8月3日(日) 2008 J2リーグ戦 第29節
熊本 3 - 0 徳島 (18:03/鴨池/2,026人)
得点者:62' 宮崎大志郎(熊本)、81' 高橋泰(熊本)、87' 高橋泰(熊本)


今期唯一県外で行われるホームゲーム。鴨池競技場に差す真夏の西日も十分に暑そうでした。
熊本がJに昇格して、Jのない鹿児島を準ホームタウンに、などというマーケティング的な思惑があるわけでなく、単にこの日、KKも水前寺も取れなかったということなのでしょう。しかし、夏休みの日曜日とはいえ車で片道約200キロの行程は、われわれロートルにとっては遠すぎる“ホーム”でした。
年に数回、ビッグアイの芝の養生の関係で大分がKKまでやってきていましたが、こんな思いを吹き飛ばし、やまなみハイウェーを乗り越えて、あんなに大挙してやってきていたのだと、つくづく思い知らされました。(ちなみに大分は今期9月23日、KKではなく鴨池で試合をするようです。)

そんな鴨池での戦いは、“裏天王山”とも揶揄される15位徳島との対戦。徳島はここまで3連敗中。前回対戦は、熊本が自滅に近いかたちでカウンター2発に沈んだという試合でしたが、その2点に絡んだドゥンビアも今はなく、緊急補強したアンドレジーニョ、ソウザというブラジル人二人を早速前節から先発で使っている。戦前の池谷監督いわく「第1クールとは全く違うチーム」だろうと予想させました。
システムは4-1-4-1。中盤の底にはダ・シルバを置き、そこに京都から獲得した倉貫、昨季栃木にいた米田が支えます。ちょうど1年前、われわれが絶賛した水前寺での栃木戦でボランチをつとめていた米田。あれからまだ1年なのですが、もう遥か昔のような錯覚にとらわれます。

徳島 (先発フォーメーション)
 7ソウザ 
10アンドレジーニョ14石田
35倉貫8米田
 5ダ・シルバ 
30藤田17麦田
6西河33松本
 1島津 
熊本としても正念場の節でした。CBの河端が前節の負傷で6週間の加療。矢野は2回目の累積警告で2試合の出場停止。大敗、惨敗とも言われた前節・湘南戦へのエントリーで、われわれは、敗戦の原因に対して“次のゲーム、どんな形でまた新たな答えが示されるのか”それが“楽しみ”でもある、と書きました。
そして今日のゲーム、まず、スタメンでの答えは、福王であったし、怪我から復帰したばかりのチャ・ジホでした。またベンチには鈴木、喜名、山内、中山。そして、システムは4-1-4-1のまま。メンバーによってシステムを変えるのではなく、ここ数試合やろうとしてきたサッカーを全員でやる。そういった監督の固い意志を感じさせました。

暑さのせいもあったのでしょうか、前半は両者に硬さというより“緩さ”を感じさせました。五分五分というより少しだけ出足に勝る徳島にチャンスがある展開。しかし、アンドレジーニョや石田には単発的な侵入を許しますが、ソウザを含めて最後のところでがっちり守っている。アンドレジーニョやソウザのプレーが連携に欠けていることも幸いでしたが、上村のポジション取りも光りました。

試合後、両監督がコメントした「どちらに転んでもおかしくない展開」。それを熊本が引き寄せたのは、何と言っても諦めず粘り強くハードワークし続けたこと。前半の、やや徳島の流れのなか、うまく繋がらない攻撃にも、取れないセカンドボールにも焦らず、バランスを崩さず、耐えて、走ったこと。そしてもうひとつ、スカパー解説者もちょっと触れていましたが、徳島と違って熊本には“アタッカー”が存在したこと。みずから“仕掛ける”意識の高いプレーヤーとでも言うのでしょうか・・・。そして、攻撃に転じたときの速さと、後ろからの追い越しが出来てきた。

後半、徳島が押し込んできたとみるや、疲れのみえる小森田に変えて中山を入れます。それも4-1-4-1のまま。これが功を奏した。
右サイドで中山がアグレッシブな守備から奪うと、吉井が左サイドの木島につなぎ、ドリブルで突っ込んだ木島が勝負と見せかけてより深く侵入。エンドラインぎりぎりからアウトに掛けて出したセンタリングに中央で待っていたのは宮崎でした。ファーに待ち構えていた高橋を含めるとなんと5人の連動性。

負けられない徳島が更に前掛かりになると、熊本の縦パスが面白いように通るようになりました。今度は左SBのチャが上がると、PA内で倒されてPK。
「私が出たら、あなたは点をとる」とチャが予言したとおり、このPKを12試合ゴールのなかった高橋が落ち着いて決めてくれました。徳島を沈める重要な追加点でした。

最後の見せ場は右サイドから。宮崎が市村とのワンツーでみごとにDFの裏をとると、サイドをえぐってセンタリング。DFに当たり、高橋がマイナスになりながらも強引にシュート。GKがはじくもゴールに吸い込まれました。いいときには、こんな無理なゴールも決まる。ニアでは吉井もつぶれ役を務めていましたし、中山も詰めていました。

同じシステム同士の戦い。倉貫と米田とダ・シルバの3角形には、山本、吉井、宮崎の3角形が対抗し、さらに吉井はアンドレジーニョのケアも怠らなかった。
前節平塚のピッチに立ったときよりも、高校時代の思い出が詰まったこの鴨池に凱旋したことのほうが、彼にとっては意味深いものではなかったのでしょうか。新しく出来たJリーグチームの“主力選手”として・・・。

太もチーム二度目の完封勝利で自らのバースデーを飾ったし、駒沢大同期のDF鈴木もJデビューを果たしました。終了の笛を聞いて、真っ先に太と鈴木が抱き合っているシーンは印象的でしたね。また、宮崎に至っては初ゴールまで。今節、役者が多すぎて、とても書ききれません。

やはり今節は、今やろうとしているサッカーを“やり通そうとする姿勢”に対し、みごとに結果が伴ったというべきなのでしょう。
それはもちろん決して層の厚くないチーム事情のなかで、重要なメンバーが欠けるという事態にも安易に妥協するようなシステム変更をしなかったことに如実に現れているわけで。
しかし、それはまたシステムに選手をガチガチに当てはめるということとは少し違っていて・・・。

とかく日本人はシステム論が好きと言われます。その風潮を諌めて「システムがサッカーをするわけではない」と言ったのはオシムだったでしょうか。
あくまでも“どんなサッカーをするのか”、そのとき相手のいいところを潰して、自分たちのやりたいサッカーを体現するための戦略的で総合的なもの、つまり、システムって言うのは選手個々の役割や位置関係の他に、動き方や連動性についてのそのゲームごとの監督のプランまで含めた“コンセプト”、いわばチームの“戦い方”そのものと言えるのかもしれません。

最後まで4-1-4-1(非常に流動的な4-3-3)にこだわった今節の戦い方。そういう高いところを目指す姿勢というか、池谷監督が1年目の今期、目標として掲げた「できる事、できない事を見極めて、2年後、3年後に残る財産を作るシーズンにしたい」と位置づけたところとの一貫性が垣間見えて、完封大勝利と同時にとてもうれしいのです。
そして、その“やり通そうとしている自分たちのサッカー”で、前回大敗したあの“強い横浜”とまた一週間後に戦えるのがとても楽しみです。

追記
いつも温かい激励のコメントをたくさんいただきありがとうございます。非表示にしているため、ひとつひとつにお礼のご返事ができませんが、きちんと拝読しております。
そのなかで表記の間違いをご指摘いただきましたので、こっそり訂正いたしました。単に英語に弱かっただけです(笑)。ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。


TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/126-c3c60c7d