【J2第5節】(長崎県立)
長崎 0-2(前半0-2)熊本
<得点者>
[熊]清武功暉(9分)、平繁龍一(41分)
<警告>
[長]小野寺達也(40分)
[熊]上原拓郎(85分)
観衆:5,029人
主審:小屋幸栄
副審:亀川哲弘、藤沢達也


「首位奪還」「単独首位」。なんとも聞き慣れない。ちょっとこそばゆい。そんな時期じゃないだろうが、と一応は無関心を装うものの、しかし思わず口元がほころんでしまう。ネット上の順位表を画像保存する人多数(笑)。まだ5節目とはいえ、まさか(というと怒られますが)こんな位置に座る日が来ようとは。単独だけに、眺めの良さは格別です。

まだまだ課題はあるものの、結果は完勝と言っていいでしょう。スカパーのアナウンサーは、過去の対戦成績を取り上げて熊本との相性の悪さを心配していましたが、われわれにとっては、その能力をよく知る高木監督が率いる長崎は、不気味なことこのうえない。そしてわれわれ以上にそれを知っているのは清川監督。「(高木監督は)勝負に熱い人。しっかり分析して綿密に練習して試合に臨むところを見てきた。だからこそ、監督として初めて対戦する試合でなんとか勝てれば、逆に恩返しになるのかなと思います」(熊本蹴球通信)。そう戦前言っていました。

熊本は、「相手の高さもあり」(公式サイト・清川監督)2トップの一角に今季初めて巻を入れてきた。そしてボランチには逆に高さはないものの、「相手の切り替えの早い攻撃に対して、彼の運動量がすごく求めた部分」(同)という理由で、上村が復活。

20160326長崎

18時キックオフの初のナイトゲームは、気温12.8度とやや寒かったでしょう。「全体的に圧をかけてくるだろうと。それを恐がってしまうと思うつぼで相手のペースになるので、それを脅かすような入りができれば」(熊本蹴球通信)と言っていた清川監督の期待に応えて、熊本の入りは悪くない。先制機は早い時間に訪れました。

9分、黒木が左サイドでボールを落とすと、拾った岡本がうまく長崎のディフェンスを交わしながら中にドリブルで絞ってきた。右の上村に預けると長崎のスライドも追いつかない。さらに右サイドを猛ダッシュしてきた藏川へ。藏川にはDFのスライディングが入りますが、それを飛び越えてゴールラインぎりぎりのところで低いクロスを上げた。スペースをうかがっていた清武が、ニアでそれに合わせてゴールにねじ込みます。

この場面、岡本の粘り強いドリブルも良かったし、藏川の頑張りも、合わせた清武もうまかったのですが、スカパーのマッチデーハイライトで下村東美氏が指摘していたように、ゴール前でクリアしてそして左サイドまでダッシュしている黒木のモビリティが凄いと言わざるを得ない。攻撃に転じるときの、全員のイメージの共有とカウンターへの意識が生んだ、チーム全員の得点。何度繰り返して見ても見どころ満載の美しいゴールでした。

先制してからも熊本の攻勢が続く。長崎は浮き足立ったのかパスミスを連発。熊本が高い位置でインターセプトして速攻に持ち込む。長崎のFW永井に時折エリア内に侵入されますが、GK佐藤の飛び出しで難を逃れる。危なかったのは29分、一旦園田がプレスからチェックしたものの、相手に拾われ、空いたスペースを永井に使われ折り返されると小野寺の強烈ミドルシュート。ここはGK佐藤が間一髪、クリアします。

追加点は前半終了間際でした。長崎の安易な横パスを清武がカットすると、巻、再び清武、最後は左の平繁に預けた。対峙したDFに、エリア内縦に勝負を賭けた平繁。思わず平繁を倒してしまう長崎DF。主審は迷わずPマークを指差します。

もちろん蹴るのは平繁。GKにも反応されましたが、それより速く、ボールはゴールネットを揺らします。平繁の今季初ゴールで前半のうちに2点差としました。

「あせらず落ち着いて戦おう」(公式サイト)と、後半選手たちを送り出した敵将・高木監督は、得意の2枚替え。FWロドリゴとDF村上を入れて来ます。1点でも入ると形勢逆転。”2-0は危ないスコア”というのはサッカーファンなら誰でも知るところ。

猛攻を仕掛ける長崎。熊本の選手間のスペースを使い、球際も激しく、ボールを運び、バイタルを襲う。更にMF中村を入れると、中盤もシステムを変えた。早めの3枚目のカードを切って、点を取りにきた。

それに対応して中山を入れる熊本。そして、ピッチサイドの清川監督は、DFラインを下げさせまいと必死に叫ぶ。

74分には齋藤を入れる。この展開で齋藤のスピードは面白い。83分、齋藤が裏に飛び出すがGKがセーブ。続く84分にも齋藤のカウンターからシュートはGKがクリア。惜しい。しかし速い!前がかりにいきたい長崎の重心をジリジリと下げさせます。

長崎はゴールが遠い。時間だけが過ぎていく。もう切るべきカードは残されていない。終了間際、熊本は先日加入が発表されたばかりのキム・テヨンを投入。バイタルを締めると同時に、その高さで高木監督お得意のパワープレーに備える策か。

しかし長崎は攻め疲れたか、その後、アディッショナルタイム3分も危ないシーンはほとんどなく、主審の笛が、熊本の勝利を告げました。

セレッソが金沢に引き分けたため、そして熊本が2点差で勝ったため、得失点差で熊本が単独首位。

しかし、「首位とはいえ、本当に1戦1戦戦っていかなければいけないチームだと思っている」と言うのは清川監督(公式サイト)。清武も「単独首位ということは聞きましたけれども、僕たちは挑戦し続けるだけなので、おごらずに頑張りたい」(同)と言う。

それは決して謙虚なコメントというだけではなく、結果オーライで良しとはできないような”課題”を、この試合でも実感しているからなのでしょう。実際、2点差としたあと、攻撃が淡白になったことは否めない。常にあるのは、相手の時間帯になったときの圧力の返し方。後半も陣形をコンパクトに保てるか、プレスを維持できるかという、ずっと抱えている課題。今日のこのゲームも完封ではありましたが、それはGK佐藤のかなり神がかりな活躍によるところが大きかったのは認めざるを得ません。

だからこそ次の試合までに、練習のなかで修正していく。それは小野監督に学んだこと。そして、相手をしっかり分析して、そのための対策を練習に盛り込んでいくことは高木監督に学んだ。

次節はホームで降格組の清水との対戦。どんな内容になるのか。ドキドキするような、それでいてこっそり期待もしたりする。序盤戦の大きな楽しみになりそうなゲームです。

【J2第4節】(本城)
北九州 1-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[北]小手川宏基(57分)
[熊]清武功暉(89分)
<警告>
[熊]岡本賢明(47分)
観衆:3,951人
主審:山岡良介
副審:塚越由貴、櫻井大輔


「苦しい中で迎える好相性の熊本戦」「過去5年間、黒丸を付けたことのない相手」。戦前、九州J-PARKのプレビューで、北九州側の記者に随分と煽られました。北九州としては山口、岐阜に連敗。怪我人も多い状況のなか、ジンクスにすがってでも連敗から抜け出したいと願っていたでしょう。

確かに対戦成績は分が悪い。特に敵地・本城陸上競技場ではろくな記憶がない。しかし、清川監督は、対戦相手やこれまでの戦歴のことより、この3連勝を受けて「何となく守りきれるとか、点が入るだろうという思いがあるとダメ。自分たちのやり方をしっか進め、ベースとなる部分を90分やり通さないといけない」(九州J-PARK)と、周囲の雑音よりチーム自身を見つめていました。

20160320北九州

早春のこの季節、選手たちは変わりやすい天候とも戦う。この日襲ったのは強い風でした。コイントスで風下を選んだ北九州のGK阿部の蹴るキックが、ハーフウェイラインを越えない。対して熊本も風上の戦いが上手かということはなく。相手DFの裏のスペースに出すロングボールが、風に煽られて抜けてしまう。

ただゲームの入りは悪くありませんでした。6分、嶋田からパスを受けた岡本がエリア左外から強引にシュート。これがエリア内にいた平繁に当たってコースが変わると、あわやゴールと思わせますが右にそれます。続く8分には高い位置で高柳が奪うと、中央の清武に。清武はDFを引きつけ更に左の平繁へ。平繁のコントロールしたシュートでしたが、これも右にそれる。惜しい。

北九州も徐々にペースを取り戻し、互いに攻守の切り替えの早い展開に。32分には北九州・花井から井上が繋いで、元日本代表・本山がエリアをえぐるとマイナスパスに風間のミドルシュート。間一髪でGK佐藤がクリアします。

ここから北九州のCKが何度も続き、波状攻撃に晒されますが、なんとか熊本も凌ぎきって前半を終えます。

「風上になるのでシュートの意識を高めよう!」。ハーフタイムでの柱谷監督の檄に応えるように、俄然、北九州が攻勢に出てきます。ゴール前が脅かされ、CKが続く。我慢の時間帯でした。

均衡が破れたのは57分、右サイドで藏川が井上に奪われると、本山、井上と繋いで、北九州の右サイドを上がってきた小手川へ。フリーで撃たれたシュートが、ゴールネットに突き刺さりました。熊本は今季初失点。

カウンターというほどの攻撃ではありませんでした。守備の人数も足りていたし、体力が消耗する時間帯でもなかったが、1歩2歩が遅れていました。「どうしても何とかなるだろうというのが少し選手の中であったと思います」と、戦前の心配と同じようなことを言って、指揮官はこのシーンを振り返ります。

しかし、指揮官も多くの選手も言うように、この失点で逆に熊本は目が覚めた。それまでお株を奪われたように北九州に球際激しくやられていましたが、ようやく熊本も「ボールに対する厳しさが出てきました」(清川監督)。

そしてここからのベンチワークが、試合の展開を変えます。

熊本が岡本に代えて巻を投入すると、北九州も本山に代えて大島。両者前線に高さを加えてきた。展開が徐々にオープンになってくると、熊本は齋藤を加える。これに対して、北九州・柱谷監督は、MF加藤をアンカーの位置に入れて、大島のワントップに。残り20分を逃げ切るサインでした。

熊本は早め早めに前線にボールを入れる。85分、右サイド奥のスペースに出すと齋藤が猛ダッシュ。北九州DFがなんとか追いついて、折り返しをクリアするものの、「こいつは速い」という残像が焼きついたのでしょう。

それが奏功したのが89分、ハーフウェイライン辺りからの高柳のロングフィード。PA内の巻が頭で落とすと、齋藤が拾ってエリアをえぐる。慌てた北九州DFが引き付けられたところを、齋藤がうまくマイナスパスを送ると、中央で待っていた清武が、しっかりとゴールに押し込みました。同点!

巻が落として、スピードのある齋藤が裏を取る。わかり切った構図でしたが、それをさせてしまった北九州は、連敗こそ脱したものの、あとわずかで手にするはずだった勝ち点の2をこぼししたショックを隠せませんでした。先の北九州側の記者は試合後のレポートで、「前向きに受け取っていいわけではない」と、早々と守備固めに走ったベンチワークを批判しました。

一方で、清武は殊勲のバースデーゴールで追いついたことより、「最後のチャンスで決めきれないのは課題」と、その後にもあった逆転の絶好機を逸したことを悔しがる。

今シーズン、初めて先制を許し、その後どう巻き返せるのか、真価が問われた試合でした。時間が過ぎていくなかで、やはりこの本城は鬼門なのかと思わせましたし、これまでだったらそのまま追いつけず、逆に追加点を奪われて…敗戦というパターンを何度も見てきた。

しかし、「先制されたあとも、中では『返せる』という落ち着きと自信があって」と清武が言うように、粘り強く、粘り強く全員が辛抱して、綱引きを手繰り寄せるように、好機をこちら側に持ってきたような印象です。

セレッソの連勝が続き、熊本は讃岐に総得点で抜かれて3位に“後退”ということになりました。が、しかし。この難敵、北九州とのゲーム。先制されて負けなかったこと。最後の最後に追いついたことは、チームの大きな自信に繋がったに違いありません。試合後の選手たちの表情にも明るさがありました。これまで対戦した6シーズンとは違う。同じ轍は踏まないんだ…と。
勝ち点1ではあるにしても、シーズン序盤にしてこの試合の勝ち点1の意味は大きい。ちなみに、2010年7月18日、第18節でJ2初対戦したのもこの本城。このときは相手のロスタイム同点弾を浴びて2-2のドローに持ち込まれてしまったという、今でも忘れられないゲームでした。

あれから6年目の今日、ドローに持ち込んだのは熊本でした。


【J2第3節】(うまスタ)
熊本 1-0(前半1-0)東京V
<得点者>
[熊]清武功暉(25分)
<退場>
[東]ウェズレイ(36分)
<警告>
[熊]藏川洋平(64分)
[東]高木純平(13分)、ウェズレイ2(24分、36分)、高木善朗(45分)
観衆:5,902人
主審:榎本一慶
副審:数原武志、熊谷幸剛


開幕から3連勝です。熊本としては初めての記録であり、そしてたった3試合を消化したこの時点ではありますがセレッソ大阪と並び同率首位の座につくのも初めてのこと。しかしながらわれわれを含めてわがチームのファン、サポーターは、多少ニヤついてはいるものの、浮ついたところは微塵もなく。これも9年目になるJ2暮らしからくる苦労と経験がそうさせているに違いありません(笑)。

2週間前の開幕戦とは違って、16時キックオフのこの日は小雨降る肌寒い気候となりました。連勝と好調なホームチームの試合にしては観客席が寂しい。学校行事などと重なったのでしょうか。

迎えたヴェルディは、前節讃岐に2-1で敗れていて、敵地とはいえ連敗は避けたいところ。いわずと知れた育成に秀でたクラブで、ユース上がりの選手が多く、その点を「調子に乗せたら怖い」と清川監督も警戒する(スカパー!)。

熊本が今節のスタメンでいじったのは2列目のところ。ピッチ状態が心配ながら主将・岡本を戻してきました。

20160313東京V

指揮官が「非常に大事」と言った立ち上がり。左SBの黒木が高い位置をとって左から攻める熊本。清武、平繁、さらには嶋田、岡本と、前線の距離間がよく、テンポよく前に運べる。”入り”は決して悪くはない。

ヴェルディもバイタルで回しますが熊本が粘り強く対応。ワントップのドウグラスに入るボールには植田が激しく潰しにいく。そしてそこからの攻守切り替えの早い展開が続き、見応えのある序盤になりました。

24分、上原のカットから繋いで、岡本→平繁→清武。清武が嶋田に預けて再びエリア内で貰おうとするところ。ウェズレイに足をすくわれて倒される。主審がすかさずPマークを指し示します。開幕戦に続いてのPK!

「蹴りますか?」と嶋田に問われて「もちろん!」と答えたのだという(試合後のインタビュー)。もう決して譲らないエースの自覚。相手GKもコースを読んではいましたが、その反応よりも速いスピードのシュートで、清武が開幕戦と同じようにPKを沈めます。

先制に沸きあがるスタジアム。ただ今日の清武は、開幕戦とは違ってベンチに駆け寄るほど喜ばない。ベンチも至ってクールそのもの。この1点で勝敗が決まる相手ではないと知っているから。その後の反撃を試みるヴェルディを落ち着いて撥ね返す熊本。守備の時間。33分には、自陣から大事に繋ぎながら右サイドの嶋田が中にカットイン。そこからのシュートは惜しくもポストに嫌われる。よし。追加点も行ける!

ただ、36分。右サイドで抜けようとした平繁を引っ張り倒してウェズレイがこの日2枚目のイエローを貰い退場。先制に成功し、更には相手が一人少なくなった。優勢この上ないような熊本でしたが、実はこのことがゲームを難しくしてしまったようです。

ここ2戦での熊本の”課題”は、いずれも90分のなかで、特に後半、押し込まれた際の”試合運び”をどうチームで共有するかでした。その課題を抱えたなかで、今日は一人少ない相手と戦うことになった。

指揮官は恐らく強い危機感でハーフタイムに叱咤したでしょう。「相手が一人すくないサッカーをやったら、やられるぞ。11対11でやっているという意識で!」「チャンスがあるならば必ずいこう。早くいける時は早くいくこと」「絶対、受け身のサッカーにならないように!」。点差は1点しかないのです。

ヴェルディは後半アラン ピニェイロを2列目に配置し、ロングボールをドウグラスが落として、アランが拾って攻め込む。熊本は一人少ないヴェルディのセットプレーにも前線に余らせず、全員守備で構えます。

ヴェルディがギアを上げてチームの運動量が増えているかというとそうでもない。ブラジル人二人に依存した戦術。しかし熊本も、ボールを大事にするためか、あるいは体力の温存か、後ろで回す時間が増える。なかなかクサビも打たない。

後半13分、嶋田のカットからカウンター。平繁→清武、右の岡本が中央の清武に戻す。清武が打つかに思えたタイミング。しかしエリア内の平繁にパス。これが合わず。もったいない譲り合いで追加点の機会を逸する。「シュートチャンスのところで打てなくて、どうしても1個、2個、手数かけてシュートで終われなかったという部分の残念なところもありました」と指揮官も言う。

後半21分、嶋田に代えて、そこで投入したのは齋藤。早速、左サイドから平繁のスルーパスにPA侵入。ここは敵DFにクリアされる。しかしそれにしても速い。

ヴェルディは、高木善を諦め平本を投入。前節も讃岐相手に一矢報いた平本。怖い。熊本は平繁に代わって中山。中盤の守備を少し締める。徐々に徐々に、時間がなくなってきて。相手とのバランスのなかで、これはこのまま逃げ切りを望むべきなのかと。それにしてもヴェルディの攻撃のなかでの植田の撥ね返し。藏川の危機察知。最後はGK佐藤のボール捌き、その落ち着いた立ち振る舞いがチームに与える安心感。

今日のゲームのクローザーは、DF鈴木ではなくて、FW巻でした。前線で落ち着かせろと、撥ね返すだけの展開とは違った意図を試みました。アディッショナルタイム3分が告げられると、岡本に代えて入れられる。最後の最後、ヴェルディに与えたCKにGKも上がってきましたがこれをクリア。その瞬間、DF陣と佐藤が大きくガッツポーズ。熊本開幕3連勝の瞬間でした。

3試合連続のウノゼロの勝利となりました。開幕までの危機感の大きさがチーム戦術をまず守備からスタートさせたのでしょう。とにかく粘り強い。最後の最後でシュートブロックに体を張れるポジション取りができている。新加入の植田と佐藤の存在感も大きい。「堅守速攻」は今季の熊本のキャッチフレーズになるかも知れませんね。

課題の攻撃も、記録的にはセットプレーでしか取れていませんが、展開を見れば、惜しい機会は大いにある。献身的に動く平繁の得点も時間の問題だと思われます。

課題はやはり90分間のなかでの展開のマネジメントだと思います。そこに至る選手間の理解と技術。意思統一…。

その”勉強”に関しては、ちょっと参考にならない試合展開になったのが残念なヴェルディ戦でしたが。これはこれで反省点になりました。

「これからアウェイ2試合続いて難しいゲームが続くと思うので、3勝していますけれども、1戦1戦というところで戦っていかないといけないと感じています」(ロアッソ公式サイト)と指揮官は言う。われわれも全く同じ気持ちであって。

首位うんぬんと順位など口にする時期でもなく、次の一戦、その次の一戦。どうやって勝ち点を取っていくのか、わがチームは次にどの選手が出場し、どうチームとして成長していくのか。順位はその先にしかないのだと。この8年の経験が教えているから。次節、難敵である北九州。そして長崎との対戦を控えているからなおさらです。

2016.03.08 徳島戦。連勝
【J2第2節】(鳴門大塚)
徳島 0-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[熊]齋藤恵太(83分)
<警告>
[徳]岩尾憲(25分)、福元洋平(70分)、渡大生(73分)、濱田武(88分)
観衆:4,413人
主審:池内明彦
副審:松井健太郎、高寺恒如


勝ちました!開幕2連勝。「クラブ史上2度目のリーグ開幕2連勝」と翌日の熊日にあるので、いったいいつだったかとわれわれの備忘録でもある過去のエントリーを手繰ったら、2011年、開幕戦後に襲った東日本大震災でリーグが中断し、変則開催として再開なった第8節との連勝を指しているようです。あれから実に5年目の春…。

鳴門・大塚スポーツパークでの徳島のホーム開幕戦でした。この鳴門での徳島との対戦成績を上げて揶揄するスカパーのアナウンサー。もちろんわれわれも多少の不安はあるものの、いやしかし、以前の苦手意識もすでに一昨年の勝利で払拭されているつもりなんですが…。

「勝った試合のあとはメンバーをいじらない」というセオリーは、小野監督の頃から熊本にはないものでしたが、清川新監督もまた同じようです。前節から2人メンバーを入れ替え、ボランチに上原、サイドハーフに中山を起用してきました。ベンチには八久保を外して同じニューカマーの齋藤。この齋藤がデビュー戦早々やってくれることになります。

対する徳島は開幕戦で、先制しながら後半ロスタイムで千葉に同点さらには逆転されるという痛すぎる敗戦。しかし、逆に内容には手ごたえがあったのか、先発メンバーは全く触らず。

20160306徳島

前半は五分と五分。やや徳島がポゼッションする時間が長いが、熊本もここぞとのカウンターの好機にはワンタッチパスで繋いで勢い鋭く攻め上がる。

7分、清武がカウンターでエリア前まで持ち込むと、徳島DFがブロック。そのボールがチェイスした上原にうまいぐあいにこぼれた。DFを左に避けた上原。キーパーとの1対1をシュートするも、徳島GK相澤がここは右足に当ててクリア。

22分頃には植田からのパスに嶋田が左から持ち上がってクロス。マイナスぎみのグラウンダーのボールを清武がスライディングで残すと、合わせた上村が抑えた強烈シュート。これも相澤に阻まれます。惜しい。

雨が降ってきた後半、早々に訪れたFKのチャンス。キッカーは清武。放ったボールは壁を越えて落ちるボール。これもポストに嫌われる。惜し過ぎる。

ただ、ホーム開幕戦で勝利を掴みたい徳島もギアを上げてきました。62分には、大きなアーリークロスを熊本GK佐藤がパンチングで跳ね返すも、前に出た佐藤を見て、ダイレクトのヘディングでゴールを狙われる。ここはゴールマウス内まで戻った園田がなんとかヘディングでクリア。

そして、徳島は北九州から移籍した渡を徹底して裏に走らせる。DFが振り切られ、Pエリアに侵入されるも、GK佐藤が横っ飛びでセーブ。その再三の好セーブがこの試合光りました。

徳島が、大崎に代えて内田、山崎に代えて佐藤と、より攻撃的に襲い掛かってきた。そのあとでした。「あまり早く出すと、一発の体力が出るかどうか分からないので、またギリギリの判断」(熊本蹴球通信)で、清川監督が嶋田に代えてようやく後半33分に齋藤を投入。「相手に押し込まれている時間が長かったので、相手の背後にスペースが空くと思っていた」と言う齋藤。するとその齋藤がいきなり見せ場を作る。

中盤で相手のボールをカットすると、一騎駆け上がる。そのスピード。速い! しかしGKと1対1に成りかけたエリア内で、DFに入られクリアされた。そのプレーで得たCKでした。

清武が蹴ったボール。中央で植田が潰れると、うまく齋藤の頭に。ゴールに突き刺さる。相手GKと絡んだ植田のファールを訴える徳島イレブン。しかし主審が示したのは、確実に熊本のゴール。それを確認した清川監督の喜び様が画面に映し出される。開幕戦よりもちょっとだけ緊張が解けていたように見えました。ベンチ全員と喜びを分かち合います。

その後は、前節と同じように全員が身体を張った守備。バイタルエリアに鈴木を入れて。開幕戦に続いてウノゼロの完封勝利。

「連勝したことは選手達にとってすごく力になるし、勝ちたいという気持ちは強くなりますけれども、そこは1回リセットして、1戦1戦をすごく大事にして、トレーニングをしていきたい」(公式サイト)と新指揮官は言う。なんだかこんなところにも前監督の影響を感じるのはわれわれだけでしょうか。

J2デビュー戦でいきなりの結果を残した齋藤。スカパーのアナウンサーは得点の瞬間、「(熊本の)齋藤は和樹だけではない!」と叫びました。

「これから自分が出た時に、どういうことを求められているか、FWなので得点を取るというところをもっと追求して、どんどん結果を出していきたい」(公式サイト)と試合後コメントした齋藤。まだ、受け答えも初々しいばかりですが。

以前、ファビオのことを”褐色の駿馬”などと形容したことがありますが、この齋藤というスピードスターはまるで、中央アジアの大草原を駆け回っている野生馬のようなしなやかさ。俊足だけでなく、ジャンプ力などその身体能力の高さも期待される。熊本は”飛び道具”を手に入れたような気がします。

今節も、新加入の植田と佐藤がきっちりとした役割を果たし、既存の選手からのプラスワンを発揮したチーム・熊本。さらにはニューフェイス齋藤が、起用に応える活躍で結果を残した。ちょうど5年目のあの日を迎える今節に、宮城県出身の彼の得点で連勝したのも、なにかの縁(えにし)でしょうか。

しかし、今節も特に後半、相手に押し込まれる時間帯の対処が課題として残りました。連勝にも「1回リセットして」。指揮官もそこのところは十分に分かっていて、一喜一憂せず、チームの進化を進めていく方針のようです。まだまだ、長いリーグ戦ははじまったばかりですね。

【J2第1節】(うまスタ)
熊本 1-0(前半1-0)松本
<得点者>
[熊]清武功暉(16分)
<警告>
[熊]植田龍仁朗(49分)、清武功暉(90分+2)
[松]オビナ(24分)、當間建文(76分)
観衆:8,253人
主審:佐藤隆治
副審:八木あかね、平間亮


勝ちました!ホーム開幕戦。開幕戦勝利は2年ぶり。それにしてもホッとしたというかなんと言うか…。

待ち焦がれたリーグ開幕。三寒四温の季節のこの日は、思いがけず春の陽気を思わせる気候になりました。ピッチ上は21度。湿度は35%。風もほとんどありませんから、選手たちにとっては暑いくらいだったかも知れません。

熊本の先発は「うん。なるほど」といった布陣。新加入ではGK佐藤、CB植田が入った。前線は、ニューイヤーカップでも好調に調整できているなと感じさせた平繁と清武が組みます。

20160228松本

対する松本はいわずもがなJ1を経験してきた難敵。これまでの対戦成績も分が悪い。分が悪いというより、苦手を通り越して、勝てそうにないような気分まで漂う感じ。しかも、どのメディアもその点にフォーカスしたように、昨季の熊本を救ったともいえる救世主・GKシュミット・ダニエルが、今度は初戦から敵となってゴールマウスを守るという因縁。

ダニエルからどうやってゴールを奪うか。戦前のイメージは全く思い浮かばない。せいぜい考えられるのは、澤村公康GKコーチがシュミットのウィークポイントだと言う、速いクロスからのニアワンタッチゴールからの得点か。(熊本蹴球通信

しかしこの”因縁”のゲーム、一番の見せ場は、意外に早く訪れます。いつものとおり、いや昨年以上に序盤からチームプレスで厳しくいく熊本は、ボランチの上村がDFの頭越しにパスを送る。それをPA左できっちり収めた清武が、「ハンドを狙っていたわけではないんですけど、きわどいところにボールを入れようと思って」(九州J-PARK)上げようとしたクロスを、松本のCB飯田が腕で止める。すかさず主審がペナルティマークを指差します。PK!

守備範囲の広さ、”流れ”のなかの反応はピカイチのダニエル。しかし熊本にいたときもPKストップの実績はない。キッカーはもちろん清武。大きく深呼吸すると、「ダンは去年、僕のPKも見ていますし、僕もギリギリまで判断して」、ダニエルが山を張って横っ飛びした逆をしっかり突いて、ゴール左に流し込みました。先制!飛び上がるスタジアム。

清武は真っ先にベンチの清川監督のもとに駆け寄り抱擁します。ダニエルの守るゴールマウスを破って得点を挙げたのは、同じく昨季の立役者、今季も助っ人としてやってきてくれた清武その人。背中には(レンタル選手にはあまり与えられることのない)10番が。

その後も中盤でのボール奪取からの反転、パスを受けてすかさず前を向く清武や平繁。松本の攻撃は単調で、熊本は危なげない試合運び。ただ20分過ぎ、相手に与えたFK。初めてのセットプレー。今年もゾーンで守る熊本にとっての”課題”であるだけに、不安がよぎります。山形から移籍した名手・宮阪から放たれたボールは、FWオビナが中央からフリーで叩き付けた。しかし運よくゴール左に反れてくれます。助かった。

1点のアドバンテージで後半を迎える。敵将・反町監督がどう修正してくるのか。講じた策は「パスのアップテンポ」「長い距離を走って裏を取る動き」、そして工藤をシャドーに持ってくる。

後半は完全に松本に支配されましたね。最初の15分を凌げば押し返せるとも思っていたのですが、それもなかなか叶わない。度重なる松本のCKに、集中を切らすなと祈るばかり。逆にカウンターから追加点を狙えるかとも思ったのですが、なかなか持ち上がることすら難しい。70分には熊本陣内で奪われバイタルを脅かされシュート。ブロックするも再びシュート。藏川や植田が身体を投げ出してブロック。最後の松本のシュートは枠の上。危ない。

熊本は嶋田に代えて巻を投入。前線で弱くなった”守備”をテコ入れ。しかしなかなか松本の圧力を押し返すまでにはいかない。追加点が望めないまま時間は過ぎていく。試合後、清川監督が吐露するように、「どのタイミングかというのは自分も悩んでいて、もっと早ければ、跳ね返してこっちに流れを持ってこれるのかという、本当にギリギリのところでした」という時間帯、84分にFW平繁を下げると、DF鈴木をDFラインとボランチの間を埋める、松本に脅かされていたバイタルエリアの真ん中に、丁度アンカーのように投入した。まさしく「逃げ切り」のサインでした。

アディショナルタイムは5分。松本は更に攻勢を強める。前線を薄くした熊本は、もはやクリア一辺倒。身体を張ってゴールマウスを死守する。味方はいなくてもとにかく前へ蹴り返す。とにかくゴールより遠いところへ。時間を消費させるためだけに蹴り返す。ただそれだけを繰り返す。

それはまさしく勝利への執念に違いありませんでした。なりふり構わないプレー。実に泥臭い。勝ちたい!清川新監督とともに勝利を。

終了間際のラストプレー。松本のCKにGKダニエルも上がってきた。松本も最後まで食い下がる。J1経験組として、このまま負けるわけにいかない。しかし、このセットプレーもクリア!そして終了の笛が鳴る。

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「開幕戦は内容より結果が大事だと思うので、勝ちきる事を意識していました」。今季キャプテンマークを巻く岡本は、試合後そうコメントしました。「苦しい時間もありましたけど、皆しっかり我慢できた」と。確かにこれまでの熊本だったら、あの相手の圧力に必ず屈していた。同点、あるいはその先に逆転という展開もありえた。戦前、われわれもなんとか引き分けられれば、上々の開幕と思っていたくらいです。その松本に結果を出して見せた。

しかしそれを撥ね返した、凌ぎきった。この”粘り”は、「勝ちたい」という思いと同時に、新監督・清川監督に「勝たせたい」という思いが優った結果ではないのかと。

試合後、「非常に疲れています(笑)。選手以上に疲れているんじゃないかなと」とコメントした清川監督。こんなに正直に心情を吐露した監督は今までいない。試合開始前のスカパーの映像でも、監督の表情は緊張そのもの。

チーム戦術の継続を最重点に、監督経験のない清川氏を選んだ。そしてそれを支える集団指導体制もあまり例がない。そんな新任監督に、早くも勝利という結果をもたらしたイレブン。「キヨさんに、早く勝利をプレゼントしたい」という選手の気持ちが表れての今日の泥臭いまでの勝利。選手と監督のその”近さ”に、今季の熊本の新しい”可能性”を感じざるを得ない勝利劇。

決して快心とはいえませんが、長かったオフシーズンからのいろんなモヤモヤを晴らしてくれるたような。チームが一丸となってひとつの答を出して、さあ新しいシーズンが始まる。実に清々しい、開幕戦らしいゲームになったなと思います。