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シーズンを終えて、われわれもちょっとのんびりしていました(笑)。しかし、恒例により今シーズンを振り返っておかなければいけませんね。と言っても、11月25日付からの熊日の連載「ロアッソ熊本プレーバック2015」に、例年になく細かく、そしてよく整理されて書かれていたので今更感も十分なのですが、われわれにとっての備忘録と言う意味で、このブログのエントリーを手繰りながら振り返ります。

シーズン序盤は本当に苦しかった。

今年から新たに始まった「ニューイヤーカップ」というプレシーズンマッチ。この鹿児島ラウンドに参戦した熊本は、J1清水を下すなど、まだ調整段階とはいえ、短くパスを繋いで崩していく今シーズンの方向性を示し、大いに期待させました。

しかし、開幕を前にFWアンデルソンが今季絶望かと思わせるような大怪我。また主将でもあるDF園田も6週間の負傷と発表され、にわかに雲行きが怪しくなってきました。

開幕のアウェー水戸戦、続くホーム水前寺での群馬戦に引き分ける。いずれの試合も、劣悪なピッチ状態に今季の戦術、短いパス回しが思うようにいかず、また熊本の前線からの厳しいプレスを嫌い、中盤を省略して後方からロングパスを蹴ってくる相手に対して、自分たちの持ち味を出しきれませんでした。「それにしても、それは当面の熊本対策であり、その点ではニューイヤーカップで得たものも大きかったけれど、リーグ緒戦の対戦相手に大いにスカウティングする機会を与えたのかもしれません。」(2015.03.18 ホーム開幕戦。群馬に分ける)。われわれはそう書いています。

第3節、繋いでくる愛媛に対しては相性よく今季初勝利を挙げるものの、最初のターニングポイントになったのは次の福岡戦だったでしょう。開幕から3連敗だった福岡は、それまでの戦術をかなぐり捨てて、熊本相手にロングボール一辺倒で勝ち点を取りにきた。それに対して熊本は覇気のないパフォーマンスであえなく敗戦。ただ、この試合前に宿泊場所の急遽の変更や当日の交通事故による渋滞など、試合とは別のところで、しかし試合に影響しかねないアクシデントが起こっていたことをあとで知ることになります。

4月は全く勝てませんでした。期待された移籍組の常盤、平繁の不発もありましたが、攻勢のなかでもアタッキングサードでもたつき、ミスで奪われてピンチを招く。ゾーンで守るセットプレーも研究され、同じような失点シーンが続きます。選手たちはプレーを譲り合い、明らかに自信を失っているのが伝わります。

「われわれファンにも、しばらく辛抱の時期が続く。そう覚悟しました。」(2015.04.21 岡山戦。3連敗)。そう書いています。

しかし、状況はなかなか上向かず遂に第10節千葉戦に敗れて5連敗。この頃は、ゴール裏のサポーターの悲壮感も頂点に達していました。

「感動したのは、この日ゴール裏がただ一曲のチャントを延々と歌い続けたこと」「そしてゴール裏に選手が挨拶にきても歌い飛び跳ね続け、それはとうとう選手がロッカールームに消えるまでスタジアムに響き続きました。」「ようやく場内が静かになったとき、残っていた他の観客から、メインスタンドからもバックスタンドからも拍手が起こり始めました。それはわれわれの、素晴らしいゴール裏のサポーターに送られたものでした。」

5連敗を目の当たりにしても絶望することなくチームを鼓舞し続けた、このゴール裏の感動的な”振る舞い”。今でもあの光景が目に浮かびます。それに呼応してわれわれも、「最下位に転落。上等だ。わかりやすいじゃないか。ここから這い上がっていくしかない。」(2015.05.01 千葉戦。5連敗で最下位に沈む)と、開き直り、肚を据えていました。

ところが、サッカーの神様はこれでもかとさらなる試練を与えます。栃木戦、大分戦とドローが続くなかで、チームの屋台骨、なんと頼みのSB片山が骨折で今季絶望。次節、やむ無く養父を右SBにコンバートし、相性のいい札幌に勝利しますが、続く14節岐阜に痛恨の逆転負けを喫し、再び最下位に沈んでしまいます。

しかし、熊本の反転攻勢は6月から始まります。4人のGK体制のなか、昨年もレンタルされた仙台のシュミット・ダニエルの加入が発表されると、すぐに17節長崎戦に先発出場。エース齊藤にも火がつき1-0で勝利すると降格圏を脱出。なんと、これが今シーズンのホーム初勝利でした。

ダニエルの加入により守備が安定。チームは落ち着きと自信を取り戻します。コーチングよし、キックよし、スローインよし、反応よし、飛び出しよし…。守備範囲が広いため、DFラインが安心して高い位置を取れることによって、全体がコンパクトな布陣から熊本らしいパス回しのサッカーが出来るようになります。

前半終了時、20位の降格圏のまま終わりますが、しかしその試合、強豪・磐田戦に追いついての引き分けで自信を掴みました。そして、それと同時期に、もう1人の助っ人・鳥栖からのレンタルで清武が加入します。

7月、愛媛、横浜に連勝。齊藤のコンスタントな得点と、怪我から癒えた岡本の活躍が支えました。そしてなんとなんと26節には苦手なフクアリで千葉に勝利(2015.07.28 勝ったぞ。千葉戦)。われわれのエントリーもいつになくはしゃいでいます。

8月に入っても、続く栃木、岐阜に3連勝。記念すべきJリーグ100勝目を飾り、順位も12位まで上がると、プレーオフ圏内6位までの勝ち点差を7に迫ります。しかも、長年苦手として低迷した夏場の暑さを克服した大躍進。

9月、天皇杯で若手を試しながらチーム力に厚みを加えていくと、10月リーグ35節長崎では逆転勝利。助っ人清武に火が着きます。36節首位を走る大宮との戦いは、完璧な試合運びと清武の2得点もあって3-0の快勝。「われわれはチーム発足以来のベストゲームと言ってみたい気分です。」(2015.10.12 大宮に完勝。)とまで書きその高揚感は尋常ではありませんでした。続く讃岐にも連勝し6位までの差を遂に4にします。

「現時点で13勝13敗11分、得失点差0。最後の5試合を前にして数字の上ではもう一度スタートラインに戻ったともいえる。内容的には2015年シーズンの成長も見届けられそうな状況ですが、もしかしたら、本当にもしかしたら、その先にプレーオフ出場が叶えばいうことなしです。」(2015.10.19 讃岐を下す。連戦のマネジメント)。その日のわれわれは、あくまで謙虚に謙虚にと、はやる気持ちを抑えて、そう書き記しました。

しかし、続く磐田戦は力負けでした。再び勝ち点差7に広がると、続くC大阪戦で引き分け、水戸にも引き分けると、試合後清武が誰はばかることなく男泣きを見せます。助っ人ながらのその思い。

他力本願にもなった状況の徳島で敗戦すると、数字上の可能性も消える。最終節は、岡山に引き分けて、2015年のロアッソ熊本の戦いは終わりました。


時系列で振り返るとよくわかるように、ある意味でとてもドラマチックなシーズンだったと言えるでしょう。最下位という”どん底”を二度も経験し、そしてそこから這い上がってPO圏内を伺う戦いまで演じたシーズン。最後の追い込みのところが惜しまれるのか、それとも序盤の低迷が勿体なかったのか。チーム力の格差が縮まり、ちょっと調子を落とせば降格圏、勢いにのれば昇格圏という具合に、リーグ自体がドラマチックな構造になってきているということでもありますが。

まあ、確かに、肝心な試合で勝ちきれなかった感はあります。追いつかれてドローにされた試合も多い。試合運びにまだ”若さ”が潜んでいた。

その点では確かに熊本は、まだまだ今季も”発展途上”でした。しかし、今季もまた小野監督のもと熊本は若い選手を抜擢し、嶋田、上村は完全にスタメンに定着。特別指定の大津高校・DF野田を大事な試合で起用。天皇杯・福岡大学戦あるいは鳥取戦ではユース・高校2年生の米原もその才能を見せてくれました。

例年にない団子状態のJ2リーグ。順位が目まぐるしく入れ替わるなか、期待どおりの成績を出せないチームの監督の途中解任が相次ぎました。C大阪、京都、水戸、大分、栃木、札幌、横浜FC…。

熊本も同じ時期、同じような状況にありました。次に負けたら…、ひょっとして…。ざわつくような不安感、心細さ。しかしクラブは揺らぐことなく小野監督を信じて、今季を託しました。まったく微動だにしなかった。この選択に間違いはなかった。ジタバタしなかったのは唯一わがクラブだけだったのではないかと。

残念ながら小野監督は今季を限りとしてチームを去ることになりました。しかし、小野監督が築いたこの2年の確かな蓄積、その功績(それは成績だけでなく多岐に渡ると思います)を決して無駄にはしたくない。

そのバトンをしっかりと引き継ぎ、さらに熊本を強くしてくれる監督。今は、それが一刻も早く決まることを望むだけです。