2017.04.25 連勝。金沢戦
4月23日(日)
【J2第9節】(石川西部)
金沢 0-2(前半0-0)熊本
<得点者>
[熊]グスタボ(70分)、嶋田慎太郎(87分)
<警告>
[熊]片山奨典(57分)
観衆:3,322人
主審:井上知大


「最初に風上を取ろうと話していたが、コイントスで取れなかったので前半は耐える展開になると予想していた。その前半を耐えられたことが勝利につながった」(熊日・GK佐藤談)。

一番後ろから見ていた、佐藤の冷静なコメントがこの日の試合内容を端的に表しているようで。それにしても、色々と難しいことの多かったこの試合を、よく勝利しました。

もちろん佐藤が言うように風下になった前半の難しさもあった。その風に乗じて金沢は前節の敗戦を挽回すべく、これまでホームでは無敗という自信をベースに出だしから勢いよく押し込んでくる。

一方の熊本は、前節”特別な日”の勝利で4連敗を止めた。しかし、これがひと仕事を終えた”達成感”になって、どことなくひと安心になってしまっていないか。そんな事情もあり、快勝のあとの指揮官の手綱さばきも、難しいものがあったと思うのです。

システムは互いに4-4-2。完全にミラーゲームですが、マンツーマンディフェンスを敷く金沢の方が、やり易さを感じていたでしょう。熊本の2トップは、前節初得点をあげたグスタボ。それに平繁。

20170423金沢

今節、日曜日最後の時間帯の試合であり、終了した他会場の結果を加味すると、金沢は20位、熊本は19位という対戦。互いに2勝2分4敗。今季から経験豊富な柳下監督が率いている。負けた方が20位に確定する。

セカンドボールを拾い、金沢のプレスをうまく剥いでボールを進める。それが清川・熊本の狙いでしたが、金沢の球際の強さに後手を踏む。セカンドは金沢に収まり、ボールを動かしてゴール前に運ぶ。熊本も村上のミドルや、嶋田のバー直撃のシュートなど惜しい場面を作りますが、やや防戦の雰囲気。

そして、この日のDAZNの中継。実況のアナウンサーや解説の佐藤悠介氏が、金沢の出来を誉めるに誉める。けれど、ホームとはいえ「これぐらいのプレーで、ここまで”手放し”で誉めるかなぁ」という違和感。そして、この二人がホーム金沢を誉めれば誉めるほど、何故か「勝機があるな」と思えてくるのでした。記憶は確かではありませんが、いつか栃木に勝ったときも、こんなちょっと偏った解説があったあとだったような気がして・・・。

そういう意味では、落ち着いて見ていたかも知れませんね。金沢がボール支配率は上回っていましたが、コースは切れて、枠は外れていた。唯一ヒヤリとしたのは前半終了間際、金沢が左サイドを抜けて入れたクロス。ニアでFW佐藤が角度を変えた。中央に走り込んだ大槻のタイミングはドンピシャ。しかしシュートは片山がブロックしました。

そんな前半を評して、柳下監督は「悪くはないけど、難しいゲームになると思う」と言って控え室に去る(DAZN)。試合展開の”臭い”を感じていたようです。

後半風上に立った熊本が押し込む。バックパスに球際厳しく金沢が行く。よくセカンドを拾って作り直している。

金沢のFW中美をべた褒めの解説・佐藤氏。「あとは得点だけ」。しかし柳下監督が、その中美を下げて山崎を入れると「中美はまだ出来た感じがしましたけどね」と。かみ合わない…。

熊本は平繁に代えて巻。このシーズン、巻の役割が際立っているような気がします。ターゲットとして前線に張るだけではない。中盤に落ちてきて、敵のCBやボランチを引き寄せ、潰れ役になってボールを繋ぐ。そしてそれがチャンスに繋がる。

先制点はカウンター攻撃でした。自陣深くから村上が出すと、巻がヘッドで繋ぐ。一旦金沢のDFにカットされますが、このバックパスにグスタボが追いつく。奪ってドリブルで運ぶと背走するのは廣井。グスタボはPAに侵入するや否や意表を突いて左足トゥキックのシュート。これが廣井の股を抜いて、ゴールニアサイドに突き刺さります。我慢に我慢を重ね、ワンチャンスをものにした先制点でした。

前節に続き連続得点で、その能力を見せ付けたグスタボでしたが、この1週間の練習では”心配”もありました。水曜日の練習では清川監督からの説教をくらいます。「気が緩んでいて、あまりによくなかったので練習を止めさせた。そのまま帰らそうかと思ったくらい。(トレーニング中の通訳を兼ねる)フィジカルコーチを通じて説教した」(くまにちコム・がんばれロアッソ熊本!)。
調子に乗ればどこまでも乗る。乗らない場合との波の激しいブラジル人気質。ここでも、ちょっと難しいマネジメントを清川監督がやっていたことがわかります。その結果が、この日の連続ゴールなのだと。

セカンドボールが熊本に収まり始める。それまで勢いのあった金沢がなんだかモタモタしてきた。熊本は黒木のところに小谷を入れた。怪我から復帰してきた小谷でしたが、右SBはぶっつけ本番。しかし、この起用に応えるように要所で金沢の攻撃の芽を摘む。非常に効いている。

この1点をなんとか守りきりたい。そう思っていた終了間際の87分。中盤で奪って嶋田がはたくようにグスタボへ渡す。グスタボは縦にドリブル。金沢のDFが慌てて背走すると、グスタボはエリアの前で追走してきた中央の嶋田へ折り返す。背後を抜けたパスに、回り込みなおした嶋田が冷静に左足で蹴りこむ。きっちりと追加点にします。さすがの解説の佐藤氏も、もう黙り込むしかありませんでした。

強引に撃つこともできたグスタボ。人を使うことも出来る視野を披露してアシストを付けました。

9節にしてアウェー初勝利。そして今シーズン初の連勝。それも2試合連続でのクリーンシートによる勝利。これは大きな自信になるに違いありません。それも、ピンチを凌いで凌いで、粘り強く戦って”勝機”を掴んだゲーム運びの勝利。順位はまだまだ17位ですが、中位はもちろん、上位もうかがえる状況です。

終了間際には、モルベッキも試せた。これから迎えるGWの連戦。総力戦のなか、多くのタレントの力が必要です。次はどの選手が活躍するのか。期待が膨らんできます。

4月16日(日)
【J2第8節】(えがおS)
熊本 2-0(前半1-0)松本
<得点者>
[熊]グスタボ(7分)、上里一将(81分)
<警告>
[熊]園田拓也(53分)、齋藤恵太(85分)
[松]石原崇兆(23分)
観衆:13,990人
主審:佐藤隆治

「特別な日だけれども松本を倒さなければ特別な日に何もならない」。

この試合を迎えるにあたって、清川監督はそう選手たちに話したそうです(熊本蹴球通信)。
熊本地震・本震からちょうど1年を迎えたこの日、熊本はホームえがお健康スタジアムで「復興支援マッチ」と銘打ち、5位に位置する松本山雅と戦いました。熊本は4連敗中で20位。

前週のなでしこジャパンのコスタリカ戦からえがおスタがバックスタンドも含めて全面利用可能に。「バックスタンド側のサイドを駆け上がるときに力がでない」と言っていたのは巻。この日、解放されたバックスタンドをサポーターたちが美しい赤で染め上げ、ようやく震災前のスタジアムの景色が戻ってきたのです。

しかし最初に断っておかなければいけません。この大事な試合の時間に、われわれは別の場所での復興イベントに狩り出されていて、スタジアムに行けていません。だから楽しみにしていたOB戦も、数々のイベントも、松本サポが掲げてくれたメッセージ横断幕も、先制点の喜びも、勝利のカモン!ロッソも、感動的な全ての事柄が、ネットらやDAZNでの後追い、追体験でした。なんとも悔しい思いですが、もうひとつの“特別な場所”でこの1年に想いをいたしながら、暇をみてはtwitterで試合の展開をハラハラしながら追いかけていたのでした。

20170416松本

システムを4-4-2に戻して2トップの一角にグスタボを初先発させた清川監督。その選択が早々に奏功しましたね。まだ互いに様子見の様相を呈していた開始7分。DFラインからのロングパスをジャンプして胸トラップした安が、キープしながら誰も寄せてこないとみると、挨拶代わりのようなミドルシュートを試みる。松本DF飯田が遮りますが、こぼれ球をすぐグスタボが拾って縦に侵入。「相手のGKが準備する前にできるだけ早く打つ」(熊日)ことだけ考えたグスタボの強烈シュートがゴールネットに突き刺さります。自身Jリーグ初ゴール。

そのときのスタジアムはどれほどの歓声だったのでしょう。われわれだったら、もう既に涙目になっていたかも知れない。

「難しい試合。われわれの力を100%発揮してゲームプランどおりの試合がしたい」(DAZN)と戦前語っていた反町監督。そのゲームプランはこれで少し修正が必要になっただろうが、しかし、智将率いる松本相手に1得点だけでは、全く心もとない。

バイタルでダイレクトパス。一発でDF裏に松本FW高崎が抜け出しますが、GK佐藤の頭を越える狙いのシュートはバーを越えて、胸を撫で下ろす。

安が痛んで前半のうちに交代を余儀なくされる。代わって入った巻が自陣深くでボールを奪うと前線のグスタボへ。グスタボのドリブルでのエリア侵入に、松本DFが5人も取り囲む。続いてもトラップして前を向いたら素早く右45度から打つ。得点をとって明らかに“乗って”きたグスタボ。松本はこのデータの少ないブラジル人FWに手を焼いているように見えました。

そのグスタボも後半足を攣ると71分齊藤に交代。松本はその少し前、セルジーニョに代えて三島。後藤に代えて岡本。

75分頃、この試合終始、厄介だった石原が左サイドを崩してのクロス。三島のヘッドはバーに嫌われ、こぼれを高崎が更にヘディングで襲いますが枠の上。この試合の最大のピンチだったかも知れません。

熊本は疲れの見えた林に代えて光永を入れ、嶋田と左右を入れ替えた。「守備の部分で光永の運動量を期待して、守備から出て行くこともできる選手なので、守備から攻撃というバランスを崩さないようにということで投入し」たという指揮官(熊本蹴球通信)。その期待どおり、光永は何度も左サイド奥で粘ってCKのチャンスを取る。ユーティリティ性もさることながら、このスキルの高さが監督の信頼を掴んでいるように思えます。

そして81分。齋藤が倒されて得たFK。上里の左足から放たれたボールは、ゴール前に飛び込んだ巻、園田の頭をかすめて、前に出られなかったGKの手も届かないゴール左隅に転がり込みます。大きな大きな2点目。ようやく突き放す追加点。

そして気の遠くなるように長い長いアディッショナルタイム5分を凌ぎきると、1万3千人以上のファンが、この特別な日の勝利をもぎ取ったのでした。

「やはり、たくさんのお客さんによる熱がスタジアムに降り注いだという感じですね」。敗戦の将・反町監督はそう言う。「主導してボールを動かせている時に何が出来たのかということに尽きる」と反省する。DAZNによれば試合を通じてのボール支配率は熊本の41%に対して、松本の59%。ただ、確かに松本にボールを持たれている時間は長くも感じましたが、今日は”持たせている”感じもした。それは「プレッシャーをかける場面と引き込む場面のメリハリを付けて、後半も良い形で得点を奪えました」(熊本蹴球通信)という清川監督の言葉にも通じるところでした。

この日の嶋田の表情もまた違っていましたね。鬼気迫るとも言えるような。何度チャンスに絡み、何度ゴールを目指したでしょうか。得点こそなりませんでしたが、「ファンや家族のことを思い、感謝をプレーで表現したかった」(熊日)という言葉は、その言葉以上に益城町出身ならではの重さがありました。

前震から1年、14日付の熊日に、この人の取材が大きく報じられていました。このブログの古くからの読者なら覚えていただいている名前かも知れません。床屋のイサムちゃん、その人でした。

「解体も、建て替えも、仮設商店への入居も、計画は全てキャンセル。やることなすこと裏目に出てしまった」と悔やむ。「将来を考えると酒量が増える」とうめくように言う(熊日)。

サッカー好きのイサムちゃん。ロアッソのことも大好きなイサムちゃん。この試合をどこかで観ていたのだろうか…。

この”特別な日”で掴み取った勝利。それは「4連敗を脱して、流れに乗るにはもってこいの相手」(安)でもあった強豪・松本から奪った勝ち点3。しかも今季初の完封勝利が花を添えました。

それは”特別な力”だったのかも知れません。この日を迎えるに当たっての選手たちの思いと、1万人以上のファンの思いが結集したホームの力だったのかも知れない。けれどそれが特別なアドレナリンの力だけで勝ったわけではないとも思いたい。

震災からちょうど1年。記念の日の試合。この勝利をもちろん深く心に刻みたい。しかし、それと同時に、復興の過程もまだ道半ばならば、ロアッソ熊本の”躍進”もまた道半ば。イサムちゃんだって、われわれだって同じ。道半ばなのではないでしょうか。

今日の勝利にとりあえずホッとして、大いに歓喜して。そして次に進む通過点のひとつにすればいい。さあ前を向きましょう。

4月9日(日)
【J2第7節】(ニンスタ)
愛媛 1-0(前半0-0)熊本
<得点者>
[愛]丹羽詩温(88分)
<警告>
[熊]安柄俊(36分)、村上巧(83分)
観衆:3,766人
主審:清水修平


4連敗です。キーボードに向かう気持ちも晴れません。

色々な疑問符が浮かびます。何故4-1-4-1の布陣で、しかもアンカーの位置に上里なのでしょうか。中盤が厚い3-4-2-1の相手に対して、上里の両脇をケアするためでしょうか。しかし、どうしても上里が敵ゴールから遠くなってしまって攻撃の起点が作れない。

「プレスに行くところと、行かないところを整理・意思共有したい」という話は聞いていましたが、今日は終始セットした状態に見えたのはなぜでしょう。愛媛のボール回しが巧みで、押し込まれる時間帯が続いたからそう見えたのでしょうか。

「クロスからの失点が多かったので、そこを修正してきた」「無失点で勝ち点を持ち帰りたい」と言っていた清川監督。打てども打てども入らずに、その間失点を積み重ねた前節の反省からだとは理解できますが、思いのほか今日は守備に重心が置かれていたように感じます。両SBが高い位置をとるシーンも少なく、片山もアーリークロス一辺倒。

DFラインは長い故障からようやく帰ってきて今季初先発となった植田に託すところが大きかったのでしょう。その期待どおり、愛媛の猛攻を粘り強くブロックし、最後のところではGK佐藤もスーパーセーブでゴールを割らせません。

「前半のシュートチャンスで決めきらず、失点してしまった」(熊日)と清川監督が言うように、26分には村上から斜めに一本のパス。前線に走り込んだ嶋田に収まると、一人交わして左足に持ち替えて強烈なシュート。しかしこれを敵GKパク・ソンスもスーパーセーブ。
これが決まっていればとも言えますが。

その後は守勢一辺倒。中盤から前線にクサビを難なく通し、シャドーの二人が飛び出してくる愛媛に対し、熊本はボールを持っても前が向けず、後ろに戻しては結局アバウトなロングパスを送るばかりで、そのセカンドも拾えない。見ていてもストレスが溜まるばかり。

20170409愛媛

後半アタマから齊藤に代えて巻を安との2トップにした熊本。早速46分には巻が粘ってつなぐと、安がGKと1対1。しかしシュートはブロックされます。

一方の愛媛もすぐ後、ワンタッチパスでDFの裏を取った近藤がシュート。これは佐藤がクリア。熊本に流れを掴ませません。

再び攻勢は愛媛。熊本を自陣にくぎ付けにすると波状攻撃、シュートの雨あられ。しかし(最終的には24本にものぼった)愛媛のシュートも、枠外が多かったり佐藤のタイミングとばっちり合致していたりと、ゴールネットは揺らせない。

終盤75分、78分、86分と愛媛は立て続けに丹羽、小暮、安田と新しい選手を投入する。結局はこれが奏功しましたね。

88分、愛媛は左サイド奥で奪うと、素早く丹羽に付けた。丹羽は更に右サイドにはたく選択もあったが意表を突くように右足を一閃。植田もコースを切っていたのですが、その絶妙のタイミングとここしかないという角度、そして佐藤の伸ばした手の先でバウンドするシュートがゴール右隅に転がり込んでしまいます。コースを切ったと確信していた植田が振り返って驚く。決めた丹羽もルーキーとはいえ、やはりこういうきわどいシュートでないとゴールは割れないというお手本のようでした。

残り10分を切るあたりから熊本は完全に引き分け狙いだったでしょうね。しかし、最後の最後に…。勝ち点1さえも手にすることができず4連敗を喫しました。

ただ、どうしても訝しいのは今日の戦い方、冒頭書いたように、最初から引き分け狙い、アウェーでの勝ち点1を良しとするような戦い方に見えてしまいました。清川監督の口ぶりにも、どうもそんな消極性が感じられ。解説の大西氏も「まずは守備を安定させたいのだろう」と擁護するような…。

結果アウェーでの引き分けなら良しとしましょう。1-0を勝利の美学と捉えていたあの高木監督でさえ、しかしサッカーではアクシデントの1失点が有り得ると計算していた。ならば当然0-0の引き分け狙いなど難しいわけで。

どうもモヤモヤして愚痴っぽいことを長ったらしく書いてしまいました。順位は20位のまま。ただ、まだ何も諦めていませんし諦める必要もありません。次節も応援するのみです。

4月1日(土)
【J2第6節】(豊田ス)
名古屋 5-1(前半3-0)熊本
<得点者>
[名]佐藤寿人(9分)、永井龍(16分)、シモビッチ(37分)、フェリペ・ガルシア2(68分、79分)
[熊]齋藤恵太(65分)
<警告>
[名]杉本竜士(54分)、ワシントン(55分)
観衆:11,554人
主審:清水勇人


彼我の力の差は明らかだったとはいえ、ここまで一方的な結果になるとは。これはもうただただ、”流れ”を掴みきれなかった試合運びの拙さが招いたことだったような気がします。

リーグ公式戦として初めての対戦となる名古屋。向かったアウェーは、国内でも屈指のサッカースタジアムといえる豊田スタジアム。赤に黄色が混じる独特の名古屋カラーで埋め尽くされている。しかし、熊本のゴール裏も結構な数の赤い色が染めている。

この日熊本は名古屋対策として上里をアンカーに置き、安をワントップに据えた4-1-4-1の布陣を敷いてきます。開始早々から押し込んだのは熊本の方でした。

20170401名古屋

1分。DFラインからのロングボールを安が落として齋藤がいきなりGK楢崎と1対1。しかしこのシュートはブロックされる。続いても左からのクロスを落として繋いで右から上がってきた黒木がミドルで撃つ。名古屋の立ち上がりを突いて、熊本が攻勢を強めます。

しかし先制点を奪ったのはそんな劣勢の名古屋の方でした。9分、シモビッチがPAに侵入。クロスは佐藤に繋がる前にクリアしますが、左サイドで拾った杉本が再び入れるとゴール前には名古屋の選手が3人。一旦はGK佐藤がブロックしますが、名古屋FW佐藤寿人のオーバーヘッドシュートが決まってしまいます。これで名古屋が勢いづいた。

先制点を与えても、粘り強く追加点を与えないというのが今シーズンの熊本でしたが、16分には中盤のパスをカットされ素早く名古屋が右のスペースに。走り込んだ永井が切り返すとゴールニアサイドの打ち込み2点目を挙げます。

苦しくなりましたが、サッカーでは2-0が一番危険なスコアとも言われる。次の得点がどちらに転ぶかによって展開は変わってくる。

34分頃、DFラインからのロングボールに片山が追いついてクロス。中央に構えた安の前にDFがそらして安の足には合いませんが、右から上がってきたのは齋藤。しかしこれも合わずにバーの上。決めきれない。

そうするとすぐ後。名古屋・内田の左サイドからDFをかいくぐった侵入からの素早いクロス。中央に陣取ったシモビッチが光永の視界から逃げる動き。光永はニアに入ってきた佐藤に気をとられる。フリーになったシモビッチのシュート。一度はGK佐藤がブロックするものの、再び打ち直して押し込んだ。3点目とします。

劣勢の試合展開でしたが、「決めているか決めていないかだけの差だ」とハーフタイムの清川監督はイレブンを鼓舞し、後半前線に巻を投入。システムも4-4-2に戻します。

決してうまくいってはいませんでした。辛抱しながらボールを繋ごうとしている。しかし、名古屋は受け手のところでパスカットを狙っていた。けれど辛抱強く、まだ熊本は試合を諦めていない。

右サイドを走った齋藤。抉ってクロスでCKを獲得。65分、その右CKは上里。一旦はクリアされたボール。ファーで右足振りぬく。それをGK楢崎がパンチングで逃れる。こぼれたところを齋藤が押し込みます。

1対1を決め切れなったり、チャンスをことごとく潰したりしていた齋藤。しかしここで一人でCKを取って、チャンスを決めた。ようやく1点を返した。汚名挽回の得点。

ただ、さぁこれからと思わせた時間帯。すぐ後、片山が後ろから引っ掛けてファール。名古屋の右サイドからのFK。内田のキックは、途中から入っていたフェルペガルシアの頭にドンピシャに合って、ゴールイン。名古屋が追いすがる熊本を突き放す追加点とし、再び3点差に。

熊本はグスタボを入れる。田中を入れる。グスタボの強引な前を向くプレー、あるいは田中の速さを活かしたカウンターで活路を見出そうとしましたが得点までには至らず。名古屋が、熊本のパスの受け手に厳しくチェックに行って奪う姿勢は終始変わらず。あるいは名古屋の素早いパス回しに、終盤全く着いていけないのが熊本でした。
79分にはカウンターから左サイド駆け上がった八反田のクロスに、フェルペガルシアが頭で反らしてゴール右隅に流し込まれて5点目を献上。試合を決めました。

名古屋はこの勝利で5位から2位に浮上。反してわれわれは15位から20位に沈むことになりました。

まぁ、「次、次」と言うしかないのですが。熊日にも書いてあるとおり、この試合シュート数は熊本が20、名古屋が19だったそうで。そんななかでの5-1というスコア。”決めきれずに”流れを掴み切れなったことがこの大敗に繋がったのは明らかでした。

ただ、名古屋のあのパス回しの早さ、バイタルの崩しはお手本にすべきでしょう。名古屋は点差を受けて、この試合で色々な選手を試す余裕がありました。しかし熊本にとっても、齋藤に初得点が生まれたことはもちろん、グスタボや田中をしっかり実戦で使えたことは、ある意味今後の戦いにおける糧になったかも知れません。

勝ち点は得ませんでした。しかし貴重な経験を積み重ねた試合でした。