8月16日(土) 2008 J2リーグ戦 第31節
福岡 2 - 2 熊本 (19:03/レベスタ/9,076人)
得点者:8' 布部陽功(福岡)、83' 高橋泰(熊本)、85' 高橋泰(熊本)、86' 田中佑昌(福岡)


「勝点1を拾って負けなくて良かったという見方もできるし、逆に考えれば2を失ったという見方もできる」(J’sゴール)。試合後の高橋のコメントが全てを言い尽くしていました。
両チームにとって2点目の“重さ”が身にしみた試合と言えるのかも知れません。

九州地方を襲った豪雨で交通機関が麻痺したなかでレベスタにたどり着いた大勢の熊本サポーター。第3クールのスタートは、いきなり九州ダービー福岡との最終戦となりました。
これまで互いがアウェーで勝利し1勝1敗。この試合が決着戦とも言えました。

福岡 (先発フォーメーション)
20ハーフナーマイク 9黒部
8タレイ7久藤
18鈴木惇6布部
17中島3山形
2宮本13柳楽
 1神山 
水前寺での前回対戦時は、苦しんでいる福岡に対し自らのミスから勝ち点を献上したような試合だった熊本ですが、あれから福岡は監督交代もあり布陣も変わってきている様子。篠田新監督に引き継がれたあと4試合負けなしと上昇気流にあるようです。
例えば前節横浜の都並監督など、戦前のコメントから察するにわれわれ熊本をスカウティングしていないのが見え見えだったんですが、この新進の監督は、前節が休みだったこともあってか熊本を充分に研究していたようです。

4-1-4-1の熊本の布陣は前節と全く同じメンバー。今節も序盤の入り方は悪くなかったですね。セカンドボールが拾えて、波状攻撃を仕掛けました。
しかし、対策を練っていたはずのマイクと黒部の高さにナイーブになるうちに、徐々に押し込まれることに。左サイドから回されタレイが溜めて、中央に上がってきた布部にミドルで撃たれました。ちょうど前節、横浜・山田に決められたような嫌な角度。

5月の対戦では、先制した福岡がその後慢心したかのように足が止ったのですが、今回は全く違いました。二週間のお盆休みの効果なのか、ここ二試合の対戦相手、徳島、横浜より明らかにコンディションがいい。目を見張るような早くて強いプレス。そして奪ったあとのサイドへの展開。それもうちの両サイドのかなり薄いところを使っていく。ロングボールの対処では宮崎が最終ラインに吸収され、山本と吉井との間の距離が空く、中山と木島が前を向けない。パスが読まれる、狙われる、奪われる。ミスがミスを呼ぶ。完全な悪循環…。
「中盤でうちがやりたかったことをやられた」(池谷監督)という展開になりました。
ところがその福岡。撃てども撃てども2点目が“遠い”。このことが試合終盤のあのドラマを生み出したわけです。あれだけのチャンス、どれか一本が決められていればゲームは完全に福岡のものになっていた。もちろんラッキーだけで凌げたわけではありませんが・・・

後半、宮崎に代えて喜名を投入。この喜名の落ち着いた守備と、「ロングボールを入れていこう」というハーフタイムの指示で、ようやく熊本も前を向き始め、DFラインも上げられるようになってきました。

28分には右CKからファーサイドの高橋がゴール。しかし、これは中央で潰れた中山のファールで取り消しに。
38分には柳楽が高橋を力ずくで倒しイエロー。敵陣中央のいい位置からFK。もちろんキッカーは高橋。福岡の選手もサポーターも先の対戦で、彼の無回転ロングシュートが脳裏を横切ったはず。当然、熊本側も全員…。
高橋のキックは福岡の壁の左側をよぎると、GKの目の前で“落ちて”ワンバンドでゴール左隅に突き刺さりました。期待を裏切らないエースの“仕事”。ゴール裏の歓喜はいかばかりか。残念ながらわれわれはまたしてもスカパー観戦。「九州ダービー男!高橋!」とアナウンサーが興奮して叫んでいます。

さらに2分後、今度は市村からのロングボールの処理を、前掛かりになった福岡のDFが誤り、高橋の足元へ。GKもDFもかわして落ち着いて追加点。広島の佐藤に次いでリーグ2位となる15得点目。一気に形勢逆転。
残り10分もない時間帯での勝ち越し点。誰もが勝利を手にしたと思いました。

しかしドラマはこれで終わりませんでした。「勝たせてあげられなかった」と池谷監督が反省するとおり、ベンチワークのミス。キックオフのリスタート時に“バタバタと”町田を交代で入れてしまい、左サイドの守備が整わず。田中へのチェックが遅れるところをミドルシュート。わずか1分後に同点に追いつかれてしまいました。選手も含めて、ベンチすらまだまだ未熟な「逃げ切り策」を露呈しました。
思えば交代で入って早々の田中に撃たれた位置、角度といい、全く一緒のところでした。

新九州ダービー。福岡との戦いは1勝1敗1分に終わり、“決着”は持ち越されました。試合後、倒れ込む熊本の選手たちたちからは「勝ちきれなかった」ことへの悔しさがにじみ出ていました。手からこぼれ落ちた勝ち点2。
福岡もまた、前節湘南に逆転から同点に持ち込まれた2-2の悔しい戦いを、今度は同じように自らが演じてみせました。最後に諦めない姿勢で手にした勝ち点1。
ただ、これまでだったら修正のないままに残念な結果に終わっていた感のする試合の流れ。それが今回のように90分も終盤になって怒濤のように試合が動く。見方によっては互いのミスだけが目立つ、ある意味凡戦と言われてもしょうがないのかも知れませんが、ずっとチームを見続けているわれわれにとっては、実に面白く、そして遙かに進歩した感じがするのが正直な感想です。

まだまだ先輩・福岡からライバルと呼ばれる立場にはありませんが、エース高橋が気を吐き、九州ダービーのこのカード、いい“因縁”が作れたのではないでしょうか。順位に関係なく“燃える”のがダービー。今節の終盤のようにお互いがボールを持つたびに大歓声がスタジアムに巻き起こる。そんな特別なゲームの雰囲気ができてくればと思います。

そして願わくば、スカパーのアナが言うように、これからの第3クール、熊本が“台風の目”になりますように。「あなどれない相手」。鳥栖や山形がそうだったように、そう思われるところから強くなっていくような気がします。

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