12月1日に行われたJリーグの臨時理事会で、栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山、3チームのJ2リーグ参入が承認されました。1年前にわれわれが経験したあの歓喜が思い起こされます。まずは各クラブの関係者、サポーターの皆さん、おめでとう!

栃木SCは、栃木教員団を母体に長年JFLで戦ってきた古参チーム。わが熊本の“青の時代”、初めてのJFLシーズン。ホーム開幕戦で対戦し、その強さを見せ付けられたのが、最初の栃木の印象。その後、一昨年は“ロッソ”のJ2昇格を足止めされ、昨年は彼らの昇格をつまずかせた。節目となる重要な試合で、必ずこの名前と対峙した因縁深いチームのように思います。最近では先日の天皇杯で対戦。苦杯を舐めさせられました。

昨年から柱谷監督を招聘し、選手の完全プロ化を断行。終盤、やや失速した感がありますが、スタートダッシュで積み上げた勝ち点で、Hondaに次ぐ2位の成績を収めました。しかし、リーグ戦終了を待たずに柱谷監督の契約が今期限りと発表。主力選手の解雇も予想されるなど、風雲急を告げています。どうらやJ昇格のために経営的(人件費?)に無理をしてきたことをJリーグ側に指摘され、「身の丈経営」に転換するためのようです。

カターレ富山は、YKK・APとアローズ北陸(北陸電力)といういずれも古豪の企業チームが、「富山県にJを」という県民の思いのために合従連衡したチーム。それらをメインスポンサーにしたいわば“企業クラブ系”参入チーム。このスタイル、最近では徳島以来ではないでしょうか。合併前の両チームとも、毎年JFLの上位に君臨する強いチーム(いわゆる門番)でした。それがどう融合したのか、どんなサッカーをしてくるのか、今から対戦が楽しみです。ただ、いまだ元企業の出向社員選手もいるらしく、契約変更も含めてそれをどうJ仕様にしていくのか。当然ですが大きな課題のようです。

ファジアーノ岡山。2005年の地域リーグ決勝大会でグルージャ盛岡とともに一次ラウンドを戦いましたね。チームの印象は、先の横河武蔵野戦で触れたとおりですが、東大卒、ゴールドマンサックス証券の元執行役員という異色の経歴の現社長が、ぐいぐいとここまで引っ張ってきたように見えます。「もっと大きなスポンサーの獲得で財政基盤の強化を」とリーグからは指摘されていたそうですが、その経営戦術には今後も注目したいところです。

これで来期のJ2は合計18チームとなり、3回戦総当りだとすると51試合。ますます厳しいスケジュールが予想されます。そして、われわれ熊本としてはJ2年生として、初めて追われる立場に立つといえるのでしょう。それはチーム成績のうえでも、クラブ経営のうえでも。

過日、東京でばったりとクラブの幹部の方とお会いしました。聞けば毎月のように東京で行われるリーグ会議に出張しているとのこと。その方の表現を借りれば、それはさながら全国展開するどこか大手流通チェーンの支店長会議のようだと。入場者数は、来店者数。入場料収入やスポンサー料は、すなわち“売り上げ”。なるほど、各クラブはJリーグというフランチャイズ権を持った各地の出先店だと置き換えなくもありません。その加盟店は、毎月毎月しっかりと本部からチェックされ、経営指導される。

なんだか夢も希望もないような話に聞こえますが…。ただ、プロ・スポーツとは、スポーツをビジネス化することにほかならないわけで。ただし、それは観る人に夢と希望を与えるビジネスだということ。感動を与えるビジネスだということ。ほかにもディズニーランドというビジネスがそうであるように、現実と夢は表裏一体。舞台の裏側では、血のにじむような営業努力が行われているということです。

熊本は最終戦の2万人の動員で今期の目標としていた平均5千人をクリアしてきました。できるものなら掲げた目標は何としてでもクリアする。そんな経営サイドの意地というか、数字に対する厳しさ、忠実さというか。勝ち点43という戦績も結果ですが、平均5千人という数字も立派な結果です。この数字を支えたチーム、関係者の方々に拍手を贈りたいと思います。

折悪しくも米国のサブプライムローンに端を発した世界的金融不安、日に日に悪化する景況感。収入の多くの部分を企業のスポンサードに頼るサッカークラブ経営の常として、まさに厳しい逆風のシーズン・オフになりそうです。舵取りひとつ間違えば暗礁に乗り上げかねない航海。ここ数日、相次いで発表されている各チームの戦力外選手の顔ぶれ、人数。どうもいつもとは少し様子が違うような気がします。もちろん、この時化の海を突き進むわが船も、ご多分に漏れずまだまだ小船でしかありません。今期の決算も気になりますが、来期へ向けてのチーム構築と同時に、もうひとつの戦い、スポンサー営業がはじまります。小なりとは言え、これまで少しづつ拡大してきた予算規模。しかし、今度はおそらく非常に厳しい局面も予想されるのではないでしょうか。

ミュージアム

件の東京出張の折、御茶ノ水の日本サッカーミュージアムを訪ねてみました。Jリーグ・コーナーには全チームのレプリカ・ユニが飾ってありました。
この一角にわれわれのホームチームがあること、熊本の名前があることがなんとも言えず誇らしく。“ロアッソ”レッドがやけに眩しく見えて…。ここにまた新たに3チームが加わってくる。きっと彼らサポーターも同じ気持ちを抱くことでしょう。Jリーグ36チーム、36クラブが夢と感動のためにあらゆる面で“切磋琢磨”する。その構造がJリーグなのだと、歴史の浅い1年生クラブの一ファンに教えてくれたように思いました。

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