5月28日(日)
【J2第16節】(えがおS)
熊本 2-3(前半0-3)水戸
<得点者>
[熊]安柄俊(52分)、林祥太(57分)
[水]林陵平2(25分、28分)、前田大然(37分)
<警告>
[熊]嶋田慎太郎(49分)
[水]前田大然(60分)
観衆:5,300人
主審:小屋幸栄



「自分の伝え方が悪かった」(熊本蹴球通信)。試合後の記者会見で、清川監督はそう反省の弁を述べました。アウェー2連戦で岐阜に勝利し、千葉に引き分け、「戦えている」と書いた矢先にこの敗戦、というより前半3失点。われわれもガッカリしたのですが、指揮官は原因の整理ができているようでした。

20170528水戸

4-4-2のミラーゲーム。ロングボールの応酬で陣地を取り合うような試合の入り方。水戸は前線の前田を狙い、熊本は安を狙う。徐々に水戸がボールを持ち、熊本が熊本らしくカウンター狙いの様相に。安が平繁に預け、右の林に。林が戻して、この試合リーグ戦初出場となった右SBの三鬼が縦に速いパス。平繁がこれに追いつけず。

戦績も全くのイーブンの水戸に対して、この試合もここまでは全く互角のようでもあったのですが。しかし、どこか球際の部分でしょうか、この午後1時キックオフの”暑さ”を考え、消耗しないような戦い方に見えなくもありませんでした。

それは、試合後の植田のコメントで証明されました。「前半は暑さもあって、全部行ってたらもたないので、ある程度持たせてから行くということでやっていた」(熊本蹴球通信)。

「守備に関しての運動量が上がらず」(同)と指揮官は言う。「二度追いなどでもう少しプレッシャーをかけていければ、相手の攻撃の起点にも圧力をかけることができたかな」と。

それが出来ずに25分、奪われた左CK。ニアでクリアを図った片山のヘッドをファーで水戸・林に押し込まれる。すぐあとの28分にはロングボールを左サイドで落とした水戸。それが前線の前田に渡る前に植田がクリアしましたが、それが小さく。林に拾われると思い切りよく左足を振りぬかれ2点目を献上。3点目も前田へのロングボールが園田の頭を越え、前田が収めると園田は対応で出来ず滑る。シュートを一度はGK野村がはじき返すものの、拾いなおした前田。野村の動きを見極めて打ち直します。

ひとつ一つのところでは、選手個人のミスもフォーカスされがちな場面。確かにそれもありますが、しかし、ここまでの事態を招いたのはどうしても局面での球際の緩さに見えました。CBの一角の植田は、「11番(橋本晃司)のところで持たせすぎて、どんどん配球されて。プレッシャーがかからず後ろに下がってしまった」と言う。嶋田は、「なるべく食いつきすぎないようにとは言われていた」「ボランチが持った時には前を向かせないくらいのプレッシャーをかけないといけなかった」と反省する。

林と前田。取るべき人がきっちりと仕事をした水戸に対して、後半熊本はグスタボを投入します。この暑さのなかで、さすがのグスタボも本来のコンディションではないようでしたが、やはりこの人が前を向こうとすると相手のDFも人数を掛けるし、下がらざるを得ない。

52分。熊本のスローインから。片山が左からクロスを送ると、ニアで水戸DFがクリアしきれず中央の安に納まる。これを落ち着いて安がゴールに沈めます。

勢いを持った熊本は57分、右CKからファーサイドの安(それとも水戸・細川か)の折り返しのヘディング。それを中央に陣取った林が頭で反らしてゴールイン。2点目を奪います。

この後は攻勢の奪い合い。1点差に迫られた水戸は船谷を入れてくる。熊本は試合体力を考えたのか三鬼に代えて黒木。林に代えて田中。

1点のビハインドを、大事に水戸が保持しようと図るのに対して、熊本がボールを奪取しても、バックパスで安全策を取ろうとするプレーに対して野次が飛ぶ。「前を向けよ」「ホームだぞ」と。そう、負けている状況。「少しアバウトに入れてもいいとも思うんですけど」とDAZNの解説者もじれったそうに言うように…。

あとはアディッショナルタイム4分をしっかり水戸に守りきられて、熊本が敗戦の笛を聞く。

熊本の敗戦の全てが前半の戦いに集約されるのでしょう。指揮官が描いた「前半凌いで、後半勝負」という狙い(ゲームプラン)は、この午後1時という時間のキックオフ、先発とベンチの布陣、水戸の消耗を想定した交代カードと、理解できなくもないのですが。

「プレスに行くところと、少しブロックを組んで我慢しようといったところのバランスが引き気味で、行きづらくなった原因になってしまったかなと。そこは自分の伝え方が悪くて、重たいような動きになってしまったかなと」と、指揮官は具体的に反省します。

「(3失点は)ディフェンスラインのミスです」と植田は素直に言う。「前から行くと、寄せられなかったときにボランチとDFラインの間が空いてしまって、動かされてセカンドも拾われるから、それだったら行かずに後ろで守ろうというのが、それが持たせすぎちゃったのかなと」。2列目の橋本を自由にさせすぎたというのが、ここに表れます。

指揮官が描いたゲームプランと、その具体的指示。そこに問題があったことは間違いないでしょうね。「自分の伝え方が悪かった」という冒頭の指揮官の言葉が重い。

「そんなに器用なチームではないし、それなら”どっちかに”腹をくくらないと、中途半端になっていたかなと」という植田の反省の弁が、今のチーム状況を物語っているわけで。

さらにコンディションは厳しくなる真夏のサッカー。さぁこの敗戦をどう糧にするのでしょうか。次の試合、真価が問われます。

5月21日(日)
【J2第15節】(フクアリ)
千葉 1-1(前半0-0)熊本
<得点者>
[千]指宿洋史(83分)
[熊]グスタボ(50分)
<警告>
[千]近藤直也(31分)、船山貴之(38分)
観衆:10,068人
主審:大坪博和


惜しかったなぁ…。アディッショナルタイムを入れてもあと10分程度守り切れていれば。熊本はあと一歩のところで連勝を逃してしまいました。

忘れもしない昨年の5月15日。震災で5試合をスキップした熊本が、ようやくリーグ戦に復帰したのが、このフクアリの地でした。今でもあの日の戦いを思い出すと、胸が締め付けられそうになります。あれから1年。変わらぬ黄色一色のスタンドには、あの日と同じ「心は一つ。がまだせ熊本!」の横断幕も。

ホームではいまだ負けなしという千葉。今年は指揮官がファン・エスナイデル氏に変わり、ボール支配にこだわり、より一層攻撃的になっている。ただ、極端に高く敷いたDFラインは、GK佐藤の守備範囲を広くさせ、非常にスリリング。前々節は長崎に5-0で大勝したかと思えば、前節はヴェルディに0-3で敗れるという大波な試合を演じています。

その黄色と緑のユニフォームのプレーヤーのなかに、あの清武がいました。ここまで6得点と、すでにチームの中心選手になっている。

熊本は中3日のスケジュールを考慮し、今節も先発を6人入れ替えました。グスタボ、齊藤、林、村上、片山、園田。

20170521千葉

「ほとんどの試合で支配できている。あとは幼稚なミスをなくしたい」と言うエスナイデル監督に対し、「何とか勝ち点を熊本に持って帰りたい」と清川監督は謙虚な物言い(DAZN)。高い位置からプレスを掛ける熊本は、こぼれ球への反応もよく、グスタボをDF裏へと狙わせる。

徐々にペースを掴んだ千葉が、連続したCKで攻勢を得るものの、ときおり指揮官言うところの“幼稚なミス”もあり。44分、千葉のスローインを奪って前線に一気に送ると、千葉DFが処理にまごつき、グスタボが奪ってシュート。しかしGK佐藤が触って、バーに嫌われました。

つけ入る隙も十分といった感じの前半。DAZNが示す支配率は、前節・岐阜戦と同じように千葉に70%を持っていかれていますが、なぜか前節ほどドキドキせず見ていられる。

後半、千葉は船山に代えて菅嶋、アランダには町田と一気に2枚替え。ギアを上げてきた。開始早々の47分、左サイド清武からの低いアーリークロスをGK野村が弾くと、ファーの指宿に収まる。近距離からのシュートはゴールマウスに立っていた片山がブロック。

すると50分。千葉のスローインを指宿が胸トラップ。戻るボールを更に清武がバックパス。グスタボの飛び出しに、副審はオフサイドの旗を上げますが、主審の笛はない。グスタボは躊躇せずにドリブルで運ぶと、GK佐藤の股を抜いて押し込みゴールが認められる。

騒然とするスタンド。オフサイドの判定を求める千葉の選手たちが主審や副審に詰め寄る。しかし、これは千葉の選手たちのセルフジャッジ。主審はよく見ていました。

熊本は疲れのみえる巻に代えて安。「前で行かずに、相手を少し引き込んだら、プレスがはまりだした」(熊日)と村上が言うように、失点から浮足立った千葉に対して熊本がはめ込み、前線の安に収まれば追加点のチャンスもという展開。

72分、カウンターから林。グスタボに預けてもう一度もらい直すとGKと1対1。浮かせたシュートは、しかしポストのわずか左。このシュートが決まっていれば…。

この攻勢なら行けると思ったのは当然だったかも知れません。熊本は齊藤に代えて上村を投入すると、5-3-2の布陣に変更。中央突破も許さず、クロスも中で跳ね返す。

しかし83分、左から町田が入れたボールを指宿が収めて植田を背負ったPエリア。思わず「反転させるな!」と心の中で叫びましたが、右足を振った指宿のシュートがゴールに突き刺さります。

勢いに乗った千葉がそれ以降も攻め続け、勝ち越しを狙いますが、なんとかそこは守り切った。熊本も得点を諦めてはいませんでしたが、痛み分けといえるドローで終わりました。

「フクアリではいつも以上の力が出る」(DAZN)と戦前語っていた巻は、「最後は相手のスタジアムの雰囲気にのまれた」(熊日)と言う。しかし、もうこの一方的なアウェー感での千葉に対する苦手意識も随分薄らいできています。それは、あの記念すべき試合の場所であり、あの横断幕のせいもあるかも知れない。

赤いサポーター集団の前に挨拶に行った清武に、熊本時代のチャントが贈られる。「きよ・たけ!アレ!アレ!アレ!」と。まさに千葉の中心プレーヤーになっていましたが、今日は相対する黒木に手を焼き、決定的な仕事はできませんでした。

勝ち点2を失ったにもかかわらず、変にサバサバしているのは、前節、前々節の流れから「戦えている」という実感が伴ってきたからかも知れません。順位は18位のままですが、決して悪い内容ではないぞ、と。

5月17日(水)
【J2第14節】(長良川)
岐阜 1-2(前半0-1)熊本
<得点者>
[岐]永島悠史(54分)
[熊]安柄俊(18分)、巻誠一郎(66分)
<警告>
[岐]ヘニキ(16分)
[熊]安柄俊(5分)、野村政孝(77分)
観衆:3,650人
主審:岡宏道


いやはや心臓に悪い試合でしたね。イヤフォン挿しながらDAZNで観ていて、時折小さく叫んだり呻いたりするものですから、家族から迷惑がられてしまいました(笑)。

20170517岐阜

中3日の連戦。ミッドウィークの岐阜戦に、清川監督は先発を7人入れ替えてきました。前線は巻と安、ボランチは上原、上村。CBに前節の汚名挽回を期すイム。SBとしては初先発となる光永。そして出すだろうと予想したとおり、昨季岐阜に期限付き移籍していた田中。「回復が間に合っていない選手もいたので」(DAZN)と指揮官は言いますが、選手層を試すには絶好のカードのような気がしました。

というのも、岐阜は今季から大木監督が就任して大きく戦術変更している。今発売中の「フットボール批評」の大木監督インタビューを立ち読み(笑)したんですが、ボールを持つ時間が長ければ失点しないというポゼッション志向のサッカー。短くパスを繋いで崩してくる。それにはかなり体力が必要だろうと聞かれて、「サッカーは“たった90分しか”走らない」と答えた言葉も印象的でした。

その岐阜に対して、「熊本蹴球通信」のマッチプレビューでも大木サッカーに詳しく触れたうえで、「熊本にとって大切なのは、ボールを握られ動かされるのは想定した上で、奪いどころを明確にして共有すること」と井芹さんも指摘していたように、相手を上回るハードワークでボールを奪えるメンバーを熊本は並べてきた。そんな期待を持たせる布陣でした。

そして、そんなイメージ通りのゲームでした。細かいパス回しでバイタルを脅かしてくる岐阜。しかし熊本もそれにしっかり対応し、ボールを奪うと前節と同じように縦に素早く仕掛る。

18分、GK野村からのキックを前線の巻が反らすと、そのボールに安が飛び出す。収めようと走るところをヘニキに後ろから倒されFKを獲得しました。

Pアーク手前左からのFK。キッカーに立った嶋田と安。安の右足から放たれた低いボールは、壁の間をすり抜けると、ニアのDFの足に当たって角度を変えゴール左隅に突き刺さり熊本が先制します。

ハーフタイムにDAZNがポゼッション率70%対30%と紹介したように、ボールを持つのは圧倒的に岐阜の方でした。しかし、ちょっとしたところでパスミスを犯したりするところは、岐阜の大木サッカーが完成には今一歩ということも感じさせ。この時期に対戦したことは、ちょっとした幸運だったかも知れないとも思う。

後半一気にギアを上げてきた岐阜に押されるように54分に失点。右から作って永島がドリブルで切れ込むと、対応できぬままに中央で撃たれる。DFの股を抜く強烈なグラウンダー。野村の反応もむなしくゴール右隅に転がります。

しかし、この同点弾を加勢にして一気に勝ち越し点を狙う岐阜に対して、熊本イレブンは意気消沈することなく粘り強く対応した。自分たちのサッカーを続ければいいと、ある意味愚直に続けた結果がこのあと実を結んだように感じます。

運動量豊富な上村の随所への顔出し。前半はちょっと空回りしていた田中も落ち着いて、持ち味を発揮してきた。

高い位置で奪ってバイタルに運ぶ。Pエリア内に入れると安がトラップ。反転してシュートは枠の上に外れますが、3人目、4人目の動き出し、繋ぎも良かったこのシーンが、次の得点シーンの予兆だったでしょう。

66分、左サイドで奪うと一度DFラインまで下げ、右SB黒木に預けた。黒木が運び、中に切れ込み相手を引き付けると右奥のスペースにはたく。田中が走りこむとダイレクトでクロスを上げた。ニアの庄司がヘッドでクリア。ファーに構えていた巻がそれを胸トラップで収めると右足を振りぬく。GKベクトルの右足に当たってゴールインします。岐阜を突き放す貴重な追加点でした。

風間を諦め難波を入れた岐阜の最初のベンチワーク。熊本もきつくなって少しずつ対応が遅れ始める。それは岐阜も同じ。中盤にもスペースが大きく開き始めると、岐阜は山田に代えて田中パウロ。熊本は田中に代えて齋藤を入れる。更に熊本は前線での収まりどころを求めて、巻に代えてグスタボを投入。安もいよいよ足を攣ったところを見定めて林に交代しました。

85分。岐阜の左CKからの混戦のなかでGK野村のファンブルが押し込まれネットが揺れますが、これはオフサイドの判定で事なきを得る。

迎えたアディッショナルタイムは4分。岐阜の猛攻に晒される。バイタルからヘニキの強烈なミドルシュート。これは野村がファインセーブ。続くCKはなんとかクリア。前線に運んだボールを奪われるとロングパス。岐阜・古橋がこれをうまくトラップ。GK野村と1対1。PA内左からのシュートはしかしわずかに枠の右に反れる。決定機を逃した古橋が頭を抱える。野村のポジショニングがコースを消していました。そして終了の笛が鳴る。

感無量の様子の野村。一度、二度とグローブの着いた手で顔を覆う。佐藤の怪我で代わってゴールを守るようになって、ようやく5試合目にして手にした感激の勝利でした。

「相手がパスサッカーをやってくるのは知っていたが、最後のところを取られなければいいと思っていたし、最後で食い止められた」(公式twitter)と言う野村。本当に文字通り最後のところで止めていた。新しい守護神の登場でした。

左SBの光永は「相手に回されることは分かっていて、チームとして取り切ることができた」と控えめに言う。しかし、右サイドで起点を作ろうとする岐阜の意図には、片山先発という当然の予想があったでしょう。そのなかで守備的にならざるを得なかったかも知れない今日の光永。この先発起用は、けっこうこの試合の勝敗を左右したポイントだったかも知れない。それが清川監督の意図(スカウティング)だとしたらさすがです。

若いメンバーで固めたなかで、最年長の巻が決勝点を決めたことがうれしいし、意味が大きいですね。同点にされたあとも意気消沈しなかったのは、この人がキャプテンマークを巻いてフィールドで鼓舞し続けたせいではないでしょうか。そのうえで決勝点という仕事までこなした。

正直課題は残しました。試合のクローズの仕方には大いに問題がありましたし、肝を冷やしたアディッショナルタイム、まさに綱渡りの辛勝と言えました。GK野村と新たに作り直す連携といつぞや書いたとおり、ようやく勝ち取った1勝でした。

そういう意味では互いに”途上”のチーム事情のなかで岐阜に競り勝ったこの試合。貴重なこの勝ち点3は、前節から繋げ、そして今後につなげなければいけない”内容”を伴った勝ち点3だと思います。順位は19位から18位にひとつ上げました。

5月13日(土)
【J2第13節】(えがおS)
熊本 0-1(前半0-0)湘南
<得点者>
[湘]ジネイ(90分+1)
<警告>
[熊]林祥太(35分)、植田龍仁朗(56分)、村上巧(67分)、イム・ジンウ(90分)、安柄俊(90分+4)
[湘]奈良輪雄太(84分)
観衆:4,579人
主審:清水勇人


「最終的にはレフェリーが判断するところなので」「取り消せるものでもないと思います」(熊本蹴球通信)。試合後の記者会見で敗戦の将・清川監督がそう言っているように、日頃われわれもレフェリーの判断に異議を唱えることは詮無いことと捉えています。

しかし、それにしてもこの日の主審は、90分間を通して首をかしげたくなるジャッジが多かった印象。それが最後のあの場面の笛で決定的になりました。

Jリーグの公式戦では、必ずレフェリーアセッサーという立場の人が立ち合います。試合前に大型ビジョンでも紹介されますね。その試合のジャッジの評価、指導をする人ですが、今季からは「マッチコミッショナーの立ち会いの下」「両クラブからは社長ら代表者が席に着」き、「試合終了後に審判側と両チームの代表者が一緒になって判定を検証」することになっているようです(朝日新聞)。

「アセッサーがその場で誤審を認めるケースも想定されている」そうですが、この日の検証会議はどうだったのでしょうね。とにかくわれわれが言えることは、審判技術が向上することを願ってやまないということです。

20170513湘南

前節の群馬戦を評して「戦えていなかった」と漏らしていた清川監督でしたが、この日のイレブンにはハードワークが戻っていました。特に初めて2トップで先発となったブラジル人コンビ、グスタボとモルベッキ両方にボールが収まり、湘南を立ち上がりから押し込みます。

連続したCK。園田がニアにうまく抜け出してフリックしましたが枠の左にそれる。22分には黒木のクロスにグスタボがGKと交錯してボールがゴールインしますが、これはファール。

ヒヤリとさせられる場面も2度ほどあったものの、熊本の厳しいプレスが2位湘南の連携ミスを誘う。ハーフタイムのコンコースでは、「こりゃ湘南の選手たちは激しく叱咤されてるぞ」という熊本ファンの声も聞こえました。

そのとおり。「後半はリスクを冒して、勇気を持ってやりたい」とDAZNのインタビューに答える曺監督の声も、興奮気味に感じる。岡本選手と山根選手の位置を入れ替え(恥ずかしながらスタジアムでは全く気づきませんでしたが)、そして全体の“ギア”を上げてきました。

縦に速くなってきた湘南にポゼッションを奪われる。しかしそんな中でも、この日は嶋田がキレキレの動きでボール奪取から敵陣を襲う場面もあり、スタンドを沸かせます。

61分にはモルベッキに代えて、怪我が癒えた安を投入。熊本が先にカード切る積極性。湘南も前線の下田に代えて野田。

しかしこの後、熊本は上里が痛んで上村と交代。その上村。79分には左からえぐった安のマイナスクロスに詰めましたが、うまくミートせず。この試合最大の好機を逸します。

終了間際、植田に代えてイムを投入したときは、もう引き分け狙いのサインだと思いましたが、植田が足を攣っていたのだとは後から知ることになります。Jリーグデビューとなったイムは無難に仕事をこなしていました。

もうアディッショナルタイムに入ろうかとする90分でした。バイタルで湘南がヘッドでペナルティーエリア、DFの裏に押し込むと、そこに走り込もうとした菊地。クリアしようとしたイムの足は、ボールを捉えていたと思えるのですが、主審がすかさず笛を吹いてイエローカードを示します。「これは厳しい」と解説の小林氏も言う。主審のポジショニングも相当後ろからでした。

ジネイにPKを決められて終了の笛。熊本は2試合連続、終了間際に、連敗をストップする勝ち点1を手のひらからこぼれ落ちるように失いました。

ただ、「戦えていなかった」前節と違って、本来の熊本らしいハードワークを表現できたこの試合は、後半こそ湘南の猛攻に足が止まりかけたものの、なんとか引き分けに持ち込みたかった。結果が全てであるからこそ、自信を取り戻させたかったし、そのきっかけになりそうな試合でした。

前節、「変えるべきところは変え、守るべきとこころは守れるか」と書きました。イムにはもちろん、全ての選手たちには、下を向く必要はないと伝えたい。試合後挨拶に来た選手たちには、大きな拍手を送りました。「次につながる試合をしてくれた」(DAZN)と指揮官が言うように、これを継続していけば必ず道は開かれる。そう思える試合でした。

5月7日(日)
【J2第12節】(えがおS)
熊本 1-2(前半0-1)群馬
<得点者>
[熊]グスタボ(68分)
[群]チェ・ジュンギ(33分)、高井和馬(90分+5)
<警告>
[熊]黒木晃平(53分)、片山奨典(90分+1)
[群]岡田翔平(19分)、マテウス(90分+3)
観衆:4,777人
主審:清水修平


第4審判が表示した後半のアディッショナルタイムは4分。公式記録での高井の得点は「90分+5」となっていますから、その4分台に突入していたのでしょう。本当にラストプレーと言っていい時間帯でした。

熊本のゴールに迫った群馬。PA内で必死にブロックする熊本DF陣を前にして、何度も何度も入れ直す。その執念。最後は左へ回すと付ききれていない。高井が押し込んで、群馬が劇的な勝利をおさめます。

あとでDAZNで確認すると、ゴール裏では泣いている群馬女性サポーターもいましたし、ベンチから飛び出した控え選手やスタッフたちの喜びようも爆発していた。何よりもインタビューに答える森下監督の目も潤んでいるように見えた。

引き分けで得た勝ち点1しかなく最下位に沈んでいた群馬が、実に12試合目にして今シーズン初勝利を手にした瞬間。それは熊本がこの大型連休の3連戦で、3連敗を喫してしまった瞬間でもありました。

「何が何でも勝つためにやりたい」。そう試合前に言っていた森下監督でした(DAZN)。多くの対戦経験がありますが、この10試合は熊本に対して負けがない。相性は悪くない。そんな気持ちも群馬側にはあったでしょう。

迎え撃つ熊本は、連戦のなかでのコンディションを考慮して4人を入れ替えた。平繁、林、上原、園田が先発。

20170507群馬

「立ち上がりから向こうの食らいついてくるサッカーに対して受けるような形になっていまい、戦っていない姿勢の中でゲームを進めてしまい、情けないゲームをしてしまった」(熊本蹴球通信)。試合後、そう清川監督は反省します。

そうは言うものの、序盤の群馬のボール回しには最下位を納得させるような粗さも見受けられ、いつもよりボールを持てる熊本。ただそれが、指揮官が言うような「何とかなるだろうという気持ち」(同)に繋がったのかも知れません。前節の出来に相当危惧していたわれわれも、今日は前節よりは「いいんじゃないか…」という感触を持ってしまったのは、相手が攻守のバランスがまだ整わない群馬だという点を加算(減算)していなかったのかも知れません。

33分。その前にパク・ゴンが林からファールを受けて、回復のために長い時間が掛かります。その後に与えた群馬のCK。連続性が途絶え、ぽっかりと時間の空いたプレーに、「ちょっと危険だな」という予感がしました。松下の右足からのCK。ニアに入り込んだチェ・ジュンギが反らして流し込む。「1失点目のニアは練習から警戒していて、相手がそこを狙ってくるというアナウンスもあって全体で意識していたんですけど、実際はそこでやられてしまって。」(同)と、公式戦3試合目を迎えたGK野村が反省します。

前半のうちに同点にしておきたかった熊本でしたが、それは後半修正後の、68分になります。当初グスタボとの交代で用意した嶋田をなかなか入れないなと思っていたら、直前に痛んだ齋藤との交代。これが逆に奏功しました。68分、交代直後右CKに立った嶋田からふわりとしたボールに、ニアに飛び込んだグスタボが頭を振った。ボールはGKが弾いて、ゴールに吸い込まれます。沸き立つスタジアム。

追いついた熊本の方に運が見方すると思いました。後がない群馬の方が浮き足立つだろうと。11戦、群馬は勝ったことがない。焦りはゲーム運びに影響し、自信のなさが結局自滅に至らせるのではなかろうかと。熊本はそういう意味では、なにも焦る必要はないんだとも。

けれど群馬は、この試合を決して諦めなかった。FW高井を入れ、ボランチの松下を下げてまでも鈴木を投入。最後はマテウスを入れて、かき回します。

対する熊本も、グスタボの疲労を考慮して巻を入れますが、結局切れるカードはそこまで。前半早くに痛んだ小谷に代えて切った植田の交代カードがあったため、最後の最後で、ギアをシフトアップできません。

結局は、最後まで勝ちにこだわった群馬に対して、どれほど気持ちで上回れたのか。球際にしてもセカンドボール争いにしても、ハードワークしたのかという問題、それがメンタル面で問われるということになりました。

確かに、不甲斐ないと思うプレーがあちこちに…。何となくゲームに入っていった感じ。ミスを犯す以前にチャレンジさえしないプレー。前を向こうとしない消極的プレー。人任せのマイナスパス。守るにしても、取りきる姿勢のない間合いをとるだけのアリバイ・プレー…。低調なゲームでした。

われわれがそんなことを指摘する前に、指揮官・清川監督にも危機感があったようです。しかし、「どこかに隙があった」というほかないのでは、マネジメントを疑問視する気持ちも沸いてきます。

「1つ壁を越えましたけれど、まだスタートしたばかりなので、今まで通り、今まで以上にぶれずにやり続けたい」。わずか1勝手にしたばかりですが、群馬・森下監督はそう言い切ります。

”ぶれずにやり続ける”。そういう信念が、チームづくりにあるのかどうか。

この3連敗を受けて、ファンの声にも随分厳しいものがありますが、自戒を込めて言えば、その信念を感じられるかどうかが、チームを応援するに値するかどうかだと思うのですが。どうでしょうか。変えるべきところは変え、守るべきとこころは守れるか。それを今は観ていきたいと思います。

2017.05.05 連敗。町田戦
5月3日(水)
【J2第11節】(町田)
町田 2-1(前半1-0)熊本
<得点者>
[町]戸島章(42分)、井上裕大(78分)
[熊]齋藤恵太(62分)
観衆:3,853人
主審:佐藤誠和


負け試合なので短く。

20170503町田

勝ち点12で順位も15位と近いところに位置する町田とのアウェー戦でした。2連敗中の町田は、試合開始から風上を利用して一気に攻めてくる。それに対して「前半を無失点でいきたかった」(熊日)という清川監督は、それが当初からのゲームプランだったのか、状況を見ての感想なのか、なんとも消極的に感じます。

14分には町田GK高原のロングキックを戸島が頭で落として前に出すと、FW中島がPエリアに侵入してシュート。これはポストの右に反れて事なきを得ました。

前節まで、短く繋いでボールを動かすことに専念していたのに、この日の熊本はDFの裏を狙いたいのかロングボールを多用。しかし、逆風で押し返されるばかり。

「セカンドボールが拾えた部分で点が取れた」(DAZN)と、前半を終えた時点で相馬監督がインタビューに答えたように、ボールは完全に町田が支配し、一方的ともいえる攻勢。42分に町田は、右サイド奥に吉濱が運ぶと、囲んだ熊本の二人のDFに対してヒールパスで出す。拾った大谷がすかさず右から低いクロスを送ると、ゴール前で死角から入り直した戸島が頭で反らしてゴール左隅に流し込みました。

この試合で勝敗を分けた”セカンドボール”の争い。ハーフタイムのロッカールームで清川監督も「セカンドボールを緩めないこと」(DAZN)と檄を飛ばします。そして「背後を狙っていこう」と。

それが実ったのが62分。右SB黒木の自陣からのロングボールが、高い町田のDFラインの裏を取った齋藤に収まり、一気にスピードに乗ってドリブル。GKの飛び出しを冷静に見極め、ゴールに押し込み同点とします。

しかし町田も諦めませんでした。78分、左CKからの展開。途中から入っていた井上が、クリアを拾うとゴール前に入れる。ゴール前で深津が足を出しましたが直接ゴールイン。深津が触っていないまでも、完全にプレーに関与していたので、オフサイドかと思われたのですが、ゴールが認めらました。

前節の”急造”感と違って、この日のGK野村は落ち着いて守っていました。2度ほどファインセーブもありましたが、このシーンは一歩も動けず。「目の前に相手選手がいて、その動きにつられてしまった」(熊日)と言う野村。まだまだ試練は続きます。

熊本は林、モルベッキ、田中を途中投入しましたが、生かしきれず。敗戦となって、順位は18位のまま。逆に町田を12位に押し上げました。

勝敗を分けたのはセカンドボール争いと書きましたが、逆風の前半にロングボール一辺倒だった戦術も解せません。齋藤の一発が決まったものの、その速さや、グスタボの身体能力、いわば”飛び道具”に頼るばかりのように見えた。熊日は「気になるのは、試合を通じて攻撃の形をほとんどつくれなかったこと」と書きましたが、全く同意です。

次節、ゴールデンウィークの最終日は、再び中三日でホームに現在最下位の群馬を迎えますが、このままの戦い方ではかなりの苦戦が予想されます。奮起を!

4月29日(土)
【J2第10節】(えがおS)
熊本 1-4(前半1-3)横浜FC
<得点者>
[熊]平繁龍一(14分)
[横]野村直輝(26分)、イバ3(35分、40分、71分)
<警告>
[熊]植田龍仁朗(48分)
観衆:7,816人
主審:柿沼亨


20170429横浜

GK野村にとっては苦いデビュー戦になりました。試合前日の練習で佐藤が怪我。急遽の先発起用となったようです。

その他のフィールドプレーヤーは、逆に固定感も感じる布陣。急造DFラインとはよく言いますが、しかし今日のこの”急造のGKとDFラインとの連携”は、横浜FCの今の勢いを止めるには力不足だったということでしょう。

それでも先制点を奪ったのは熊本の方でした。強い逆風のフィールドでしたが、連勝の勢いを背にして押し込む。それは2試合連続得点のグスタボの勢いと言ってもよかったかも知れません。14分、GK野村からのキックを林が落として平繁が繋ぐ。グスタボが出したスルーパスに嶋田が走りこんでシュート。「相手GKに当たった瞬間、『こっちにこぼれて来い』と願った」(熊日)という平繁が詰めていて押し込む。予測のポジショニングで点を取る平繁らしい得点。ようやく今季初得点で先制します。「よし!この試合もいける」。われわれもそう思いました。

先制した試合はこれまで全勝している熊本。早い時間帯での先制でしたが、これから粘って守り、追加点で突き放す。そんなゲームプランが浮かびました。

しかし、「やるべきことを冷静にやっていけば逆転できると思っていた」(DAZN)と、敵将・中田監督が試合後語るように、横浜FCは焦ることなく淡々と攻めに転じる。サイドを大きく使ってボールを動かし、熊本の守備をはがす。裏へのスルーパスでゴールを脅かす。

20分、グスタボからのクロスにニアの平繁が合わせれば1点。というところが合わず。この追加点の好機を逃したところで、逆に26分、横浜が右からクロス。GK野村が出て触るがこぼれる。イバが粘って潰れて繋ぐ。GK野村はすべる。こぼれてきたボールを横浜・野村が蹴りこんで同点とします。

このドタバタしたゴール前の印象は、その後に影響しましたね。横浜に勢いを与えたように思います。「行けるぞ」と。

35分には横浜のボランチ佐藤の大きなサイドチェンジから野村が右サイドでパスを貰いなおしてエンドラインぎりぎりからふわりとクロスを上げると、ボールウォッチャーになった熊本DF陣の間でフリーになったイバがヘッドで叩きこむ。40分にも大きく左にサイドチェンジされて間を開けさせられると、Pアーク前でイバが左脚を振りぬく。巻いたシュートにGK野村が触れず、ゴール左隅に決まります。

前半のうちに1-3と差をつけられた熊本でしたが、後半も横浜の勢いを止められない。波状攻撃のなかでPエリア内でハンドのファールを植田が受けてPKを献上。しかし、これを蹴ったイバのシュートはバーに嫌われる。

これで流れは熊本に傾くかとも思わせたのですが、そうはさせない横浜。グスタボのポストから嶋田が突破してエリア左から撃ちますが、今度はGK高岳もうまく弾いてDFがクリアする。

71分には右サイドのパス交換から裏にジョン・チュングンを走らせると、クロスにイバが合わせて4点目。駄目押しとします。

先制して守り切る、あるいは追加点で突き放すというゲームプランに対しては、今の横浜の勢い、特にイバの勢いは止められませんでしたね。急造の”守備システム”の前では、あまりにも無防備すぎたような気がします。それほどの力の差を今の横浜に感じました。

翌日、チームからGK佐藤の怪我は「右第3中手骨骨折」であり、完治まで約6週間と発表されました。思いがけない長い離脱。野村と畑。ふたりのGKで、もう一度守備ラインを構築しなおすしかない。

前節のエントリーで、「これから迎えるGWの連戦。総力戦のなか、多くのタレントの力が必要です」と書きましたが、いきなり守護神のポストに欠員が出るとは思ってもいませんでした。 本職のCBを欠いた頃に匹敵するような戦力ダウン。いや、戦力などという抽象的なものではなく、手も足も出ないような力の差がついてしまうような…。今の熊本にとって、それほどにGK佐藤の離脱は深刻です。

まあ、下ばかり向いてもしかたないです。今節長い時間出場したモルベッキ。粘り強い守備からボールを保持し、切れ味のあるスルーパスも出せる。ますます期待が膨らみました。

横浜FCはこの勝利で首位に立ち、熊本は18位に後退しました。