熊本の左サイド)の玉林を執拗に使う。

熊本は前線の巻にボールを送るが、なかなか収まらない。自陣ゴール前で懸命にクリアする時間帯が続きます。しかし、なんとかこの時間帯を凌ぎ、愛媛のサイド攻撃に蓋をすると、しっかりとDFラインを上げる。コンパクトな布陣の熊本。対照的にその熊本のブロックを崩せなくなる愛媛。

試合前、ここ2戦の引き分けを振り返って、「選手たちがピッチ上で解決していけるようになった」(スカパー)と語っていた指揮官。愛媛を押し返し、厳しい時間帯を”抜けた”感じがしました。

ただ、68分頃、巻からのマイナスパスを齊藤が打つも枠の上。続いても敵CBのパスをカットした齊藤が絶好機を外す。「こうやって好機を逸しているとマズイ。相手に流れを渡してしまうぞ」などと、つぶやいていた瞬間でした。ハーフウェイラインより少し自陣よりの位置からのダニエルのプレースキック。それを巻が頭でPエリア内に繋ぐと、齊藤がDFと競り合いながら右足でねじ込むようにゴール。追加点!

「簡単なゴールは外すが、難しいゴールを決める」と、サポーターからも妙な評価をされているエース・齊藤の真骨頂(笑)。われわれのどんよりした心配を吹き飛ばします。自身新記録になる9ゴール目でした。

まあ、ここまでも十分に面白かったのですが…。しかし、この試合の本当の見どころは、実はここからではなかったでしょうか。西田剛が入った愛媛の猛攻を、ゴール前でブロックし続ける熊本。それでも一歩としてラインを下げない。中山、常盤と入れて、終了間際最後の交代カードは”守りのサイン”上原で逃げ切りかと思いきや、なんと岡本を入れて更に追加点を狙い続ける。相変わらず養父が追い越して上がっていくし、黒木のスタミナもまだまだ残っている。なによりこの日1枚イエローを貰っている齊藤が、この時間帯にも激しくボディチェックして前線で守備をする。恐るべき運動量。愛媛は苦し紛れのシュートが精一杯。次第に足も止まってきます。

結局、最後まで走りきった方が勝ったという”原点”のような試合になりました。ミスもあった。しかし集中力は途切れなかった。いや、むしろ時間を追うごとに高まっていったような。そして、泥臭く勝ち点3をもぎ取った。小野監督が「消耗戦」と表現した試合。そして、「こういうスタイルのサッカーをやっていく上では、どうしても体力的な部分というのは欠くことができないんで、トレーニングを積みながらのゲームに身体も慣れてきて、最後まで走りきれるようになってきた」と自信を口にしました。

梅雨明けもまだの高い湿度に加えて、日ごとに暑さを増してきた熊本にあっても、小野監督はトレーニングの負荷を緩めないらしい。そして指揮官は、今日の藏川に代表されるように、そんなきついトレーニングの中から一番コンディションのいい選手を選ぶ。選手を固定しない。たとえそれが勝った試合のあとでも。誰が試合に出ても代わらないように、トレーニングから色々なポジションが試される。それが、この季節が来るたびに思い知らされる熊本のもうひとつの”敵”、夏の暑さと戦う小野監督の”戦術”なのだと、また深く思い知った一戦でした。