9月25日(日)
【J2第33節】(うまスタ)
熊本 0-0(前半0-0)山形
<警告>
[熊]清武功暉(36分)、キム・テヨン(48分)
[山]田代真一(80分)
観衆:4,341人
主審:池内明彦


前節岡山戦と同じスコアレスドロー。しかし、前節のような気分になれないのは、どうしてなんでしょうか。

上位に食い込んでいる岡山と違って、同勝ち点数でせめぎあっている相手だったからでしょうか。神戸と延長戦含め120分間戦って、中二日で試合を迎えた相手に対して、アドバンテージを見込んでいたからでしょうか。いや、前回対戦では4-1で大敗した相手。J1経験もある山形。リスペクトは十分にしていました。

問題は、明らかに疲れからかミスの多い相手に対して、そこで畳み掛けられないわがチームの不甲斐なさ。お付き合いをするようにミスをする試合内容。凡戦を見せられたようで、なんだかフラストレーションが溜まってしまいました。

山形に対し、「長いボールが入ってくるだろいうというところで、サイドバックが上がってきてのクロスも多くなると、後ろの4枚だけだと耐えられない時間も増えてくるかもしれないので、中を少し厚くした方が状況としてはいいかなと判断」(熊本蹴球通信)して、清川監督はこの試合も4-1-4-1のシステムで挑みます。

20160925山形

この日からナイトゲームのシーズンが終わりを告げ、キックオフは夕方の16時に。しかし、蒸し暑さの残るスタンドでは、あちらこちらでうちわで扇ぐファンの姿が・・・。

指揮官が、「攻撃に入った時には勇気を持って仕掛けるなり、ロングボールのセカンドに『ここに来るだろう』と信じて入り込んだり、そういうことを泥臭くやっていかないと、なかなか点が取れない」(清川監督)とも言うように、ボールはインサイドの中山や上村の頭の上を行き来するばかりのヘディングの応酬。マイボールにして落ち着かせても、「チャンスだと感じたらもっと前を追い越す動きも増やさないといけない」と上村が反省の弁を述べたように、攻撃のスウィッチを入れるタイミングが合わない。というよりも、ない。

テヨンは、「(清武)功暉が1人で苦しんでた場面が多かったので、前のボランチ2人をもう少し押し出して、攻撃の時にサポートができるようにしていかないといけない」と言う。空中戦に身体を張る清武でしたが、この日ボランチのひとりが高柳だったら、もっと追い越したり、押し込んでいけたり、前線に顔を出せたのではないかとも思わせました。

前半のシュートは、熊本4に対して山形が2。熊本は4分に右サイド上村のチェイスからクロス。清武のシュートにはDFが入る。12分のFKの場面。清武がゴールを狙いましたが、GK山岸が触ってポストに嫌われる。惜しい場面も演出しましたが、いずれの攻撃も単発でした。

後半は、山形の疲れもあって、互いにスペースができてオープンな展開になります。それを利用しようとするように、熊本は菅沼に代えてスピード勝負の齋藤。山形は、伊東に代えてテクニックのある汰木で打開を図る。

68分、中山のスルーパスに裏をうまくとった八久保。左足シュートはしかし枠の大きく上。

熊本は中山に代えて村上。山形はディエゴを諦め高木を入れる。

前節、怪我から復帰してシーズン初出場を果たした村上巧。ボランチの位置に入って、その能力を如何なく発揮します。1対1で奪って前を向く。85分、村上のターンから上村のシュートは枠のわずかに右外。前節も途中からの出場だった村上。まだ90分は無理なのか。それとも試合勘を養っているのか。

「奪ったボールを巻をターゲットにして当てて、そのこぼれをなんとか齋藤、八久保、清武のところで拾って攻撃を終わりたかった」(清川監督)指揮官は、終了間際に上村に代えて巻を投入しますが、時すでに遅しという感じでした。終了のホイッスルが鳴ると、多くの熊本の選手たちがピッチに倒れこむ姿が見られました。蒸し暑さは消耗を誘った。

決定機の多い試合ではありませんでした。終わってみれば熊本のシュート数8のうち枠内が4。山形に至ってはシュート数6のうち枠内はゼロ。確かに、山形に完全に崩されたシーン、危ないシーンはなかった。しかし、だからと言って、熊本が完全に崩しきったシーンもない。最後まで、どうも重心が後ろにかかっていたようで・・・。

山形の今のコンディションに”お付き合い”してしまったように感じるのはわれわれだけでしょうか。もっと”自分たちの試合”はできなかったのか。スカパー!の中継でも言っていましたが、まるで同勝ち点数の対戦相手に対して「相手を勝たせたくない」というだけの試合とでも言えるような。自分たちが”この試合は勝ちたい”という気迫のようなものが感じられなかった。

残り試合数が少なくなって、リーグ残留を意識し、今の戦力の現状、これからの対戦相手を考えての戦略なのでしょうか。このあたり。指揮官のコメントだけでなく、その選手選考とシステム、選手交代と戦術。なにか決意していることもあるのかも知れないとも思わないでもない試合。そう感じました。

9月18日(日)
【J2第32節】(うまスタ)
熊本 0-0(前半0-0)岡山
<警告>
[熊]上原拓郎(74分)
[岡]篠原弘次郎(45分+1)
観衆:4,404人
主審:大坪博和


「だから我々も謙虚に、熊本相手に1をしっかり取ったということで。次ホームに帰って、よりアグレッシブに進んでいけるように準備したいと思います」(熊本蹴球通信)。敵将・長澤監督は、ドローに終わったこの試合後のインタビューで、最後そう結びました。

「このゲームに入るにあたって、熊本が連戦を終えて、気力十分に来るよと。要は、開幕でスタートダッシュした時の状態で必ず来るはずだという入りをしました。本当に熊本は大変ななかをくぐり抜けてきたチームでスピリットは十分なので、そういう意味では本当にタフなゲームになると。だから、順位とかお互いの持っている背景とか、ほぼ関係ないということでゲームに入りました」(長澤監督)と言う。さすがのチームマネジメントでした。

リーグ4位の岡山は勝ち点56。「リーグ4位の44得点という強力な攻撃、同時にリーグ5番目の失点の少なさを誇る守備と、攻守にバランスが取れたチーム」(熊本蹴球通信)と井芹さんも書くように、前線にはガンバからレンタルの赤嶺がいて、熊本キラーの押谷がいて、中盤には五輪代表の矢島が控え、DFラインには元日本代表岩政、加地までいる。リーグ5連敗中の熊本。ホームのアドバンテージはあるとはいえ、強敵を迎えました。

20160918岡山

熊本は相手の3-4-3のシステムに対して、テヨンをアンカーに置いた4-1-4-1の布陣で対する。前節の愛媛の3バックに対しては、ほとんど練習でも試していなくて、「奏功したようには見えませんでした」と書いたわれわれは、今日も少なからず不安がありましたが、1週間という本来の準備期間に戻ったせいもあるのか、この試合ではその良さが発揮されましたね。

試合開始早々、岡山に与えたCKからゴール正面、岩政の高い打点のヘディングにヒヤリとさせられる。同じような場面は28分頃も。これは植田、小谷がきっちりと寄せて岩政も枠の上に飛ばさざるを得ない。それにしてもセットプレーは怖い。

4-1-4-1は、中盤の厚さを活かすシステム。この布陣だと、特に上村の良さが引き出されるような気がします。プレスもはまる。短いパスも回る。26分頃、清武が左にはたくと上原がダイレクトでクロスを入れる。ニアに飛び込んだ高柳でしたがDFのブロックに阻まれる。

前半終了間際には、清武がDF3人を相手に抜きさり、右サイドからグラウンダーのクロスを入れますが、ファーに届く前にGKが入ります。

「できるだけ下がらずに、できるだけ前で押し上げていこう」とハーフタイムで指示した清川監督。後半に特に得点力のある岡山を警戒します。

前半は神経戦のような様相でしたが、後半は一気にオープンなカウンター合戦に。スタジアムが沸く。嶋田が痛んで八久保に交代。岡山は押谷を下げて豊川を入れる。豊川も凱旋試合で気合十分。

ここからは両チーム守護神の意地のぶつかり合い。スーパーセーブの競演。

敵陣中央やや左で得たFKを清武が壁のむこうワンバウンドでゴールを狙うと、GK中林が横っ飛び、片手でクリア。今度は、岡山の右サイド奥からマイナスぎみのクロスに伊藤の右足アウトに掛けたシュートは佐藤がパンチングで逃れる。

決定的だったのは、矢島のパスがずれたところを逃さず奪った上村のスルーパスに清武が抜け出しゴールに迫った場面。しかし、追いかけたDFの右からスライディングでシュートコースを失い、GK中林のブロックに。高く上がったボールもキャッチされてチャンスを逸しました。ワンテンポ遅れる…。まだ本調子とは言えない。

終了間際にも、岡山のスローインを佐藤がパンチングクリアからのカウンター攻撃。巻が右を追い越した清武にパスすると八久保も追い越してきましたが自ら撃つ。しかしシュートは枠のわずかに上。

仕留められない。まさしくそんな感じ。終了の笛を聞いてピッチを叩く清武。

「前節や前々節も自分にチャンスがあって、必ず決めなければいけないなかで、(今日の決定的な場面で)シュートが遅れてしまい申し訳なかった。そこを決めないとチームも勝てないので、練習からまたしっかりやりたい」(公式)とは、清武の反省の弁。

ただ、「残りの試合が少なくなって、勝点を取らなければいけないので、今日の勝点1は大きいと思う」とも言う。

ゴール裏は、選手たちの奮闘に拍手を送り、翌日の熊日の見出しも「泥臭く 待望の勝ち点」とうたう。5連敗から脱し、ようやく手にした引き分け勝ち点1は、順位こそ18位と後退したものの、降格圏からの差を6から7(2試合分以上)にした貴重な1でもありました。そして同じく岡山も順位を下げたとはいえ、冒頭の長澤監督の言葉。「熊本相手に1をしっかり取った」と評価する。

痛み分け。

ようやく他のチームと同じように1週間のサイクルで戦えるようになった熊本。「必要としているトレーニングを入れることができた部分もある」と清川監督は言う。「この先また、1週間のサイクルでやれるので、もう1度いい状態で、ホームでの山形戦に備えたい」と。この試合の翌日も久しぶりに北九州とのTMが組めた。

そういう意味でも、強敵・岡山から得たこの勝ち点1は結構重みがありそうです。選手たちのメンタルにもいいように作用して、あの試合がターニングポイントだったと、シーズンが終わったあとに言えるように。次節・山形戦も気を引き締めて戦って欲しい。いい準備をして欲しいと思います。

9月11日(日)
【J2第31節】(ニンスタ)
愛媛 1-0(前半1-0)熊本
<得点者>
[愛]内田健太(2分)
<警告>
[愛]茂木力也(26分)、白井康介(87分)
[熊]清武功暉(68分)、藏川洋平(90分+4)
観衆:2,955人
主審:清水修平


出会いがしらにガツンとやられた感じでしたね。開始2分、瀬沼の落としをクリアしましたが、左から内田がダイレクトで振りぬいた。アウトに掛かったシュートがゴール右隅に突き刺さる。ゴラッソで早々に先制点を許してしまいます。

前節のエントリーで「ここが新たな出発点です。」と結びました。同じように井芹さんの「熊本蹴球通信」によれば、清川監督は「3度目の開幕のような気持ちでやろう」と、この試合に向けて選手たちに話したそうです。

ただ、“立ち合い勝負”が身上だったはずの熊本ですが、「前半は0で抑えるプランだった」(公式)と小谷がコメントしているように、最近のゲームプランは妙に消極的に映る。それはとりもなおさずこの試合が3週間で7試合の過密日程の最後の試合だったからでしょうか。選手たちは想像以上に疲れているのでしょう。

その7連戦のなかのひとつに愛媛との前回対戦もありました。愛媛にとってはリーグ戦としては連続して熊本と戦うという珍しいパターン。その試合の反省をもとに、清川監督は「少しシステムを変えて」臨みます。テヨンをアンカーに置いた3ボランチシステム。しかし、これが奏功したようには見えませんでした。

20160911愛媛

とにかくこの試合も愛媛の出足の早さ、球際の強さに押されて、セカンドボール争いでも後手を踏む。特に相手のボランチを捕まえきれず自由にボールを運ばれている。

愛媛左サイドからのアーリークロスに瀬沼のシュートは枠の右に外れてくれる。右サイドから入ったボールに阪野、振り向きざまのシュートは佐藤がセーブ。いずれも追加点を与えそうな危ないシーンでした。

熊本が攻撃を組み立てられるようになったのは、後半平繁や菅沼を投入してから。システムも元の4-4-2に戻しました。そして、最後のカードは巻。

その巻が落として清武の足元。フリーでしたがシュートは枠の上に浮いてしまう。右サイドからのクロスに、ニアに飛び込んだ清武が頭で反らしますが枠の左。どちらも完璧な決定機でした。が、決まらない。

これまでの清武なら、どちらかは確実に決めていただろうシーン。どうも体調不良で欠場して以来、ゴールが遠い。以前も書いたことですがこのエースの不振が、チームの不振に直結している面も大きいようです。

愛媛相手に追加点こそ許しませんでしたが、結局開始早々の失点が決勝点になっての敗戦。順位をひとつ落として17位としました。

リーグ戦5連敗。これからも難敵との対戦が続く。さらに厳しい状況になってきました。

まあ、しかし、終わったことを悔やんでもしかたありません。選手たちにはまず身体と、そして同時に心も十分に休めて欲しい。コンディションが整わなければ戦術も何もあったものではないわけで。とにかく、ケガなく調整して欲しい。この一週間はそう願うばかりです。

第9節延期分
9月7日(水)
【J2第9節】(うまスタ)
熊本 0-1(前半0-0)横浜FC
<得点者>
[横]佐藤謙介(85分)
<警告>
[熊]清武功暉(10分)
[横]中里崇宏(27分)、田所諒(37分)
観衆:3,108人
主審:今村義朗


切ないなあ…。悔しいでもなく、歯がゆいでもなく、哀しいでもなく、情けないでもなく。そんな気持ちです。

試合後、ゴール裏に挨拶に来た選手たちに、「もっとやれよ!」と罵倒するような声が飛ぶ。しかし、今日の選手たちは間違いなく”戦っていた”じゃないか。今日は全員が。
(もともとそんなキャラではありませんが)だからこそ野次を飛ばす気持ちにはなれませんでした。

今日だけは「たら・れば」が許されるならば。あの24分の清武のシュートがポストに嫌われなければ。あるいは86分の片山からのアーリークロスに、清武のヘッドがもっと厚く当たっていたら…と。

後半も終わりに近づく時間帯。この試合(内容)なら引き分けでも選手たちに拍手を送れる。そこまで思っていたのですが。ほんの一瞬。本当にほんの一瞬、そこまでしっかり寄せて厳しく行っていた守備のバランスが崩れると、警戒すべき横浜のボランチ・佐藤の前がポッカリ空いてしまった。佐藤がここぞとばかり、ゴール右隅に巻くようにミドルシュートを決めて決勝点としました。敵ながらあっぱれの技術を見せた一撃でした。

熊本には、ホームだというだけでなくアドバンテージがありました。横浜は、この4日前の天皇杯2回戦で長崎を倒すのに延長戦という時間を費やしていたし。熊本はといえば、連戦とはいえ、ターンオーバーよろしく4日前に先発したのはこの日のスタメンでは片山ひとり。ほとんどのメンバーが、通常のリーグ戦と同じ日程間隔のなかでゲームを迎えられた。

20160907横浜

だからこそ、昇り調子の横浜FCとはいえ、その相性もあって、展開は互角でした。厳しい球際、切り替えの早さ、縦へのスピード…。巻が落ちてきて空中戦を制する。岡本が、菅沼が気の利いたところに顔を出す。高柳が敵の攻撃の芽をつぶしては、鋭くパスを出す。横浜の長身FWイバには園田、小谷が身体をしっかり当てて自由にさせない。どちらが先に点が取れるか。1点をめぐる息をのむような好ゲームでした。

しかし、一瞬の守備の乱れが勝敗を分けてしまった。

終了のホイッスルが鳴って、その場にうずくまる熊本の選手たち。顔を覆う選手も。何故勝てないと自問しているようで…。


これで震災後延期されていた5試合を全て消化しました。5試合で得た勝ち点は、引き分けの1のみ。震災前は5位だった順位も、暫定順位でなくなった今、16位に大きく後退しました。

でも。これで暫定順位という曖昧な状況が吹っ切れたことでもあります。思えば他のチームより5試合未消化数があることを、何となく順位や勝ち点の含み資産であるかのように想像を膨らませていたのかも知れません。しかし、途中で誰もが気付いたようにそれは決してアドバンテージなどではなく、ただただ過密日程という自分たちだけが背負う重い重いハンディキャップでしかなかったのです。


試合数は揃いました。これで振り出しに戻った。16位。降格圏から勝ち点差6。震災直後には、チームが存続できるかどうかを覚悟していた時期もあったこと。再開初戦でのパフォーマンスを見て、これからまともにリーグを戦っていけるんだろうかと心配したこと。そしてここまで戦ってきての16位。もちろん背負っていた重荷によるダメージがすぐに消えるわけではありません。

冒頭の「もっとやれよ!」の声もあるかとは思いますが、今シーズンのテーマが残留にあることはわれわれだけでなく、多くのファンも思っていることではないかと。

これまで降格したチームを横目で見ていて思うのは、最後は選手、チーム、そしてファン・サポーターがバラバラになってしまうことの怖さ。お互いの不信感やないものねだりが止めようのない悪循環を招いていく。

震災と言うとんでもないアクシデントに見舞われながらも、ここまで一体となって戦い、踏みとどまり大いに面目を保ってきた“チーム熊本”。うまくいかなかったことも、反省することもあるだろうけれど、今はそれよりもまず、よくやってきたじゃないかと、自分たちを称えてもいいんじゃないかと。これまでやってきたことも、これからわれわれがやるべきことも何のぶれることはありません。ただただチームを後押しするということのみ。覚悟は決まりました。ここが新たな出発点です。

9月3日(土)
【天皇杯2回戦】(うまスタ)
熊本 1-5(前半1-2)東京V
<得点者>
[熊]平繁龍一(8分)
[東]平智広2(28分、66分)、高木善朗(43分)、澤井直人(50分)、高木大輔(90分+4)
<警告>
[熊]嶋田慎太郎(65分)、黒木晃平(70分)、アンデルソン(81分)
[東]北脇健慈(87分)
観衆:1,483人
主審:吉田哲朗


天皇杯2回戦は、北九州戦を思い起こさせるような大敗になりました。カテゴリーを越えて戦い、ときにジャイアントキリングが起こるのが天皇杯の醍醐味ですが、同じカテゴリー相手でこの大差の敗北はいただけない。

先制したのは熊本でした。8分、アンデルソンのポストプレーで繋いだボール。黒木が拾って右サイドを突破するとグラウンダーで早いクロスを入れた。ファーに滑り込んだ平繁が押し込みます。

しかし、試合開始からボールを回していたのはヴェルディ。しかも先制したことによる安心感からか、熊本の球際が見るからにゆるくなる。ヴェルディ左からのアーリークロスに澤井が抜け出すが、1対1のシュートをピタリと金井が止める。続いてもドウグラス・ヴィエイラが後ろからのパスを受けてエリア内から撃ったシュート。これも金井の手中。守護神が守り抜いていましたが、崩され、危ない場面が続いていたことも事実でした。

28分。その直前にテヨンが痛んでピッチの外に出ている時間帯のヴェルディの左CK。熊本のクリアを拾ってミドルを撃ったのは誰だったか。ゴール前で平に角度を変えられると、さすがに金井も止められない。

前半終了間際には、素早いパス回しで簡単にアタッキングサードまで持ち込むヴェルディ。高木のドリブルに対してズルズルと下がるだけのDF。PA右まで持ち込むと高木が撃ったシュートはブロックされることなく、ゴール左隅に決まります。

前半のうちに逆転されてしまいました。これは相当のテコ入れをしなければ、何点やられてもおかしくないぞと。それほどにゆるい球際。そしてボールを保持しても、ヴェルディのプレスが早く縦に急げない。アンデルソンにもまったく収まらない。

「後半立ち上がり15分は注意しよう」「攻撃の後のバランスが崩れている。はっきりとしたプレーを」(公式)。そうハーフタイムに指示した清川監督は、まず後半開始から片山に代えて小牧を入れます。そのあとは平繁に代えて清武。最後はテヨンを下げて上原。

しかし、形勢は逆転できない。ディフェンスの出足の遅さは変わらず。成すすべもなく、後半も3失点を重ねます。

「こういうゲームをしてしまった責任は、全部自分にあります。1点取ってからの追加点(が取れなかったこと)は確かにあるんですけれど、負けているチームがするようなプレーではないし、玉際、セカンドボール、戦う姿勢が本当に欠けていたと思います」(熊本蹴球通信)。そう指揮官は試合後語りました。

20160903天皇杯東京V

この日のメンバーは、先週の1回戦のメンバーをベースにしていました。いわば、先発争いかあるいはベンチ入りを争う、そういった選手たち。そんななかで、3つの交代カードについて問われた指揮官は、「最初の片山と小牧、平繁と清武については次のゲームもあるので」「テヨンについては連戦の部分で体力的に落ちて」きたからと言う。われわれも試合中に気付いていましたが、レギュラークラスの選手には、90分間走らせませんでした。

もちろん、それは連戦のなかでのマネージメント。今の熊本の台所事情なのですが…。

先週は「数々の”秘密兵器”を、公式戦の辛勝とはいえ実戦で試せたことは、今後間違いなくチームのためになりました」と書きました。指揮官は「総動員でこの連戦を乗り切っていかなきゃいけない」とも言った。

しかし、ボールを保持できた先週と違って、この試合はリーグ戦でしのぎを削る同カテゴリーの相手。そのなかで、清川監督は試合に絡めていない選手たちのモチベーションに期待しましたが、”戦う姿勢が見えなかった”と嘆きます。

だが、ヴェルディの”伝統的な”ボール回しのうまさに対して組織的な守備ができない選手たち。ここまでサッカーの質の部分で差をみせつけられると、この試合のイレブンだけでなく、それを含めた熊本のチーム力の”ベースの部分”に差があると思わざるをえませんでした。

確かに次々とやってくる試合日程。この連戦のなかで、練習試合を組めないどころか、コンディション調整に追われて戦術練習もままならないのかも知れない。ひょっとしたら指揮官は、敵のスカウティングもままならないのかも。

「責任は全部自分にある」。責任を一身に背負う。それはこの世界、監督として当然の責務です。しかし、今シーズンのスタート時、あれほど宣伝された「3S体制」ではなかったか。この苦しい状況のなかで、財前ヘッドコーチは、久藤コーチは、どう考え、どんな具体的役割で監督を補佐しているのでしょうか。決して厚いとは言えない選手層のチームにもかかわらず、集団指導体制のコーチ陣はそれなりの戦力と思っていましたが。それでも対応が難しい事態なのか?そろそろそのあたりについても報道陣には掘り下げてほしい。一ファンとして、とても気になっているところです。

8月31日(水)
【J2第11節】(うまスタ)
熊本 1-2(前半1-0)愛媛
<得点者>
[熊]菅沼実(28分)
[愛]白井康介(54分)、藤田息吹(88分)
<警告>
[熊]植田龍仁朗(45分)、キム・テヨン(75分)
[愛]小島秀仁(20分)
観衆:2,562人
主審:岡宏道


リーグ戦だけでいえば3連敗になりました。ホームで逆転負け。いかんですね。

震災後のスキップした5試合のうちのひとつ愛媛戦は、ミッドウィーク水曜日の開催。天皇杯を挟んでの連戦です。

熊本は3日前の天皇杯1回戦と同じスタメンは高柳と上原のみ。内容のよかった先週の札幌戦のメンバーをベースにした陣容にも思えました。

愛媛は勝ち点36で13位。ここ4試合は引き分けが続いている。

20160831愛媛

熊日も含めて多くの報道は、試合前半の熊本は悪くなかったという戦評ですが、それは、地上波放送初登場の解説・瀧上氏のいつにないポジティブな解説と、押されつつもしぶとく凌いで奪った先制点の印象がそうさせるのではなかろうかと。心配性のわれわれは、逆に試合開始からの愛媛の激しいプレス、DFの出足の早さ、切り替えの早さに苦しむ姿に不安を感じていました。

そんななかの28分、若杉の右サイドでのパスから藏川がえぐってマイナス。高柳のミドルシュートを、ゴール前の菅沼が角度を変えてゴール。確かに素晴らしいゴールシーン。この日からようやく開放された真っ赤なゴール裏が、一気に沸きあがりました。

しかし前半アディッショナルタイムには、愛媛・西田が胸トラップからシュート。これはバーが撥ね返してくれ胸をなでおろす。危ない。

やはり問題は、後半の悪さでした。それにはいくつかの要因があったと思います。

「前線のアクション、サポートをもっと増やしていこう」(公式)。「ボールをもっと早く回せ」(スカパー)と、ハーフタイムでギアを一段上げた愛媛・木山監督に対して、そこまでの意識は、熊本にはなかったのではないでしょうか。清川監督いわく「後半、相手に押し込まれた時の全体として押し上げきれないところで失点して」(公式)しまいます。

54分、白井がアタッキングサード左からカットイン。一度Pアーク付近で藤田とワンツーすると、さらに右に回ってコースが見えると撃った。カーブを掛けてゴール右上角に突き刺します。

「1点目の失点は守れないゴールではないし、全体としてあそこで押し上げることができれば、競った点数でもあるので、本当に悔しい失点」(公式)と、指揮官は悔やみます。確かに、なんとなくなんとなく。誰もプレスにいかずにフリーで撃たせる。そうそう入るシュートではないとはいえ、足りている人数のなか、フリーで撃たせるのもどうかしている。隙があったということなんでしょうが。

このあと、植田が傷んで薗田という交代カードを先に切らなければいけなかったのがこの試合一番のアクシデントでした。想定外だったでしょう。

すぐあとの熊本の左CKは菅沼。GKが弾いたところをうまく巻が押し込むのですが主審の笛が鳴ってファールの判定。リプレーを見ても何がファールだったのか。これまで、あまり判定に異議を唱えてこなかったわれわれですが、これは全く納得のいかないものでした。判定ひとつでゲームが別のものになってしまいました。覆ることはないとわかっていますが、せめてどのプレーなのか説明くらいは聞きたいものです。

1-1。このイーブンの状態で、熊本は既にアクシデントで1枚カードを切らざるを得なかった。胸をなでおろした愛媛は、試合を動かすために、先に攻撃の手を打ってきました。西田に代えて阪野を投入。

それに対して熊本は巻に代えて清武。「いいタイミング」だと瀧上氏は言いますが、どうも後手に感じる。愛媛の圧力に押し込まれると、DFと前線との距離が空いてしまって、後方からのパスもカットされる。

愛媛は更に先手。河原に代えて鈴木。右SBに入った鈴木がそのスピードで突破。薗田が競り負ける。右サイド奥をえぐってのクロス。ニアで藤田がダイビングヘッドで押し込み、逆転弾とします。

熊本はすぐそのあとに岡本に代えて嶋田を投入しますが、それも活性剤にはならない。逆転に成功した愛媛の勢いは収まりません。最後はFW瀬沼をDF西岡に代えて、ゲームをきれいにクローズしました。

何と言うべきか。まず、植田に代えての薗田の交代カード。これは想定外だったはず。このあとに、愛媛に先に攻撃的交代カードを切られてから、熊本は後手後手の対応に。そのカードも奏功したとは決していえなかったわけですが。

それにしても、巻に代えて清武。岡本に代えて嶋田。という、誰もがベンチメンバーを見たら、ああそうだろうなというカード。定石というか、教科書どおりとでもいうのか、ベンチメンバーを見れば試合の前からそうだろうとわかっていたような交代カードが、予想どおりに切られて行って…。

というより前に、選んだベンチメンバーに、FWがいない。アンデルソン、齋藤、八久保…。試合展開によって、そんなオプションを用意する考慮は全くしなかったのでしょうか。それとも選手コンディションの問題なのでしょうか。

まるで、試合前から交代カードもプランされ、それが頑なに守られているようで、生きもののように変化する試合展開、持ちうる手駒を選りすぐって次の手を打つ。それによる形勢の逆転。押さえ込む、あるいは突き放す。そんなベンチワークの醍醐味が感じられず、それがこの試合、一番の残念でした。

震災後スキップした試合5試合。そのうち4試合をどうにかこうにか消化してきましたが、結果は1分3敗という状況。他チームと比べて、加えた勝ち点は1という厳しい結果です。残すところは来週の横浜戦。これで、他チームとも試合数が並び、そして”暫定順位”ではなくなります。

苦しいチーム事情のなか。とにかく勝ち点1づつでも積み上げたい。今はもうそんな心境です。