8月25日(月) 2008 J2リーグ戦 第32節
熊本 2 - 2 C大阪 (19:03/熊本/4,364人)
得点者:14' 木島良輔(熊本)、52' 乾貴士(C大阪)、54' 香川真司(C大阪)、64' 高橋泰(熊本)


先週、長年行きつけの床屋のイサムちゃんが「今度のC大阪戦行かれますか?チケットありますよ」と言います。彼によれば県内の理美容組合のお店、スタッフに招待券が贈られたとのこと。こちらはもちろん「年間チケット」の身なので丁重にお断りしましたが、月曜が休みの業界、日ごろは観戦に行けないのでとの計らいなのでしょうが、面白い試みだと思いました。他にも業界によって平日が休日のところがありますしね。
それが奏功したのかは知りませんが、変則開催の今節、夏休みとはいえ平日の夜に4000人以上の来場者は、正直すごいなと感動しました。

さて、第3クールに入っての第2戦目の相手は、これまで1勝1敗のC大阪戦。初戦はアウェーで惜敗。第2戦はホームで歓喜の逆転勝利でしたね。ここにきて大阪はやっと怪我から主力が復帰してきてメンバーも大幅に変わっているとか、前節の試合は観ていないのですが、戦前、池谷監督も「前からプレッシャーをかけに来ているし、過去2戦とは違った勢いがある」とスカウティングしていました。
誰に言わせてもC大阪にとっては「昇格のためにはひとつも落とせない第3クール」なのでしょうが、こちら側熊本の選手たちにとっても、来期を見据え「チーム内の生き残りを賭けた第3クール」と言えるのではないでしょうか。池谷監督兼GM。背負う責任も重く、これからの試合、選手が見せるパフォーマンスの判断にも厳しさが増してくるでしょう。選手も必死です。

C大阪 (先発フォーメーション)
33カイオ 15小松
26香川31乾
19ジェルマーノ7アレー
34平島13柳沢
14江添5前田
 1相澤 
開始早々、大阪に決定機を作られます。左サイド香川からのセンタリングがポストに当たってPA内のカイオに。カイオのシュートはDFに当たってなんとかクリア。その後も、大阪が怒涛の攻め。やはり前2戦とは勢いが違っていました。
ところが熊本も前回対戦とは大きく“戦術”を変えています。中盤の底に喜名を配した今日の4-1-4-1のシステムは、そんな大阪の攻撃に臆することなくサイドを起点にしながら前へ前へと進んでいきます。

14分、右サイド奥で中山が粘って香川と対峙しましたが奪われる。しかし、香川の自陣PA内でのパスを奪ったのは右に流れていた木島。これを切り返して左足でゴール左隅にねじ込みました。先制は対前回対戦で2得点の、またしてもこの男。
戦前の熊日の予想フォーメーションには、今回もこの男の名前はありませんでした。足に古傷を抱える木島。恐らく直前の練習まで別メニューなのでしょう。本来、選手のなかからベストの状態の人間を選ぶのが先発のセオリーだと思いますが、監督の“賭け”に今回も結果で応えた木島。何かを“持っている”。そんな感じがします。
北京帰りの香川。一瞬のプレーに軽さ、甘さが出た痛恨のミス。

しかし、そこは大阪、ちょっと驚いた感はあったものの焦りの気配はありませんでした。なにしろジェルマーノ、アレーの両ボランチががっちり中盤を支配し、香川、乾の若きタレント(才能)がサイドを突破して、幾度も好機を演出します。本当に幾度も。ところが幸いなことに最後のフィニッシュを決めきれない。まるで前節の福岡のように…。試合後レヴィークルピ監督をして「今日足りなかったのは技術的な部分、つまりフィニッシュの精度」と言わしめました。ただ一方で、MF山本は「やらせている感じでいけた」とも表現していますから、ある程度シュートコースをコントロールして撃たせていたといえるのかも知れません。結果には必ず原因があるわけですから。

ただし、このままでは終わらないだろうという後半の予兆は確かにありました。

後半開始前、熊本の選手が出てくるはるか以前にピッチに戻り円陣を組んでいた大阪の選手たち。「命を賭けて戦え」。ハーフタイムでクルピ監督はそう選手たちに檄を飛ばしたそうです。
加速するパス回しに、熊本が翻弄されます。後半開始から10分あまりで逆転。いずれも香川、乾が絡んだパス交換からでした。華麗なワンツーで、熊本の最終ラインを切り裂きます。これぞC大阪の本領というべきサッカー…。

熊本としては、一歩も足が出ないという感じ。全員がボールウォッチャーになってしまうような。おそらく、こんな縦のパスの速さ、縦の走り込みで目の前を切り裂くチームはこれまでのカテゴリーを通じて対戦したことはなかったでしょう。個々のプレーのスピードもそうですが、リスタート、トラップ、そして判断。すべてが速い。ゲームメークのテンポ自体が恐ろしく速い。

思うに、前半から熊本の最終ラインは市村が前目に位置し、チャ・ジホは残り目でした。おそらくは大阪左サイドの香川封じの狙いがあったのかも知れません。ボランチ陣もやや左サイドのケアが優先するような位置取り。いくら運動量を誇るチャにとっても、そのカバーエリアは縦にも横にも広すぎた感があります。

混乱する守備。その後も訪れるピンチ、いや自らのミスで招くリスクに、スタンドのフラストレーションの度合いは高まります。それを鎮めたのはやはりエース高橋でした。
左サイドで得たFK。山本のキックは大阪GK相澤の手をかすめ、ファーサイドの高橋の頭にどんぴしゃり。GKの手にも及ぶような高い打点。得点ランキング一位広島の佐藤に並ぶ会心の一撃でした。

C大阪の勢いに冷水を浴びせるような同点弾。淡々とセンターエリアに戻る高橋を見つめる敵選手の目。その誰しもが、「何なんだ。この男は…」と呟いているようで。われわれにとっては心地よい一瞬。

そこからはベンチワークが忙しくなります。大阪はカイオに代えて古橋。熊本は、限界に達した木島を諦め宮崎を左サイドに入れて4-4-2に。乾と香川を封じ込める戦術。バタついていたゲーム運びがやや落ち着きを取り戻します。34分には中山を町田に代えて4-2-3-1に。トップの高橋をひとり敵陣に残して中盤を厚くしたわけですが、チャンスと見れば右から長い距離を町田に走らせることもイメージされていたのでしょう。残念ながら、最後までそのチャンスは訪れませんでしたが…。

3試合連続でのドロー。いずれもJ1経験チームに対して。この結果を良しとするのかどうかは今や評価が分かれるところです。

対C大阪に関して総括すれば、第1戦は体制を整え始めた時期に実力不足で惜敗し、第2戦は動きの悪い敵を叩く事ができてのこの第3戦。メンバーも入れ替わり、モチベーションも高く、トップコンディションに近い相手にようやく引き分けたというところでしょうか。

前節、湘南にしてやられた同点劇を福岡が再現したと書きましたが、今度はそのドラマを熊本が演じました。しかし反面、福岡のサポーターもC大阪も、自チームのふがいなさに「熊本だからドローで済んだが…」と思っているのも事実です。
上位チームにいい試合をしているという満足感と、一方で「勝ちきれない」という悔しさで、今は複雑な心境です。つい3ヶ月前なら、引き分けは勝ちに等しいと、文句なく喜んでいたところですが。まあ、それはそれで、第3クールに至ってチームの成長とともに、われわれにもごく自然な“欲”が出てきたと言うことでしょう。
それはまるで、ようやく古巣との対戦を迎えることができた福王が、おそらくこの試合で自身の“因縁”を断ち切れたであろうことにも似て。
ロアッソ熊本が、単なる1年生のチャレンジャーから脱皮していく最中にある。その今に立ち会っているということの証なのかも知れません。

さて、次節は山本、市村が累積で欠場ですか?否、また新しい伏兵の登場が楽しみです。
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