5月6日(火) 2008 J2リーグ戦 第12節
福岡 2 - 4 熊本 (13:04/レベスタ/10,822人)
得点者:8' 大久保哲哉(福岡)、28' 高橋泰(熊本)、33' 高橋泰(熊本)、41' グリフィス(福岡)、57' 小森田友明(熊本)、72' 高橋泰(熊本)


どんな状況でも、たとえ結果がともなわないことがあっても、応援の声を止めない。われわれのホームチームだから。そして、こんな試合を見せられたら、なおのこと・・・。

新・九州ダービーの第2戦となった今節はアビスパ福岡との戦い。敵地レベルファイブスタジアム(博多の森球技場)に多くのファンが乗り込みました。
前節、大差完封負けを喫している両者にとって、悪い流れを振り払いたい一戦。しかし、われわれ熊本にとっては、それ以上に、この福岡戦には期するものがありました。

ご存じのようにアビスパ福岡は、九州で一番最初にJ入りしたチーム。そのため、熊本にも博多の森に”九州のチームとして”応援に行ったという人たちが多い。はからずもそこで「福岡!福岡!」と叫んだという経験を持つ人を何人も知っています。

しかし、皆がそこでなにがしかの違和感を覚えて帰ってきた。
「熊本にもホームチームがほしい」・・・。その思いがようやく叶って、今こうして初めて博多の森の”アウェー側”に立つことができた。多くの熊本サポーターからすれば、そんな記念すべき日だったのではないでしょうか。
うちの八十になる年寄りも以前、無理やり連れていかれた博多の森のおぼろげな記憶をたどりながら、「格の上がったけん福岡と試合のでくっとたいね」とちょっと誇らしげでした。

熊本は、出場停止が解けたチャジホが左SHに帰ってきたほかは、C大阪戦から続く先発陣。中二日の疲れを憂慮するより、いい戦いをしているこのメンバーを優先しました。ベンチにはFWに北川、そして初めてMF熊谷の姿も。

対する福岡は、U-19の海外遠征を断ってこの試合に臨むという、ユース出身の鈴木惇がボランチで初先発。その意気込みが、開始早々からプレーに表れます。ゴール前右サイドからの鈴木のFKをロッソDF陣がクリアしてCKに。このCKからFW大久保をフリーにしてヘッドで決められてしまう。今日もまた先制された熊本。前節の嫌なイメージが襲います。

しかし、先制されても決して守りに引いてしまうのではなく、あくまでアグレッシブにという戦い方は前節も全く同じでした。しかし、今日は敵陣で無理に奪ったり、中盤で後ろから追いかけたりということではなく、自陣の最終ラインへの出所で、きっちりとチェックしていたという感じ。奪いに行くというのではなく、自由にさせない、相手のリズムを削ぐ。決して守備のバランスを崩さない。おそらく前節から、というより、ここ数試合の修正の積み重ねとして、条件に応じた攻撃的守備、守備から攻撃へといったところの“間合い”が見えてきたのではないでしょうか。

そこから両サイドや、前線の2トップにフィード。高橋の1点目、3点目はいずれもCB上村のそんな仕事から生まれたものでした。

もちろんハットトリックを達成した高橋の抜群の技量、活躍抜きに、この勝利はなかったでしょう。昨年の雨の水前寺、アルテ高崎戦を彷彿とさせるような2点目のFK、無回転シュートに敵GKはなすすべもなく。紛れもなく、今節Jリーグアフターゲームショー選定のベストゴールでした。

しかし、この試合でわれわれをしびれさせたのは、同点で折り返し、はては撃ち合いかと思われた後半。最後はパワープレーに及んだ福岡を零封した45分間の展開でした。

12分にチャジホの折り返しをうまく小森田が押し込んで勝ち越し。その後、反撃に出た福岡の文字通り”力ずく”の試合はこび。高さのある大久保に、黒部、ハーフナーまで入れられると、熊本のゴール前の制空権は完全に福岡のものになってしまいました。

しかし、GK小林の決死の守り。喜名、福王、熊谷というカードも投入のタイミングも迷いがない。「全員守備なんだ」という明快なメッセージ。そして、足が止まりそうになる時間帯での、高橋の貴重な貴重なだめ押し点。

エースの大活躍もあり、4点という初の大量得点になりましたが、後半を0点に抑えたゲームは、実に鳥栖戦以来。これまで、後半に運動量が落ちて失点を重ねていたのが熊本。しかし、ここにきて少しずつですが、それが改善されてきている証左ではないでしょうか。しかも、この過酷な連戦のなかで・・・。

紙一重の戦い。

前節終了後、横浜の都並監督が「先制点を奪われていたら、違った形のゲームになっていただろう」と言ったように、今日の試合も後半、相手に先に勝ち越されていたら、追いつく力はなかったかも知れません。とても表現しにくいんですが、それほど絶妙な試合運びだったと。

そしてそれは僅差で敗れ続けたこれまでの戦いが、なにがしか”糧”になっているように思えるのです。まさに紙一重の戦いを続けているのではないかと。
誤解を恐れずに言えば、前節、横浜戦、結果的には大敗でしたが、後半の失点は勝敗ではなくリスクを恐れず“1点”を取りにいった結果だったこと。5点差がついた後半20分以降も誰一人、下を向くことなく、ロスタイムまで1点を目指して、全力で走り、攻めていた。われわれのチームは紛れもなく“闘っている”と思うからです。

この連休、過酷な日程のなかで元J1勢との連戦。結果、この4連戦を2勝2敗で乗り切ってしまいました。振り返って「基本的に”得た”ものしかない。」と池谷監督にいわしめた貴重な経験。

連休最後の新たなダービー戦では、先輩福岡に勝利することによって、これまでの”借り”を返すことができました。
Jリーグの楽しさを、自分の町のチームを応援することの嬉しさを教えてくれた先輩福岡への”借り”。地域リーグ時代から、練習相手としてチームを鍛えてもらった”借り”。
最初は福岡の借り物だったチャント(応援歌)も、もうそろそろお返ししなくては。これから熊本も少しずつですがファンを増やして、いつかきっと“いいライバル”と思ってもらえるようになってみせます。

福岡にとっては連続での大量失点による敗戦。今後どう立て直してくるのでしょうか。次に戦うのは6月8日のホーム水前寺。あの水前寺競技場が、リベンジに燃える福岡サポーターで占拠されてしまうのではないかと、今からちょっと心配。しかし、それでこそのダービーなんですよね。
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