10月23日(日)
【J2第37節】(ピカスタ)
讃岐 0-0(前半0-0)熊本
<警告>
[讃]永田亮太(39分)、山本翔平(46分)
観衆:2,524人
主審:上田益也


試合前日。熊日は見出しで「勝利求められる大一番」と書き、清川監督も「讃岐戦の後は上位との3連戦が控えており、今回は勝ち点3を取らないといけない。『大一番』ということは選手も分かっている」と語っていました。

ただ、われわれは元来、このカテゴリーにおいて、勝ってしかるべき相手などいないし、同時に負けると決まっている相手もいないと思っている。勝機は常におかれた状況において変わってくる、と。しかしながら、そんな中でも、この一戦だけは勝ち点3が欲しい状況であるというのは、誰もが一致するところでした。

しかし、勝ち点35、19位に沈む讃岐にとってもそれは同じでした。その後の5戦の相手を考えても、この熊本との一戦で勝ち点3を奪っておきたい。お互いに降格圏脱出の掛かった必死のゲームでした。

そんな讃岐は、清川監督のスカウティングどおり、DFラインからのロングボールを多用して押し込んできます。そして、セカンドボール争いで見せるハイプレス。

20161023讃岐

わかってはいたものの、熊本もお付き合いしてロングボールの応酬。ただし10分。清武の落とし。讃岐のクリアが小さいところを拾った村上の左45度からのミドルシュート。これはポストに嫌われてしまう。

この試合。本当に惜しいと思ったシーンは、この時と、後半9分の園田のクロスに中央の清武がヘッドで合わせたシーンぐらいでしたか。あとは、トップの清武がボールを持って”溜め”を作ろうとしても讃岐の素早い潰しが入る。仮にキープが出来たとしても、なかなか味方が上がってこない。

ボールホルダーを追い越す場面がない。PAに入っていく人数もいない。攻撃は清武、平繁、齋藤、嶋田の前4人に任せてしまって、あとはミドルを狙うような。重心は常に後ろにあるような戦い。

その間に、捨て身とも言える讃岐の攻勢に晒される。ただただ、讃岐のフィニッシュの精度に助けられているだけ。危ない危ない。

結局、なんとか零封には収めて、勝ち点1を分け合う。

相手の状況に合わせるように終わり、同じようにスコアレスドローの結果になった33節の山形戦のエントリーで、われわれは最後にこう書きました。
「残り試合数が少なくなって、リーグ残留を意識し、今の戦力の現状、これからの対戦相手を考えての戦略なのでしょうか。このあたり。指揮官のコメントだけでなく、その選手選考とシステム、選手交代と戦術。なにか決意していることもあるのかも知れないとも思わないでもない試合。そう感じました」と。

あの時は回りくどい書き方をしましたが、チームはこの状況下において、あの2013年の降格危機に直面した状況と同じ戦略を決意したのではないかと思ったのです。シーズン中盤の7月、降格圏との勝ち点差がわずか4のなか、吉田監督が途中退任して、池谷監督代行が緊急避難的に指揮を取った2013年。あのときの状況。あのときの合言葉が、「勝ち点1(引き分け)をベースにして勝ち点3(勝利)を狙う試合運び」でした。

降格圏という漆黒の闇を覗くような状況。今はまだ勝ち点差6があるけれど。あの年、最後は差”2”まで縮まったときとはまだ差があるにしても。この状況では、本当に勝ち点1すら積み上げるのが難しくなる。チームで一番大事なこと、それはなにより”リーグ残留”だということ。そのために、「勝ち点1を死守する」、そんなゲームプランが”発動”されたことは間違いないのではないかと…。

順位の近い相手には、相手に勝ち点を与えない。特に勝ち点3を…。それが、この終盤での戦略。それがまさしくこの讃岐戦ではなかったかと思わされます。

熊本はこの引き分けで勝ち点1を得て、トータル勝ち点40に乗りました。スカパーのアナウンサーは、その大台への到達を持って熊本残留への確信のようなコメントをする。確かに降格制度が始まったこの4年。勝ち点40での降格はなかったものの…。

監督や選手や。この試合に関しての色々なコメントがあるにせよ、今まさに熊本はこの”残留”という一点で次の5戦に向かっていくのだと思います。1点でも勝ち点を上積みして。あの2013年のように。

そのためには、あるときは全く”面白みのない”試合運びが試されるかも知れない。いや、もう面白いとか、面白くないとか言っている場合ではないでしょう。

まず最初に。
今月15日の熊日朝刊で、荒木時彌さんの訃報に接しました。元県サッカー協会長。大津を“サッカーの町”として発展させた元町長でもあり、この人がいなければ今の大津高校がこんなに強豪校にはなれなかったとも言えます。そしてなにより、株式会社アスリートクラブ熊本の初代社長として、その人望のもとにロッソ熊本(現ロアッソ熊本)の設立に貢献していただきました。2008年5月のエントリーで「初代社長・荒木前サッカー協会長が立ち上がりの急場をしのぐ形で就任されました。健康面の不安もありながら(大津町長を退かれたのもそのあたりがあったと聞いています)、これも本当に無理を押してつないでいただいた。そしていよいよ九州リーグがスタートというタイミングでグランメッセ理事長を満了した前田社長にバトンタッチされた…」と書いています。謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、生前のご労苦に対し衷心から感謝申し上げます。

さて、今節アウェー町田戦は、0-1の敗戦でした。

10月16日(日)
【J2第36節】(町田)
町田 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[町]松本怜大(48分)
<警告>
[町]畠中槙之輔(90分+1)
[熊]齋藤恵太(42分)、巻誠一郎(74分)
観衆:4,218人
主審:上村篤史


20161016町田

試合開始から、右サイドアウトの齊藤のスピードを生かしCKを得る熊本。5分頃には、アーリークロスをワントップの清武が落として、菅沼がDF右の裏に絶妙のスルーパス。齋藤がGKと1対1になるも、このダイレクトシュートを吹かしてしまいます。しかし、前線の3人の距離感はいい。

対する町田も右CKを得ると、一旦ファーに抜けたボールを中島が入れ直す。ヨンアピンの強烈なダイレクトシュートにヒヤリとするものの枠の上に反れました。セットプレーでの得点数は現在リーグ中2位なのだと、スカパーのアナウンサーが紹介する。

すると直後の16分。小谷と植田の間に蹴られたロングボールに、一気に加速して駆け込んだ仲川のスピードに慌てた小谷が、エリア内で倒してPKの判定。キッカーは場数を踏んだ中島でしたが、これをGK佐藤がぴったりと読み、左に飛んだ。しっかりとキャッチして町田の先制点を阻止します。

これで勢いに乗るのは熊本の方のはずだったのですが、町田の厳しいプレスに押し込まれる時間が続く。バイタルで人数を掛けて細かいパスで崩そうとする町田。仲川の速さに手こずる小谷。そんな前半でした。

「フィニッシュで終わろう」。そんな敵将・相馬監督のハーフタイムでの指示が効いたのでしょうか。後半開始早々の町田のポゼッションのなか、クロスをパンチングで跳ね返す佐藤。何度も拾いなおして入れ続ける町田に、ゴール前、体制を立て直そうとする佐藤でしたが、左45度の角度から町田・松本が、思い切りミドルで振りぬくと、ゴール右隅に決まってしまいます。

その後、熊本は嶋田を入れ、巻を入れ、最後は平繁を投入して、アディッショナルタイム4分が終わるまで惜しいシーンを演出し、最後のCKでは佐藤まで上がって攻撃しますが、結局この1点が、結果的に決勝点となってしまい敗れました。

この敗戦により順位は17位に後退。6位京都との勝ち点差が20に広がり、今シーズンのプレイオフ進出の目がなくなっただけでなく、21位北九州、22位金沢との差も6に縮まってしまいました。

これからは(これからも)1戦1戦、薄氷を踏む思いの戦いが続く。

これももう7年前のエントリーになりますが、日経の名コラム、吉田誠一さんの「フットボールの熱源」から引用した文章を思い出しました。

JリーグのGM講座で講師を務めたリバプール大学のローガン・テイラー博士が「プロサッカークラブは観客に何を売っていると思いますか」と受講生に尋ねる。博士の答えは逆説的。「プロサッカークラブは苦痛を売っているんですよ」と。吉田さんはこう続けます。「支持するチームが先制されれば、サポーターは心を痛める。負ければ、なおのこと。リードしていても、『追いつかれるのではないだろうか』とひやひやする。勝ったとしても、『次は鹿島戦かよ』と心配になり、『こんなことで1部に残留できるのだろうか』と思い悩む。いつになっても心は休まらず、苦しみは続く。」それでも「それがわかっていても、またスタジアムを訪れる。」

しかし、受講者はある思いに至ります。「苦痛を感じてくれるのは、そこに愛があるから」だと。

2009年のあの頃も、相当の”苦痛”を感じていたからのエントリーでしょう。あれからも色々なことがあり、2013年も降格圏を彷徨い、財務状況からクラブ消滅の危機にも遭遇した。

そして今季、熊本を廻る”未曾有の出来事”の状況下で迎えるこの”苦痛”。それはまさしくホームクラブへの”愛”との裏返しに違いありませんね。

荒木さんをはじめ、先人たちの努力があって出来上がったJリーグ100年構想のクラブのひとつわが熊本。引き継いでいくわれわれは、この”苦痛”から逃れようとすることは決してできない。ここから残り6試合を懸命に応援する。ただただそれだけです。

10月8日(土)
【J2第35節】(うまスタ)
熊本 1-1(前半1-0)群馬
<得点者>
[熊]清武功暉(21分)
[群]パク・ゴン(50分)
<警告>
[熊]園田拓也(6分)
[群]松下裕樹(53分)、イ・ガンウ(86分)
観衆:4,281人
主審:藤田和也


エース清武の、ようやくの復活弾ともいえる先制点がありましたが、それを活かせずドローに終わりました。勝ち点1差に追随する群馬を、この試合で引き離したかった。

キックオフの頃から雨が降り出したこの日のうまスタでした。群馬はオーソドックスな4-4-2の布陣。チームのトップスコアラーで11得点を誇る瀬川が、2トップの一角を張る。

熊本はこの日も4-1-4-1。ただし2列目は中山ではなく村上が初先発。ゲーム体力がついてきたということか。瀬川を警戒してのことか。

20161008群馬

序盤は互角。群馬が左サイド松下のファーを狙ったFKから坪内がエンドラインぎりぎりにスライディングしてのシュートは枠の右に外れ、熊本はスローインからもらった園田のクロス。クリアを拾った上村のシュートは枠の上。

この日光ったのは右サイドワイドの齋藤。カウンターから駆け上がる。速い。相手DFを追い抜いてマイボールにしたシュートは惜しくもブロックされますが、スピードとパワーを活かして群馬の守りを脅かします。

先制点もその齋藤のカウンターからでした。群馬のCKをクリアすると齋藤が左から持ち上がる。上村、村上と繋ぐと、村上は右から上がってきた菅沼へ。菅沼が間髪を入れずクロスを入れると、ゴール前の清武が頭で反らしてねじ込みました。

清武にしてみれば8試合ぶりのゴール。ここまで何度も決定的な場面はあったものの、ここにきて何故か入らない。長いトンネル。エースとしての重圧。「入ってほっとした」(熊日)と言う。ようやく二桁に乗せてくれました。

喜びに湧き上がるスタンドを背にしたチームの守備も完璧でした。セットされたラインが、よくスライドし、縦にボールが入るところでは出足早くチェックする。そこから奪って鋭くカウンター。後方からも追い越して、好機を何度も作ります。

園田が右サイド上がってグランダーのクロス。これはニアでDFに阻まれ前半を終えます。

しかし雨脚が強くなった後半、群馬は服部監督の檄を受けてギアを上げてきた。

カウンターから群馬の舩津が右サイドを駆け上がる。アタッキングサードに入る直前でブロックする熊本。こぼれたボールを「相手に当てて出そう」(熊日)とした村上のクリアは、シュート性になって自陣ゴールに向かってしまう。ポストに当たってエンドを割り事なきを得ましたが、あわやオウンゴールかと肝を冷やしました。そこから続くCKでした。

50分。右からの松下のCKをニアサイドのパク・ゴンが頭で叩きつけると、テヨンの足に当たってゴールを割ってしまう。

同点に追いついて勢いづく群馬に、熊本はこのあともヒヤリとする場面が続きます。鋭い前からのプレスに植田がボールを奪われると、常盤がループで狙う。CKのクリアが小さいところをグラウンダーのダイレクトシュートで狙われるがなんとかブロックする。

激しい雨で”重馬場”になったピッチが選手たちを疲れさせたのか。前半飛ばしすぎたのか。後手を踏む熊本は、セカンドをことごとく奪われ、押し込まれる。奪って組み立てる一歩目のパスを相手に渡してしまうので、また守りなおさなければならない。体力の消耗も激しい。

常盤を下げて吉濱を入れ、たたみ掛ける群馬。対する熊本も、菅沼に代えて嶋田を投入。反攻を託します。

雨足は更に更に激しく、容赦なく選手たちを打つ。そして90分のなかで一番きつい時間帯。熊本は上村を下げて巻を投入。群馬は小林に代えてイ・ガンウを前線に。互いに欲しいのは勝ち点3。

中盤で村上がスライディングで奪うと、今度は群馬・松下が同じくスライディングで奪い返す。ゲームは、次第にオープンな展開になるなか、アディッショナルタイムを迎えます。

ロングボールを巻が落として自ら入れる。岡本が更にえぐってクロスを入れますがクリアされる。その流れのなかでした。拾ったテヨンが左にはたくと、上原のアーリークロスはファーサイド大外に構えていた巻のところへ。相手DFの上から叩きつけてゴールイン。一気に湧き上がるスタジアム。われわれも「これで勝った!」とばかりに、立ち上がり、タオルマフラーをぐるぐる回したのですが。

短い主審の笛が何度も鳴らされると、なんとノーゴールの判定。認められません。

「『僕自身、あの形でご飯を食べてきた。確信はあったのに』と苦笑いを浮かべた」(熊日)という巻。ビデオで見返してみましたが、ヘディングの前、手を使って相手DFを制したということなのでしょうか。

井芹さんが「熊本蹴球通信」で書くとおり「死闘」と言えました。その後も群馬の波状攻撃を、身体を投げ出して何度もブロックし、ゴールを死守した熊本の選手たちに、試合後スタンドからは大きな拍手が送られました。

互いに欲しかった勝ち点3。しかし同時に相手に絶対渡したくなかった勝ち点3。大雨のコンディションのなか勝ち点1を分け合う”痛みわけ”に終わりました。

思えば、前半のうちに飛ばして先制点を奪い、後半を凌いでいくというゲームプランと展開は、うちらしさが戻ってきたとも言えるかも知れません。熊本はそこまでチームとして”戻って”きたのだと。

残り7試合。まだまだ上位陣との対戦を数多く残している熊本にとって、楽観は許されない状況が続きますが、エース清武の復活弾もあり、4-1-4-1も板に付いてきた。通常の試合スケジュールに戻ってからは4試合負けなし。毎試合、勝ち点1ずつでも上積みして、なんとか早く残留の資格を掴み取りたいものです。


10月2日(日)
【J2第34節】(下関)
山口 0-2(前半0-2)熊本
<得点者>
[熊]菅沼実(10分)、植田龍仁朗(33分)
<警告>
[山]ユン・シンヨン(43分)、三幸秀稔(90分+4)
観衆:7,609人
主審:三上正一郎


やりましたね。8試合ぶりの勝ち点3。しかも完封勝利です。

思えば4月9日の前回対戦のこの山口戦が、震災前の最後の試合。そしてそれは1-2の敗戦でした。7節にして順位は5位。しかし、スカパー実況の山崎アナの「もう連敗は許されない試合!」という絶叫に、まだまだ長いシーズンのなかで「『もう』とはどこからくる感覚なのか。」と、その試合のエントリーで苦言を呈しています。あれから色々なことがありましたが。17位の順位で迎えた今節。遠い昔のような感覚にも襲われます。

山口は、6試合勝利から遠ざかっており現在10位。一時期の勢いはないものの、前節も岐阜に2-3まで追いつく得点力はあなどれない。警戒すべきはボランチの庄司と三幸が作る攻撃。そして前線の中山の決定力。

対する熊本は、今節も4-1-4-1。ただし前線右サイドには齋藤を先発させる。J3対戦時に、山口相手に2得点している齋藤。そのイメージで山口に警戒させる意図もあったのかと。

20161002山口

山口のボールでキックオフ。2人でドリブルで持ち上がろうと試みる。”らしさ”を見せる山口に、熊本のボランチ上村は「『やっぱり、こうくるのか』と感じたという」。(熊本蹴球通信)「庄司と三幸の両ボランチにパスを出させない、ゲームを作らせないことを念頭においてゲームに入ったが、このファーストプレーでその意識がいっそう強くなった」と。

入りから飛ばしてきた山口は、左サイドを抜き去りクロス。抜けたところで右サイド拾ってバイタル右からグラウンダーで入れる。島屋がDFラインの前で受けると反転。迷わず右足を振りぬいた。ひやりとしましたが枠の右にそれます。

ただ熊本も、右サイド奥に送られたボールを齋藤が粘り強く奪って、エンドラインぎりぎりからクロスを送ると、ゴール前清武はダイレクトボレーシュート。惜しくもこれは大きく枠の上に外れましたが、「立ち上がりから構えることなく、アグレッシブにボールに行って、自分たちのプレーをしようということで」(公式)と清川監督が言うように、コンパクトな陣形から奪ってチャンスを作って押し込みます。

その姿勢が”実った”のが1点目。一旦DFラインまで下げたボールを植田がロングで放り込んだ。山口のDFとGKがお見合いするように重なり、DFのヘッドのクリアは真上に大きく上がる。菅沼が落下点に入り、クリアしようとしたGKのファンブルを誘うと、バイシクルシュートのように反転してシュート。ゴール枠に収めます。開始10分の早い時間帯でした。

キーパーチャージという反則はもうありませんが、GKがもんどりうったら、大半の場合攻撃側にファールの笛が吹かれる。キーパー側が守られる印象が強い。しかしこの場面、落下地点に先に入っているのは菅沼。あとから入ったGK一森が、菅沼のブロックに横転しただけでした。三上主審の目は確かでしたね。

その後も右サイドで上村が敵DFに挟まれるなか粘って反転切り返しから齋藤が縦に入ってエリアに侵入。シュートは惜しくも枠の上でしたが、山口の守備を大いに脅かします。

山口の攻撃に関しては、上村と中山で庄司と三幸を警戒すると、テヨンが前線に入るボールのコースを消し、CBの小谷と植田がCFに入るくさびのボールを潰す。山口の得意な、DF裏へのダイレクトパスを予測して対応する。山口に攻撃されても、フィニッシュ(シュート)まで行かせない守備を徹底していました。

33分。熊本の右CK。清武のボールは、ニアの植田の高い打点にピンポイントで合うと、反らしたボールはゴールイン。GK一歩も動けず追加点を上げ、前半のうちに2点差とします。山口は高さに弱点がありました。

しかし、指揮官はハーフタイムで「次の点を取るか、取られるかでわかれるぞ!」と、選手たちを叱咤します。2-0がサッカーで一番危ない点差。それを知ってのこと。前回対戦では、全く逆のシチュエーションでした。あのときは熊本が1点を返した。しかし敗れた。

後半のカギは、いかに陣形をコンパクトに保てるか。熊本は中盤を引き締めるために、この試合も中盤の中山に代えて村上を入れる。山口が福満に代えて岸田を入れ、中山との2トップにすると、さすがに山口に一方的に攻められ始めます。前半、面白いように転がってきたセカンドボールも、一向に取れなくなってくる。同じ頃に、頼みの清武が足を攣る。走れなくなる。

ここで我慢してラインを上げる必要がある。それが熊本の勝利の条件でした。ただ、見ていてわれわれは何故か負ける気がしなかった。勝気に逸る山口に、何故かゴールを割られる気がしなかった。前節、前々節に無失点で凌いだ長い長い時間を思えば、この後半くらいだったら自信を持って守りきれる時間に感じたのです。勝ち点1に終わった前の2試合がこの日は勝ち点3を確信させてくれました。

4-1-4-1なら守れる。失点しない。その自信は4試合目にして勝ち点3を呼び込みました。リーグ有数の攻撃力、得点力を誇る山口を零封。これはなにものにも替え難い、この時期の成果に違いありません。

順位は15位に上げ、降格圏21位金沢との勝ち点差は8となりましたが、残りゲームはあと8試合もあります。まだまだ安全圏と言える状況ではありませんが、3試合連続の無失点。ひところのチームコンディション問題も上向いてきた手応えがあり、この勝利の価値は小さくありません。ちょっとした転機になったゲームかもしれません。われわれは、今しばらくこの余韻に浸りたい気持ちです。