9月13日(土) 2008 J2リーグ戦 第35節
熊本 0 - 4 仙台 (18:03/熊本/3,106人)
得点者:46' ナジソン(仙台)、58' 平瀬智行(仙台)、61' 平瀬智行(仙台)、76' 斉藤大介(仙台)


J‘sゴールの井芹記者が戦前、「これからはまさに未知の世界」と表現したように、第3クールに入って、昇格のかかった上位チームがどのようなモチベーションでかかってくるのか全く初めての体験が続きます。
前々節から続く不振。しかし対戦成績2戦2引き分けで、わりと“相性がいい”のかも知れない、という認識もあった仙台との3戦目。そんな期待と不安が交錯する戦いでした。

仙台 (先発フォーメーション)
14平瀬 33ナジソン
10梁11関口
7千葉31斉藤
23岡村25菅井
32岡山2木谷
 16林 
スコアレスで終えたハーフタイム。喫煙所で知人と「もうこれでいい。この45分で、この試合は終わりにしよう」とうそぶいたのがいけなかった。残り45分で地獄を見ることになってしまいます。
これまで何度もハーフタイムでの“修正力”と書いてきましたが、今節の事情はちょっと違いました。いみじくも45分で終われと願ったとおり、それは世界中のサッカーが90分という時間で行われ、それをしっかりとマネジメントすることが必要なスポーツだということに集約されました。
これから一敗もしたくない仙台が開始から猛然と攻撃してくるなかで、それを凌いだ熊本は、ある時間帯では主導権を握り、いい戦い方を演じた前半。ショートパス主体のチームには、こちらもショートパスが活きる。やはり相性がいいのかも知れない。そう思わせた。しかし、それで“良し”としてしまったところで“終わって”いたのかも知れません。
後半、仙台がより以上の力で押してくるのは当然なのに、その想像力、対応力が欠如している。そんなフワフワした後半の入り方であり、後半早々の失点でした。何度こんなことを書いたことでしょう。一向に改まらないのは、チームとしての学習能力の無さなのか、それとも何かに“慣れ”が生じたのか…。

ただ、先制点献上、ゲームプランが崩れ、その後の追加点でビハインドになっても、フィールドのイレブンの気持ちが切れているように見えなかったのは、唯一の救い。これまでの成長の証でした。ホームのファンは、まだ残り30分近くの時間での“健闘”をイメージしていました。
しかし、3失点目はさすがに全員に頭を垂れさせた。ここぞというときに頼るべきゲームキャプテン自らのミスだっただけに…。

これまで、敗戦濃厚な試合途中で席を立つ人を見るにつけ、「野球の試合じゃないんだから…」と侮蔑の眼差しを投げていました。90分で終わるとわかっているゲームを、どうして最後まで観られないのか、ホームチームをなぜ最後まで応援できないのか、結果ではないだろうに、と。
しかしこの日、席を立つ人の気持ちが少しわかったような気がします。それは、結果敗戦を確信して席を立っているのではない。ビハインドは承知のうえ。その上で、自分たちのホームチームが相手より“走り負けている”姿を、もうこれ以上見たくないからなのだと…。

気力は持続していたのかも知れませんが、もはや走れない、戻れない。対して仙台は、最後までPAを切り裂く、脅かす。これが90分間のマネジメントの違いなのでしょうか。われわれは走らされていたのか、あるいは持たされていたのでしょうか…。

昔、とあるサッカー関係者に聞いた話を思い出しました。
「テクニックだけを比べればJFLはもちろん、今や地域リーグの選手でも変わらないものを持っている。ただ、上のリーグと違うのは、それを90分間持続できるか。あるいは相当のプレッシャーや速さのなかで出し切れるか。疲れてきたときに集中力が持続できるか、ということなのです。」

細かいことを言えばキリがありません。SBは間合いが甘くて相変わらずクロスを易々とあげさせるし、CBのマークも着ききれていない。前がかりになったボランチは戻りきれない。
攻撃陣は、よくぞあの堅守の仙台相手にチャンスを作ったともいえます。けれど、日本のサッカーがフィニッシュを人に譲り、ラストパスを選択しがちと言われるように、今のロアッソは、フィニッシュどころか、“ラストパス自体を人に譲っている”ように見える。ゴール前での手数という名の消極性…。

しかし、最も憂うべくは何度も繰り返される同じ失敗。それは、個人のプレー判断でもあり、今節の後半の入り方、その後のゲームプランの修正といったチーム戦術の問題でもあり…。J1年目として、結果は何も問わないと覚悟しているのに、何かが欠如してしまったのではないか。
J1経験チームとの引き分け3連戦を終えたエントリーで、「単なる1年生のチャレンジャーから脱皮していく最中にある」と書いたのは早計でした。われわれにも自然と現状満足と慢心が芽生えていたのかも知れません。

GK吉田の判断も技術もまだまだだし、目を覆いたくなる場面も多い。だけど、われわれはこのルーキーの“可能性”を応援しているのだと思う。それはチーム全体に対する気持ちも同じ。やはりチャレンジ精神だけは、常に失ってはいけないのです。

「悔しいと思ったら、また強くなれる」。中村俊輔はそう言いました。
出口のないトンネルなどありません。そして、この同じトンネルをきっと仙台も水戸も甲府も、(それぞれの速度に違いはあっても)通過してきたはずなのですから。

TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/133-3b3fe32a