10月26日(日) 2008 J2リーグ戦 第41節
熊本 1 - 1 岐阜 (13:03/水前寺/3,540人)
得点者:34' 中山悟志(熊本)、89' 菅和範(岐阜)


多分に評価が分かれる試合になりましたが、試合終了後の、まるで勝ったように喜ぶ岐阜サポーターと、唇をかみ締めるロアッソイレブンの姿の対比が、全てを象徴していたように思います。

Jリーグ同期入会の岐阜に対して、第1クールはコンディションが整わず、山口の退場などもあって敗戦。第2クールでは互いが置かれている状況を凌ぎ切るような戦い方を見せてスコアレスの引き分け。しかし、この試合で熊本は昇格後初めて零封を経験し、その後徐々に自分たちのサッカーに自信を得ていった。そんな転換点となったような前回対戦でした。逆に岐阜はその後、調子が上がらず順位を落としていくことに…。これもまた対照的でした。

そして今季3度目の対戦は、勝ち点数で並び、得失点1差だけで順位を分けるという、まるで絵に描いたような設定。まさに、この戦いの結果で雌雄を決することに。対戦の場は秋雨のそぼ降る水前寺。しかも電光掲示板は故障したまま。前回の福岡戦のときは、選手控え室も雨漏りが絶えなかったそうで。幸山市長、いっそのこと専用球技場に改修しましょうよ…。

岐阜 (先発フォーメーション)
20小島 9相川
18薮田14嶋田
33梅田7北村
6奈須19吉村
5川島2深津
 21日野 
岐阜は梅田、北村をボランチに、サイドに嶋田、薮田、2トップは小島、相川と、なかなか経験のあるタレントで揃えてきました。J参入の今季、岐阜の大幅補強の一端を垣間見るような布陣。リーグ中盤での失速は、これらベテラン勢のコンディションが揃わなかったせいもあるようですが、終盤のここ2~3試合、さすがにうまく調整してきているようです。前節は山形に敗戦ながらも、自分たちのサッカーを貫き、最後は一矢報いるところまで押し返し、チーム自体の復調の兆しを感じさせました。そして、その粘り強さ、こちらから見れば“諦めの悪さ”は、この日もまさしく健在でした。

序盤から岐阜のペース。CKなど数々のリスタート。マークが甘く、フリーで撃たれるシーンに肝を冷やします。しかし、そこはゴールマウスを守る吉田が奇跡的なファインセーブの連発。いよいよ熊本の“守護神”の雰囲気が備わってきた感じです。24分に倒された高橋が30メートルの位置からFK。この無回転ブレ玉をなんとかGK日野はクリアしましたが、このプレーから徐々に流れは熊本に傾きました。

34分、河端のリスタートを前線の高橋がヘッドでそらすと、ゴール前に飛び込んだ中山が左太もものあたりで押し込んで先制点。岐阜ディフェンスの一瞬の隙を突いた見事なコンビネーションでした。

さらに、後半早々、事件が起こります。カウンターに飛び出した高橋を岐阜の深津が倒してしまい、2枚目のイエローで退場処分に。このリーグ得点ランキング2位のエース相手に、どうしてもナイーブになっていた挙句の結果でした。

1点のアドバンテージでは心もとないこの日の展開。そこで転がり込んだ数的優位に追加点が期待されました。岐阜は当然、FWの小島を下げてDFを補充。対して熊本は、この日岐阜の両ボランチに蓋をされてなかなかボールに絡められなかったソックンを下げて、木島を投入。システムを4-3-3に。コンディションが完全でなく、先発での起用を諦めざるを得なかったこの日。このタイミングで、このシステムはかなり効果的だと思わせました。

確かに木島が入ってチャンスを演出。ボールを受けた瞬間にDF1枚をかわすプレーは、高橋といい、帝京に根付くFWの基本スキルなのでしょうか。俄然会場が沸き始めます。しかしこの状況にもかかわらず、ロアッソのチャンスは全てカウンターから。依然として、ボールを回しているのは岐阜。全く数的優位を感じさせてくれません。

9月28日の草津戦。福王の退場での数的不利を凌ぎきった試合のエントリーで書いたことを思い出しました。
「ただ、この日の草津を見るにつけ、逆にわれわれが突然あのような状況、あのようにポゼッションを“与えられた”とき、どうするのか。引いた相手をこじ開ける術を持っているのか。そういったことも、このリーグを戦ううえでこれから体得すべきことなのだと思わせました。」

岐阜は引いてきたわけではありません。ビハインドを取り返しに果敢に攻める道を選びましたから、あの試合とはちょっと状況が違いますが、ロアッソにとって初めての経験だったことには違いありません。

試合開始から両者主導権の奪い合い。ときどきそれを手に入れたかに見えて、またすぐに奪われてしまう。雨でスリッピーなピッチが、得意の中盤のハイプレッシャーを一歩遅くしたのか。それとも北村、梅田のテクニックが上回ったのか。嶋田、薮田の両サイドも最後まで足を止めず、縦へ縦へと鋭くボールを入れてきます。

残り15分のところで吉井に代えて福王を投入。チャジホを一列前にします。これが守りのサインなのか、追加点を奪えという指示なのか徹底しなかった。試合後、「みんなの中でブレがあった」(27日付熊日)と高橋が吐露しています。中盤での吉井の存在感が高まっていることを、あらためて認識した結果にもなりました。

ロスタイムの表示が準備されている瞬間、後半途中から入った菅が前線で奪うと、中に切れ込んでミドル。痛恨の同点弾。痛恨の時間帯でした。奪われたのはミスからでしたが、それまで縦に縦に運ばれていたのを嫌って埋めていたスペース。そのイメージに対して、最後は中からミドルを撃たれました。しかし、このシュートの思い切りのよさ、この大卒ルーキーを誉めてしかるべきでしょう。

JFL時代から勝てていない同期との因縁は、とうとう来シーズンに持ち越されてしまいました。これもまたリーグ終盤に示されたチームの新たな修正課題として刻み込まなければならないでしょう。来期、このライバルを踏み越えていくほどの力がなければ、順位上昇も望めないということは確かなようですね。

戦前のインタビューで「最初はいろいろ言われていたわけじゃない? “どうして岐阜は上(の順位)にいるのに熊本はここなの?”とかね。それがこの時期に来て勝敗数も同じで並んでるわけだから。どっちがいいんですかってことだよね。それが今は嬉しいんだよ」(J‘sゴール)と言っていた池谷監督。オフレコのコメントのつもりだったのかも知れませんが、いずれにせよチーム作りの方法論、その違いを“証明”したいという監督の気持ちもよくわかります。しかし、われわれはまさに監督の先を見据えたそのビジョンを信じて“評価”しているわけで、今期についてそんな性急に結果を求めていうわけではありません。今日のベンチワーク、もし仮に、そういった意味でこれまでと違う要素が入っていたとすれば残念と言わざるを得ないでしょう。

勝ちきれなかったが、負けでもない。ゲーム全体を見渡せば正当な結果のようにも見える。この複雑な今の心境を払拭してくれるのは、次節での“快勝”に他なりません。それはもちろん大量得点差での勝利という意味ではなく、これまでどおり、チームコンセプトを90分間やり通したうえで、最後のホイッスルで相手に膝を着かせるような“快心の勝利”。チームは天皇杯の中断により一週スケジュールが空きますが、これを幸いとして、次節・愛媛戦に照準を合わせ、十分な準備をしてほしいと思います。

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