9月7日(日) 2008 J2リーグ戦 第34節
熊本 0 - 2 水戸 (18:03/熊本/3,950人)
得点者:52' 平松大志(水戸)、83' 荒田智之(水戸)


いいところを挙げるとすれば、前半をスコアレスで凌ぎ切ったこと。後半途中の4-4-2にしてからボールを持てるようになったこと。福王の攻め上がりから1対1の好機を作ったこと・・・。ぐらいでしょうか。その何倍以上も首を傾げたくなるようなイージーミスがあり、自らリズムを崩しているように見えました。

水戸 (先発フォーメーション)
9荒田 19西野
6堀18赤星
16パクチュホ7村松
30中村26ビジュ
21星野3平松
 1本間 
前節熊本は甲府に、水戸は広島に、共に大敗し、この一戦に賭ける両者の気持ちは同じものだったはずです。「悪い流れを断ち切りたい」。その一心。
山本、宮崎を累積で欠く熊本は、4-1-4-1のアンカーに小森田、前に喜名、吉井を配置しました。戦前、リトリートしすぎた前節を反省し、前目でアタックしていこうという戦術が見て取れましたが、実際フタを開けてみるとこれが全く機能しない。
怪我から復帰した西野が荒田と2トップを組み、右には赤星、左には堀を置く水戸の布陣に、最終ライン前やサイドのスペースを完全に制圧されてしまいます。
しかも、パク・チュホ、村松という両ボランチの出足も早く、セカンドボールも相手の懐に収まるばかり。本来、4-1-4-1といっても中盤は流動的なトライアングルになるのが“はまった”ときのうちの理想的な形だと思うのですが、この日は実にキレイにみんな並んでしまい、小森田一人に負担がかかりすぎていました。まるで中盤に“フタ”が被さっているようなもどかしさ。前目でアタックしたいという意図はわかりますが、運動量の差で後手にまわり、結局相手に前目で勝負されたという感じです。

ちょっと今節、スカウティング不足といわれても仕方がないような・・・。

「集中力」を繋ぐチームの神経細胞が、“途切れ途切れ”のような雰囲気を感じさせるなか、水戸もまた同じようなミスを重ねてくれたことで嫌な時間帯のピンチをなんとか脱し、重苦しいほど不安になるような、落ち着かない前半がようやく終了しました。
唯一許された“修正”の時間。ハーフタイムに池谷監督は「気持ちを出せ!」と檄を飛ばしたようです。しかしそれも、同じく前半の戦いを不満に思う敵将・木山監督と水戸イレブンの修正力には及びませんでした。

大勢が変わらないまま後半7分、セットプレーから失点。ようやく熊本ベンチは、矢野と斉藤を投入し、チャを一列前に。これで少しは押し返したのですが、同点弾には至らず。続く町田の投入にもチャンスはなく、逆に38分には荒田の追加点を許してしまいました。

この日、改めて明らかになったのは、チャのSB起用は厳しいこと。木島と両方使いたいからでしょうが、フィジカルもテクニックもある赤星に易々とサイドを支配されていました。逆にチャの持ち味である“突破力”は、もっと前目で活かしたい。
台所事情はありますが中盤、小森田と喜名の併用も苦しい。翌朝の熊日朝刊の選手コメント。反省の弁もあれば、ちょっと首を傾げたくなる選手もいて…。

ひょっとしたら“彼”が理想としているサッカーと、今熊本がやろうとしているサッカーは少し違ってきているのかも知れない…。

JFLで格下相手にポゼッションを維持するのならともかく、今、非常に強いプレスのもとで、攻守の切り替えが早いこのリーグ(J1ならなおのこと)で、活かされるプレースタイルなのか。熊本の戦術変化(といってもそれは上を目指すための進歩ですが…)の前に、自らが活かされる道があるのか。

鳥栖の松本育夫氏が2年目、選手を大幅に入れ替え、あえて若手の無名選手を揃えたのも、そういうことだったのかも知れないな、と今思います。
それはある意味、個人のテクニックやフィジカルといった“能力”の問題ではありません。しかし、ここで求められるプレースタイルと言うもの、それは個々のチームの戦術、戦略以前に“J標準”とでも表現すべきような恐ろしく“速い”サッカーの枠組みにフィットできるかどうかという意味での“基本技能”なのかもしれません…。

誰か一人の傑出した才能に依存するサッカーではなく、誰かがタクトを振るサッカーでもなく、全員がチーム戦術の下に組織化され流動化するサッカー。いつしか、厳しいプレスと、全員守備、全員攻撃の流れのなかで、“トップ下”という特別な役割がなくなってしまったことはその象徴例でしょう。
熊本の得点源はまぎれもなく高橋ですが、彼は自身の活かされ方を知っている。だからプレーがとてもシンプル。厳しいプレスのなかで周りを使い、活かす。だからチャンスが訪れる。でも、周りはまだまだ、十分に彼のプレーのリズム、判断のスピードに合ってない。もっと点がとれる。そう思うのです。

いやはや、連続した受け入れがたい残念な結果に、少しネガティブになってしまいました。KKウィングに吹く風も秋の気配を感じ、無我夢中のJ2初年度も終盤戦を迎えます。この時期、来シーズンのために何を成すべきか、何を試すべきか、というこの第3クールで自然とそんな目線になってしまいました。
チームとして、常に“脱皮”が求められ、一戦一戦が“試される”。

水戸はこの勝利でJリーグ100勝目を達成。10年目で100勝ですから、1年で平均10勝ということです。
熊本が目指しているのはもちろん水戸ではなく、より上にあるわけですが、少なくともその刻んだ歴史と積んだ経験だけは追いつけない。勝率より何より、100勝達成にはそんな重みが感じられました。

敗戦に気持ちは落ち込みます。このトンネルは長くはないことを願いますが、今日のゲーム、誰の目にもはっきりと見えたものがあるはずです。現実を受け止め、もっと先を考えながら走ることが大事だなと痛感しました。
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