10月12日(日) 第88回天皇杯3回戦
栃木SC 1 - 1(PK 5 - 3)熊本 (13:00/栃木/3,011人)
得点者:54' 小森田 友明(熊本)、81' 岡田 佑樹(栃木)


金曜日。東京に出張していたのに、土日の仕事のため日帰りで帰熊。せっかくの連休、足を伸ばせば栃木はすぐそこだったのに…。キオスクで買った「エルゴラッソ」の天皇杯特集。栃木・熊本戦の破格の扱いのプレビュー記事を横目に、機上の人となったのです。

日曜日、仕事の最中にPCや携帯を駆使して試合の状況を入手。くまにちコムの携帯版ロアッソサイトの「試合速報」は、前節の徳島戦のまま。この間抜けな画面にはムッとさせられました、こんなアウェーの日に速報しなくてどうする。所詮スカパーを観ながら実況するだけなのか。

そもそも何で栃木ホームだったのでしょうね。J2勢が登場するこの3回戦。広島と岐阜とうちだけがアウェーで戦うことを強いられました。そんなストレスも加算されたのか、久しぶりにPCの前でドキドキしていました。昨年までのJFL環境が思い起こされます。

試合の方は…。
一人退場になって、同点に追いつかれ、それでも延長を凌いでPK戦までもつれ込んだことを良しとしましょうか。実際、試合を観ていないので何も語れませんが、昨年からは大幅にメンバーを入れ替えて、現在JFL2位の位置を確保する栃木との間に、先にJ2で揉まれているわれわれといえども、まだそれほどの力の差がないということなのだと思います。ただ一点、栃木のボランチ・落合と、うちの小森田とのマッチアップがこの目で見られなかったことが残念でした。高校こそ違いましたが、同じ“熊本スピリッツ”の同級生。両者、熊本が誇るこの年の名MFですね。


「熊本がJリーグに上がるまでは、一番好きな大会が天皇杯でした」と、以前書いたことがあります。各県代表が戦うというリージョナル性。勝ち上がれば上位カテゴリーのチームとも対戦できるという下克上の全国的トーナメント。それはJのない地域、あるいはJを目指すチームにとって、このうえもない楽しみであり、モチベーションが高まるのも当然です。

ところがこの日、主催者でもあるNHKの“生”中継は一切なし。これまでNHKは午後1時から生中継を1試合、録画で3時からもう1試合と、必ず中継していたはずなのに。この日は広島戦が午後7時から録画放送、横浜FC戦に至っては深夜2時という扱い。プロ野球クライマックスシリーズに押し出されたのか、いや天下の巨大放送局は、放送波を他にも何本も持っているのに…。全国津々浦々に自らの判断で中継が可能な支局網を持っているのに…。

いえ、栃木戦の放送だけを望んで言っているわけではないのです。前述のような意味合いの唯一の大会。その歴史のなかで、数々の名勝負やジャイアントキリングを中継してきたはず。テレビの、しかも全国放送とは全く無縁の場所で汗を流している無名のアマチュア選手たちが、果敢にJチームに挑んでいる姿、日本の隅々から集まったそんなサッカーを愛する選手たち、おらが町のチームの姿を映してくれていたはず。それが天皇杯だったと思うのです。

はるか昔、われわれはこの大会の中継で、愛媛という地域に、ユースなど下部組織を持ち、胸にはスポンサーも付いたユニフォームでJを目指している、地域名を冠したクラブがあることを知り、大いに勇気づけられたものです。あるいは、日ごろは目にすることのできないJ2のチームの選手たち、それを応援するその地域のファンの姿を見て、自らの遠い将来を想像していた。それも天皇杯の楽しみでした。現行のシステムで言えば、この3回戦が最もその組み合せの面白さ、ゲームの意外性を楽しめるところではないでしょうか。

4回戦に勝ち進んだJ以外のチームは、国士舘大学と地域リーグの松本山雅、そしてJFLからこの栃木SCという3チームになりました。さて、NHKさんは4回戦、このチームのカードを放送するのでしょうか。そうでなかったら、まるでJチーム同士のただのカップ戦、それもリーグ戦終盤でのチーム事情を考慮したある意味“地味な”トーナメント戦に、自らこの大会の価値を落としてしまうのではないでしょうか。

われわれが言っていることは、マスメディアにとっては“ロングテール”過ぎて今や噴飯ものなのかも知れません。しかし、国から予算をいただくこの放送局が、この歴史あるコンテンツを主催する意味が“そこ”に見出せなくてどうするのでしょうか。元旦の国立での過去のコンテンツばかりを自慢げに繰り返し放送するばかりでいいのでしょうか。この天皇杯は各都道府県代表を決める準決勝あたりからこの3~4回戦あたりにこそ、その存在意義の大部分があるとわれわれは思っています。せめてスカパーのアフターゲームショーくらいのダイジェスト番組でもできないものでしょうか。

夕べは仕事の打ち上げで泥酔してしまって、深夜のダイジェスト番組さえ録画し忘れてしまいました。この腹いせに、来月の東京出張では絶対何かひとつゲームを観てくることを密かに決意しました。


そして、最後に一番残念だったこと。正直、あまり触れたくない、本当に悲しい思いでいます。
昨日来、ネット上で大いに問題になっている、PK戦の際の“ホーム”栃木サポによるアウェー熊本側ゴール裏席への侵入と良識を欠いた振る舞い、および一部の小学生と思われる子供による、熊本チームおよびサポに対する、極めて残念な差別的罵声。

3面芝生の観客スペース。PK戦のときにゴール裏に駆け寄るシーンって、ある意味牧歌的な地域リーグ時代ではよくある光景だったかも知れません。しかし、ここで起こったことはそんなカテゴリーの話ではなく、来年にはJ参入かと予想されるチームのホームスタジアムでのことなのです。天皇杯ということで県協会運営だったのかも知れませんが、ホームチーム側には猛省を求めたい。

われわれは、2008年1月25日のエントリーで今シーズンのチーム目標発表に対して、こう書きました。

「(前略)もうひとつ注目すべき”ソフト目標”として、”日本で一番暖かいスタジアム作り”と称して、『試合開始前後の対戦クラブの選手、サポーターへの必要以上のブーイング禁止』というメッセージが出されたことです。駆け出しのチームとして、”運営面”ではなかなか準備が整わないはずのなかで、たった一行ですが、明確な宣言を出してくれました。とても頼もしく思います。」
さらにセルティックのホームページから「セルティック・パークおよびアウエーのスタジアムにおける許されない行為について」という観戦マナーを引用し、「これから始まる熊本のJの歴史のなかで、われわれの”ホーム”スタジアムをどういうものに形づくっていくか。これはわれわれファン自身がしっかりと心しておくべきことでしょうね」と結びました。

まず、われわれは、栃木Gスタのその場にいた選手、そして何より熊本“サポーター”を誇りに思いたい。挑発や煽りに乗らず、少人数の恐怖に耐え、チームの名誉を守った。熊本サポだからあれで済んだが…などと揶揄する向きもあるようですが、冗談じゃあない。熊本はチームとしての価値観、チームとしての文化において、冷静に秩序をもって振舞った。

対戦チームのプレーヤーやレフェリーへの友情と尊敬(JFA行動規範より)を忘れてしまえば、スタジアムはいとも簡単に野蛮な闘技場に一変してしまいます。われわれは、われわれ自身への戒めとしても、“ホームチーム“を守るためにそのような行為(ホームにおいてもアウェイにおいても)を決して許さない。信念として…。
このことをもう一度確認して、グリスタのゴール裏で必死に耐えたわが熊本サポに大いなる拍手を送ります。


TrackBackURL
→http://sckumamoto.blog79.fc2.com/tb.php/143-86fbedfc