8月5日(土)
【J2第26節】(維新公園)
山口 1-2(前半0-1)熊本
<得点者>
[山]レオナルド・ラモス(51分)
[熊]植田龍仁朗(24分)、八久保颯(75分)
<警告>
[山]レオナルド・ラモス(60分)、岸田和人(63分)、宮城雅史(90分+3)
[熊]上原拓郎(79分)
観衆:4,999人
主審:清水修平


群馬戦でも書きましたが、順位が近い相手との戦い。これぞ「勝ち点3ではなく6の価値」がありましたね。この勝利で熊本は、順位こそ19位と変わらないものの、勝ち点を26まで積み上げ、20位山口との差を7まで広げることができました。そして17位、18位の背中も見えてきた。

前回対戦時は、池谷監督に代わってすぐ。その前の天皇杯・水戸戦で試したばかりの3バックで挑みましたが、試合後のエントリーでは「対する山口も同システム。ミスマッチが生まれるどころか、ボールの動かし方、プレスの剥がし方すべてにおいて『向こうの方に一日の長があった』(池谷監督)」(2017.06.28 山口戦。5連敗)と書いています。

それからすると今日は、指揮官が「4枚できてくれて良かった」(熊本蹴球通信)と試合後言うような一面もありましたが、守備はしっかりオーガナイズされ、攻撃も前回は「攻撃の際の約束事がないように感じます。ここに付けたら誰がどこに走って、次にどうするのかと言ったような…」(同)と嘆いたことが嘘のような成熟度を示しました。

20170805山口

上里に代わって先発したボランチの三鬼が、「パスでリズムをつくる自信はあった」(熊日)と言うように、ボールを受けては縦に横に、いい角度で敵のプレスをかいくぐるようなパスを供給する。

前線の巻は中央でどっしりと構え、相手DFを押し込むだけでなく、ボールを受けてはシンプルにはたくことによって、八久保、嶋田の両シャドー、あるいは両WBを走らせる。

山口の反転攻撃には、今までのような全員で押し上げ、後ろから追い越してくるような勢いがない。逆に熊本の選手たちのポジションへの帰陣が早いせいもあるかも知れない。

先制点の場面はCKから。「練習で何度もやってきた形」(熊日)と植田が言うが、ニアの巻が潰れたところに入ってきたボールを植田が頭で押し込んだもの。しかし、この得点シーンから以前に熊本のいいリズムが続き、ボールを動かしながらバイタルを襲っていた。このCKを取った前のシーンは、左サイドにいた三鬼からの縦パスを、セットプレーで残っていた小谷がすらして、そこに走り込んだ嶋田が奥からクロスを入れたのがブロックされたもの。3人目、4人目が係わる攻撃も出来ていた。そんないい流れのなかで、きっちりと”練習どおり”の点が取れました。

この流れのなかで追加点が欲しかった熊本でしたが、前半途中から山口が3バックに変更してシステムをマッチアップさせて来るとスペースがタイトになる。後半さらに山口は球際を強めてきました。

すると山口に、中盤からDF裏を狙ったボールを送られると、レオナルドラモスと競った小谷がファールを取られてPK。これをラモス自身に決められて同点にされます。

ホームサポーターの声援に勢いづく山口。熊本は自陣に押し込まれ、山口の時間が続きますが、この不利な時間帯を辛抱強く凌ぐことができるのが、今の熊本の真骨頂かも知れません。

その前から足を伸ばすシーンがあって、「攣ったな」と心配していた八久保でした。ベンチの池谷監督は交代カードに関して、「ディフェンスが破綻するのがいちばん怖い」(熊本蹴球通信)という思いのなか、「少し我慢をしながら準備をしていた」と言う。そんな時間帯。

GK畑からのキック。前線で巻が粘って落としたところに、八久保が奪うように拾って素早くミドルで撃つ。ドライブが掛かったシュートは、「前半から相手のキーパーの位置が高くて」(熊本蹴球通信)と狙っていた八久保の読みどおり、GKの頭を越えて、綺麗にゴールネットを揺らし、勝ち越し点とします。

すぐに八久保に代えて岡本。八久保はベンチの控えの選手たちの祝福に迎えられる。

後半アディッショナルタイムは6分。山口にすれば同点はもちろん、逆転するにも十分な時間が与えられました。しかし、この日もGK畑の90分間通した安定したプレー、片手一本のビッグセーブなどもあり、その後のゴールを死守しました。終了のホイッスルの後、両手の拳を振り上げて喜ぶ指揮官の姿が、この勝利の価値を物語っていました。

「いつも通り、目立たないようにプレーしていました(笑)」(同)。こんな軽口が巻の口から聞けるのもいつ以来でしょうか。それもこれも、最後まで走り続けたこの試合90分間の自身の”出来”に十分満足しているからでしょう。この試合での彼の働きは、監督はもちろん、観ていた誰もが認めるところでした。シュート数こそゼロでしたが、これぞポストプレー、これぞ前線での守備、これぞ巻というプレーの質、そして存在感、貢献度でした。

巻、グスタボ、安・・・。全くタイプの違うワントップを相手のスカウティング次第で使い分ける。その相性も見ながら、シャドーの選手や、ボランチにコンバートした三鬼も使いながら全体を構成する。このゲームの成果は、勝ち点3を得たことはもちろんですが、それに加え、指揮官に多くの”システム的オプション”を与えてくれることになったのではないでしょうか。それは3バックのこのシステムの成熟度が、あの前回対戦時よりは進化したという意味も含めて・・・。